『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回は「第2回自宅名人戦」と「第3回自宅名人戦」を連覇したプチデビさんのインタビューをお届けします。
◆はじめに
みなさん、こんにちは! 『FFTCG』プレイヤーのたるほです。
ゴールデンウィークはいかがだったでしょうか?
新型コロナウィルスの影響で気軽に外出できない連休でしたが、僕はもともと引きこもり体質なこともあり、自宅でのんびりDiscordを使ったフリー対戦などをして過ごしていました。
さて、今回も「自宅名人戦」の優勝者へのインタビューをお届けしようと思います。
今回は「第2回自宅名人戦(スタンダード)」と「第3回自宅名人戦(L3構築)」で連覇を果たし、2つのフォーマットを股にかけて結果を残したReimen Moriokaことプチデビさんにインタビューを行ないました。
自宅を極めた強豪プレイヤーの「Opus XI」環境のデッキについて詳しくお話をいただいたので、ぜひお楽しみください。
プチデビ
関東のプレイヤーでオンラインイベントではReimen Moriokaという名前で活躍し、出身地のソウルフードである盛岡冷麺の知名度アップに貢献している。
オンラインで開催されている「自宅名人戦」ではこれまで2度の優勝を果たしたまさに「自宅名人」。
自宅のことならなんでも聞いてくれとのこと。
◆目指したのは“圧倒的”勝利! 混沌の「土風ヴィンセント&モンスター」!
――このたびは「第2回自宅名人戦」と「第3回自宅名人戦」を連覇ということで、おめでとうございます。
プチデビ:ありがとうございます。
――ではまず「第2回自宅名人戦」で優勝されたスタンダードの「土風ヴィンセント」についてお聞きしたいと思います。大会当日は僕も対戦させてもらいましたが、一度【11-135S】《ヴィンセント》が動き始めると取り返しがつかなくなる非常に強力なデッキでしたね。このデッキはどういったところから構築を始めたのでしょう?
プチデビ:僕が自分でデッキを作るときに一番大切にしていることがあって、それは“強い”デッキより “圧倒的な”デッキを作りたいということです。
“圧倒的な”デッキというのは、いわゆるコンボデッキをイメージしてもらうといいかと思います。1ターンの間にたくさんのカードを使い、たくさんのアクションをとり、一瞬で勝ちを決めるデッキのことです。勝つときは相手の盤面や手札がすっからかんになったり、すごい数のフォワードが並んでいるといった、圧倒的な差を相手に見せつけたいという気持ちの実現を目指してデッキを組んでいます。
●「土風ヴィンセント&モンスター」(第2回自宅名人戦:優勝)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(20枚) | ||
【3-056H】 | 《ジタン》 | 3 |
【5-068L】 | 《ヤ・シュトラ》 | 2 |
【9-062H】 | 《ヴィンセント》 | 1 |
【9-076H】 | 《ラーケイクス》 | 2 |
【11-135S】 | 《ヴィンセント》 | 3 |
【4-075H】 | 《ヴィンセント》 | 3 |
【5-086L】 | 《セシル》 | 3 |
【5-148H】 | 《カムラナート》 | 1 |
【11-124H】 | 《リルム》 | 2 |
バックアップ(18枚) | ||
【5-059R】 | 《セミ・ラフィーナ》 | 1 |
【5-093C】 | 《モグ?[MOBIUS]》 | 1 |
【8-053H】 | 《シェルロッタ》 | 1 |
【8-088C】 | 《レイル》 | 1 |
【11-049R】 | 《チェリンカ》 | 1 |
【11-077C】 | 《魔獣使い》 | 2 |
【5-082C】 | 《採掘師》 | 2 |
【8-058R】 | 《ノルシュターレン》 | 2 |
【5-091H】 | 《星の神子》 | 3 |
【11-072R】 | 《デシ》 | 1 |
【8-069R】 | 《アプルル》 | 1 |
【1-107L】 | 《シャントット》 | 1 |
【1-184H】 | 《カオス》 | 1 |
