『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は新環境初の「自宅名人戦」を制したプチデビさんにインタビューを行ない、「水雷 暁の血盟」デッキについてお話をうかがいました。
◆はじめに
こんにちは!『FFTCG』プレイヤーのたるほです。
ついに!ついに!ついに!「Opus XII ~クリスタルの目覚め~」が発売されましたね!
「Opus XI ~ソルジャーの帰還~」から半年ぶりの新セットということで、すべての『FFTCG』プレイヤーが待ち望んだブースターパックだったと思います。
今弾からは新要素である「多属性」のカードも登場し、今までにはなかった新たな『FFTCG』の楽しさが広がりました。
どのカードも魅力的で、新しいデッキが生み出されたり、既存のデッキがアップデートされたりとこれまでにないほど多様なメタゲームになることが予想される「Opus XII」環境に今からワクワクしています。
というわけで今回はインタビュー記事として、そんな「Opus XII」環境で最初の開催となった「第18回自宅名人戦」で優勝したReimen Moriokaさん(オンラインイベント以外でのプレイヤー名に合わせて、この記事ではプチデビさんとお呼びします)にお話を聞いてきました。
新時代の幕開けとなる大会を制したプチデビさんの最新デッキに迫ります。
プチデビ
関東のプレイヤーで、オンラインイベントではReimen Moriokaの名前でもおなじみ。
「Opus XI」環境より始まった「自宅名人戦」で今回4度目の優勝を果たし、「Opus XII」環境最初の自宅名人に名乗りをあげた。
ソウルフードはもちろん盛岡冷麺。
◆「Opus XII」環境初陣。最初の王者は「水雷サンクレッド」!
――「Opus XII」環境初の「自宅名人戦」優勝ということで、まずはおめでとうございます。プチデビさんは「Opus XI」環境の「自宅名人戦」でも特に活躍されたプレイヤーの1人だったので、今環境でも活躍が期待されていたんじゃないかなと思います。
プチデビ:ありがとうございます。いや、まさか優勝できるとは思いませんでした(笑)。
――今回使われたのは【12-124L】《サンクレッド》を主役にした「水雷」デッキということで、「Opus XII」の新要素である多属性カードを活かしたデッキですね。早速ですがこのデッキを構築するに至った経緯を教えてください。
プチデビ:「Opus XII」は新しいデッキの軸になりそうなカードが多く、最初に作りたいと思っていたデッキは他にもありました。
たとえば【12-037L】《アーシェ》を活かした「風氷」や【12-128L】《ファリス》を使った「火水 光の戦士」、【12-110L】《ネオエクスデス》を1ターン目に出すデッキなども考えていたんですが、まだ発売から間もないこともありデッキを作ろうにもカードが足りず、実際にデッキが組めないものもありました。
そんななかで、購入したブースターパックのボックスから【12-124L】《サンクレッド》が3枚出たので、「水雷サンクレッド」を組んで使うことにしました。
●「水雷サンクレッド」(「第18回自宅名人戦」優勝)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(23枚) | ||
【12-124L】 | 《サンクレッド》 | 3 |
【12-119L】 | 《ヤ・シュトラ》 | 1 |
【1-132C】 | 《ケットシー》 | 1 |
【7-104H】 | 《ラムザ》 | 1 |
【12-080H】 | 《シド・プリヴィア》 | 3 |
【5-163S】 | 《ウリエンジェ》 | 2 |
【12-075R】 | 《アルバ》 | 2 |
【12-084C】 | 《ビビ》 | 1 |
【12-087H】 | 《ミド・プリヴィア》 | 3 |
【5-118L】 | 《ラムザ》 | 1 |
【11-118L】 | 《セリス》 | 1 |
【11-124H】 | 《リルム》 | 2 |
【12-109L】 | 《レナ》 | 2 |
バックアップ(17枚) | ||
【5-162S】 | 《アルフィノ》 | 1 |
【1-150R】 | 《ルールー》 | 1 |
【5-120C】 | 《ルイゾワ》 | 2 |
【12-082R】 | 《ディアナ》 | 2 |
【5-161S】 | 《アリゼー》 | 3 |
【1-177R】 | 《ユウナ》 | 3 |
【11-121C】 | 《ポロム》 | 2 |
【3-143C】 | 《レオノーラ》 | 1 |
【4-138R】 | 《メルウィブ》 | 2 |
召喚獣(5枚) | ||
【3-123R】 | 《暗黒の雲ファムフリート》 | 3 |
【12-097H】 | 《シルドラ》 | 2 |
モンスター(5枚) | ||
【4-012C】 | 《ゴブリン》 | 1 |
【11-095R】 | 《スケルトン》 | 1 |
【4-106C】 | 《ドラゴン》 | 1 |
【10-045C】 | 《ウンサーガナシ》 | 2 |
――実際【12-124L】《サンクレッド》を使ってみていかがでしたか?
