【FFTCG】脳にやさしい「氷雷」でメタゲームを攻略 ~「MASTERS2024」神戸大会優勝者インタビュー~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「MASTERS 2024 1st season」神戸大会で優勝した、ぱっつぁんさんのインタビューをお届けします。

◆はじめに
皆さん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです

今週も、現在開催されている「MASTERS 2024 1st season」の優勝者インタビューをお届けします。今回インタビューするのは4月13日に開催された神戸大会で「氷雷」を使用し優勝されたぱっつぁんさんです。

根強い人気を誇る「氷雷」は「秘められた希望」でどのような進化を遂げたのか、2代目“FFTCG名人”ならではの視点からその変化についてうかがいました。

それでは、さっそく始めていきましょう! 

 


◆「Limit Break」の登場で環境に適応した「氷雷」 

――「MASTERS 2024」神戸大会、優勝おめでとうございます。

ぱっつぁん:ありがとうございます。

――ぱっつぁんさんは「氷雷」を使用しての優勝でした。「氷雷」は根強い人気のあるデッキですが、ひとつ前の「運命を超えて」環境での活躍は今ひとつといった感じで、公式トーナメントでは久しぶりの優勝というイメージです。今回はどういった経緯から「氷雷」を選択されたのでしょう? 

ぱっつぁん:「氷雷」を使った最大の理由は、現在環境で人気を博している「火氷水【騎士】」に対して明確に有利と言えるデッキだったからです。

デッキリスト「氷雷」(「MASTERS 2024」神戸大会優勝 フォーマット:スタンダード)

カード番号 カード名 枚数
【メインデッキ】
フォワード(30枚) 
【19-019R】 《ヴィンセント》 3
【16-030L】 《シャントット》 2
【18-019R】 《ヴァイス》 3
【20-040L】 《ルーファウス》 3
【21-036H】 《ヤ・シュトラ》 2
【13-028L】 《ファイサリス》 3
【17-091L】 《エクスデス》 3
【22-077H】 《ガルーダ [III]》 2
【14-122L】 《アルシド》 3
【18-116L】 《セフィロス》 3
【16-124H】 《ライトニング》 3
バックアップ(15枚) 
【18-028C】 《ネロ》 3
【16-041C】 《ユウナレスカ》 3
【11-133S】 《ケットシー》 1
【20-028R】 《シスネ》 1
【15-136S】 《プレジデント神羅》 2
【4-120R】 《レストリクター》 3
【9-098C】 《リーブ》 2
召喚獣(5枚) 
【17-090R】 《イクシオン》 3
【21-084H】 《オーディン》 1
【22-076R】 《オーディン》 1
【LBデッキ】
フォワード(8枚) 
【22-114H】 《ヴィクトラ》 2
【22-115R】 《サージェス》 1
【22-120H】 《クラウド》 2
【22-121R】 《ライトニング》 2
【22-124H】 《リレルリラ》 1

もともと神戸大会に参加するにあたって、現在のスタンダード環境で躍進を見せている「火氷水【騎士】」は強く意識していたデッキで、調整を行うなかでも「火氷水【騎士】」を使うか対策するかのどちらかの方針で参加しようと考えていました。

そのため前日までは「火氷水【騎士】」か、その対抗馬として考えていた「火単マギサ」が候補に挙がっていたのですが、直前まで調整を重ねた結果「火単マギサ」は「火氷水【騎士】」とのマッチアップで思っていたほど安定した勝率を残すことができず、また「火氷水【騎士】」は構築を煮詰めるほど【13-022H】《シド・ランデル》や【22-105H】《ミワ》などミラーマッチでの有利不利を劇的に変えるカードが重要になると考えるようになったのですが、それらの採用により純度が下がるとデッキとしての出力が維持できなくなるというジレンマにはまってしまい、その課題を解決できなかったため使うこと自体をためらうようになっていました。


大会当日に「使うデッキがなくなってしまったな……」と悩んでいたとき、そういえば「イフリート(DiscordのFFTCG
[JAPAN] サーバー内にあるボイスチャンネル)」でたるほさんと「氷雷」が構造上「騎士」に強いという話をしたことを思い出します。「氷雷」であれば以前使った経験もあったので、プレイの練度的にも問題なく使用できる自信がありましたし、デッキ自体も「Limit Break」の登場で大きく強化されていたので、現在の環境でも十分に通用するポテンシャルがあると考え神戸大会は「氷雷」を使おうと決心しました。大会当日の朝、出発直前の話です。

――では今回のデッキは当日に仕上げられたものだったと? 

