【FFTCG】Kの実戦レポート 「Influencer Video Cup」編

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は、2019年世界チャンピオンのkurosawaさんによる、オンラインイベント「Influencer Video Cup」の参戦レポートをお届けします。

◆はじめに
こんにちは、『FFTCG』プレイヤーのKurosawaです。

8月に「Influencer Cup」というオンライントーナメントに参加させていただいたので、今回はそのレポートをお届けしようと思います。対戦の様子はYouTubeのSquare Enix UKチャンネルにアップされている(編注:リンク先の「動画」タブから一連の対戦動画にアクセスできます)ので、ここではデッキ構築やエピソードを中心にお話していきます。

(画像はSQUARE ENIXサイトより引用)

◆Influencer Cupの概要と参加選手
まず、「Influencer Cup」について簡単に説明します。
このイベントは世界各国から8人の『FFTCG』ファンが集まり、ランダムに振り分けられた2人ペア×4チームで戦うオンライントーナメントです。

優勝したチームには選んだカードがプロモーションカードになるというご褒美が用意されていました。

逆に最下位になってしまったチームにはYouTubeにありがちな罰ゲームが……ありません。よかった。その観点では安心して参加できる企画ですが、参加選手全員が己のプライドを賭けた、負けられない戦いとなっております。

参加選手とチーム分けは以下のようになりました。日本以外のプレイヤーをあまりご存じない方もいらっしゃるかもしれないので、念のため各プレイヤーの出身とKurosawaによる一言コメントを書いておきます。

各選手の自己紹介動画もアップされているので、ご興味がある方は見てみてください。
そして高評価ボタンを押してください。励みになります。

Team Allies
・Nicolas Larrouy(フランス) 2019年世界選手権参加選手。ビシッと決まったイグニスのコスプレが印象的でした
・John Schreiner(アメリカ) RVA Returners というサイトでコンテンツ発信や大会の主催をしているプレイヤー
Team Avalanche
・Michitarou Yabuuchi(日本) 私。たまにカードゲーマー公式webで記事を書いている2019年世界王者。Twitchでゲームや雑談配信をしたりもしています。
・Joe Leszczynski(アメリカ) 衝撃的な「チョコボ」デッキで2017年の北米王者になったプレイヤー
Team Basket Case
・Sascha Korbel(ドイツ) 2018年ドイツ王者。Kurosawaの友人に若干似ている
・Christopher Mattiske(オーストラリア) 2019年世界選手権参加選手。YouTuber “Shikadi” としても活動しているオセアニアの強豪。彼のチャンネルはこちら
Team Coollin
・Alex Hancox(イギリス) クールな2018年世界王者。大会レポートなど記事の分量がすごい。カードゲーマー公式webでのインタビューはこちら
・Collin Rupert(アメリカ) 2019年世界選手権参加選手。大会ではKurosawaとの白熱した風水ミラーを制した

私のチームメイトは北米王者のJoe Leszczynskiさんです。優勝したら作れるプロモーションカードは【11-127L】《クラウド》imageや【11-071L】《ティファ》imageのフルアートカードと並べて“映える”『FINAL FANTASY VII』出典のものがいいという話になり、【11-074H】《バレット》imageを選択しました。

その過程でチーム名が「Team Muscle (筋肉)」になりそうになりましたが、軌道修正して「Team Avalanche」で落ち着きました。「Avalanche(アバランチ)」は『FFVII』においてバレットやティファが所属するグループの名前ですね。

本イベントは、まず予選がチーム総当たり(2本先取制)で3ラウンド行なわれ、すべてのラウンドで構築フォーマットが異なっています。

予選ラウンド1回戦 スタンダード構築
予選ラウンド2回戦 L3構築
予選ラウンド3回戦 ハイランダー構築(すべてのカードが1枚制限という特殊ルール)

また、チームで使う2つのデッキは光と闇を含む各属性を重複させることなく構築し、毎ラウンドいずれかのデッキにプロモーションカード候補として選んだカード(我々なら【11-074H】バレット)を入れる必要があります。

