【FFTCG】今年1人目の日本代表が決定! ~「Standard Championship 2023」優勝者インタビュー~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「Standard Championship」で優勝し、世界選手権への出場権を手にした閣下さんと、閣下さんのデッキ「土水WOL」をつくったeurekaさんのインタビューをお届けします。

◆はじめに
みなさんこんにちは!
「FFTCG」公式記事ライターのたるほです。

5月28日、29日の2日間にわたって、愛知県名古屋市のIMYホールで「Standard Championship 2023」が開催されました。参加されたみなさん、大会は楽しまれたでしょうか?

僕もプレイヤーとして、優勝者に贈られる「世界選手権 2023」への出場権利を目指し、大会に臨みました。調整を重ねた「氷雷」デッキで初日の予選ラウンドを6勝2敗で5位通過したものの、翌日の決勝ラウンドでは同じく「氷雷」使いのあずささん(元々は関西の強豪プレイヤーで、現在は名古屋を中心に活躍している)に負けてしまいベスト8という結果でした。満足のいく結果ではなかったものの、積み上げてきたものが反映される結果となったので、この悔しさをバネに、今後一層励んでいきたいと思います。

今回はそんな「Standard Championship 2023」で優勝し、4度目(!?!?)の「世界選手権」への出場を決めた閣下(今大会でのプレイヤーネームはKakka)さんと、彼を優勝へ導いた「土水【WoL】」を生み出したeurekaさんにインタビューを行ない、「土水【WoL】」の完全解説を行ないたいと思います

それではさっそく始めていきましょう!

 

◆細部まできめ細かい調整が施された、デッキビルダー・eureka謹製の「土水【WoL】」を最強プレイヤー・閣下が駆る
――「Standard Championship 2023」優勝おめでとうございます。
閣下:ありがとうございます。

――今回の優勝で閣下さんは「世界選手権 2023」の参加権利を獲得し、4度目の世界選手権出場という偉業を成し遂げました。まずは率直に今の気持ちを聞かせてください。

閣下:前回の「世界選手権 2019」は準優勝という悔しい結果に終わってしまったので、今回も挑戦できることをうれしく思います。また、何よりもデッキを教えてくれたeurekaくんに深く感謝しています。

――今回、閣下さんはeurekaさん謹製の「土水【WoL】」を使用されましたが、デッキを選択し、鍛え上げるまでどういった道のりをたどってきたのでしょうか?

閣下:「Standard Championship 2023」にあたっては、ゴールデンウィークごろから調整を開始しました。たるほさんも参加していた、eurekaくん・しどくんたちと行なった練習会が最初になります。

――よく覚えています。ですが当時は「土水【WoL】」を使用していませんでしたよね。

閣下:当時は「悪夢より来たる」環境のスタンダードにまだ触れていない時期だったので、使用デッキの具体的な構想はありませんでした。

ただ当時から1つ考えていたのは、「こちらから攻めるタイプのデッキより、相手に合わせて柔軟に動ける対応力の高いデッキを使おう」ということです。

「Standard Championship 2023」は予選ラウンド8回戦、決勝ラウンドはベスト8によるBO3(最大3回勝負で2本先取した方が勝ちの対戦形式)のトーナメントで行なわれます。特に決勝ラウンドはお互いのデッキリストが公開されるため、攻めのプランをとるデッキは初手のマリガン段階で対応策を探されてしまうリスクが大きいと考えていました。

この練習会時点では漠然とですが「モールズの夜会WoL」がイメージに近いデッキだと考えていました。

以降は調整メンバー内のLINEグループで情報共有していたのですが、大会前週にeurekaくんから今回使用した「土水【WoL】」の原型となるデッキが投稿されました。

それ以降もグループ内での調整の過程が共有されていたのですが、これが自分の思考と合致しており、最終的に大会が開かれる週の火曜日にeurekaくんの「土水【WoL】」と「モールズの夜会WoL」をぶつけ、「土水【WoL】」のほうがより理想に近いだろうと判断し、「Standard Championship 2023」の使用デッキに選択しました。

