【FFTCG】たるほの隙あらばデッキ語り ~「OSAKA CUP」全勝の「火水【召喚士】」編~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週はライターのたるほさんが「OSAKA CUP」で全勝を達成した「火水【召喚士】」デッキを紹介します。

◆はじめに
皆さん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

「Standard Championship 2024」、お疲れ様でした!

「世界選手権2024」の出場権を懸け、全国から実に108名ものプレイヤーが集まり、『FFTCG』の盛り上がりを肌で感じさせてくれるイベントでしたね!
僕も一プレイヤーとして全力をもって挑みましたが、残念ながら6勝2敗の11位で予選ラウンド敗退という結果で幕を閉じました。
悔しい気持ちは大きいものの、大会に臨む過程で重ねた調整の成果はしっかりと反映された結果だったので、取り組みとしてはやり残すことのない大会にできたのではないかなと振り返っています。 

皆さんにとっては、どんなイベントになったでしょうか?

そしてそんな「Standard Championship 2024」で「世界選手権2024」への切符を手にしたのが、豊田ファイサリスさんとありかさんの2名です。 
ともに昨年の「Standard Championship 2023」でも結果を残していたプレイヤーであり、実力としては申し分ない強豪プレイヤーが順当に駒を進める形となりました。

熱い戦いを勝ち抜いたお2人へのインタビューも今後こちらの記事でお届けしていきたいと思いますので、ぜひお楽しみに!

その前に、今回は「Standard Championship 2024」2日目に行なわれたサイドイベント「OSAKA CUP 2024」で僕が使用したデッキ語りをしようと思います。こちらのデッキで、102人が参加した「OSAKA CUP 2024」6戦全勝の成績を残すことができました。

では、たるほの隙あらばデッキ語り~「OSAKA CUP 2024」全勝「火水【召喚士】」編~さっそく始めていきましょう!


◆すんごいデッキ、思いついちゃったかもしれない  

まずはデッキリストから! 

●「火水【召喚士】」  

カード番号 カード名 枚数
【メインデッキ】
フォワード(15枚)  
【21-066C】 《ガイ》 1
【16-133S】 《ブラスカ》 3
【20-117L】 《ユウナ》 3
【22-098H】 《セイレーン [V]》 2
【9-115R】 《ポロム》 2
【18-130L】 《フリオニール》 3
【7-127L】 《ユウナ》 1
バックアップ(16枚)
【7-008C】 《サッズ》 2
【11-012C】 《タツノコ》 1
【15-019C】 《ヨーゼフ》 2
【12-008R】 《ゴブリンプリンセス》 2
【13-013C】 《パロム》 1
【4-138R】 《メルウィブ》 2
【3-143C】 《レオノーラ》 2
【10-119R】 《フェレーナ》 2
【11-108C】 《エーコ》 2
召喚獣(17枚)
【12-005C】 《イフリート》 1
【12-002H】 《アマテラス》 3
【15-014H】 《ブリュンヒルデ》 3
【12-108C】 《レモラ》 3
【14-113R】 《リヴァイアサン》 3
【18-096C】 《リヴァイアサン》 1
【9-114C】 《不浄王キュクレイン》 3
モンスター(2枚)
【20-018H】 《フェネクス》 1
【18-089H】 《エキドナ》 1
【LBデッキ】
フォワード(8枚)
【22-112R】 《ザックス》 2
【22-122L】 《ティーダ》 1
【22-123R】 《レオ》 3
【22-124H】 《リレルリラ》 2

始まりは「Standard Championship 2024」の2日前、大阪への前日入りのため荷造りをしていたときのこと。調整用のパーツを物色していた僕にあるひとつのアイディアが降りてきます。

