【FFTCG】「秘められた試練」環境で活躍中の「カオスコンボ」デッキを深掘り!

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「秘められた試練」環境で登場した新デッキ「カオスコンボ」を紹介します。

◆はじめに
皆さん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

「L3 Championship 2024」が終了し、多くのプレイヤーの関心がL3構築からスタンダードに向き始めている時期かと思います。
これまでL3構築にどっぷりだったプレイヤーにとって「秘められた試練」環境のスタンダードはまだまだ未知の領域かと思いますが、今年の「MASTERS 2024 FINAL」はスタンダードの2デッキ制なので、参加者は新たな環境へ早急に適応していかなければなりません。

そんなスタンダードを掘り下げていく記事の第1弾として、前々回は海外のトーナメントシーンで活躍しているデッキについてまとめましたが、今回は一歩踏み込んで現在のスタンダード環境で活躍を見せている「秘められた試練」の新デッキ「カオスコンボ」について取り上げたいと思います。

巷を賑わす新デッキは、スタンダード環境にどんな混沌をもたらすのか?
それでは、さっそく始めていきましょう。

 


◆「秘められた試練」環境の台風の目、「カオスコンボ」を深堀りしよう
まずは「カオスコンボ」がどんなデッキなのかをおさらいしていきましょう。
「カオスコンボ」とはその名のとおり、「秘められた試練」で登場した闇属性のレジェンドカード【23-117L】《カオス》を主軸にアグロ展開を仕掛けるコンボデッキです。


【23-117L】《カオス》は
『カオスがフィールドに出たとき、あなたのブレイクゾーンにある【ジョブ(カオス)】かモンスターを合わせて5枚ゲームから除外してもよい。そうしたとき、対戦相手は自分のコントロールするフォワード1体を選択する。それをブレイクゾーンに置き、対戦相手は手札を2枚捨てる。』という強力なオートアビリティを持っており、この効果を使うために『《S》、デッキのカードを上から10枚ブレイクゾーンに置く:カオスは対戦相手に1点のダメージを与える。』という効果を持つスペシャルアビリティ「フレアー」でブレイクゾーンを肥やしていきます。

さらに「フレアー」のコストで『(雷神/風神)がデッキからブレイクゾーンに置かれたとき、(雷神/風神)をブレイクゾーンからフィールドに出してもよい。』というオートアビリティを持つ【22-087R】《雷神》か【22-084R】《風神》がブレイクゾーンに落ちると、ダブルアップでコンボを狙うこともできます。


「フレアー」でブレイクゾーンに置けるカードも10枚なので、【22-087R】《雷神》の『あなたのブレイクゾーンにカードが10枚以上ある場合、あなたのコントロールする【カード名(サイファー)】と【ジョブ(風紀委員)】のフォワードのパワーを+2000し、ヘイストを与える。』というフィールドアビリティが有効となり、【23-117
L】《カオス》は自身と【カード名(カオス)】の2枚があれば除去と手札破壊、最大3点のダメージを生み出す凶悪なコンボカードになるのです。

『FFTCG』はゲーム開始時点で(手札以外の)デッキが45枚あるため、ドローフェイズでのドローを差し引いても「フレアー」はゲーム中に最大3回まで使用でき最速で2ターン以内の勝利も狙うことができます

さらにこのデッキでは、ブレイクゾーンを肥やす「フレアー」をさまざまなカードとのシナジーに活用します。

例えばブレイクゾーンにあるカードの属性の数を参照して強くなる
【14-023L】《ギルガメッシュ [FFBE]》もこのデッキとは相性抜群です。これまで「コスト3WoL」などで活躍を見せた【14-023L】《ギルガメッシュ [FFBE]》ですが、さらに効率的にブレイクゾーンを肥やせる【23-117L】《カオス》の登場により、これまで以上にアビリティの条件達成が容易になりました。

また【18-126L】《ライトニング》も「カオスコンボ」で注目を集める1枚です。ブレイクゾーンから【カード名(ライトニング)】と【カード名(オーディン)】をそれぞれ1枚ずつ除外することでフィールドに出せる【18-126L】《ライトニング》は、アタックフェイズ中の追加アタッカーとしても重要な役割を果たします。


さらに同じ名前を持つ【20-069H】《カオス》は
【23-117L】《カオス》のスペシャルアビリティの弾でありながら、状況次第では除去の選択肢として機能するなど、非常に有効なカードとして機能します。


このように「カオスコンボ」はブレイクゾーンを肥やす「フレアー」を軸にシナジーを形成するさまざまなコンボを搭載した、まさに”混沌”の名にふさわしいコンボデッキと言えるでしょう。

