『FINAL FANtASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週はライターのたるほさんが現在開催中の「第六期 名人戦」の環境について考察します。
◆はじめに
皆さん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
先日、「世界選手権 2024」が開催されました。
世界中の予選大会を勝ち抜いてきた52人のプレイヤーが『FFTCG』の新たなシンボルとなるスクウェア・エニックス渋谷オフィスに集まり、2024年の最強の座を懸けて行われた強豪ひしめくトーナメント、その頂点に輝いたのは国内でも屈指の実力者と名高いはら(Hara Y.)さんでした。
新たな世界王者が日本から生まれたことを誇りに思います。
はらさん、優勝おめでとうございます!
僕はその瞬間を生で目にすることはできなかったのですが、「世界選手権 2024」の大会の様子は公式YouTubeチャンネルでアーカイブの視聴もできますので、僕と同じく大会当日に観戦ができなかったという方はぜひチェックしてください!
さて、そんな「世界選手権 2024」の興奮冷めやらぬ中ですが、いよいよ「秘められた伝説」のトーナメントシーズンが幕を開けました。
先週からから始まった「第六期 名人戦」では、6代目“FFTCG名人”の称号を懸けた新たな戦いが始っています。
今回は来たる「第六期 名人戦」に向け、「秘められた伝説」のスタンダード環境のメタゲームを考察していきたいと思います。
(編註:この記事は「第六期 名人戦」関東予選が開催される前に執筆されました。)
それでは、さっそく始めていきましょう!
◆いよいよ開幕「第六期 名人戦」! 「秘められた伝説」環境を考察!
「第六期 名人戦」のフォーマットですが、すべての地区予選がスタンダードで行なわれます。
先日開催された「世界選手権 2024」も大会フォーマットはスタンダードでしたが、2デッキ制かつ使用デッキが公開されるというルール下だったことから、1デッキ制かつ大会中にデッキリストは公開されない「第六期 名人戦」では「世界選手権 2024」とはまた違ったデッキが活躍すると考えられます。それを踏まえたうえで、まずは「秘められた伝説」で新たに追加されたカードの特徴を考察していきましょう。
「秘められた伝説」の新カードのなかで、やはり注目すべきは「顕現」の登場でしょう。
「顕現」は水属性以外のすべての属性に登場していますが、顕現先となるカードはその多くが高いパワーラインと除去にまつわる効果を持ちます。単体で活躍できるポテンシャルを持っていることはもちろん、顕現元となるカードとセットで採用することで、同じカードNoのカードは3枚までしかデッキに入れることができない『FFTCG』のルールの原則を実質的に覆すことが可能となります。
なかでも注目なのは【24-005L】《クライヴ》&【24-001L】《イフリート [XVI]》です。セットでの採用が強力であることはもちろん、【24-001L】《イフリート [XVI]》は単体でも非常に強力なカードであり、火属性が絡むすべてのデッキに採用されるだけのポテンシャルがあります。
特に【24-005L】《クライヴ》&【24-001L】《イフリート [XVI]》と【24-028R】《ジル》&【24-024R】《シヴァ [XVI]》が共存できる「氷単【顕現】」は「第六期 名人戦」環境で注目デッキのひとつです。従来の「氷単」は相手のリソースを奪う手段に優れたデッキでありながら脅威となるフォワードへの対処が課題となるデッキでしたが、2種類の顕現ギミックをセットで採用することでこうした弱点を克服しています。
「氷単【顕現】」については前回の記事で紹介しているので、サンプルのデッキリストなどはこちらでご確認ください。また、「世界選手権 2024」ではトップ8に早くも入賞しています。
ほかにも「土単」で【16-082H】《モント・リオニス》からの蘇生対象となる【24-058R】《タイタン [XVI]》(+【24-064R】《フーゴ》)や、高い汎用性で顕現元だけでの採用も視野に入る【24-078R】《シドルファス》を採用した「雷単」など、顕現をテーマにしたデッキは「第六期 名人戦」でかなり目にする機会の多いデッキとなるでしょう。
「秘められた伝説」の新カードから顕現ギミックとは別のアプローチで変化を与えてくると考えられるのが、【24-111H】《ルシオ》を中心としたクリスタルギミックです。