「……EXバースト盛り盛りで作る『火水』の【20-117L】《ユウナ》デッキ、強いかもしれない」 

 世は大「火氷水【騎士】」時代、迫りくる騎士の軍勢に対し、EXバーストで切り返そうという発想は突飛なものではありません。
また「火氷水【騎士】」というデッキは除去能力を【18-015R】《ラムザ》や【22-006H】《ガーランド》といったアビリティに依存しがちなため、アビリティに選ばれなくなるアビリティを持つ【20-117L】《ユウナ》を対処するのが難しいように感じました。

さらに「火水」には【18-130L】《フリオニール》という対ダル・凍結戦略に優れた強力なフォワードが存在します。実際海外のトーナメントでは【18-130L】《フリオニール》とモンスターにフォーカスした「火水」や「火土水」といったデッキが活躍していた背景もありました。

 「いやいや、僕には調整に調整を重ねてきた相棒の『氷雷』があるじゃないか」

これまでの調整の日々を振り返り、頭をよぎった閃きを振り払います。

「でも、もしかしたら……一応デッキパーツだけ鞄に入れておくか」

こうして鞄の中にデッキパーツだけを納めて、大阪へ向かうことになるのでした。
大会初日の夜、6勝2敗で予選ラウンドを敗退し、宿のサウナで大会を振り返る僕に再び「火水」のインスピレーションが降りてきます。

「決勝ラウンドには進むことができなかったし、明日の『OSAKA CUP 2024』では直感に従ってみるか……」 

そんな思いから日付も変わった深夜2時、作りあげたのが「火水【召喚士】」でした。 
そして迎えた「OSAKA CUP 2024」で「火水【召喚士】」はまさかの全勝。

そんな強いなら最初に言ってよ!(誰に?)という気分ですが、意外と現環境にマッチしたデッキだったということで、紹介していきましょう。


◆「火水【召喚士】」ってこんなデッキ

前語りがすごく長くなりましたが、そんなこんな「OSAKA CUP 2024」で使用した「火水【召喚士】」がすごくよかったので紹介したいというのが今回の趣旨です。 
さてこのデッキは前述のとおり、対「火氷水【騎士】」において、

・EXバーストが厚いこと
・【20-117L】《ユウナ》が対処されにくいこと
・【18-130L】《フリオニール》が有効であること

の3点で優位が確立できるのではないかという閃きから生まれたデッキです。 
実際に大会を通じてデッキを触ってみた感覚としては、これらのアイディアはおおむね間違っていなかったと感じました。

【20-117L】《ユウナ》というカードは若干コストが重いものの、生き残り続けることで召喚獣をキャストしたときに発動するアビリティのドロー効果でリソースを取り戻すことができますし、EXバーストで稼いだアドバンテージを還元することでコストの重さ自体もある程度緩和できます。

「火水」という組み合わせのメリットとして、【10-119R】《フェレーナ》+【12-008R】《ゴブリンプリンセス》のバックアップパッケージからスペシャルアビリティの弾となる【7-127L】《ユウナ》をサーチできるため、実質0コストでバックアップを展開しつつ除去につなげることができます。

 また【20-117L】《ユウナ》を採用する過程で【11-108C】《エーコ》からのサーチ先として採用した【16-133S】《ブラスカ》も、小型のフォワードが並ぶ「火氷水【騎士】」に対してかなり有効でした。


上記の「火氷水【騎士】」に対するデッキの強みは「秘められた希望」環境で活躍している「氷雷」に対しても有効です。
このマッチアップに関しては特に【16-133S】《ブラスカ》が有効で、早い段階で【18-019R】《ヴァイス》を対処できるというのが魅力的です。

一見、「氷雷」に対してコスト2以下のフォワードを出す行為は【22-120H】《クラウド》の的になるリスクのある行動にも感じられますが、【12-002H】《アマテラス》と【18-096C】《リヴァイアサン》でオートアビリティを手厚く対策できるため、結果的により相手を追い込めるのが強力です。

