「Opus IV」環境を締めくくった2つのデッキとは!? 『FF-TCG』初代名人インタビュー

『FINAL FANATSY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回は先日開催された「名人位決定戦」で優勝し初代名人となったハリガイさんのインタビューをお届けします。

◆はじめに

皆さん、こんにちは。『FF-TCG』プレイヤーのたるほです。
先日行なわれた「名人位決定戦」そして「7周年記念ファンフェア」は楽しまれましたでしょうか?
謎解きゲームやチームクイズ大会など、普段の『FF-TCG』にはない遊びがたくさんあって、僕は早くも「8周年記念ファンフェア」が楽しみになってしまいました。

さて、今回は「名人位決定戦」で優勝され、栄えある初代名人の称号を手にしたハリガイさんにお話をうかがってきたので、その模様をお届けします。

ハリガイ
群馬のプレイヤー。地元開催となった「MASTERS」高崎大会では優勝、「MASTERS FINAL」でも3位入賞という実績を積み重ね、今回の「名人位決定戦」では初代名人の称号を手にした。
『FF-TCG』は熱心にプレイしているが、コンシューマーゲームの『FF』シリーズは兄がプレイしていた『CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII-』を横で見ていたくらいであまり遊んだことがないとのこと。
そんななかで好きなキャラクターは《ザックス》。最近は『ファイナルファンタジーVII』をプレイしてみようかと考えているそうだ。


◆勝利のカギは豊富な練習量から生まれた平常心

――あらためて初代名人位、おめでとうございます。
ハリガイ:ありがとうございます。
――今回の名人位決定戦は『FF-TCG』で初となる2デッキ制でしたが、このフォーマットについて大変だったことや新たな発見などがありましたらお聞かせください。
ハリガイ:僕は普段から特定の属性や戦略にこだわらず、いろんな種類のデッキを組んでプレイするようにしていたので、複数のデッキを組み合わせて使うこともあまり苦にはなりませんでした。名人位決定戦に向けては、きちんと調整したものからアイデアの走り書きのようなものまで含めると、全部で40個以上のデッキを作って調整しました。
――40個はすごいですね! 使うのが苦手な属性や戦略はあまりないということですか?
ハリガイ:もちろん好き嫌いはあるのですが、得意不得意という意味ではある程度どれもまんべんなくプレイできると思っています。

――名人位決定戦では「水雷フースーヤ」「火氷」を使って優勝されましたが、これらのデッキを選んだ理由を教えていただけますか。
ハリガイ:デッキ選択の一番の理由は「使い慣れているデッキだった」ということです。「水雷フースーヤ」は「MASTERS FINAL」で3位に入賞できたデッキですし、「火氷」も「名人戦」東京予選で名人位決定戦の権利を獲得できたデッキです。大きな大会で実績を残せていたこともあり、名人位決定戦もこれらのデッキを使おうと考えました。
――名人位決定戦ということを特別に意識せずに、自分の経験値があるデッキを選んだということですね。では次に個々のデッキについてお話しを聞かせていただきたいと思います。まず「水雷フースーヤ」ですが、水属性と雷属性は【3-144L】《レナ》や【2-097H】《アルシド》などがあるため同属性でまとめるほど強くなる属性という印象です。そんな2属性をかけあわせてデッキを構築するときに意識されたことなどはありますか。

名人位決定戦 デッキA「水雷フースーヤ」

カードNo. カード名 枚数
フォワード(23枚)
【2-121H】 アーシェ 1
【3-125C】 うたかたの召喚士 3
【3-144L】 レナ 3
【1-211S】 リグディ 2
【1-125R】 オニオンナイト 2
【2-097H】 アルシド 3
【4-129L】 スタイナー 2
【3-139C】 ナイト 3
【3-118H】 ライトニング 2
【4-102R】 黒のワルツ3号 2
バックアップ (17枚)
【3-122C】 アルテミシオン 2
【2-137H】 メルウィブ 3
【2-106R】 グラミス 3
【3-107C】 黒魔道士 2
【1-137R】 シーモア 2
【2-146H】 フースーヤ 3
【1-177R】 ユウナ 2
召喚獣 (10枚)
【2-133R】 不浄王キュクレイン 3
【1-178R】 リヴァイアサン 2
【1-172C】 モーグリ 2
【1-124R】 オーディン 3

