『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「日本選手権2023 Autumn」大津大会で優勝した、Opus初心者@17才さんのインタビューをお届けします。
◆はじめに
みなさん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
ついに「英雄の夜明け」環境での公式トーナメント「日本選手権 2023 Autumn」が幕を開け、8月5日に大津大会がL3構築で開催されました。
今シーズンは9月2日(土)、3日(日)に「L3 Championship 2023」も控えており、「英雄の夜明け」環境初の大会でどんなデッキが成績を残すのか注目していたプレイヤーも多かったと思います。
そんななか、大津大会を制したのはOpus初心者@17才さんが持ちこんだ「火土」。重量感のあるフォワードを中心に高いパワーを押し付ける骨太な構築で、他のデッキを圧倒しての勝利となりました。
今回は、みごと環境初のトーナメントを制し優勝を飾ったOpus初心者@17才さんにインタビューを行ない、“初心者”らしからぬ構築センスで環境のひとつ先を行った「火土」についてお話をお聞きしました。
◆マッチョイズムで環境を突き進んだ「火土」
――「日本選手権 2023 Autumn」大津大会優勝おめでとうございます。
Opus初心者@17才:ありがとうございます。
――「日本選手権 2023 Autumn」大津大会は「英雄の夜明け」環境で初の公式トーナメントであり、「L3 Championship 2023」の前哨戦としても注目の集まった大会だったと思います。そんななか、Opus初心者@17才さんによる「火土」での優勝がプレイヤーに与えたインパクトは非常に大きいものだったと思います。僕個人もノーマークなデッキだったこともあり、今回のインタビューを楽しみにしていました。まずは今回、どういった着想から「火土」というアプローチに行き着いたのか聞かせてください。
●「火土」(「日本選手権 2023 Autumn」大津大会優勝 フォーマット:L3構築)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(23枚) | ||
【20-007L】 | 《鬼神》 | 3 |
【20-002H】 | 《アーロン》 | 3 |
【20-069H】 | 《カオス》 | 3 |
【20-066R】 | 《イグニス》 | 1 |
【18-054L】 | 《ガラフ》 | 2 |
【19-128L】 | 《ウォーリアオブライト》 | 3 |
【18-110H】 | 《ザンデ》 | 1 |
【18-111L】 | 《バッシュ》 | 3 |
【18-105H】 | 《アルティミシア》 | 2 |
【20-130L】 | 《ゼノス》 | 1 |
【18-106H】 | 《ソル》 | 1 |
バックアップ(17枚) | ||
【18-131S】 | 《イドラ》 | 3 |
【18-007C】 | 《セルフィ》 | 3 |
【20-010C】 | 《侍》 | 3 |
【20-074C】 | 《採掘師》 | 3 |
【20-079C】 | 《風水士》 | 3 |
【20-129H】 | 《スピリタス》 | 2 |
召喚獣(5枚) | ||
【20-003H】 | 《イフリート》 | 3 |
【20-081H】 | 《フェンリル》 | 2 |
モンスター(5枚) | ||
【18-008H】 | 《2ヘッドドラゴン》 | 2 |
【20-018H】 | 《フェネクス》 | 2 |
【18-052H】 | 《アーリマン》 | 1 |
Opus初心者@17才:実は今回の「火土」は大会の直前に思いついたもので、それまでは候補として「風土」の調整を行なっていました。「英雄の夜明け」環境のL3構築で1つの指標となるのが、【20-084R】《レオ》の登場でパワー9000とアンタッチャブル効果を兼ね備えた【18-049R】《ユーリィ》をデッキの軸とした「風土」だというのは多くのプレイヤーにとって共通認識だと思います。私もその認識のもとデッキを考えていました。実際にこのパッケージは非常に強力で、現在のL3構築において【18-049R】《ユーリィ》+【20-084R】《レオ》のパッケージを対処する手段は限られています。
しかし調整を続けるなかで、「風土」にもいくつか課題が見つかり、それに対する回答が自分のなかで用意できずにいました。
