【FFTCG】環境随一の安定感と除去を武器に「水単」が大会を制す ~「MASTERS22-23」徳島大会優勝者インタビュー~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「MASTERS22-23」徳島大会で優勝したテートクさんのインタビューをお届けします。

◆はじめに
みなさん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
今週も、現在開催中の全国大会「MASTERS 22-23」の優勝者インタビューをお届けし、最新のデッキテクを紹介していきます。

今回取り上げる大会の舞台である徳島県は、かつては「阿波国」としても知られ、会場のある徳島市は海・川・山の豊かな自然に囲まれた四国の東側に位置する都市です。400年を超える歴史を持つ伝統芸能「阿波おどり」は日本三大盆踊りの一つにも数えられており、瀬戸内海の播磨灘と太平洋の紀伊水道を結ぶ鳴門海峡は世界最大級の渦潮の名所で「大鳴門」とも呼ばれ日本百景にも制定されるなど、観光資源の豊かな街として広く知られています。

「MASTERS 22-23」徳島大会は「力の復活」環境の公式トーナメントで初となる「L3構築」での開催となり、今後の環境を占う大会として注目されていた方も多かったのではないでしょうか。決勝戦はテートクさんの「水単」とキノピオさんの「風土」による対決。「力の復活」で大きく強化を受けた水属性のポテンシャルを引き出したテートクさんが2本連取する形で勝利し、見事優勝を果たしました。

今回は「MASTERS 22-23」徳島大会を優勝し新環境での「水単」の実力を示したテートクさんにインタビューを行ない、「水単」デッキの2つの魅力についてお話をうかがいました。

 

◆“安定性の高さ”と“除去の豊富さ”、2つの強みを持つ「水単」
――「MASTERS 22-23」徳島大会、優勝おめでとうございます。
テートク:ありがとうございます。

――徳島大会は「力の復活」環境で初のL3構築での大会となりました。L3構築は主に最新3つのブースターパックが使用可能という特殊な構築戦で、前回L3構築で開催された「MASTERS 22-23」横浜大会からはカードプールもガラッと刷新されています。そんな新環境1回目となる徳島大会でテートクさんは「水単」を使用し、見事優勝を果たされたわけですが、まずは今大会で「水単」を選択した理由からお聞きしていきたいと思います。

テートク:元々、徳島大会に参加するにあたっては「氷雷」を準備していました。というのも「力の復活」の発売後、最初に参加する予定だった「MASTERS 22-23」岡山大会がスタンダードの大会だったため、発売以降はそっちの調整を重点的に進めていて、岡山大会から1週間しか調整期間がない徳島大会は、参加こそするもののあくまで新環境の様子見というつもりでいたんです。

当初、使用候補になっていたのは「氷雷」で、「氷雷」は「力の復活」で【18-019R】《ヴァイス》&【18-028C】《ネロ》というデッキの軸となるカードや、【18-116L】《セフィロス》、【18-126L】《ライトニング》といった多属性カードが追加され、L3構築でも明確に強化されたデッキだったので、徳島大会はとりあえず「氷雷」でいこうと決め打ちするつもりでした。

そんななかで参加した岡山大会で「水単【レオ】」と対戦する機会があったのですが、そのときにL3構築でも「水単【レオ】」を組めるんじゃないかと興味を持ったのが今回の「水単」を作ったきっかけでした。

そこで岡山大会のあと実際にデッキを組んでみたのですが、結果から言えば「水単【レオ】」はデッキにはなりませんでした。正確に言えば【16-126R】《レオ》imageを使うことはできたのですが、【16-126R】《レオ》imageの条件を満たすために必要なコスト6の【18-086H】《アーシェ》が【16-126R】《レオ》imageのアビリティでフィールドに出したい“当たりカード”であるという噛み合いの悪さがあり、その部分を補う手段を用意してまで【16-126R】《レオ》imageにデッキを寄せるメリットが感じられなかったというのが正直なところです。

ただ「水単【レオ】」を試したことで「水単」というデッキタイプ自体にかなり魅力を感じたため、【16-126R】《レオ》imageに頼らないアプローチであらためて「水単」を作ってみようと考え構築したのが今回の「水単」です。

