【FFTCG】前人未到の国内大会三連覇で名人位に就任! ~第六期名人位決定戦優勝者インタビュー~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回は「第六期名人位決定戦」で優勝し、名人位を連覇したeurekaさんのインタビューをお届けします。

◆はじめに
皆さん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。 

 2月22日(土)、東京のスクウェア・エニックス渋谷オフィスで「第六期名人位決定戦」が開催されました。

決勝は第三期“FFTCG名人”しどさんの「土水カオスアーク」と第五期“FFTCG名人”eurekaさんの「水雷モンスター」による一騎打ち。どちらが勝っても2度目となる“FFTCG名人”の称号を獲得する対戦となり、激戦を制したeurekaさんが防衛するかたちで第六期“FFTCG名人”の座につきました。 

今回はeurekaさんにインタビューを行ない、「第六期名人位決定戦」優勝の喜びと、eurekaさんを優勝に導いた「水雷モンスター」についてお話をうかがいました。  

  


◆前人未到! 国内3連覇の高みへ昇り詰めた第六期“FFTCG名人”eurekaさんへインタビュー

――「第六期名人位決定戦」、優勝おめでとうございます。“名人位”の防衛かつ、昨年の「MASTERS 2024 FINAL」も合わせて公式トーナメントの決勝大会三連覇というのは他の追随を許さない、まさに偉業と言える結果だと思います。

eureka:ありがとうございます。今回の優勝を含め、この一年で自分が出せた成果は自分の成長を感じさせてくれるものばかりなのですなおにうれしく思います。

――その実力を発揮された今大会でeurekaさんが選択されたデッキは「水雷モンスター」でした。「世界選手権 2024」から「第六期 名人戦」の地区予選にかけて頭角を現してきたデッキでしたが、今回eurekaさんがこのデッキを使うに至った経緯を教えてください。  


デッキリスト :
「水雷モンスター」(「第六期名人位決定戦」優勝 フォーマット:スタンダード)  

【メインデッキ】
フォワード(13枚)
【11-124H】 《リルム》 3
【21-102L】 《ガウ》 1
【23-104H】 《湿地の魔女》 3
【22-098H】 《セイレーン[V]》 1
【16-124H】 《ライトニング》 2
【18-126L】 《ライトニング》 3
バックアップ(14枚)
【4-138R】 《メルウィブ》 3
【13-093R】 《サラ》 1
【15-116C】 《ヒルダ》 1
【20-123C】 《レポリット》 1
【21-119H】 《レナ》 3
【20-105C】 《リーブ》 3
【4-103R】 《ガリークランのシド》 1
【21-085H】 《ガストラ皇帝》 1
召喚獣(8枚)
【14-113R】 《リヴァイアサン》 3
【8-094C/1-124R】 《オーディン》 2
【23-080R】 《オーディン》 3
モンスター(15枚)
【4-125C】 《クリオネ》 2
【15-118C】 《ブルードラゴン》 3
【23-096C】 《アプカルル》 3
【24-105R】 《モルボル》 3
【15-091C】 《サンダードレイク》 1
【22-085C】 《モススラッシャー》 3
【LBデッキ】
フォワード(8枚)
【23-129H】 《ルナフレーナ》 2
【22-122L】 《ティーダ》 1
【22-123C】 《レオ》 1
【23-127R】 《ニックス》 1
【22-120H】 《クラウド》 1
【24-119R】 《ギルガメッシュ》 1
【24-125H】 《トンベリ&サボテンダー》 1


eureka:自分が「水雷モンスター」に興味を持ったのはKP(
「世界選手権 2024」で準優勝したアメリカのプレイヤー)が自国のトーナメントで使用し優勝したのを見たことがきっかけでした。元々モンスターを軸としたデッキには「水単」や「火水」というパターンが存在していましたが、これらのデッキが持つ課題をしっかりと解決できている「水雷モンスター」というデッキが非常に魅力的に感じたため、自分でも触って調整してみようと思いました。  

