『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「Standard Championship 2023」で準優勝をおさめた「火土水【光の戦士】」について、使用者のありかさんのインタビューをお届けします。
◆はじめに
みなさん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
今週は、最近多くのリクエストをいただいていた「火土水【光の戦士】」デッキについてのインタビューをお届けします。
お話をうかがったのは「火土水【光の戦士】」を使って「Standard Championship 2023」で準優勝という成績を残したありかさんです。
ありかさんは『FFTCG』を本格的にプレイし始めて間もないながら、「日本選手権 2023」千葉大会ではベスト4入賞、「Standard Championship 2023」では準優勝と、いま勢いに乗っている気鋭のプレイヤーです。
それでは、さっそく始めていきましょう。
◆徹底解説、「火土水【光の戦士】」
――今回はインタビューを受けていただきありがとうございます。ありかさんの「火土水【光の戦士】」は、その戦略や構築を知りたいというリクエストが多く、それだけプレイヤーの興味を集めているデッキです。
ありか:ありがとうございます。よろしくお願いします。
――では、さっそくお話しを聞いていきたいと思います。まずはこの「火土水【光の戦士】」を作った経緯について聞かせてください。
ありか:はい。このデッキのスタートになったのは「悪夢より来たる」で登場した【19-102L】《レフィア》に魅力を感じ、デッキを考えようと思ったことです。同じく【ジョブ(光の戦士)】には優秀なフォワードである【18-012L】《ファリス》もおり、この2枚を軸としてデッキ構築に着手しました。初期段階では「火水」の組み合わせでデッキを考えていました。
●初期デッキリスト:「火水【光の戦士】」(フォーマット:スタンダード)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(27枚) | ||
【12-001R】 | 《アイギス》 | 2 |
【16-004C】 | 《オニオンナイト》 | 3 |
【18-012L】 | 《ファリス》 | 3 |
【16-013H】 | 《ソール》 | 3 |
【15-126R】 | 《レナ》 | 3 |
【7-115R】 | 《ダスク》 | 1 |
【19-102L】 | 《レフィア》 | 3 |
【18-130L】 | 《フリオニール》 | 3 |
【19-128L】 | 《ウォーリアオブライト》 | 3 |
【5-146H】 | 《ウォル》 | 3 |
バックアップ(16枚) | ||
【13-015C】 | 《ルーネス》 | 3 |
【15-007C】 | 《侍》 | 3 |
【15-123C】 | 《予言士》 | 3 |
【10-121C】 | 《モーグリ-4組-》 | 1 |
【5-123H】 | 《エリア》 | 3 |
【12-099R】 | 《セーラ [FFL]》 | 3 |
召喚獣(7枚) | ||
【12-002H】 | 《アマテラス》 | 3 |
【15-014H】 | 《ブリュンヒルデ》 | 2 |
【9-114C】 | 《不浄王キュクレイン》 | 2 |
これ自体は悪くなかったのですが、【19-102L】《レフィア》のアクションアビリティを使ううえでフィールドに【ジョブ(光の戦士)】を4体必要とする都合上、できるだけ場持ちのいい【ジョブ(光の戦士)】を採用することが望ましく、バックアップの【ジョブ(光の戦士)】が【13-015C】《ルーネス》と【12-099R】《セーラ [FFL]》の2種しかいない「火水」の組み合わせではどうしても【1-107L】《シャントット》や【15-082H】《ヘカトンケイル》などの全体除去を受けると【ジョブ(光の戦士)】を並べられないという弱点がありました。
そこをどうにかしたいなと考えてバックアップの【ジョブ(光の戦士)】の枚数を増やし、【19-102L】《レフィア》+バックアップの【ジョブ(光の戦士)】3体でアクションアビリティのコストを確保できるようにするべく、3属性目の採用を検討し始めました。
●デッキリスト:「火土水【光の戦士】」(「Standard Championship 2023」準優勝 フォーマット:スタンダード)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(23枚) | ||
