【Shadowverse】Q&Bのコラム:「RAGE Shadowverse Brigade of the Sky」西日本予選を振り返る

『Shadowverse』の記事連載。今回はQ&Bさんによる「RAGE Shadowverse Brigade of the Sky」西日本予選の振り返り記事をお届けします。前回は惜しくもプレーオフで敗れてしまいましたが、今回は果たして……?

◆はじめに
皆さん、こんにちは。Q&Bです。
8月11日、12日の2日間に渡って開催された「RAGE Shadowverse Brigade of the Sky」西日本予選に参加してきました。
今回はそのレポートとして、デッキ選択の経緯や当日の実戦、そして大会後の反省点などを書いていきたいと思います。
今後、大会参加を考えている人の参考になればうれしいです。

目次
1. 環境まとめ
2. デッキ選択の経緯
3. 大会当日と結果
4. 反省

◆1. 環境まとめ
西日本予選の1週間前に、先だって東日本予選が行われました。
その結果、見事ファイナリストの座を勝ち取ったデッキ構成は以下の通りです。

2人 … 翠嵐エルフ・人形ネメシス
1人 … 召喚士ウィッチ・人形ネメシス
1人 … ギガントキマイラウィッチ・人形ネメシス
1人 … ミッドレンジロイヤル・天狐ビショップ

また、プレーオフ進出やマネーフィニッシュを果たしたデッキには「ジャバウォックドラゴン」、「アーカスネクロ」、「聖獅子ビショップ」などもあり、かなり様々なデッキが活躍している印象がありました。
しかし、数としては「人形ネメシス」、「天狐ビショップ」、「翠嵐エルフ」、「ギガントキマイラ/召喚士ウィッチ」が圧倒的多数であり、これらが中心のメタゲームという認識で間違いなさそうでした。

東日本予選の結果を受け、僕が予想したメタゲームは以下の通りです。

▲予想されたメタゲーム。BO3形式により2デッキが必要になるため、各デッキの使用率の合計は200%となっています。

東日本予選では「ミッドレンジロイヤル」がかなりの数を誇っていたという印象ですが、ファイナリストが1人使用していたものの、配信卓で地力の低さを露呈して負けてしまうというシーンが多く、プレイヤー心理としては西日本予選では数を減らすであろうと予想しました。
よって「ミッドレンジロイヤル」の割合を減らし、そのぶんほかのデッキの割合を増やしています。

2. デッキ選択の経緯
さて、メタゲームを予想できれば、あとはその環境で最も強いデッキを探す作業となります。
環境にいる主要なデッキについて見ていきましょう。

「人形ネメシス」

使用率No.1は堅いであろう、環境の大本命。
攻守ともに優れたデッキであり、10点以上のバーストダメージを有しながら、いざとなれば多種多様な守護を立てられるのが特徴。
《奮励の儁秀・シルヴァ》を序盤にアクセラレートできれば、防御に回っているだけでいつの間にか相手のライフが致死圏に陥っている、なんてことも。

デッキ相性としては、ほとんどのデッキに対して五分〜微有利がつくものの「天狐ビショップ」に対してはやや不利がつくという印象。
また、デッキリストだけでは伝わりにくいかもしれませんが、コスト帯が散らばっていることによる「パス率の高さ」も弱点になります。
4コスト以上のカードがデッキの半分以上を占めており、2、3ターン目をパスすることがあると思えば、中盤以降《人形の少女・オーキス》《復讐の人形遣い・ノア》ばかり引いてきて、6、7ターン目をパスすることすらあり得ます。

デッキパワーの面では文句なしの強さであり、しっかり回れば勝つのは容易ですが、手札事故のリスクは高く大勝ちするのは難しいだろうなという印象でした。

「天狐ビショップ」
環境随一のコントロールデッキ。
《天狐の社》を置けた後の手数の多さは圧倒的であり、相手の盤面をすべて処理しながらどんどん相手のライフを詰めていけるようになります。

最大手の「人形ネメシス」に有利であるという利点を持ちますが、そのぶん「人形ネメシス」と違い「ギガントキマイラウィッチ」や「聖獅子ビショップ」などの大幅不利なマッチがあるのが特徴。
トップメタのデッキに対しての有利不利ははっきりしているので相方しだいでは採用できるデッキですが、Tier2以下の雑多なデッキに対しての相性は果たして、というところ。

