【FFTCG】たるほの「3コストWOL」研究 第1回 ~【21-121L】《ウォーリアオブライト》のパターンを知ろう~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は、ライターのたるほさんによる、あるカードを深堀りする記事をお届けします。

 

◆はじめに
皆さん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

さっそくですが、今シーズンは「MASTERS 2024」や「Standard Championship 2024」といった公式トーナメントに加え「世界選手権2024 開催記念ショップ大会」などショップでのイベントも多く、それに参加して優勝を目指すことを目標に取り組めるという点からもモチベーションを保ちやすくとても充実したシーズンだと感じています。
そんな取り組みがいのあるシーズン、せっかくならいろいろなデッキを探っていきたいということで、次のブースターパック「秘められた試練」が発売されるまでの約2か月の間で何回かに分け、1枚のカードをフィーチャーして今後のトーナメントシーンで熱くなりそうなデッキを深堀りしてみようと思います。

今回の記事の主役は、「運命を超えて」で登場して以来、その強力かつ柔軟なアビリティによってさまざまなデッキで試されている【21-121L】《ウォーリアオブライト》です。

それでは、さっそく始めていきましょう!
 


◆なぜ、今【21-121L】《ウォーリアオブライト》なのか?
まず改めて【21-121L】《ウォーリアオブライト》を見直してみましょう。
【21-121L】《ウォーリアオブライト》といえば「運命を超えて」で登場した光属性のレジェンドカードで、昨年12月に開催された「世界選手権 2023」ではAlexander Hancox氏によって発売から2週間という期間のなかで研究された「火氷水【ウォーリアオブライト】」が優勝を飾るなど目覚ましい活躍を見せたカードです。

【21-121L】《ウォーリアオブライト》が持つアビリティは2つ。


ウォーリアオブライトがキャストによってフィールドに出たとき、デッキのカードを上から5枚公開する。その中からコスト3のキャラクターカードを最大2枚までフィールドに出し、残りをデッキの1番下に好きな順番で置く。
・アルティメットシールド[S]:ターンの終了時までウォーリアオブライトとあなたのコントロールするすべてのコスト3のフォワードは「自身は対戦相手の召喚獣やアビリティによって選ばれない。」を得る。

というものです。

特に注目されているのが、強力な踏み倒し効果を持つオートアビリティです。
単純に【21-121L】《ウォーリアオブライト》のキャストにかけた7CPに対して、カードそのものと、3CPの踏み倒しを2枚分行なうことで合計10CP相当のリターン(しかも、これによって出たカードのアビリティを加算すればもっとです!)を得ることができる、シンプルかつ強力なものです。

非常に高いポテンシャルを誇り、環境に多大な影響を与えつつも、「運命を超えて」環境の終盤では対策が進んだこともあり、初期ほどの勢いは失われていきました(それでも「第5期名人位決定戦」で2位入賞という実績を残していますが)。

そんな歴史をたどってきた【21-121L】《ウォーリアオブライト》ですが、「秘められた希望」環境では復権の兆しを見せています。なぜ今【21-121L】《ウォーリアオブライト》が熱いのでしょうか?

その理由はズバリ、【21-121L】《ウォーリアオブライト》デッキが環境のトップ層に対して有効だと目しているからです。 

では今環境のトップ層に位置するデッキとは何か?
あくまで個人的にですが、僕の考えでは、

・「火風土水【光の戦士】」 
・「火氷水【騎士】」 
・「氷雷」 

の3つが挙げられると思っています。

まず「火風土水【光の戦士】」ですが、これはもう言わずもがな「秘められた希望」環境の最前線をひた走っているデッキです。


「MASTERS 2024」のスタンダードのトーナメントでも使用率が高く、千葉大会・津大会・金沢大会において優勝という結果を納めています。こういった成績の背景には、その3大会を制したえあさんの実力によるところも大きく影響していますが、今シーズン、そんなえあさんに土を付けているデッキのひとつが「MASTERS 2024」福島大会でかいむさんが使用した「火氷雷【ウォーリアオブライト】」です。

