「EVOLVEの解説者として挑んだ2日間」”J-SPEED”原根健太氏インタビュー

10月22日(土)~23日(日)にかけてパシフィコ横浜にて開催された『Shadowverse EVOLVE』の公式大会「Grand Prix 2022 Autumn 横浜」。実に1,800名以上が参加したその会場で、フィーチャーマッチの解説者として奮闘する原根健太氏にお話を伺った。

原根 健太/Harane Kenta
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『マジック:ザ・ギャザリング』『遊戯王』『デュエル・マスターズ』『ディメンション・ゼロ』などで、輝かしい実績を持つ強豪プレイヤー。J-SPEEDの名でも知られている。『マジック』ではマジック・ライバルズ・リーグに所属しプロプレイヤーとしても活動中。10月22日(土)~23日(日)にかけて開催された「Shadowverse EVOLVE Grand Prix 2022 Autumn 横浜」では解説者として登壇し、会場・配信を盛り上げた。(配信アーカイヴはコチラから視聴できます)

────お疲れのところインタビューをお受けいただき、ありがとうございます!

原根:いえいえ、僕なんかでよければいくらでも聞いてください!


◆久々に感じたリアルイベントの熱量

────コロナ禍のなか久方ぶりの大型イベントの開催となりました。ご自身のことであったり、会場のお客さんのことであったり、本大会について率直なご感想をいただけますか。

原根:とにかく最高でしたね。自分も参加したいなと思いました。この感覚を忘れていたというか、本当に久々だったように思います。5月28日~29日に開催された『マジック』「日本選手権2022 -Tabletop Returns-」で2年ぶりくらいにアナログカードゲームをプレイしたのですが、そのイベントは招待制ということもあって規模は大きくなかったので、今回のような1,800人以上の人が参加してワイワイ遊んでいるこの雰囲気は本当に懐かしいなと思いました。僕はいわゆるグランプリイベントが好きで、この温度感を味わって改めて好きだなと感じましたね。

▲1,800人以上のプレイヤーが一同に介した予選スイスドロー1回戦。

────これぞカードゲームという雰囲気ですよね! ぜひ、いちユーザーとして参加してもらいたいです。

原根:そうですね。解説というお仕事を継続して任せていただけるかはわかりませんが、もし自分が出られるタイミングがあるなら出てみたいですね。

────原根さんご自身は様々なカードゲームでグランプリイベントに参加されていると思いますが、本日『Shadowverse EVOLVE』(以下、『EVOLVE』)のグランプリに参加してみて、プレイヤーの熱量はどう感じましたか? タイトルごとに違う雰囲気を感じたりしますか?

原根:雰囲気はこれまで自分が取り組んできたものと遜色ないですね。プレイヤーが真剣に取り組んでいて、そこにタイトルの違いというものは無いのかなと感じています。どのイベントでも熱量は変わらないと思います。


◆解説者としてのカードゲームとの付き合い方

────本大会には解説として参加されていますが、あまり『EVOLVE』をプレイをしている印象は持っていなかったのですが、結構遊ばれているんですか?

原根:タイミング的にはコラボパック「ウマ娘 プリティーダービー」から始めました。そこからは独自の資料なんかも作成しながら勉強して詰め込んできました。

原根:他のカードゲームでも解説を努めさせていただいたことがありますが、やはり自分がプレイしているからこそ持っているゲーム勘というものがあると思っています。実際に自分で大会に参加してみて、ユーザー視点での知見を広く取り入れることで、解説のポジションが務まるように努力しました。

────勉強のために実際に大会に参加されているんですね。

原根:そうですね。いわゆるガチ勢の調整会にも参加させていただいて、間近でゲームプレイを見せてもらったりもしました。

────“カードゲーム解説者”というのは、お仕事としては珍しい部類と思います。今回ご自身で資料を作ったとおっしゃっていましたが、解説の仕事をするにあたってのコツみたいなものはありますか?

原根:まずはユーザーとしてプレイするのは必須だと思っています。また、当然ですが解説という仕事の面では話せるようになっていることも必須です。格闘ゲームやFPS(First Parson Shooter)といった全然違う分野の実況なんかも参考にさせていただいていて、大衆に向けての言葉選びとか、どういう場面でどれくらいの話し口なら盛り上がるとか、どんな話を聞けたらおもしろいのかとか。見ていたら面白かったので単純にハマってしまったというのもあります(笑)。

原根:ガチで遊んでいる人が試合を観ておもしろいというのはあると思いますが、ライトに遊んでいる人でも、実況解説付きの試合をコンテンツとして楽しめるのは大事かなと思います。

────コロナ禍の影響もあり、「ゲームを見て楽しむ」という文化が形成・成長していると思います。そんななかでカードゲーム解説者として、今後カードゲームが格闘ゲームやFPSのように、見て楽しむ文化になれると思いますか?