課題の1つ目が、風属性の【カテゴリ(FFCC)】が不足しているという点です。
風属性を採用するメリットの1つとして「英雄の夜明け」で【20-061C】《ユフィ》が追加され、【18-050L】ユフィのスペシャルアビリティ「生者必滅」が狙いやすくなったことが挙げられます。「生者必滅」は使用するためのコストに風属性のCPを2つ要求してくるため、できれば【18-049R】《ユーリィ》のオートアビリティでアクティブにする【カテゴリ(FFCC)】は風属性のバックアップ2枚であることが好ましいのですが、現在のL3構築のカードプールで【カテゴリ(FFCC)】を持つ風属性のバックアップは【18-046R】《ナッシュ》、【20-052C】《ナッシュ》、【20-048R】《スティルツキン》の3種で、カード名が重複しているためフィールドに出せるのは最大で2種類のみ、そのうえ「風土」は他に優先してフィールドに出したいバックアップが多いため、毎ゲーム風属性の【カテゴリ(FFCC)】のバックアップを展開するのはあまり現実的ではありません。特に「風土」のミラーマッチでは【20-129H】《スピリタス》の重要度が高いと考えて採用していたため、理想どおりにバックアップを展開するのはかなりシビアで、こうした背景から【18-050L】《ユフィ》のバリューを発揮しきれないことが課題だと感じていました。
また「風土」は非常に強力なデッキである一方で、明確な勝ちのビジョンを持ちにくいことも課題に感じていました。たしかに【18-049R】《ユーリィ》は強力なのですが、パワーラインが拮抗するゲームではアタックが難しく、毎ターンアタックを繰り返すことでリソースを稼ぐ【18-049R】《ユーリィ》の長所を発揮できないゲームがたびたびありました。これらの課題に加え、そもそも「風土」自体の使用感が私の肌に合わなかったこともあり、何か別のデッキがないかと模索するなかで、まず考えたのが火属性の使用でした。
火属性を使用するメリットは何といっても【20-007L】《鬼神》の存在です。フィールドに出たときとアタックするときに相手のフォワードを除去できる高い制圧力に加え、パワー9000というスタッツを有しており、お互いにフォワードを並べて攻めあう展開で非常に強いフォワードです。
そして、もう1つのメリットが【18-131S】《イドラ》にって【19-128L】《ウォーリアオブライト》を使えることです。パワーが重要視される環境において【19-128L】《ウォーリアオブライト》のパワー10000が強力であることは言うまでもありませんが、「英雄の夜明け」環境では【17-025C】《ギルバート》がローテーション落ちしたため、コストを踏み倒してフィールドに出せる【18-131S】《イドラ》を妨害する手段がなくなったことも追い風でした。また後ほどお話ししますが、バックアップである【18-131S】《イドラ》から踏み倒すことで、【18-105H】《アルティミシア》の影響を受けずに【19-128L】《ウォーリアオブライト》を展開できる点がとても強力でした。
――火属性採用のメリットはよくわかりました。ではもう1つの属性、土属性の採用はどういった経緯によるものでしょう?
Opus初心者@17才:土属性のメリットは【20-069H】《カオス》の存在です。【20-069H】《カオス》はフィールドに出たとき闇属性のフォワードをサーチしてフィールドに直接出せる破格のアビリティを持つフォワードであり、1枚でパワー9000のフォワードを2体展開できるため対処が難しい盤面を相手に押し付けることができます。今環境では【20-069H】《カオス》+【20-130L】《ゼノス》をパッケージで採用しているデッキも多いですが、このデッキでは「風土」の調整段階から注目していた【20-129H】《スピリタス》を採用しており闇属性のフォワードを複数展開できるため、【20-069H】《カオス》のサーチ先がなくなることも少なく、【20-069H】《カオス》を最大限採用できる構成となっています。
――【20-069H】《カオス》+【20-130L】《ゼノス》のパッケージは今環境でも注目度の高い組み合わせですよね。【20-069H】《カオス》からサーチする選択肢としては【20-130L】《ゼノス》のほかに【18-105H】《アルティミシア》と【18-106H】《ソル》が採用されています。特に【18-105H】《アルティミシア》は【20-130L】《ゼノス》よりも多い2枚採用となっていますが、それぞれの採用意図をお聞きしてよろしいでしょうか?