ハリガイ【3-144L】《レナ》と【2-097H】《アルシド》が現環境の水属性、雷属性を代表する強力なカードだという点は間違いないと思います。僕のデッキでも【2-097H】《アルシド》と【3-144L】《レナ》 は3枚ずつ採用しています。「水、雷属性の強みを最大限に活かす」というのがこのデッキのコンセプトになっています。そのため【3-144L】《レナ》で戻せるカード、【2-097H】《アルシド》で出せるカードをそれぞれ6枚ずつ投入して彼女たちがいつでも真価を発揮できるようにしてあります。
そして【3-144L】《レナ》や【2-097H】《アルシド》のあいだに立つのが【2-146H】《フースーヤ》で、これは【3-144L】《レナ》で戻せる【3-125C】《うたかたの召喚士》とコンボしますし、単体で引いてしまった【1-211S】《リグディ》や【1-125R】《オニオンナイト》なども使いやすくしてくれます。

――水属性と雷属性の強みを活かしつつ、そのサポート役として【2-146H】《フースーヤ》が入っているわけですね。デッキレシピを見ると【2-106R】《グラミス》が3枚入っている点が印象的なのですが、これにはどういった狙いがあったのでしょうか。
ハリガイ:「水雷フースーヤ」はデッキの性質上【2-146H】《フースーヤ》を置けないとゲームが成り立たないという課題があります。そのため【2-146H】《フースーヤ》を置く時間を稼ぐために、この【2-106R】《グラミス》を早い段階で展開してあえて相手に【2-097H】《アルシド》があるぞと伝えることでフォワードを出すのをためらわせ、お互いにバックアップを並べるゆっくりしたゲームに持ち込もうと考えました。

【2-146H】《フースーヤ》はフィールドに出してすぐに仕事をするわけではないので、この時間稼ぎは重要です。【2-106R】《グラミス》ばかりを複数引いてしまうリスクはありますが、それを考慮しても3枚投入には意味があったと思います。
――【2-106R】《グラミス》からの【2-097H】《アルシド》は、相手が展開したところを打ち取るだけでなく自分の意図した展開に誘導するためのカードでもあり、そのために【2-106R】《グラミス》も3枚必要というわけですね。一般的な「水雷フースーヤ」では【1-124R】《オーディン》ではなく【2-107C】《クリュプス》を採用した型が多いかと思いますが、今回【1-124R】《オーディン》を優先した理由はなんでしょうか?
ハリガイ:【3-118H】《ライトニング》との相性のよさはもちろんですが、いまの環境では「水雷フースーヤ」デッキにとって致命的なカードがあります。それは【2-147L】《皇帝》と【3-053C】《狩人》です。この2枚に対して多少損をしてでも確実に対処するため【1-124R】《オーディン》を優先して採用しています。また「水雷フースーヤ」デッキは【2-146H】《フースーヤ》を能動的に使っていく以上、相手のデッキにダメージで先行されやすいためゲームをひっくり返す力があるEXバースト持ちを採用したかったという理由もあります。

――特徴的なカードの採用理由はいずれもデッキの強みを伸ばし、弱みを補うための工夫ということですね。では続いてBデッキの「火氷」についてお聞きしたいと思います。いまの環境では一口に「火氷」といっても攻撃の速度やフォワードのコスト分布などによってさまざまなタイプにわけられます。
各地の「名人戦」予選を抜けた「火氷」はバックアップを14枚程度まで減らして【カテゴリ(VII)】のフォワードを中心に構成した速攻タイプと【1-048C】《導師》を採用しバックアップを17枚まで増やした中速タイプ、この2つが代表的な型という印象でしたがハリガイさんの構築はそのどちらとも少し違うように感じました。
ハリガイ:その分類でいえば僕の「火氷」は中速型になるでしょう。バックアップを減らして速度に特化した「火氷」はハマったときの爆発力はありますがカードの引きに左右される部分も多く、強さが不安定なのが難点でなるべく避けたいと考えていました。そのため「火氷」の強みの1つである【3-033L】《ジェネシス》や【4-048L】《ロック》に【2-005C】《賢者》でヘイストを付与して攻める動きは残しつつ、それ以降のカードでしっかりと盤面の有利を取っていくことを意識した構築にしました。

