『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回はWorld Championship2019で優勝し、世界チャンピオンとなったKurosawaさんのレポートをお届けします。
◆はじめに
こんにちは、『FFTCG』プレイヤーのKurosawaことMichitarou Yabuuchiです。
11月23日、24日にアメリカ・ロサンゼルスのHilton Los Angeles Airportにて開催された「World Championship 2019(以下、世界選手権)」で優勝することができましたので、今回はそのレポートをお届けしようと思います。
これまでの世界選手権レポートはこちらからどうぞ!
第1回レポート
第2回レポート
第3回レポート
第4回レポート
最初に、今回の世界選手権に一緒に臨んだチーム“Worldwide Warriors”のJoshua Freeman-BirchさんとMatthew Okimotoさん、Robert Phillipsさんに感謝したいと思います。今、私たちが世界最高のチームだと自信を持って言えることがとても嬉しいです。
次に、テストプレイに付き合ってくれたらっちょさん、ドラフトの機会を設けてくれたカタヒラさん、TAKさん、Kyle Petersさん、Ynez Nevarezさんや同じ卓を囲んだ皆さん、議論を通じて実りある指摘をしてくださったカワムラさん、Kyle Mcgintyさん、チームプレイの大切さを教えてくださった関西最強FF軍団の皆さんにも感謝します。大会に向けて十分に準備ができたのは皆さんのおかげです。
そして、ともに世界選手権を戦ったサトツさん、ダンカンさん、ハリガイさん、むむさんをはじめ、全ての代表選手やイベント参加者の皆さん、応援や祝福のメッセージをくださった『FFTCG』コミュニティの皆さん、素晴らしいイベントを開催してくださったスクウェア・エニックスとホビージャパンの皆さん、私たちのプレイを見守ってくださったジャッジの皆さん、配信チームの皆さん、ありがとうございました。絶対に一生忘れない最高の時間を過ごすことができました。
最後になってしまいましたが、いつも支えてくれる家族や、親しい人たちにも、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。皆さん、本当にありがとうございました。
さて、この記事では世界選手権のスケジュールに沿って、時系列順で大会の様子をレポートさせていただくとともに、2デッキ構築戦とブースタードラフト戦に向けてどのような準備をしてきたかについてもお伝えしていきます。
◆世界選手権1日目
31人による2デッキ構築戦のスイスドロー5回戦で、上位16名が2日目に進出します。今回使用したデッキは「雷土氷」と「風水」でした。まずはデッキレシピをご覧ください。
デッキA:「雷土氷」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(28枚) | ||
【5-099H】 | 《イルーア》 | 3 |
【9-062H】 | 《ヴィンセント》 | 1 |
【9-076H】 | 《ラーケイクス》 | 1 |
【10-033L】 | 《スコール》 | 1 |
【10-088H】 | 《ガーランド》 | 1 |
【6-041L】 | 《リノア》 | 3 |
【9-063L】 | 《ガブラス》 | 3 |
【10-028L】 | 《暗闇の雲》 | 3 |
【10-129L】 | 《ハイン》 | 1 |
【9-094L】 | 《フースーヤ》 | 3 |
【10-098L】 | 《フォルサノス》 | 1 |
【9-084H】 | 《カイン》 | 3 |
【7-080H】 | 《プリッシュ》 | 1 |
【10-136S】 | 《シャントット》 | 3 |
バックアップ(18枚) | ||
【3-083C】 | 《セグリワデス》 | 1 |
【10-104R】 | 《ランペール》 | 3 |
【1-134R】 | 《ゴルターナ公》 | 3 |
【5-103R】 | 《ガリークランのシド》 | 1 |
【9-030H】 | 《ハーディ》 | 3 |
【10-039C】 | 《ナグモラーダ》 | 2 |
【9-039C】 | 《ロック》 | 1 |
【5-091H】 | 《星の神子》 | 3 |
【8-069R】 | 《アプルル》 | 1 |
モンスター(4枚) | ||
【8-034R】 | 《スケイルトード》 | 1 |
【10-090C】 | 《カンナカムイ》 | 2 |
【8-080C】 | 《プーマ夜光》 | 1 |
デッキB:風水
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(25枚) | ||
【9-115R】 | 《ポロム》 | 2 |
【1-199S】 | 《パイン》 | 3 |
【2-063R】 | 《パイン》 | 1 |
【3-056H】 | 《ジタン》 | 3 |
【5-068L】 | 《ヤ・シュトラ》 | 3 |
【10-127H】 | 《シトラ》 | 3 |
【10-106L】 | 《アーシェ》 | 3 |
【10-117H】 | 《ティーダ》 | 3 |
【8-112R】 | 《エーコ》 | 1 |