プチデビ:僕自身の【12-124L】《サンクレッド》の事前評価としては「どちらのアビリティも水属性、雷属性のカードがフィールドにある程度出ている必要があるため構築を縛られそう」というもので、準備にも時間がかかるのでゲームスピードの速い環境では活躍しにくそうだったり、コストが重く大振りな動きになるので隙が大きく環境の影響を受けやすいカードだなという印象でした。
ですが、実際に使ってみると得られるリターンが想像以上に大きく、爽快感もあり楽しいカードということに気づきました。
単純に【12-124L】《サンクレッド》からフォワードを出しアタックできれば、こちらはフォワードを2体展開し相手のフォワードを1体ブレイクできるので、フォワード3体ぶんの差を作ることができます。
これに【12-087H】《ミド・プリヴィア》を組み合わせることでさらにこちらのフォワードを増やし、相手のフォワードをブレイクすることもできるので盤面を押し返す力が非常に優れていました。
ブレイクゾーンから出すフォワードも属性に関係なく出すことができるので、例えば【12-004R】《アルフィノ》と合わせて使ったりとさまざまな使い方ができる、研究のしがいのあるカードだと思います。
準備が必要で隙が大きいという課題はあるものの、使う前に持っていたイメージを覆すパワフルなカードだと感じます。今回はそんな【12-124L】《サンクレッド》に加え、同じくフォワードをブレイクゾーンから出すアビリティを持つ【12-109L】《レナ》との2枚看板で、継続的なフォワードの復活を狙うコントロールデッキを目指してデッキを構築しました。
――【12-124L】《サンクレッド》や【12-109L】《レナ》から出すカードはどのようなものを採用したのでしょうか? 「Opus XII」のカードがかなり採用されているようですが。
プチデビ:ブレイクゾーンから出すカードについてはなるべく種類を散らしてさまざまな盤面に対応できるよう意識して採用しています。また、できるだけ「Opus XII」の新しいカードは使って試したいと思ったので、いろいろなお試しカードを採用しました。
雷属性の新要素として、今回は【12-080H】《シド・プリヴィア》と【12-087H】《ミド・プリヴィア》を採用しています。
【12-080H】《シド・プリヴィア》は手軽にヘイストを付与できるため、【12-124L】《サンクレッド》や【12-109L】《レナ》にヘイストを持たせてアビリティを即座に使うことができます。このデッキではさらに【11-118L】《セリス》を採用し、出したターンから行動することでより強くなるフォワードを採用しています。
また【12-087H】《ミド・プリヴィア》はコスト1の雷属性のフォワードをブレイクゾーンからフィールドに出すことができるため、【12-080H】《シド・プリヴィア》や【1-132C】《ケットシー》などを状況に合わせて展開することができます。
【12-087H】《ミド・プリヴィア》自体を【12-124L】《サンクレッド》から出すこともできるので、【12-124L】《サンクレッド》1枚でフォワードを3体展開できるというのもこのデッキの特徴です。
【12-124L】《サンクレッド》から【12-087H】《ミド・プリヴィア》を出し、さらに【12-080H】《シド・プリヴィア》を出すことで、そのまま【5-161S】《アリゼー》や【12-080H】《シド・プリヴィア》で【12-124L】《サンクレッド》、【12-087H】《ミド・プリヴィア》にヘイストを与え、いきなりパーティーアタックを狙うこともできます。
これにより【12-124L】《サンクレッド》と【12-087H】《ミド・プリヴィア》のそれぞれのアビリティで相手のフォワードを2体ブレイクし、1ターンでフォワードの数で5体差をつけるというのも構築段階で狙っていた動きの1つです。
――このデッキでは【5-163S】《ウリエンジェ》や【11-124H】《リルム》などモンスターをサポートするカードも採用されていますね。
プチデビ:バックアップを5枚しっかり置けていれば【12-124L】《サンクレッド》のアビリティでブレイクゾーンから3~4CPのフォワードも出すことができるんですが、カードが並ばない序盤から中盤ではそれほどコストが大きいフォワードを出すことができません。
【5-163S】《ウリエンジェ》は2CPながら自身もブレイクゾーンからモンスターを出すことができ、一度に盤面を広げられるので【12-124L】《サンクレッド》から出すカードの有力候補ということで採用しました。
