『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週はライターとたるほさんが、現環境で躍進を続ける「火風土水【光の戦士】」デッキについて、同デッキの第一人者であるえあさんとの対談をお届けします。
◆はじめに
みなさん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
「世界選手権2024」の日本代表が決定する最初のトーナメント「Standard Championship 2024」が今月下旬に開催されます。大舞台に向け、みなさん練習に励んでいますか?
今回は「秘められた希望」環境で活躍を続けている「火風土水【光の戦士】」について『打倒!「火風土水【光の戦士】」』をテーマに、国内随一の使い手であるえあさんと対談してきたので、その様子をお伝えしていきたいと思います。今環境で最初の公式トーナメントだった「MASTERS 2024」千葉大会でえあさんが優勝されたときにはインタビューも行っているので、こちらと合わせて来たる「Standard Championship 2024」に向けた調整の参考にぜひともチェックしていってください。
◆日本一のヒカセンマスターに聞く! 「火風土水【光の戦士】」の強みとその攻略法
たるほ:今回は『打倒!「火風土水【光の戦士】」』ということで、日本一のヒカセン(光の戦士)マスター・えあさんの知見をお借りできればということで、よろしくお願いします。
えあ:こちらこそよろしくお願いします。
たるほ:それにしても今シーズン、えあさんの成績は本当にすごいですね! 「MASTERS 2024」では千葉大会・津大会・金沢大会で「火風土水【光の戦士】」を使い優勝を果たしています。たぶん1シーズンで3大会も制覇したプレイヤーはえあさんが初なんじゃないですかね。
えあ:今シーズンは本当に成績がいいですね。
たるほ:実際えあさんの実力は疑いようもないですが、直近では海外のトーナメントシーンでも「Materia Cup」で「火風土水【光の戦士】」を使い2連覇したプレイヤーがいたりと、「秘められた希望」環境の中心にいるデッキなのは間違いないと思います。今シーズン絶好調なえあさんから見て、相棒とも言える「火風土水【光の戦士】」の強さはどんなところにあると思います?
えあ:そうですね……やっぱり他のデッキと比べて使えるカードの選択肢が多いので、それによる対応力の高さが魅力的だと思います。【19-128L】《ウォーリアオブライト》のような多属性カードはもちろんですが、【12-002H】《アマテラス》、【9-068H】《ドラゴン》、【9-114C】《不浄王キュクレイン》といった環境トップクラスの召喚獣を採用できたり、「秘められた希望」ではLBカードが登場したことでデッキと直接関係のない雷属性の【12-074H】《アルジイ》を採用し苦手な氷属性にも対抗できるようになったりと、とにかくカードプールにあるほとんどのカードが採用圏内にあることが強みだと考えています。
たるほ:もともと「火風土水ウォーリアオブライト」や「モールズの夜会」などの多属性デッキもそういった面を強みとしていたから、「火風土水【光の戦士】」もそれらと同質の強さを持っているわけですね。その点で「火風土水【光の戦士】」は「火風土水ウォーリアオブライト」とも比較されやすいデッキだと思うけど、これらのデッキと比べたときに「火風土水【光の戦士】」の特長はどういったところにあると思いますか?
えあ:そこはやっぱり【19-102L】《レフィア》の存在かなと。
どちらのデッキも火/風/土/水という共通の属性を土台にしたデッキで、【19-128L】《ウォーリアオブライト》という強力なカードを使えることがメリットではあるんですが、あのカードは爆発力なアドバンテージを稼げるアタッカーではあるものの、あくまで「出したターンの動きがすごく強くなるカード」でしかないんですよね。「火風土水【光の戦士】」には、そこへさらにプラスして生き残ることで継続したアドバンテージと除去につながる【19-102L】《レフィア》がいるので、デッキのゴールとなるカードが2枚あるイメージです。そのぶん採用カードを【ジョブ(光の戦士)】に寄せる必要があるなど、デッキ構築のハードルは高くなるんですが、それに見合う十分なリターンがあると思います。
もちろん「火風土水ウォーリアオブライト」側にも、バックアップで火/風/土/水をそろえやすくスロットの自由枠がより広いというメリットがあって、【19-108L】《ジタン》などがキャストしやすいぶん苦手な【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》に対してより戦いやすいという側面もあります。
デッキの最大値を求めるなら「火風土水【光の戦士】」、安定性と拡張性を求めるなら「火風土水ウォーリアオブライト」という感じですね。
たるほ:【19-102L】《レフィア》は本当に強力なカードですよね。初めて脚光を浴びたのはたしか去年の「Standard Championship 2023」でありかさんが準優勝したときだったと思うのですが、あのころから【ジョブ(光の戦士)】自体もだいぶ進化してきたと思います。
えあ:もともと【ジョブ(光の戦士)】をそろえるためのアプローチとして当時は【12-001R】《アイギス》や【5-146H】《ウォル》、【16-013H】《ソール》といったフォワードが採用されていたんですが、バックアップの【ジョブ(光の戦士)】がそろってきたことで【19-102L】《レフィア》単体での運用ができる+生み出せるアドバンテージがより多くなったという変化はあったと思います。
