【FFTCG】戦いの舞台は世界選手権から名人戦へ!現状のメタゲームを分析して新環境に備えよう!

『FINAL FANTASY TrADING CARD GAME』の公式記事連載。

◆はじめに
みなさん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

先日の「世界選手権2023」、みなさんはご覧になりましたか?
各国と地域を代表する実力者が繰り広げた世界最高峰のトーナメントは手に汗を握る試合ばかりでした。
みごと優勝を果たしたのは”Mr.Cool”の通称でも知られるイギリス代表のAlexanderHancox選手。前人未踏の2度目の世界王者となった、最強の『FFTCG』プレイヤーに惜しみない拍手を送りたいと思います。

さて、「世界選手権2023」では11月に発売されたばかりの「運命を超えて」のカードも活躍しており、新環境のデッキに刺激を受けたプレイヤーも多かったのではないでしょうか?
今回の記事では「世界選手権2023」を皮切りにスタートした「運命を超えて」環境初期のメタゲームを考察し、みなさんに共有していきます。
今週末から始まる「第五期名人戦」に向けたブレイクダウンとして、ぜひ参考にしてください。

◆「世界選手権2023」を終えて。
「運命を超えて」環境で最初の公式トーナメントとなった「世界選手権2023」の結果を受け、僕が感じた環境への第一印象は、

「かつてないほどのアグロ環境が到来した。」

でした。
それを印象付けたのが【21-121L】《ウォーリアオブライト》と【21-122H】《天蛇将ルガジーン》という2枚のフォワードの存在です。


まずはそれぞれのカードが使用されているデッキを見てみましょう。
参考にする2つのリストは、どちらも日本代表として「世界選手権2023」に出場し、予選ラウンドでは8戦全勝と驚異的な成績を叩き出した閣下(Kakka)さんのデッキです。

 

●デッキリスト
「火氷水【ウォーリアオブライト】」

カード番号 カード名 枚数
フォワード(34枚)
【21-004L】 《カイエン》 3
【12-004R】 《アルフィノ》 3
【18-012L】 《ファリス》 2
【14-023L】 《ギルガメッシュ [FFBE]》 3
【21-129S】 《ティナ》 1
【15-126R】 《レナ》 2
【15-124H】 《リルム》 1
【16-115H】 《セーラ [MOBIUS]》 1
【20-044L】 《エッジ》 2
【18-107L】 《アクスター》 3
【13-125R】 《ユウヅキ》 1
【14-124H】 《ゼロムス》 3
【18-125H】 《オニオンナイト》 3
【19-128L】 《ウォーリアオブライト》 3
【21-121L】 《ウォーリアオブライト》 3
バックアップ(16枚)
【18-014R】 《ミース》 1
【21-006C】 《侍》 3
【21-111C】 《ナイト》 3
【21-024C】 《学者》 3
【5-123H】 《エリア》 3
【12-099R】 《セーラ [FFL]》 3

「火氷水【ウォーリアオブライト】」はその名のとおり【21-121L】《ウォーリアオブライト》の持つオートアビリティを活かし、コスト3のキャラクターをデッキから直接フィールドに送り込むことをコンセプトとしています。

閣下さんのデッキは【14-124H】《ゼロムス》・【14-023L】《ギルガメッシュ[FFBE]》によるダル凍結、【21-121L】《ウォーリアオブライト》・【18-012L】《ファリス》・【15-126R】《レナ》などの【ジョブ(光の戦士)】パッケージ、【21-004L】《カイエン》や各コスト3バックアップによるクリスタルギミックと、3つのギミックにまたがってデッキが構築されており、ギミック間のシナジーも相まって非常に強力なデッキに仕上がっています。


また、キーカードである【21-121L】《ウォーリアオブライト》は展開の要でありながら、スペシャルアビリティ「アルティメットシールド」で自身のキャラクターを守ることも可能で、全体除去に対しては2枚目の【21-121L】《ウォーリアオブライト》からの再展開によるリカバリーが可能です。キーカードを2枚用意するのはそれほど簡単なことではありませんが、【ジョブ(光の戦士)】を持つ【21-121L】《ウォーリアオブライト》は【12-099R】《セーラ[FFL]》によって2枚同時にサーチできるため、こうした展開が狙いやすい点も特徴です。