予選ラウンドのあとに上位2チームによる決勝戦があり、そちらはスタンダード構築(使うデッキは予選と同じ)となっています。

対戦は週末ごとに1ラウンドずつ行なっており、予選の撮影だけでも大体1か月ほどの期間がかかりました。このような進行になったことには2つ理由があります。

1つは、各選手の住んでいる地域がばらばらで、時間帯を合わせるのが大変だったためです。時差でいうとUTC-5(協定世界時から5時間遅れ)からUTC+9.5(同じく9時間半進み)まで散り散りで、時には早起きしたり夜更かししたりしながら進めていきました。ちなみに日本はUTC+9です。

もう1つは、毎ラウンド異なる構築フォーマットのデッキの準備が必要だったためです。上述のとおり「Influencer Cup」特有の制約がいろいろとあったので、チームメイトと相談しながらチームのデッキを構築しました。

さて、前置きが長くなりましたが、続いてTeam Avalancheのデッキ構築について詳しくお話していきたいと思います。


◆対戦レポート
▲ラウンド1
ラウンド1はスタンダード構築でTeam Coollinとの対戦でした。

スタンダード構築でJoeさんがよく回しているという【カテゴリ(VII)】デッキを活かすことを基本方針としてデッキを決めていきました。慣れたデッキのほうが実力を出しやすいですし、自然な形で【11-074H】《バレット》imageを組み込めますからね。

●デッキ1:土風『FFVII』

カード番号 カード名 枚数
フォワード(24枚)
【4-075H】 《ヴィンセント》 1
【11-127L】 《クラウド》 3
【11-071L】 《ティファ》 3
【8-064H】 《ユフィ》 3
【11-135S】 《ヴィンセント》 3
【8-145S】 《バレット》 2
【11-074H】 《バレット》 2
【9-057L】 《ヤズマット》 3
【9-063L】 《ガブラス》 2
【9-059R】 《レム》 2
バックアップ(17枚)
【6-079L】 《ミンフィリア》 1
【4-082C】 《ジェシー》 3
【8-085C】 《マリン》 3
【11-072R】 《デシ》 3
【10-061C】 《モーグリ-8組-》 2
【1-064R】 《エアリス》 3
【8-140S】 《ゴドー》 2
召喚獣(7枚)
【5-062L】 《ディアボロス》 2
【10-068C】 《クーシー》 3
【9-068H】 《ドラゴン》 2
モンスター(2枚)
【10-045C】 《ウンサーガナシ》 2

このデッキは【11-071L】《ティファ》imageが持つ【カテゴリ(VII)】のフォワードを強化するアビリティを活かしてパワーで押していくコンセプトとなっています。
Damage 3のアビリティが有効になると相手の除去が機能しにくくなり、さらに【1-064R】《エアリス》imageのスペシャルアビリティを構えれば簡単には崩せない盤面が完成します。

【11-127L】《クラウド》imageは土属性の【4-082C】《ジェシー》image、【8-085C】《マリン》imageと風属性の【1-064R】《エアリス》image、【8-140S】《ゴドー》imageといったバックアップをサーチできるので、デッキの安定性向上に一役買っています。

私のほうは自宅名人戦で回したことがある【カテゴリ(VI)】デッキを選択しました。

●デッキ2:火氷『FFVI』

カード番号 カード名 枚数
フォワード(27枚)
【8-006L】 《クラウド》 2
【8-139S】 《リセ》 1
【9-014L】 《ネール》 1
【11-009L】 《シャドウ》 3
【11-011R】 《ダダルマー》 3
【11-018H】 《マッシュ》 3
【4-048L】 《ロック》 3
【8-037R】 《セリス》 1
【10-033L】 《スコール》 2
【11-024L】 《ウーマロ》 3
【11-130L】 《セフィロス》 3
【11-015L】 《ブラスカの究極召喚獣》 2
バックアップ(17枚)
【8-005C】 《エドガー》 3
【9-008C】 《カイエン》 1
【11-002H】 《インターセプタ―》 3
【10-131S】 《エース》 1
【4-026H】 《ガストラ帝国のシド》 3
【8-036C】 《セッツァー》 3
【10-132S】 《ティナ》 1
【11-133S】 《ケットシー》 1
【11-030C】 《クロノス》 1
召喚獣(6枚)
【9-017C】 《ベリアス》 3
【5-032H】 《グラシャラボラス》 2
【3-037H】 《死の天使ザルエラ》 1

自宅名人戦のときの構築は【カード名(セフィロス)】を8枚採用して【11-130L】《セフィロス》imageのスペシャルアビリティ「刀一閃」を決めるというロマン寄りのコンセプトだったため、使いやすい形に修正しました。