たるほ:最近は【3-059H】《タイクーン王》まで入れたバックアップ20枚の構築が主流ですもんね。僕も記事の中では「火土水【光の戦士】」→「火風土水【光の戦士】」と表記を意識的に変えるようになりました。
えあ:あと、これは環境的な要因なんですが、トーナメントに出るうえで「火風土水【光の戦士】」だけを仮想敵として考えることが難しいというのはあると思います。現在の環境で言うと「火氷雷【騎士】」のように使いやすく使用率が伸びやすいデッキがあったり、最近は【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》のコンボが復権していたりと意識しなければいけないデッキが多いので、そういったデッキに加えて「火風土水【光の戦士】」の対策をするのが難しいというのはひとつあるのかなと。
正直なところ使っている側の目線から言えば、きっちり対策されてしまえば勝ち続けるのは難しいデッキですし、今シーズン勝てている理由も「対策されていないから」というのが大きいと思っています。
たるほ:確かに「火氷雷【騎士】」や【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》はどちらも構築段階から意識しなくちゃいけないデッキだから、それに加えて「火風土水【光の戦士】」まで対策しようとすると手が回らないっていうのはありそうですね。
えあ:「火風土水【光の戦士】」も、対策カードを1枚採用したら劇的に相性が改善されるデッキってわけでもないですからね。
たるほ:単純なカードの差し替えで対応が難しいという点は対策する側の話になりますが、使う側にとってデッキ自体のプレイ難易度が高く、デッキパワーを十分に引き出すのが難しい点という点も実は追い風になっている部分があると思っていて、「火風土水【光の戦士】」って勝つために必要な引き出すべきポテンシャルの最低値がかなり高いデッキだと思うんですよね。
たとえば「火氷雷【騎士】」は【22-097L】《クリルラ》から【16-042R】《ラスウェル》が出ればそれだけで勝ててしまうこともあるから、乱暴な言い方をすると100%のプレイングができなくてもある程度勝てる可能性があるデッキで、そのぶん自然と使用率が高くなる傾向にあると思います。もちろんデッキへの理解度で最終的な勝率はまったく変わってきますが、そういった扱いやすさという点も「火氷雷【騎士】」の長所ではないかと。
対して「火風土水【光の戦士】」はプレイヤーの実力がもろに反映されるデッキだから、持ち込んでくるプレイヤーも限られるので、意識しても実際大会ではあまり当たらない可能も高いので、ガードが下がることも多いのかなと。このように、意識しなければ勝つことが難しいのに、ほかに意識しなければいけないデッキが多いので、結果的にガードが下がっているという状況はたしかにあるかもしれないですね。とはいえ「Standard Championship」では当然仮想敵として意識されることになると思うので、ここからは実際「火風土水【光の戦士】」を倒すために何を意識したらいいのかというところを深掘っていきたいと思います。
それで、ぶっちゃけたところ、「火風土水【光の戦士】」って何が弱点なんですか?
えあ:先ほど話したとおり「火風土水【光の戦士】」は【19-102L】《レフィア》が強みなので、フィールドに【ジョブ(光の戦士)】を準備する必要があるデッキです。なので、この準備を妨害されて【19-102L】《レフィア》を使えないのがなによりきついです。
具体的には、
・【ジョブ(光の戦士)】がそろうまえに殴りきる
・バックアップをブレイクする
のどちらかが有効です。
「秘められた希望」環境のデッキでいえば、前者は「火氷雷【騎士】」、後者は「土水カオスアーク」あたりが該当します。
たるほ:「火氷雷【騎士】」は環境初期から活躍しているデッキですね。しかしえあくん自身が「火氷雷【騎士】」を跳ねのけて優勝しているわけですが、基本的には苦手なデッキになるんでしょうか?
えあ:もともと「火雷【XIII】」などアグロデッキは苦手なんですが、「火氷雷【騎士】」は数あるアグロデッキのなかでも特に相性が悪いです。
要素はいくつかありますが「火氷雷【騎士】」はゲーム序盤から展開力に優れるため、2点→5点でゲームセットとなるダメージを与えるリーサルプランがとれるのが強力です。このプランはこちらの【21-114L】《ファリス》や【10-043H】《アルクゥ》の「Damage」アビリティをケアできるのはもちろん、コンパクトにゲームを締めることができるので、EXバーストによる逆転を許しにくいという強みがあります。
「火風土水【光の戦士】」は比較的EXバーストの多いデッキですが、そのほとんどが手札を増やす手段であり、増えた手札から除去する手段も【14-113R】《リヴァイアサン》くらいなので、ターンが返ってくるまでEXバーストの恩恵を享受できないと言えます。また【16-042R】《ラスウェル》が手札の増えるEXバーストのケアになりやすいということもあり、こうした要素から非常に有効なデッキと言えます。
特に最近はプレイヤー全体の「火氷雷【騎士】」への理解が深まってきたことから、初期の環境ほど安定して勝つことが難しくなってきました。
たるほ:2点→5点のリーサルプランは【21-121L】《ウォーリアオブライト》を使った「コスト3WoL」と呼ばれるデッキタイプでも狙うことができますが、こちらはそれほど大きな課題にはならないのでしょうか?
