『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は2019年の世界チャンピオンKurosawaさんによる「MASTERS2021」東京大会のレポートをお届けします。
◆はじめに
こんにちは、『FFTCG』プレイヤーのKurosawaです。
5月1日にベルサール西新宿にて開催された「MASTERS 2021」東京大会に参加し、優勝することができましたので、今回はそのレポートをお届けしようと思います。
記事ではまず最初に使用したデッキについて解説し、その後に大会の様子をお伝えしていきます。
◆使用したデッキ「土水リディア」について
「MASTERS 2021」東京大会のフォーマットはスタンダードで、直前に行われた「MASTERS 2021」岡山大会に続く「光の使者」環境のスタンダードでは2回目の「MASTERS」でした。
まず、私が使用したデッキリストは以下になります。
●デッキリスト:「土水リディア」(「MASTERS 2021」東京大会 優勝 フォーマット:スタンダード)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(16枚) | ||
【2-091C】 | 《ヤン》 | 2 |
【15-083L】 | 《リディア》 | 3 |
【9-115R】 | 《ポロム》 | 3 |
【13-118C】 | 《セーラ[MOBIUS]》 | 2 |
【13-119L】 | 《ソフィ》 | 1 |
【14-116H】 | 《マシュリー》 | 2 |
【11-064L】 | 《アーシュラ》 | 3 |
バックアップ(8枚) | ||
【11-128H】 | 《セーラ姫》 | 1 |
【3-143C】 | 《レオノーラ》 | 1 |
【11-108C】 | 《エーコ》 | 1 |
【11-120H】 | 《ブラネ》 | 1 |
【7-069C】 | 《コルカ》 | 1 |
【13-093H】 | 《サラ》 | 3 |
召喚獣(26枚) | ||
【1-172C】 | 《モーグリ》 | 3 |
【4-128C】 | 《コヨコヨ》 | 3 |
【10-068C】 | 《クーシー》 | 1 |
【12-002H】 | 《アマテラス》 | 3 |
【9-068H】 | 《ドラゴン》 | 3 |
【16-074C】 | 《サボテンダー》 | 3 |
【12-097H】 | 《シルドラ》 | 3 |
【12-068H】 | 《フェンリル》 | 1 |
【12-108C】 | 《レモラ》 | 3 |
【14-113R】 | 《リヴァイアサン》 | 3 |
「土水リディア」の基本的な動きはこちらの記事をご覧いただくとわかりやすいです。重複する内容についてはこの記事では割愛しますので、未読の方はぜひご一読ください。
上の記事で名前を出していただいていましたが、記事中にもあるように私が昨年末の「第3期名人位決定戦」に持ち込んだデッキを「光の使者」環境用にアップデートしたものです。上の記事では、このデッキの強みは以下のように説明されています。
”このデッキの強みは、対戦相手のデッキに応じてあらゆるゲームスピードで戦うことができる点”
私もこの意見に完全に同意します。さらに付け加えると、このデッキのもうひとつの強さは「再現性の高さ」にあると考えています。デッキのキーカードである【15-083L】《リディア》に直接もしくは間接的にアクセスできるカードは【11-108C】《エーコ》1枚、【7-069C】《コルカ》1枚、【7-069C】《コルカ》をサーチできる【13-093H】《サラ》3枚、そして【15-083L】《リディア》自身が3枚の、合計8枚を採用しています。
そして、初手の引き直しと1ターン目のドローを含めて見られるカード枚数から考えると、机上の計算で【15-083L】《リディア》にアクセスできる確率は以下のようになります。
先攻時:11枚(89%)
後攻時:12枚(91%)
言いかえれば、初手で【15-083L】《リディア》にアクセスできないのは10ゲームに1回だけなので、予選ラウンド6~7回戦を想定すると1回あるかないかです。仮に【15-083L】《リディア》を引けなかったゲームだけ落とすとすると、予算ラウンドを全勝もしくはX勝1敗で突破できることが期待できます。長い予選ラウンドを戦う場合は「再現性の高さ」は非常に重要なファクターです。