――具体的に「水単モンスター」や「火水モンスター」にはどういった課題があったのでしょう?  

eureka:一言で言ってしまえばそれぞれのデッキに明確な天敵が存在するということです。例えば「水単モンスター」は対「火風土水【光の戦士】」との相性が悪いですし、逆に「火水モンスター」は「カオスコンボ」などアグロデッキを苦手としています。  

そして実はこの課題は「火風土水【光の戦士】」や「カオスコンボ」、「土水カオスアーク」といった環境を代表するデッキにも存在しています。つまりそれぞれのデッキに明確な天敵が存在するというのは「秘められた伝説」のスタンダード環境そのものの特徴とも言えるわけです。  

しかし「水雷モンスター」はこの共通点に当てはまらないデッキであり、このことこそがデッキの強みだと感じました。  

――つまり環境に存在する仮想敵すべてに対してやれると評価してこのデッキを選択したと。  

eureka:そのとおりです。  

――実際のところ「水雷モンスター」はどういったデッキなのでしょう?  

eureka:このデッキの基本的なイメージは【11-124H】《リルム》からフォワード化できるモンスターの展開を軸としたアグロ〜ミッドレンジデッキです。ゲーム序盤はバックアップを置きつつ【11-124H】《リルム》をキャストし、【22-085C】《モススラッシャー》を展開し打点を確保していくことをセオリーとしています。 

 これまでモンスターを対策する手段と言えばブレイクすることが主流であったなか、ブレイクされたときに後続をサーチできる【22-085C】《モススラッシャー》はその点において画期的なモンスターであり、このカードを使えることが他のモンスターデッキにはない「水雷モンスター」のメリットの1つでした。 

また従来のモンスターデッキと比べ「水雷モンスター」はモンスターそのものをフィールドに残す必要性が薄いことも特徴で、これにより【23-104H】《湿地の魔女》のバリューをより高く発揮できます。

なかでも【24-105R】《モルボル》は非常に強力で、【23-104H】《湿地の魔女》とセットで使うことで簡単に相手のフィールドを壊滅できます。「火風土水【光の戦士】」とのマッチアップでは一度フォワードが除去され切り返されても、さらにその返し手として有効に機能します。 

また【4-125C】《クリオネ》もこのデッキならではの強力なモンスターです。

「水雷モンスター」はリーサルプランに【18-126L】《ライトニング》を採用しているため相手の【9-068H】《ドラゴン》への対策が必須だったり、対「火風土水【光の戦士】」では相手がこちらの構えた【23-104H】《湿地の魔女》に対して【9-114C】《不浄王キュクレイン》からアクションに入ってくるため、こうしたシチュエーションに対して有効な【4-125C】《クリオネ》は従来のデッキにおける相手のアクションに対してのカウンターの役割を果たすカードとして優秀です。

多くのデッキはカウンターカードに【12-002H】《アマテラス》や【9-068H】《ドラゴン》【9-114C】《不浄王キュクレイン》を採用しますが、「水雷モンスター」で採用している召喚獣は基本的にEXバーストを期待して採用しているものが多く、キャストしたい場合も【23-104H】《湿地の魔女》で能動的に退けることができるため、これらのカードに頼ることなく【4-125C】《クリオネ》を採用できるというのも強力なポイントです。  


【23-096C】《アプカルル》や【15-118C】《ブルードラゴン》といった基本的なモンスターに加え、これらの強力なモンスターを採用できるのが他のモンスターデッキにはない強みと言えると思います。  

――【15-091C】《サンダードレイク》は除去の範囲がピンポイントなカードですが、これは具体的に何を想定して採用されたのでしょう? 

eureka:【15-091C】《サンダードレイク》は「カオスコンボ」の【22-084C】《風神》【22-087C】《雷神》や「火氷水【騎士】」の【16-042R】《ラスウェル》などアグロデッキへの対策カードとして採用しています。