 

●デッキリスト
「水氷【ルガジーン】」

カード番号 カード名 枚数
フォワード(40枚)
【21-027L】 《グリーヴァ》 3
【21-023L】 《アルティミシア》 3
【20-040L】 《ルーファウス》 3
【21-036H】 《ヤ・シュトラ》 3
【16-042R】 《ラスウェル》 3
【13-023R】 《シャルロット》 3
【19-024L】 《セーラ [MOBIUS]》 3
【17-138S】 《ローザ》 3
【21-104C】 《賢者》 3
【14-111R】 《美神ラクシュミ》 2
【8-115L】 《ジタン》 3
【15-119L】 《ポロム》 2
【13-128L】 《ホシヒメ》 3
【21-122H】 《天蛇将ルガジーン》 3
バックアップ(2枚)
【21-115C】 《ラーサー》 2
召喚獣(8枚)
【9-114C】 《不浄王キュクレイン》 2
【20-118H】 《ユニコーン》 3
【14-113R】 《リヴァイアサン》 3

【20-040L】《ルーファウス》や【8-115L】《ジタン》のようにアタックしたときやダメージを与えたときに発動するオートアビリティを持つフォワードや、【21-027L】《グリーヴァ》のようなコストにダルを含むアクションアビリティを持つフォワードに【21-122H】《天蛇将ルガジーン》でヘイストを与え、タイムラグなくアビリティを使いつつダメージレースを仕掛けるデッキです。


【21-122H】《天蛇将ルガジーン》はパワー9000・ブレイブ・先制攻撃というタフな性能をしているためゲーム序盤では除去手段が少ないうえ、戦闘でも一方的に倒されてしまうためブロッカーで止めることも難しいカードです。隣に立つフォワードがこちらのリソースを奪いつつ【21-122H】《天蛇将ルガジーン》に強化されアタックしてくるので、一度型にハマってしまうと切り返すのが非常に難しいデッキとなっています。

閣下さんのデッキは【21-027L】《グリーヴァ》を水属性の【17-138S】《ローザ》や【21-104C】《賢者》でサポートする「氷水」で構築されていますが、「世界選手権2023」準優勝のHunterNance選手(アメリカ代表)は「氷単」に【21-122H】《天蛇将ルガジーン》を採用し【13-028L】《ファイサリス》などでさらにリソースを奪うことに特化したデッキを使用しており、こういったことからも氷属性+【21-122H】《天蛇将ルガジーン》が現環境に通じる力を持ったデッキであることがうかがえます。

どちらも方向性の違いはあれゲームの最序盤である1ターン目からフォワードを展開しアタックを仕掛けられるデッキであり、環境最初期からこのゲームレンジのデッキが複数生み出されていることからも「運命を超えて」環境の起点がアグロデッキであることは疑いようのない事実だと考えられます。

これに加え前環境まで活躍を続けてきた「火雷【XIII】」や、「運命を超えて」で大きく強化された「火単【マギサ】」など強力なアグロデッキが数多く存在します。

「世界選手権2023」でこれらのデッキが周知されたことは、今後各地で行われるトーナメントに影響を与えていくでしょう。

◆どうなる!?「第五期名人戦」!
ではこれらのデッキが「第五期名人戦」に与える影響について考えていきましょう。

強力なアグロデッキの台頭は、動き出しの遅いコントロールデッキにとって向かい風の環境であることを意味します。
1ターン目からアタックを開始し3ターン以内の決着もざらにあるアグロデッキに対し、バックアップを並べてバリューのあるカードを展開するデッキはあまりにも悠長で、ゲームの準備が整うまでに敗北してしまいます。

前環境で活躍していた「火風土水【ウォーリアオブライト】」や「風単」、「氷土水モンスター」のようなバックアップを展開するデッキは「運命を超えて」環境ではかなり数を減らすのでは?と考えています。