「第3期名人位決定戦」のデッキからの変更点として、「光の使者」から【16-074C】《サボテンダー》を採用しました。このカードは制限なくフォワードをブレイクできるという汎用性の高さが優秀な1枚ですが、「土水リディア」においては4コストという点も重要です。
これまでは【15-083L】《リディア》からキャストできる、相手のフォワードに対処する召喚獣は【12-068H】《フェンリル》、【12-108C】《レモラ》、【14-113R】《リヴァイアサン》といった5~6コストのカードだけでした。つまり、盤面の処理には【15-083L】《リディア》の成長カウンターが6個以上必要でした。しかし、【16-074C】《サボテンダー》の登場により成長カウンター4個で済むようになったので【15-083L】《リディア》の使い勝手が飛躍的に向上しました。
余談ですが、【16-074C】《サボテンダー》や【12-108C】《レモラ》といった召喚獣による除去は、現環境においては相手のターンに使用できることが大きな長所となっています。これは環境でよく使われるカードに対して効果的なためです。いくつか例を示して説明します。
・【12-012L】《テンゼン》、【12-037L】《アーシェ》、【14-042L】《雲神ビスマルク》→メインフェイズ中に除去することでエンドフェイズに誘発するオートアビリティを使用させない
・【15-094L】《ニックス》→強力な耐性である「対戦相手のアビリティによっては選ばれない。」を容易に突破できる
・【14-102L】《海神リヴァイアサン》→「フィールドに出たとき」のオートアビリティ誘発時に除去することで「フィールドから手札に戻るたび」のオートアビリティを使用させない
・【14-121L】《バレット》→アタック準備ステップで除去することで【ジョブ(アバランチ)】にヘイストでアタックさせない
実戦においても期待どおりの働きをしてくれたので、【16-074C】《サボテンダー》の採用は正解だったと考えています。
デッキから減らしたのは【12-068H】《フェンリル》2枚、【10-068C】《クーシー》1枚です。【12-068H】《フェンリル》はキャストできるシチュエーションが限られている反面、うまく刺さると大きなリターンがあるカードです。こういったカードはメタゲームを見極めつつ採用枚数を増やしたいので、今回のような環境初期の大会で複数枚採用するのはリスクが大きくなります。「光の使者」で【16-043H】《アトモス》や【16-117H】《トロス》といった強力なモンスターが登場したので、それらをブレイクする目的で1枚だけ残しています。
「光の使者」の新カードとして、今回は採用しませんでしたが【16-123L】《メイア》も「土水リディア」と相性がよいと考えています。召喚獣のコストを好きな属性のCPで支払えるようになるので、【12-002H】《アマテラス》をキャストしやすくなる点で使い勝手がよさそうです。1枚入れておくだけでも【12-097H】《シルドラ》でのサーチが可能なので、今後試してみたいです。
「MASTERS 2021」東京大会での仮想敵には、既存のコンセプトをアップデートしたデッキが多いと考えていました。「光の使者」の発売から間もない時期ということで、既存のデッキは調整期間の長さによる構築の完成度の高さでアドバンテージがあります。
具体的な想定デッキは以下のようになります。
火単【侍】
火土【アバランチ】
氷雷(【14-122L】《アルシド》の展開力をキーにしたもの)
風氷(【12-116L】《ロック》を低コストでキャストしてくるタイプ)
風水【空賊】
土雷【王の剣】
土水リディア(ミラーマッチ)
この想定であれば、幅広いゲームスピードに対応できる「土水リディア」が明確に不利となるデッキは存在しません。さらに、「第3期名人位決定戦」に向けた練習によって自身のデッキへの理解度も高いことから、今大会で使用することを決めました。
他方、「光の使者」で登場した新コンセプトのデッキも、数は少ないながらも存在することが予想されます。
【16-042R】《ラスウェル》や【16-038H】《ビブロス》を使用した手札破壊デッキ