【ジョブ(暁の血盟)】を参照し、その枚数以下のコストのモンスターを戻せるので、同じく【ジョブ(暁の血盟)】である【12-124L】《サンクレッド》と合わせてコストが2CPのモンスターを出せるというのも相性がいいです。
――序盤から【12-124L】《サンクレッド》を使いやすくするために、コストの低いフォワードを中心に採用したわけですね。
プチデビ:もともと【12-087H】《ミド・プリヴィア》から出すカードとして雷の1CPのフォワードを採用していることもあり、フォワードのコストを全体的に低めにおさえることができました。そのため【12-109L】《レナ》1枚で複数回フォワードを蘇生できるのも構築の強みです。
【12-109L】《レナ》はブレイクゾーンからフォワードを出せるので、手札を消費せずにフォワードを展開できます。高コストのカードをコストを踏み倒して出しても強いですが、コストが低いフォワードを何度も出すとその分手札のカードを使わなかったのと同じ計算になるので、1枚で何度もフォワードを出すほどお得に使うことができます。
また【12-119L】《ヤ・シュトラ》のようにCPを払って出す手段がないカードを採用できるのも【12-124L】《サンクレッド》や【12-109L】《レナ》の強みですね。
――コストを踏み倒すカードといえば【11-124H】《リルム》も採用されています。以前の「土風ヴィンセント」でも採用していた便利な1枚ですね。
プチデビ:このデッキでは序盤戦を耐え切るための要員として【11-124H】《リルム》を採用しています。
【11-124H】《リルム》は相手がフォワードを展開していなければ【4-012C】《ゴブリン》と【10-045C】《ウンサーガナシ》を出して【12-124L】《サンクレッド》を守りつつヘイストでアタックさせる準備をさせたり、相手がダメージレースを先行してくる展開であれば【11-095R】《スケルトン》と【4-106C】《ドラゴン》でフォワードをブレイクして切り返すというように、相手の出方を見ながらこちらのプランを決める後出しジャンケンができるカードです。
相手の様子を見ながら3ターン目にキャストして、展開に合わせてモンスターをサーチするのが仕事ですね。
――新要素といえば【12-097H】《シルドラ》が目を引きます。僕も個人的に注目している1枚なのですが、使用感などはいかがでしたか?
プチデビ:【12-097H】《シルドラ》はコストが違う水属性か【カテゴリ(V)】のキャラクターをサーチできるということで、序盤に引けばバックアップの事故を防げますし、中盤以降に引けば盤面に合った必要なカードをサーチできるという点で、活躍の幅が広いカードでした。
このデッキであれば、主役である【12-124L】《サンクレッド》はもちろん、【12-124L】《サンクレッド》から出したい【12-109L】《レナ》や【12-080H】《シド・プリヴィア》、【12-087H】《ミド・プリヴィア》といった【カテゴリ(V)】のカードもサーチできるので、僕のデッキにはかなりマッチしていたと思います。
先ほどお話ししたように序盤戦を【11-124H】《リルム》で乗り切ろうと考えているので、3ターン目に【11-124H】《リルム》をキャストするという、序盤でやっておきたい動きを安定させるという点でも一役買ってくれます。
また【12-109L】《レナ》と【12-080H】《シド・プリヴィア》のようなコンボ用のカードを1枚でそろえられるのはこれまでのサーチ手段ではなかなかできなかったことです。さらに【1-177R】《ユウナ》でコストを軽減できるというのが優秀で、3CPでキャストしたときは「これが許されるのか?」というほど強さを感じました。
――【12-097H】《シルドラ》は4CPと【12-097H】《シルドラ》自身を使ってカード2枚(4CP相当)をサーチするので一見損しているように見えますが、【12-124L】《サンクレッド》や【11-124H】《リルム》のような、キャストに使ったCP以上にリソースを稼いでくれるカードと組み合わせると特に強力ですよね。召喚獣は【12-097H】《シルドラ》の他に【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》を採用していますが、こちらはどんな意図があるのでしょう?
