【FFTCG】今シーズンはL3構築がアツい!「秘められた試練」でどう環境が変わったかをチェックしよう!

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は新環境を迎えた「L3構築」について、環境の変化や有力デッキがどう変わったかを解説します。

◆はじめに
皆さん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

8月2日(金)、ブースターパック「秘められた試練」がついに発売されました。
皆さん、最新のカードでデッキを組んでいるころではと思います。

ここからいよいよ「秘められた試練」環境の幕開けです。
今環境では「世界選手権 2024」の予選大会となる「L3 Championship 2024」も開催されます。世界の舞台への切符を懸けたトーナメントに向けて、今シーズンはL3構築に力を入れていこうというプレイヤーも多いのではないででしょうか?

こちらの記事でもL3構築にフォーカスした内容に力を入れていきたいと思っています。
今回はその第1弾として「秘められた試練」の登場がL3構築にどんな影響を与えたかについて考察していきたいと思います。

それでは、さっそく始めていきましょう。  

  


◆「秘められた試練」はL3構築にどんな試練をもたらすのか?
さて、考察を始めるにあたって今回のポイントを整理していきたいと思います。
最新の3つのブースターパックを使用しデッキ構築を行うL3構築では、新たなブースターが登場するたびにカードプールが追加されるだけでなく、使用できなくなるカードも存在します。

今回の考察では、

1.カードプールを去ったカード
2.カードプールに残ったカード
3.新たにカードプールに加わったカード

の3つの観点から考察を進めていきたいと思います。

1.カードプールを去ったカード
まずは今環境からL3構築で使用できなくなった「英雄の夜明け」のカードを見ていきましょう。

「英雄の夜明け」は単属性でデッキを構築することでバリューをもたらすカードが多いブースターパックでした。各属性には条件を満たすことにより0コストでキャストできる【20-013C】《調理師》などのバックアップがサイクルで存在したほか、火属性の【20-003H】《イフリート》や【20-020C】《モンブラン》のような単属性デッキを後押しするカードが複数ありました。こういったカードの影響もあり前環境のL3構築では「火単」がメタゲームの一角を担う存在でしたが、今環境はこれらのカードがカードプールを去ったため「火単」をはじめとする単属性デッキはややポテンシャルが低下することが予想されます。

また今環境では【20-127L】《神竜》や【20-007L】《鬼神》といった強力な全体除去効果を持つカードも環境を去ることとなります。この影響で、序盤からフォワードを展開していくデッキにとっては追い風の環境となることが予想されます。特に【20-127L】《神竜》がいなくなることで、相手よりフォワードを3体以上多く展開しないように意識するというセオリーを気にしなくてもよくなることは、フォワードを展開するストレスを大幅に軽減してくれます。


【20-007L】《鬼神》が環境を去ることで起こるもうひとつの影響が、ブレイクゾーンを対策するカードが大幅に減少することです。もちろん現在のL3構築のカードプール内にも【22-047L】《ドルガン》や【21-081L】《アーヴァイン》といったブレイクゾーンに干渉するカードが残っているものの、1枚でブレイクゾーンのすべてのカードを除外できるという【20-007L】《鬼神》のアビリティは現在のカードプールで替えの利く効果ではありません。【20-007L】《鬼神》のほかにも「英雄の夜明け」には優秀なブレイクゾーン対策である【20-044L】《エッジ》もいたため、今環境では明確にブレイクゾーンを使うデッキが活躍しやすい環境となります。【22-113L】《モント・リオニス》や【22-075H】《イデア》、【22-079L】《サイファー》といった【カテゴリ(VIII)】の面々はこれまで以上に動きやすくなることでしょう。