もちろん、まったく勝てないかと言われればそんなことはないですし、対策を講じることは可能です。実際「風単」についてはAlexanderHancox選手による「世界選手権2023」優勝という実績もあります。ですが「第五期名人戦」は2デッキ制のトーナメントではありませんので、苦手なデッキを相手に安定した勝率を出し続けられるかといえば、かなり難しいと言えそうです。

また、前環境でアグロデッキの対抗馬として活躍していた「氷雷」ですが、このデッキも「運命を超えて」環境ではかなり苦戦を強いられることになりそうです。
前環境でアグロデッキの代表だった「火雷【XIII】」は1ターン目にフォワードを展開し2ターン目からアタックを仕掛けるという構造を持つデッキであり、フォワードの展開とアタックまでに若干のタイムラグがあるデッキでした。「氷雷」はこのタイムラグの間に存在するリソースが少なくなる隙をついて「火雷【XIII】」を切り崩していたのですが、【21-121L】《ウォーリアオブライト》1枚で膨大なアドバンテージを稼いでくる「火氷水【ウォーリアオブライト】」やタイムラグなくフォワードのアビリティを使用できる「水氷【ルガジーン】」に対しては付け入る隙がありません

そのうえ【21-121L】《ウォーリアオブライト》や【21-122H】《天蛇将ルガジーン》はパワー9000という「氷雷」では対処しにくいスペックを持っているため、「氷雷」にとっては天敵ともいえるフォワードです。「氷雷」に限らずアグロに対して優位性を持っていたミッドレンジ系のデッキは「運命を超えて」環境では活躍の場が少なくなっていくことが予想されます。

こうした予想をもとにメタゲームを考察していくと「第五期名人戦」ではこれまでの「英雄の夜明け」環境で中心となっていたデッキは立場を追われていくのではないかと考えられます。
では、「運命を超えて」の新カードを軸に生まれたアグロデッキに対抗するにはどういった手段が考えられるでしょうか。

 

・EXバーストによる対策
まず考えられるのがEXバーストによる対策。
アグロデッキはその性質上、いかに早くダメージを7点与えられるかが勝敗を分ける鍵となります。これに対してダメージに置かれたときに発動するEXバーストが有効なのは今さら語るまでもありません。
そして、数あるEXバーストを持つカードのなかでも特に有効だと考えられるのが【14-113R】《リヴァイアサン》です。


「火氷水【ウォーリアオブライト】」と「氷水【ルガジーン】」はともに光属性のフォワードとそれ以外の属性のフォワードが並ぶデッキであるため、EXバーストで【14-113R】《リヴァイアサン》がめくれると一気に2体のフォワードに対処できます。この点で、【14-113R】《リヴァイアサン》を使用できる水属性はそれだけで価値のある属性と言えます。このほかにもフォワードを直接除去できるEXバーストを採用しやすい火属性や雷属性は今環境でも注目されるでしょう。

・全体除去による対策
次に考えられるのが全体除去です。ただし「運命を超えて」環境で求められるのは単なる全体除去ではなく、ある程度単体で完結していて、複数回使えることが条件になると考えています。

先述のとおり「火氷水【ウォーリアオブライト】」と「氷水【ルガジーン】」は早い段階からリソースを奪いつつフォワード展開をしてくるため、「風単」の【17-063R】《ルッソ》のようなコンボを前提とした全体除去はそもそもの役割を果たすことが難しく、また【1-107L】《シャントット》のような使い切りの全体除去は1度はフィールドをさばけるものの、その後の再展開に対処しきれない可能性があります。

そのため、ただ全体除去を採用して対策できたと考えるだけでは不十分で、例えば【1-107L】《シャントット》に加え【17-076H】《マトーヤ[I]》まで採用するなど、これまで以上に採用枚数を意識していく必要があると思います。

そんななか、僕が個人的に注目しているのは【16-100L】《ヤ・シュトラ》です。


スペシャルアビリティ「生命の波動」は単体で完結しているとは言いにくいものの、比較的容易に使用が可能で、かつゲーム中繰り返し使える全体除去です。
オートアビリティによる除去も狙えるため、相手の1手目を自身のオートアビリティでしのぎつつ、全体除去を狙っていくという動きは環境にマッチしていると考えています。

