【Shadowverse】白悠咲美のコラム:「森羅咆哮」の最強クラスを一点予想!

『Shadowverse』の記事連載。今回は9月26日にリリースされた「森羅咆哮」の特徴を白悠咲美さんに解説してもらいました。

◆はじめに
9月26日に第14弾カードパック「森羅咆哮」がリリースされた。第12弾「鋼鉄の反逆者」、13弾「リバース・オブ・グローリー」という「機械」をテーマにしたパックから一転、今弾は「自然」をテーマにしたパックとなっている……と言っても、このテキストを書いているのは、まだ全カードが明らかになっていないタイミングである。そのことをご了承いただきたい。

本記事は、あえて新パック「森羅咆哮」のリリース前に次の環境(記事が掲載されるタイミングでは「次」ではなくなっているが)の考察を行なうとともに、次の最強リーダーは誰かを予想するという趣旨のものだ。

それでは早速はじめていこう。


「森羅咆哮」の特徴《ナテラの大樹》
「鋼鉄の反逆者」や「リバース・オブ・グローリー」では、1PPで1回復させる《リペアモード》というスペルが多くの機械カードから入手できるようになっていた。

《リペアモード》の効果自体はそれほど大きくないものの、回復能力がビショップの《エイラの祈祷》の誘発に使われたり、1PPのスペルという点でウィッチのスペルブーストと相性がいいなど、全クラス共有のニュートラル・カードでありながら、さまざまな角度で多くのクラスに採用されていた。

《リペアモード》のように、「森羅咆哮」でも《ナテラの大樹》というニュートラル・カードが存在している。まずは効果を見てみよう。

《ナテラの大樹》
コスト:1
タイプ:自然
クラス:ニュートラル
カードタイプ:アミュレット

効果:
ファンファーレ 自分の場に他のナテラの大樹があるなら、ランダムに1つを破壊する。
ラストワード カードを1枚引く。

ざっくりまとめると、「2枚目以降は1ドローに変換できる1コストの自然アミュレット」である。
このカードはほかの複数のカードの効果によって入手できる。このカードが「自然版の《リペアモード》」であることは間違いないだろう。《ナテラの大樹》と相性のいいギミックを見つけ出すことが、「森羅咆哮」において一足先に環境を攻略するうえで重要だと考えられる。


◆《ナテラの大樹》によるシナジーを活かせるのは?

「自然」シナジー
まずは自明のシナジーから触れる。「鋼鉄の反逆者」における《真紅の抗戦者・モノ》、《蒼の反逆者・テトラ》、《欠落の聖女・リモニウム》などのように「自然」カードが場や手札にある、あるいは破壊されたかなどを参照するカードは多いだろう。

《ナテラの大樹》はアミュレットであることと、ラストワードにドロー効果があるため、対戦相手からすると破壊しづらいカードだ。そのため、場の「自然」カードを参照するカード効果を安定して発動させられそうだ。

また、自壊させることもできるため、破壊された枚数を参照するカードとの相性もいいはずだ。よって、《ナテラの大樹》を安定して供給することさえできれば、ゲームの展開に依存せず安定して「自然」シナジーを発動させることができるだろう。

アミュレットのシナジー
すでに《ナテラの大樹》はアミュレットのため破壊されづらい、という点には触れた。次は、アミュレットというカードタイプによるシナジーについて触れる。アミュレットといえば真っ先に思いつくのが、古来よりカウントダウンというアミュレットギミックを有するビショップだろう。

ということでビショップのカードを眺めてみたが、思ったよりアミュレットシナジーが存在しない。真っ先に思いついた《烈風の翼神・ガルラ》は、「蒼空の騎士」のカードのため、入れ替わりでローテーション落ちしてしまう。

昨今のビショップは、旧来のアミュレットシナジーを控えめにして《聖獅子の結晶》や「機械」といった新ギミックを獲得することで環境上位に立ち続けていたが、その代償として《ナテラの大樹》のアミュレット恩恵をあまり得られないようだ。

強いていえば、最新のアディショナルカード《デスティニーウイングナイト》の効果誘発に貢献するが、場のスペースを1つ埋めるアミュレットと、低コストフォロワーを横並べする戦略の相性はあまりよくない。「森羅咆哮」環境のビショップは、新参の「自然」カードにあまり頼らず元々の「機械エイラビショップ」が代表的なデッキタイプとして継投する可能性も高い。

ほかにも現在あるカードを眺めてみたが、アミュレットタイプによる恩恵を受けるカードはほとんど存在しなかった。であれば、上で少し触れた「場を埋める」というアミュレットタイプのデメリットに影響されづらいリーダーを考える。横並べでなく一体の巨大なフォロワーを展開するリーダーといえば、やはりドラゴンだろうか。1PPで1ドローという点も、大振りなカードが多くPPを持て余しがちなドラゴンと相性がよさそうだ。