2.カードプールに残ったカード
次に今環境のL3構築においてカードプールに残る「運命を超えて」「秘められた希望」のカードについて見ていきましょう。

なかでも特に影響の大きなものは【カテゴリ(VIII)】と【ジョブ(闇の戦士)】の2つのカード群です。
これらはどちらも「秘められた希望」で登場したカードであり、前環境のL3構築でもメタゲームの中心に君臨したデッキのキーパーツでした。ひとつのブースターパック内で完結したシナジーが形成されているため、「英雄の夜明け」が環境を去るマイナスの影響をほとんど受けず、「秘められた試練」でカードプールが増える恩恵のみを享受できるため、今環境のL3構築においても再注目のデッキといえます。

特に【カテゴリ(VIII)】を軸とした「氷雷」は、【20-007L】《鬼神》がいなくなったことでいよいよ強力な妨害を受けることがなくなり、環境的にも追い風が吹いています。

 

  以上の点からも今環境のL3構築は【カテゴリ(VIII)】軸の「氷雷」、【ジョブ(闇の戦士)】軸の「土単」「土雷」を基準に定めたデッキ構築が求められる環境となることは間違いありません。

さて、それではこれら以外のカード群はどうでしょうか?

ジョブやカテゴリにフォーカスして見てみると【21-010H】《タイヴァス》を中心とした【ジョブ(戦士)】のシナジーにも注目できそうです。
【21-010H】《タイヴァス》を中心としたギミックで、サーチ対象も火/氷/風/土/雷と広く非常に拡張性の高いものとなっています。スタンダードでは「火単」や「コスト3WoL」で採用される機会の多いギミックでしたが、L3構築でも同様のデッキでの採用が検討できます。多属性にまたがるギミックであることを活かすのであれば【22-111L】《レーゲン》や【21-119H】《レナ》、【23-107L】《フリメルダ》と合わせた多属性デッキを作ってみるのもいいかもしれません。


また、個人的に注目しているのが「氷単」です。
「英雄の夜明け」のカードが外れたことにより【20-023C】《甲冑師》が使えなくなったのは痛手なものの、【22-021R】《エミナ》による足回りのよさや【22-024L】《クラサメ》というフィニッシャーが存在するため、構築のイメージがしやすく、「秘められた試練」ではさらに【23-121L】《ケットシー》という追加のフィニッシャーも獲得しています。「秘められた希望」「秘められた試練」で登場したLBカードはどれも強力で、コントロールデッキとしてのポテンシャルはかなりのものが期待できそうです。

 また「DISSIDIA FINAL FANTASY コレクションセット 2023」で収録されたスターター専用の【カテゴリ(DFF)】のカードも注目できそうです。
これらのカードは「運命を超えて」の収録カードとしてカウントされているため今回のL3構築でも使用できるのですが、スターターセット内のパッケージとしてデザインされているためデッキにしやすいという特徴があります。【カテゴリ(DFF)】を参照する点やクリスタルギミックを使用する点から、プール内の既存のカードにも相性のいいものが多いため、さまざまなデッキの可能性が模索できそうです。

 


◆新たにカードプールに加わったカード
最後に「秘められた試練」で新たに追加されたカードについて考察していきましょう。

【23-002L】《カイアス》と【23-011L】《ティナ》は、ともに召喚獣に関係するアビリティを持つ火属性の強力な新戦力です。【23-002L】《カイアス》からのサーチ先となる【カード名(バハムート)】はカードプールに【21-012H】《バハムート》【23-016R】《バハムート》の2種があり、これら4枚はパッケージとしてさまざまな火属性のデッキに採用されることになりそうです。【23-002L】《カイアス》と【23-011L】《ティナ》はどちらも【22-113L】《モント・リオニス》で復活させられるコスト5のカードなため「火単」などは構築のイメージが持ちやすいデッキですね。