 


◆トレンドの「カオスコンボ」の構築をチェック
それではここからは具体的なデッキリストを見ていきましょう。
現在、スタンダード環境で活躍している「カオスコンボ」には大きく分けて「氷水」と「水雷」の2つのタイプが存在します。  

  

●サンプルデッキ①:「氷水カオスコンボ」(「Materia Cup Adelaide」ベスト4)  

カード番号 カード名 枚数
メインデッキ
フォワード(26枚)
【23-117L】 《カオス》 3
【16-129L】 《カオス》 3
【20-069H】 《カオス》 3
【14-023L】 《ギルガメッシュ [FFBE]》 3
【11-124H】 《リルム》 2
【22-084R】 《風神》 3
【22-087R】 《雷神》 3
【19-128L】 《ウォーリアオブライト》 3
【19-111L】 《プリッシュ》 2
【13-104L】 《スピリタス》 1
バックアップ(11枚)
【11-129H】 《カオス》 3
【21-039C】 《ルフェイン人》 3
【16-107R】 《エゼル》 2
【21-115C】 《ラーサー》 3
モンスター(13枚)
【5-046R】 《ブッカブー》 2
【15-033C】 《ジャンボプリン》 2
【4-043C】 《プリン》 1
【4-125C】 《クリオネ》 3
【15-118C】 《ブルードラゴン》 3
【19-097C】 《トンベリ》 1
【17-110C】 《クゥダフ》 1
LBデッキ
フォワード(8枚)
【22-115R】 《サージェス》 1
【22-114H】 《ヴィクトラ》 1
【23-120R】 《クジャ》 1
【22-123R】 《レオ》 2
【23-129H】 《ルナフレーナ》 1
【22-120H】 《クラウド》 1
【23-125R】 《ノクティス》 1

サンプルデッキ②:「水雷カオスコンボ」(「North America Championship 2024」7位  ※2デッキ制)

カード番号 カード名 枚数
メインデッキ
フォワード(27枚)
【23-117L】 《カオス》 3
【16-129L】 《カオス》 3
【20-069H】 《カオス》 3
【22-075H】 《イデア》 3
【22-079L】 《サイファー》 3
【22-084R】 《風神》 3
【22-087R】 《雷神》 3
【13-118C】 《セーラ [MOBIUS]》 3
【18-126L】 《ライトニング》 3
バックアップ(9枚)
【11-129H】 《カオス》 3
【16-107R】 《エゼル》 3
【21-115C】 《ラーサー》 3
召喚獣(3枚)
【15-090H】 《オーディン》 3
モンスター(11枚)
【4-125C】 《クリオネ》 3
【15-118C】 《ブルードラゴン》 3
【19-097C】 《トンベリ》 1
【16-098H】 《魔天のガーディアン》 2
【18-081H】 《メリュジーヌ》 1
【19-081R】 《ベヒーモス》 1
LBデッキ
フォワード(8枚)
【22-123R】 《レオ》 3
【23-128R】 《ベアトリクス》 1
【22-120H】 《クラウド》 2
【23-127R】 《ニックス》 1
【23-126L】 《エッジ》 1

これら2つのデッキで共通して採用されているのが

フォワード
【23-117L】《カオス》
【16-129L】《カオス》
【20-069H】《カオス》
【22-084R】《風神》
【22-087R】《雷神》

バックアップ
【11-129H】《カオス》
【16-107R】《エゼル》
【21-115C】《ラーサー》  

モンスター
【4-125C】《クリオネ》
【15-118C】《ブルードラゴン》
【19-097C】《トンベリ》  

の11種類です。
デッキごとに採用枚数は多少異なるものの、デッキの基盤はコンボの軸である【23-117L】《カオス》とその条件を満たすための【ジョブ(カオス)】にモンスター、【23-117L】《カオス》のサーチ元となる【21-115C】《ラーサー》と【16-107R】《エゼル》、コンボのもう1つの軸となる【22-087R】《雷神》・【22-084R】《風神》といったカードによって成り立っていると言えるでしょう。

ここから【14-023L】《ギルガメッシュ [FFBE]》にフォーカスした「氷水」型、【18-126L】《ライトニング》にフォーカスした「水雷」へと分岐していきます。

「氷水」型のメリットはなんといっても相手のリソースを奪い取る能力の高さにあります。前シーズンの「火氷水【騎士】」の活躍からも見て取れるように、アグロ+手札破壊&ダル凍結の戦略は多くのデッキに対して極めて有効と言えます。「氷水カオスコンボ」では【14-023L】《ギルガメッシュ [FFBE]》に加え、強力な手札破壊効果を持つモンスターによってこの戦略をより強固なものにしています。  

