【FFTCG】スタンダードシーズン到来!「秘められた試練」環境の有力デッキタイプをチェック!

「FINAL FANTASY TRADING CARD GAME」の公式記事連載。今週は海外のトーナメント結果をもとに「秘められた試練」のスタンダード環境を考察します。

◆はじめに
皆さん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

先日、名古屋にて「L3 Championship 2024」が開催されました。 
新たな日本代表プレイヤーが選ばれる「秘められた試練」環境の大きな節目となるトーナメントで、多くのプレイヤーと注目が集まりました。 

そしてその「L3 Championship 2024」を勝ち抜き、日本代表の座に就いたのはひれひれ(∵)さんとやぶさんさんの2名でした。
どちらも国内有数の強豪プレイヤーで、まさに納得の結果だったと思います。お二方、おめでとうございます! 

こちらの大会の様子は今後インタビューを通じて、みなさんにお届けしたいと思います。

さて、今回はこれまで重点的にお届けしてきたL3構築の記事からスタンダードに舞台を変え、これからのスタンダードシーズンに向けた記事をお届けしたいと思います。
今シーズンは僕を含め、スタンダード環境はまだそれほど……というプレイヤーも多いと思いますので、まずは環境の予習として海外で開催されている大型トーナメント「Materia Cup」の上位入賞デッキを参考に「秘められた試練」のスタンダード環境の動向をチェックしていこうと思います。

それでは、さっそく始めていきましょう。

 


◆海外のトレンドウォッチ!「秘められた試練」のスタンダード環境の動向は?
「秘められた試練」登場以降、国内の『FFTCG』のトーナメントシーンはL3構築が中心でしたが、その間も海外ではスタンダードの研究が進んできました。
まずは一体どんなデッキが活躍しているのかを知るために、「Materia Cup」の上位入賞デッキをチェックしていきましょう。

●「Materia Cup Portland」(アメリカ・オレゴン州ポートランド)
1位:「土単」
2位:「土水カオスアーク」
ベスト4:「火水【戦士】」
ベスト4:「カオスコンボ」
ベスト8:「火水【戦士】」
ベスト8:「水雷【VIII】」
ベスト8:「水単モンスター」
ベスト8:「火氷水【騎士】」

●「Materia Cup London」(イギリス・ロンドン)
1位:「水単モンスター」
2位:「火風土水【光の戦士】」
ベスト4:「氷単」
ベスト4:「火水【戦士】」
ベスト8:「火水【戦士】」
ベスト8:「水雷【暁の血盟】」
ベスト8:「土単」
ベスト8:「土単」

●「Materia Cup Raleigh, North Carolina」(アメリカ・ノースカロライナ州ローリー)
1位:「土単」
2位:「火単マギサ」
ベスト4:「火風土水【光の戦士】」
ベスト4:「カオスコンボ」
ベスト8:「土単」
ベスト8:「火風土水【光の戦士】」
ベスト8:「風氷キャスト」
ベスト8:「水単モンスター」

●「Materia Cup Zoetermeer」(オランダ・ズーテルメール)
※2デッキ制
1位:「土単」+「水単モンスター」
2位: 「火水【戦士】」+「土単」
ベスト4:「氷雷」+「水単モンスター」
ベスト4:「火風土水【光の戦士】」+「水単モンスター」
ベスト8:「風単キャスト」+「土単」
ベスト8:「火氷水【騎士】」+「火雷【暁の血盟+XIII】」
ベスト8:「火風土水【光の戦士】」+「【古代人】コンボ」
ベスト8:「水雷【暁の血盟】」+「火単」

●「Materia Cup Adelaide」(オーストラリア・アデレード)
1位:「火風土水【光の戦士】」
2位:「風土水モンスター」
ベスト4:「土単」
ベスト4:「カオスコンボ」
ベスト8:「風水クリスタル」
ベスト8:「火水【戦士】」
ベスト8:「カオスコンボ」
ベスト8:「土単」

●「Materia Cup Singapore」(シンガポール)
1位:「土単」
2位:「氷単」
ベスト4:「火氷水【騎士】」
ベスト4:「火水【戦士】」
ベスト8:「土水ウネ」
ベスト8:「火風土水【光の戦士】」
ベスト8:「火風土水【光の戦士】」
ベスト8:「火風土水【光の戦士】」