「翠嵐エルフ」

《イピリア》をナーフにより失い、その性質をアグロからミッドレンジへとシフトしたデッキ。
《妖精の調べ》を絡めた序盤~中盤にかけての爆発力と、《翠嵐の斧使い》によって着実に相手の体力を詰められるという2つの攻め手があるのが長所。
コストの軽いカードと《フェアリー》の供給によってPPを無駄にすることがないことと、明確に不利なマッチアップがないことが魅力《茨の森》を貼り続けることにより「人形ネメシス」とも互角以上に戦えます。
直前の「Ratings for シャドウバース」第6期前半戦でもこのデッキが最も高勝率を収めたため、評価は高めでした。

「ギガントキマイラウィッチ」

スペルブーストによるコスト軽減で圧倒的なテンポ差をつけるデッキ。中盤以降はほとんど0コストで除去や大型フォロワーの展開が可能で、それに対応されても《ギガントキマイラ》によるバーンダメージでのとどめをさせます。
デッキ相性としては「天狐ビショップ」に強く「翠嵐エルフ」に弱く「人形ネメシス」に対しては五分といったところ。

試合ごとの偏りが激しく、相手にどんなことをされても勝ちそうな試合もあれば、逆に全く回らず手札から勝ち筋が一切作れないような試合もあります。
細かいチューンによって様々なデッキへの相性を変化させることができるデッキですが、「人形ネメシス」と同じく事故率の高さから大勝ちするのは難しいだろうという印象でした。

「召喚士ウィッチ」

「ギガントキマイラウィッチ」とかつての「ドロシーウィッチ」の中間のようなデッキ。
ゲーム後半に《フレイムデストロイヤー》《暗黒の召喚士》を同時に展開できる動きが「人形ネメシス」に対して強く、相性がいいと言われていました。

実際使ってみると確かに「人形ネメシス」には有利に立ち回れますが「ギガントキマイラウィッチ」同様「翠嵐エルフ」が厳しい、「ギガントキマイラウィッチ」より「天狐ビショップ」への有利度合いが低い、そして何より「ギガントキマイラウィッチ」に大幅不利と、「人形ネメシス」に有利ではあるものの欠点も多いデッキであると感じました。

「聖獅子ビショップ」

《聖獅子の結晶》を何度もプレイして、最終的に4/4疾走を出し続けて勝つデッキ。
以前試したときは「天狐ビショップ」に圧倒的有利を誇りながら、それ以外のデッキにはいまいちなデッキという印象でした。
東日本予選で上位入賞を果たしたリストには、あまり見かけなかった《七宝石の姫・レ・フィーエ》が投入されており、これが他のデッキに対する相性を改善していると感じたためもう一度試すことに。

使ってみると、確かに《七宝石の姫・レ・フィーエ》は6コストを支払って《聖獅子の結晶》のカウントが進まない分以上のメリットが見込めることが多いですが、それでも「翠嵐エルフ」に勝てそうにないことと、何より《七宝石の姫・レ・フィーエ》を入れるテクニックが公になったせいで、ケアされるようになったのが厳しいと感じました。

「ミッドレンジロイヤル」

「Dawnbreak, Nightedge / 起源の光、終焉の闇」環境からすっかりおなじみ「ミッドレンジロイヤル」。
実は僕がレーティング第6期前半戦で一番食い物にしたのはこのデッキであり、それ故非常に評価の低いデッキでした。

「Dawnbreak, Nightedge / 起源の光、終焉の闇」環境ではTier1だったのに何故…と言いますと、やはり《円卓の騎士・ガウェイン》を失ったことによる爆発力の欠如が最も大きいです。
毎ターン、綺麗にPPを使い切った動きをしていても、ほかのクラスのようなコストを踏み倒す動きができず、そこから生じたテンポ差で盤面を取られていることが多く、その差を《騎士王・アーサー》だけでは取り返すことができないのです。
また「人形ネメシス」には《外界からの侵略者・バジリス》、「天狐ビショップ」には《希望導く聖乙女・ジャンヌ》が積まれていることも大きく「翠嵐エルフ」には《茨の森》を貼られているだけでカウントダウンが終わるまで盤面を返すことができません。
環境のデッキほとんどに不利で、《円卓会議》《小さな聖騎士・シャルロッテ》採用型なら「ギガントキマイラウィッチ」メタにはなるかもしれないな、程度の評価でした。