またオートアビリティへのカウンターとして昨今人気を集めている【13-022H】《シド・ランデル》に対して【19-111L】《プリッシュ》という明確な回答が準備されているのも氷属性の強みだと考えられます。


そして「水雷」型は打点形成と突破力の高さにメリットがあると言えるでしょう。
【18-126L】《ライトニング》にフォーカスしたことで1ターンに展開できるヘイスト持ちフォワードの枚数が格段に多く、相手ターン中の除去に対しても手を緩めずに攻め続けられる強さがあります。また【16-098H】《魔天のガーディアン》などブロッカーを突破する手段も多く採用されています。


どちらにも違った長所がありますが、「MASTERS 2024 FINAL」のような2デッキ制のトーナメントを視野に入れた場合、【19-128L】《ウォーリアオブライト》が必須となってしまう「氷水」型は「水雷」型に比べてもう1つのデッキの自由度を狭めてしまう可能性があるため、やや「水雷」型のほうが環境に合っていると考えられます。

 


◆「カオスコンボ」に穴はあるのか?
非常に強力な「カオスコンボ」ですが、弱点はあるのでしょうか?
ブレイクゾーンを活用するギミックということで、有効そうなカードとしてまず考えられるのが【9-068H】《ドラゴン》です。

たしかにブレイクゾーンを一掃できる【9-068H】《ドラゴン》は「カオスコンボ」に対して有効ではあるものの、相手ターン中のカウンターとしてはあまり有効ではありません。というのも一度ブレイクゾーンを除外されたとしても「カオスコンボ」側は残り2回の「フレアー」で再度ブレイクゾーンを溜めることができてしまうのです。

そのため受け手側は基本的に【23-117L】《カオス》の手札破壊を受けざるを得ません。
また、そもそも1~2ターン目に「フレアー」を打ってくる相手に対して【9-068H】《ドラゴン》を引いておく必要があるのが難しく、これ1枚で戦えるほど安定した対策とは言えません。

とはいえ、適切なタイミングで打つことさえできれば十分に対抗策になりえます。  

この点では【17-091L】《エクスデス》も有効な対策になりえるかもしれません。


では、アグロデッキへのもっとも有効な対抗策となるEXバーストはどうでしょうか?
「カオスコンボ」はあくまでダメージレースでの勝利を目指すデッキなので、EXバーストでの逆転を狙うというのは順当な対応策です。また【23-117L】《カオス》の手札破壊で失ったリソースをEXバーストで回復させるというアプローチも理にかなっています。

とりわけ【14-113R】《リヴァイアサン》は闇属性のフォワードである【23-117L】《カオス》への回答として優秀でありながら、状況に応じてリソースの回復かフィールドの除去を選択できるため非常に有効な対抗策です。

 実際、現在「カオスコンボ」の対抗馬として活躍しているデッキには「火水」「土水」「火風土水【光の戦士】」といった【14-113R】《リヴァイアサン》を含むEXバースト持ちのカードを複数枚採用したデッキが多く存在します。

なかでも「土水」「火風土水【光の戦士】」は先述の【9-068H】《ドラゴン》も同時に採用できるので、「カオスコンボ」への対策が手厚いデッキと言えるでしょう。

対策以前の根本的なデッキのリスクとして、「カオスコンボ」はデッキのカードの10枚近くを闇属性に割く必要があるため、そもそも手札に闇属性がかさばってしまうリスクが存在します。

これを念頭に置いて、【23-117L】《カオス》が動き出す一手前に手札破壊を仕掛けるのも有効な戦略たりえるかもしれません。これに関してはまだ検証段階で自分の中でこれといった回答を見いだせてはいないものの、「MASTERS 2024 FINAL」に向けて掘り下げていける余地のある分野だと考えています。

 


◆おわりに
今回は「秘められた試練」のスタンダード環境を賑わせている「カオスコンボ」について考察してきました。

海外での活躍のみならず、国内では先日行われた「MASTERS 2024」仙台大会でも優勝を果たすなど、いまもっとも熱いデッキの1つです。

今週末に行われる「MASTERS 2024」東京大会、そして「MASTERS 2024 FINAL」でも暴れることが予想されるので、使うにしろ対策するにしろ、今一度そのポテンシャルを振り返っておくべきでしょう。

来週も「MASTERS 2024 FINAL」に向けて「秘められた試練」のスタンダード環境を掘り下げる記事をお届けしようと思いますのでぜひお楽しみに!

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!