【FFTCG】Kの実戦レポート 「MASTERS2019 FINAL -日本選手権-」編

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「MASTERS2019 FINAL -日本選手権-」で優勝したKurosawaさんによる大会レポートをお届けします。

◆はじめに
こんにちは、『FFTCG』プレイヤーのKurosawaです。
10月20日にスクウェア・エニックス本社にて開催された「MASTERS 2019 FINAL -日本選手権-」で優勝することができましたので、今回はそのレポートをお届けしようと思います。
最初に使用した2つのデッキについて解説し、その後大会の様子をお伝えしていきます。

◆使用した2つのデッキについて
「MASTERS 2019 FINAL -日本選手権-」のフォーマットは2デッキ構築戦でした。このフォーマットでは、同じ番号のカードはいずれか一方のデッキにしか入れられないという制限のもとで2つのデッキを用意することになります。

まずは、私が使用した2つのデッキリストを見ていただいて、それから2デッキ構築戦における戦略や、それぞれのデッキについての詳細な解説をさせていただきます。

デッキA「水雷氷フースーヤ」

カード番号 カード名 枚数
フォワード(31枚)
【4-133C】 《バイキング》 3
【5-099H】 《イルーア》 3
【2-026L】 《ヴェイン》 2
【6-041L】 《リノア》 3
【6-126R】 《レイラ》 3
【9-106R】 《ギース》 1
【5-126L】 《暗闇の雲》 3
【7-091H】 《皇帝》 2
【5-118L】 《ラムザ》 2
【7-106L】 《アグリアス》 3
【9-094L】 《フースーヤ》 3
【9-084H】 《カイン》 3
バックアップ(19枚)
【1-134R】 《ゴルターナ公》 1
【1-150R】 《ルールー》 1
【1-180R】 《ワッカ》 1
【2-106R】 《グラミス》 1
【4-110R】 《ブルメシア王》 1
【4-134C】 《ブラネ》 1
【5-103R】 《ガリークランのシド》 1
【9-030H】 《ハーディ》 2
【1-133C】 《賢者》 2
【1-137R】 《シーモア》 1
【2-137H】 《メルウィブ》 2
【5-132R】 《バデロン》 1
【8-122R】 《謎のじいさん》 1
【8-132L】 《ルナフレーナ》 1
【9-039C】 《ロック》 1
【1-176H】 《ユウナ》 1

デッキB「土火」

カード番号 カード名 枚数
フォワード(24枚) 
【7-077L】 《ノクティス》 3
【8-139S】 《リセ》 2
【2-147L】 《皇帝》 1
【8-074H】 《グラディオラス》 3
【9-063L】 《ガブラス》 3
【5-086L】 《セシル》 3
【5-148H】 《カムラナート》 1
【8-006L】 《クラウド》 3
【8-072R】 《イグニス》 3
【10-136S】 《シャントット》 2
バックアップ(17枚)
【1-184H】 《カオス》 1
【9-071C】 《バンガ族》 2
【1-095R】 《エナ・クロ》 2
【9-080C】 《レギス》 2
【2-093H】 《ラウバーン》 1
【5-082C】 《採掘師》 2
【9-067C】 《シド・ガーロンド》 2
【9-124H】 《ガストラ皇帝》 2
【6-079L】 《ミンフィリア》 2
【8-069R】 《アプルル》 1
召喚獣(9枚)  
【4-093R】 《ヘカトンケイル》 3
【8-017C】 《ブリュンヒルデ》 3
【6-017C】 《バハムート》 3

今回のような2デッキ構築戦の大会では、使用率が高いと予想したデッキに対して有利なデッキを2つ用意することが基本的な戦略となります。

決勝ラウンドのBO3(2本先取の対戦形式)では、一度ゲームに勝利したデッキはそれ以降使用できないというルールになっており、裏を返せば敗北したデッキをもう一度使わなくてはならないということになります。
したがって、ある特定のデッキにどちらも勝利できる組み合わせでデッキを選択すると、そのデッキを使用しているプレイヤーに対して優位に立つことができます。

前日の10月19日に開催された「MASTERS 2019 EVE -CRYSTAL CUP DARK-」では、【9-094L】《フースーヤ》imageと【6-041L】《リノア》imageのコンボを使用したアグレッシブな「水雷氷フースーヤ」が活躍しており、「MASTERS 2019 FINAL -日本選手権-」でもこのデッキを使用するプレイヤーが多いと予想しました。

「水雷氷フースーヤ」は3属性のデッキであることから、構築ルール上、おのずと相方にできるデッキが限られてきます。直近のイベント結果を鑑みれば、候補としては【7-128H】《ユーリィ》imageを使用した「風単」、【カテゴリ(XV)】をフィーチャーした「土単」が考えられます。
経験上、「風単」のほうが「土単」よりも使用者が多いため「水雷氷+風単」の組み合わせを仮想敵とする方針としました。では、この組み合わせに対する攻略の糸口はあるのでしょうか?