プチデビ:デッキの動きという意味では【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》は特にシナジーなどがあるわけではないので、【12-097H】《シルドラ》の3枚目を採用したいところでしたが「Opus XII」環境で【12-110L】《ネオエクスデス》を無視するわけにはいかないので、それに対抗するために入れざるをえなかったカードとして3枚採用しました。
もちろん仮想敵は【12-110L】《ネオエクスデス》だけではなくて、例えば【12-052H】《バッツ》&【12-053C】《ボコ》のコンビも強力で1~2ターン目にパーティーアタックを仕掛けてくるので、そういったデッキ相手でも序盤戦をしのぐことができるという意味で必要なカードでした。
――お試しでカードを採用したと言っていましたが、かなりまとまりのあるデッキに見えます。
プチデビ:前回のインタビューでもお話ししたんですがなかなか人と対戦する機会が取れないので、基本的にデッキの調整をするときは自分のデッキ対自分のデッキで戦わせることが多いのですが、今回作ったデッキの中でも「水雷サンクレッド」はある程度は戦えて、「自宅名人戦」でもまったく戦えないわけではないだろうと思ったので、一度このデッキを使ってみようと思いました。
結果的に優勝することができましたが、「自宅名人戦」に参加してみて変えたほうがいいなというカードも見つかったので、手直ししたバージョンも作ってみました。
●「水雷サンクレッド」(改良バージョン)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(23枚) | ||
【12-124L】 | 《サンクレッド》 | 3 |
【1-132C】 | 《ケットシー》 | 1 |
【12-080H】 | 《シド・プリヴィア》 | 3 |
【5-163S】 | 《ウリエンジェ》 | 3 |
【12-075R】 | 《アルバ》 | 2 |
【12-084C】 | 《ビビ》 | 1 |
【12-087H】 | 《ミド・プリヴィア》 | 3 |
【5-118L】 | 《ラムザ》 | 1 |
【11-118L】 | 《セリス》 | 2 |
【11-124H】 | 《リルム》 | 2 |
【12-109L】 | 《レナ》 | 2 |
バックアップ(17枚) | ||
【5-162S】 | 《アルフィノ》 | 1 |
【5-120C】 | 《ルイゾワ》 | 2 |
【12-082R】 | 《ディアナ》 | 2 |
【5-161S】 | 《アリゼー》 | 3 |
【1-177R】 | 《ユウナ》 | 3 |
【11-121C】 | 《ポロム》 | 2 |
【1-080R】 | 《ワッカ》 | 1 |
【3-143C】 | 《レオノーラ》 | 1 |
【4-138R】 | 《メルウィブ》 | 2 |
召喚獣(5枚) | ||
【3-123R】 | 《暗黒の雲ファムフリート》 | 3 |
【12-097H】 | 《シルドラ》 | 2 |
モンスター(5枚) | ||
【4-012C】 | 《ゴブリン》 | 1 |
【5-090R】 | 《ヒルギガース》 | 1 |
【11-095R】 | 《スケルトン》 | 1 |
【4-106C】 | 《ドラゴン》 | 1 |
【10-045C】 | 《ウンサーガナシ》 | 1 |
――【12-119L】《ヤ・シュトラ》は抜けてしまったんですね。
プチデビ:強力なカードでしたが、デッキに欲しい動きとは少し違ったなと思い、手直しにあたって採用を見送りました。
デッキの課題である「速いデッキに対して相手のフォワードを1枚シャットアウトできるカード」なので強力ではあったのですが、そうするとアタックに行けないのでせっかくのヘイストとコスト4以上のフォワードにブロックされないというアビリティが活かせないですからね。ヘイストは【5-161S】《アリゼー》で与えられるので、どうせならブレイブを持っていればよかった、と思うのは贅沢でしょうか(笑)
――それは流石にやりすぎですね!(笑)
プチデビ:そのぶん【11-118L】《セリス》の枚数を見直したり、【12-124L】《サンクレッド》がフィールドに残りやすくするために採用していた【1-150R】《ルールー》は【12-124L】《サンクレッド》の蘇生アビリティを使いやすくするため【1-080R】《ワッカ》に変えたりと、構築を見直してあります。よろしければ使ってみてください。
◆自宅名人に聞く、「Opus XII」環境のこれから
――これから研究が進んでいく「Opus XII」環境ですが、ずばりどんなカードが活躍すると思いますか?