【23-104H】《湿地の魔女》と各属性に点在するモンスターを使用したデッキもかなりポテンシャルを感じさせてくれます。「秘められた試練」ではモンスターを2体以上コントロールすることでフォワード化するモンスターが各属性にサイクルとして収録されており、あまりフォワードを採用しなくてもデッキが構築できるようになっています。水属性には【23-104H】《湿地の魔女》のほかにも【21-102L】《ガウ》や【23-103C】《クイナ》といったモンスターをサポートするカードが存在するため、基本的には水属性+αで考えていくのが基本になりそうです。新ギミックを使用する未開拓の分野なのでプレイヤーの構築手腕が問われるデッキとなりそうですが、どんなデッキが生み出されるのか今から楽しみですね。


【23-062H】《エメト
セルク》と【23-070H】《ヒュトロダエウス》のパッケージもかなり活躍が期待できそうです。特に【23-062H】《エメトセルク》が先ほども紹介した【ジョブ(闇の戦士)】デッキの主軸である【22-067L】《ナハト》にアクセスできることは非常に重要です。またサーチ先には【21-064L】《イングズ》も存在するため、選択肢が広いというメリットもあります。これらのカードは【23-070H】《ヒュトロダエウス》のアビリティから出しても強力で、「土単」や「土雷」といったデッキでの活躍が期待できます。


ジョブシナジーに注目してみると【ジョブ(クラスゼロ)】や【ジョブ(暁の血盟)】もかなりの活躍が期待できます。

【ジョブ(クラスゼロ)】は「運命を超えて」「秘められた希望」で継続して強化を受けているシナジーで、選択肢も非常に充実しています。前環境ではタッチ気味に採用されるギミックでしたが、カードのバリエーションが広がったことによりデッキのメインギミックにしてもかなり強力そうです。特に【22-078C】《サイス》で除去できるカードの幅が伸びた強みを活かして「火雷」で構築してみるのもおもしろいかもしれません。

 【ジョブ(暁の血盟)】は水属性と雷属性にまたがるギミックとして収録されることが多いジョブシナジーで、今回も例に漏れずその2属性での登場となりました。特に強力なのが【23-079R】《エスティニアン》の存在で、ヘイストによる攻撃性能とアタック時のブレイクゾーン回収による継続したアドバンテージ獲得能力は目を見張るものがあり、この効果を使い【23-086H】《サンクレッド》を使いまわすだけでも相当強力なデッキになりそうです。 「水雷」にこだわらず、氷属性の【21-036H】《ヤ・シュトラ》と組み合わせ「氷雷」に出張させるという使い方もL3構築であればありかもしれません。「氷雷」自体は【カテゴリ(VIII)】でデッキの大枠が埋まるため、自由枠を2種類のヘイストで補完するという使い方は悪くないアイディアな気がします。


◆「秘められた試練」環境、L3構築サンプルデッキを紹介
さてここからはこれまでの考察をもとに、今回のL3構築の指標となるサンプルデッキとして、前環境でも活躍した「氷雷【VIII】」と「土単【闇の戦士】」を紹介したいと思います。

これらのデッキは今環境のL3構築でプレイヤーにとっての試練、もとい指標となるデッキなのでぜひチェックしておいてください。

サンプルデッキ「氷雷【VIII】」 

【メインデッキ】
フォワード(38枚)
【21-027L】 《グリーヴァ》 3
【21-023L】 《アルティミシア》 3
【22-031H】 《スコール》 3
【21-036H】 《ヤ・シュトラ》 3
【22-022R】 《キスティス》 3
【22-075H】 《イデア》 3
【22-073L】 《アルティミシア》 3
【23-079R】 《エスティニアン》 2
【21-081L】 《アーヴァイン》 3
【22-079L】 《サイファー》 3
【22-084R】 《風神》 3
【22-087R】 《雷神》 3
【22-010L】 《セルフィ》 3
バックアップ(12枚)
【21-024C】 《学者》 3
【23-030C】 《セラ》 3
【21-082C】 《赤魔道士》 3
【23-078C】 《アリゼー》 3
【LBデッキ】
フォワード(8枚)
【22-112R】 《ザックス》 1
【22-114H】 《ヴィクトラ》 1
【22-115R】 《サージェス》 2
【23-120R】 《クジャ》 1
【22-120H】 《クラウド》 1
【23-127R】 《ニックス》 1
【23-130H】 《ルッソ》 1