「Influencer Cup」で使用した構築では、自分自身にダメージを与える【11-011R】《ダダルマー》imageや【11-018H】《マッシュ》imageを採用することで【11-130L】《セフィロス》imageや【8-006L】《クラウド》imageを有効活用するシナジーを組み込んでいます。

デッキが組めたところでTeam Coollinとのラウンド1です。
実は誰と誰が対戦するのかは特に決まっていなかったので、チームどうしで相談して決めていました。ラウンド1は世界王者対決が見たいとの意見が多く、初戦はAlex Hancoxさんと私の組み合わせとなりました。

Alexさんのデッキは雷単でした。
【11-009L】《シャドウ》imageで攻撃を仕掛ける理想的なスタートでしたが、中盤以降は【11-097H】《ニックス》imageなどでフォワードを効率的に対処される展開になり、負けてしまいました。

手札に2枚重なった【11-130L】《セフィロス》imageを活かす展開を目指したのですが、うまく捌かれてしまい、あらためてAlexさんの実力を思い知りました。JoeさんもCollinさんに負けてしまいチーム成績は0勝2敗となりました。

Alexさんと私の試合の動画はこちら
CollinさんとJoeさんの試合の動画はこちら

 

▲ラウンド2
ラウンド2はL3構築でTeam Basket Caseとの対戦でした。

チームのデッキを考える前に通常のL3構築環境に目を向けてみると、デッキを多属性化するアプローチが主流になっている傾向が見て取れます。このことには主に2つの理由があると考えられます。

1.より多くの属性からカードを採用することで、限られたカードプールでも構築の自由度を確保できるようになる。
2.【9-033C】《モーグリ-9組-》などの2属性のCPを生み出せるバックアップや【9-098C】《リーブ》などの他属性のバックアップをサーチできるバックアップの存在により、デッキの多属性化が容易である。

しかし、「Influencer Cup」では2つのデッキを属性の被りなく組まなければならないという制約があるので、いたずらに多属性のデッキを組むことは難しいです。そこで、過去の自宅名人戦で実績のあるデッキタイプで属性被りがない組み合わせを探し、チューニングする方針としました。

●デッキ1:土雷

カード番号 カード名 枚数
フォワード(27枚)
【10-098L】 《フォルサノス》 1
【10-088H】 《ガーランド》 1
【9-094L】 《フースーヤ》 1
【11-065H】 《アーデン》 1
【9-063L】 《ガブラス》 3
【10-136S】 《シャントット》 3
【9-084H】 《カイン》 3
【11-090L】 《クジャ》 2
【11-097H】 《ニックス》 3
【11-102C】 《リベルト》 3
【11-140S】 《カダージュ》 2
【9-062H】 《ヴィンセント》 2
【11-074H】 《バレット》 2
召喚獣(4枚)
【9-068H】 《ドラゴン》 3
【10-102H】 《ラムウ》 1
バックアップ(18枚)
【11-103C】 《ルーチェ》 1
【11-092C】 《クロウ》 1
【11-072R】 《デシ》 1
【11-069H】 《シドニー》 1
【9-080C】 《レギス》 1
【9-074C】 《モーグリ-10組-》 1
【11-068R】 《クレイラス》 3
【11-077C】 《魔獣使い》 2
【9-098C】 《リーブ》 2
【10-086C】 《アルド》 2
【10-104R】 《ランペール》 3
モンスター(1枚)
【10-090C】 《カンナカムイ》 1

●デッキ2:火風タッチ氷

カード番号 カード名 枚数
フォワード(21枚)
【10-132S】 《ティナ》 1
【9-057L】 《ヤズマット》 3
【11-015L】 《ブラスカの究極召喚獣》 3
【9-053R】 《バルフレア》 3
【11-017H】 《マーシュ》 3
【11-037L】 《バルトアンデルス》 3
【11-063L】 《リッツ》 3
【10-127H】 《シトラ》 2
召喚獣(6枚)
【11-055R】 《パンデモニウム》 3
【9-017C】 《ベリアス》 3
バックアップ(18枚)
【11-128H】 《セーラ姫》 1
【10-047R】 《エコー》 1
【9-001C】 《アーヴァイン》 1
【11-053H】 《ドネッド》 1
【11-020C】 《リルティ》 1
【10-016C】 《モーグリ-2組-》 3
【11-056R】 《フィオナ》 3
【11-049R】 《チェリンカ》 1
【9-055C】 《フラン》 2
【10-131S】 《エース》 1
【11-010C】 《戦士》 3
モンスター(5枚)
【10-045C】 《ウンサーガナシ》 3
【11-021C】 《レッドキャップ》 2