基本的にコスト2のフォワードが除去できるカードであれば【21-091C】《黒騎士》や【17-110C】《クゥダフ》でもよいのですが、この大会ではフィールドに出たあとにブロッカーとして運用したいという思いから【15-091C】《サンダードレイク》を採用しました。これら3種のモンスターに関してはそれぞれにメリットがあるため、何を想定するかで正解がわかれるスロットだと思います。

――リーサルプランとして【18-126L】《ライトニング》を採用されているとのことですが、【16-124H】《ライトニング》まで採用されているところを見ると勝ち筋としてはかなり重要視しているようですね。  

eureka:「水雷モンスター」は「カオスコンボ」や「火氷水【騎士】」のように急速にフォワードが並ぶデッキではないので、【18-126L】《ライトニング》のように打点を形成しやすいフォワードは重要です。  

【23-104H】《湿地の魔女》で自主的に【18-126L】《ライトニング》をブレイクゾーンに送りながら連続攻撃する小技などもあり発展性のある点も魅力です。これ自体は「第六期名人位決定戦」で披露することはなかったのですが、直前に行われた「第六期 名人戦」の東京地区予選ではこのプレイで勝つ試合もあったほどには活かす機会の多いテクニックです。 

また【18-126L】《ライトニング》を生かすために採用している【16-124H】《ライトニング》は防戦に回るアグロ対面などで使う機会も多いです。このパッケージを採用しているデッキはこれまでもありましたが、この「水雷モンスター」は特にギミックとの相性がよいと思います。 

――異色さでいうと【22-098H】《セイレーン[V]》も目を引く1枚です。このカードは「土水カオスアーク」などで採用されることも多いことからコントロール適正の高いカードという印象でした。  

eureka:元々参考にしていたKPのリストでは【18-137S】《アラネア》と【4-110R】《ブルメシア王》を採用しEXバーストの比率を高めた構築になっていました。海外のトーナメントは日本とはメタゲームがやや異なりアグロデッキに対してガードが高い印象があったので、このスロットを調整することでデッキの対応力を高くしたいと考えました。 

この調整はバッチリとハマったと思っています。実際この変更によって、それまで感じていた課題をクリアできたと思えた瞬間は多かったです。例えば対「水単モンスター」で【18-100L】《レナ》からの【14-102L】《海神リヴァイアサン》で形勢を逆転されてしまいかねない局面を【22-098H】《セイレーン[V]》が防いでくれたときなどはこのカードを採用していてよかったと感じさせてくれました。  

――【22-098H】《セイレーン[V]》の採用に合わせて【18-137S】《アラネア》とセットで採用されていた【4-110R】《ブルメシア王》のスロットには変化はありましたか?  

eureka:【4-110R】《ブルメシア王》の採用を見送ったことで、そのサーチ元として採用していた【13-093R】《サラ》の枚数も削り1枚採用とし、その分【15-116C】《ヒルダ》や【20-123C】《レポリット》といったバリューの高いバックアップを採用できるようになりました。サーチ先となるカードをデッキに戻せる独自性を買って採用した【20-123C】《レポリット》でしたが、アグロ対面を意識する場合には【21-109C】《占星術師》を採用してもよいでしょうし、カスタマイズの効くスロットだと考えています。 


――バックアップ全体で見ると雷族性は少なめの尖った構築になりましたね。  

eureka: コスト1のカードが水属性にしかないため、バックアップに関しては基本的に水属性が多く置かれている状況が好ましく、逆に雷属性は【18-126L】《ライトニング》などを使うために1枚あれば十分だと判断しこうした構築に落ち着きました。