プチデビ:新しく登場したデッキだと【12-052H】《バッツ》と【12-053C】《ボコ》を使ったデッキや、【12-128L】《ファリス》を軸に【ジョブ(光の戦士)】にフォーカスを当てた序盤の展開力があるデッキは構築をまとめやすくて活躍するのかなと思っています。
また今回対戦したkakka(閣下)さんの【ジョブ(侍)】デッキの【12-012L】《テンゼン》や【12-110L】《ネオエクスデス》のような、初手からパワーの高いフォワードを展開してくるデッキも強力でした。
そうなると「Opus XII」環境はゲームスピードの速い環境になるのかなと思っています。
特に【12-110L】《ネオエクスデス》は先攻1ターン目に出されると対処できないデッキはそのままなす術もなくやられてしまうんじゃないかというパワーがありました。
そういった中で今回僕が使った「水雷」や「風氷」のようなコントロール系のデッキはどうやって生き残っていけばいいのか、というのが今後の課題となってくると思っているのですが、まずは序盤をさばける手段を用意するというのが今後のデッキ構築では重要になってくると思います。
今回であれば【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》や、【11-124H】《リルム》からの【11-095R】《スケルトン》と【4-106C】《ドラゴン》がそれにあたります。
逆に序盤にリソースが集中する強いデッキが多いので、そこをしのぎ切ってしまえばコントロール側は優位を広げていくことができるので、中盤以降は逆転されにくい展開に持ち込めると思います。
そうして「序盤に全リソースを投入するのは不利」という認識が広がってメタゲームが次のステップに進めば、先ほども話したように【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》のようなデッキの動きと関係ないけれど助っ人的に採用しているカードが抜け、この「水雷」もよりデッキにマッチしたカードを投入できるようになって、よりデッキパワーが上げられると思います。
――「Opus XII」で特に話題を読んだカードの1つに【12-002H】《アマテラス》がありました。オートアビリティを無効にし、その発動元がフォワードなら8000ダメージを与えるという効果で【12-124L】《サンクレッド》に対してもクリティカルなカードですが、今回の「自宅名人戦」でキャストされる機会はあったんでしょうか?
プチデビ:最終戦でぱっつぁんさん(※「第2期名人位決定戦」優勝者)と対戦したときに使われて、【12-124L】《サンクレッド》には当てられなかったんですが、その強さに度肝を抜かれてしまいました。予想してない展開からキャストされたというのもあるんですが、やっぱり使われるとこういうデッキとしてはキツイというのが正直なところですね。
ただ【12-002H】《アマテラス》ならまだマシというか、このデッキは「風氷」のようなもっと強力にコントロールしてくるデッキが特に苦手で、「風氷」自体がキャスト数にフォーカスした手数の多いデッキなので、対処しきれず負けてしまうという展開になりがちなんです。フォワード自体が小粒なこともあり【12-114R】《バラライ》で一掃されてしまったり、【12-124L】《サンクレッド》が【12-116L】《ロック》の的になってしまったりと「水雷」の天敵のようなデッキです。
その点【12-002H】《アマテラス》は単体のカードとしては苦手ですが、デッキ自体が負けているわけではないので勝てる見込みがあると思っています。また一度対処されたとしても【12-097H】《シルドラ》からもう1度チャンスを狙うこともできます。
【12-002H】《アマテラス》を見たときに感じたのが、相手の動きに対して構えるカードなので、コストを温存しつつ動くというプレイがどのくらいできるかなということでした。
例えば火属性を使うデッキだと、「火水 光の戦士」などは手札を余らせるよりガンガン展開したほうが強かったりもするので、そのなかでタイミングよく【12-002H】《アマテラス》を構えるのは難しいんじゃないかなという印象が強かったです。
