『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「第四期名人位決定戦」を前に、歴代の“FFTCG名人”3名に「反撃の雄たけび」についてうかがいました。
◆はじめに
みなさん、こんにちは!『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
新ブースターパック「反撃の雄たけび」がついに発売となりました。
僕は発売日の朝からショップにお邪魔して、さっそく新カードでデッキを作ったり、対戦をしたりと発売日から週末にかけて楽しんできました。
もともと注目していたカードだけでなく、実際に使ったり使われたりすることで強さがわかるカードも多く「反撃の雄たけび」環境はさまざまなデッキが活躍する奥深いメタゲームが形成されるだろうという印象を受けました。
今回は、新環境最初の記事ということで、歴代の“FFTCG名人”に「反撃の雄たけび」のファーストインプレッションと、注目しているカードについてお話をうかがってきました。
「第四期名人位決定戦」を来月に控え、名人たちがどういったカードに注目しているか、ぜひチェックしてみてください。
それでは、さっそく始めていきましょう。
◆ハリガイ(初代名人)の見る「反撃の雄たけび」
【ファーストインプレッション】
「反撃の雄たけび」の第一印象は「まったく新しいデッキを作るのは難しそうだ」というものでした。例えば「光の使者」では特定のカードを集めることで自然とデッキの骨組みができる【モールズの夜会】がありましたが、「反撃の雄たけび」では、こうしたコンセプトが明確なパッケージは登場していません。
代わりに【ジョブ(侍)】を強化する【17-016L】《ヒエン》や、【カテゴリ(VI)】を強化する【17-002L】《エドガー》のような、既存デッキを強化するカードが幅広く収録されている印象を受けます。
また、環境の変化という点では「反撃の雄たけび」の発売と合わせて【14-116H】《マシュリー》が新たに禁止されたことも、新環境に大きな影響を与えてくるでしょう。
「光の使者」環境で活躍した「火単【ブラスカ】」などは【14-116H】《マシュリー》の禁止とともに衰退し、それ以前に活躍していた「火単【侍】」や【竜騎士】、【モンク】といった環境を席巻することはなかったもののポテンシャルは高かったデッキが軒並み強化され、どのデッキにもチャンスがある環境になるんじゃないかと考えています。
「第四期名人位決定戦」は新環境かつ2デッキスタンダードということで、状況的には「第三期名人位決定戦」と近いメタゲームになると予想していますが、いかに環境初期にいいデッキを仕上げられるかというのがカギになると思います。
準備期間は(取材時点から)1か月ありますが、新カードを試しつつ既存デッキのアップデートをする時間も必要なので、実はあまり余裕がない気もします。「第四期名人位決定戦」は難しい大会になりそうですね。
【注目カード】
【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》
「反撃の雄たけび」のカードのなかで一番強そうなカードだというのが私の第一印象でした。
クリスタルの供給と消費を自身だけで完結して行なえるカードで、フィールドに除去をストックしておけるので【14-116H】《マシュリー》に代わる除去ギミックとして活躍してくれるのではないかと考えています。
そのうえで【カテゴリ(FFBE)】のキャラクターのスペシャルアビリティのコストをまかなうこともできるので、単体でも強く、さらにシナジーも形成できるというのが優秀ですね。
「水氷」などのクリスタルを活用していくデッキに採用されるかと思いますが、このスペックであれば極論【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》だけでの運用も可能だと思うので、水属性を使うデッキであればクリスタルにこだわらず投入してもいいかもしれません。
【17-063R】《ルッソ》
「光の使者」の【16-126R】《レオ》や【16-119H】《フースーヤ》のような、条件は厳しいけどリターンが大きいカードを「デッキビルダーのおもちゃ枠」と呼んでいるんですが、「反撃の雄たけび」でそれに当たるのが【17-063R】《ルッソ》なのかなと思っています。
7キャストを達成するというのはかなりしっかりとデッキを組まないと難しいと思うのですが、それをコンスタントに決められるギミックを作れればものすごいパワーのデッキができあがると思います。
「風土【テテオ】」のような無限デッキに組み込むか、自力でのキャストで足りるのかなど、どんなデッキになるのかは未知数ではありますが、ぜひ遊んでみたいカードですね。
【17-120H】《セーラ姫》
【17-120H】《セーラ姫》もかなりポテンシャルを感じるカードで、おもしろい能力かつ強力すぎるコンボパーツにならないようブレーキもついている、デザインの妙が伝わってくる1枚です。