●デッキリスト:「水単」「MASTERS 22-23」徳島大会優勝 フォーマット:L3構築)

カード番号 カード名 枚数
フォワード(23枚)
【18-086H】 《アーシェ》 3
【17-107R】 《アルフィノ》 2
【17-125R】 《ラマダ》 3
【17-113L】 《グラセラ・ウェズエット》 3
【16-115H】 《セーラ[MOBIUS]》 3
【16-116L】 《ティーダ》 3
【16-124H】 《ライトニング》 3
【PR-109】 《ユウナ》 1
【16-136S】 《アーロン》 2
バックアップ(18枚)
【18-091R】 《暗闇の雲》 1
【16-112C】 《コルセア》 3
【18-099C】 《レオ》 1
【18-102C】 《ワッカ》 3
【17-116C】 《ゴードン》 2
【16-108C】 《キマリ》 2
【15-123C】 《予言士》 3
【18-094C】 《風水士》 3
召喚獣(9枚)
【18-096C】 《リヴァイアサン》 3
【16-125C】 《リヴァイアサン》 3
【17-109R】 《キュクレイン》 3

――「水単」に感じた魅力というのは具体的にどういったところだったのでしょうか?
テートク:「水単」の魅力は大きいものが2つあると感じていて、それが“安定性の高さ”と“除去の豊富さ”です。

まず“安定性の高さ”についてですが、L3構築はサーチ効果を持つカードが限られていて、スタンダードに比べてデッキの再現性が低く動きが安定しないという特徴があります。その点、水属性にはカードを引く効果を持つカードが多いため、ほかの属性と比べて引きに左右されにくく安定したゲーム展開を目指せます

特にデッキの土台となるバックアップは前環境から使われている【16-112C】《コルセア》imageと【17-116C】《ゴードン》imageに加え、「力の復活」では【18-102C】《ワッカ》が追加されデッキの足回りがさらに強化されました。


次に“除去の豊富さ”についてですが、水属性には「ダメージ」「パワーマイナス」「除外」「手札に戻す」「山札に置く」「ブレイクゾーンに置く」など、さまざまなバリエーションの除去手段があるので、1つの方法がダメでも別のカードで対応できます。こうした対応力の高い水属性の除去の豊富さは、新環境での初の大会で具体的な仮想敵をしぼりにくい徳島大会のメタゲームにおいて大きな強みとなったと考えています。

――当初検討していた「氷雷」は今回使用には至らなかったわけですが、「水単」と「氷雷」を比べて最終的にデッキ選択の決め手となった要素はどういったところにあったのでしょう?

テートク:一番の理由はやはり“安定性”です。「氷雷」はデッキパワーの高さという面では「水単」以上のポテンシャルを感じていましたが、2つの属性を使う都合上どうしても片方の属性しか引けずカードが使えないリスクを抱えている印象がありました。

対して「水単」は必要なCPを生み出せず動けないということは起こらず、バックアップを引けないケースを除いて事故のリスクはほとんどないため、総合的なポテンシャルでは「水単」側に軍配が上がると考え、徳島大会では「水単」を使うことにしました。

――デッキパワーと安定性を天秤にかけた結果のデッキ選択だったと。それでは個々のカードについてのお話を聞いていこうと思います。”安定性の高さ”が魅力である「水単」において、バックアップの構成はデッキ構築の要になると思います。先ほどお話にも挙がった【16-112C】《コルセア》image、【17-116C】《ゴードン》image、【18-102C】《ワッカ》を含め、それぞれのバックアップについて採用した理由や枚数の根拠をうかがってもよろしいですか?

テートク:この3枚は先述のとおりデッキを回転させられる潤滑油として今回の「水単」の基盤になる優秀なバックアップです。【16-112C】《コルセア》imageはカードを引けるのはもちろんですが、能動的にフィールドから退けられるので、中盤以降【16-108C】《キマリ》imageや【15-123C】《予言士》imageを置きなおしたいときに役立つ点も評価しています。


【17-116C】《ゴードン》imageはL3構築では貴重な、奇数の動きができるカードです。もちろん偶数コストで運用しても十分なパフォーマンスを発揮できるのですが、序盤から引きすぎて毎回偶数で動いてももったいないので、2枚採用にして2枚目以降に置くプレイを心がけるようにしていました。