選んだデッキは「第8回 自宅名人戦」よりReimen Moriokaさんの土雷「第7回 自宅名人戦」などよりレッツさん、タムウさんの火風タッチ【11-037L】《バルトアンデルス》imageです。それぞれ、「Influencer Cup」の構築フォーマットに合わせて少しずつ変更しました。

土雷は【10-104R】《ランペール》imageから【10-136S】《シャントット》imageを出すコンボを中核に据えたデッキです。

主な調整ポイントは【10-102H】《ラムウ》imageを追加したことです。【11-017H】《マーシュ》imageと【11-063L】《リッツ》imageの組み合わせを使ってくるチームが多いという予想から、【11-063L】《リッツ》imageにアタックされ続けて負けるパターンを少しでも潰せるようにという意図です。

このデッキでは【11-074H】《バレット》imageが少し浮いているように見えるかもしれません。その感想は100%正しいですが、【11-074H】《バレット》imageをフルアート化してあげるためには不可避の試練だったとお考えください。

火風タッチ【11-037L】《バルトアンデルス》imageは【カテゴリ(FFTA)】のシナジーを主軸に、コンボ要素を取り入れたデッキです。コンボ要素は主に以下の2つです。

1.【11-015L】《ブラスカの究極召喚獣》imageや【9-057L】《ヤズマット》imageといった大型フォワードを【10-045C】《ウンサーガナシ》imageで除去から守る。

2.【11-055R】《パンデモニウム》imageと【11-037L】《バルトアンデルス》imageの組み合わせでフォワード2体をブレイクする。

土雷との闇属性被りを解消するために、【11-130L】《セフィロス》imageは【10-127H】《シトラ》imageに変更しています。【10-127H】《シトラ》imageはコンボ用のカードを回収できるので、デッキとは若干のシナジーがあります。それに合わせて【11-128H】《セーラ姫》imageも採用しました。火属性を選択すると【11-015L】《ブラスカの究極召喚獣》imageのパワーを11000まで上げることができるので、ミラーマッチで強いのがよいですね。

ラウンド2では、時差30分の“近所”ということでオーストラリアのChristopher Mattiskeさんと私の対戦となりました。

Christopherさんのデッキは土雷でした。最序盤から相手の【11-140S】《カダージュ》imageからダメージを受け続けてしまいピンチに陥りましたが、【11-037L】《バルトアンデルス》imageと【11-055R】《パンデモニウム》imageのコンボで後続を対処して形成を逆転していきます。最後は【11-049R】《チェリンカ》imageで【11-015L】《ブラスカの究極召喚獣》imageの2回アタックを決めて勝利しました。

しかし、JoeさんがSaschaさん、Christopherさんに続けて負けてしまいチーム成績は1勝2敗となりました。

Christopherさんと私の試合の動画はこちら
ChristopherさんとJoeさんの試合の動画はこちら

 

▲ラウンド3
ラウンド3はハイランダー構築でTeam Alliesと対戦しました。

ハイランダー構築はスタンダード構築やL3構築と異なり公式イベントで触れる機会がない構築フォーマットということで、参考になる情報が非常に限られています。したがって、各チームでハイランダー構築環境を開拓していくことが唯一の攻略法です。具体的な方法としては次の2ステップとなります。

1.仮説を立てるステップ:カードリストとにらめっこしながらハイランダー構築環境で強そうなコンセプトやカードなどのアイデア出しをする。

2.仮説を検証するステップ:アイデアを具体的なデッキの形にして実際の対戦で強さを確認する。

私は基本的にどのような構築フォーマットであっても上記の繰り返しでデッキを組んでいくことが多いです。そのあたりの詳しい話に需要があれば、また記事にできたらと思います。

 

▲1.仮説を立てる
デッキのアイデアを考え始めて、最初に気が付いたのは「ほかの構築フォーマットと比べてシナジーが使用しにくい」という点でした。これは【カード名(X)】や【カテゴリ(Y)】といった何かを参照するアビリティで、その参照先をデッキに入れられる上限枚数が少なくなるためです。