【12-011C】 | 《ソール》 | 2 |
【12-001R】 | 《アイギス》 | 1 |
【18-012L】 | 《ファリス》 | 3 |
【7-115R】 | 《ダスク》 | 1 |
【19-102L】 | 《レフィア》 | 3 |
【12-128L】 | 《ファリス》 | 1 |
【18-130L】 | 《フリオニール》 | 3 |
【18-111L】 | 《バッシュ》 | 3 |
【19-128L】 | 《ウォーリアオブライト》 | 3 |
【5-146H】 | 《ウォル》 | 2 |
【12-109L】 | 《レナ》 | 1 |
バックアップ(17枚) | ||
【13-015C】 | 《ルーネス》 | 3 |
【5-085R】 | 《セーラ [MOBIUS]》 | 1 |
【13-055C】 | 《イングズ》 | 2 |
【18-055R】 | 《クルル》 | 3 |
【11-072R】 | 《デシ》 | 2 |
【5-123H】 | 《エリア》 | 3 |
【12-099R】 | 《セーラ [FFL]》 | 3 |
召喚獣(10枚) | ||
【12-002H】 | 《アマテラス》 | 3 |
【8-083C/1-117R】 | 《ヘカトンケイル》 | 2 |
【9-068H】 | 《ドラゴン》 | 3 |
【10-068C】 | 《クーシー》 | 2 |
バックアップの【ジョブ(光の戦士)】を増やすだけなら【13-035C】《アルクゥ》のある風属性でもよかったのですが、土属性には同サイクルの【13-055C】《イングズ》に加え【18-055R】《クルル》が存在するため、単純に採用できる【ジョブ(光の戦士)】が1種類増えるというメリットがありました。
また、土属性を採用するもう1つのメリットとして、【11-072R】《デシ》の採用が可能になったことが挙げられます。もともと「火水」の段階で【12-001R】《アイギス》や【16-013H】《ソール》など【19-128L】《ウォーリアオブライト》をフィールドに出す手段は確保されていたのですが、【11-072R】《デシ》により風属性のCPを確保できるようになったことで、【19-128L】《ウォーリアオブライト》のキャストを狙うプランも視野に入れたプレイができるようになりました。
――はじめから現在の形だったわけではなく、【19-102L】《レフィア》にフォーカスしデッキを煮詰めていった結果現在の構築にたどり着いたというわけですね。【19-102L】《レフィア》からスタートしたデッキということでしたが、具体的に【19-102L】《レフィア》のどういった点を評価していたのでしょう。
ありか:やはり【19-102L】《レフィア》の「あなたのアタックフェイズ開始時、あなたのコントロールするすべての【ジョブ(光の戦士)】をアクティブにする。この効果によってダル状態のキャラクターが4体以上アクティブになったとき、カードを1枚引く。」というオートアビリティが『FFTCG』全体のなかでも破格の性能を持っていると思っていて、バックアップの【ジョブ(光の戦士)】が多いこのデッキにおいては、採用しているほとんどのフォワードを実質タダでキャストできるようになるのはデッキの大きな強みです。
また【19-102L】《レフィア》のアクションアビリティにより【ジョブ(光の戦士)】4体をダルにすることで、相手のフォワードをデッキの1番上か下に送れるのも強力です。単純な除去性能はもちろんのこと、これによりEXバーストをケアしつつ安全に殴り切れるため、運に左右されにくい勝ち筋を確保できる点も非常に評価していました。もちろんコストとしてフォワードをダルにしても前述のオートアビリティでアクティブになり、攻めに転じられるのもいいですね。
――もう1つの軸として【18-012L】《ファリス》を挙げていましたが、こちらも非常に強力なフォワードですよね。
ありか:【18-012L】《ファリス》は「ファリスがフィールドに出るかアタックしたとき、すべてのフォワードに1000ダメージを与える。」と「ファリスかあなたのコントロールする【ジョブ(光の戦士)】のフォワード1体にダメージが与えられるたび、対戦相手のコントロールするフォワードを最大1体まで選ぶ。それに3000ダメージを与える。」という2つのオートアビリティを持っていますが、【ジョブ(光の戦士)】のフォワードを多用するこのデッキでは非常に高い制圧力を発揮してくれます。