【8-060L】 | 《フィーナ》 | 3 |
バックアップ(15枚) | ||
【1-157C】 | 《学者》 | 1 |
【1-174R】 | 《ヤーグ・ロッシュ》 | 2 |
【1-177R】 | 《ユウナ》 | 2 |
【2-071R】 | 《リュック》 | 3 |
【5-067R】 | 《ミューヌ》 | 3 |
【10-058R】 | 《パンネロ》 | 1 |
【1-197S】 | 《アニキ》 | 2 |
【6-048C】 | 《シンラ》 | 1 |
召喚獣(10枚) | ||
【9-114C】 | 《不浄王キュクレイン》 | 2 |
【1-198S】 | 《ヴァルファーレ》 | 3 |
【10-055H】 | 《チョコボ》 | 2 |
【5-062L】 | 《ディアボロス》 | 3 |
いずれも、”Worldwide Warriors”によるチームデッキです。構築の詳細説明に入る前に、チーム結成の経緯と最終的な決定に至るまでのデッキの取捨選択についてお話ししたいと思います。
世界選手権の開催は「Opus X ~いにしえの戦士たち~」の発売から2週間後だったため、短期間でいかに効率よくデッキを準備するかということが課題だと考えました。
このような場合、1人よりも、複数人のチームでデッキを調整するほうが圧倒的に有利になります。これは単に人手が増えてたくさんのデッキを試せるようになるだけでなく、様々な視点での検討によりデッキの完成度を高めることができるためです。
そこで、まずは日本代表の他の4人の選手に声をかけてみたのですが、皆さんの都合がつかずチーム結成は困難な運びとなってしまいました。
そんなとき、普段から交流のあるJoshua Freeman-Birchさんからチームへのお誘いをいただいたため、渡りに船とばかりに合流させてもらうことにしました。
チームメンバーのJoshua Freeman-BirchさんとRobert Phillipsさんはイギリス、Matthew Okimotoさんはアメリカ、そして私は日本と地域が離れていたため、各自でテストプレイした結果をグループチャットで展開して、それらを元に議論を重ねていく形式で準備を進めていきました。
起床時や終業後には100件を超えるポストがあることも珍しくなく、読み返して意見交換するのも一苦労でした。また、週末に集中してテストプレイした結果を素早く言語化して、その日の内に共有することを強く意識していました。これは日本がイギリスに対して時差で9時間、アメリカに対しては17時間、それぞれ早いので、チームメイトのテストプレイにすぐ活かしてもらえるタイミングで自分のフィードバックを伝えたかったためです。
大会前々日の木曜日に会場のホテルで合流したあと、全員でRobert Phillipsさんの部屋にこもって最後の詰めをして、ギリギリで金曜日のデッキ提出を迎えました。お互い納得のいくまでコミュニケーションを取るなかで、チームの絆が深まっていくのを感じられたのも得難い経験だったと思っています。
2つのチームデッキ以外に試したのは「氷単タッチ闇」、「火土」の【カテゴリ(WOFF)】、「風水」の【ジョブ(空賊)】、「水雷氷」の【7-106L】《アグリアス》などです。以下に各デッキのレシピとテストプレイでの所感を記します。
サンプルデッキ:氷単タッチ闇
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(25枚) | ||
【9-036H】 | 《幽霊》 | 1 |
【1-192S】 | 《シド・レインズ》 | 2 |
【7-042H】 | 《ラスウェル》 | 2 |
【4-048L】 | 《ロック》 | 3 |
【10-033L】 | 《スコール》 | 3 |
【4-038L】 | 《セリス》 | 3 |
【10-129L】 | 《ハイン》 | 1 |
【5-148H】 | 《カムラナート》 | 1 |
【9-037C】 | 《ラグナ》 | 1 |
【10-024R】 | 《エルドナーシュ》 | 2 |
【10-130H】 | 《レーゲン》 | 2 |
【5-029L】 | 《オーファン》 | 1 |
【7-034L】 | 《セフィロス》 | 3 |
バックアップ(17枚) | ||
【1-184H】 | 《カオス》 | 1 |
【8-031R】 | 《コキュートス》 | 1 |
【2-048R】 | 《リノア》 | 1 |
【4-026H】 | 《ガストラ帝国のシド》 | 3 |
【10-022R】 | 《イブノイル》 | 2 |
【7-033R】 | 《スノウ》 | 2 |
【8-036C】 | 《セッツァー》 | 3 |
【10-036R】 | 《ティナ》 | 2 |
【9-124H】 | 《ガストラ皇帝》 | 2 |
召喚獣(8枚) | ||
【9-025H】 | 《ザルエラ》 | 2 |
【10-041C】 | 《ベイビーシヴァ》 | 3 |
【5-032H】 | 《グラシャラボラス》 | 2 |
【3-147L】 | 《戒律王ゾディアーク》 | 1 |
「Opus X」で強化された闇属性パッケージの手応えはよいものの、デッキ全体としては光るものがない印象でした。ブレイブを得てダルにならずにアタックしてくる【4-001H】《アウィン》がかなり厳しいこともマイナス面として大きく、調整段階でお蔵入りとなりました。