名人位決定戦 デッキB「火氷」

カードNo. カード名 枚数
フォワード(23枚)
【4-021L】 マッシュ 3
【4-038L】 セリス 3
【4-048L】 ロック 3
【2-047L】 リノア 2
【4-036H】 セッツァー 2
【3-017L】 ビビ 3
【1-021H】 フリオニール 2
【3-033L】 ジェネシス 3
【2-026L】 ヴェイン 2
バックアップ(18枚)
【4-026H】 ガストラ帝国のシド 3
【1-003C】 赤魔道師 3
【2-009R】 セルフィ 3
【1-193S】 ジル・ナバート 2
【1-057R】 ラーグ公 3
【1-048C】 導師 1
【2-005C】 賢者 3
召喚獣(9枚)
【3-032R】 シヴァ 3
【3-037H】 死の天使ザルエラ 2
【1-023R】 ブリュンヒルデ 2
【2-019R】 魔人ベリアス 2

――具体的にはどういったところを意識されたんでしょうか?
ハリガイ:一言でいえば「パワーで負けないこと」です。今回は【3-033L】《ジェネシス》や【4-048L】《ロック》でしっかりアタックできるように【1-057R】《ラーグ公》を3枚採用して、さらに【2-009R】《セルフィ》も3枚投入しています。これらのバックアップでサポートすることで「パワーで負けているのでアタックできない」ということがないようにしています。「火氷」デッキではありますが、コンセプトとしては「氷単」に火属性のカードをタッチしたようなイメージです。

――確かに「火氷」と考えるとやや変わった構築に見えますが「氷単タッチ火」と言われるとしっくりくる気がします。しかし【1-057R】《ラーグ公》と火属性のカードの併用はやりにくく感じることなどはなかったのでしょうか。
ハリガイ:今回、火属性のフォワードは【3-017L】《ビビ》、【4-021L】《マッシュ》、【1-021H】《フリオニール》 の3種を採用したのですが【3-017L】《ビビ》と【4-021L】《マッシュ》に関しては【1-057R】《ラーグ公》のあるなしに関係なく役割をこなせるカードでした。唯一【1-057R】《ラーグ公》と【1-021H】《フリオニール》という組み合わせになったときは少し力不足だと感じることもありましたが、【1-021H】《フリオニール》2枚だけなのでそれは「水単」で【2-147L】《皇帝》が【1-180R】《ワッカ》の恩恵を受けられないくらいの影響だと割り切ることにしました。

――中速型の「火氷」としながらも【1-048C】《導師》が1枚だけなのも独特ですよね。中速型の「火氷」は【1-048C】《導師》のアビリティを活かす構築しているデッキが多かったので新鮮に感じます。
ハリガイ:初手に【1-048C】《導師》を複数引いてしまって動きが鈍くなるのを避けたくて。中盤以降のバックアップ展開で強いタイミングで1枚引ければいいかなということで18枚目のバックアップとして採用しました。【2-026L】《ヴェイン》や【2-047L】《リノア》など相手次第で大きな働きをするカードを復活させられるのはやはり強力なので、長期戦にもつれこんだときの切り札という感覚でした。
――どちらのデッキも一見変わって見えるカードのチョイスにしっかりと理由があり、自身の選択を信頼していることが伝わってきます。

◆「水雷フースーヤ」「火氷」以外の選択肢

――この2つ以外に候補にあがったデッキはありましたか。
ハリガイ:2つデッキを用意するにあたってまず水属性は必ず使おうと決めて、水属性のデッキを「水雷フースーヤ」「水単フースーヤ」「水風」の3つまで絞って調整を始めました。
――水属性といえば「水単モンスター」や「水土」といったモンスター型が人気な印象ですが、これらは候補にならなかったのですね。
ハリガイ:もちろん「水単」や「水土」も作って練習したのですが、正直なところ手になじみませんでした。これは好き嫌いの問題ですね(笑)。
――「フースーヤ」デッキといえば水雷の2属性という印象が強いですが「水単フースーヤ」はどういったデッキだったのでしょうか。
ハリガイ:大きなメリットとしては水単にすることで【1-180R】《ワッカ》や【3-130R】《カイナッツォ》といった水属性の強力なカードを使えるという点があげられます。「フースーヤ」デッキはEXバーストを持つカードや【3-125C】《うたかたの召喚士》が入る関係で、単純なフォワードのパワーでは負けやすいという弱点がありますが【1-180R】《ワッカ》を採用することでそれを補えますし、先ほどの【3-130R】《カイナッツォ》や【4-135R】《ベアトリクス》によって雷属性のカードを採用せずに高パワーのフォワードを【2-146H】《フースーヤ》で対処できる点も魅力でした。