例えば、【8-072R】《イグニス》imageや【8-074H】《グラディオラス》imageといった【カテゴリ(XV)】シナジーに注目すると、【カード名(ノクティス)】が【7-077L】《ノクティス》imageと【8-079H】《ノクティス》imageと【10-079C】《ノクティス》imageの3種類3枚までしか入れられないので、デッキの主軸にはしにくいということです。

一方で、参照先が比較的広いシナジーはそれほど制限なく使用することができます。例えば、火属性を参照する【1-030R】《レブロ》imageや【5-024H】《ルーネス》imageであれば実力を発揮することができそうです。もちろん、特にシナジーを前提としないカードも普段どおり使えると考えられます。

使用できるシナジーに制限があることの帰結として、フォワードをフィールドに出すのに求められる実質的なコストが高くなりやすいと考えることができます。

ほかの構築フォーマットではシナジーを前提としてリターンが高いカードを採用する傾向がありますが、ハイランダー構築ではそれができないということですね。

カードのリターンの考え方について詳しく知りたい方は、私の過去の記事を読んでみてください。他方、バックアップのリターンはそれほど変わらないと考えられるので、高くなりがちなフォワードのコストをまかなうためにも序盤からしっかり並べたいです。そのため、総枚数を少し多めにしたり、サーチできるカードを入れたりするとよいと考えられます。

また、実質的なコストが高いフォワードを並べ合う環境を想定するならば、EXバーストによってフォワードをブレイクできた際のアドバンテージも相対的に大きいと言えます。スタンダード構築やL3構築では手札から使用しにくい【1-124R】《オーディン》imageなどのカードは敬遠されがちですが、優先度を高めてもよさそうです。

上記をまとめると、ほかの構築フォーマットとの比較として以下のような方針が立てられるということです。

・○属性などの参照先が広いシナジーに注目する。
・バックアップは多めにする。
・フォワードをブレイクするEXバーストを増やす。

 

▲2.仮説を検証する
以上を踏まえてデッキを2つ用意しました。チームメイトのJoeさんに練習したいと声を掛けたところ快諾いただき、ラウンドの合間に少しだけ回すことができました。

●デッキ1:風単

カード番号 カード名 枚数
フォワード(25枚)
【10-127H】 《シトラ》 1
【8-134L】 《レイン》 1
【7-128H】 《ユーリィ》 1
【11-063L】 《リッツ》 1
【11-044H】 《ウォーリアオブライト》 1
【10-046H】 《エアリス》 1
【9-059R】 《レム》 1
【9-057L】 《ヤズマット》 1
【9-053R】 《バルフレア》 1
【9-045H】 《エッジ》 1
【8-060L】 《フィーナ》 1
【8-049L】 《エアリス》 1
【7-135S】 《セシル》 1
【7-054L】 《チェリンカ》 1
【7-046R】 《ヴァータ》 1
【5-068L】 《ヤ・シュトラ》 1
【5-052H】 《アルクゥ》 1
【1-067R】 《オニオンナイト》 1
【4-060R】 《シャアラ》 1
【3-066R】 《バルバリシア》 1
【3-056H】 《ジタン》 1
【2-066R】 《バルフレア》 1
【1-082R】 《ホープ》 1
【1-080H】 《バッツ》 1
【1-063H】 《ヴァン》 1
バックアップ(18枚)
【11-056R】 《フィオナ》 1
【9-054C】 《パンネロ》 1
【9-055C】 《フラン》 1
【8-058R】 《ノルシュターレン》 1
【8-047C】 《ウァルトリール》 1
【8-057C】 《忍者》 1
【7-044H】 《アルハナーレム》 1
【7-043C】 《アーチェス》 1
【6-060H】 《ラザフォード》 1
【6-047C】 《白魔道士》 1
【5-067R】 《ミューヌ》 1
【5-053R】 《エコー》 1
【3-070C】 《予言士》 1
【2-068R】 《フラン》 1
【2-062C】 《ノノ》 1
【1-088C】 《弓使い》 1
【1-083H】 《マリア》 1
【1-068C】 《幻術師》 1
召喚獣(4枚)
【1-061R】 《アレキサンダー》 1
【5-062L】 《ディアボロス》 1
【6-052R】 《ディアボロス》 1
【8-046R】 《アレキサンダー》 1
モンスター(3枚)
【11-046R】 《キラービー》 1
【8-056R】 《デスゲイズ [IX]》 1
【10-045C】 《ウンサーガナシ》 1