サンプルデッキ:火土【カテゴリ(WOFF)】
「2019 名人戦 関東地区予選」プレーオフ通過 プレイヤー:ひーとさん)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(26枚) | ||
【10-020L】 | 《レェン》 | 3 |
【1-027H】 | 《ラァン》 | 3 |
【8-006L】 | 《クラウド》 | 2 |
【9-014L】 | 《ネール》 | 2 |
【4-001H】 | 《アウィン》 | 3 |
【10-136S】 | 《シャントット》 | 2 |
【9-063L】 | 《ガブラス》 | 3 |
【1-109R】 | 《セラフィ》 | 3 |
【10-132S】 | 《ティナ》 | 1 |
【10-129L】 | 《ハイン》 | 2 |
【5-086L】 | 《セシル》 | 2 |
バックアップ(18枚) | ||
【10-131S】 | 《エース》 | 1 |
【8-082R】 | 《プロンプト》 | 2 |
【6-079L】 | 《ミンフィリア》 | 1 |
【3-096R】 | 《リディア》 | 1 |
【7-074C】 | 《タマ》 | 2 |
【3-089R】 | 《名を忘れた少女》 | 2 |
【3-076R】 | 《仮面の女》 | 1 |
【3-094C】 | 《ペリノア》 | 1 |
【10-021C】 | 《ロォク》 | 3 |
【10-019C】 | 《ルゥス》 | 2 |
【2-009R】 | 《セルフィ》 | 1 |
【10-015R】 | 《モーグリ-1組-》 | 1 |
召喚獣(6枚) | ||
【1-018L】 | 《バハムート》 | 1 |
【10-002H】 | 《イフリート》 | 2 |
【9-068H】 | 《ドラゴン》 | 3 |
高いコストパフォーマンスを誇るフォワード陣や多様な除去、ヘイスト付与による攻めやすさなどを兼ね備えており、デッキパワーはかなり高いと感じました。
ただ、コンセプトとしての分かりやすさ(≒使用者が多くなる)から、使用するならミラーマッチの対策を考える必要がありそうという印象でした。
サンプルデッキ:風水【ジョブ(空賊)】
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(26枚) | ||
【10-048R】 | 《カイツ》 | 3 |
【10-059R】 | 《フィロ》 | 3 |
【10-060L】 | 《フラン》 | 3 |
【10-109C】 | 《エルザ》 | 3 |
【2-066R】 | 《バルフレア》 | 1 |
【5-156S】 | 《バルフレア》 | 3 |
【9-043R】 | 《ヴァン》 | 3 |
【10-126R】 | 《リッキー》 | 3 |
【10-124C】 | 《ラズ》 | 3 |
【10-133S】 | 《ヴァン》 | 1 |
バックアップ(17枚) | ||
【2-067R】 | 《パンネロ》 | 3 |
【5-125C】 | 《オンドール》 | 1 |
【8-057C】 | 《忍者》 | 2 |
【10-118R】 | 《トマジ》 | 3 |
【2-146H】 | 《フースーヤ》 | 1 |
【10-056R】 | 《ノノ》 | 3 |
【2-137H】 | 《メルウィブ》 | 2 |
【5-053R】 | 《エコー》 | 1 |
【5-132R】 | 《バデロン》 | 1 |
召喚獣(7枚) | ||
【4-128C】 | 《コヨコヨ》 | 1 |
【5-133H】 | 《ビスマルク》 | 3 |
【5-062L】 | 《ディアボロス》 | 3 |
【10-056R】《ノノ》のおかげで非常にテンポよくフォワードを展開できるのですが、動きが軽すぎるがゆえに中盤~終盤に手札が枯れてしまい、何もできないターンが生まれがちな点が気になりました。【2-067R】《パンネロ》を活かす方向だと改善するにも幅が狭くなってしまい、伸び代が少ないのもネックで却下となりました。
サンプルデッキ:水雷氷【7-106L】《アグリアス》
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(31枚) | ||
【4-133C】 | 《バイキング》 | 3 |
【5-099H】 | 《イルーア》 | 3 |
【2-026L】 | 《ヴェイン》 | 2 |
【6-041L】 | 《リノア》 | 3 |
【6-126R】 | 《レイラ》 | 3 |
【10-129L】 | 《ハイン》 | 1 |
【5-126L】 | 《暗闇の雲》 | 3 |
【5-118L】 | 《ラムザ》 | 2 |
【7-106L】 | 《アグリアス》 | 3 |
【9-094L】 | 《フースーヤ》 | 3 |
【10-098L】 | 《フォルサノス》 | 2 |
【9-084H】 | 《カイン》 | 3 |
バックアップ(19枚) | ||
【1-134R】 | 《ゴルターナ公》 | 1 |
【1-171H】 | 《ミンウ》 | 1 |
【2-106R】 | 《グラミス》 | 1 |
【4-110R】 | 《ブルメシア王》 | 1 |
【4-134C】 | 《ブラネ》 | 1 |
【5-031H】 | 《ギルバート》 | 1 |