「水雷氷フースーヤ」サンプルレシピ
「CRYSTAL CUP LIGHTNING」準優勝 プレイヤー:むむさん

カード番号 カード名 枚数
フォワード(31枚) 
【7-034L】 《セフィロス》 3
【6-041L】 《リノア》 3
【2-026L】 《ヴェイン》 2
【6-126R】 《レイラ》 3
【4-133C】 《バイキング》 3
【5-126L】 《暗闇の雲》 2
【7-106L】 《アグリアス》 2
【9-094L】 《フースーヤ》 3
【5-099H】 《イルーア》 3
【5-118L】 《ラムザ》 2
【9-084H】 《カイン》 3
【6-027L】 《クジャ》 2
バックアップ(19枚)
【2-137H】 《メルウィブ》 2
【4-134C】 《ブラネ》 1
【8-122R】 《謎のじいさん》 2
【8-132L】 《ルナフレーナ》 1
【9-030H】 《ハーディ》 2
【7-033R】 《スノウ》 1
【9-039C】 《ロック》 2
【6-022R】 《イゼル》 1
【5-103R】 《ガリークランのシド》 1
【1-137R】 《シーモア》 1
【1-134R】 《ゴルターナ公》 1
【4-110R】 《ブルメシア王》 1
【1-133C】 《賢者》 2
【1-176H】 《ユウナ》 1

「風単」サンプルレシピ
「CRYSTAL CUP ICE」優勝 プレイヤー:Kurosawa

カード番号 カード名 枚数
フォワード(31枚)
【8-049L】 《エアリス》 2
【2-066R】 《バルフレア》 1
【7-054L】 《チェリンカ》 3
【9-045H】 《エッジ》 2
【5-068L】 《ヤ・シュトラ》 3
【3-056H】 《ジタン》 3
【3-066R】 《バルバリシア》 2
【9-056H】 《メーガス三姉妹》 3
【7-046R】 《ヴァータ》 3
【7-128H】 《ユーリィ》 3
【1-080H】 《バッツ》 3
【8-060L】 《フィーナ》 3
バックアップ(16枚)
【7-044H】 《アルハナーレム》 2
【9-055C】 《フラン》 2
【5-067R】 《ミューヌ》 1
【8-057C】 《忍者》 1
【8-047C】 《ウァルトリール》 1
【7-043C】 《アーチェス》 3
【5-053R】 《エコー》 2
【8-058R】 《ノルシュターレン》 3
【9-054C】 《パンネロ》 1
召喚獣(3枚)
【5-062L】 《ディアボロス》 3

「土単」サンプルレシピ
「MASTERS 2019」金沢大会 優勝 プレイヤー:くらぽんさん

カード番号 カード名 枚数
フォワード(23枚)
【8-079H】 《ノクティス》 3
【7-077L】 《ノクティス》 3
【9-063L】 《ガブラス》 3
【5-075L】 《ウォル》 2
【8-074H】 《グラディオラス》 3
【5-086L】 《セシル》 3
【8-072R】 《イグニス》 3
【5-148H】 《カムラナート》 2
【8-136L】 《常闇のヴェリアス》 1
バックアップ(18枚)
【1-184H】 《カオス》 1
【3-076R】 《仮面の女》 1
【9-080C】 《レギス》 2
【9-067C】 《シド・ガーロンド》 2
【5-082C】 《採掘師》 3
【1-095R】 《エナ・クロ》 3
【1-107L】 《シャントット》 1
【6-079L】 《ミンフィリア》 2
【9-124H】 《ガストラ皇帝》 2
【2-093H】 《ラウバーン》 1
召喚獣(9枚)
【9-065C】 《ゴーレム》 3
【7-084C】 《ようじんぼう》 2
【6-075R】 《タイタン》 2
【9-068H】 《ドラゴン》 2

先ほどの基本戦略に基づいてデッキを選択するなら「水雷氷フースーヤ」もしくは「風単」のいずれかに有利なデッキを2つ用意することが正道となります。
「水雷氷+風単」を掘り下げてみると、「Opus IX Lords & Chaos」環境で台頭してきた時期という観点において、この2つが「新しいデッキ+古いデッキ」の組み合わせとなっていることがわかります。この違いによって対策するうえでの課題やアプローチ方法が若干異なりますので、以下に具体的に述べます。