――LBデッキは「水雷」というカラーらしく非常に強力なカードでまとまっている印象です。

eureka:そうですね。水属性には【23-129H】《ルナフレーナ》や【22-122L】《ティーダ》、【22-123C】《レオ》といった強力なLBがそろっていますし、雷属性にも【22-120H】《クラウド》のような汎用性の高いカードがあります。また【23-127R】《ニックス》は【23-104H】《湿地の魔女》・【22-085C】《モススラッシャー》とのセットで使うと1コストでパワー9000という破格のスペックで運用できる、このデッキならではのポテンシャルを発揮できるカードです。 

基本的にもっとも使用頻度の高い【23-129H】《ルナフレーナ》を2枚採用しつつ、残りは仮想敵に合わせたカスタマイズもできるので、ここも好みがわかれるところなのかなと思っています。  

――要所でカスタマイズできる自由度を残しつつ、しっかりeurekaさん仕様に仕上げられているいいデッキですね。大会当日を振り返ってみても、満足のいく仕上がりになっていたのではないでしょうか?  

eureka:はい。ただ振り返ってみると大会で対戦したデッキには、もう1つの候補として考えていた「風単」のほうが相性がよかったと思います。  

――eurekaさんといえば「風単」のイメージも強いですが、今回も候補に挙げられていたんですね。  

eureka:はい。大会の1週間前にチームメンバーからも「風単」のほうがいいんじゃないかという話を受けていて、X(旧Twitter)で取ったアンケートでも「風単」がいいという意見が多かったです。ですが、結果的に「水雷モンスター」を使い優勝できたことで、自分は特定のデッキに縛られず『FFTCG』のデッキが扱えるように成長していると確認することができてよかったと思います。  

――確かに昨年から「氷水グリーヴァ」や「火氷水【騎士】」を使われるまでは、「風単」や「水風」といったコントロール色の強いデッキを使用する印象の強いプレイヤーでしたよね。こうした使用するデッキの変化がこの1年の躍進に関係していたりするのでしょうか?  

eureka:客観的にどう評価されているかはわかりませんが、自分の意識で大きく変わったのはただセオリーに従ってプレイするだけでなく、相手にされて嫌なことや逆に相手がされたら嫌だろうなということを意識できるようになってから自分の成績は伸び始めたと思っています 

具体的に感じたのは「火氷水【騎士】」を使い始めてからですね。元々自分はデッキビルダーだという自負を持ってカードゲームに取り組んできたため、デッキの動きの根幹であるセオリーを意識してプレイしていましたが、カードゲームは運や相手の思惑が絡むゲームなので当然セオリーどおりにことが運ばないことも多く、それを前提として受け入れてゲームに取り組むことで、セオリーから逸脱したときのベストプレイはなんだろうと考えながらプレイするようになって今のように結果が出せるようになったと思います 

もちろんセオリーを軽視していいというわけではないですが、セオリーを基礎としつつそこからいかに11つのプレイを大事にできるかが重要だと今は考えています。  

――いまプレイで伸び悩んでいるプレイヤーにとっても成長のヒントになるかもしれない考え方ですね。さて、あらためて国内での公式トーナメントの決勝大会を三連覇という快挙を成し遂げたわけですが、そんなeurekaさんから一言いただいてもよろしいですか?  

eureka:正直これまでの成績はできすぎていると思いますが、これ以上連勝すると記録を止めることはできなくなってしまうと思うので、そうですね……  

かかってこいよ!

――ありがとうございます。2025年は全プレイヤーに追われる立場として活躍を期待しています(笑)。  

 


◆終わりに
今回は「第六期名人位決定戦」で優勝を果たし、二期連続となる“FFTCG名人”の座についたeurekaさんにインタビューを行いました。  

今回でeurekaさんは「第五期名人位決定戦」「MASTERS 2024 FIINAL」に続いての決勝大会優勝という快挙を成し遂げたことになりますが、この勢いがどこまで続くのか今後も注目が集まることでしょう。  

4月から始まる「MASTERS 2025」での活躍にも期待がかかります。 

それでは、今回の記事はここまで。また次回の記事でお会いしましょう!