【5-103R】 | 《ガリークランのシド》 | 1 |
【9-030H】 | 《ハーディ》 | 2 |
【1-133C】 | 《賢者》 | 2 |
【1-137R】 | 《シーモア》 | 1 |
【2-137H】 | 《メルウィブ》 | 2 |
【5-132R】 | 《バデロン》 | 1 |
【8-122R】 | 《謎のじいさん》 | 1 |
【8-132L】 | 《ルナフレーナ》 | 1 |
【9-039C】 | 《ロック》 | 1 |
【1-176H】 | 《ユウナ》 | 1 |
前環境の王者デッキです。しかし、「Opus X」で得たものがそれほど多くなく、同じ3属性の【9-094L】《フースーヤ》デッキという枠組みでは、雷土氷で組んだほうが理想的な展開をできたときのリターンが大きいと考えました。
上記の手応えから、「火土【カテゴリ(WOFF)】」は使用者が多そうだと考えました。チームデッキでもある2つのデッキタイプに対しては、「風水【カテゴリ(FFX)】」ミラーは多数発生しそう、【10-104R】《ランペール》を使ったデッキを仕上げてくるプレイヤーも一定数はいる、と考えていました。
前置きが長くなりましたが、以上を踏まえて使用した2つのデッキの解説に移りたいと思います。
デッキA:「雷土氷」
【10-104R】《ランペール》を【10-028L】《暗闇の雲》などでブレイクゾーンに置くコンボと、【9-094L】《フースーヤ》のアビリティを【6-041L】《リノア》で使い回すコンボの混合デッキです。3属性ゆえの不安定さはあるものの、非常にパワフルな動きが可能なデッキとなっています。
テストプレイでは、コンボ中心の構築に寄せていくか、もしくは汎用的なカードを増やすのかという微調整がポイントになっていました。
中盤以降の【5-099H】《イルーア》からの大ダメージ勝利への布石として、序盤からフォワードを展開できることが重要です。そのため能動的に出せるフォワードの枚数確保には気を使いました。
【10-129L】《ハイン》は上記の役割を担いつつ、「風水【カテゴリ(FFX)】」や「火土【カテゴリ(WOFF)】」に対しても強いため、2枚目の採用も検討していました。しかし、コンボデッキにとっては闇属性ゆえに手札を圧迫してしまいかねないことが大きなネックとなり、1枚に留まっています。
チーム内で最後まで議論になったのは【8-034R】《スケイルトード》でした。
これは「風水【カテゴリ(FFX)】」などのバックアップを並べてから展開してくるデッキに突き刺さるカードですが、相手のプレイ次第ではそれほど効かないのではないかという懸念があったためです。
しかし、テストプレイの結果、手札を捨てることを嫌って出てきたフォワードを効率よく除去することで、手札を捨てさせなくともアドバンテージ差を広げるように機能してくれることが分かりました。そのため、「風水【カテゴリ(FFX)】」対策枠として1枚割くという判断となりました。
仮想敵として想定していた各デッキとは互角以上に戦える手応えがあったのですが、調整終盤で【10-045C】《ウンサーガナシ》入りの「風単」が厳しい相手であることが判明します。協議の結果、無理に構築を歪めてでも対策するより、これ以外のデッキにしっかり勝つように構築するという方針に落ち着きました。
デッキB:「風水」
『FFTCG』の伝統的なアーキタイプである「風水【カテゴリ(FFX)】」を「Opus X」の新カードでアップデートしたデッキです。
【10-127H】《シトラ》のおかげで【1-198S】《ヴァルファーレ》と【8-060L】《フィーナ》のコンボが格段に決まりやすくなりました。【10-106L】《アーシェ》で【5-068L】《ヤ・シュトラ》や【8-049L】《エアリス》を対策できるようになったこともあり、ミラーマッチではお互いに全体除去を打ち合う派手な展開になることも多いです。
「火土【カテゴリ(WOFF)】」に対しては【9-114C】《不浄王キュクレイン》を構えておくことで、【10-020L】《レェン》からのヘイストによる攻勢を止めることができます。ダメージのアビリティを使われるまでに1ターンの猶予を作れるため、比較的余裕を持って対処することが可能となります。
【10-055H】《チョコボ》は【9-094L】《フースーヤ》に対して有効なカードで、アビリティに対応して選ばれたフォワードを戻すことで、相手の手札が増えるのを防ぐことができます。
【9-094L】《フースーヤ》対策枠は【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》との選択になりますが、【10-127H】《シトラ》や【3-056H】《ジタン》を使い回す動きでも活躍できる点に魅力を感じ、【10-055H】《チョコボ》を優先しました。
【1-174R】《ヤーグ・ロッシュ》は、【1-088C】《弓使い》や【10-136S】《シャントット》から【1-177R】《ユウナ》を守る役割で採用しています。また【10-033L】《スコール》や【10-106L】《アーシェ》といったフォワードのアビリティへの避雷針にもなり、今の環境では地味ながら活躍するカードです。
実はチームの他のメンバーとは2デッキ100枚のうち99枚が同じで、1枚だけ違う部分があります。