●デッキリスト「土水【WoL】」(「Standard Championship 2023」優勝 フォーマット:スタンダード)

カード番号 カード名 枚数
フォワード(19枚)
【19-128L】 《ウォーリアオブライト》 3
【16-119H】 《フースーヤ》 2
【17-138S】 《ローザ》 1
【15-119L】 《ポロム》 1
【16-136S】 《アーロン》 1
【18-054L】 《ガラフ》 1
【16-133S】 《ブラスカ》 1
【19-119L】 《ウネ》 2
【19-120C】 《ガーネット》 1
【13-118C】 《セーラ[MOBIUS]》 1
【13-119L】 《ソフィ》 1
【18-130L】 《フリオニール》 2
【19-108L】 《ジタン》 2
バックアップ(16枚)
【13-093H】 《サラ》 3
【10-121C】 《モーグリ-4組-》 3
【14-099C】 《エーコ》 1
【1-107L】 《シャントット》 2
【11-072R】 《デシ》 2
【19-068R】 《リディア》 3
【18-055R】 《クルル》 1
【11-128H】 《セーラ姫》 1
召喚獣(15枚)
【12-097H】 《シルドラ》 3
【15-082H】 《ヘカトンケイル》 2
【9-068H】 《ドラゴン》 3
【19-064R】 《フェンリル》 1
【10-068C】 《クーシー》 2
【12-002H】 《アマテラス》 2
【2-049H】 《アスラ》 2

――最終的に「土水【WoL】」を選択した理由はどういった点にあったのでしょう?
閣下:2つのデッキの間にあった大きな違いは【12-097H】《シルドラ》の存在でした。カードを2種類サーチできるという【12-097H】《シルドラ》の効果は、それ1枚でデッキを成立させるほどの個性であり、柔軟に動ける対応力の高いデッキを使おうという自分の思想に非常にはまったものでした。

大会中のマッチアップは、

予選ラウンド
1回戦:「土水【ウネ】」 〇
2回戦:「土水【WoL】」 △
3回戦:「火雷【XIII】」 〇
4回戦:「火単【XIII】」 〇
5回戦:「火氷」 〇
6回戦:「氷雷」 〇
7回戦:「氷雷」 〇
8回戦:「氷雷」 〇

7勝1敗(※引き分けは両者敗北)

決勝ラウンド
準々決勝:「土水【WoL】」 〇×〇
準決勝:「火雷【XIII】」 〇〇
決勝:「火土水【光の戦士】」 〇×〇

さまざまなデッキタイプと戦うことになりましたが、安定して戦い抜くことができ、思惑どおりのデッキ選択ができたかと思います。

――それでは、ここからはデッキの制作者でもあるeurekaさんも交えてより具体的にデッキの内容についてお話を聞かせていただきたいと思います。eurekaさんよろしくお願いします。

eureka:よろしくお願いします。

――早速ですが、この「土水【WoL】」がどういった着想で生み出されたのか聞かせてください。

eureka:もともと、自分が所属している海外プレイヤーによる調整チーム「Team Flat Earth(TFE)」のなかでは、「悪夢より来たる」の発売以降【19-128L】《ウォーリアオブライト》を使用したデッキの研究が続けられており、そのなかで【12-097H】《シルドラ》から【13-093H】《サラ》と【10-121C】《モーグリ-4組-》をサーチし、【11-128H】《セーラ姫》までアクセスすることで、水属性と火属性に加えて土属性か風属性の合計3属性をそろえられることに注目した構成の研究が進んでいました。


アメリカで行なわれた「Materia Cup Kansas 2023」でもフォワードの【15-083L】《リディア》を採用した構築が結果を残していましたが、私はバックアップの【19-068R】《リディア》に注目した構築がよりよいだろうと考えており、それを軸にデッキの調整を進めていました。


バックアップの【19-068R】《リディア》を採用するメリットは、なんといっても【12-097H】《シルドラ》をサーチできる点です。

先ほど閣下さんも【12-097H】《シルドラ》について言及されていましたが、【19-068R】《リディア》から【12-097H】《シルドラ》につなぐことで、火・風・土・水すべての属性のバックアップを用意できます