――【18-012L】《ファリス》は、Damage 3で有効になるサーチ能力も強力ですね。
ありか:ゲーム中盤以降なら【19-102L】《レフィア》に直接アクセスできるのも【18-012L】《ファリス》の強いところで、状況に応じて【13-015C】《ルーネス》などのバックアップにもリーチできるなど、デッキを【ジョブ(光の戦士)】で固める理由を作ってくれるという意味でもデッキの軸として活躍してくれます。
――これまで【18-012L】《ファリス》はコントロール型「火単」に採用される機会などが多いカードでしたが、ポテンシャルを最大限発揮できるこのデッキではさらに1段階上の強さを見せてくれますね。【ジョブ(光の戦士)】といえば「悪夢より来たる」の顔ともいえる【19-128L】《ウォーリアオブライト》も当然採用されています。このデッキは【12-001R】《アイギス》による踏み倒しや、【11-072R】《デシ》を絡めたキャストなど、フィールドに送り出す手段も豊富ですね。
ありか:もちろん【19-128L】《ウォーリアオブライト》はフィールドに出て強いフォワードですが、このデッキにおける位置づけとしてもっとも重要度の高い使い方は、コストとして必要な属性のCPを安定して供給してくれる点にあると考えています。
2属性以上を供給できるバックアップを【11-072R】《デシ》以外採用していないことを考えると、手札を管理し任意のタイミングで必要な属性を供給することが難しいという課題があります。そういった状況に備えて【12-099R】《セーラ [FFL]》や【5-123H】《エリア》からあらかじめ【19-128L】《ウォーリアオブライト》をサーチしておくことで、必要なCPを確保しておけるのがこのデッキにおける強い点だと考えています。
もちろんほかのデッキ同様、フィールドに出たときにも活躍してくれることには変わりありません。
【19-102L】《レフィア》とのシナジーという観点からすると、パワー10000のスタッツから場持ちがよいという点も好相性です。【19-102L】《レフィア》のオートアビリティでアクティブになることを活かし、アクションアビリティを2回使って10000ダメージを与えられる継続した除去カードになるのは言うまでもなく、ブレイブによって相手ターンでも【19-102L】《レフィア》を構えやすくなる点も見逃せません。
後ほどあらためて話すことになると思いますが、【19-128L】《ウォーリアオブライト》を踏み倒す手段である【12-001R】《アイギス》とセットで【12-099R】《セーラ [FFL]》からサーチし、9000と10000のパワーラインを持つフォワードを並べ強固な盤面を形成することで、【15-082H】《ヘカトンケイル》による全体除去をかわしつつ、後の【19-102L】《レフィア》に備えたり、序盤のフォワード展開を得意とするデッキに対するブロッカー兼アタッカーとして、相手のゲームレンジに合わせた柔軟な立ち回りも可能にしてくれます。
――【19-128L】《ウォーリアオブライト》を採用している一般的なデッキに比べて、コストとしてデッキの足回りに貢献してくれる点を高く評価されているわけですね。デッキのゴールとしてではなく、本体が持つポテンシャルはあくまで副次的な恩恵であると。
ありか:そうですね。「土水【WoL】」のような【12-097H】《シルドラ》によってバックアップをはじめとするCP供給基盤の管理を行なっているデッキに比べ、それがないぶんCP供給に問題が起こりやすく、特にゲーム序盤で複数の属性のCPを要求されるケースも多いので、その課題を解消できる役割を果たせるメリットは大きく、デッキの基盤という意味で高く評価しています。
――このデッキにはこれ以外にも【ジョブ(光の戦士)】が多数採用されています。これらについてもお聞きしていこうと思います。まずはいまちょうど話題にも挙がった【12-001R】《アイギス》についてお願いします。
ありか:運用に関しては先ほど話したとおり、【19-128L】《ウォーリアオブライト》とのセットでの運用でパワーラインを確保したり、速いデッキへの解答としてゲームレンジを合わせる役割を持つカードとして採用しています。
また、【12-099R】《セーラ [FFL]》からこの組み合わせでサーチを行なうと、相手に明確な脅威を見せつけられるため、対応を余儀なくさせられるという強制力も1つのメリットだと考えています。