原根:現状はかなり厳しいと感じています。実況として参加させていただいた経験のある『マジック』もその方向を目指していろいろな施策をうってきた背景があります。見るカードゲームが、格闘ゲームやFPSと一番違う部分として、“前提としての理解を求められる”ということが非常に大きいハードルであると感じています。しかも新商品の発売から少し離れてしまっていると一気にわからなくなってしまう。

原根:格闘ゲームやFPSであれば、キャラが違ったり武器が違ったりしても、基本的にやっていることは同じです。でもカードゲームではカードが変わるとやっていることが全然違ってしまう。2~3年ぶりにそのカードゲームの試合を見ても全然わからない。そうなると興味を持てなくなってしまう。この部分を解消することができれば可能性はあると思います。

原根:そこを埋められる可能性があるのが解説・実況の仕事だと思っています。具体的に何が起こっているかではなく、ざっくりとした概要ベースで、いまこんなやり取りが行なわれていると伝えられれば、少しは魅力を伝えられるのかなと思います。

────なるほど。やはり課題は多そうですね。

原根:プレイヤー業に専念していたこれまでは、注力できるように仕事をセーブしていたのですが、今は一区切りついてきたので、いろいろなことにトライして経験をつめたらいいなと思っています。

▲フィーチャーマッチの模様を解説する原根氏。的確な言葉選びで戦況をわかりやすく伝える。

────本大会では実況・解説ブースに登壇して、実際にお客さんの前で解説に挑んだわけですが、感触はいかがでしたか?

原根:個人的に大きな収穫は、まったくやったことのないものに対して、勉強をつんで臨んで挑んで、自分がどれくらいやれるのかがわかったことです。下手したら何もしゃべれないこともあるんじゃないかという怖さもあったのですが、実際にやってみたらそれなりに楽しめるなという感触が得られましたし、今後も続けていけるかなと感じました。

────プレイヤー以外の立場としての、カードゲームとの関わり方みたいなものが原根さんのなかで見えてきている感じなんですね。

原根:そうですね。でもプレイヤー外の立場とはいえ、全くプレイしないのは問題があると思っています。プレイもしつつそれを反映しながら、いい具合の付き合い方というか、程よい距離感で付き合っていけるかを探っている最中です。


◆日々の配信で培った伝達力

────原根さんは普段から配信もされていますが、配信をしていることが、解説やインタビューを受けるにあたって役立ったと感じることはありますか?

原根:それはもちろんあります。普段はもっとくだけた感じでダラダラとしゃべっていますが、そことの使い分けはありつつも“こんなことを言いたい・話したい”という思考は日常的にやっていったほうが、内容は整理されると思います。そもそも配信慣れしていない人がいきなり話すことは難しいので、話す内容や言葉選びの選択肢が多くなっていることは、普段の配信の影響が大きいと思います。

────原根さんは昔から言語化ということにこだわりがあるように感じますが、いかがですか?

原根:うーん……、途中でこだわっていることに気がついた感じでしょうか。言語化する意図は”誰かに何かを伝えたい”みたいな感じだと思います。記事や配信といったより多くの人に向けてというケースもありますが、もっと極小の単位で自分の考えや相手の考えを正確に伝達し合うためには、言語化というものが必要かなと思っています。自分ではこだわっているという自覚はないんですが、重要だなとは感じています。

────先日視聴者さんと一緒にデッキを考える配信をされていましたが、カードチョイスなどを視聴者に聞きながら、なぜそのカードを採用しないのかという話を具体的にされていたことが印象に残っています。あやふやにするのではなく、しっかりと向き合ってお答えしていて素晴らしいと思いました。

原根:気持ちというか熱量が無いと、そもそも質問をしてこないと思っていて、聞いてきた行為に対して答えたいという思いがありますね。逆に自分が質問したときに「なんとなく、特に理由はない」みたいに回答されると「うん?」と思ってしまいます。そこが自分は許せないので、少なくとも自分は真摯に回答したいなと思っています。

────貴重な機会ですしユーザーさんも嬉しいと思います。デッキを構築する上でも、しっかりと理由をもって採用することが大切ということですね。

原根:それこそがカードゲームの楽しみだと思っています。自分はこういうふうに思っているから、こうしてみて、その通りに動いたら楽しいよねと。


◆『EVOLVE』の魅力とはじめやすさ

────原根さんからみた『EVOLVE』のおもしろいところ、優れているところなどあれば、お聞かせください。

原根:まだ経験が浅いのですが、構築の意図を反映しやすいカードゲームだと思っています。PPが勝手に溜まっていくので動きの再現性が高いです。また、多色デッキみたいなものがないので、リーダー分けだったり、ウマ娘の限定構築だったり、カードプールが直感的にわかりやすいのは強みかなと思います。

原根:カードゲームにおいて始めやすさというのは重要だと思っているんです。そこのハードルが低ければ低いほど新規プレイヤーが増えてくれる。プレイヤーが多ければ多いほど楽しく遊べます。大会に行って10人しかいないよりは、「今日はこんなにいるんだ!?」ってなったほうが、気持ちも入りますしもっと遊びたいとなると思うので、人が多い=始めやすいというのは非常に重要だと思います。