ここまでの僕の心境としては『「翠嵐エルフ」はぜひ持ち込みたいが、「人形ネメシス」と「天狐ビショップ」で迷う』という状態でした。

残りの時間を細かい相性の検証や、第3の選択肢を探すために費やしていきます。

しかし、提出期限1日前になっても前回のように虚空から「原初ドラゴン」が降ってくるようなことはなく、革新的なデッキは現れませんでした。
最終的に、対「翠嵐エルフ」の相性を検証したところ、思ったより「天狐ビショップ」が負けてしまったので「翠嵐エルフ」の相方には「人形ネメシス」を選択しました。

3.大会当日と結果
今回僕が持ち込んだのは以下の2デッキです。

「翠嵐エルフ」は、ミラーが増えることを見越して《カシオペア》を1枚だけ採用。さらにリソース切れを嫌い《絢爛の紡ぎ手・コルワ》も1枚採用し、一般的な「翠嵐エルフ」よりほんの少しだけ重めの構築に。

「人形ネメシス」は何よりもパスが最大の敗因となるため、それを軽減すべく2コストのカードは14枚を死守
また、相性不利な「天狐ビショップ」への対抗策として《操り人形》をたくさん抱えた状態で《復讐の人形遣い・ノア》を出し、2/1疾走の群れで勝つプランを取りやすくするため、何とか枠を割いて《パペットルーム》を1枚採用しました。

大会当日、朝の電車でランクマッチをやっていると、なぜか恐ろしく負けこんでしまいます。
「これは今日のDay1厳しそうだな…」なんて思っていたのですが……


Day1

Round1:ウィッチ 天狐ビショップ
○後E(エルフ)-B(ビショップ)
○先Nm(ネメシス)-B

Round2:翠嵐エルフ ネクロマンサー
○後Nm-E
○後E-E

Round3:翠嵐エルフ ミッドレンジロイヤル
○先E-R(ロイヤル)
○後Nm-R

Round4:ギガントキマイラウィッチ ネメシス
○先E-W(ウィッチ)
○後Nm-W

Round5(配信卓):ギガントキマイラウィッチ アーカスネクロ
○先Nm-W
○先E-Nc(ネクロマンサー)

望外の5-0でDay1突破!
しかも全試合2-0で勝ったため、この日負けなしというまさかの結果に。

今回も配信卓に呼んでもらい、勝つことができたのでインタビューで沢山喋らせていただきました。
実は「RAGE」のインタビューを受けるのは初めてだったので、全勝だったこともあり、かなりウキウキして話してました。配信を見られた方には「なんだコイツは!?」と思われたかもしれません。それくらいうれしかったですね。

浮かれる気持ちを落ち着けてDay2へ。

Day2
Round1:
翠嵐エルフ 天狐ビショップ
○後E-B
×先Nm-E
○後Nm-B

Round2:
暗黒ウィッチ 竜鎧リントヴルムドラゴン
○後E-D(ドラゴン)
×先Nm-D
○先Nm-W

Round3:
翠嵐エルフ 人形ネメシス
○後E-Nm
○先Nm-E

Round4:
翠嵐エルフ 人形ネメシス
×先Nm-E
○後Nm-Nm
○先E-Nm

Round5:
翠嵐エルフ 人形ネメシス
×先E-Nm
○先E-E
×先Nm-E

Round6:
天狐ビショップ 人形ネメシス
○後E-B
×後Nm-B
×先Nm-Nm

Round7:
翠嵐エルフ ネメシス
○先Nm-E
○後E-E

5-2。あと1勝が足りずに予選敗退となりました。
賞金は獲得できたものの、プレーオフ進出はなりませんでした。
Day2では僕と同じ「翠嵐エルフ」「人形ネメシス」という構成に4回も当たっており、少なくともアベレージは高い構成だったことがうかがえます。

また、Day2で「人形ネメシス」が結構負けてしまい、最終的には、

翠嵐エルフ:12勝1敗
人形ネメシス:10勝6敗

となりました。
やはりプレイできるカードがないことによるパスで負けることが多く、『「人形ネメシス」では大勝ちは難しい』という、大会前の予想そのままの結果となりました。