また、「土水【WoL】」は相手の【12-068H】《フェンリル》や【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》にバックアップをブレイクされると【19-128L】《ウォーリアオブライト》をキャストする前にテンポを奪われやすいのですが、【19-068R】《リディア》で【12-097H】《シルドラ》と2枚目の【19-068R】《リディア》をサーチすることで、後続のバックアップが確保しやすくリソースの面でも損なく動けるメリットがあります。

構築の初期段階では【16-133S】《ブラスカ》をサーチできる動きとスペシャルアビリティ「マスター召喚」のコストとデッキの属性が合っている点に注目し、そこから【19-128L】《ウォーリアオブライト》と【15-014H】《ブリュンヒルデ》のコンボや、【15-014H】《ブリュンヒルデ》と【16-135S】《ルールー》のコンボを採用した、より召喚獣にフォーカスした構築に発展させていた時期もありました。このときのフィードバックがあり、現在でも【16-133S】《ブラスカ》の「マスター召喚」を狙うギミックはデッキに活かされています。


――【19-068R】《リディア》からのサーチを含め、非常に【12-097H】《シルドラ》を重要視し、それを軸にしたデッキになっているんですね。

eureka:そうですね。このデッキでの【12-097H】《シルドラ》には大きく3つの使い方があると考えています。

1つ目がここまで話に挙げてきたとおり、バックアップをサーチするデッキのベースとなる使い方です。

2つ目は、バックアップがそろった後で【19-128L】《ウォーリアオブライト》と【16-119H】《フースーヤ》を同時にサーチする使い方です。この2枚は多属性デッキの恩恵を最大限受けられる、デッキの根幹となるカードです。

【19-128L】《ウォーリアオブライト》は言わずもがなデッキの軸となるカードで、厳しいキャスト条件こそありますが、「FFTCG」のなかでも屈指のパワーカードです。キャスト時に支払うCPに含まれる水属性以外の属性の数に応じて効果を発揮するアビリティを持つ【16-119H】《フースーヤ》は、【19-128L】《ウォーリアオブライト》と同じく多属性の恩恵を受けやすいカードでありながら、バックアップにも干渉できるためミラーマッチで先行して展開できればテンポの面で大きく差をつけることができます。


【12-097H】《シルドラ》は通常、サーチしたカードを使うときにカード1枚を使ってサーチしているため、実質2CP多く支払わなければならないというデメリットを抱えているのですが、キャストすることで大きくアドバンテージを稼げるこれらのカードと組み合わせることで、【12-097H】《シルドラ》に支払ったコスト分のリソースを取り戻すことができ、テンポを失わず展開できます

また【16-119H】《フースーヤ》をサーチするために使用した【12-097H】《シルドラ》を【16-119H】《フースーヤ》で回収できるため、さらに後続の動きのために【12-097H】《シルドラ》を使用でき、これが【12-097H】《シルドラ》の3つ目の使い方につながっていきます。

その3つ目の使い方ですが、ゲームの特定の状況に応じて必要なカードをサーチしてくる、シルバーバレットやツールボックスと呼ばれる使い方です。よって、対応力の高さによる柔軟性を与えてくれます。この特性を活かし、このデッキには役割の絞られたさまざまなカードを採用しています。

まず【19-119L】《ウネ》ですが、このカードの役割は召喚獣の回収と相手のバックアップへ干渉できる点で【16-119H】《フースーヤ》と非常に近いです。

オートアビリティで召喚獣を回収する【16-119H】《フースーヤ》に比べて、アクションアビリティで召喚獣を回収する【19-119L】《ウネ》はやや即時性に欠けるものの、継続したアドバンテージ源として活躍してくれます。

この強みが顕著に出るのが、【12-002H】《アマテラス》や【9-068H】《ドラゴン》といった妨害カードと組み合わせたときです。一度【19-119L】《ウネ》がフィールドに定着すれば、戦況は盤石のものとなります。