水属性ということで【15-119L】《ポロム》と合わせてドローしながらアビリティを消してブロックできないデメリットも解消できる点はかなり好相性だと考えています。
除去で選ばれてもドローできるので、システムカードながらとりあえず先出しで置けるというのも強力なデザインですね。
デッキ構築はかなり難しそうですが、速い段階でちゃんと盤面が作れれば新たなドローエンジンとなりえるカードだと思っているので、デッキビルダーの腕の見せどころとなる1枚だと思います。
◆ぱっつぁん(第二期名人)の見る「反撃の雄たけび」
【ファーストインプレッション】
「反撃の雄たけび」の新カードを見てまず感じたのが、デッキの主軸になるカードより、それをサポートする二番手、三番手になるカードが多いなという印象でした。
デッキ自体もこれまでのように新規デッキが増えるというよりは、【タークス】や【竜騎士】などの「これまでも存在していたけれど、完成には至っていなかったデッキ」や「過去活躍したけど、他デッキの台頭に置いていかれているデッキ」が環境に戻ってくるのではないかというイメージで、ぱっと見て直感的に強さを感じるカードは多くないのですが、使っていくなかで強さを実感していくカードがたくさんあるんじゃないかなと考えています。
「反撃の雄たけび」環境はいろいろなデッキに活躍の可能性があると思っているので、現在は各デッキをできるだけ試して、自分のなかで使えるデッキのパターンを増やしていきたいですね。
3週間後には「第四期名人位決定戦」が開催される予定なので、それまでに戦えるデッキを見つけて再び名人になれるようがんばりたいと思います。
【注目カード】
【17-029L】《ゼザ》
個人的に「反撃の雄たけび」で特に使ってみたいカードが【17-029L】《ゼザ》です。
これはファーストインプレッションの内容とは違いますが、「反撃の雄たけび」で新しいデッキを作れる可能性を秘めている1枚だと感じています。
【17-029L】《ゼザ》とよく似たスペックを持つカードに【15-041L】《ライトニング》があり、このカードは素のコストが1であることを活かしてフィールドに出すという使われ方をしていました。
ただ【15-041L】《ライトニング》自体は、相手の手札を減らした状況で使ったほうが強いこともあり、コストを踏み倒すより、素直に手札を捨てさせてコストを下げてフィールドに出すほうが理にかなっているカードでした。
【17-029L】《ゼザ》は相手に手札がある状況で使ったほうがポテンシャルを引き出せるため、コストを踏み倒したときのバリューが高く【12-052H】《バッツ》や【11-098C】《パック》などと組み合わせたデッキは試してみたいですね。
【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》
【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》は、これまでクリスタルギミックが課題としていたクリスタルの供給と消費を1枚でまかなえるカードです。
従来のクリスタルギミックはクリスタルを供給するカードと消費するカードを別々に採用しなければならず、そのためにデッキスロットを圧迫したり、引く順番でデッキのポテンシャルが左右されるといった課題を抱えていましたが、【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》はこの課題を1枚で解決しています。
水属性はもともとクリスタルギミックの多い属性なので、【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》を活用させやすいという点も評価しています。
また、単体で完結したカードでありながら、自身以外の【カテゴリ(FFBE)】のスペシャルアビリティのコストもクリスタルで支払えるようになるため、デッキ全体にシナジーを持たせるという役割がある点も強力です。
個人的には特に【17-092R】《オー》との組み合わせが非常に気に入っています。
プレリリースパーティーは2回参加したのですが、どちらも【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》と【17-092R】《オー》をセットで採用できて、その強さを体感することができました。
クリスタルデッキを完成させる1枚として期待しているカードです。
【17-076H】《マトーヤ[I]》
「便利!強い!入れ得!」、これ以上言うことはないといっても過言ではありません。
あえて言葉にするのであれば、このカードの強さはその汎用性の高さにあると言えるでしょう。
基本的な役割はフォワードをすべてブレイクする効果で、これは【1-107L】《シャントット》とよく似た役割となります。