こちらのカードについては僕の記事でもたびたび取り上げてきましたが、コストパフォーマンスに優れ展開力があるデッキの特性上、顕現ギミックをはじめとした除去性能に秀でたデッキに対しても引けを取らないことと、クリスタルという相手から干渉を受けないリソースを大量に獲得できることで継戦能力が高く、ポテンシャルを感じさせてくれるデッキです。
また、対戦相手の行動に干渉できる手段が豊富で【24-111H】《ルシオ》+【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》がフィールドにそろうことで圧倒的な制圧力を発揮できるため、環境の第一線で活躍する「火風土水【光の戦士】」に対しては理想の盤面の完成を阻害できるといった強みもあり、特にさまざまなデッキが試されるであろう「第六期 名人戦」の環境初期では一定の数が検証のために持ち込まれるのではないかと考えられます。
さて、ここまで顕現とクリスタルという2つのギミックに着目してお話ししましたが、どちらも共通して非常に高い除去性能を持つギミックです。
このことから、環境の変化として「秘められた伝説」環境はアグロデッキにとって逆風のメタゲームになることが予想されます。
特にここ数セットの環境では「火雷【XIII】」、「コスト3WoL」、「火氷水【騎士】」、「カオスコンボ」など高速帯のゲームレンジを持つデッキが活躍していましたが、強力な除去効果を持つ「顕現」ギミックはこれらのデッキに対して明確な回答となってくれることでしょう。
アグロデッキが環境からある程度駆逐されることで起こると考えられる変化が、EXバースト持ちのカードの見直しです。
特に前環境では【14-113R】《リヴァイアサン》が非常に価値を高めており、このカードの採用を目的として水属性をタッチした「土単」などで使用されることも多いカードでしたが、「秘められた伝説」環境においてはこうした目的での採用は減っていくのではないでしょうか?
そのぶん、これまでEXバーストを採用していたスロットにはミッドレンジ~コントロールデッキを意識した、純粋にデッキのポテンシャルに寄与できるカードが採用されるようになり、デッキパワーの最大値が高い構築が流行っていくことが考えられます。
また、アグロ対策で増えたEXバーストによって立場を弱くしていたミッドレンジ帯のデッキにもチャンスが生まれてきそうです。
一例として「氷雷」はEXバーストの増加や「カオスコンボ」などの活躍でかなり影を潜めていましたが、これらのカードやデッキが減り、順当にコストを支払う顕現ギミックに対してリソース面で勝負できることから再び日の目を見ることになるかもしれません。
また、除去性能が高いカードが増加したことで、特定のキャラクターをフィールドに定着させて戦うデッキにとってもプレッシャーのある環境になることが考えられます。
これに該当すると考えられるのは「火風土水【光の戦士】」や「土水ウネ」といったデッキです。もちろんこれらのデッキはベースとなるポテンシャルが非常に高いため、即座に環境からいなくなるとは考えにくいですが、さまざまなデッキが試されるであろう「第六期 名人戦」の初期環境においてはやや勝ちにくいポジションのデッキとして落ち着きそうです。
反対に、環境が除去に傾くことで活躍が予想されるのが除去耐性を持つカードを多く採用しているデッキです。個人的に可能性を感じているのは「火水」を軸としたデッキです。
この属性の組み合わせには新たなLBカードとして【24-126H】《アルテマウェポン》が登場していますが、このカードのアビリティが要求してくる火属性と水属性のキャラクターのカウントを満たすうえでモンスターが非常にかみ合いがよいため、除去に強い除去デッキとしての性能が期待できます。
現時点ではこれ! というデッキが形にできていないため僕はまだ可能性を模索している段階ですが、おそらく優れたビルダーの手によってすばらしいデッキが作り上げられ活躍していくことになるだろうと予想しています。
◆おわりに
今回はいよいよ始まる「第六期 名人戦」に向け「秘められた伝説」の初期環境について考察しました。
皆さんは「第六期 名人戦」の環境をどのように見ているでしょうか?
「世界選手権 2024」を皮切りに始まった新たなトーナメントシーズンですが、今後さらに多くのデッキが開発され、環境が大きく変わっていくことが予想されます。
来年の2月22日(土)に行われる「第六期名人位決定戦」は一体どんな環境になり、誰が6代目“FFTCG名人”になるのか、こちらの記事でも追いかけていきたいと思いますのでぜひお楽しみに!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!