【コラム】TLAをCROしてCGMがWOM! #2 ~ETBって何の略?~

こんにちは。編集(川)です。

身の回りでもよく目にするTCGやNHK、RPGといったアルファベット3文字の略語
これらは「TLA(Three-Letter Acronim)」と呼ばれます。


アルファベット3文字、つまりAAAからZZZまで26×26×26で17,576通り考えられるこのTLAを毎回1つ取り上げて、それが持つさまざまな意味をゆるーく紹介、解説していくコラム「TLAをCROしてCGMがWOM!」の第2回をお届けします。

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#1 ~TCGって何の略?~

 


第2回:ETB

第2回となる今回は「ETB」を紹介します。

ETBはカードゲームでは主に『マジック・ザ・ギャザリング』で使われる用語の1つで、「Enter the Battlefield」の略です。
日本語にすると「戦場に出たとき」となります(昔は「CiP=Comes into Play、場に出たとき」でしたね!)。

タイトルによって細かな用語の違いはあれど、多くのカードゲームでこの「出たときに何かする」能力は基本かつ、効果しだいでは強力なものとして扱われているかと思います。
ゲームのルールによって異なる部分はありますが「出たときに仕事するから強い」というのは、多くのタイトルで概ね共通したカード評価法なのではないでしょうか。

逆に「出たとき能力」を持たないカードで活躍するものは、ほかに結構とんでもない能力を持っていることが多く「出して、ターンが返ってきたら勝ち」なんて評価をもらっていることが多いと感じます。
使いやすいのは「出たときに強い」ですが、真価を発揮したときのバリューは「残ったら強い」の方が高いというふうに、この2つの能力はとてもおもしろいバランスの上にあるな、といろいろなカードゲームの(主に最高レアリティの)カードを見るたびに思います。


さて、そんな「ETB」ですが、もちろんほかにもいくつかの意味を持っています。

まずは通貨コード。JPY(日本円)やUSD(米ドル)などのことですね。世界各国の通貨はこの通貨コードで表されます。おそらく、この連載が続けばたくさん見ることになるでしょう。TLAの代表例だと思います。

では、ETBはどこの国の通貨だと思いますか?
「JPY」が「日本円」であるように、ETの部分が国名でBが通貨の名前です。
シンキングタイム代わりに正解の国の国旗も置いておきますね。

正解はエチオピアで、ETBはこの国の通貨「ブル(Ethipian Birr)」です。

2021年4月現在、1ブルは2.59円。調べてみたら2012年は1ブル4.7円、2019年は1ブル3.8円といった記述がありました。
2007年の4月のデータでは1ブル13円ほどだったようなので、ここ10数年で結構急速に下落していることになります。その一方でエチオピアは経済成長が著しいと書いてあることもあり、いったい何があったんだろうかと気になりますね。

恥ずかしい話ですが、私はこのエチオピアという国を「アフリカのどこか」くらいでしか知りませんでした。なので、ついでにエチオピアについてもう少し調べてみたら、いろいろおもしろかったので紹介したいと思います。

まずエチオピアの首都アディスアベバ。響きがいいですね。口に出して読みたい。アディスアベバ
このアディスアベバは標高2,200メートルくらいの地点にあるらしく、日本でいえば北海道の大雪山(2,291メートル)に近いようです。相当高いところにありますね。アディスアベバの平均気温は年間を通じて16℃程度ということなので、これがアフリカと言われるとちょっと意外ですが結構涼しい国のようです。

そしてエチオピアの特産はというと、これもちょっと意外だったのですが「花」特に薔薇の栽培・輸出が盛んなのだそうです。そもそも首都のアディスアベバが現地のアムハラ語で「新しい花」という意味なんだとか。このコラムを始めたおかげで無限に新しい知識が仕入れられます。


そしてETB、ブルに関係するところだとブルの補助単位(円に対する銭、ドルに対するセントなどのこと)はサンチーム
アニメ『ガールズ&パンツァー』シリーズが放映されていたときは、よくSNS(これもTLAだ!)上で自分の名前の末尾に とつけている人を見ましたが、ってこれのことだったんですね。

…このままだとETBではなく、果てしなくエチオピアについての話になってしまうのでETBに話を戻しましょう。

続いてのETBは「接岸予定時刻(Estimated Time of Berth)」
簡単に言えば船がいつ着くかを指す、貿易関係などで使われる用語なのですが、似た言葉に「ETA(Estimated Time of Arrival)」という言葉もあります。これは「船がいつ港に入るか」を指す言葉で、つまり同じ「船が着く」でも「いつ港に入るか(ETA)」、「いつ接岸するか(ETB)」で細かな区別があるわけなんですね。

確かに、大きな船であれば港に入ってからも接岸して停船するまで何十分もかかることもありそうですから、一般的な旅客には関係なくても港で働く人には重要な区別となるのでしょう。さらには「ETC(Estimated Time of Completion)=荷役終了時刻」というものもあり、これは船からの荷物の積み下ろしなどが終わる時刻ですね。


たまたまなのだとは思いますが「ETA(入港)」→「ETB(接岸)」→「ETC(荷物の積み下ろし)」と、時系列に沿ってアルファベット順に並んでいるところにはある種の優しさを感じなくもありません。覚えやすくていいですね。

またETBのB、「Berth」をなかなか聞き慣れない単語です。自動詞/他動詞としては共に「停泊する/停泊させる」という意味なのですが、名詞としては「接岸するための場所」という意味以外にも「積み下ろしをする場所(日本語でもそういう場所のことをバースと言うそうです)」、さらには「船員の仕事」そのもののことも指すため、船や荷役に関する言葉としてはかなり由緒あるものなのではないでしょうか。調べてみたら「Bear(持ち運ぶをはじめ、これも非常に多くの意味を持つ言葉ですね)」から来ているのではないかという予想が出てきましたが、なかなか納得感がありますね。


というわけで「TLAをCROしてCGMがWOM!」第2回をお届けしました。
相変わらず、話の半分くらいは脇道に逸れていましたが、これからもこんなふうに1つのTLAを取り上げるゆるい生地をお届けしていきますので、よろしければ次回もまたお付き合いいただければと思います。

それでは、また。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。