ぱっつぁん:いえ、デッキに関してはイフリートでたるほさんと話していたときに見せてもらったリストを参考にさせてもらいました。実は50枚中48枚はそのときに話した構築を流用しています。なので、実は今回たるほさんにはかなり感謝しています(笑)。 

――密かにぱっつぁんさんの勝利に貢献できたと。なんだか照れちゃいますね(笑)。 

ぱっつぁん:はい。デッキの基本的な考え方はこれまでどおり【18-019R】《ヴァイス》【18-028C】《ネロ》のパッケージで手札を捨てさせることで【18-019R】《ヴァイス》のダル、凍結効果を誘発させ相手のリソースを縛っていく動きを軸に【20-040L】《ルーファウス》、【18-116L】《セフィロス》【16-041C】《ユウナレスカ》などの追加の手札破壊を合わせていく部分は変わりません。

そこに「Limit Break」をはじめとする「秘められた希望」の新カードが加わり、純粋にアップデートされたかたちになります。

――「Limit Break」の追加は「氷雷」にとってかなり大きな恩恵でしたね。

ぱっつぁん:そうですね。【22-120H】《クラウド》の追加は言うまでもありませんが、氷属性には【22-114H】《ヴィクトラ》がいるのでさらに除去手段が手厚く、【22-115R】《サージェス》によるダル、凍結との使い分けもできるのでかなり強力です。

アビリティによる除去が効かない相手に対しては【22-121R】《ライトニング》で召喚獣を回収する動きもできるので、LBカードを無駄なく使える点で「氷雷」は他のデッキと比べて一歩抜きん出ていると感じます。



また「氷雷」に関しては
LBコスト2のカードが3種類使えるというのも非常に大きいと感じています。

LBデッキをこの構成にした場合、たとえば【22-120H】《クラウド》A(1枚目)を使うときのコストとして【22-121R】《ライトニング》Aと【22-114H】《ヴィクトラ》Aをコストとして表向きにすると、次にLBカードをキャストする際は【22-120H】《クラウド》・【22-121R】《ライトニング》・【22-114H】《ヴィクトラ》と、すべての選択肢を残すことができます。これによりLBコストとして使うカードを固定化すると、状況に応じてどのカードをLBコストにすべきか思考する必要がなくなるので、プレイのストレスが低下します。僕はこれを「脳に優しい」と言っています。

「氷雷」はじわじわ勝つデッキで明確にここまで行ったら勝ちという盤面がなく、1枚で状況を打破できるカードもあまりないため、一見すると勝っていそうに見えてもトップから回答を引かれるとそれ1枚で逆転を許してしまうことが多いタイトなデッキす。それゆえに一つ一つのプレイをかなり慎重に行わなければならないと考えているのですが、そういったデッキだからこそある程度プレイする行動が固定化されていると細かなミスが減り、結果的に勝利に貢献してくれると考えています。

――「Limit Break」が登場したことで「氷雷」は本当に強くなりましたよね。

ぱっつぁん:LBデッキに除去が豊富にあるため、脅威に対して即座に対応できるようになったことは明確に強化された点です。

特に「氷雷」の視点で考えると、これまで天敵だった「火土水【光の戦士】」の【19-102L】《レフィア》を打ち漏らさずに除去できるようになったのが大きいです。


以前までの「氷雷」は一度【19-102L】《レフィア》を出されてしまうとうまく対処できずに【19-102L】《レフィア》が定着し、容易に負けてしまう展開を許していたのですが、「秘められた希望」の登場以降は、一度こそ【19-102L】《レフィア》のアビリティを許してしまうものの返しのターンには確実に除去できるので、相性関係は大きく改善されました

もちろん不利だった相性が有利になったとまでは言えませんが、それでも劇的な変化であり、こうした相性関係の改善も今回の優勝という結果に響いていると思います。

――ぱっつぁんさんも強く意識されていた「火氷水【騎士】」デッキですが、このデッキに対し「氷雷」は具体的にどう強いのでしょうか?