1:「水雷氷フースーヤ」は9月28日・29日に京都にて開催された「CRYSTAL CUP LIGHTNING」での準優勝が躍進の契機ということもあり、デッキ相性面での考察がそれほど進んでいません。有利なデッキを2つも構築することは準備期間の観点から困難と考えられます。

2:「風単」をはじめとして、【カテゴリ(VI)】の「火氷」、【カテゴリ(X)】の「風水」といった「Opus IX」環境を牽引してきたデッキはいずれも構築が成熟しており、非常にデッキパワーが高いといえます。このことは、これらのデッキには目立った弱点が存在せず、不利なデッキはあるものの極端な相性差はないことを意味しています。

これらのポイントから、基本戦略にしたがって弱点を突く戦略で成功することは現実的には難しそうだという見通しが立ちます。
仮に、どちらかのデッキに有利なデッキ2つという方向を突き詰めてしまうと、無理が生じてしまい総合的な勝率を高められない可能性が高いです。

そこで、基本戦略を踏まえて「風単」にある程度有利に戦えるデッキタイプ2つを選択しつつ、細かいカード選択で「水雷氷フースーヤ」も対策するという方針を考えました。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の教訓により、個人的にかなり練習していた「風単」を主に対策する方向は、自身の強みを発揮できるという思いもありました。

その観点から、私が使用した各デッキを解説していきます。

●デッキA「水雷氷フースーヤ」の解説
デッキA「水雷氷フースーヤ」は、前述の【9-094L】《フースーヤ》imageと【6-041L】《リノア》imageのコンボを主軸に据えたアグレッシブな型を選択しました。練習を通じて対策が難しいことがわかっていたため、それなら自身が使わない手はないという発想です。

構築面での工夫点として3CPのバックアップを、通常7枚前後であるところ今回の構築では9枚に増やしています。
序盤に【7-106L】《アグリアス》imageを出したとき、オートアビリティでバックアップを出せることが理想であり、その可能性を高めたいという意図です。【7-106L】《アグリアス》imageはバックアップ2枚の状態から出すことが多く、追加のバックアップを出せればスムーズに奇数コストのフォワードである【5-126L】《暗闇の雲》imageや【9-094L】《フースーヤ》imageに繋ぐことができます。

仮想敵とのマッチアップですが、対「風単」では【5-099H】《イルーア》imageのスペシャルアビリティ「シェイオル」による詰めを成功させやすく、デッキタイプとして少し有利と考えています。これは現在の「風単」が召喚獣の枚数を抑えた構築となっている場合が多く、こちらのターンにアクションする手段が少ないことが理由です。

対「水雷氷フースーヤ」に向けた細かい調整ポイントは以下の2点です。

1:氷属性のカード枚数を、通常14~16枚程度であるところ8枚に絞っています。これはアグレッシブなデッキ同士の対戦でありがちな手札が枯渇するシチュエーションにおいて、トップデッキで属性が合わず使えないカードを引く確率を下げる目的です。

2:【7-091H】《皇帝》imageは、パワーが高いフォワードをダルにしつつ、ブロッカーとなる【6-126R】《レイラ》imageや【4-133C】《バイキング》imageをブレイクする動きによるフィニッシャー性能が非常に高いことを評価し、多少場面を選ぶカードですが2枚採用しています。

●デッキB「土火」の解説
デッキB「土火」は【カテゴリ(XV)】の土単をベースに火属性をタッチすることで、EXバーストによるフィールドへの干渉力を強化した構築になります。これにより「水雷氷フースーヤ」や【7-106L】《アグリアス》imageを使う「水雷」、【カテゴリ(VI)】の「火氷」といった序盤からアタックしてくるデッキへの耐性を高めています。

また、【6-017C】《バハムート》imageで【7-077L】《ノクティス》imageのオートアビリティを能動的に誘発させるコンボも組み込んでいます。【5-086L】《セシル》imageのスペシャルアビリティ「あんこく」でも同様の動きはできますが【6-017C】《バハムート》imageは召喚獣であるため、より奇襲性が高く、一気に盤面を返すことができます。

対「風単」では、「風単」側の主力となるフォワードがパワー7000~8000であることに対して、「土火」側はワンサイズ上のパワー8000~9000以上で攻めることができるため、ゲームの流れをつかみやすくなっています。
「風単」は【7-044H】《アルハナーレム》imageでパワー差を補う戦略を取ってきますが、「土火」は【7-128H】《ユーリィ》imageと【7-054L】《チェリンカ》imageをブレイクする手段が豊富にあるため、この戦略を妨害することができます。