Opus初心者@17才:【18-105H】《アルティミシア》は「火土」における【20-069H】《カオス》のサーチ対象としてもっとも重要度の高いカードです。「火土」は採用カードの性質上、高コストで単体のポテンシャルが高いカードを押し付けていくことになるのですが、これは氷属性のような手数の多さで戦うデッキに隙を与えてしまいます。【18-105H】《アルティミシア》のバックアップ以外のカードに追加コストを要求する、いわゆるタックス(※Tax、税金のこと。カードゲームではコストが増えることをそう表現することがある)効果は「火土」が苦手とする手数の多さへの回答となる効果です。また当然、手数ではなくカードを1枚ずつ押し付けていくこちらのデッキは【18-105H】《アルティミシア》の影響を受けにくいため、【18-105H】《アルティミシア》のデメリットを受けることなくゲームを展開できます。
そしてバックアップのキャストはこのアビリティの影響を受けないため、【18-105H】《アルティミシア》下でもフォワードを展開できる【18-131S】《イドラ》の存在は、先述のとおりデッキにとって大きなメリットとなってくれるというわけです。
こうした【18-105H】《アルティミシア》の強みは、ただ【18-105H】《アルティミシア》1枚を展開するだけでは享受しにくかったのですが、【20-069H】《カオス》で同時に複数の脅威を展開できるようになったことで、明確な強さとして確立されたと考えています。
基本的にこのデッキの理想ムーブは先攻で初手のバックアップ2枚展開から【20-074C】《採掘師》+【20-129H】《スピリタス》と続け、3ターン目の【20-069H】《カオス》+【18-105H】《アルティミシア》につなぐことですが、後攻時の展開やバックアップ事故を起こした場合でも一定の圧力をかけられるため、状況を選ばない強さを持っています。
また、環境初期ということもあり、対戦相手が【18-105H】《アルティミシア》を対処する明確なプランを持っていなかったことも、今回【18-105H】《アルティミシア》を使ううえで追い風となった要素だと感じました。実際、トーナメントの準決勝で対戦したしらたまさんは理想的な立ち上がりでゲームを始められたのですが、【18-105H】《アルティミシア》の対処で選択を迫られ、対応が遅れてしまったとおっしゃっていました。
――カード1枚のパワーで戦っていくこのデッキにとって、【20-069H】《カオス》+【18-105H】《アルティミシア》の採用は非常に理にかなっている選択ですね。まさに目から鱗といった気持ちです。次に気になるのは【18-106H】《ソル》です。こちらはどういった意図からの採用でしょうか?