【18-102C】《ワッカ》は水属性か【カテゴリ(X)】という条件がありますが、「水単」なら確定で手札にカードを加えることが可能です。山札の上から3枚まで確認できるうえに奇数の動きであり、EXバーストまで持っていて個人的に3枚採用必須のカードでした。むしろこのカードがあることが「水単」を組む理由にさえなると評価しているカードです。


――【15-123C】《予言士》imageと【18-094C】《風水士》もそれぞれ3枚ずつ採用されています。
テートク:【15-123C】《予言士》imageは【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》imageを採用している都合上、1ゲーム中2回は出したいので3枚採用すべきカードかなと考えています。【16-112C】《コルセア》imageと同様、能動的にフィールドから退けられる点も優秀ですね。

【18-094C】《風水士》は奇数コストのバックアップとして優秀というのはもちろんのこと、手札で起動できるアクションアビリティの使い勝手のよさを買って3枚採用しています。

「水単」ではバックアップの展開を優先したいため合計18枚のバックアップを採用していますが、フィールドに5枚出てしまうとそれ以降引いたバックアップは基本的にコストにするほかありません。ですが【18-094C】《風水士》は有効札に変わる可能性があるため中盤以降でも活躍が見込めます。

また、自ターン中にバックアップを使い切れず、CPが半端に余った状態で相手にターンを渡してしまった場合でも、余ったコストの消費先としての役割を持てます。召喚獣に【18-096C】《リヴァイアサン》を採用している都合上、バックアップを1枚アクティブにしてターンを渡すことも多いため、余らせたCPを無駄にすることがない点もデッキにかみ合った1枚だと感じました。


今回の構築では奇数コストで運用できるバックアップが合計8枚採用されているので、1ターン目にバックアップを2枚出してから、2ターン目には奇数コストのバックアップ2枚を加えて4枚まで伸ばす高速展開が可能です。バックアップを伸ばすことで【18-086H】《アーシェ》や【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》imageの除去性能が増すので、そういった点でもデッキの根幹を支えてくれたカードだと思います。

――【16-112C】《コルセア》image、【15-123C】《予言士》image、【18-094C】《風水士》と【ジョブ(一般兵)】のバックアップが9枚採用されていることで【18-099C】《レオ》を効果的に使えるのも構築の強みだと感じました。

テートク:実は【18-099C】《レオ》は【18-086H】《アーシェ》を手札に戻して再利用したいという狙いで1枚だけ採用したのですが、【ジョブ(一般兵)】が多いことでデッキの上に置いてしまう状況が多く、狙いどおりの働きができないことに直前に気付いたため、心情的には別のカードを採用すべきだったかもと反省しているカードです。ただ、今大会を通じて1度も使用する機会はなかったので、このカードが果たして本当に必要だったのか判断するには少し材料が不足しているなと思っています。


――同じく【18-091R】《暗闇の雲》も1枚採用されていますね。
テートク:水属性には全体除去を行なえるカードが少ないため、そのためのスロットとして【18-091R】《暗闇の雲》を1枚だけ採用しました。通常の全体除去と違いお互いに1体ずつフォワードが残ってしまうのですが、こちらは1対1の状況に強い【16-116L】《ティーダ》imageを残せば有利なダメージレースに持ち込めるため、使用感はかなりよかったです。


――【16-108C】《キマリ》imageは2枚採用ということで、明確な狙いがあって採用されたのかなと感じましたが、これにはどういった意図があったのでしょうか?
テートク:調整段階で「火単」と対戦する機会が多かったのですが、「水単」対「火単」のマッチアップでは除去の打ち合いの末にドロー力が高い「水単」がデッキ切れを起こしてしまう展開が多く、そこが1つの課題になると考えていました。その課題を解決するためには【16-116L】《ティーダ》image【16-108C】《キマリ》imageのロンゾカウンターでダメージ除去から守り、ダメージレースの主導権を握ることが重要だと考え【16-108C】《キマリ》imageは2枚採用としました。


それ以外の状況でも【16-136S】《アーロン》imageにロンゾカウンターを乗せてダメージ除去が効かない避雷針として使うなど、火属性デッキとの対戦で重要な働きをしてくれたカードでした。