モンスター(9枚) | ||
【4-012C】 | 《ゴブリン》 | 2 |
【10-045C】 | 《ウンサーガナシ》 | 3 |
【11-078R】 | 《マンドラゴラ》 | 1 |
【8-080C】 | 《プーマ夜光》 | 3 |
召喚獣(3枚) | ||
【9-068H】 | 《ドラゴン》 | 2 |
【3-147L】 | 《戒律王ゾディアーク》 | 1 |
“圧倒的な”の反対に位置する“強い”デッキとは、相手と真っ当に勝負するデッキのことです。たとえば「Opus X」環境で活躍していた「火土WOFF」はゲームの序盤からパワーのあるカードを真っ向からぶつけていくデッキです。
デッキとしては非常に強力ですが、いわゆる“ソリティア(トランプの1人用ゲームのように、相手に干渉させず複雑なコンボを決めて勝利するデッキのこと)”のような爆発力はありません。こういった真っ当なパワーを持つデッキ、言いかえればフェアに強いデッキのことを私は“強い”デッキと呼んでいます。
せっかく自分でデッキを組むのであれば、自分が好きな動きを追求した“圧倒的な”デッキを作るほうがいいなと思い普段から構築を考えています。
それこそ“強い”デッキであれば、Kurosawaさんやダンカン(閣下)さんのような世界レベルのプレイヤーが理論的に環境を分析して構築してくれるでしょうから、自分はその考え方やデッキを真似させてもらえばいいのかなと思っています(笑)。
「Opus IX」まではコスト通りの働きをするカードが多かったんですが、「Opus X」では0コストでプレイできるパワー8000の【10-020L】《レェン》のようなフォワードや、出すのに6CPかかるものの一度フィールドに出たフォワードのアビリティを召喚獣を使うだけで繰り返し使いアドバンテージを稼げる【10-023H】《ウネ》のようなカードが数多く登場しました。
特に【10-023H】《ウネ》のように一度だけ得をするのではなく錬金術のように繰り返しCPの得を生むカードは、相手との圧倒的な差を作るうえで必要な要素になります。
「Opus XI」でも何かいいカードはないかと探していくなかで見つけたのが、今回の主役となった【11-135S】《ヴィンセント》でした。
【11-135S】《ヴィンセント》のスペシャルアビリティ「カオス」は、アタックしたとき相手のキャラクターをブレイクするというアビリティを自身に与えるというものです。
これを複数回使うことによって、一度のアタックで大量のキャラクターをブレイクすることができます。「カオス」自体のコストも手札の《ヴィンセント》を捨てるだけなので実質2CPで相手のキャラクターを1体ブレイクできると考えると、ひとたび動き始めれば相手とのリソース差で圧倒することができます。
ただ条件はかなり厳しく、まず「カオス」を使うためには5点ダメージを受けていなければならず、「カオス」で得たアビリティを使うためには【11-135S】《ヴィンセント》がアタックしなければなりません。
【11-135S】《ヴィンセント》自身はヘイストや除去耐性を持っているわけではないので、相手に妨害されないよう工夫をする必要があります。
幸い課題がはっきりしていて、5点ダメージを受ける手段と【11-135S】《ヴィンセント》を守ることができる手段があればいいので、このデッキも基本的にそれらの要素を寄せ集めた構成となっています。
まず自らダメージを受ける手段として注目したのが、【5-148H】《カムラナート》からサーチした【3-147L】《戒律王ゾディアーク》をプレイすることです。
ただ相手のデッキによっては【3-147L】《戒律王ゾディアーク》を打つ余裕がない場合もあるので、細かなダメージの調整手段として【5-086L】《セシル》も採用しています。
そして【11-135S】《ヴィンセント》にヘイストや除去耐性を持たせるのは【4-012C】《ゴブリン》と【10-045C】《ウンサーガナシ》が担当します。そして、この両方を一気にデッキから直接フィールドに出せる【11-124H】《リルム》も採用しました。