「氷雷【VIII】」はメインギミックとなる【カテゴリ(VIII)】のカードがほとんど「秘められた希望」のカードであり、ほぼ前環境と変わらない形で構築できるため、強さも据え置きのデッキと言えるでしょう。

むしろ考察のなかでも話したとおり、ブレイクゾーン対策をする手段が限られるようになったことで環境的には追い風が吹いていると言えます。
デッキとして強化された要素としては、バックアップに奇数コストのカードが採用しやすくなったことでよりブレイクゾーンにカードをためやすくなった点と、LBカードが充実した点が挙げられます。

今回はサンプルとして作成した都合でシンプルなリストを紹介していますが、メインデッキ、LBデッキともに採用圏内にあるカードが多いため、さらなる可能性を秘めたデッキと言えるでしょう。

サンプルデッキ「土単【闇の戦士】」

【メインデッキ】
フォワード(30枚)
【22-067L】 《ナハト》 3
【21-074L】 《ネオエクスデス》 2
【21-064L】 《イングズ》 3
【23-070H】 《ヒュトロダエウス》 3
【22-062R】 《グレイブ》 3
【23-062H】 《エメトレルク》 3
【21-072H】 《トゥーリエン》 1
【22-061L】 《ギルガメッシュ》 3
【22-065R】 《ジークハルト》 2
【22-040H】 《エンキドウ》 1
【22-074R】 《アルバ》 3
【22-081R】 《ディアナ》 3
バックアップ(17枚)
【21-068C】 《キキルン》 3
【22-069C】 《ベイロ》 3
【21-069C】 《クルル》 1
【21-080R】 《ルンド》 3
【22-066C】 《召喚士》 3
【23-058C】 《暗黒騎士》 3
【22-072C】 《リルティ》 1
召喚獣(3枚)
【21-071H】 《タイタン》 3
【LBデッキ】
フォワード(8枚)
【22-118H】 《シャントット》 1
【22-119R】 《マート》 1
【23-125R】 《ノクティス》 2
【22-120H】 《クラウド》 2
【23-122R】 《シド・ハイウインド》 1
【23-130H】 《ルッソ》 1

 「土単【闇の戦士】」は前環境から【20-070C】《革細工師》や【20-074C】《採掘師》といった足回りを支えてきたバックアップが去ったことで若干安定性を失ったものの、フォワードの性能が大幅に向上しておりデッキとしては強化されたと言えるでしょう。

【ジョブ(闇の戦士)】ギミックを使用する都合上、雷属性をタッチすることになりますが、これによりLBデッキに自然と【22-120H】《クラウド》を採用できるというのは大きなメリットです。戦略として【22-067L】《ナハト》からスタートするプランと【23-062H】《エメトセルク》からスタートするプランの2ルートがありますが、基本的には【22-067L】《ナハト》からの展開を優先して、相手が【22-067L】《ナハト》を対処している間にバックアップを広げて後続で【23-062H】《エメトセルク》を展開するというのがセオリーとなりそうです。

もちろん逆の展開でも問題ないので、理想の初手を目指して積極的にマリガンできるのもデッキの強みになりそうです。 


◆おわりに
今回は「秘められた試練」環境のL3構築についての考察とサンプルデッキの紹介を行ってきました。

今シーズンのL3構築は、前環境で猛威を振るった「氷雷【VIII】」「土単【闇の戦士】」が引き続き立ちはだかる環境になることが予想されますが、これに対して新勢力がどれほど食い下がれるかがひとつのポイントになりそうです。

次回も引き続きL3構築について、さらなる新デッキのアイディアを紹介する記事をお届けしていきたいと思いますのでお楽しみに!

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!