【FFTCG】環境末期にさらにもう一歩先へ ~「自宅名人位決定戦 クリスタルの支配者Series」優勝者インタビュー~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「自宅名人位決定戦『クリスタルの支配者』Series」で優勝したeurekaさんのインタビューをお届けします。

◆はじめに
皆さん、こんにちは!?『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
先日「クリスタルの支配者」シーズンの締めくくりとなる「自宅名人位決定戦」が開催されました。

前回の記事でもお話ししたとおり、無事参加権を獲得できた僕は【15-036H】《セリス》imageを軸に戦う「氷雷【FFVI】」を使用しました。
初戦は前回インタビューしたYAB(黄金世代の???)さんの「土水【リディア】」との対戦に2-1で勝利、続く準決勝では今回優勝されたeurekaさんの「風水【空賊】」相手に2-1で惜しくも敗北となり、ベスト4という成績で幕を閉じました。

ベスト4のメンバーにはeurekaさん、閣下(kakka)さん、しどさんと「第3期名人位決定戦」のベスト4がそろっており、「クリスタルの支配者」環境を代表するプレイヤーと同じ舞台に立てたことは非常に誇らしい想いでした。

今回はそんな「自宅名人位決定戦」で見事優勝されたeurekaさんにインタビューを行ない、「クリスタルの支配者」シーズンにおける「風水【空賊】」の最終形と、環境の振り返りについてお話しいただきましたので、その模様をお届けしたいと思います。

それではさっそく始めていきましょう!

eureka
日本在住アメリカ人の強豪プレイヤー。
ワールドワイドな交友関係で、国内外のコミュニティに精通しており、世界でも屈指の情報力を誇る。
「クリスタルの支配者」環境では、「第3期名人位決定戦」、「自宅名人位決定戦」と好成績を収め、躍進のシーズンとなった。

 

◆「クリスタルの支配者」環境の完成形、シン・「風水【空賊】」
――「自宅名人位決定戦」優勝おめでとうございます。今回使用された「風水【空賊】」はeurekaさんの代名詞ともいえるデッキで、こちらのインタビューでもデッキを紹介していただきましたが、以前の構築からアップデートされた部分などはあるのでしょうか?

eureka:今回の構築で意識したのは、これまで以上に「火単【侍】」を意識したカード選定を行なったという点です。
元々「第3期名人位決定戦」のときから「火単【侍】」とも互角に戦えるように意識していたつもりではいたのですが、「第3期名人位決定戦」以降、閣下さんやチームメンバーから「自分でも使ってもみたけど、やっぱり「火単【侍】」との相性は不利なんじゃないか?」という話をされたのがきっかけで、自分としては特に「風水【空賊】」が「火単【侍】」に弱い印象はなかったのですが、そういった意見があるならもう少し意識したほうがいいのではないかと思い、さらに調整したのが今回のバージョンです。

●デッキリスト:「風水【空賊】」(「自宅名人位決定戦」優勝 フォーマット:スタンダード)

カード番号 カード名 枚数
フォワード(24枚)
【14-115L】 《ヴァン》 3
【3-056H】 《ジタン》 2
【13-048H】 《バルフレア》 3
【14-041L】 《雲神ビスマルク》 3
【15-047R】 《カイツ》 3
【10-109C】 《エルザ》 2
【14-101L】 《海神リヴァイアサン》 3
【15-115H】 《パンネロ》 3
【15-119L】 《ポロム》 1
【14-115L】 《神龍》 1
バックアップ(16枚)
【9-055C】 《フラン》 3
【11-056R】 《フィオナ》 1
【14-053R】 《ミュリン》 1
【14-054R】 《ヨーテ》 2
【15-056R】 《フィロ》 3
【4-138R】 《メルウィブ》 2
【3-111C】 《アルテミシオン》 1
【10-118R】 《トマジ》 3
召喚獣(7枚)
【15-043R】 《アレキサンダー》 3
【10-055H】 《チョコボ》 2
【9-114C】 《不浄王キュクレイン》 2
モンスター(3枚)
【14-049H】 《テュポーン》 3

?――これまで以上に「火単【侍】」を意識して調整したとのことですが、具体的にはどういったところを変更したのでしょうか?
eureka:まず「風水【空賊】」にとって「火単【侍】」のどこが苦手要素となるのかについてですが、これは「火単【侍】」に採用されている【11-001H】《アマテラス》が【14-115L】《ヴァン》のアビリティを無効化しつつ除去できる点にあると考えているプレイヤーが多いと思います。もちろんそれも間違いではありませんが、実際は「風水【空賊】」側にも【15-047R】《カイツ》imageや【10-055H】《チョコボ》imageといった【11-001H】《アマテラス》への対抗策があるので、このことが致命的な弱点になるわけではありません。