採用枚数に関しては3枚も視野に入るカードですが、【16-119H】《フースーヤ》と役割が重複する点と構成上安定してコスト軽減を行なえない点、手札に重ね引いたときの動きにくさを考慮して2枚程度としています。

閣下:実際、自分が使っているなかでも手札に重なった際の扱いにくさはかなり感じたので、この枚数が妥当だと感じました。


eureka:ツールボックスとしての強さが特に反映されやすいのが、【17-138S】《ローザ》と【18-054L】《ガラフ》です。

【17-138S】《ローザ》は最近【19-119L】《ウネ》との組み合わせでの使用が評価され、トーナメントシーンで見かけることが多いカードだと思います。【19-119L】《ウネ》でお互いのターンに召喚獣を回収できるようになるのはもちろん、このデッキでは【19-128L】《ウォーリアオブライト》と組み合わせての10000ダメージでほとんどのフォワードの除去が可能です。


【18-054L】《ガラフ》はアグロデッキに対して非常に有効なカードで、特に現環境で非常に強力なデッキのひとつである「火雷【XIII】」に対して【12-097H】《シルドラ》から【18-054L】《ガラフ》と【16-136S】《アーロン》をサーチして展開することで、相手のプランを完封できます。【18-054L】《ガラフ》の単体での性能はデッキの方向性とは異なりますが、【カテゴリ(V)】であることで、合理的な選択肢としてデッキに採用できるのは【12-097H】《シルドラ》だからこその強みを活かせていると思います。

閣下:実際、大会中も初手の【12-097H】《シルドラ》から【18-054L】《ガラフ》と【19-119L】《ウネ》をそろえて完封するという展開がありました。そのときは除去必須のフォワードを一気に2体並べるほうがよりプレッシャーになるだろうと判断してのプレイでしたが、さまざまな役割を持つカードを散らして採用することができる強みが明確に活きた場面でした。


eureka:明確な仮想敵を想定したカードとしては【13-118C】《セーラ[MOBIUS]》もその傾向が強いです。

これは主に【15-083L】《リディア》に対処するための選択肢として採用していたカードです。構築段階では同様の役割を持つ【4-093R】《ヘカトンケイル》と比較してどちらを採用するか検討していましたが、【4-093R】《ヘカトンケイル》の【19-068R】《リディア》からサーチできる利点と、【13-118C】《セーラ[MOBIUS]》の単体でも【15-083L】《リディア》と相打ちできる利点を天秤にかけた結果、こちらを採用するかたちに落ち着きました。

細かな点ですが、【13-118C】《セーラ[MOBIUS]》には手札からコストにする際に扱いやすいなどのメリットも挙げられますね。


また【15-083L】《リディア》を意識したカードとしては【15-119L】《ポロム》もそれにあたります

対【15-083L】《リディア》において、先行できた場合は【15-083L】《リディア》に成長カウンターが置かれるのに対してアビリティを失わせることで、そのターンに増える【15-083L】《リディア》の成長カウンターを2つで止める動きが可能ですし、後出しになってしまった場合でも一度アビリティを消しておき、後続の動きに対する【9-068H】《ドラゴン》や【12-002H】《アマテラス》をけん制するという使い方が可能です。

そもそも【15-119L】《ポロム》自体がフォワードを軸にしたアグロデッキ全般に強い性質を持つカードであり、【15-083L】《リディア》以外に対しても汎用性を失わず扱えるカードということで、活躍が見込まれた1枚でした。


――【12-097H】《シルドラ》からサーチしてくるカードは1枚採用が多いなか、【18-130L】《フリオニール》は2枚採用されているのが印象的ですね。

eureka:【18-130L】《フリオニール》は1~3枚の範囲で調整の末、2枚という今のかたちに落ち着きました。


まず【18-130L】《フリオニール》が採用されている理由についてですが、これはヘイストによりダメージレースに参加できるカードでありながら、アタック時のオートアビリティでドローすることでリソースを失わないダメージ源になる点を買ってのことでした。

同じ役割を持つカードとして【13-119L】《ソフィ》も採用しているのですが、制限カードである【13-119L】《ソフィ》1枚ではこの役割が足りないということで、追加でこのカードを採用することにしました。