【11-124H】《リルム》はデッキ内唯一の水属性のカードですが、このデッキはベースが「土風」のため【1-184H】《カオス》や【1-107L】《シャントット》、【11-072R】《デシ》から水属性のCPを出せますし、【5-091H】《星の神子》からも出せるのでプレイすることは難しくありません。
また、雷属性のカードが採用されていないため【11-077C】《魔獣使い》から擬似的に確定でサーチしてくることも可能です。
とはいえ、モンスターの枚数的にも【11-124H】《リルム》は1ゲームに一度プレイできれば十分なのでダメージゾーンに行ってしまうリスクまで考えて2枚の採用となっています。
この【11-124H】《リルム》のおかげもあり、「カオス」を使った【11-135S】《ヴィンセント》がアタックに行くのはとても用意になり「自宅名人戦」では思ったとおりにデッキが動いてくれました。
――「カオス」を打つことに特化しているということでデッキ内の《ヴィンセント》の枚数も重要かと思います。
プチデビ:このデッキはスペシャルアビリティが主体のデッキですが、いざ【11-135S】《ヴィンセント》を出そうというタイミングで手札に余裕があることはそれほどなく、2~3枚が限度、それも毎回《ヴィンセント》を何枚も持っている状況というのは限られていました。
それなら最初からブレイクゾーンに置いておいて回収するほうが使いやすいかなと考え、《ヴィンセント》を何枚も採用するのではなく【11-135S】《ヴィンセント》1枚と「カオス」の弾になる《ヴィンセント》を1枚使いまわせる構築にしようと思い【8-080C】《プーマ夜光》や【5-082C】《採掘師》を採用しました。
基本的にこのデッキの動きとしては、6ターン目までに【11-135S】《ヴィンセント》が「カオス」を使うことを想定してデッキを組んでいます。
それを前提に計算したところ、7枚あれば無理なく《ヴィンセント》を2枚用意できるとわかったので、【11-135S】《ヴィンセント》と【4-075H】《ヴィンセント》の2種に加えて、【9-062H】《ヴィンセント》を1枚採用した現在の構成に落ち着きました。
しかしブレイクゾーンからの回収に頼りきりになると【9-068H】《ドラゴン》ですべて除外されてしまいかねないので、【5-082C】《採掘師》を1枚【5-093C】《モグ [MOBIUS]》にすることで、いざというときはデッキからサーチしてこれるようにしました。
――【5-091H】《星の神子》が採用されているのに【5-059R】《セミ・ラフィーナ》が1枚というのは少し意外ですね。
プチデビ:これは今回のデッキの反省点です。もともと考えていた流れでは【5-091H】《星の神子》をプレイし【5-148H】《カムラナート》につないで【3-147L】《戒律王ゾディアーク》を召喚するというのが基本の動きで、最初は【5-059R】《セミ・ラフィーナ》自体を採用していなかったんですが、最終的にバックアップを見直した際に風属性のバックアップがあまりに少なく、差し替える形で1枚採用しました。
ただデッキとして序盤から何度も【5-091H】《星の神子》を使うデッキだったので【5-059R】《セミ・ラフィーナ》は枠を作って3枚採用すべきでした。
――【11-078R】《マンドラゴラ》や【9-068H】《ドラゴン》はいわゆるメタカードとしての役割が強いカードですが、これらはなにを想定しての採用でしょうか?
プチデビ:【11-078R】《マンドラゴラ》は【10-023H】《ウネ》を対策するために1枚採用しました。
【10-023H】《ウネ》デッキも“圧倒的な”の側に分類されるのですが、フォワードで攻めてくるよりも自分の盤面を整えることを優先してくるため【3-147L】《戒律王ゾディアーク》などでも自傷ダメージの調整がしにくく、相手に好き勝手にアドバンテージを稼がれると、【11-135S】《ヴィンセント》が「カオス」を使っても追いつくことができないため、直接デッキの動きに関係はないですが1枚採用しました。
【9-068H】《ドラゴン》は相手の【9-068H】《ドラゴン》をカウンターするためのカードとしての採用です。こちらもかなりブレイクゾーンに依存するデッキなので、しっかり対応できるよう2枚採用しています。
――大会を通して使用感などいかがでしたか?