ゲーム序盤の【21-121L】《ウォーリアオブライト》がたたき出す爆発力と【14-124H】《ゼロムス》や【13-022H】《シド・ランデル》による妨害の掛け算で、ゲームの準備に時間がかかる「火風土水【光の戦士】」の弱点を的確につける点が非常に強力なうえ、【21-121L】《ウォーリアオブライト》のスペシャルアビリティ「アルティメットシールド」によりEXバーストによる逆転を許さないゲームメイクが可能なことから安定した戦績が期待されます。

次に「火氷水【騎士】」。
このデッキは「秘められた希望」で誕生した新たなデッキタイプでありながら、「MASTERS 2024」では金沢大会以外のすべてのトーナメントで上位入賞を果たすほどのポテンシャルを発揮しているデッキです。

ゲーム最序盤に【22-097L】《クリルラ》から【ジョブ(騎士)】のフォワードを展開していくというデッキの性質も相まって、前環境の「火氷水【ウォーリアオブライト】」と生い立ちもよく似たデッキですが、手札を捨てさせたり、ダル・凍結効果により相手のリソースへの介入が得意な「火氷水【騎士】」に比べ、除去効果に優れたカードが採用される【21-121L】《ウォーリアオブライト》では、直接対決なら【21-121L】《ウォーリアオブライト》側に分があると考えられます。

最後に「氷雷」ですが、このデッキは前述の2デッキと比べ使用率の面ではそれほど高いデッキではありません。
しかし元来苦手としてきた「火風土水【光の戦士】」との相性が大幅に改善し、「火氷水【騎士】」に対しても雷属性の低コスト帯フォワードへの除去が刺さりやすいことから、上位層への対抗デッキというポジションを確立し、今シーズン活躍の場を取り戻しつつあるデッキです。


この意味では【21-121L】《ウォーリアオブライト》デッキと近いポジションにあると言えますが、そもそも前シーズンで「氷雷」の活躍の場を奪ってきたのが「火氷水【ウォーリアオブライト】」であり、「秘められた希望」ではその差を埋めるようなカードも登場していないことから、デッキ間の相性関係は明白です。

このように、環境を先導し使用率も高い「火風土水【光の戦士】」「火氷水【騎士】」と、その対抗馬として追従する「氷雷」に対して安定した勝率が見込めることが、現環境で【21-121L】《ウォーリアオブライト》に可能性を感じる理由です。 

 


◆【21-121L】《ウォーリアオブライト》デッキの構築パターン
そんな【21-121L】《ウォーリアオブライト》ですが、「秘められた希望」環境の現在では大きく3つの構築パターンが主流と考えられます。 

サンプルデッキ1:「火氷水ウォーリアオブライト」

カード番号 カード名 枚数
【メインデッキ】 
フォワード(32枚) 
【12-004R】 《アルフィノ》 2
【21-001R】 《ウォード》 1
【21-004L】 《カイエン》 3
【18-012L】 《ファリス》 3
【21-010H】 《タイヴァス》 3
【14-023L】 《ギルガメッシュ [FFBE]》 3
【20-044L】 《エッジ》 1
【22-108H】 《レナ》 2
【14-124H】 《ゼロムス》 3
【18-107L】 《アクスター》 3
【18-125H】 《オニオンナイト》 2
【19-128L】 《ウォーリアオブライト》 3
【21-121L】 《ウォーリアオブライト》 3
バックアップ(13枚) 
【21-006C】 《侍》 3
【11-012C】 《タツノコ》 1
【21-024C】 《学者》 3
【5-123H】 《エリア》 3
【12-099R】 《セーラ [FFL]》 3
召喚獣(5枚) 
【12-002H】 《アマテラス》 3
【9-114C】 《不浄王キュクレイン》 2
【LBデッキ】
フォワード(8枚) 
【22-112R】 《ザックス》 1
【22-114H】 《ヴィクトラ》 1
【22-115R】 《サージェス》 2
【22-120H】 《クラウド》 1
【22-122L】 《ティーダ》 1
【22-123R】 《レオ》 2