この役割を重く見ていた理由として、【19-128L】《ウォーリアオブライト》を使うデッキどうしのミラーマッチにおいてはいかに1点のダメージを詰められるかが課題であり、その差を分けるのがヘイストだと考えていたからです。

ミラーマッチにおける【18-130L】《フリオニール》は【19-128L】《ウォーリアオブライト》のアクションアビリティによって対処されるパワー5000ラインのフォワードなのですが、アクションアビリティでパワーを上げることで生存が可能で、これにより次のターン以降の打点としても活躍してくれます。

このアクションアビリティのコストを支払う際、火/水属性のカードをコストにできることがもっとも【18-130L】《フリオニール》の生存確率を高めることができると考え、2枚目の【18-130L】《フリオニール》はアクションアビリティのコストも想定して増量したというのが、ほかのカード以上に採用枚数を確保した理由になります。

――【12-097H】《シルドラ》からサーチできるカードはフォワードに限りません。バックアップには【カテゴリ(V)】の【18-055R】《クルル》も採用されており、これもサーチ対象として意識しての採用かと思います。

eureka:おっしゃるとおり【18-055R】《クルル》は【12-097H】《シルドラ》からのサーチを意識したカードです。実はこのスロットはかなり悩んでの採用で、調整段階では【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》にブレイクされない【3-090C】《忍者》なども候補に挙がっていました。


【18-055R】《クルル》の長所としては、召喚獣を回収できるため【13-093H】《サラ》、【10-121C】《モーグリ-4組-》、【11-128H】《セーラ姫》とそろえたとき、【18-055R】《クルル》キャストから【2-049H】《アスラ》を回収し、【2-049H】《アスラ》でバックアップをアクティブにすることで、そのまま【19-128L】《ウォーリアオブライト》までつなげられる点にあります。

EXバーストを持つ点も強く、最終的にこちらを採用するかたちとなりましたが、【3-090C】《忍者》に関しては今でも【11-072R】《デシ》を1枚減らして採用してもいいんじゃないかと思っているカードではあります。

閣下:ただ【11-072R】《デシ》は【19-108L】《ジタン》をサーチできる唯一のカードですし、これか【1-107L】《シャントット》がないとこのデッキは【16-119H】《フースーヤ》をマックスパワーで使えないので、個人的には現在のこの構築が正解な気はしますね

eureka:【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》でブレイクされないという観点では【14-099C】《エーコ》は必須と考えて採用しました。土属性のバックアップと違い、基本的に水属性のCPは【13-093H】《サラ》から捻出するしかないため、ここに飛んでくる【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》のケアは必須だと考えていたからです。【ジョブ(召喚士)】でもあるので【12-097H】《シルドラ》と【19-068R】《リディア》のどちらからもサーチが可能です。同じ条件を持つカードには【1-177R】《ユウナ》、【1-215S】《レン》、【18-101C】《レン》がありますが、【14-099C】《エーコ》の優れている点は自らフィールドを離れられる点と、疑似的な召喚獣のサーチとなる点にあります


ブレイクゾーンからの召喚獣の回収に優れるこのデッキでは、要所でブレイクゾーンから回収したい召喚獣が多いため、例えば【18-055R】《クルル》のキャストに合わせて【2-049H】《アスラ》をブレイクゾーンに置いておく、といったテクニックを使う機会が多いです。また【19-119L】《ウネ》のコストを軽減するためにブレイクゾーンの召喚獣の枚数を調整したり、特定のマッチアップで活躍しにくい召喚獣をデッキから抜いておくことでドローの質を高めるといったプレイも狙えます。もちろん【14-099C】《エーコ》自身で召喚獣を回収もできるため、取り回しのよさを考慮して採用しました。

――先ほど【19-108L】《ジタン》をサーチするために【11-072R】《デシ》を減らせないという話が閣下さんから出ましたが、【19-108L】《ジタン》は火/風属性なのでデッキカラーからはかなり浮いています。それを押して採用するだけの魅力があるカードということでしょうか?