限られた状況でしか活躍させにくいため採用自体は1枚に留めていますが、豊富なサーチ手段を持つため、1枚あるかないかでデッキの対応力がぐっと変わるカードです。同じく1枚採用の【7-115R】《ダスク》も頭数を並べるという役割では【12-001R】《アイギス》と近い位置づけのカードです。
こちらはすでに【ジョブ(光の戦士)】が置かれている状況でさらに追加するという使い方になり、フィールドに出たとき追加のドローが付くため実質的に1CPでの運用が可能という点で【12-001R】《アイギス》とは違った役割を持てるカードです。
また、自身をダルにすることで召喚獣のコストを軽減するアクションアビリティも地味ながら重要です。もっとも代表的な使い方は、相手ターンにアクションアビリティを使うことで【12-002H】《アマテラス》や【9-068H】《ドラゴン》といったカウンター手段を2CPでキャストできるようになる点です。
――【12-002H】《アマテラス》や【9-068H】《ドラゴン》をコスト軽減できる強さは、かつての【14-116H】《マシュリー》を彷彿とさせます。
ありか:手札1枚のコストでこれらのカードをキャストできる動きは、大会中も非常に活躍してくれました。
また、このアビリティは召喚獣のコストを軽減しないときにも使い道があって、それが【19-102L】《レフィア》とのシナジーです。通常、コストを支払うために自身をダルにするバックアップと違い、フォワードをダルにするためにはアタックする必要があります。しかし【7-115R】《ダスク》はアクションアビリティのコストによりアタックせずに自身をダルにできるため、たとえ相手のフィールドにフォワードがいない状況でも無理やり【19-102L】《レフィア》のドロー効果につなげることが可能です。これはこのデッキにおいてもっとも重要なテクニックのひとつです。
――1枚採用という点では【12-128L】《ファリス》も共通しているのかなと思います。こちらは【18-012L】《ファリス》との兼ね合いもあるかと思いますが、どういった意図から採用されたのでしょう?
ありか:【12-128L】《ファリス》に関しては、第一に多属性カードであるため手札からのコストとして優秀であるという点が挙げられます。位置づけとしては【19-128L】《ウォーリアオブライト》と近いです。
もちろんこれも、ただコストとして採用しているというわけではなく、フォワード展開が速いデッキに対して【15-012H】《ファリス》+【5-146H】《ウォル》のような動きで制圧しながら展開するプランをとる場合もあります。
また、コスト軽減の対象はバックアップの【ジョブ(光の戦士)】まで及ぶので、【12-099R】《セーラ [FFL]》や【18-055R】《クルル》のコストを軽減しながらバックアップを広げられるという点で【18-012L】《ファリス》と使い分けができます。
――【12-011C】《ソール》は前述の【ジョブ(光の戦士)】たちに比べ2枚採用と、やや厚めの採用となっています。
ありか:【12-011C】《ソール》はコスト1という数値が優秀で、【19-102L】《レフィア》のコストと考えたとき、実質的にアクティブ状態の【ジョブ(光の戦士)】を減らさずにキャストできる点が使いやすいカードでした。
また、バックアップまで範囲が及ぶサーチ能力が強く、積極的に展開したいカードでもありました。
【ジョブ(光の戦士)】のフォワードがいることを条件に得られるヘイストも【18-012L】《ファリス》などの展開が優先されるこのデッキでは使いやすく、積極的にサーチを狙いやすいカードとなっています。
パーティーアタックをするたびにサーチできるため、生存するほどアドバンテージを伸ばしていけるカードですが、自身のパワーが2000かつパーティーを組む相手にパワー7000が多いこともあり、アタック時は9000ラインになるため相手視点からもブロックしにくく、【12-011C】《ソール》と相打ちとなればこちらとしては得なトレードになるため、見た目以上に扱いやすく活躍してくれるカードでした。
――このデッキの特徴的な点として【5-146H】《ウォル》と【12-109L】《レナ》を同時採用していることが挙げられると思います。光属性の複数採用はリスクにつながりやすいうえ、【1-183H】《コスモス》なども採用されていませんが、リスクをとってでも採用する価値のあるカードということでしょうか?