1つは風属性のデッキです。単属性のメリットとしては【1-080H】《バッツ》imageや【7-046R】《ヴァータ》imageを採用できる点が大きいです。これらはバックアップを風属性でそろえておくと実質0CPで場に出すことができ、コストパフォーマンスが良好です。バックアップは【9-054C】《パンネロ》imageや【8-058R】《ノルシュターレン》imageなどサーチ能力を持ったものを採用し、安定性を高めました。

EXバーストとしては【1-061R】《アレキサンダー》imageや【9-057L】《ヤズマット》imageを採用しています。ほかに【2-055H】《カヌ・エ・センナ》imageや【4-051H】《アレキサンダー》imageも入れてよかったかもしれません。

●デッキ2:火単

カード番号 カード名 枚数
フォワード(24枚)
【7-128H】 《ユーリィ》 1
【10-127H】 《シトラ》 1
【11-018H】 《マッシュ》 1
【11-015L】 《ブラスカの究極召喚獣》 1
【11-011R】 《ダダルマー》 1
【11-008H】 《ジタン》 1
【10-132S】 《ティナ》 1
【10-013R】 《フリオニール》 1
【10-007H】 《ザックス》 1
【10-001H】 《イグニシオ》 1
【9-018R】 《ベルガ》 1
【9-014L】 《ネール》 1
【8-139S】 《リセ》 1
【8-014L】 《ダンカン》 1
【8-006L】 《クラウド》 1
【8-004R】 《イロハ》 1
【7-132S】 《フリオニール》 1
【7-014R】 《バウガウヴェン》 1
【6-012R】 《ゼル》 1
【5-024H】 《ルーネス》 1
【3-149S】 《ビビ》 1
【3-017L】 《ビビ》 1
【2-007L】 《始皇帝ザンデ》 1
【1-021H】 《フリオニール》 1
バックアップ(18枚)
【8-002C】 《赤魔道士》 1
【7-009C】 《侍》 1
【11-012C】 《タツノコ》 1
【11-010C】 《戦士》 1
【10-131S】 《エース》 1
【10-015R】 《モーグリ-1組-》 1
【10-012C】 《風水師》 1
【9-012C】 《シャドウ》 1
【8-011C】 《シド [FFL]》 1
【7-020C】 《ルールー》 1
【7-017H】 《ミース》 1
【7-008C】 《サッズ》 1
【6-009R】 《シド [XI]》 1
【3-021C】 《砲撃士》 1
【3-015R】 《黒のワルツ2号》 1
【2-009R】 《セルフィ》 1
【1-030R】 《レブロ》 1
【1-011C】 《幻術師》 1
召喚獣(7枚)
【10-003C】 《イブリス》 1
【10-002H】 《イフリート》 1
【9-017C】 《ベリアス》 1
【8-003C】 《イフリート》 1
【5-019L】 《フェニックス》 1
【4-003C】 《イフリート》 1
【1-023R】 《ブリュンヒルデ》 1
モンスター(1枚)
 【11-016R】 《ボム》 1

もう1つは火属性のデッキです。こちらも単属性にすることで【9-018R】《ベルガ》imageや【10-013R】《フリオニール》imageをはじめとした強力なカード群を採用できるようにしました。

【8-014L】《ダンカン》imageや【7-132S】《フリオニール》imageといった、フォワードにダメージを与えるカードを多めに入れておき、合わせ技で相手のフォワードを除去しやすいように構築しています。