閣下:互いに除去や妨害手段を構えている状態でも、相手に対処を強要できる点で【19-108L】《ジタン》は極めて優秀です。1ターンの間に2回相手の手札に干渉できるため、一気に相手のプランを崩すことができます。そして、相手が脅威となるカードを持っていなければそのままアタッカーになれる点も強力です。また、仮に【12-002H】《アマテラス》などで対処されたとしても、コスト面で相手は損をしていますし、こちらは後続のアクションを通しやすくなります。こちらが仕掛けるタイミングを計る際にもっとも頼りになるカードだと感じます。

eureka:構築的にはどうしてもコストの属性を邪魔してしまうので3枚採用というのは難しいのですが、閣下さんの言うとおり、相手の構えを確認して安全にこちらの動きを通せる点は非常に強力です。

またヘイストとブロックされにくいアビリティを持っている点も強力で、最後の1点を決める力が非常に高く、【18-130L】《フリオニール》とは違った強みがあります。このデッキに採用しているどのカードにも言えることですが、【19-108L】《ジタン》もスロットさえあれば3枚採用したいカードでした。


――召喚獣についても詳しくお聞きしたいと思います。【12-097H】《シルドラ》についてはここまででかなり詳しく聞かせていただきましたが、同じく3枚採用されている【9-068H】《ドラゴン》はどういった意図から最大枚数となったのでしょう?

eureka:主にミラーマッチに焦点を当てたとき、相手の【12-002H】《アマテラス》や【9-068H】《ドラゴン》といったカウンターをさらにカウンターできる【9-068H】《ドラゴン》は重要度が高いカードだと考えていました。

特に対【9-068H】《ドラゴン》の観点では、こちらのブレイクゾーンを除外してくる【9-068H】《ドラゴン》のケア、相手のブレイクゾーンを除外する【9-068H】《ドラゴン》をカウンターしてくる【9-068H】《ドラゴン》のケアなど、【9-068H】《ドラゴン》のぶつけ合いになることが多く、それ以外にも相手の【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》や【12-068H】《フェンリル》を止めるなどの役割もあり、最大枚数の採用も当然な重要カードです。

――そういえばこのデッキには【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》や【12-068H】《フェンリル》が採用されていませんが、これらを採用していないのはどういう意図からなのでしょう?

eureka:スロットの都合上それらのカードを採用するとしても1枚が限界なのですが、基本的にこのデッキでは【12-097H】《シルドラ》のサーチが最優先なため【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》や【12-068H】《フェンリル》は採用しませんでした

閣下:確かにそれらのカードはバックアップの安定した展開がキーとなるミラーマッチで優秀なのですが、ミラーマッチで差がつくポイントはここ以外にもあるので、そういった部分で挽回すればいいですからね。

――なるほど。フォワードのバリューが高いという点では【10-068C】《クーシー》も魅力的ですね。それこそ【12-097H】《シルドラ》同様、通常のキャストに比べ2CP分多くかかってしまう点も、それ以上のアドバンテージをたたき出す【19-128L】《ウォーリアオブライト》や【16-119H】《フースーヤ》ですぐに取り戻せるでしょうし。

eureka:これもスロットがあれば3枚採用できるカードでしたね。ただこのデッキで回収したいカードは多くが【2-049H】《アスラ》からも回収できるので、この枚数で困るということは特になかったです。

閣下:むしろ【9-068H】《ドラゴン》の存在を考慮すると【10-068C】《クーシー》に頼ったプレイはリスクもあるから、あまり採用しすぎるのもよくないですね。

――【2-049H】《アスラ》は【19-128L】《ウォーリアオブライト》のキャストを補助するカードとしても非常に優秀ですよね。僕は今回「氷雷」を使用していましたが、【2-049H】《アスラ》のようにバックアップをアクティブにするカードは、氷属性を使う立場からしてもかなりのプレッシャーでした。

eureka:【2-049H】《アスラ》は非常に強くて、すべてのモードが活躍したカードでした。

主にバックアップをアクティブにするか、コスト2のキャラクター回収のために使うのですが、【19-119L】《ウネ》と【19-128L】《ウォーリアオブライト》をアクティブにできる動きも強力で、2体そろっていると【19-128L】《ウォーリアオブライト》で10000ダメージを与えつつ【19-119L】《ウネ》で【2-049H】《アスラ》を回収することでほぼ無料の除去として機能するなど、腐ることがなかったです。