ぱっつぁん:対「火氷水【騎士】」に限った話ではないのですが、そもそも氷属性のダル凍結で相手のキャラクターを縛っていくという戦い方がアグロデッキ全般に対して強い行為です。というのも、このダル、凍結という行為はゲームの序盤では凍結対象がバックアップに限られることが多く相手のリソースを縛るだけにとどまるのですが、序盤からフォワードを展開しダメージレースを仕掛けてくるアグロデッキに対してはフォワードを凍結させることでゲームスピードを遅くしたり、バックアップを凍結させることで本来どおりリソースを縛ったりするなど、こちらの行動の選択肢が広くなります。

「火氷水【騎士】」はバックアップをほとんど置かずに戦うので、少ないリソースを縛り、フォワードをダル、凍結させてアタックを封じることで簡単に機能不全に持ち込めます。

また「火氷水【騎士】」は採用されるカードがコスト2の【ジョブ(騎士)】に集中するデッキなので、【17-090R】《イクシオン》が刺さりやすいというのもポイントです。


――【17-090R】《イクシオン》は「火雷【XIII】」などを意識して自然に採用されているカードでしたし、デッキの構築を歪めずに自然なかたちで対策カードを採用できるのがいいですね。

ぱっつぁん:このほかにも「秘められた希望」では新たに【22-077H】《ガルーダ [III]》が登場しています。対戦相手のコントロールする指定したコストのフォワードに8000ダメージを与えるというアビリティは「火氷水【騎士】」だけでなく、「火氷水ウォーリアオブライト」のようなフォワードが特定のコスト帯に集中しているデッキに対して有効なだけでなく、【16-051L】《セシル》のようなこれまで「氷雷」が触れにくかったフォワードにも対処できるようになり、デッキの強化に大きく貢献してくれたカードです。


反面、「氷雷」自体もコスト4のフォワードを多く採用しているデッキなので、雷属性を使用しているデッキとの対戦ではこちらのフォワードを並べ過ぎないように意識してプレイしていました。

――ほかに「秘められた希望」の新カードでは【22-076R】《オーディン》が採用されています。【21-084H】《オーディン》と1枚ずつの採用ですが、これは内訳を意識してでしょうか?

ぱっつぁん:そうですね。【22-121R】《ライトニング》があるので、状況に応じて使い分けられればと考えていました。
これらのカードは最近環境で増えている【13-022H】《シド・ランデル》や、「氷雷」では対処しにくい【19-128L】《ウォーリアオブライト》、天敵である「火土水【光の戦士】」の【19-102L】《レフィア》を意識して採用したカードです。散らした理由としては【16-043H】《アトモス》や【16-117H】《トロス》などを対処するとき【21-084H】《オーディン》があったほうが便利だと考えたからです。


ただ、神戸大会を経てこのスロットは明確に【22-076R】《オーディン》にしたほうがいいと考えるようになりました。というのも【21-084H】《オーディン》の場合、「火氷水【騎士】」で採用されている【13-023R】《シャルロット》がいたら必ず選ばなければならず、本来倒したいフォワードから的を吸われてしまう可能性があるからです。またバックアップをコストに使って1ドローする機会が思った以上に多かったです。


仮にもう一度「氷雷」を使うなら間違いなく【22-076R】《オーディン》に絞って採用すると思います。

――除去範囲の狭さが逆に有効に働いたということですね。今回大会を通じて意識してプレイされたことなどはありましたか?

ぱっつぁん:マリガンの基準についてはかなり意識しました。具体的にはどんな手札であっても【18-028C】《ネロ》を狙って引き直すようにしていました。
もちろん【18-028C】《ネロ》がなくても戦える手札のパターンもあるのですが、【18-028C】《ネロ》からスタートできるかどうかでゲームの難しさが大きく変わります。なので、その点は徹底するよう意識していました。

また「氷雷」はアタック時に強力な効果を持つカードが多いのですが、先ほど話したとおりトップデッキの1枚で逆転されてしまう可能性が高いデッキなので、EXバーストする可能性とアタックしたときのアビリティのリターンを天秤にかけ、アタックするかしないかの判断はかなり気を使って行いました

――今回優勝したことで早くも「MASTERS 2024 FINAL」の出場権利を獲得されたわけですが、今後の目標などあればお願いします。

ぱっつぁん:本戦はまだ先ですし、今はまだ特にないかなという感じです。
それよりも「Standard Championship 2024」など目先の大きなトーナメントが控えているので、当面はそちらに注力していきたいと思います。

――ありがとうございました。


◆おわりに 
今回は「MASTERS 2024」神戸大会で優勝されたぱっつぁんさんのインタビューをお届けしました。
前シーズンでは今ひとつ活躍の機会を逃していた「氷雷」を環境に合わせてアップデートし、みごと優勝を掴みました。

2代目“FFTCG名人”として早くも「MASTERS 2024 FINAL」に駒を進め、今期も活躍が期待できるぱっつぁんさんがどんな活躍を見せてくれるのか、今シーズンも楽しみです。

先週末の下関大会からはついにL3構築も始まっており、さらに盛り上がっていく「MASTERS 2024」の様子は今後もお届けしていきたいと思います。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!