では、なぜ「火単【侍】」が「風水【空賊】」に対して有利だと思われるのかといえば、ゲーム序盤から【11-011L】《テンゼン》でダメージレースを仕掛けてゲームのイニシアチブを握ることができるからだと考えています。

こちらは防戦を強いられつつ戦わなければならず、対抗札を準備する余裕もないまま【14-115L】《ヴァン》を出さなければならないという状況もあります。そこに【11-001H】《アマテラス》を合わされるのは、確かに負けパターンの1つです。

そこで私が意識していたのが、どうやって【11-001H】《アマテラス》をケアするか、ではなくどうやって【11-011L】《テンゼン》を除去するかについてでした。
これに関しては、前回のインタビューでも触れたとおり【8-046R】《アレキサンダー》imageを3枚採用するなど、もともと構築段階でかなり意識していたポイントですが、今回はさらに【14-115L】《神龍》を採用して対策を追加しました。

以前はこのスロットに【14-056R】《嵐神ガルーダ》imageを採用していましたが、【14-115L】《神龍》は【11-011L】《テンゼン》と【11-003R】《カイエン》imageをはじめ多くのフォワードを同時に対処できるため「火単【侍】」に対して有効です。

実際に「自宅名人位決定戦」の決勝戦では、閣下さんが最序盤に展開してきた【11-011L】《テンゼン》と【11-003R】《カイエン》imageを【14-115L】《神龍》で除去したのがゲームの決め手となったので、狙いどおりの働きをしてくれました。

「風水【空賊】」と「火単【侍】」におけるゲームの主導権争いに別角度からアプローチできるカードであり、出したあともフィールドに残ればさらに除去やドローができてデッキの動きに幅を持たせてくれたので、採用した価値があったなと思っています。

もちろん「火単【侍】」との対戦以外でも、たとえば対「風水【空賊】」のミラーマッチで相手の【14-115L】《ヴァン》を選ばずに除去できるなど意外と器用なカードです。
「風水【空賊】」は同型対決ではゲーム序盤で【8-046R】《アレキサンダー》imageなどの除去カードをコストに回すことが多く、【14-115L】《神龍》が生き残ってその差で勝ってしまうということもしばしばあります。

――今回から新たに採用したフォワードでは【14-115L】《神竜》image以外だと【15-119L】《ポロム》imageもありますが、これはどういった意図から採用されたカードになるのでしょうか?
eureka:【15-119L】《ポロム》imageは【11-003R】《カイエン》imageと【11-140S】《カダージュ》imageを主な仮想敵と考えて採用したカードです。

【11-003R】《カイエン》imageは、全体除去を苦手とする「風水【空賊】」にとって、継続して全体除去を行なえるまさに天敵といえるフォワードであり、対策必至のカードです。
また【11-140S】《カダージュ》imageも「風水【空賊】」では対処が難しいカードで、早い段階でキャストされると相手のペースになってしまいます。

これまでも【9-114C】《不浄王キュクレイン》imageや【15-043R/8-046R】《アレキサンダー》といったカードで対抗してきてはいたものの、「第3期名人位決定戦」以降は「火単【侍】」での【11-140S】《カダージュ》imageの採用率も高くなっており、これらのカードを継続して無力化できる【15-119L】《ポロム》imageは重要性が高まったと考えて採用しました。

――バックアップに関しても細かな変化がありますね。
eureka:今回は【4-138R】《メルウィブ》imageを3枚から2枚に減らし、代わりに【3-111C】《アルテミシオン》を1枚採用しています。
「第3期名人位決定戦」では閣下さんの「風水【空賊】」で採用されていた形ですが、本来サーチ手段がない【14-115L】《神龍》にアクセスできたり、使わないときはデッキに戻せるといったメリットを買って投入しました。

風属性側のバックアップとしては【11-038H】《アルテア》を【11-056R】《フィオナ》imageに変更しています。
これは、対「火単【侍】」でバックアップの展開がテンポロスにならないようにという理由からです。