プチデビ:大会を通して“圧倒的な”勝利をすることができました。相手が何もできない状態に追い込んで、勝利! というゲームができたので大満足しています。
ただ、やはり準備に時間がかかりすぎるので、そこをスリムにするためにまた別のカードを探していければと思っています。
いま可能性があると思っているのは【11-136S】《クラウド》と【11-073H】《テテオ》なんですが、どちらもコストの概念を壊すカードなのでいろいろ試してみたいと思っています。
本当なら「第3回自宅名人戦」にもこのあと話す「氷単」ではなく「土風ヴィンセント」を「L3構築」用にチューニングして持ち込みたかったんですが、さすがにカードが足りなくて使えなかったですね。
――少し残念です。せっかくなら「L3構築」でも「カオス」を打つところを見たかったですね。
◆求めたのは安定性!?パワーで戦う「氷単 VIII」!
――それでは次に「第3回自宅名人戦」で使われた「L3構築」の「氷単」についてもお話を聞きたいと思います。
こちらのデッキは以前インタビューでお聞きした【9-038R】《リノア》などの【カテゴリ(VIII)】のフォワードにフォーカスを当てつつ【10-023H】《ウネ》デッキをベースにした「氷単」ですね。
プチデビ:そうですね。基本的には以前のままで、「L3構築」に対応していないカードを入れ替えたものです。
●「氷単」(第3回自宅名人戦:優勝)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(23枚) | ||
【9-038R】 | 《リノア》 | 3 |
【10-033L】 | 《スコール》 | 1 |
【9-023R】 | 《キスティス》 | 3 |
【9-027H】 | 《スコール》 | 3 |
【11-037L】 | 《バルトアンデルス》 | 2 |
【9-028L】 | 《蒼龍のルシ?ソウリュウ》 | 1 |
【9-037C】 | 《ラグナ》 | 2 |
【11-025H】 | 《オーファン》 | 1 |
【10-032H】 | 《スキュラ》 | 2 |
【11-024L】 | 《ウーマロ》 | 2 |
【10-127H】 | 《シトラ》 | 3 |
バックアップ(17枚) | ||
【9-040C】 | 《ン・モゥ族》 | 1 |
【10-029C】 | 《黒魔道士》 | 2 |
【11-032C】 | 《黒魔道士》 | 3 |
【11-133S】 | 《ケットシー》 | 1 |
【9-039C】 | 《ロック》 | 2 |
【10-036R】 | 《ティナ》 | 3 |
【11-022C】 | 《イドラ》 | 3 |
【10-023H】 | 《ウネ》 | 2 |
モンスター(1枚) | ||
【11-036R】 | 《ダンタリアン》 | 1 |
召喚獣(9枚) | ||
【9-025H】 | 《ザルエラ》 | 2 |
【10-041C】 | 《ベイビーシヴァ》 | 2 |
【11-034R】 | 《シヴァ》 | 3 |
【10-030H】 | 《シヴァ》 | 2 |
「Opus XI」が発売されたタイミングで「Opus X」環境までのデッキは一度崩そうとしていたんですが、この「氷単」はデッキの基礎になるカードがほとんど「Opus X」と「Opus XI」のカードだったので、「L3構築」にほぼそのまま流用できるんじゃないかということで残しておいたんです。
「Opus XI」が発売され氷属性もいろいろなカードが追加されましたが、最近はなかなかショップやイベントなどでプレイする機会がなかったので、「第3回自宅名人戦」ではお試しでいろいろと触ってみようと思いアップデートしたのが今回の「氷単」になります。
――「L3構築」ということで、環境で意識したカードなどはありましたか?