ありか:まず【5-146H】《ウォル》ですが、これは直接的なサーチではないものの、バックアップの【ジョブ(光の戦士)】にアプローチできるカードであることを評価し採用しています。
デッキの立ち上がりのプランとして、【12-099R】《セーラ [FFL]》から【19-102L】《レフィア》と【5-146H】《ウォル》をサーチし【5-146H】《ウォル》をキャスト、そこからバックアップにつながれば2ターン目には【19-102L】《レフィア》のアビリティの条件を達成できます。これは、このデッキで目指す序盤の理想的な展開の1つです。
また、このときバックアップにたどり着けなくても、構築上【ジョブ(光の戦士)】が手札に入らないことはないため、リソース面で損をすることもありません。
それに、ブレイクゾーンに置かれたときに誘発するオートアビリティでブレイクゾーンからコスト3以下の【ジョブ(光の戦士)】を蘇生できる効果も強力で、この効果はバックアップも選べるため序盤コストにせざるをえなかったバックアップをフィールドに戻すという展開も大会中しばしばありました。
さらに、このアビリティを持つことで相手視点では【5-146H】《ウォル》を倒したくないと考えての立ち回りをさせられるため、結果的に場持ちがよくなり【19-102L】《レフィア》のコストとなる【ジョブ(光の戦士)】のカウントを増やすことにも貢献してくれます。
戦闘面でも秀でており、特に【18-012L】《ファリス》がブレイクゾーンにある状況の【5-146H】《ウォル》は、パワーの高いフォワードがいても相手にブロックを躊躇させる、プレッシャーの強いカードとなります。
多方面に優れた個性を持ち、デッキの要としていたカードなので個人的にも3枚採用したいカードではありましたが、【12-109L】《レナ》の採用にあたり、どうしても光属性を4枚以上採用するリスクは許容できないと考えたため、今回は泣く泣く2枚採用に留めています。
――【5-146H】《ウォル》は以前から【ジョブ(光の戦士)】をテーマにしたデッキで採用されることの多いカードでしたが、【18-012L】《ファリス》と【19-102L】《レフィア》の追加でグッと強くなった印象です。そんな【5-146H】《ウォル》の枠を1枚使ってデッキに採用した【12-109L】《レナ》にはどういった強さがあるのでしょう?
ありか:もともと初期段階では【5-146H】《ウォル》を3枚採用しており、【12-109L】《レナ》は採用していませんでした。しかし「火水」から「火土水」に変わるにあたってクリスタルギミックの採用の必要がなくなり、【15-126R】《レナ》を採用しなくなったことで、こちらが選択肢に入るようになりました。
【12-109L】《レナ》の強さはアクションアビリティでアレイズカウンターを消費することで、ブレイクゾーンにある消費したアレイズカウンターの数と同じコストを持つフォワードを蘇生できることです。
ただアクションアビリティの宿命として使用するまでにタイムラグがあり、効果を発揮する前に対処されてしまうという弱点があるのですが、このデッキには【12-109L】《レナ》にヘイストを与える【13-015C】《ルーネス》が採用されているため、キャストしたターンからアビリティを使えます。
そして、このアクションアビリティから【19-102L】《レフィア》を蘇生しアタックフェイズに入ることで、さらに【12-109L】《レナ》をアクティブにし、1ターン中に複数回このアビリティを使うというコンボも存在します。
【12-109L】《レナ》の欠点としてアレイズカウンターを失ったあと、アクションアビリティが役割を失ってしまうという点もありますが、【7-115R】《ダスク》のときに話したとおり、このデッキにおいて自身からダルになれる【ジョブ(光の戦士)】は【19-102L】《レフィア》を運用するうえでの重要な役割を持つため、終始腐ることなく活躍し続けさせられる非常に重要なカードと言えます。
実際、【12-109L】《レナ》のアクションアビリティを使う目的でもっとも多かったのは、蘇生をするための起動ではなく、【19-102L】《レフィア》の効果を使うためでした。