余談:クラス全体でギミックを共有することによるカードの多様性
環境予想からは少しわき道にそれるが、昨今のパック構成についても少し触れておこうと思う。
元々『Shadowverse』には、「絶禍十傑」の“侮蔑”や“姦淫”などのようにクラス内で完結したギミックが多かった。それぞれのクラスのなかでギミックを共有するカードやギミックと相性のよいカードが多数収録されていた。

一方で、ニュートラルカードにはギミックと関連するカードはあまり収録されず、多くのデッキは大部分がクラス専用カードで占められていた。“飢餓”というデッキタイプが現れなかったのがその証拠だ(《飢餓の絶傑・ギルネリーゼ》はよく使われたが)。

しかし、「鋼鉄の反逆者」からの登場した「機械」ギミックはニュートラルを含むすべてのクラスで共有されており、ベースとなる《メカゴブリン》や《マシンエンジェル》、《フロートボードマーセナリー》といったカードはニュートラルに収録されている。

各クラスにギミックの基礎となるカードを収録する必要がなくなったことでスペースが空き、代わりに《真紅の抗戦者・モノ》や《蒼の反逆者・テトラ》といったクラス別にとがった性能の「機械」カードが収録されている。そうすることで、1~2セットぶんのカードだけで強力なシナジーを形成することができている。

今回の「自然」ギミックも、ニュートラルに《ナテラの大樹》および「自然」版の《メカゴブリン》や《フロートボードマーセナリー》などの汎用的なカードが多く収録されると思われる。そうすることで、各クラスに特徴的な「自然」カードを収録することができ、セット全体で「自然」というテーマを表現することができるのだ。

2セット構成のメリット/デメリット
「機械」ギミックは「鋼鉄の反逆者」からのギミックだが、「鋼鉄の反逆者」時代は環境の最上位に食い込むほどのパワーはなかった。「機械」カードの種類が十分でなかったからだ。《真紅の抗戦者・モノ》のような「機械」カードの枚数に依存するカードはデッキの動きが安定せずファンデッキ止まりで、《蒼の反逆者・テトラ》のような単体でも十分な強力なカードのみが採用されていた。

不発に終わったかと思われた「機械」シナジーだったが、次弾である「リバース・オブ・グローリー」にも追加の「機械」カードが多数収録されたことで環境は一変した。
「機械」カードの種類が増えた《真紅の抗戦者・モノ》は安定して真価を発揮するようになり、《マシンブックソーサラー》を得た「機械ウィッチ」は一躍環境トップに君臨した。ほかにも多数の「機械」デッキが誕生し、環境はほぼ「機械」一色になったといっても過言ではないだろう。
1セットにすべての機械カードを収録することで、「鋼鉄の反逆者」の時点で環境を「機械」だらけにすることも可能だったと思われるが、あくまで2セットに分割したことには、次のようなメリットがあると考えられる。

1つ目は、環境を何か一辺倒にしないことができる。
1セットで新たなテーマを完結させようとすると、使われるデッキはそのテーマのものばかりになってしまうだろう。セット内の半数が新テーマのカード、もう半分が既存のギミックのカードとすれば、環境に多様性が生まれやすい。デッキづくりはカードゲームの楽しみの醍醐味であり、その余地を残す2セット構成には賛成だ。

2つ目は、カード能力が調整しやすいという点である。
2セットでテーマを完結させようとしてしまうと、そのテーマがあまりに強力だった際にカード能力を変更する以外に策がない。しかし、1セット目で一度様子を見ることで、2セット目で追加するカードをどれくらいの能力にすればいいかの見当を付けられるため適切なバランスでカードを追加することができる。

もちろん、ギミックを複数セットに分割することはメリットだけではない。ローテーション落ちにより、いわば“断層”とでも呼ぶべきギャップができた際に取り残されたカードが浮いてしまう、というデメリットもある。
最近だと、ビショップの「聖獅子」ギミックが記憶に新しい。《聖獅子の神殿》、《聖獅子の結晶》がローテーション落ちした影響で、《プリズムスイング》や《救済の聖獅子》といった後続パックの強力な「聖獅子」関連カードは機能不全に陥り、事実上ローテーション環境から退場してしまっている。

「機械」カードも同様に、いずれ出る第17弾で「鋼鉄の反逆者」がローテーション落ちしてしまうと、「リバース・オブ・グローリー」の「機械」カードも弱体化してしまう。「聖獅子」のときは、クラス単位だったため影響は軽微だったが、「鋼鉄の反逆者」はすべてのクラスでギミックを共有しているため「リバース・オブ・グローリー」も実質一緒にローテーション落ちしてしまったような使用率になってしまうことも考えられる。

ここからは完全な予想だが、上記問題の解決策としてローテーション落ちを「1つ入るたびに1つ落ちる」ではなく、「2つ入るたびに2つ落ちる」という形式に変更するのではないかと私は考えている。
つまり、第17弾の段階では、「鋼鉄の反逆者」も含む6セットがローテーションとして使用でき、次の第18弾が入った際に「鋼鉄の反逆者」と「リバース・オブ・グローリー」の両方がローテーション落ちする、といった形式だ。