――【15-082H】《ヘカトンケイル》は今環境で特に見る機会が多い召喚獣でしたね。

eureka:アグロデッキ全般に対して【19-068R】《リディア》からサーチできるので、「火雷【XIII】」のようなデッキに対しては【12-097H】《シルドラ》より優先してサーチする機会が多かったですね。

閣下:中盤以降に偶然引いてきたタイミングでリセットできたりと、活躍するシーンは多かったです。それこそこちらの【19-128L】《ウォーリアオブライト》や【19-119L】《ウネ》は生き残りますし、相手のパワー9000以上のフォワードは【19-128L】《ウォーリアオブライト》で除去できるので。


――【19-064R】《フェンリル》は除去の対象こそ絞られますが、環境にマッチしたカードだと感じました。

eureka:このカードは調整の最後の最後で入ってきたカードです。【19-128L】《ウォーリアオブライト》や【19-119L】《ウネ》を対処できるのはもちろん、私自身は大会中【12-110L】《ネオエクスデス》を除去するために使用するなど、これでなければどうしようもない相手がいるカードだったので、最後のピースとしてデッキを完成させてくれたカードだったと思います。


閣下:このデッキは本当にすごくて、デッキ50枚のなかで2日間通して活躍しなかったカードが1枚もなかったんです。

今も、デッキに採用したほぼすべてのカードについて採用理由などを詳細に解説してくれたように、今回の優勝は間違いなくeurekaくんあってのものだと思います。

 

◆そして、4度目の世界へ
――閣下さんはこれで4度目となる「世界選手権」への出場を決めたわけですが、以前までの挑戦と違い、今回はeurekaさんという最高のチームメイトと挑むことになります。これは結果が非常に期待できますね。

閣下:そうですね。冒頭でも話しましたが前回は準優勝と非常に悔しい思いをしたので、今回は雪辱を果たしたいと思っています。

――eurekaさんも今回は惜しくもご自身の上位入賞こそ伴いませんでしたが、デッキビルダーとしてこれだけのデッキを作り上げたことで、今後の活躍に期待が高まりますね。

eureka:正直プレイの面でまだまだ及ばない点があるのは事実だと思うので、そこはこれからの自分の課題だと考えています。今後はデッキを作るだけでなくプレイの面でも成長していきたいです。

閣下:個人的に今一番応援しているのはeurekaくんなので、ぜひ一緒に「世界選手権」に挑みたいですね。

――それでは最後に4度目の「世界選手権」に向けて閣下さんの目標をお聞きしたいと思います。

閣下:もちろん、世界一です。

――ありがとうございました。

 

◆おわりに
今回は「Standard Championship 2023」で優勝し、みごと4度目の「世界選手権」出場を勝ち取った閣下さんと、彼を優勝に導いたデッキ「土水【WoL】」を作り鍛え上げたeurekaさんにインタビューを行ないました。

最強のプレイヤーと最強のデッキビルダーのタッグ誕生は、今後の「FFTCG」にどのような影響を与えるのか、その答えは今年の「世界選手権 2023」で見ることができるでしょう。

彼らの活躍を今から期待したいと思います。

閣下さん、「Standard Championship 2023」優勝、本当におめでとうございます!

そしてこのトーナメントは「世界選手権2023」への切符をかけた戦いの序章にすぎません。

9月の「L3 Championship 2023」、10月の「 日本選手権 2023 本戦」と「JAPAN CUP 2023」の3つの大会で、我々は残る3つの切符を奪い合います。

今後も2023シーズンの様子をこちらのインタビューで取り上げていきますので、ぜひお楽しみに。

そしてもちろん僕も挑戦者としてみなさんに挑んでいこうと思います。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!