――本来役割を失うはずの【12-109L】《レナ》が継続したアドバンテージ源になるという発想には脱帽です。【19-102L】《レフィア》を起点にデッキ全体が強いシナジーを形成しており、一つ一つのカードのポテンシャルがカタログスペック以上に引き出されていますね。ここまで【ジョブ(光の戦士)】のフォワードについてお聞きしてきましたが、ここからは【ジョブ(光の戦士)】のバックアップについてもそれぞれの役割をお聞きしていきたいと思います。
ありか:このデッキのバックアップにおいてもっとも重要なのが【13-015C】《ルーネス》です。
ここまで説明してきたように、能動的にダルになれる【ジョブ(光の戦士)】は重要度が高いですが、【13-015C】《ルーネス》はこの条件を満たしつつ、【19-102L】《レフィア》でアクティブにしてアクションアビリティを複数回使うことで一気にヘイストを与え、デッキの攻撃性能の底上げも行なってくれるカードです。これにより【18-012L】《ファリス》で盤面を制圧したり、デッキの課題になりがちなダメージクロックの問題を解決するといった貢献をしてくれます。
同じく【カテゴリ(III)】の【ジョブ(光の戦士)】である【13-055C】《イングズ》も、非常に重要度が高いカードです。このカードの真骨頂は何といってもブレイブ付与で、コストにダルが必要なアクションアビリティを持つフォワードが多く、ダメージレースで遅れがちになるというデッキの課題を解決しつつ【19-102L】《レフィア》のアクションアビリティを使うチャンスを増やせることにあります。
――意外なのは、その【13-055C】《イングズ》が2枚採用に留まっていることです。いまの話からも【18-055R】《クルル》より優先度の高いカードかと思っていました。
ありか:このデッキはバックアップの名称が重複するため、できるだけ名前を散らしたいと考え【5-085R】《セーラ [MOBIUS]》を採用しているのですが、そのスロットを作るにあたり【13-055C】《イングズ》は1枚減らすことにしました。
【18-055R】《クルル》と【13-055C】《イングズ》を比較したとき、【18-055R】《クルル》はEXバーストでブレイクゾーンの召喚獣を回収できる点がほかのカードで代替できないポイントで、また【18-012L】《ファリス》を回収できる点も考慮しての採用となっています。
【5-085R】《セーラ [MOBIUS]》の採用にも通じる話ですが、このデッキは一般的なデッキに比べ、軸となるカードへの依存度が高くなっています。具体的には【19-102L】《レフィア》と【18-012L】《ファリス》への依存度が高く、この2枚を集中的に対処されるとそれだけで勝率を大きく落としてしまいます。
そのため、サーチ要素とブレイクゾーンの回収要素になるカードは全般的に高めに評価しています。【10-068C】《クーシー》なども同様の理由からの採用ですね。
――あらためて見直してみると、【13-015C】《ルーネス》と【13-055C】《イングズ》以外のバックアップはどちらかの要素を持つカードで固められていますね。【5-123H】《エリア》の3枚採用などはやや過剰な印象もありましたが、そういった背景があったわけですね。
ありか:こうしたカードはEXバーストも優秀なので、【18-111L】《バッシュ》を3枚採用していることも加味して枚数を厚くしています。
――【18-111L】《バッシュ》は強力なカードである反面、ゲーム終盤にキャストできるタイミングが限られる印象もあるので、3枚はなかなか勇気のある採用にも感じますね。
ありか:これまで話題に挙げた多属性カードと同様ですが、やはり手札から安定したコストに使いやすいという多属性カードの特徴は、採用の優先度が上がる基準になりやすいですね。
特に【18-111L】《バッシュ》は【12-002H】《アマテラス》と【9-068H】《ドラゴン》のコストを兼ねられる属性を持っていることが大きいです。バックアップへのアクセスとしても【13-015C】《ルーネス》と【13-055C】《イングズ》のどちらにもつなげられますし、非常に取り回しのいいカードでした。
――EXバーストに関してもかなり枚数を意識している印象を受けますが、具体的にどのあたりを意識しての採用なのでしょうか?
