【FFTCG】今年は「Chapter」シリーズ10周年のメモリアルイヤー! カードで振り返る当時の『FFTCG』#1

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。2021年最初の更新となる今回は、今年で10周年のメモリアルイヤーとなる「Chapter」シリーズを振り返る記事をお届けします。

◆はじめに
皆さん、こんにちは。カードゲーマー編集部の編集(川)です。

2011年2月25日『FFTCG』が発売されてから10年が経とうとしています。
いま、世の中の状況はいろいろと大変で、毎年恒例だった周年記念のファンフェアも昨年は開催できず、今年はオンラインでの開催になるなどしていますが、2021年が『FFTCG』にとってメモリアルイヤーであることは変わりありません。

そこで、公式記事でも当時のカードとデッキから「Chapter」時代の歴史を振り返る記事を月1回くらいのペースで連載していきたいと思います。「Chapter」シリーズから遊んでいるという方は当時を振り返って懐かしく感じていただき、逆に「Opus」シリーズから遊び始めたよという方は、今とはまた少し違う『FFTCG』の雰囲気を感じてもらえれば幸いです。

それでは、さっそく昔話を始めていきましょう。

 

◆2011年2月25日、『FFTCG』リリース
『FFTCG』の第1弾ブースターパック「Chapter I」が発売されたのは2011年2月25日。同日に「エントリーセット ブラック」と「エントリーセット ホワイト」も発売されました。

『FFVII』や『FFX』、『FFXIII』、『FFタクティクス』、『ディシディア ファイナルファンタジー』などのタイトルからの出典を中心にしたカード全160種のセットでした。

個人的な話になりますが、当時私は『FFXI』に熱中していたので『ディシディア』仕様のイラストの【1-090S】《シャントット》を見て「こんなシャントット様もいるのか!」と思い、また、ほかのTCGをやっていた感覚で「全体除去したうえにその後も毎ターンCPが出る……最強では?」と驚いた記憶があります。

コストが6だったので手札のカードだけでもプレイしやすく、後攻時などには非常に頼もしかったですね。1ターン目からドン、とフォワードを展開されても簡単に一掃することができました。

さすがにコスト6というのは使いやすすぎると判断されたためか、のちの「Opus」シリーズでの【1-107L】シャントットはコストが7になっています。こういったシリーズ間でのカードの細かな違いなども見ていくとおもしろいですね。

また、それまではパッケージアートや攻略本などでしか見る機会がなかった天野喜孝先生のイラストがたくさん使われているのも新鮮に感じた印象があります。

ただ、正直に言うと、当時の感覚では「TCGの高レアリティカードはキラキラしていたり、イラストのインパクトが重視されているもの」という印象があったため、必要な情報がコンパクトにまとめられ、イラストも公式で使用されたものを忠実に再現している『FFTCG』のカードは「ちょっと地味かな」と感じる部分もありました(それゆえに「Opus」シリーズで描き下ろしイラストが登場したときの衝撃と感動はすごいものでした)。

ゲームシステムも斬新で、TCGは基本的に「少しずつ使えるリソースが増えていく」というものが多かったなかで、1ターン目から手札をコストに高コストカードがプレイできるという「何もできないターンがない」デザインも「こんなデッキが組めるんじゃないか!?」という構築欲をかき立てるものでした。これは今の「Opus」シリーズにも受け継がれている要素ですね。

 

◆「Chapter I」環境のカードとデッキ
さて、そんな『FFTCG』の「Chapter I」環境にはどんなデッキがあったのか、振り返っていきたいと思います。

「Chapter I」環境の王者となったのは【1-060S】《ジタン》でした。

召喚獣やアビリティで選ぶことができず、またコスト4以上のカードではブロックできないこのフォワードは、当時のカードプールでは対処困難で、「どうやって【1-060S】《ジタン》を止めるか?」は誰もがデッキを組むとき最初に考えることでした。

当時多かったのが「風雷ジタン」「火風ジタン」の2つのデッキです。どちらもコンセプトは「ブロッカーを排除して【1-060S】《ジタン》でアタックする」というシンプルなものでした。

「風雷ジタン」であれば【1-103R】《オーディン》と【1-112U】《シーモア》が除去の2枚看板でした。

【1-103R】《オーディン》は3コスト、【1-112U】《シーモア》は4コストでそれぞれ4コストまでのフォワードを除去できる非常にコストパフォーマンスに優れたカードで、これを使ってブロッカーを排除します。

「火風ジタン」では【1-019U】《ブリュンヒルデ》などの召喚獣に加えて、フォワードのブロックを制限する【1-003C】《赤魔道士》が大活躍しました。

ここで紹介したカードはすべて「Opus」シリーズにも引き継がれていますが、【1-019U】《ブリュンヒルデ》以外はいずれもコストや効果が調整されています。それだけ強力だった、ということなのでしょう。

また「Opus」シリーズでは優秀な低コストのフォワードがたくさん収録されていて、「Chapter」のときのように【1-071L】《ジタン》が大暴れすることはありませんでしたね。

もちろん、当時は【1-060S】《ジタン》に対抗する術もたくさん検討されました。代表的なカードとしては【1-023R】《レッドXIII》、【1-042R】《ティナ》、【1-138C】《風水士》でしょうか。