プチデビ:「L3構築」は今までとまったく違った環境のフォーマットのため、なにを使おうかと考えたときに、まず強いと感じたのが【11-097H】《ニックス》をはじめとする【ジョブ(王の剣)】のギミックで、それが環境の中心になるんじゃないかということでした。
実際、私も最初に参加した「第1回自宅名人戦」では「土雷」を使い4勝1敗という成績を収めることができました。
その経験もあり、【ジョブ(王の剣)】がある雷属性には環境の中心になる力があるなと再確認しました。
次に、それに対抗しうるデッキはなにかと考えていくなかで、先ほどの「第1回自宅名人戦」でしどさんが使って優勝した「氷土雷」¥でも使われていた【ジョブ(思念体)】はそれに匹敵する力があるのかもしれないと感じました。
――ですが、プチデビさんの「氷単」では【ジョブ(思念体)】のギミックは採用されていませんよね? このギミックは【11-027R】《カダージュ》を中心に、フィールドに出たときに誘発するアビリティを駆使するので【10-023H】《ウネ》との相性はよさそうですが。
プチデビ:正直に言ってしまうとこのデッキを組んだ段階では、まだ【ジョブ(思念体)】のカードに注目しておらずあまり強さがわかっていなかったというのがあります。
しどさんが使っているのを見たときには、これはすごいなと驚きましたね。僕がもう一度このデッキを使うなら【ジョブ(思念体)】に寄せた構築にするかもしれません。
ただ、もちろん【カテゴリ(VIII)】にもちゃんと強みはあって、それはしっかりとパワーの高いフォワードを確保することができるという点です。
現在の「L3構築」環境はフォワード同士の戦闘が重要だと思うので、そのなかで高いパワーラインを維持できるというのは【ジョブ(思念体)】にはない強みです。
そのうえで相手のフォワードをダル凍結しながらダメージレースをするという氷属性の基本の動きは変わらないので、どちらも一長一短かなと思います。
実際、大会の最終戦で対戦したばいすさんの「氷単」は【ジョブ(思念体)】と【カテゴリ(VIII)】が両方採用されている構築で、そういった形にしてもおもしろいかなと感じました。
また【カテゴリ(VIII)】のカードを使っていて特に強さを感じたのが【9-037C】《ラグナ》です。【9-038R】《リノア》との相性はもちろんですが、【10-023H】《ウネ》で使い回すことでデッキに1枚だけ採用しているカードを状況に応じてサーチしてこれるのは大きなメリットであると感じました。
――たしかにこのデッキでは1枚採用のカードがいくつもあります。特に【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》は「氷単」では3枚採用されるイメージの強いカードなだけに意外ですね。
プチデビ:【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》はEXバーストもあって強力なカードではあるのですが、【10-023H】《ウネ》が軸であるという観点からすると、使いまわして旨味がないということもありこのデッキで複数枚採用するのははばかられるカードでした。
ただ、どうにもならない状況でも打開できる力のあるカードなので、念のため1枚だけ採用しています。
【11-025H】《オーファン》は【10-023H】《ウネ》デッキということでお試しで採用したカードなんですが、【10-023H】《ウネ》と合わせて即ブレイクまでいけるのはもちろん、本来触りにくいモンスターの対処もできるので、思った以上に活躍してくれるカードでした。
【11-036R】《ダンタリアン》は序盤にプレイしておくと非常に強力です。終盤の煮詰まった盤面でもコストを使わず2体ダル凍結することができるというのはそれだけでゲームを決める力があります。とはいえフォワードでも召喚獣でもないため、あまりスロットを割きたくはありません。
しかし、このデッキでは【9-039C】《ロック》でモンスターを指定することで擬似的にサーチでき、【10-127H】《シトラ》でも回収できるので1枚ながら確実に活躍させることができます。
――「L3構築」では【11-015L】《ブラスカの究極召喚獣》に注目しているプレイヤーも多いようですが、このカードについてはどう考えていますか?