ありか:「火土水【光の戦士】」は展開の都合上、アグロデッキに対してはこちらもフォワードを展開しながら対抗していくという戦略をとらざるをえないのですが、そうなるとデッキ本来の動きに必要なリソースを使いすぎてしまうということが少なくありませんでした。そこで、ダメージレースのなかでEXバーストを発動させ、そこで増やした手札でデッキを動かすために必要なリソースを取り返そうと考えています。
その想定をするうえで1つの指標になったのが「火雷【XIII】」で、1ターンのアタックで4~5点まで詰めてくるため、そのなかに1枚はEXバーストがあってほしいと考え10枚以上の採用を目指しました。
――多属性カードである【18-130L】《フリオニール》も、これまでのお話と同様に多属性であることを買って採用枚数を厚くしているのでしょうか?
ありか:もちろんそれもあります。加えて【18-130L】《フリオニール》は、【12-109L】《レナ》からフィールドに送り出すフォワードのなかで特にアドバンテージにつながりやすいカードである点も考慮しています。
先ほど【12-109L】《レナ》と【19-102L】《レフィア》の相性のよさについてはお話しましたが、このときバックアップが5枚あれば【19-102L】《レフィア》の3CPぶんと【18-130L】《フリオニール》の2CPぶんできれいにアレイズカウンターを使い切って盤面を広げられます。
フィールドに出た【18-130L】《フリオニール》はそのままドローにつながるカードなので、一度に手札とフィールドを稼げる展開となります。こうした状況に備えるためにも早いターンからブレイクゾーンに【18-130L】《フリオニール》を置いておきたいと考えた結果、3枚採用となっています。先述した【12-011C】《ソール》とのパーティーアタックも狙いやすいため、この2体がパーティーアタックして大量のアドバンテージを稼ぐという展開もたびたびありました。
――【18-055R】《クルル》の採用について話されたとき、召喚獣を回収できることを評価されていましたが、このデッキにおける召喚獣の選定はどういった基準で行なわれたのでしょう?
ありか:【10-068C】《クーシー》に関しては先ほどお話したとおりですので割愛します。次に【9-068H】《ドラゴン》ですが、調整過程では2枚だったものを3枚採用としています。現在の環境は【9-068H】《ドラゴン》が活躍するメタゲームとなっていて、これはブレイクゾーンの除外にまつわるやり取りに起因していると思いますが、このデッキにおける【9-068H】《ドラゴン》の優先度はややずれていて、これは主に【15-082H】《ヘカトンケイル》へのカウンターとしての役割を優先しての結果となっています。最初に話したことですが、どうしても全体除去という弱点を抱えているデッキなので、まず優先して見るべきはここだと考え、今回は3枚採用としています。
【12-002H】《アマテラス》に関しても、主な対象となるのは【1-107L】《シャントット》です。このあたりは【12-002H】《アマテラス》の本来のメタ対象に照準が戻ってきたと思います。
また【12-002H】《アマテラス》は対【19-128L】《ウォーリアオブライト》における、キャスト時のオートアビリティへのストッパーとしての働きも期待しています。【19-128L】《ウォーリアオブライト》は【12-002H】《アマテラス》単体では除去できないので、この使い方はリソース交換的には大きく損してしまうのですが、一度【19-128L】《ウォーリアオブライト》のキャスト時のオートアビリティを許してしまうと、そこから手が付けられない展開を許すことになるので、【19-128L】《ウォーリアオブライト》に【12-002H】《アマテラス》を当てるというプレイは現環境でも重要だと考えています。
【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》も同様に相手の【19-128L】《ウォーリアオブライト》を意識して採用したカードです。【19-128L】《ウォーリアオブライト》を使うデッキはバックアップのリカバリー能力にも優れるため、これ1枚を使ったところで止めきることはできませんが、こちらのテンポに追いつかれないよう相手の一手を遅らせるための採用です。
――召喚獣に関してはかなり具体的な状況を見越しての採用となっている感じですね。ひとつ疑問なのが、相性のよさそうな【12-097H】《シルドラ》が採用されていない点です。これにはどういった理由があるのでしょうか?