それはデッキBでの【2-063R】《パイン》の2枚目か【5-068L】《ヤ・シュトラ》の3枚目かという点で、私だけ後者を選んでいます。序盤の動きの安定性を重視するなら前者、中盤以降の盤面の強さを重視するなら後者という二択で、ミラーマッチが多いことを予想すると【5-068L】《ヤ・シュトラ》の価値が若干高いと考えて選択しました。
この点はチームでの結論は出ませんでしたが、逆にそれ以外の99枚までは全員で納得して合意できたので、本当に最後まで粘ったかいがあったと感じています。
以上が今回の各デッキに込めた調整の意図です。
続けて、1日目の結果を書いていきます。
ラウンド 対戦相手 ゲームカウント
ゲーム 自分のデッキ 相手のデッキタイプ 勝敗
1回戦:Christopher Nealさん 2-1
1-1 A(雷土氷) 氷単タッチ闇 〇
1-2 B(風水) 火土【カテゴリ(WOFF)】 ×
1-3 B(風水) 氷単タッチ闇 〇
2回戦:Benjamin Parrotさん 2-0
2-1 A(雷土氷) 風水火コントロール 〇
2-2 B(風水) 水雷氷【7-106L】《アグリアス》 〇
3回戦:Alexander Hancoxさん 0-2
3-1 A(雷土氷) 氷土コントロール ×
3-2 A(雷土氷) 風水【カテゴリ(FFX)】 ×
4回戦:Collin Rupertさん 1-2
4-1 A(雷土氷) 氷土コントロール ×
4-2 A(雷土氷) 風水【カテゴリ(FFX)】 〇
4-3 B(風水) 風水【カテゴリ(FFX)】 ×
5回戦:Sho Murakami(むむ)さん 2-1
5-1 A(雷土氷) 火土【カテゴリ(WOFF)】 〇
5-2 B(風水) 火土【カテゴリ(WOFF)】 ×
5-3 B(風水) 土風氷雷【10-023H】《ウネ》 〇
戦績は3勝2敗の8位で、首の皮1枚で2日目進出となりました。
ラウンド3では去年の世界チャンピオンであるAlexander Hancoxさんの実力を見せつけられ完敗でした。
続くラウンド4のゲーム3では自身のコンボがそろっているのを見落とすポカミスで「風水」のミラーマッチを落としてしまい、精神的にかなり追い詰められた状態になってしまいました。
しかし、ここで心折れては“忘れ物”には手が届かないと気持ちを奮い立たせてラウンド5に臨み、なんとか激戦を制することができました。
デッキごとに見るとA(雷土氷)が4勝3敗、B(風水)が3勝3敗で、数字の上では勝率に大差はありません。しかし、”Worldwide Warriors”のチームメイトは口をそろえて「風水」の戦績がよかったと言っており、自身のプレイングに改善の余地があることは明らかでした。
そこで、2日目の空き時間には「風水」を1人回しして過ごすことで、少しでもデッキに慣れられるように努めました。
◆世界選手権2日目
「Opus X」を使ったブースタードラフト3回戦を行い、上位8名が決勝のシングルエリミネーションに進出します。
ここでは、最初に「Opus X」のドラフト環境について簡単に説明し、実際にドラフトしたデッキとピックを振り返ったあと、対戦の様子をお伝えしたいと思います。
「Opus X」のドラフトの第一印象は、とにかく難しい環境だということでした。「Opus IX Lords & Chaos」では明確なアーキタイプがあったため、ピックの方針を立てやすかったです。
しかし、「Opus X」では目立ったアーキタイプは【ジョブ(空賊)】の「風水」くらいしかなく、どのような戦略があるか手探りの状態からのスタートでした。
ドラフトの練習を重ねるなかで、攻めるデッキにするか、守るデッキにするか、ゴール地点を決めてピックすることが重要との結論に至りました。
この環境では「Damage」のアビリティが強力なため、ダメージ5点から硬直する展開がそれなりに多く生じます。
そのため、攻め・守りがはっきりしないデッキで中途半端に攻めても詰め切ることが難しく、勝つためにはどちらかに振り切ることが重要となります。
具体的には、“「風水【ジョブ(空賊)】」で早期決着を狙うデッキ”か、“パワーの高いフォワードがしっかり入った息切れしないデッキ”のどちらかをドラフトする方針で考えていました。
後者の場合は2属性でまとめることにはこだわらず、質の高いカードを集めるため多属性化することも柔軟に検討したいです。以下は各属性に対する簡単な評価です。
【火属性】
以下の3つの理由から、一番人気と考えていました。
・【10-001H】《イグニシオ》、【10-002H】《イフリート》、【10-004H】《カイアス》、【10-007H】《ザックス》とすべてのレアリティHが強く、初手として良好。
・レアリティCに【10-003C】《イブリス》と【10-005C】《ガンコナー》という優秀な除去が2種類もある。
・水属性の【10-121C】《モーグリ-4組-》が火属性のCPを生み出せるため、軽くつまみやすい。
また、レアリティCでは【10-007H】《ザックス》とのシナジーも期待して【10-009C】《ソルジャー3rd》を優先して集めたいです。
【氷属性】
【10-022R】《イブノイル》、【10-024R】《エルドナーシュ》、【10-025R】《カムラナート》を集められると強力です。