プチデビ:あくまで個人的にですが、私は【11-015L】《ブラスカの究極召喚獣》がそれほど大きな脅威になるとは考えていません。
先ほど話したように「L3構築」では高い除去性能を持つ【ジョブ(王の剣)】の【11-097H】《ニックス》を有する雷属性が環境の中心になると考えています。
【11-015L】《ブラスカの究極召喚獣》は7CPとコストが重く、【11-097H】《ニックス》はそれを4CPでブレイクできるわけですから、された側はたまったものじゃないでしょう。【10-045C】《ウンサーガナシ》で守ることもできますが、【11-097H】《ニックス》もまた【11-102C】《リベルト》や【11-092C】《クロウ》で回収し何度もプレイできるので対処することはそれほど難しくありません。
雷属性に限らず、「L3構築」には【11-015L】《ブラスカの究極召喚獣》を対処できるカードが結構あります。例えばこのデッキでは【9-025H】《ザルエラ》や【11-024L】《ウーマロ》といった解答を用意することができるので、【11-015L】《ブラスカの究極召喚獣》がアビリティを使いアドバンテージで大きく得をする前に対処することができれば、それほど大きな脅威とはならないでしょう。
――「L3構築」環境で遊んでみた感想はいかがでしたか?
プチデビ:プレイして感じたのは、今のところ「L3構築」では環境の王者と言えるようなデッキタイプがまだなくて、今後も毎回優勝するデッキは変わってくるんじゃないかなということでした。
これは言い換えればどのデッキにも活躍のチャンスがあり、だからこそ特定のデッキを対策するのは難しいということで、そうなると大事になるのは自分の動きを押しつけられるデッキかどうかいうことです。自分のやりたいことがはっきりしているほうが使うぶんにも楽しいですしね。
そういった意味でも今回の自分の動きを強く意識した「氷単」を選択したのは正解だったと思います。
――前回インタビューしたしどさんは 「複数の属性を使うことでより広いカードプールを使うことができるので、よりカードパワーに妥協することなくデッキが組める」と話していましたが、今回「氷単」を使ったプチデビさんはどういった考えを持っていますか?
プチデビ:私はデッキに採用する属性を増やすということは、それだけ事故のリスクを高めることだと考えています。
たとえば複数の属性のバックアップを展開するときなど、バックアップを出すために本来使いたかったカードをコストにしなければならなかったり、そもそも必要な属性を生み出せないシーンというのが出てきます。
私がデッキに採用する属性を増やすのは、本当に使いたいカードがあるときです。
例えば今回は「氷単」で【10-023H】《ウネ》を使っていますが、【11-037L】《バルトアンデルス》と【10-100C】《ライデン》のコンボを使いたいといった明確な理由があれば、雷属性を加えた「氷雷」というデッキにしたでしょう。
特に「自宅名人戦」などの大会では1日に5回戦以上ゲームをするため、その中で事故が起こってしまうことも一度くらいはあると考えると、それを補えるほどのデッキパワーがない限り、基本的には少ない属性でデッキをまとめたほうが結果につながりやすいだろうというのが僕の考え方です。
「Chapter」シリーズの『FFTCG』では「ガーネット」という平然と5属性を使うようなデッキがあったんですが、そのデッキは必要なCPが使えず負けることも多かったんです。そこで、属性を絞って事故るリスクを減らした「ガーネット」デッキを使うことで最終的に好成績を出すという経験ができました。それ以降はやりたいことを絞って事故のリスクが低いデッキを使おうという考え方でデッキを組んでいます。
1つのデッキでやれることがいくらあっても、1つのゲームでできることは限られていますから、やりたいことは絞ってデッキがしっかり機能することを大事にしたいと思っています。
――できることすべてを追求するのではなく、実際にできる範囲を見極めることも大事なんですね。ありがとうございました。
◆おわりに
今回は第2回と第3回の「自宅名人戦」で連続優勝を果たしたプチデビさんへのインタビューでした。
相手を圧倒することにかける情熱と、事故の確率を極限まで下げるリスク管理が2連覇という快挙を遂げる原動力だったようです。
僕も大会では圧倒されてしまったので、次回はぜひリベンジしたいところです。
ゴールデンウィークも明けましたが、5月中は毎週末Discordで「自宅名人戦」が開催されるようです。
プチデビさんに圧倒されたい、もしくは圧倒したいという方もぜひ参加してみてはいかがでしょうか?
今後のスケジュールが気になる方はこちらをご覧ください。
次回は5月16日(土)に「スタンダード」で行なわれます。(受付は当日12:45まで)
それではまた次回の記事でお会いしましょう!