Opus初心者@17才:【18-106H】《ソル》は「風土」の【18-050L】《ユフィ》を意識して採用しています。「英雄の夜明け」環境では【18-049R】《ユーリィ》+【20-084R】《レオ》のパッケージや【20-061C】《ユフィ》の追加により「風土」の人気が高くなると予想しており、必然的に【18-050L】《ユフィ》と対峙する機会も多くなると考えていました。
そこで【18-050L】《ユフィ》のパワーを下げアタックを許さないカードとして【20-069H】《カオス》からサーチできる【18-106H】《ソル》に注目しました。仮にスペシャルアビリティの「生者必滅」で除去されたとしても、【18-106H】《ソル》に除去を当てたターンには【18-050L】《ユフィ》はアンタッチャブル効果が付与されないため、除去手段に優れた「火土」であれば返しのターンでの処理が安定します。
また、副次的な恩恵として【20-007L】《鬼神》の全体除去の範囲を広げたり、アンタッチャブル効果を持つフォワードに対し、パワーラインで上からアタックを通すプランに持ち込めたりと、デッキ全体と相性のよいカードだと思います。コスト3以下のフォワードは【20-130L】《ゼノス》のアビリティの的になってしまうリスクを負っていますが、汎用的なサーチ能力を持つ【18-111L】《バッシュ》と、この【18-106H】《ソル》に関しては、そういったリスクを押して採用する価値があるカードだったと感じました。
――今話題にも挙がりましたが、闇属性のフォワードとしてのポテンシャルで、新カードである【20-130L】《ゼノス》は頭ひとつ抜けている印象があります。
Opus初心者@17才:【20-130L】《ゼノス》はフィールドに出たときコスト3以下のフォワードを除去し、手札を捨てさせるオートアビリティが非常に強力です。先ほど氷属性の特徴として手数が多いことを挙げましたが、そういった動きに対し、現状の脅威と手札に控えている後続を同時に攻める行動は有効で、このカードの採用の有無がデッキの勝率へ大きく影響すると考えています。
そもそも【20-130L】《ゼノス》が脅威でないデッキというのは構築段階から採用するカードの選択肢が限られるため、環境に存在するだけでメタゲームに大きな影響を与えます。反対に、「火土」はコスト3以下のフォワードを極力採用せずに構成できること自体が「英雄の夜明け」環境において【20-130L】《ゼノス》の存在がリスクになりにくい強みを持っていると言えるでしょう。
――【20-069H】《カオス》というパワーカードを最大限採用しつつ、環境に適した闇属性のカードを同時採用できることが「火土」というデッキを下支えしているというわけですね。
Opus初心者@17才:はい。また「火土」という組み合わせのメリットとして、採用できるモンスターに高パワーなものが多いという点も挙げられます。「英雄の夜明け」環境において、フォワードを一方的に展開することは【20-127L】《神竜》のコストを軽減させスペシャルアビリティ「タイダルウェイブ」で盤面を返されてしまうリスクをはらんでいます。そこでフォワード化できる効果を持つモンスターの価値が相対的に高くなるのですが、パワーが低いモンスターでは【20-007L】《鬼神》などを意識して引き上げられているであろう環境の平均パワーラインに対抗できません。
その点、火属性と土属性のモンスターはそれぞれのパワーラインが高く、またフォワード化する条件も容易なため、モンスターに求められている役割を十分に満たすことが可能です。L3構築ではサーチする手段が限られるモンスターを【18-111L】《バッシュ》によって安定して展開できるという点も「火土」ならではの強さです。今回は単体でフォワード化できるという点を評価し【18-008H】《2ヘッドドラゴン》と【20-018H】《フェネクス》を2枚ずつ、【18-052H】《アーリマン》を1枚という比率で採用しましたが、全体的にフォワードのパワーが高く【18-052H】《アーリマン》のフォワード化に困るシーンもなかったため、対【18-054L】《ガラフ》という用途が明確な【18-052H】《アーリマン》を増量してもよかったかと思いました。
――それでは、そのほかの採用カードについてもお話を聞かせてください。火属性からは【20-002H】《アーロン》が3枚採用されています。このカードを最大限採用したのはどういった理由からでしょうか?