●「Materia Cup Thailand」(タイ)
1位:「火氷水【騎士】」
2位:「水単モンスター」
ベスト4:「土単」
ベスト4:「水単レオ」
ベスト8:「水単クリスタル」
ベスト8:「カオスコンボ」
ベスト8:「カオスコンボ」
ベスト8:「水雷【暁の血盟】」

●「Materia Cup Germany」(ドイツ)
1位:「土単」
2位:「火風土水【光の戦士】」
ベスト4:「火氷水【騎士】」
ベスト4:「火風土水【光の戦士】」
ベスト8:「火単マギサ」
ベスト8:「火風土水【光の戦士】」
ベスト8:「土単」
ベスト8:「水雷モンスター」

●「Materia Cup Malaysia」(マレーシア)
1位:「火氷水【騎士】」
2位:「カオスコンボ」
ベスト4:「水単モンスター」
ベスト4:「火氷水【騎士】」
ベスト8:「水単モンスター」
ベスト8:「水雷【VIII】」
ベスト8:「カオスコンボ」
ベスト8:「火風土水【光の戦士】」

これらをデッキタイプごとに集計するとこうなります。

「土単」:14
「火風土水【光の戦士】」:13
「水単モンスター」:9
「カオスコンボ」:8
「火氷水【騎士】」:7
「火水【戦士】」:7
「水雷【暁の血盟】」:3
「水雷【VIII】」:2
「火単マギサ」:2
「氷単」:2
「土水カオスアーク」:1
「土水ウネ」:1
「風氷キャスト」:1
「風単キャスト」:1
「【古代人】コンボ」:1
「氷雷」:1
「火雷【暁の血盟+XIII】」:1
「火単」:1
「水単レオ」:1
「水単クリスタル」:1
「風土水モンスター」:1 
「水雷モンスター」:1

次に、このうち優勝しているのは以下のデッキです。

「土単」:5回
「水単モンスター」:2回
「火氷水【騎士】」:2回
「火風土水【光の戦士】」:1回 

※「Materia Cup Zoetermeer」は2デッキ制のため「土単」と「水単モンスター」をどちらも数えています。

入賞数でも優勝数でも「土単」が頭ひとつ抜ける結果となっています。
「土単」はバックアップの展開力に長ける単属性デッキの長所を持ちながら、【6-084L】《レオ》の存在により【19-128L】《ウォーリアオブライト》や【22-122L】《ティーダ》といったさまざまな属性の強力なフォワードを採用できるデッキで、ここ最近活躍を続けています。


前環境では【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》のコンボを採用した構築が主流でしたが、「秘められた試練」環境では「火氷水【騎士】」や「カオスコンボ」といった高速デッキに対抗すべく【14-113R】《リヴァイアサン》などのEXバーストを採用する構築が見られるようになりました。なかには【23-011L】《ティナ》+【12-002H】《アマテラス》といったカウンター要素にフォーカスした構築もあり、さらなる開拓が進んでいるようです。

それに次いで人気を集めているのは「火風土水【光の戦士】」です。

「火風土水【光の戦士】」は優勝数では「土単」ほど圧倒的ではないものの、「土単」と同様に多属性デッキの強みを活かして豊富なフィニッシャーや強力なEXバーストを採用しているデッキで方向性的にはかなり近く、現在のトレンドに沿う結果が出ていると言えるでしょう。2つのデッキを合わせた入賞数は27で、全体の3割を超えるアベレージの高さを誇ります。


バックアップの展開力では「土単」よりやや面で劣るものの、【12-002
H】《アマテラス》・【9-068H】《ドラゴン》・【9-114C】《不浄王キュクレイン》という「カウンター三種の神器」による対応力の高さが魅力のデッキです。構築のパターンは【22-049H】《バッツ》の採用不採用により大きく2つに分かれていますが、これはデッキパワーと安定性を天秤にかけてどちらを重視するかというプレイヤーのスタイルによって決まってくるところでしょう。