ありか:もっとも端的な理由が、【12-097H】《シルドラ》を採用すると「土水【WoL】」デッキの亜種になってしまうと考えたからです。というのも、このデッキは【12-097H】《シルドラ》同様2枚サーチを行なえる【12-099R】《セーラ [FFL]》が採用されており、ほとんどのサーチのプランを【12-099R】《セーラ [FFL]》でまかなえます。
となると【12-097H】《シルドラ》が必要になるのは【12-099R】《セーラ [FFL]》をサーチするような局面だけになってしまうのですが、バックアップを安定させてコントロール気味に戦うのであればあえて「火土水【光の戦士】」を選択する理由がなくなり、「土水【WoL】」でいいという結論にたどり着いたため、今回は採用を見送っています。
ですが、中盤に1枚引けるとかなり強そうなタイミングもあったため、召喚獣の選択肢として1枚採用するというのはありだったかなとも思います。
◆期待のホープ、実力の源は
――今回お話を聞いてきたなかで、「火土水【光の戦士】」に対する印象がガラッと変わりました。以前はかなり繊細というかピーキーな構築という印象でしたが、1枚1枚のかみ合いが強く、相手に合わせたプランをとれて対応力も高い、見た目以上に骨太なデッキというのが現在の印象です。
ありか:そうですね。考えることはもちろん多いですが、デッキそのものの対応力に加え、レンジをずらしての戦いもしやすいデッキに仕上げられたんじゃないかと思います。
――僕自身はありかさんと以前から交流があり、『FFTCG』以外のカードゲームのプレイヤーとしての顔も知っていますが、それを踏まえても最近の活躍ぶりは目を見張るものがあると感じます。誤解を生みそうな表現になってしまいますが、少ない経験のなかでここまでの成績を残せたのには、なにか秘訣があったのでしょうか?
ありか:私の場合は周りの環境に恵まれていたというのが非常に大きいと思いますが、私自身が意識していたこととしては、人と同じデッキを使わないというポリシーを持っていることが結果に少なからず結びついていると感じています。
私はまだ『FFTCG』に取り組み始めてから日も短く、単純な『FFTCG』の地力では先達のプレイヤーに勝つことは難しいと考えています。そこで差をつけられる要素は何かと考えたとき、同じカードを使うにしても人とは別のアプローチをしたいということは念頭に置いていました。
そうした取り組みが幸運にも結果として今回の成績に反映されたという面はあるのかなと。
――今後の活躍も期待しています。次はぜひどこかの大会での優勝者としてインタビューさせてください。ありがとうございました。
◆おわりに
今回は、非常にリクエストの多かったありかさんの「火土水【光の戦士】」についてインタビューを行ないました。
非常に完成された50枚のリストであり、想像以上の大ボリュームになってしまいましたが、解説を聞いて印象がガラッと変わるほど細部まで詰め込まれたデッキだと感じる機会になりました。
今回のインタビューで興味を持っていただいた方は、ぜひこのデッキに触れてみてほしいと思います。
「悪夢より来たる」環境のスタンダードは無数にデッキが存在し、話題が尽きることはありません。さらにさまざまなデッキの情報を皆さんにお届けしていきたいと思いますので、今後もお楽しみください。こんなデッキが知りたい! というリクエストがあれば、気軽にお声がけくださいね。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!