それ以外だと【カテゴリ(TYPE-0)】を多めにピックして、【10-027C】《クラサメ》や【10-040R】《白虎のルシ クンミ》といった高コストパフォーマンスのフォワードで戦う戦略も成り立ちます。【10-082C】《ミオツク》がある土属性との組み合わせがベストです。
レアリティHは【10-030H】《シヴァ》、【10-032H】《スキュラ》、【10-034H】《セフィロス》と初手でも申し分ないカードが多く、総じて優秀な属性です。
【風属性】
レアリティHこそ【10-043H】《アルクゥ》、【10-044H】《ヴァン》、【10-046H】《エアリス》と強いカードが豊富ですが、他は【10-050C】《シーフ》くらいしか目ぼしいところがありません。
【ジョブ(空賊)】をドラフトする場合を除いて積極的にはピックしたくありません。もし取る場合は【10-061C】《モーグリ-8組-》を早めに確保して、土属性もタッチしたいところです。
【土属性】
レアリティHの【10-070H】《ジークハルト》、【10-080H】《バッシュ》だけでなく、Rにも【10-069R】《玄武のルシ ギルガメッシュ》、【10-071R】《シド [MOBIUS]》と強力なカードがあり、ぜひピックしたい属性です。
【10-069R】《玄武のルシ ギルガメッシュ》は【10-067R】《エンキドゥ・ウルク》、【10-073R】《ジョーカー》、【10-082C】《ミオツク》と相性がよく、土属性をドラフトする場合は必須級のカードとなります。
【雷属性】
【10-092C】《サクラ》、【10-100C】《ライデン》、【10-099C】《魔剣士》とレアリティCの中でシナジーが形成されていて、しっかり固めて取れると評価が高まります。
【10-099C】《魔剣士》を安めに取れるかは、雷属性が空いているかの指標になると思います。
レアリティHには【10-088H】《ガーランド》、【10-095H】《デッシュ》、【10-102H】《ラムウ》と有用なカードが多数あります。
【水属性】
レアリティCでは【10-124C】《ラズ》を最優先でピックしたいです。言わずもがなベストパートナーは風属性です。しかし、水属性だけでも【10-109C】《エルザ》や【10-126R】《リッキー》があるため、実は【ジョブ(空賊)】シナジーを狙う上では風属性は必須ではありません。
日本での事前練習だけでなく、会場に到着してからも空き時間にドラフトする機会があり、合計で7回の経験を積むことができました。これにより、第一印象では難しく感じていたドラフトでしたが、多少の自信を持って挑むことができました。では、デッキとピックを見ていきましょう。
ドラフトデッキ:火雷タッチ氷土
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(23枚) | ||
【10-010C】 | 《たまねぎ剣士 [III]》 | 2 |
【10-011R】 | 《ナジ》 | 2 |
【10-081R】 | 《プリッシュ》 | 1 |
【10-009C】 | 《ソルジャー3rd》 | 3 |
【10-033L】 | 《スコール》 | 1 |
【10-093C】 | 《神羅兵》 | 1 |
【10-095H】 | 《デッシュ》 | 1 |
【10-127H】 | 《シトラ》 | 1 |
【10-007H】 | 《ザックス》 | 1 |
【10-027C】 | 《クラサメ》 | 1 |
【10-096C】 | 《ナイト》 | 1 |
【10-018C】 | 《リィド》 | 2 |
【10-103R】 | 《ラムザ》 | 1 |
【10-094R】 | 《翼のジャッジ》 | 1 |
【10-032H】 | 《スキュラ》 | 1 |
【10-098L】 | 《フォルサノス》 | 1 |
【10-008L】 | 《ザンデ》 | 2 |
バックアップ(14枚) | ||
【10-006R】 | 《クラウド》 | 3 |
【10-016C】 | 《モーグリ-2組-》 | 2 |
【10-019C】 | 《ルゥス》 | 2 |
【10-089C】 | 《カリヤ・シバル》 | 1 |
【10-104R】 | 《ランペール》 | 1 |
【10-012C】 | 《風水師》 | 2 |
【10-099C】 | 《魔剣士》 | 1 |
【10-071R】 | 《シド [MOBIUS]》 | 2 |
召喚獣(3枚) | ||
【10-100C】 | 《ライデン》 | 1 |
【10-003C】 | 《イブリス》 | 2 |
【ピックの流れ】
・1パック目
1手目は【10-032H】《スキュラ》をピックしました。【10-032H】《スキュラ》は汎用性の高い除去のオートアビリティを内蔵している強力なフォワードで、幸運と言えます。
ただし、同じパックには【10-028L】《暗闇の雲》もあったため、氷属性をデッキのメインに選択してしまうと、下家(左隣のプレイヤー、1・3・5パック目のピック時にカードを渡す)と被るリスクがある点には注意が必要と考えました。
2手目以降は【10-018C】《リィド》や【10-009C】《ソルジャー3rd》が取れて、火属性の流れがよいという印象でした。
そこで、火属性をデッキの中心にしつつ【10-016C】《モーグリ-2組-》で氷属性をタッチする方針としました。その他では土属性と雷属性の強力なカードが遅い順手でも散見され、これらの属性に参入しているプレイヤーが少ないことが推測されました。