この2デッキに追随する形で勢力を伸ばしているのが「水単モンスター」です。

「秘められた試練」では新たなキーカードである【23-104H】《湿地の魔女》に加え【23-096C】《アプカルル》のような脇を固めるモンスターも追加され、大きく強化されたアーキタイプと言えます。これらのカードは「水単モンスター」以外にも「水雷モンスター」「風土水モンスター」で採用され上位に名を連ねていることから、非常に強力なパッケージであることが推し量れます。

単純なカードパワーはもちろん、【23-104H】《湿地の魔女》で能動的にブレイクゾーンを肥やしやすくなったことで、【18-108L】《レナ》+【14-102L】《海神リヴァイアサン》のコンボまで採用されているのも特徴です。

さらに特徴的な点として、モンスターデッキでありながら召喚獣も多めに採用されており、EXバーストによって「火氷水【騎士】」や「カオスコンボ」に対してしっかりガードを上げている構築が見られることです。モンスターと召喚獣のどちらにもアクセスできる【10-127H】《シトラ》も採用されており、過去に注目されたギミックがリバイバルされているという点でも、懐かしくも新しい「水単」といった印象を受けますね。


先ほどからちらちら名前が出ていた「カオスコンボ」は、「秘められた試練」の新カード
【23-117L】《カオス》を主役としたまったく新しいデッキタイプです。

【23-117L】《カオス》は自身のオートアビリティに合わせてスペシャルアビリティ「フレアー」を使用することでブレイクゾーンを肥やし、1ターン目から相手に手札を2枚捨てさせつつ1ダメージを与えるという自己完結したコンボを内蔵するフォワードです。


また、デッキを大量にブレイクゾーンへ送れるため【22-087R】《雷神》・【22-084R】《風神》と相性がよく、
【14-023L】《ギルガメッシュ [FFBE]》も運用しやすいなど、アグロ性能に特化した強みを持つコンボデッキです。


環境初期からマークされていたことですでに対抗策を備えていたデッキが多く、現時点で優勝という結果こそ残していないものの、対抗馬となる「土単」や「火風土水【光の戦士】」といったデッキが活躍していることからもその影響力の大きさがうかがえます。

そして影響力の大きさという点では、前環境から猛威を振るっている「火氷水【騎士】」も、「カオスコンボ」に次ぐ入賞率の高さで引き続き環境入りを果たしています。


前環境では、環境の速度を定義するデッキとして圧倒的な使用率の高さを誇るデッキでしたが、「秘められた試練」環境では同じく速度を定義する「カオスコンボ」の存在と、高速デッキに対抗するカウンターデッキの台頭により入賞率はやや落ち着いている印象です。それでも「Materia Cup Thailand」「Materia Cup Malaysia」の2大会で優勝を果たすなど、そのポテンシャルは折り紙付きです。

構築面ではLBカードの【23-128R】《ベアトリクス》が追加されたことで、【16-042R】《ラスウェル》や【22-006H】《ガーランド》といった、【ジョブ(騎士)】がフィールドに出ることでオートアビリティを誘発させるカードの使用感が一段階向上した印象を受けます。


「カオスコンボ」「火氷水【騎士】」などゲームレンジが高速域のデッキの対抗馬として勢力が拡大していると思われるのが、豊富なEXバーストを擁する「火水【戦士】」です。入賞数は「火氷水【騎士】」と並んで
5番手に位置しています。

EXバーストを多用するデッキは「秘められた試練」で追加された【23-129H】《ルナフレーナ》によって能動的なEXバーストの使用が可能になり、今環境ではかなり注目されていたと思いますが、「土単」や「火風土水【光の戦士】」のような純粋なデッキパワーが高いデッキに対してはやや不利な印象を持つため、今後のメタゲーム次第でポジションが大きく変わることでしょう。メタゲームに左右されやすいという点では、このデッキの活躍が環境の指標になると言えます。


ここまで紹介した「土単」「火風土水【光の戦士】」「カオスコンボ」「火氷水【騎士】」「火水【戦士】」の5デッキは、
1つのトーナメントで複数人が入賞していることも多く、明確に「秘められた試練」環境のトップ層に食い込んでいるデッキタイプと言えるでしょう。

ではトップ層以外ではどういったデッキが活躍しているのでしょうか?