【16-044L】《ウォル》や【16-076R】《ソフィ》を使用した土風デッキ
【16-080H】《マダム・エーデル》が強力な【ジョブ(モールズの夜会)】デッキ
【16-088L】《黒のワルツ3号》や【16-095H】《ビビ》を使用した【ジョブ(黒魔道士)】デッキ
これらのデッキのポテンシャルは「MASTERS 2021」東京大会の準備段階では未知数でした。使用デッキの候補、もしくは仮想敵として一部は仮組みしていましたが、自身での使用に踏み切れるほど完成度を高められず、使用は見送りました。
◆大会結果
本大会での対戦の記録は以下のとおりです。
予選ラウンド(スイスドロー6回戦)
相手のデッキタイプと勝敗
1回戦:氷雷【14-122L】《アルシド》〇
2回戦:土風【16-044L】《ウォル》〇
3回戦:土水【15-083L】《リディア》〇
4回戦:土雷【ジョブ(王の剣)】〇
5回戦:土雷【ジョブ(王の剣)】×
6回戦:風水【ジョブ(空賊)】〇
決勝ラウンド(シングルエリミネーション)
相手のデッキタイプと勝敗
準々決勝:水単【16-116L】《ティーダ》〇
準決勝:風水【ジョブ(空賊)】〇
決勝:土雷【ジョブ(王の剣)】〇〇
予選ラウンドは5勝1敗の2位通過、決勝ラウンドは無敗で優勝することができました。対戦したデッキは仮想敵として考えていたデッキが多く、1つ前の「クリスタルの支配者」環境で行われた「第3期名人位決定戦」に向けた練習成果を活かせる形となりました。
予選ラウンドの5回戦で「土雷【ジョブ(王の剣)】」に負けてしまったのですが、決勝ではリベンジすることができました。雷属性のデッキは【15-090H】《オーディン》などのフォワードをブレイクするカードで【15-083L】《リディア》を容易に除去してきます。【15-083L】《リディア》が対処されやすいマッチアップでは、すぐにアクションアビリティを使える状況で出すように意識すると戦いやすくなります。もしくは【14-116H】《マシュリー》のアビリティで【15-083L】《リディア》を手札に戻して保護するプレイングも有効です。
次に、大会のなかで相手プレイヤーに使われて想像以上に強力だった「光の使者」の収録カードが何枚かあったので、その中でも特に注目の2枚を紹介します。
1枚目は【16-124H】《ライトニング》です。「風水【ジョブ(空賊)】」と「水単【16-116L】《ティーダ》」に採用されていました。「土水リディア」としては1枚制限カードの【13-119L】《ソフィ》を除外されることは避けたく、対応に苦慮する1枚でした。オートアビリティの誘発条件については「空賊」では【15-047R】《カイツ》、「水単」ではモンスターの採用によって満たしやすくする工夫がなされています。
2枚目は【16-093R】《ノクティス》です。「土雷【ジョブ(王の剣)】」に採用されていました。【カテゴリ(XV)】のキャラクターが並びやすい「王の剣」ではすぐにコスト0になりますし、除去しても【11-102C】《リベルト》や【15-086R】《アクシス》などですぐに復活してくる非常に厄介なカードです。ダルにするアビリティも攻守にわたって活躍でき、このカードにより「王の剣」の強さは一段と引き上げられました。
「光の使者」のカード以外では、「土風【16-044L】《ウォル》」の【4-148L】《闇の王》が、コスト2のフォワードが多い「土水リディア」に対しての驚異的な対策性能を発揮していました。他にも【15-115H】《パンネロ》や【12-037L】《アーシェ》など環境で使用されるコスト2のフォワードは強力なものが多く、【4-148L】《闇の王》が活躍する場面は今後も多々ありそうです。【カテゴリ(XI)】なので【5-091H】《星の神子》でサーチできるのもよいですね。
◆おわりに
「MASTERS 2021」東京大会の時点では「光の使者」環境は始まったばかりです。今後まだ見ぬデッキがどんどん登場するのではと予想しています。私も、今週末から開幕する「第四期名人戦」、そして6月25日、26日に開催される「MASTERS 2021 FINAL」と「THE AFTER」に向けて準備を進めていきたいです。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。よい『FFTCG』ライフを!