────PPが自動的に増えていくことによる再現性というのは、その行動に意味があるかどうかは置いておいて、カードをプレイできないということがない、ということでしょうか。

原根:そうです。それは最悪の体験だと思っています。何にもできない、何にもさせないというのが、本当に一番ダメだと思っているので、そういうのは極力無いようにしたいですよね。どんなに面白いゲームでも、その面白さを体感するまでのハードルがあると、知らないまま終わってしまう可能性すらあるんです。

原根:僕はいろいろなゲームを遊んできましたが、『EVOLVE』は強いカードが光っていたりとか、見た目でわかる指針があるので、こういうわかりやすさは大事かなと思っています。

────レアリティによる見た目の違いだけでも一役買っているわけですね。

原根:このカードは使ったほうがいいのかなと、ある程度示してあげるのは大事だと思います。メーカーさんもそこに対しては真摯であれというか、ちゃんと強いカードがそういう扱いを受けていたらわかりやすいかなと思います。

────トップレアのカードは、かっこよかったり、光っていたり、そういうものも大事ですよね。

原根:例えば自分が気に入った動きをする、いわゆる環境トップのデッキのキーカードが、ドロドロのスライムなのか、めっちゃかっこいいドラゴンかっていうのは、やっぱり全然違うんですよ。

原根:実は幼いころにそれを痛感しているんです。当時売っていた『マジック』の「ウルザズ・サーガ」のパッケージが、《稲妻のドラゴン/Lightning Dragon》というすごくかっこいいドラゴンなんです。「このイラストかっこいい!」と思って買って開けてみたら、不気味なクリーチャーばかりでした(笑)。当時はグロいのが苦手だったので、ゲームを遊ぶところまでいけませんでした。こういったことも初動としては重要なのかなと思っています。

────たかが1パックですが、その第一印象で足が遠のいてしまったと……。

原根:子供なのでたくさんは買えませんしね。今にして思えば表紙のカードが一発で出るわけはないんですが(笑)。

────それでいうと、1パックを剥いたら必ず光るとか、そういった試みも大事なのでしょうか。

原根:すごく良いと思います。多少商品の単価が上がってしまうとしても、光っているだけで興味をひけますし、「強いのかな?」「どうやって使おうかな?」と工夫が生まれます。全部がノーマルとかよりはキッカケにもなりますし、良いかなと思います。

────これまでにたくさんのカードゲームに触れてらっしゃると思いますが、特に『EVOLVE』をオススメしたい、プレイヤーのタイプなどはありますか?

原根:自分であれこれ試すことが好きな人にはオススメだと思います。というのも、まだ黎明期ということもあって、なかなか情報が落ちていない。今はそういった指針がなくて、いろいろ新鮮な体験が溢れかえっています。その戦略が本当に強いのかどうかは試してみないとわからない、黎明期ならではの良さを体験できる状態だと思います。

原根:今回『EVOLVE』を勉強するにあたって、あまり情報を見ないでデッキを組むフェーズと、いろいろと参考にしながら組むフェーズに分けてやってみたのですが、自分が強いんじゃないかと思ったカードが実際に使われていると、嬉しかったりしますよね。今大会でいえば、CP01-055《ライスシャワー》に注目していましたが、実際には採用していないデッキリストもよく見られました。しかし、フィーチャーマッチで活躍する姿を見ることができて、すごく嬉しかったですね。

原根:『EVOLVE』は、カードそれぞれに役割が生じやすい、そういった味のあるカードがたくさんデザインされており、高水準でカードデザインがされていると感じています。今はカードの試しがいがある環境になっていますね。

────試行錯誤しながらプレイしたい人にはうってつけの環境ということですね。

原根:そう思います。カードゲームを始めたてのころは、勝てればなんでもいいぐらいの感じだったのですが、年々と思考に変化が生じてきて、自分で考えたことが実践できたほうに面白さを感じるようになってきましたね。

────最後の質問となりますが、これから『EVOLVE』を遊んでみたいという人に向けて、オススメポイントを教えてください。

原根:ゲーム性については語らせていただきましたが、カードが手に入りやすいというのも大きいポイントです。さらに、このグランプリのように実際にプレイできる機会が継続的に用意されているのはうれしいですよね。そのカードゲームが好きな人が集まっているので、好きなクラスなどの共通な話題で仲間も見つけやすいのかなと思います。こういったイベントこそがアナログカードゲームで僕が一番魅力に感じているところです。

原根:『EVOLVE』は、ゲーム性だったり入手のしやすさも合わせてのとっつきやすさが武器だと思っています。実際に遊び始めれば大会がたくさん開催されていますので、そこに飛び込んで、仲間を増やして、カードゲームを楽しんでもらえたらと思います。

────貴重なお話ありがとうございました。

原根:ありがとうございました。