まず目を引かれるのが「水雷」です。

この組み合わせは主軸となるカテゴリや特定のカードの採用で構築分類を個別にカウントしていますが、合計した場合トップ層に次ぐ入賞数を持ちます。強力なEXバーストを採用することで「カオスコンボ」や「火氷水【騎士】」へ対抗しようという共通のアプローチが見られることからも、デッキのコンセプトは現在のトレンドに沿ったものであると考えられます。

入賞数こそ多くないものの「土水」も前環境から引き続き活躍を見せているデッキです。
前環境では【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》コンボの就職先として地位を確立していたデッキでしたが、現在は【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》を採用しない構築の入賞も見られます。この傾向は「土単」にも見られるので、現在の環境は【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》が以前ほど有効でないことが読み取れます

こうした環境のトレンドは「火単」や「氷単」など単属性デッキの活躍からも裏付けられています。

「火単」にはいわゆるマギサ型とコントロール型が存在しますが、環境的には【12-017H】《マギサ》の展開力とEXバーストによる受けを両立するマギサ型がマッチしている印象を受けます。一方で、コントロール型の「火単」は2デッキ制のトーナメントで成績を残していることから、有効な対抗策である【9-068H】《ドラゴン》が数を減らす環境下ではかなりの活躍が見込まれるのではないかと考えることもできます。

「氷単」は「Standard Championship 2024」で活躍したアグロタイプの構築ではなく、バックアップの展開を前提としたコントロール型の構築が勝ち上がっているようです。
「秘められた希望」で【22-024L】《クラサメ》、「秘められた試練」で【23-121L】《ケットシー》と明確なフィニッシャーが登場しており、デッキパワーが追い付いてきたのかなという印象です。


これらのデッキについてはまだまだ考察が追い付いていないため、あくまで机上での考察も多く挟まっていますが、現在の入賞数からも現環境に通じるだけの十分なポテンシャルを秘めたデッキと言えるでしょう。

 


◆まとめ
最後に今回の考察をまとめていきたいと思います。

まず現在の環境ですが、デッキコンセプトを通すデッキとそれを妨害するデッキという勢力におよそ二分されていると考えられます。

具体的には「カオスコンボ」や「火氷水【騎士】」がデッキコンセプトを通す側に分類され、【12-002H】《アマテラス》・【9-068H】《ドラゴン》・【9-114C】《不浄王キュクレイン》やEXバーストによるカウンターを狙う「土単」や「火風土水【光の戦士】」、「水単モンスター」などが妨害する側に分類されるイメージです。

こうした構図はどの環境でも起こりえるのですが、そのどちらにも属さない「氷雷」のようなデッキがこれまでより少ない点が今環境の特徴だと思います。
先ほど挙げたとおり「土単」「火風土水【光の戦士】」「カオスコンボ」「火氷水【騎士】」「火水【戦士】」の5デッキは国内の環境でも強く意識されると思うので、これらのデッキをどう意識して大会に臨むかでメタゲームの推移が変わっていきそうです。

個人的に、アグロデッキを対策する側に回るプレイヤーが多くなることでアグロデッキ側が成長の余地を残した状態で環境が終了してしまう印象もあるため、「カオスコンボ」「火氷水【騎士】」が成熟しきった先にどういった環境が待っているのかを見てみたいという気持ちもあります。

また「MASTERS 2024 FINAL」は2デッキ制のトーナメントとなることが発表されたため、それを踏まえてどういった環境になるか、ここからのメタゲームが楽しみですね。

 


◆おわりに
今回は海外の大型トーナメント「Materia Cup」の結果をもとに、「秘められた試練」環境のスタンダードのメタゲームを考察してきました。

国内ではまだまだ見えていない要素も多いスタンダード環境ですが、海外ではすでにさまざまなデッキが頭角を現しています。日本国内ではどういったデッキが活躍していくのか、今から楽しみです。

今後は「MASTERS 2024 FINAL」に向け、スタンダードの記事にも力を入れていきますのでぜひお楽しみに!

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!