Opus初心者@17才:お恥ずかしながら、デッキを形にしたのが大会の前日ということもあり細部までは調整が至っていないので、【20-002H】《アーロン》は明確に3枚という理由があるわけではありません。採用した動機としては、アグロデッキとの対面を意識したときに、ダメージを無効化しつつドローに還元できる【20-002H】《アーロン》の挙動は非常に魅力的なものに感じました。その魅力を超えて採用したいカードが大津大会段階では他に見つからなかったというのが【20-002H】《アーロン》を3枚採用した理由です。
また、このデッキには【19-128L】《ウォーリアオブライト》のアクションアビリティや、5000ダメージを2体に与える【20-003H】《イフリート》など、【20-002H】《アーロン》のオートアビリティを発動させられる手段も多かったため、総合的に使い勝手はかなりよかったです。モンスターの採用理由で触れたとおり、「英雄の夜明け」環境ではフォワードを展開しすぎると【20-127L】《神竜》という裏目があるため、【20-002H】《アーロン》のコスト軽減は活かしにくそうに感じますが、モンスターをフォワード化したターンの第2メインフェイズにキャストするという運用も可能なので、コスト軽減の能力を使えないということもありませんでした。
――新カードからは【20-066R】《イグニス》も採用されています。
Opus初心者@17才:【20-066R】《イグニス》は「風土」を考えている段階で、【18-139S】《ノクティス》の新たな相棒として注目していたのですが、「火土」では【18-052H】《アーリマン》と合わせて【18-054L】《ガラフ》を対処する役割を期待して採用しました。前環境までのL3構築では除去をダメージに依存していたので、このカードの登場は大きな収穫でした。このデッキは【20-129H】《スピリタス》以外のバックアップなら能動的にブレイクゾーンに送れるため、フォワード回収の効果を狙う機会も多かったです。
――バックアップをブレイクゾーンに送れるという点では、【18-110H】《ザンデ》もよいなと感じました。
Opus初心者@17才:【18-110H】《ザンデ》は【18-131S】《イドラ》から復活させるカードが【19-128L】《ウォーリアオブライト》だけでは足りないだろうと考えての採用でしたが、キャストする機会を狙うタイミングもかなり多かったです。
――召喚獣はともに「英雄の夜明け」で登場した【20-003H】《イフリート》と【20-081H】《フェンリル》です。これらの使用感などはいかがでしたか?
Opus初心者@17才:【20-003H】《イフリート》は単体でのスペックはもちろん、【19-128L】《ウォーリアオブライト》と合わせた万能除去としての活躍や、【20-007L】《鬼神》や【18-008H】《2ヘッドドラゴン》と合わせた複数除去など幅広く活躍する機会が多いカードという印象でした。また、環境上もっとも重要な仮想敵だったのが【20-031R】《セリス》です。【カテゴリ(VI)】を軸にした「氷水」は今大会で対戦したなかでも特に強敵と感じたデッキで、【20-003H】《イフリート》ですぐ【20-031R】《セリス》を対処できるかは勝敗への影響が大きいと感じています。
【20-081H】《フェンリル》は今環境で増加傾向にある【19-035R】《アレキサンダー》や、【19-128L】《ウォーリアオブライト》の天敵である【19-064R】《フェンリル》、そして【20-127L】《神竜》とのセット採用が想定された【19-104H】《マディーン》を意識しての採用です。
特に【19-104H】《マディーン》は、【20-127L】《神竜》の採用理由になるレベルのカードだと考えていたのですが、意外なことに【19-104H】《マディーン》非採用で【20-127L】《神竜》を使うデッキも多く、そこは若干予想を外したと感じた点でした。
――【20-127L】《神竜》+【19-104H】《マディーン》は強力なパッケージだけに、たしかに意外ですね。初の大会ということで環境予想も難しかったと思います。特に今回は前環境から引き続き「火雷【XIII】」や「火風土水【WoL】」など前環境で有力だったデッキも多く残っていましたが、これらのデッキへの対策には意識を割かれたのでしょうか?