バックアップ展開を前提とするデッキに対しては、【15-005R】《ガイ》→【15-019C】《ヨーゼフ》を絡め早期に【18-130L】《フリオニール》につなぐ【ジョブ(反乱軍)】を軸としたプランが有効です。

1ターン目のバックアップ2枚展開から2ターン目に【15-005R】《ガイ》+【15-019C】《ヨーゼフ》+【22-123R】《レオ》とつなぎ、3ターン目に【18-130L】《フリオニール》をキャストする展開を目指します。3ターン目にさらに奇数のバックアップを追加できれば、返しのターンに【12-002H】《アマテラス》などを構えつつ4ターン目には【22-122L】《ティーダ》の展開を狙うことができます。このプランは大会中に「風水」との戦いで発見したものでしたが、「火風土水【光の戦士】」に対しても有効ではないかとにらんでいます。


  

付け焼き刃の構築ながらデッキのポテンシャルの高さを感じられる要素が多く、「Standard Championship 2024」の前にこのデッキに気付いていればと思わせるだけのデッキでした。

最後に大会を通じて感じたデッキの反省点をまとめていこうと思います。
もしこの記事で「火水【召喚士】」に興味を持ってくれた方がいれば、ぜひ今後の研究に役立ててください。

まずバックアップの構成についてです。
基本的にこのデッキは、EXバーストの比率を高めることを意識してカードを採用してきました。例外として【4-138R】《メルウィブ》は【22-098H】《セイレーン [V]》をサーチする意図で採用していましたが、実際にデッキを回してみると積極的に【22-098H】《セイレーン [V]》をキャストしたいタイミングが少なかったため、【4-138R】《メルウィブ》自体も優先度が低く感じました。


この点を考慮するのであれば、このスロットは【15-005R】《ガイ》をサーチできてデッキの再現性を高められる【21-115C】《ラーサー》か、EXバーストを持ちデッキコンセプトに沿う【21-119H】《レナ》がよさそうです。
特に「火水」という組み合わせはブレイクゾーンからフォワードを回収できる手段が少なく、序盤にコストとして切った【18-130L】《フリオニール》を使いまわしたいシーンが少なくありませんでした。

これに付随して【22-098H】《セイレーン [V]》は、よりデッキに合う選択肢があったのではないかと考えています。
思いつく範囲では、2枚目の【15-005R】《ガイ》を採用するのがよかったかもしれません。【7-127L】《ユウナ》の回収がしにくい展開も多かったため、純粋に召喚獣を増やすというのもひとつの手だったと思います。採用するカードはメタゲームに合わせて検討できますが、盤面の解決能力が高い【12-005C】《イフリート》は増枠してもよかったのではないかと感じました。


LBデッキについては詳細に検討していないので現時点での変更点はないですが、最速で【22-122L】《ティーダ》をキャストする場合、【22-123R】《レオ》を必ず経由するため、今後【22-122L】《ティーダ》を増枠する必要はありません。大会
を通して見てもLBデッキを使い切ることはなかったので、このスロットは今後に期待といったところです。  

少し気の早い話ではありますが、「秘められた試練」で登場する【23-129H】《ルナフレーナ》はEXバーストにフォーカスしたデッキコンセプトともマッチしており、ぜひ採用したいカードだと考えています。

◆おわりに
今回は「OSAKA CUP 2024」で僕が使用し、全勝を果たした「火水【召喚士】」について語ってきました。
アイディアを即興で形にした、いわゆる“降ってきた”タイプのデッキでしたが、かなりのポテンシャルを感じることができ、今後より研究を進めたいデッキができました。
積み上げてきた調整の末のデッキ選択ももちろん重要ですが、自分の直感をすぐ形にすることで勝利を得られることもあるかもしれませんね!

といったところで今回はここまで。
次回は「Standard Championship 2024」でみごと優勝を果たし、初の「世界選手権2024」行きを決めた豊田ファイサリスさんへのインタビューをお届けしたいと思います。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!