もっともポピュラーなのが火/氷/水の3属性を使用した構築パターンでしょう。
この構築は「運命を超えて」環境で研究が進められたパターンで、【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》や【21-004L】《カイエン》といったクリスタルギミックを主軸にしつつ戦うことをコンセプトにしています。「秘められた希望」では【22-108H】《レナ》の追加に加え、強力なLBカードによって着実な強化がされています。

サンプルデッキ2:「火氷雷ウォーリアオブライト」(「MASTERS 2024」福島大会優勝) 

カード番号 カード名 枚数
【メインデッキ】 
フォワード(36枚) 
【12-004R】 《アルフィノ》 2
【20-015C】 《トゥモロ》 1
【13-034H】 《レメディ》 3
【13-022H】 《シド・ランデル》 3
【20-040L】 《ルーファウス》 3
【20-086H】 《アリゼー》 2
【10-098L】 《フォルサノス》 2
【13-112L】 《白虎のルシ ニンブス》 1
【14-124H】 《ゼロムス》 3
【18-107L】 《アクスター》 3
【19-124L】 《ヤ・シュトラ》 3
【21-081L】 《アーヴァイン》 3
【12-112L】 《セルテウス》 1
【14-122L】 《アルシド》 3
【21-121L】 《ウォーリアオブライト》 3
バックアップ(11枚) 
【18-014R】 《ミース》 2
【4-044R】 《ミュート》 2
【5-031H】 《ギルバート》 3
【2-106R】 《グラミス》 2
【19-084R】 《リチャード》 2
召喚獣(3枚) 
【17-090R】 《イクシオン》 3
【LBデッキ】 
フォワード(8枚)
【22-112R】 《ザックス》 1
【22-114H】 《ヴィクトラ》 2
【22-115R】 《サージェス》 2
【22-120H】 《クラウド》 2
【22-121R】 《ライトニング》 1

この構築は「MASTERS 2024」福島大会でかいむさんが使用し優勝した構築パターンです。前述の「火氷水」に比べると、水属性が雷属性になったことで【14-122L】《アルシド》や【20-086H】《アリゼー》といったフォワードが採用されるようになり、【21-121L】《ウォーリアオブライト》以外でも展開力を賄えるようになった形です。【14-124H】《ゼロムス》などリソースを妨害するカードがキャストしやすいこともあり、【21-121L】《ウォーリアオブライト》に依存しない戦い方を選べるという利点もありますが、なによりこれまでの【21-121L】《ウォーリアオブライト》に対する固定観念を打ち破ったことで話題になったデッキと言えます。

サンプルデッキ3:「氷雷水ウォーリアオブライト」(「Collector`s Cache Materia Cup 2024」優勝) 

カード番号 カード名 枚数
【メインデッキ】 
フォワード(35枚) 
【22-084R】 《風神》 1
【22-087R】 《雷神》 3
【4-047R】 《レメディ》 2
【14-023L】 《ギルガメッシュ [FFBE]》 3
【13-022H】 《シド・ランデル》 1
【15-086R】 《アクシス》 3
【21-081L】 《アーヴァイン》 2
【22-079L】 《サイファー》 3
【22-081R】 《ディアナ》 2
【22-075H】 《イデア》 1
【17-113L】 《グラセラ・ウェズエット》 1
【22-108H】 《レナ》 1
【14-124H】 《ゼロムス》 3
【18-125H】 《オニオンナイト》 3
【21-121L】 《ウォーリアオブライト》 3
【19-128L】 《ウォーリアオブライト》 3
バックアップ(14枚) 
【2-048R】 《リノア》 2
【4-044R】 《ミュート》 2
【21-024C】 《学者》 1
【13-069C】 《赤魔道士》 1
【21-082C】 《赤魔道士》 2
【5-123H】 《エリア》 3
【12-099R】 《セーラ [FFL]》 3
召喚獣(1枚) 
【17-090R】 《イクシオン》 1
【LBデッキ】 
フォワード(8枚) 
【22-112R】 《ザックス》 1
【22-114H】 《ヴィクトラ》 1
【22-115R】 《サージェス》 2
【22-120H】 《クラウド》 1
【22-121R】 《ライトニング》 1
【22-123R】 《レオ》 2