また先ほどの【3-111C】《アルテミシオン》同様、【14-115L】《神龍》にアクセスできるのはもちろんですが、実際の試合では【15-047R】《カイツ》imageをサーチしてくる用途で使うシーンが多かったです。
結果から振り返ってみると、このスロットはさらにワンテンポ早く【15-047R】《カイツ》imageにアクセスできる【13-043C】《スティルツキン》imageを採用してもよかったかもしれないですね。

◆今シーズンを振り返って
――「第3期名人位決定戦」ではベスト4、「自宅名人位決定戦」では優勝と、「クリスタルの支配者」環境はeurekaさんにとって躍進のシーズンになったかと思いますが、今環境を振り返ってどういったことを感じましたか?
eureka:今環境で特に感じたことの1つが、単純に強いデッキではなく、人気のあるデッキが環境の原点になるということです。

個人的に「クリスタルの支配者」環境のベストデッキは「風水【空賊】」だと思っていて、「第3期名人戦」以降はこのデッキがメタゲームのスタート地点になると思っていました。
ただ周囲の意見や、ほかの大会の結果を見ると、必ずしもそういった変遷をたどったわけではないようです。

現在、日本のトーナメントシーンでは「風水【空賊】」、「火単【侍】」、「土水【リディア】」がいわゆるTier1に該当するデッキだと考えています。

もちろんこの3つ以外にも「火土【アバランチ】」や「土雷【王の剣】」、今回たるほさんが使用した「氷雷」など強力なデッキもありますが、前述の3デッキはこれらのデッキ間以外で明確に不利な相手がいない、頭ひとつ抜けた存在だと思います。


ですが海外のトーナメントシーンでは、「風水【空賊】」はそれほど使用率が高いデッキではありません「火単【侍】」が根強い人気を誇り、それに対抗する形で「土水コントロール」が人気となり、日本とは別のメタゲームが展開されています。

こうした背景には、海外では「火単【侍】」のように明快な勝ち筋を好むプレイヤーが多いという傾向や、それにより【11-001H】《アマテラス》のリスクが高いことで「風水【空賊】」の使用率がそれほど高くならなかったという経緯があります。

デッキの人気は単純なデッキパワーだけでなく、使いやすさやプレイスタイル、コミュニティごとの認識によって地域差があり、原点になるデッキが異なることで同じカードプールでも別のメタゲームが発展するのだと感じました。

――「クリスタルの支配者」環境は昨年末の禁止・制限カードの制定や「カスタムスターターセット?FINAL FANTASY X」の発売など、変化の大きな環境だったと思います。こういった出来事で印象的だったことはありますか?
eureka:個人的に「カスタムスターターセット?FINAL FANTASY X」で【16-139S】《ティーダ》と【16-133S】《ブラスカ》が登場したことは大きな変化だったと思います。

ちょうど先日たるほさんが店舗大会で優勝された「風水【FFX】」のデッキをTwitterで見て、私も実際に使ってみたのですが、0CPでキャストしてさらにサーチもできる【16-139S】《ティーダ》はこれまでにないコストパフォーマンスを感じました。今でこそ【5-067R】《ミューヌ》imageは禁止されていますが、もし共存できたら……??と考えると恐ろしいですね(笑)。

――eurekaさんにそう言っていただけるのはうれしいですね。
eureka: また、【16-133S】《ブラスカ》は召喚獣をコストにスペシャルアビリティを使えるというレアなアビリティを持っていて、新機軸の強さがあると感じました。第一印象では「マスター召喚」を使うのは難しいのかなと思っていたのですが、実際は少し構築を意識するだけで簡単に使えることがわかり、その点も非常に強力です。

自分は「火単【侍】」や「火水【パロムポロム】」などに採用してみたのですが、現段階でかなり可能性を感じていて、「光の使者」以降の環境ではより活躍していくのではと予感させられるカードでした。

こうしたカードが登場したことで、「光の使者」への期待も大きくなりました。
――ありがとうございます。「光の使者」発売後はこれらのカードでさらに活躍していくeurekaさんに期待していきたいですね。

◆おわりに
今回は「自宅名人位決定戦」で見事優勝されたeurekaさんにお話をうかがいました。
環境の締めにふさわしい、「風水【空賊】」の完成形ともいえるデッキでしたね。

今シーズン大きく躍進したeurekaさんが「光の使者」環境でどんな活躍をするかにも注目です。
そんな「光の使者」もすべてのカードリストが公開され、今週末からはいよいよプレリリースパーティーが開催されます。
新カードにいち早く触れられるということで、僕も今からワクワクが止まりません。

開催店舗は公式サイトからチェックできるので、皆さんも忘れずチェックしてくださいね。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!