Joeさんは調整用に下記のデッキを組んできてくれました。

●デッキ3:氷単

カード番号 カード名 枚数
フォワード(28枚)
【2-026L】 《ヴェイン》 1
【10-130H】 《レーゲン》 1
【11-130L】 《セフィロス》 1
【10-034H】 《セフィロス》 1
【10-033L】 《スコール》 1
【10-028L】 《暗闇の雲》 1
【9-037C】 《ラグナ》 1
【9-028L】 《蒼龍のルシ ソウリュウ》 1
【9-027H】 《スコール》 1
【9-022L】 《ヴェイン》 1
【8-026L】 《ガーランド [IX]》 1
【7-042H】 《ラスウェル》 1
【7-034L】 《セフィロス》 1
【6-041L】 《リノア》 1
【6-040H】 《ラグナ》 1
【6-033H】 《スコール》 1
【6-028H】 《クラサメ》 1
【6-027L】 《クジャ》 1
【5-029L】 《オーファン》 1
【3-039R】 《セフィロス》 1
【3-036H】 《シド・オールスタイン》 1
【3-033L】 《ジェネシス》 1
【1-195S】 《セラ》 1
【1-192S】 《シド・レインズ》 1
【1-059R】 《ラグナ》 1
【1-044R】 《セフィロス》 1
【1-042R】 《スコール》 1
【1-033C】 《アルガス》 1
バックアップ(17枚)
【2-037R】 《ジル・ナバート》 1
【3-026C】 《カヅサ》 1
【11-030C】 《クロノス》 1
【11-133S】 《ケットシー》 1
【11-028R】 《ギルバート》 1
【3-029R】 《ギルバート》 1
【5-031H】 《ギルバート》 1
【7-033R】 《スノウ》 1
【6-023R】 《エミナ》 1
【6-025R】 《カヅサ》 1
【6-022R】 《イゼル》 1
【1-057R】 《ラーグ公》 1
【1-193S】 《ジル・ナバート》 1
【7-134S】 《皇帝》 1
【8-031R】 《コキュートス》 1
【11-022C】 《イドラ》 1
【10-036R】 《ティナ》 1
召喚獣(5枚)
【3-032R】 《シヴァ》 1
【5-032H】 《グラシャラボラス》 1
【5-044C】 《背徳の皇帝 マティウス》 1
【3-037H】 《死の天使ザルエラ》 1
【9-025H】 《ザルエラ》 1

風単VS氷単、火単VS氷単で対戦してみたところ、火単のほうが手応えがよいと感じ、採用することにしました。【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》imageや【9-022L】《ヴェイン》imageといった高コストでアビリティが強力なフォワードに対し、火属性だと効率的にブレイクできるため戦いやすい印象です。

ラウンド3の初戦はJohn Schreinerさんと対戦することになりました。当初、JoeさんとJohnさんが北米どうしで対戦しやすいという話になったのですが、貴重な機会なので異なる地域同士で対戦したいという意見があり、私とJohnさん、JoeさんとNicolas Larrouyさんの組み合わせになりました。

Johnさんのデッキは火土でした。2ターン目に出てきた【11-140S】《カダージュ》imageがまったく止まらないという既視感のある展開になり、最後は【8-143S】《クラウド》imageの「あなたが【カテゴリ(VII)】のフォワードを4体以上コントロールしている場合、それをブレイクする」というアビリティを使われ惨敗しました。このアビリティ、初体験です。

JoeさんはNicolasさんに勝ったため、3ゲーム目は私がNicholasさんの氷風と対戦しました。バックアップをしっかり並べられる理想的なスタートでしたが、相手の【10-127H】《シトラ》imageによる【5-062L】《ディアボロス》imageを使い回す動きが刺さり、こちらの攻勢を凌がれてしまいます。氷に対するキラーカードである【11-011R】《ダダルマー》imageも【11-024L】《ウーマロ》imageでデッキに戻され負けてしまいました。チーム戦績は1勝2敗でした。