3つ目のパターンが火属性を捨て、氷/雷/水属性で構築されたパターンです。
海外圏の大型公式トーナメントである「Materia Cup」で優勝したことで注目を集めたこの構築は、「秘められた希望」で登場した【22-079L】《サイファー》を擁する【カテゴリ(VIII)】と共存しブレイクゾーンを肥やすことに優れたデッキであり、【21-121L】《ウォーリアオブライト》デッキの戦略のひとつである【14-023L】《ギルガメッシュ [FFBE]》のアビリティの発動条件をより達成しやすくした形と言えるでしょう。
火属性を失ったことで手薄になった除去力もしっかりと補強されており、非常に可能性を感じさせるデッキです。

 


◆【21-121L】《ウォーリアオブライト》の可能性を探ろう
ここまで話してきたように【21-121L】《ウォーリアオブライト》は「秘められた希望」環境で非常に注目すべきカードであり、実際多くのプレイヤーによって新たな可能性が模索されているカードでもあります。

最近は【21-121L】《ウォーリアオブライト》を採用した「火単」や「水単」などもトーナメントで成績を残していますが、これらのデッキにおける【21-121L】《ウォーリアオブライト》は従来のフォワードを展開しそのまま走りきるような使い方ではなく、バックアップの展開を加速させる補助的な使われ方を担っています。

このように【21-121L】《ウォーリアオブライト》の使い方にはまだまだ開拓の余地が残されており、今後もさまざまな形の【21-121L】《ウォーリアオブライト》デッキが開拓されていくでしょう。

たとえば補助的な使い方という点では「土単」とも相性がいいかもしれません。
「火単」や「水単」と同じく単属性デッキとして注目を集める「土単」ですが、実際に使ってみるとややもっさりとした印象があり、こちらの準備が整うまでは相手にいいように動かれてしまうという展開もしばしばありますが、【21-121L】《ウォーリアオブライト》であれば「土単」の抱える隙を解決してくれるかもしれません。

また、風属性を軸とした【21-121L】《ウォーリアオブライト》デッキもおもしろいかもしれません。風属性には【21-121L】《ウォーリアオブライト》をサーチできる【21-045C】《ゴブリンプリンセス》が存在しますが、自身がコスト3であることから後続となる【21-121L】《ウォーリアオブライト》のサーチが可能で「アルティメットシールド」を構える動きなどが取りやすくなります。さらに【21-045C】《ゴブリンプリンセス》をサーチできる【10-119R】《フェレーナ》もコスト3のバックアップなので「風水」をベースにした【21-121L】《ウォーリアオブライト》デッキなども考えられます。

また【3-056H】《ジタン》を採用し、氷属性と組み合わせることで相手の手札にプレッシャーをかける「氷風」で構築してみるのもいいでしょう。相手の動きを遅らせるためにこちらの動きも遅くなり、結果的に線が細いデッキになってしまうという欠点も【21-121L】《ウォーリアオブライト》であれば補うことができそうです。 


◆おわりに
ということで今回は、復権の兆しを見せる【21-121L】《ウォーリアオブライト》の今後の可能性を探ってみました。
今回話したものはあくまで一案であり、まだまだ机上の空論の域を出ませんが、今後こうしたアイディアはどんどん試していって、実用に耐えるものがあればぜひ皆さんに共有していきたいと思います。

僕の【21-121L】《ウォーリアオブライト》研究にぜひご注目ください。

そして、今月は6月29日(土)・30日(日)に行なわれる「Standard Championship 2024」に向けてスタンダードに力を入れた記事をお届けしていきたいと思いますので、そちらもお楽しみに!

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!