4. 反省

さて、大会が終われば反省は必須。
「デッキ選択」「デッキ構築」「プレイング」「その他」に分けて反省点を述べていきたいと思います。

・デッキ選択
今回は早期に「翠嵐エルフ」を確定とし、相方のデッキを決めるのに非常に苦労しました。
その理由は前述の通り「人形ネメシス」や「天孤ビショップ」では勝ちきれないと思ったからです。
しかし、その他のデッキにしっくりくるものがなく最終的に妥協して「人形ネメシス」を選択するという結果になりました。

心残りなのは、時間が足りず試すことができなかったデッキたちです。
例えば「マナリアウィッチ」は、当時構築や戦術が知られておらず「RAGE」に持ち込んだ人の数に対してマネーフィニッシュやプレーオフ進出が多いという、前回僕が持ち込んだ「原初ドラゴン」のような勝ち組デッキでした。

たまたまゲキカラーズさんが回していたので(またゲキカラさん!プロになって改名したので今はSpiciesさんと言ったほうがいいでしょうか)構築自体は提出期限の3日前ぐらいに知りまして、試す時間もあったのですが、僕はその時間を「召喚士ウィッチ」や「聖獅子ビショップ」の検討に費やしてしまいました。

もし、実際に「マナリアウィッチ」を試したとして、それを持ち込んだかどうかは微妙ですが、試すことすらせずに、どのデッキを持ち込むかの選択肢にできない状態にしてしまったのは悪手だったなと感じています。

カードゲームでドローして手札を増やすのが重要なように、未知のデッキを試して使えるデッキの数を増やすことも同様に重要です。
手札が多ければ多いほど取れるプレイの選択肢も広がるように、使えるデッキが多ければ多いほどデッキ選択の幅も広がります。

・デッキ構築
ミラーマッチが増えることを想定して「翠嵐エルフ」に《カシオペア》を投入したのは大成功でした。エルフミラーで後手を2回取りましたが、2回とも運よく《カシオペア》を初手でキープすることができ、勝利に貢献しました。

一方で「人形ネメシス」はどうだったかと言うと、《パペットルーム》はエルフに対しては《茨の森》で完封されてしまう、非常に弱いカードでした。
「翠嵐エルフ」のミラーマッチを重視して《カシオペア》を投入したのなら、「人形ネメシス」にも「翠嵐エルフ」に対して弱いカードを投入するべきではなかったかもしれません。やや一貫性に欠けるところがあったと思います。

とはいえ《パペットルーム》1枚以外は満足しており、上出来だったと言えるでしょう。

・プレイング
プレイミスはそこまで多くはなかったのですが、今回もっとも頭を悩ませたのは時間切れです。なんと大会中通算3回も時間切れを起こしてしまいました。
そのうち2回が、試合中に端末が加熱して処理が重くなってしまい、タイムリミットを知らせる赤い円が出始めるともう《復讐の人形・オーキス》の一連の動きが完遂できないというものでした。

これは直前の練習をPCで行なっていたため、事態を想定できなかった自分のミスです。事前に知っていたら回避できていたかもしれません。
次回からは少なくとも1週間前には端末で練習しておいた方がよさそうです。

・その他
今回、大会中に充電ケーブルが壊れてしまい、モバイルバッテリーから充電できなくなってしまうというアクシデントが発生しました。試合の合間に充電コーナーで充電するだけでは賄いきれません。
幸い、困っていたところを助けて下さった方々がいらっしゃいまして、なんと充電ケーブルを買ってきて下さいました。おかげで難を逃れることができました(お二人ともありがとうございました!!)。
また、Day2出場で貰えるモバイルバッテリーは容量が少なく、フル充電することなく充電が止まってしまいました。次回からはちゃんとした大型のモバイルバッテリーを用意した方がよさそうです。


終わりに

今回の出来栄えですが、
デッキ選択: 70点(間違った選択ではなかったが、ベストの選択は他にあったかも?)
デッキ構築: 90点(1枚以外は満足)
プレイング: 70点(時間切れはどんなプレイミスよりも避けるべき!要反省)

今回は通算10-2と、好成績ではあるもののまたもや勝ちきれない結果となりました。
しかし元々門が狭過ぎて勝ち上がれないのが当然の「RAGE」。
いつもこれぐらい勝てていれば、いつかはファイナリストになれると信じて、継続して出場していきたいですね。

ではまた、次回の記事でお会いしましょう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。