徳島大会では火属性を使うプレイヤーが多く、「火単」は使用者4名と人気のあるデッキタイプだったので、【16-108C】《キマリ》imageは非常に活躍しやすい環境だったと思います。

――続いてフォワードについても聞かせてください。デッキの魅力として“除去の豊富さ”も挙げられていたとおり、採用されているフォワードには除去効果を持つカードがかなり多いですね。なんといっても目を引くのはやはり新カードの【18-086H】《アーシェ》です。

テートク:【18-086H】《アーシェ》は今回「水単」を組もうと思った理由の1つです。本人がパワー9000というサイズを持ち、パワーをマイナスする除去効果にEXバーストもついていて、水属性のバックアップの枚数に応じてコストが下がり最少1CPでキャストが可能と、破格のスペックを誇るフォワードです。大会中、全試合を通して活躍してくれたデッキの要となるカードでした。


――ほかにも【16-124H】《ライトニング》image、【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》image、【PR-109】《ユウナ》などさまざまな除去を持つカードが採用されています。それぞれの役割や使用感についても聞かせてください。
テートク:まず【16-124H】《ライトニング》imageについてですが、基本的に「水単」はゲームの立ち上がりをバックアップの展開に注力するデッキのため、相手にフォワード展開を先行されてしまいがちです。そうした状況で2体以上フォワードを出してくる相手に対して【16-124H】《ライトニング》imageは非常に有効なカードでした。

除去としても除外効果のため、ブレイクゾーン回収で再利用されるリスクがない点も強力で、スペシャルアビリティ「スタイルチェンジ」は【16-124H】《ライトニング》imageを出しなおしてオートアビリティを再度狙えるだけでなく、相手の除去を回避する手段としても使えるため、見た目のパワー以上に場持ちがいい点も強力でした。


次に【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》imageはご存じのとおりクリスタルギミックを用いた強力な除去効果を持つフォワードで、「水単」はもともとキャラクターを展開して戦うことがコンセプトであるため、10000~12000ダメージを期待して狙えるようになっています。

「力の復活」環境では【15-126R】《レナ》imageといったクリスタルの消費先がローテーションによっていなくなったことで、ゲーム中に消費できるクリスタルをほとんど【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》imageのために使えるようになり、実質的に除去に回せるリソースが増えました。


また、このデッキではクリスタルの獲得手段として【17-125R】《ラマダ》imageを採用しているのですが、【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》imageのアビリティで【17-125R】《ラマダ》imageの「シャープスピア」が使いやすくなっており、水属性に不足しがちなヘイスト要素を補いダメージレースを無理やり進めることもできます。先ほど除去を構えてデッキ切れを狙う「火単」に対して【16-116L】《ティーダ》imageでダメージレースの主導権を握る話もしましたが、ヘイストでも同様に攻めの主導権を握れるので【17-125R】《ラマダ》imageも3枚採用し、単体でも運用できるよう意識した構築をしました。


【PR-109】《ユウナ》に関しては、もともと同じスロットに【18-092C】《チャッカ》を採用していたのですが、使用感がしっくりこなかったので何かいいカードはないか探していたところ、直前の調整のときに居ないヒトさん(編註:広島のプレイヤーで、広島勢を数多く優勝に導いたデッキビルダー)から【PR-109】《ユウナ》を試してはどうかというアドバイスを受け、今大会ではお試し枠として採用してみました。

1枚のみの採用だったので実際に使用したのは決勝戦の2ゲームだけだったのですが、特にブレイクゾーンを4枚除外して使える、フォワード1体のパワーを-2000するアクションアビリティが強力で「水単」のパワー不足を解消してくれる1枚として非常に活躍してくれました。

【ジョブ(召喚士)】なので【16-136S】《アーロン》imageの条件を満たす役割が持てる点もデッキとかみ合いがよく、【18-100L】《レナ》のようにブレイクゾーンを活用する手段もほかに採用していなかったので、複数枚採用してもよかったかなと思えるカードでした。


――【17-107R】《アルフィノ》imageや【16-115H】《セーラ[MOBIUS]》は“安定性の高さ”に貢献しているフォワードなのかと思いますが、【17-107R】《アルフィノ》imageは2枚採用にとどまっていますね。