えあ:「コスト3WoL」は大前提として【21-121L】《ウォーリアオブライト》をキャストしなければならないため、【12-002H】《アマテラス》のリスクが高く、安定して「火風土水【光の戦士】」に勝ち切るのは難しいと思います。もちろんこちらに【12-002H】《アマテラス》がなく押し切れる試合もありますが、【12-002H】《アマテラス》をケアしながら立ち回れる「火氷雷【騎士】」に比べると勝率は大きく変わってくると思います。
たるほ:「土水カオスアーク」はバックアップをブレイクできる点が有効に働くということですが、【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》のコンボ自体も「火風土水【光の戦士】」には有効そうですね。
えあ:ただ【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》に対しては【19-108L】《ジタン》という明確な回答がある以上、コンボ単体で「火風土水【光の戦士】」に勝ち切るのは難しいと思うので、両方のアプローチがそろってこそのデッキですね。コントロールデッキ全般にいえることですが相手を完封してからアタックすればいいのでEXバーストによる逆転が難しいというのも「火風土水【光の戦士】」的には厳しいところです。
たるほ:準備させないということであれば氷属性の手札破壊とダル・凍結もかなり有効だったんですが、これはさきほども話に出た【12-074H】《アルジイ》でケアされるようになってしまって僕のように氷属性を使う側からするとかなり苦しいんですよね。
えあ:氷属性側は手札破壊+ブレイクゾーン除外でこれまでよりひと手間かけなければならなくなったのでかなり戦いやすくなりました。ただ【17-025C】《ギルバート》や【11-133S】《ケットシー》などの回答がないわけではなく、これらをサーチできる「氷雷」や「氷単」は油断ができない相手です。実際に私自身、今シーズン負けているのは氷属性のデッキに対してですし、金沢大会で「氷単」と対戦したときも勝つことはできたものの試合内容的には完敗だったと感じていました。
たるほ:あとは細かな点ですが、アドバンテージ源になる【19-102L】《レフィア》を放置しないというのも重要ですよね。
えあ:はい。ただ【19-102L】《レフィア》は基本的にフィールドに出たターンにアドバンテージを獲得できるカードですし、【10-068C】《クーシー》や【21-119H】《レナ》からも回収が可能なので、ただ除去するだけではいつか【19-102L】《レフィア》が定着してしまいます。なので【19-102L】《レフィア》が動き出す前に相手ターン中に除去するか、【19-102L】《レフィア》が尽きるまで継続した除去ができる必要がありますね。
たるほ:ここまでざっとまとめると、
・「火風土水【光の戦士】」の強さの根源は【19-102L】《レフィア》の存在と、ほかのデッキの存在に紛れて対策しにくいこと
・対策するなら【19-102L】《レフィア》が自由に動けないよう意識する
・【19-102L】《レフィア》を対策する方法は
①【ジョブ(光の戦士)】がそろうまえに殴りきる
②バックアップをブレイクする
③手札破壊とダル・凍結でリソースを枯らす
④【19-102L】《レフィア》を徹底的に除去する
これらが有効といった感じでしょうか。
えあ:ですね。
たるほ:「Standard Championship 2024」に向けて、対「火風土水【光の戦士】」の注目デッキはありますか。
えあ:私が考える現在のスタンダード環境のメタゲームは、トップメタに「火氷雷【騎士】」「土水カオスアーク」、その少し下に「火風土水【光の戦士】」、それに「氷雷」や「コスト3WoL」が続くというイメージなのですが、いま挙げたデッキはそれぞれ「火風土水【光の戦士】」に対抗しうる要素を持っていると思います。特に「火氷雷【騎士】」と「土水カオスアーク」は明確に「火風土水【光の戦士】」に対する強みを持っていますし、だからこそトップメタに位置しているという認識です。
また先ほど少し触れましたが、【17-025C】《ギルバート》を採用した「氷単」は明確に「火風土水【光の戦士】」に強いデッキのひとつです。ほかのデッキとの相性などの課題はあるものの、今回の『打倒!「火風土水【光の戦士】」』というコンセプトにはもっともハマっているデッキと言えるかもしれません。
たるほ:なるほど。ありがとうございました。
◆おわりに
今回は日本一のヒカセンマスターであるえあさんと対談し、「火風土水【光の戦士】」の強みと攻略方法について聞いてきました。
隙の少ないデッキながら、しっかりと対策することでかなり戦いようもあるということがわかってきました。
しかし言うは易し、実際に戦うとなると強力なデッキであることは間違いないので「Standard Championship 2024」に向け、実践しながら戦い方を身に着けていきたいですね。また「火風土水【光の戦士】」を使おうと検討している方も、苦手要素をプレイでカバーできるよう、ぜひ練習に役立ててください。
さて、次回は引き続き「Standard Championship 2024」に向け、僕の環境考察をみなさんに共有する記事をお届けしたいと思いますのでお楽しみに!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!