とはいえ、うまい人にクリティカルな場面で使われると1枚でゲームが決まってしまうということもありえるので、非常に強いが使い方の難しいカードだと思っています。環境の最初期ということで僕自身まだまだ研究も進んでいませんが、今後いかに【12-002H】《アマテラス》をうまく使っていけるかというのは1つの課題かなと思っています。
これは「水雷サンクレッド」に限った話ではありませんが、カード単体で見て有利か不利かというよりは、総合的に見てデッキが負けていないことが「Opus XII」環境では大事な要素になると思います。
――個人的にですが、プチデビさんといえば『FFV』と『FFXIV』が好き、というイメージが強いので、今回の「水雷サンクレッド」はとてもプチデビさんらしいデッキだなという印象を受けました。
プチデビ:もともと『FFV』は好きで、以前から【カテゴリ(V)】のカードも愛用していましたし、最近ではTwitterで『FFXIV』の話もよくするくらいお気に入りの作品です。
――思い入れの強い作品ということで構築にもこだわりが出たのでしょうか。
プチデビ:これはカードゲーマーあるあるだと思いますが、デッキを組むとき、「このカードを使ってあげたい」といった「情」に引っ張られてしまうんです。なので、強いデッキや綺麗なリストといった「理」よりも「情」でカードを選択していくことが多いですね。
ただ、カードに愛着を持つというのは決して悪いことではなくて、愛着があるからこそ、そのカードのテキストをよく読んで相性のいいカードをたくさん探して、そのなかで思ってもなかった強力なコンボやシナジーに出会えるということもあります。これは愛着のあるキャラクターや作品を使える『FFTCG』のおもしろさの1つだと感じています。
逆に、そのせいで視野が狭くなってしまう場合もあるので、僕の課題の1つでもありますね(笑)。
――自分のこだわりも使い方次第で毒にも薬にもなるってことですね。ちなみに次使うならこれというような、こだわりのデッキはもうあったりするんですか?
プチデビ:いっぱい使いたいデッキはあるんですが「Opus XII」で新たに【12-092C】《オルトロス》が追加されたので、次は【9-104L】《オルトロス》を使ったデッキを使ってみたいと思っています。
《オルトロス》をいっぱい【12-097H】《シルドラ》でサーチして、【11-124H】《リルム》からサーチした【4-012C】《ゴブリン》でヘイストを与えつつ【10-045C】《重攻撃騎マナスヴィン》で大ダメージを狙うデッキに今ハマっているので、ぜひ使いたいと思っています。
これも原作である『FFVI』において絡みがある【11-124H】《リルム》と【9-104L】《オルトロス》を一緒に使ってあげたいという気持ちからできたデッキですね。
「Opus XII」ではいろんなデッキの軸になるカードが登場したので、何十個とデッキができていくんじゃないかなと思います。最初に話したとおり、まだまだカードが足りなくて組めていないデッキもたくさんあるので、僕もいろんなデッキを組んでいきたいと思います。
――確かに「Opus XII」が発売されてから今までにないくらいいろいろなデッキと対戦している気がします。今後プチデビさんがどんなデッキを作ってくるかも今から楽しみですね。本日はありがとうございました!
◆おわりに
今回は「水雷サンクレッド」を使い「Opus XII」環境初となる「自宅名人戦」を制したプチデビさんのインタビューをお届けしました。
発売直後という混沌とした環境で、コントロール色の強い「水雷」に【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》まで採用するという、環境のスピードを読み切ったデッキ構築は流石の一言です。
「水雷」という多属性の組み合わせのパターンのみにとらわれず、5属性を採用した構築もプチデビさんのこだわりの光る構築だったと思います。まだまだデッキのアイディアがあるということで、彼が今後どんなデッキを使ってくるのかにも注目です。
こだわりは自分の強みになるということで、ぜひ皆さんもこだわりのデッキで「自宅名人戦」に参加してみてはいかがでしょうか?
今後の自宅名人戦のスケジュールはこちらをご覧ください。
次回は11月29日(日)に「Opus XII」環境では初の「L3構築」で行なわれます。(受付は当日12:45まで)
それではまた次回の記事でお会いしましょう!