【10-071R】《シド [MOBIUS]》や【10-082C】《ミオツク》を拾っておき、土属性への渡りをつけます。1パック目の終了時点では、強力な火属性が取れつつ、他属性の強力なカードも数枚あるということで、まずまずの手応えでした。
・2パック目
1手目は【10-098L】《フォルサノス》をピックしました。【10-098L】《フォルサノス》は「Opus X」ドラフトにおいてほとんど除去できる手段がないため、環境屈指のパワーカードと言えます。1パック目で雷属性の流れがよさそうとの感触だったこともあり、雷属性がデッキのサブカラーの有力候補となりました。
2手目以降は、予想通り【10-094R】《翼のジャッジ》や【10-095H】《デッシュ》といった雷属性の強力カードが流れてきて、好ポジションであると判断しました。
これでデッキは火雷タッチ氷でほぼ決定となります。【10-018C】《リィド》や【10-016C】《モーグリ-2組-》の2枚目も取れて満足なパックとなりました。
・3パック目
【10-003C】《イブリス》からスタートし、2手目には【10-008L】《ザンデ》がピックできました。【10-008L】《ザンデ》は一見クセのあるカードに見えますが、【10-009C】《ソルジャー3rd》や【10-011R】《ナジ》といった火属性の他の強力カードと自然に噛み合うため、実際はボム級と言える1枚です。
また、3パック目では【10-006R】《クラウド》が2枚取れ、デッキの除去が強化されました。【10-006R】《クラウド》や【10-103R】《ラムザ》はスペシャルアビリティが強力なので、それなりに優先順位を高くして取る価値があります。
ただ、雷属性はあまり見かけなかったので、1パック目で雷属性が安いという状況を見た他のプレイヤーたちも参入してきたという懸念が浮上してきました。
残念ながら、パックの後半はあまり自分のデッキのためにピックしたいカードがなく、【10-048R】《カイツ》や【10-056R】《ノノ》といった【ジョブ(空賊)】のカードをカットしていました。よいポジションで火属性がドラフトできているものの、当初方針にしていた「火雷タッチ氷」という形が揺らぎます。
・4パック目
初手は【10-127H】《シトラ》で、2手目には【10-033L】《スコール》が流れてきました。【10-033L】《スコール》は3つのオートアビリティにより、攻めにも守りにも活躍する強力カードです。
【10-016C】《モーグリ-2組-》が2枚確保できており氷属性はタッチするつもりだったので、ありがたくいただきます。ただ、下家が氷属性をやっていない可能性が高いことが判明し、一抹の不安が胸をよぎります。
3パック目から感じていた通りに雷属性の流れがとても悪く、火属性以外にどの属性を選択するかの再考を迫られることとなってしまいました。
このような場合には、カットよりも自分の選択肢の幅を広げるピックを優先する必要があります。強力な【10-098L】《フォルサノス》や【10-008L】《ザンデ》をサーチできる【10-081R】《プリッシュ》や、コストパフォーマンスのよい【10-027C】《クラサメ》を拾いつつ、火雷氷、火氷土といった3属性デッキの可能性を模索していきます。
・5パック目
【10-007H】《ザックス》、2枚目の【10-008L】《ザンデ》と好調な滑り出しとなりました。ただ、上家からの火属性の流れだけは非常によいものの、逆に脇を固める予定の氷属性、土属性、雷属性はまとまった枚数が取れません。
結局のところ、4属性デッキにしないとカードが足りないと判断して、【10-099C】《魔剣士》や【10-071R】《シド [MOBIUS]》の2枚目をピックしてドラフト終了となりました。
・ピックの総括
1パック目で火属性と雷属性のピックの機会がバッティングしてしまっており、雷属性を多く流してしまった結果、偶数個目のパックを上手く使えなかったのが最大の反省点です。
下家のChristofer Mattiskeさんは【ジョブ(空賊)】の「風水」だったものの、下下家(下家のさらに左隣のプレイヤー)のJoshua Freeman-Birchさんが「氷雷」をドラフトしており、サブの属性はより慎重に選択するべきだったと思います。
また、蓋を開けてみれば上家のAndrea De Lukaさんは「火氷」をドラフトしており、流れ次第ではもっと酷いデッキになっていた可能性もあったと背筋が寒くなりました。
単純に、ドラフトプール内の火属性のカードが豊富だったようです。ただ、4枚のレアリティLをはじめとした強力カードには恵まれ、その点は事前準備でピック方針を確立できたことが奏功したと思います。
ラウンド 対戦相手 相手のデッキタイプ 勝敗
6回戦 Emmanuel Padillaさん 風火氷 〇
7回戦 Christopher Mattiskeさん 風水 〇
8回戦 Andrea De Lukaさん 火氷 〇
結果としてはドラフトラウンドを全勝することができ、3位で決勝トーナメント進出となりました。以下は各ラウンドのハイライトです。
幸運なことに全ゲームでデッキ内の強力カードたちが火を吹いてくれました。
ラウンド6:【10-071R】《シド [MOBIUS]》のEXバーストが発動し、相手の【10-097R】《ノエル》がアタックせぬままブレイクゾーンへ。