名人位決定戦用調整デッキ1「水単フースーヤ」

カードNo. カード名 枚数
フォワード(25枚)
【2-121H】 《アーシェ》 3
【2-129L】 《セシル》 2
【2-125C】 《うたかたの召喚士》 3
【3-129L】 《ガーネット》 2
【3-130R】 《カイナッツォ》 3
【3-139C】 《ナイト》 3
【3-144L】 《レナ》 3
【4-129L】 《スタイナー》 3
【4-135R】 《ベアトリクス》 3
バックアップ(17枚)
【1-156C】 《オヴェリア》 2
【1-157C】 《学者》 2
【1-177R】 《ユウナ》 3
【1-180R】 《ワッカ》 3
【2-137H】 《メルウィブ》 2
【3-122C】 《アルテミシオン》 2
【2-146H】 《フースーヤ》 3
召喚獣(8枚)
【1-172C】 《モーグリ》 2
【1-178R】 《リヴァイアサン》 3
【2-133R】 《不浄王キュクレイン》 3

▲調整中のサンプルレシピ。水単の代名詞、【1-157C】《学者》+【3-130R】《カイナッツォ》のコンボは残しつつも、【2-146H】《フースーヤ》 によって【3-130R】《カイナッツォ》 の活躍のチャンスが増えている。

――お話を聞くとかなり強そうなデッキに思えるのですが、最終的に採用しなかった理由は何だったのでしょうか。
ハリガイ:「フースーヤ」デッキを考えていくうえで水単でもいけるだろうと思って挑戦したんですが、どうしても序盤の動きが貧弱という問題がありました。こちらの展開は単属性デッキなので安定しますし、ゆっくりしたゲームになれば強いのですが相手に序盤から思い切ったプレイをされたときに対応しきれないことが多かったんですね。その弱点をカバーするにはやはり水雷のかたちにして【2-097H】《アルシド》のプレッシャーによる時間稼ぎが必要と考えました。
――もう1つの候補だった「水風」についてもお話しいただけますか。これはハリガイさんが「MASTERS」高崎大会で優勝したデッキタイプですね。
ハリガイ:「水風」は攻めることを意識して、高崎大会と同様に【1-177R】《ユウナ》を採用したタイプを調整していました。

名人位決定戦用調整デッキ2「風水」

カードNo. カード名 枚数
フォワード(22枚)
【1-199S】 《パイン》 3
【3-053C】 《狩人》 3
【3-129L】 《ガーネット》 1
【3-137R】 《スタイナー》 3
【3-139C】 《ナイト》 3
【3-142H】 《ものまねしゴゴ》 2
【3-144L】 《レナ》 3
【4-135R】 《ベアトリクス》 2
【3-154S】 《ジタン》 2
バックアップ(19枚)
【1-083H】 《マリア》 3
【1-088C】 《弓使い》 1
【1-089H】 《リュック》 3
【2-050H】 《アルクゥ》 3
【1-156C】 《オヴェリア》 2
【1-177R】 《ユウナ》 3
【4-126R】 《剣術士》 3
【4-134C】 《ブラネ》 1
召喚獣(9枚)
【2-049H】 《アスラ》 3
【1-178R】 《リヴァイアサン》 3
【2-133R】 《不浄王キュクレイン》 3

▲こちらも調整中のレシピ。【3-137R】《スタイナー》で【カテゴリ(IX)】のカードをサーチできるのでフォワードをサーチしてもよし、【4-134C】《ブラネ》 をサーチしてバックアップを確保しつつさらに一般兵のフォワードを手に入れてもよしと安定してデッキが回るようにしたとのこと。

ハリガイ:現環境では【1-176H】《ユウナ》を採用して防御的に動く型も多いかと思いますが、バックアップにかけるコストを軽くしたかったということもあってシンプルにパワーを上げて攻撃するデッキにしようと考えていました。軽い【1-177R】《ユウナ》を採用し、さらにこれで召喚獣が軽くなってテンポよく行動していくことを意識していました。