対「水雷氷フースーヤ」では、各種アビリティや召喚獣によって盤面をコントロールする動きで戦うことになります。特に、除去耐性を持ちゲームのキーとなる【5-099H】《イルーア》imageへの意識を高め、2つの対策を用意しました。

1:【5-099H】《イルーア》imageはオートアビリティによる除去耐性が強力なフォワードですが、EXバーストであれば【5-099H】《イルーア》imageのアビリティが発動する前に効果を発揮するためテンポよく除去できます。そのために【8-006L】《クラウド》imageや【8-017C/1-023R】《ブリュンヒルデ》imageなどを投入。

2:「土火」では【5-099H】《イルーア》imageの除去手段として【8-136L】《常闇のヴェリアス》imageがよく採用されますが、【4-133C】《バイキング》imageなどがいると除去として機能しにくくなる点が課題となります。その点、今回採用した【2-147L】《皇帝》imageはフィールドにいる限り「シェイオル」を防ぐことができます。さらに、【9-124H】《ガストラ皇帝》imageのアクションアビリティでフィールドに出せる点も【8-136L】《常闇のヴェリアス》imageにはない長所です。

以上が今回の各デッキに込めた調整の意図です。
最後に、実際に大会に出場しての結果を書いていきます。

◆大会結果
本大会での対戦の記録は以下のとおりです。

「MASTERS 2019 FINAL -日本選手権-」の戦績
予選ラウンド(スイスドロー)

ラウンド 自分のデッキ 相手のデッキタイプ 勝敗
1 A(水雷氷) 多属性【1-135L】《ゴルベーザ》image
2 A(水雷氷) 風単【7-128H】《ユーリィ》image ×
3 A(水雷氷) 土単「プリッシュ」
4 B(土火) 水雷【7-106L】《アグリアス》image
5 B(土火) 火氷【カテゴリ(VI)】
6 B(土火) 水雷氷【9-094L】《フースーヤ》image

決勝ラウンド(シングルエリミネーション、2本先取)

ラウンド 自分のデッキ 相手のデッキタイプ 勝敗
QF-G1 A(水雷氷) 風単【7-128H】《ユーリィ》image
QF-G2 B(土火) 風単【7-128H】《ユーリィ》image
SF-G1 A(水雷氷) 氷雷【カテゴリ(FFL)】
SF-G2 B(土火) 火氷【カテゴリ(VI)】 ×
SF-G3 B(土火) 氷雷【カテゴリ(FFL)】
GF-G1 B(土火) 風単【7-128H】《ユーリィ》image
GF-G2 A(水雷氷) 風単【7-128H】《ユーリィ》image

予選ラウンドは5勝1敗の2位通過、決勝ラウンドは準々決勝2勝、準決勝2勝1敗、決勝2勝で優勝することができました。決勝ラウンドでは仮想敵であった「水雷氷+風単」を選択していたプレイヤーとの対戦が2回あり、いずれも「風単」に2回勝利するという作戦がうまく機能したかたちとなりました。

このように、事前の環境予想やそれを踏まえた構築の面では満足できる結果となりましたが、一方で、対戦中のプレイングの面では普段よりもミスが多かったと感じています。前日の「MASTERS 2019 EVE -CRYSTAL CUP DARK-」の結果を踏まえて当日まで構築を考えていたため、実際に使用するデッキでの練習量が不足してしまったことが原因と考えています。優勝という結果を残すことはできましたが、この点は今後の反省として活かしていきたいです。

◆おわりに
「MASTERS 2019 FINAL -日本選手権-」にて「Opus IX」環境はしめくくりとなりました。この環境では【1-089H】《リュック》imageが禁止となったり、「対戦デッキ 魔法対剣」で新規カードが追加されたりと、シーズン中にも環境に変化がありました。そのため終始、新鮮な気持ちでデッキ構築と対戦を楽しめました。

それによってさまざまなカードを試し、経験値を蓄積できたことが今回の優勝という望外の結果に繋がったと思います。普段から一緒に対戦してくださる『FFTCG』コミュニティの皆さんに心から感謝いたします。本当にありがとうございました。

「MASTERS FINAL」や「名人位決定戦」といった、予選のある全国大会でのタイトル獲得は私の『FFTCG』歴で初めてのことでした。大好きなゲームである『FFTCG』でこのような経験ができて感無量です。次の目標は「World Championship(世界選手権)」での優勝なので、11月22日から開催される「2019 World Championship」に向けてしっかり準備していきたいです。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
よい『FFTCG』ライフを!