Opus初心者@17才:「英雄の夜明け」でL3環境のメタゲームは大きく変わったと思います。特に「火雷【XIII】」は厳しいポジションに立たされたと感じています。「火土」目線では特に【18-105H】《アルティミシア》と【20-130L】《ゼノス》の存在が大きく、こちらの【18-105H】《アルティミシア》の先行を許した時点で【19-053C】《ヴァニラ》、【19-137S】《ホープ》、【19-138S】《ライトニング》の展開に追加の3CPが要求され、「火雷【XIII】」が展開で先行できても【20-130L】《ゼノス》で除去+手札破壊されてしまううえにブロッカーも立つリスクがあります。
加えて【20-007L】《鬼神》による全体除去も控えており、メタゲーム上のパワーラインの基準値が9000まで上がったことで、1体目のアタックを通すのが難しくなったことも向かい風です。骨太な環境になったことで、しっかりと1ゲームを走りきる体力があるデッキではなくなったというのが正直なところです。
「火風土水【WoL】」に関しては【19-128L】《ウォーリアオブライト》単体のスペックで見たときに環境で戦えるポテンシャルはあると感じるものの、【17-107R】《アルフィノ》や【17-014R】《バハムート》などアグロへの耐性を担える要素のカードを失った事実は大きく、特に【19-057L】《ケフカ》+【17-014R】《バハムート》のコンボが抜けた穴は致命的だと感じました。ただ、こちらに関しては環境が進むなかで適応した構築が生み出されるのではないかと感じているので、そこはデッキビルダーの皆さんがどういうデッキを作るのか、楽しみにしているところです。
――これまで活躍していたデッキが息をひそめたことで、メタゲームも大きく変わっていきそうですね。
◆初心を忘れず精進を
――正直、初見でデッキリストを拝見したときは隙が多そうという印象でした。しかし、実際に話を聞くと非常に理にかなったカード選択と構築をされており、まさに勝つべくして勝ったデッキだと感じます。
Opus初心者@17才:細部のカードに関してはまだまだ煮詰めるべき点が多いと思いますが、今回のデッキはかなり自信作ですし、この構築にたどりつけたのは本当にラッキーだったと思います。
――プレイヤーネームに初心者をつけ続けるのは、さすがにもう無理が出てきたんじゃないですか?(笑)
Opus初心者@17才:いやいや、上位プレイヤーの皆さんに比べればまだまだです。それに、これは自分の初心を忘れないようにという意味もあるので今後も名乗っていこうと思っていますよ。
――自戒の意味も込めてということですね。
Opus初心者@17才:そうそう。それと初心者ということでいえば今大会うれしいことがありまして。最近関西でも新しく『FFTCG』を始めたという方が増えているのですが、その中の1人の方と決勝トーナメントで対戦したんです。新規プレイヤーの方がどんどん実力をつけてきたのを感じてすごくうれしかったですね。
――やっぱり初心者は無理がありますね(笑)。でも確かに最近、関西のプレイヤーには勢いを感じます。そんななか、貫禄を見せつけての優勝を果たしたわけですが、これから続いていく今シーズンに向け、今後の目標などあれば聞かせてください。
Opus初心者@17才:まずは大津大会で優勝できたことをうれしく思います。今シーズンはL3構築が熱いシーズンなので、最初に優勝を果たせたのはひとつ自信につながりました。ただ非常にポテンシャルを感じるデッキだったので、このリストが広まることで、今後の「L3 Championship 2023」などで自分の首を絞めることにならないか、ちょっと不安ですね(笑)。
――それだけのポテンシャルを秘めたデッキだと僕も感じました。この優勝は今後の環境に大きな影響を与えていきそうですね。ありがとうございました。
◆おわりに
今回は「日本選手権 2023 Autumn」大津大会を優勝したOpus初心者@17才さんにインタビューを行ない、新環境にいきなり大きな爪痕を残した「火土」についてお話をお聞きしました。
新環境での最初の大会から一歩先を行くデッキが登場したことに僕も驚きを隠せません。
「英雄の夜明け」環境がどんな進歩をたどっていくのか、一プレイヤーとしても今後の大会から目が離せませんね。
来たる「L3 Championship 2023」に向け、今後もL3構築のトピックをどんどん発信していきたいと思います。ぜひともご期待ください。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!