――高崎大会では【1-180R】《ワッカ》を採用されていましたが、ここでは【1-156C】《オヴェリア》になっています。これもバックアップを軽くしたいからということでしょうか。
ハリガイ:そうですね。【1-083H】《マリア》 もいるので攻撃の中心になる【3-137R】《スタイナー》と【4-135R】《ベアトリクス》を強化できれば十分と考え、よりコストの軽い【1-156C】《オヴェリア》を採用してバックアップの展開をスムーズに行なえるようにしています。

――こちらのデッキはなぜ使用に至らなかったのでしょう?
ハリガイ:このデッキは大きな弱点もなく、採用をギリギリまで悩んだのですが「水風」よりもオリジナルデッキである「水雷フースーヤ」を使いたいなという気持ちが強く、今回はお蔵入りとなりました。
――大きな大会はデッキビルダーの見せ場でもありますからね。その気持ちはよくわかります。では続いて「水雷フースーヤ」の相棒となった「火氷」ですが、こちらも他に候補があったのでしょうか。
ハリガイ:水属性以外のデッキを作る際に「火氷」以外で候補にあがったのは「土風」でした。

名人位決定戦用調整デッキ3「土風」

カードNo. カード名 枚数
フォワード(23枚)
【3-053C】 《狩人》 3
【3-069C】 《ユフィ》 3
【2-075H】 《イングズ》 3
【2-077L】 《ヴィンセント》 3
【3-084C】 《WRO隊員》 3
【4-075H】 《ヴィンセント》 3
【4-096H】 《ラウバーン》 3
【4-145H】 《クラウド》 2
バックアップ(18枚)
【1-083H】 《マリア》 3
【1-088C】 《弓使い》 3
【2-050H】 《アルクゥ》 3
【1-095R】 《エナ・クロ》 3
【1-204S】 《ジェシー》 2
【3-076R】 《仮面の女》 2
【3-085C】 《WRO隊員》 3
召喚獣(9枚)
【2-049H】 《アスラ》 3
【3-087H】 《断罪の暴君ゼロムス》 3
【4-073C】 《アトモス》 3

▲カードがそろうとパワー9000のブレイブ持ちになる【3-084C】《WRO隊員》や相手のフォワードを一方的に除去しつつフィールドに残るようになる【4-096H】《ラウバーン》が強力。

ハリガイ:いまの環境では【1-180R】《ワッカ》や【1-095R】《エナ・クロ》などのバックアップを活かした単属性デッキが強いというイメージがあったので、それに対してこちらは【1-088C】《弓使い》や【1-117R】《ヘカトンケイル》を採用することでパワーラインで勝つかたちに持ち込もうという狙いで調整していました。【2-077L】《ヴィンセント》+【3-069C】《ユフィ》や【1-083H】《マリア》【1-095R】《エナ・クロ》+【4-096H】《ラウバーン》など強いギミックは多かったのですが、カードがそろってはじめて強くなるタイプのデッキだったためちぐはぐな引きをしてしまったときのもろさを克服できず、こちらも採用には至りませんでした。
――はじめに40個はデッキを考えたと言っていましたが、お話を聞いていると本当にさまざまなタイプのデッキを研究されたんだなと思います。

◆ポイントは後手を意識したBデッキの選択

――今回の名人位決定戦では2デッキ制が採用されましたが、AデッキとBデッキの順番をどうするかもかなり重要な戦略だったと思います。その順番はどのように決めましたか。
ハリガイ:個人的な読みとして、1つ目に速攻型のデッキを使い2つ目にじっくりと戦うコントロール寄りののデッキを持ってくるプレイヤーが多いのではないかと考えました。
――通常1ゲームは30分ですが、今回は2ゲームで50分の制限時間だったので速いデッキと遅いデッキを使う場合、遅いデッキをにあとに持ってくるのは納得の選択理由ですね。
ハリガイ:そこであえて僕はAデッキに「水雷フースーヤ」、つまり遅いデッキを選択しました。「火氷」や雷属性を使った攻撃的なデッキに対しては【2-146H】《フースーヤ》 さえプレイできれば試合のペースを握って優位を築きやすいためです。
――セオリーを逆手にとった作戦で挑んだのですね。
ハリガイ:また、遅いデッキが多く使われるであろうと予想したBデッキは「火氷」にしました。【3-033L】《ジェネシス》や【4-048L】《ロック》にヘイストを付与して序盤から攻めていくのは「水単」をはじめとする遅いデッキ全般に有効な戦法です。2デッキ制では1ゲーム目の勝敗で2ゲーム目の先手後手が決定するため、計画通りに進めば1ゲーム目は勝利するので2ゲーム目が後手になる可能性が高くなります。後手になったときに【4-038L】《セリス》によって攻守をひっくり返しやすいという点も「火氷」をBデッキにした大きな理由です。