この形式にすると、使用可能なカード枚数がセット番号の遇奇によって可変となるが、デッキパワーを落とすことなく最後まで「機械」ギミックを遊び尽くすことができるだろう。
私の世迷言でしかないが、仮にそうなった際に、五角形アイコンのローテーションアイコンがどうなるかが楽しみだ。


◆「森羅咆哮」の注目カード
閑話休題。
続いては、「森羅咆哮」のカードのなかから注目しているカードをいくつか紹介する。

《呪われし影・ヴァイディ》

最近の『Shadowverse』では、4コストで永続的な能力をリーダーに付与するカードがいくつか登場している。
例えば《破壊の絶傑・リーシェナ》や《堕落の漆黒・アザゼル》などだ。ドラゴンの新規カードである《呪われし影・ヴァイディ》はこれらと同じく《影の侵食》というフィニッシュカードを手札に加えるレジェンドレアで、この《影の侵食》によってリーダーが能力を獲得できる。

特筆するべきは、《破壊の絶傑・リーシェナ》や《堕落の漆黒・アザゼル》ように進化時能力ではなくファンファーレで手札に加えるという点で、先手4ターン目やもしくは進化合戦が終わった7ターン目以降に引いても問題がない。
2枚目以降の《影の侵食》は除去となるため、あらゆるタイミングで何枚引いても強いという、歴代でも屈指の性能を持つカードだ。

《王たる光・ベイリオン》

ヴァイディと同じく4PPでリーダー能力を付与できるカード。こちらも進化時ではなくファンファーレ能力のため、先手4ターン目に出すことができる点が魅力的だ。
このカードの能力で獲得できるようになる《王の一閃》は1PPでステータスをアップさせるスペル。
《クイックブレーダー》のような疾走フォロワーと組み合わせることでいきなり大ダメージを叩き出すことができる。

《呪われし影・ヴァイディ》と比較すると、複数枚引いてしまうとあまりうれしくない点が残念ではあるが、「自然ロイヤル」を組むのであれば間違いなくデッキの中心となるだろう。

《荒野の案内人》

記事中でも言及した「自然」版の《メカゴブリン》といえるカード。「自然」シナジーを採用したデッキであれば、ほぼ確実に3枚採用されるだろう。ラストワード能力は最初の1回しか発動しないため、複数枚引いてしまうとほぼ《ファイター》になってしまうが、《ナテラの大樹》の供給役として広く採用されるはずだ。


◆新環境を制するクラスはこれだ!
新ギミック「自然」の解説から、カードパックの推移予想、注目カードレビューと、「森羅咆哮」後の環境をいろいろ考察してみた。
今はまだほぼ目隠しの状態ではあるが、最後に「森羅咆哮」における最強リーダーを予想しよう。

新環境の最強リーダー、それはズバリドラゴンだ。

理由は3つ。

①ローテーション落ちの影響が少ない
「蒼空の騎士」が落ちることでの影響は《ポセイドン》だけだ。
《ポセイドン》は非常に高いステータス、アクセラレートによる事故防止、守護でリーダーを守る、といった要素により少し前のドラゴン全盛期を支えた縁の下の力持ち的存在だが、必須カードかというとそうではない。

ほかのカードも、強力なカードこそ多いが必須級のカードはなく、ここしばらくロイヤルの花形だった《高潔なる騎士・レイサム》を失うロイヤルなどと比較すると大きな損失はないだろう。(最近はロイヤルでも《高潔なる騎士・レイサム》の採用率は低かったが)

②カードの強化を受けている
最近だと《憤怒の竜帝・乙姫》が大幅に強化された。トークン・フォロワーの攻撃力が最大で4上昇している、最近の能力変更の内容だと効果幅さえ見れば一番大きい強化だろう。

ドラゴンの「PP加速して強力な高コストフォロワーを叩きつける!」というメインコンセプトにおける「強力な高コストフォロワー」としての役割は十分だ。
気になるのはPPを加速するカードの種類に乏しいこと。ドラゴンが強いかどうかで重要なポイントは低コストのPP加速カードが何種類あるかであり、前回のローテーションで離脱した《竜剣の少女・アイラ》の穴を埋めるカードさえ来れば、再びドラゴンが頂点に立つ日も近いと考えている。

③《ナテラの大樹》と相性がいい
《ナテラの大樹》の項で少し触れたが、ドラゴンはあまり横並べをせず、また大振りな動きが多いがためにPPを持て余しがちだ。そのため余ったPPをドローに変換できる《ナテラの大樹》と相性がいいだろう。《リペアモード》と相性がいいウィッチやビショップが環境を席巻したように、《ナテラの大樹》と相性のよいドラゴンは他リーダーより一歩前からスタートしていると言っていい。

これら3つの理由により、次の環境トップは「自然ドラゴンと予想している。仮にこれが次の環境上位を当てるテストだとしたら理由も含めて「完答」であると自信を持って言える。この記事が公開されたとき、環境がどうなっているのか、楽しみだ。

もし「完答」しなかったら《ナテラの大樹》の下に埋めてもらっても構わないよ! 

ババーン。

それでは。