 

・システムフォワードによる対策
実は「火氷水【ウォーリアオブライト】」と「氷水【ルガジーン】」には除去がそれほど多くないという共通の弱点が見られます。
これらのデッキが使用率を伸ばすほど、こちらのフォワードも除去されにくくなると考えることができます。そこで活躍の場を増やしそうなのが、強力なシステムフォワードたちです。

先ほどの【16-100L】《ヤ・シュトラ》もその1つで、相対的にフォワードの場持ちがよくなることを利用して強力なアクションアビリティやスペシャルアビリティで戦うというのは、「運命を超えて」環境で1つの有効な戦略になると予想しています。特に【15-083L】《リディア》や【16-133S】《ブラスカ》などの召喚獣を活用するカードはEXバーストによる対策と掛け合わせて戦えるので、今環境はかなり追い風の環境だと感じています。


これらのカードはコストが軽いのでバックアップの展開にさほど依存せず、仮想的に対して速度負けしないという点でもかなりの活躍が見込めるのではないでしょうか?
こういった要素を持つデッキを既存のリストから探してみると、以下のデッキが該当するのではないかと考えています。

・「火風土水【モールズの夜会】」
・「水雷【暁の血盟】」
・「火土水【リディア】」
・「土水【ウネ】」
・「火水【アクスター】」
・「火単」

これらのデッキは過去の環境で活躍した実績もあり、プレイヤーの理解も深いデッキで、今後再びスポットライトが当たることになるかもしれません。
具体的にデッキを考えていくのはこれからなので、まだこれといったデッキリストはありませんが、これらは「第五期名人戦」に向けて研究を進めたいところです。

また、日本代表選手のハリガイさんが使用していた「土単【モンスター】」も非常に全体除去が充実しているため、こちらも今後さらに評価を受けるデッキになるのではないかとにらんでいます。

◆まとめ
最後に今回の考察をまとめていきます。

1.「運命を超えて」では【21-121L】《ウォーリアオブライト》・【21-122H】《天蛇将ルガジーン》の登場によりアグロデッキが大幅に強化された。これらのデッキは「世界選手権2023」での活躍を受け、「第五期名人戦」でも使用率が高くなることが予想される。

2.アグロデッキの台頭により、バックアップの展開を前提としたデッキにとっては向かい風な環境となりそう。前環境で活躍した「火風土水【ウォーリアオブライト】」などは減少する可能性がある。また使うにしても全体除去などのアグロ対策は必須となるため、受け身なカードが増えることでデッキの最大値は前環境に比べやや落ちることになりそう。

3.前環境でアグロの対抗馬として活躍した「氷雷」だが、「火氷水【ウォーリアオブライト】」や「氷水【ルガジーン】」に対して相性がいいとは言えず、苦戦を強いられることになりそう

4.「EXバースト」「全体除去」「システムフォワード」といった【21-121L】《ウォーリアオブライト》と【21-122H】《天蛇将ルガジーン》に対して有効な対抗策を持つデッキに焦点が当たるのではないか?

以上が現時点で僕が考えている「第五期名人戦」初期環境のメタゲーム考察です。
環境初期はアグロデッキが勝ちやすいとよく言われますが、世界選手権でアグロが大活躍したというスタート地点からメタゲームがどのように変化していくかにも注目しつつ、「運命を超えて」環境を楽しんでいきたいところです。

◆おわりに
今回は来たる「第五期名人戦」に向けて「運命を超えて」環境初期のメタゲームを考察してきました。

「世界選手権2023」でひとつの明確な指標が見えたことで、これから「運命を超えて」のメタゲームが本格的に動き始めます。
アグロデッキと運命をともにするのか?それとも運命を超える新たなデッキで環境に挑むのか?みなさんはどんな選択をされますか?

それぞれの選択がどんな結果を生むのか、名人戦の予選大会で好成績を残したプレイヤーにフォーカスしたインタビュー記事もこれからお届けしていきますので、ぜひお楽しみに!

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!