――先手後手で明確なプランがあるのは2デッキ制では普段以上に大事な要素なんですね。
ハリガイ:はい。予想が的中したこともあり名人位決定戦では「水雷フースーヤ」が6勝2敗、「火氷」は8勝0敗という成績を残すことができました。
――8勝0敗はすごいですね。8ゲームのうち6つは後手からスタートだったということで後攻でも立ち回れるように構築された「火氷」の強さが光る結果ですね。

◆名人のちょっと意外な『FF』歴と地元で築いたコミュニティ

――ここまで戦略的な部分のお話をうかがってきましたが、少し話題を変えて『FF-TCG』に出会ったきっかけについてお聞かせください。やはり好きな『FF』作品があってそこから『FF-TCG』に興味を持たれたのでしょうか。
ハリガイ:それなんですが、実は僕『FF』のナンバリングタイトルを1つもやったことがないんですよ(笑)。
――:え! 本当ですか?
ハリガイ:一応、兄の持っていた『FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES』と『CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII-』はやったことがあるんですが本編の『ファイナルファンタジーVII』などは未プレイなんです。
――『FF-TCG』にはどうやって出会ったのですか。
ハリガイ:当時「Chapter IV」が発売されたころに大学の友人と始めました。カードゲーム好きの僕と『FF』好きの友人でなにか共通して楽しめるものはないかと探していたんですが、そこで『FF-TCG』を見つけて学内の友人たちと遊ぶようになったのが『FF-TCG』を始めたきっかけです。
――今でもそのときのメンバーで続けられているんですか?
ハリガイ:そのころの友人も続けているんですが、卒業して少し距離が離れてしまって。今は地元のショップの友人とコミュニティを作って遊んでいます。
――デッキもたくさん作られているとのことでしたが、調整などもショップでできたコミュニティでされるんですか?
ハリガイ:はい。といってもコミュニティ自体ができて間もないので、コミュニティのメンバーが大会に出るようになったのは、それこそ地元で開かれた去年の「MASTERS」高崎大会くらいからですね。
――コミュニティが一丸となって目標を設定して遊ぶのは楽しそうです。では最後になりますが、今回の名人位決定戦で一足早く今年の「MASTERS FINAL」の権利を与えられたハリガイさんに今年の『FF-TCG』の目標をお聞きしたいと思います。
ハリガイ:これから「MASTERS」も始まり「Grand Championship」もありますが、最終的には世界大会出場、そして優勝を目指してがんばっていこうと思います!
――ありがとうございました。

◆終わりに

というわけで、初代名人となったハリガイさんのインタビューをお届けしました。
多くのデッキを作ることで得た知識と、その知識に裏付けされたセオリーをあえて逆手にとった戦略で優勝したハリガイさんはまさに名人と呼ぶにふさわしいプレイヤーだと感じました。
僕は今回の名人位決定戦、5勝5敗という結果になってしまいましたが、ハリガイさんのお話を聞いてまたモチベーションが高まってきました。今後もどんどん大会に出場して、いい成績を残せるようがんばりたいと思います。

この記事が掲載されてから2週間もすれば「Opus V」環境が開幕します。
4月からはさっそく「MASTERS」が始まって6月には大阪で「Grand Championship」と競技的な大会がある一方でビギナーの方に向けては「ショップキャラバン」や「スプリングフェスタ」もあって、今年も『FF-TCG』はイベント目白押しです。
僕もいろいろなイベントに参加したいと思っているので、もし会場でマッチングされた際などはよろしくお願いします!

それではまた、次回の記事でお会いしましょう!