ラウンド7:【10-007H】《ザックス》からの【10-008L】《ザンデ》でフォワードを並べつつの8000ダメージで相手の盤面が崩壊。
ラウンド8:初手から【10-008L】《ザンデ》で3体のフォワードが並ぶ。決まり手は【10-008L】《ザンデ》のおかわり。
続けて、決勝ラウンドのシングルエリミネーションの対戦記録です。
ラウンド 対戦相手 ゲームカウント
ゲーム 自分のデッキ 相手のデッキタイプ 勝敗
準々決勝 Taiki Harigai(ハリガイ)さん 2-0
QF-1 A(雷土氷) 土風氷雷【10-023H】《ウネ》 〇
QF-2 B(風水) 土風氷雷【10-023H】《ウネ》 〇
準決勝 Joshua Freeman-Birchさん 2-0
SF-1 A(雷土氷) 風水【カテゴリ(FFX)】 〇
SF-2 B(風水) 雷土氷【10-104R】《ランペール》 〇
決勝 Masayuki Yamada(ダンカン)さん 2-1
GF-1 A(雷土氷) 土風【4-083L】《シャントット》 ×
GF-2 A(雷土氷) 火土【カテゴリ(WOFF)】 〇
GF-3 B(風水) 火土【カテゴリ(WOFF)】 〇
QF(準々決勝)はハリガイさんとの日本人対決でした。
「土風氷雷【10-023H】《ウネ》」はまったく事前に想定していないデッキだったので、かなり不安がありました。しかし、1日目の最終戦での対戦経験からデッキの動きを知ることができていたこともあり、なんとか勝利することができました。
SF(準決勝)はチームメイトのJoshua Freeman-Birchさんとの99枚ミラーマッチでしたが、2ゲームともこちらのほうがデッキの回りがよく勝利することができました。
私が【9-094L】《フースーヤ》をプレイしたときにJoshua Freeman-Birchさんがフィンガークロス(幸運を祈るという意味のサイン)してくれたことが印象に残っています。ここで勝ったからには、次も絶対に勝ちたいと強く感じました。
GF(決勝戦)はダンカンさんとの日本人対決再び、でした。2017年の「MASTERS FINAL」決勝、「World Championship 2017」準決勝、今年の「MASTERS FINAL」決勝と、数多くの試合を戦ってきた相手であり、「World Champion」の座を懸けて戦えることを大変光栄に思いました。
お互いに緊張や疲労が入り交じるなかで、全力を出し切ってのゲームとなり、結果がどう転ぶかは本当に分かりませんでした。私が勝てたのは、ただ幸運の女神が微笑んでくれたからだと思います。
こうして、2年前の「World Championship 2017」ではあと一つが届かなかった、最高の結果を手にすることができました。
◆旅の思い出
ここまでは『FFTCG』の「対戦ゲーム」という部分にフォーカスしてレポートしてきましたが、『FFTCG』の魅力はそれだけではありません。
世界選手権ではたくさんの海外プレイヤーと交流することができ、「コミュニケーションツール」としても最高のコンテンツだと感じられました。いくつかイベント期間中のエピソードを紹介したいと思います。
・会場では英語でのコミュニケーションが基本ですが、それ以外の言語が飛び交う場面もあり、国際的なイベントの醍醐味だなと思いました。海外プレイヤーが知っている日本語で話してくれたり、“メルシーボークー(フランス語でありがとう)”や“ここには書けないスペイン語”などを教えていただいたりして、楽しく交流できました。
・金曜日のレセプションと日曜日のクロージングでは酒類も提供され、おおいに盛り上がりました。なぜか腕相撲大会が頻繁に行われており、文化の違いも感じつつ賑やかに過ごせました。多国籍“飲みニケーション”を通じて、たくさん友達が増えて嬉しかったです。
・プロデューサーの景山さんと一緒にドラフトする機会があり、大変貴重な経験ができました。選手もスタッフの皆さんも同じホテルで過ごすイベントならではの嬉しいサプライズだったと思います。なお、景山さんはピックを見ようとする人だかりができていました。
・ホテルの部屋は広くて清潔で、食事も美味しく、スポーツジムまで完備されていて、かなり快適に過ごすことができました。招待制イベントの特別感が味わえることも素晴らしい体験でした。
このように、世界選手権は大会の部分以外も含めてすべてが楽しいイベントです。読んでくださっている方々にもぜひ体験していただきたいですし、私自身もすでに来年の世界選手権が待ち遠しいです。
『FFTCG』での最大の目標であった「World Championship」での優勝を達成することができました。
次の目標はまだないので、ちょっとゆっくり考えていきたいと思います。正直なところ、自分の人生のなかで、何かで世界一になるなんて思ってもみませんでした。
1人では絶対に成し遂げられなかったことです。『FFTCG』を通じたたくさんの出会いや様々な出来事がこの結果に繋がったと心の底から思います。今回の結果を、そんな素晴らしい『FFTCG』コミュニティに恩返ししていくきっかけにできたらよいなと考えています。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
よい『FFTCG』ライフを!