こちらの対戦動画はまだアップロードされていないので、対戦を観てみたいという方は、引き続き上記のYouTubeチャンネルをチェックしてみてください。

なお、Joeさんは本番では以下のデッキを使用されました。自然な形で【11-074H】《バレット》imageが組み込まれていますね。

●デッキ4:土氷

カード番号 カード名 枚数
フォワード(27枚)
【7-034L】 《セフィロス》 1
【6-041L】 《リノア》 1
【8-060L】 《フィーナ》 1
【10-130H】 《レーゲン》 1
【11-136S】 《クラウド》 1
【3-034H】 《ジェネシスアバター》 1
【2-026L】 《ヴェイン》 1
【5-068L】 《ヤ・シュトラ》 1
【11-130L】 《セフィロス》 1
【3-033L】 《ジェネシス》 1
【11-074H】 《バレット》 1
【11-140S】 《カダージュ》 1
【8-049L】 《エアリス》 1
【9-063L】 《ガブラス》 1
【11-071L】 《ティファ》 1
【10-034H】 《セフィロス》 1
【9-057L】 《ヤズマット》 1
【5-148H】 《カムラナート》 1
【9-062H】 《ヴィンセント》 1
【11-076C】 《不死王》 1
【10-033L】 《スコール》 1
【8-136L】 《常闇のヴェリアス》 1
【11-074H】 《バレット》 1
【11-135S】 《ヴィンセント》 1
【4-075H】 《ヴィンセント》 1
【10-028L】 《暗闇の雲》 1
【8-026L】 《ガーランド [IX]》 1
バックアップ(17枚)
【5-031H】 《ギルバート》 1
【7-033R】 《スノウ》 1
【11-072R】 《デシ》 1
【1-193S】 《ジル・ナバート》 1
【9-039C】 《ロック》 1
【11-133S】 《ケットシー》 1
【7-134S】 《皇帝》 1
【1-204S】 《ジェシー》 1
【10-022R】 《イブノイル》 1
【11-022C】 《イドラ》 1
【5-091H】 《星の神子》 1
【8-085C】 《マリン》 1
【6-079L】 《ミンフィリア》 1
【1-107L】 《シャントット》 1
【1-184H】 《カオス》 1
【2-037R】 《ジル・ナバート》 1
【8-069R】 《アプルル》 1
召喚獣(5枚)
【5-032H】 《グラシャラボラス》 1
【9-068H】 《ドラゴン》 1
【3-037H】 《死の天使ザルエラ》 1
【6-075R】 《タイタン》 1
【10-068C】 《クーシー》 1
モンスター(1枚)
【8-080C】 《プーマ夜光》 1

▲仮説は回る
最後に、ハイランダー構築について最初に立てた仮説がどうだったのか、また対戦を重ねた今、どんな仮説が立てられるのかについてお話ししておきます。現時点でも「ほかの構築フォーマットと比べてシナジーが使用しにくい」というスタート地点はよかったと思いますが、その後に立てた方針には見直すべき点が多いと考えています。3つの方針について順を追ってみていきましょう。

まず、「○属性などの参照先が広いシナジーに注目する」については、属性だけでなくカテゴリにも参照先が広いシナジーがあることを見落としていました。【カテゴリ(VII)】はカードの種類が多いので、ハイランダー構築でも十分にシナジーを発揮できると感じました。

次に、「バックアップは多めにする」と「フォワードをブレイクするEXバーストを増やす」については、もっとほかに優先することがありました。それは「勝ち筋へのアクセスを増やす」ということです。勝ち筋の例としては以下のようなものが挙げられます。

・単体で大きなリターンが見込めるカード(【11-015L】《ブラスカの究極召喚獣》imageや【5-062L】《ディアボロス》image
・デッキのシナジーの中核になるカード(【11-071L】《ティファ》image
・環境的に対処されづらいカード(【11-140S】《カダージュ》image

相対的にリターンの小さいカードもデッキに入りやすい構築ルールであることから、上記のような勝ち筋がそのまま通りやすい傾向が感じられました。つまり、それらをしっかり引き込めるようにするサーチ手段や、一度対処されても再利用できるようにする回収手段をデッキに入れておくことで、勝率を高められると考えられます。

次回ハイランダー構築をする際には、もう少し広い視野でシナジーを検討することと、明確な勝ち筋とそれへのアクセス手段を確保することを意識して臨みたいと思います。

 

◆おわりに
結果はともあれ、今回のイベントでは『FFTCG』を通じて世界中のプレイヤーと交流でき、すばらしい時間を過ごすことができました。今年は『FFTCG』のイベントが軒並み延期となっており非常に残念と感じていますが、自宅名人戦も含め、遠くのプレイヤーと距離を気にせず対戦できる機会が増えたことはよかったと思います。

最後に告知になりますが、「Opus XII ~クリスタルの目覚め~」の発売日である11月6日(金)21時より、カードゲーマー編集部さんのほうで発売を記念した生放送があります。当日は、YouTuberのカブキンさんと私、そして編集(川)さんの3人で「Opus XII」を開封しながらのんびりフリートークをする予定です。
番組URLなどは後日告知されるとのことなので、こちらもぜひチェックしていただければと思います。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。よい『FFTCG』ライフを!