【1-023R】《レッドXIII》はまず単独で【1-060S】《ジタン》を止められる点が1つ、そしてスペシャルアビリティ「コスモメモリー」が全体除去であることも評価されました。

【1-042R】《ティナ》は【1-103R】《オーディン》や【1-019U】《ブリュンヒルデ》による除去を受けないいぶし銀のカードでした。【1-112U】《シーモア》にはうまく除去されてしまいますが、2枚目を出せばその後はかなり盤石になります。

当時【1-042R】《ティナ》の2枚目が手札にあるときにスペシャルアビリティの「トランス」を使うか、あえて温存して除去されたあとに再度出せるようにするかはいつも悩んでいた記憶があります。

【1-138C】《風水士》は除去されてもアドバンテージの損失を抑えられる好カードでした。とても地味に見えますが、確か「Chapter II」までは水属性でもっとも採用率が高かったフォワードだったような気がします。

「ジタン」デッキは環境が進むにつれて【1-060S】《ジタン》をめぐる争いでどう有利に立ち回るかが研究されていきました。

たとえば【1-069R】《マリア》を投入してサイズ差をつけようとしたり、

逆にその【1-069R】《マリア》や【1-003C】《赤魔道士》に対処するため土属性をタッチして【1-097U】《ヘカトンケイル》を投入(当時はコストの制限なくバックアップをブレイクできました。すごい!)したり、

土をタッチするならということで自分のバックアップ、主に【1-112U】《シーモア》をどけて2枚目以降を活用できるようにする【1-080C】《陰陽士》(これ自身が【1-060S】《ジタン》のブロッカーにもなります)が採用されることもありました。

また、バックアップをブレイクするという点では【1-162S】《セフィロス》も非常によく見るカードでした。

当時はコスト7だったのでバックアップ5枚と手札1枚からプレイできました。これも「Opus」シリーズではコスト8に調整されています。また、パワー8000の先制攻撃持ちということで、戦闘で優位に立てる点も評価されていました。【1-069R】《マリア》との相性も非常によかったです。

それ以外のカードでは【1-119U】《ラムザ》なども高い評価を得ていました。

【1-112U】《シーモア》(当時は雷属性のフォワードを選べませんでした)や【1-019U】《ブリュンヒルデ》に耐性があり、パワーが10000にも届くため【1-162S】《セフィロス》にも打ち勝てる点が優れていました。

当時は「デッキタイプ」ではなく【1-060S】《ジタン》や【1-162S】《セフィロス》などの“個”のカードにどう対策するかが非常に考えられており、環境初期は対戦するたびに「そうか、そのカードで対策してるのか!」と驚かされることが多かったですね。

特に【1-080C】《陰陽士》をうまく使っているデッキを見たときは、すごいなと感心したおぼえがあります。

もちろん、こういった【1-060S】《ジタン》をめぐる戦いとはまた別軸のデッキも存在しました。それが「水雷ティーダ」です。

【1-133S】《ティーダ》のスペシャルアビリティ「エース・オブ・ザ・ブリッツ」によって大ダメージを与えるデッキで、【1-133S】《ティーダ》にヘイストを与えて奇襲性を高めるために【1-101C】《赤魔道師》が採用されています。

相手の【1-103R】《オーディン》にとにかく弱いのが泣きどころでしたが、【1-146U】《ユウナ》によってこちらの【1-103R】《オーディン》を2コストで召喚できたり、当時はまだ強力なオートアビリティを持つフォワードが少なかったため、EXバーストを持つことを含めて【1-147U】《リヴァイアサン》が強力だったりと、独自の強みも持ったデッキでした。

この【1-146U】《ユウナ》、すべての属性の召喚獣を1コスト軽く召喚できるというだけでも強力でしたが、このカードの「コストは1減る」というテキストは「コストそのものを小さくする」、つまり「コスト4の召喚獣をコスト3の召喚獣として扱う」というものでした。

そのため、少しあとの話になりますが「手札にあるコスト3以下の召喚獣をコストを支払わず召喚してもいい」というアクションアビリティを持った【4-085S】《ガーネット》が出たときには大いに注目を集めました。

 

コスト4の召喚獣がコスト3扱いになり、それを水属性のCP2つで召喚できるので一気に2コストぶん軽くなるわけです。

そういったこともあってこの【1-146U】《ユウナ》は「Chapter」シリーズを通じてのみならず、「Opus」シリーズでも使われる人気カードとなっていますね(もちろんフォワードの《ユウナ》が活躍する時期もあったので、それはまた別に取り上げます!)。

 

◆おわりに
『FFTCG』の「Chapter」最初期の思い出を振り返ってみましたが、いかがだったでしょうか。

「Chapter」の1つ1つを振り返っていると、1か月に1回記事を書いても1年以上かかってしまうため、次回からはいくつかのセットをまとめて振り返る予定です。

ぜひ、皆さんも当時の思い出などを思い起こしていただければと思います。

今週末、1月17日(日)には「オンラインファンフェア」が公式Discordサーバーとyoutubeで開催されます。

オンラインファンフェアについてはこちらをご覧ください。

『FFTCG』の公式Discordサーバーこちら
オンラインファンフェアのYoutubeの配信URLこちら

参加賞としてSNS上で使用できるアイコンがもらえたり、各種対戦イベント開発スタッフによる普段は聞けない裏話など、さまざまな催しが行われますので、ぜひ参加してみてください。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。