テートク:そうですね。【17-107R】《アルフィノ》imageはフィールドに出たときカードを2枚引けるのでバックアップが引けない試合でも探しに行けるというのは便利ではあったのですが、実質2CPでパワー7000と、単体のスペックで考えたときには飛び抜けて優秀というわけではありません。もちろんDamage5から有効になるブレイクゾーンのフォワードを出すオートアビリティは強力で、このデッキでは【18-086H】《アーシェ》以外のすべてのフォワードを出せるのですが、局面は限られるので2枚採用にとどめています。


【16-115H】《セーラ[MOBIUS]》はクリスタルを獲得しつつバックアップを探しに行けるカードとして採用しています。基本的に獲得したクリスタルは【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》imageのために使用するのですが、【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》imageがすべて対処されてしまいクリスタルが余った場合も【16-115H】《セーラ[MOBIUS]》自身が消費して相手にプレッシャーをかけられる優良なフォワードです。


――【16-116L】《ティーダ》imageは単体で完結した非常に優秀なフォワードですね。【16-136S】《アーロン》image含め、これらのカードは「水単」の“安定性の高さ”や“除去の豊富さ”などからは独立した強みのあるカードだと感じました。

テートク:【16-116L】《ティーダ》imageに関してはブロックされない、除去にも強いということで水属性の強みの1つになるフォワードだと考えていました。ここまで話してきたように水属性のデッキはゲームにタイムリミットを設けることでデッキ切れによる負けの可能性をケアできるので、優秀なアタッカーとして必須の存在だと思います。


【16-136S】《アーロン》imageは調整段階では火属性を意識して採用したカードではありましたが、基本どんなデッキ相手にも出していけるフォワードで、特に大会では「風土」の【18-139S】《ノクティス》に対して避雷針となり【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》imageを守ってくれた試合での活躍が印象的でした。


――召喚獣についても聞かせてください。このデッキでは合計9枚となかなか多めに採用されている印象があります。
テートク:L3構築のデッキを組むにあたって【18-050L】《ユフィ》に詰まされないというのは1つの課題であり、召喚獣の除去は多めに採用したいと考え【16-125C】《リヴァイアサン》imageと【17-109R】《キュクレイン》imageはそれぞれ3枚ずつ採用しました。


特に【16-125C】《リヴァイアサン》imageの、対象のフォワードをデッキの上か下に置くという少し変わった除去手段は、デッキの上に置いてアタックを通すことでEXバーストをケアしながらダメージゾーンに送ったり、サーチが少ないL3構築ではデッキの下に送ることで実質的な除外除去になるなど、応用力の高い使い方が可能です。


また自分の【16-116L】《ティーダ》image限定ではありますが、【16-116L】《ティーダ》imageをデッキの上に置いてオートアビリティで手札に引き込むという疑似的な【10-055H】《チョコボ》imageのような使い方もできます。これにより【16-116L】《ティーダ》imageが苦手とする全体除去を回避できるテクニックは「水単」を使ううえで意外と重要なので、今後「水単」を検討している方はぜひ覚えておくと役に立つと思います。

――【18-096C】《リヴァイアサン》はL3構築では貴重なオートアビリティへの対抗手段ですね。
テートク:スタンダードにおける【12-002H】《アマテラス》imageと違い、対象がフォワードのオートアビリティに限定されてはいますが、このカードを使えること自体が水属性の強みになっているカードだと思います。

特に、同じく「力の復活」で登場したデジョンを持つカードに対して有効で、なかでも【18-073H】《ガルーダ [III]》の全体除去を止められるのはこのカードを採用している大きなメリットです。


フォワードを手札に戻すとオートアビリティを再度狙われてしまうため使う機会はかなり限られますが、状況によってはブレイクゾーンのカードを除外する追加コストを支払う選択肢が取れるのも「水単」ならではの強みと言えるカードです。


――採用されているそれぞれのカードについてお話しいただきましたが、個人的には「水単」で【18-100L】《レナ》が採用されていないのは少し意外でした。
テートク:【18-100L】《レナ》についてはデッキスロットの関係で採用を見送ったというのが主な理由になります。