【1-107L】《シャントット》は強力な反面、相手次第で必ず引きたい試合と逆に引きたくない試合の差が顕著なため、デッキに何枚採用するか構築段階でジレンマを生むカードですが、【17-076H】《マトーヤ[I]》はキャラクター回収のモードを選ぶことで実質2CPのバックアップとしても運用できるため汎用性が担保されており、ジレンマを解消しつつ複数枚採用することができます。
また、ブレイクゾーンを除外する効果も強力で、こちらも相手次第でじゅうぶん狙う価値のある効果です。
あまりにも便利なので、今後土属性を採用しているデッキには、よほど【ジョブ】などの制約がないかぎり常に採用されるカードになることは間違いなしです。
◆しど(第三期名人)の見る「反撃の雄たけび」
【ファーストインプレッション】
「反乱の雄たけび」環境で一番影響がある要素は【14-116H】《マシュリー》が禁止されたことだと考えています。すごく大げさに言ってしまうとアグロデッキが軒並みデッキパワーを落としてしまうこととなったので、既存のアグロデッキが一旦なくなってしまった環境で、混沌としたメタゲームが展開されるのではないかと思っています。
個人的には前環境から続けて【モールズの夜会】が注目デッキだと考えていて、「反撃の雄たけび」で直接的な強化は受けていませんが、【14-116H】《マシュリー》禁止の影響を受けず、逆に【14-116H】《マシュリー》の禁止でアグロデッキが減ることで、EXバーストの採用枚数を減らせることでデッキ本来のポテンシャルを発揮しやすくなり、わかりやすいカードの追加はなくとも環境的にパワーアップしたと考えています。
そこで「反乱の雄たけび」の新カードがどう活躍していくのか?というのが今環境の1つのポイントになることは間違いありません。
【注目カード】
【17-016L】《ヒエン》
「火単【侍】」は【モールズの夜会】とは対照的に、新カードで大幅な強化を受けたデッキです。「反撃の雄たけび」では4種類もの【侍】が追加され、「火単【侍】」を使ってほしいという強いメッセージを感じました。
そこで中心となるのが【17-016L】《ヒエン》です。従来の「火単【侍】」にはなかったヘイストを持つアタッカーであるのはもちろん、【カテゴリ(XIV)】のフォワードを2回アタックできるようにすることで【17-006R】《ゴウセツ》などと合わせて簡単に4点分のダメージを形成できます。
アタック性能が高く、対策するには相手ターン中に取れる行動を強くしなければならないのですが、【14-116H】《マシュリー》の禁止で対策手段が減ったこともあり、このカードを絡めた攻めをさばくことは難しいだろうと思います。
【17-091L】《エクスデス》
【17-091L】《エクスデス》は個人的にかなり注目度が高いカードです。
現段階でどんなデッキに採用するのかというのは思いついていませんが、毎ターン相手のキャラクターを除外する能力は、パワー10000という対処しにくいスペックも相まってコントロールデッキのフィニッシャーとしてあまりにも優秀です。
自身のブレイクゾーンも除外してしまうのでブレイクゾーンを活用するデッキとはアンチシナジーな感はありますが、例えば「【黒のワルツ】デッキ」などとの相性はかなりいいんじゃないかと思っています。
いずれにせよ除去コントロールデッキを中心に雷属性のフィニッシャーとして、今後の活躍に注目しています。
【17-031L】《セラ》
カードのポテンシャルという意味では【17-031L】《セラ》は「反撃の雄たけび」でもっとも評価しているカードです。
活躍させるための条件として、
・【ジョブ(モーグリ)】をたくさん採用しないといけない
・バックアップを4枚並べなければならない
という課題があり、運に左右されやすい要素が強くデッキ作りは難しい印象がありますが、【14-031R】《善王モグル・モグXII世》とあわせて【ジョブ(モーグリ)】デッキはかなり強化を受けたと思うので、それを軸にデッキを考えていければなと思っています。
デッキを完成させるのはすごく難しそうですが、能力を発揮できたときのカードパワーは「反撃の雄たけび」でも随一だと考えているので、今回の環境ではぜひ構築と向き合っていきたい1枚です。
◆おわりに
今回は歴代名人たちに「反撃の雄たけび」環境のファーストインプレッションと注目カードについてお話をいただきました。
共通して言及されていたのが「既存デッキが強化された」ということであり、新環境はまず既存デッキのアップデートというのが起点になるかもしれないですね。
注目カードについてはそれぞれ特徴的なチョイスをされていたので、名人たちがどんなデッキを仕上げてくるのかにも期待がかかります。
公式トーナメントとしては9月10・11日に「第四期名人位決定戦」が予定されているので、そのときにはどんなデッキが勝ちあがるのか注目していきたいと思います。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!