今回、1週間という調整期間のなかで「水単」を作ったのですが、デッキに求める役割のカードを採用していくなかで、自由に使えるスロットはかなりカツカツになりました。【18-100L】《レナ》自体が強力なカードであることには変わりないのですが、アクションアビリティのコストとしてブレイクゾーンに12枚もの水属性カードが必要な都合上、使用できるのはゲーム中盤以降となり、序盤の優先度は低いため3枚採用するのはあまり現実的ではありません。

そのうえで【18-100L】《レナ》をサーチする手段もないため、狙った状況で使うのは難しいだろうと考えていました。また【18-100L】《レナ》でブレイクゾーンから出したいフォワードの候補があまり多くなかったというのも採用を見送った要因です。

ただ、大会中に対戦した方の「水単」では【18-100L】《レナ》を採用されており、使われる立場として強さを感じたので、採用する価値は十分あるカードだと思います。メタゲームが進むにつれ選択肢に入ってくると思うので、今後の研究で採用されることは大いにあるカードだと考えています。


――そのほかに採用を検討されたカードはありましたか?
テートク:【16-117H】《トロス》imageや【18-089H】《エキドナ》、【18-097R】《リノア》なども採用の価値があるカードだと思いました。これらについても調整期間の関係で、具体的な採用理由まで検討することができませんでした。個人的な印象としては【18-096C】《リヴァイアサン》などのスロットを環境に応じてこれらの候補と入れ替えていってもいいかなと感じています

◆認識を共有し、短期間でも濃い調整を行なう
――徳島大会は「力の復活」環境として初のL3構築の公式トーナメントでしたが、参加されて印象に残ったデッキなどはありましたか?

テートク:今大会は決勝戦まで合計9試合の対戦をしたのですが、どのデッキも非常にポテンシャルを感じるものでした。印象的だったのは、「力の復活」で多属性カードが増えたことにより2属性の組み合わせのデッキが多いと思っていたのですが、「水単」「火単」「風単」といった単属性のデッキを使ってくるプレイヤーが自分を含めて意外と多かったことです。

全体の分布や決勝トーナメントの結果を見ても使用されたデッキタイプは分散していて、環境初期ということもあって、多様性のあるメタゲームだったんじゃないかなと思います。

――決勝トーナメントには同じく広島勢の居ないヒトさんも勝ち残っていましたが、今回広島勢ではどういった調整をされたのでしょうか?
テートク:居ないヒトさんももともと「氷雷」を考えていて、各々で調整を進めていました。岡山大会後の調整では、「氷雷」はデッキパワーに対して安定感の低さが気になるという意見が合致していて、そこからさらに「水単」と「火単」を調整し、今回2人とも決勝トーナメントに残れたので、調整の成果を出せたかなと感じています。今回は調整期間こそ短かったですが、環境に対する理解をお互い共有したなかでのすり合わせとなったので、非常に濃い調整ができていたと思います。

――無事「MASTERS 22-23 FINAL」への切符を手に入れたわけですが、最後に一言いただけますか?
テートク:「MASTERS 22-23 FINAL」はスタンダードでの大会となるので、ここからはまたスタンダードの調整をしっかり進めていきたいと思います。現時点ではスタンダードは風属性が頭一つ抜けている印象があり、風属性を使う側に回るべきか倒す側に回るべきか決めかねているのですが、個人的には久しぶりのFINAL出場なので、まずは楽しみつつ目指せるところを目指していきたいと思います。

――ありがとうございました。

◆おわりに
今回は「MASTERS 22-23」徳島大会で優勝されたテートクさんにインタビューを行ない、「力の復活」環境のL3構築フォーマットにおける「水単」の魅力についてお話をうかがいました。短期間ながら煮詰まった構築がされた「水単」は今後のメタゲームにおける1つの指標となることは間違いないでしょう。

また大会の結果からも見て取れるように、今期のL3構築は非常に多様性に富んだメタゲームが予想されるため、ここからどんなデッキが登場するのかいまから期待が高まります。

次回も「MASTERS 22-23」の優勝者インタビューをお届けしたいと思います。L3構築に引き続き、スタンダードでもその実力を示した札幌大会優勝の「水単」はどんなデッキなのか、楽しみにお待ちください。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!