『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週はライターのたるほさんが「光の使者」環境で愛用している「水風【FFX】」デッキについて語ります。
◆はじめに
みなさん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
「MASTERS2021」は今週末の「FINAL」と「THE AFTER」を残すのみ、「第四期名人戦」もいまは中休みの時期となっており「光の使者」環境もひと段落といったところでしょうか。
今シーズンは毎週のように「MASTERS 2021」や「第四期名人戦」に参加し、さまざまなデッキと対戦する機会に恵まれました。また、この連載でお届けしているインタビュー記事でも、いろいろなプレイヤーさんの発想やアイディアに触れ、とても『FFTCG』へのモチベーションが上がっています。
そうなると、自然とある欲求がむくむくと首をもたげてきます。
「僕だって、おすすめのデッキをみんなに紹介したいぞ!!」と。
そこで、今回は「光の使者」環境で僕が愛用している「水風【FFX】」デッキを紹介したいと思います。
久しぶりの「たるほの隙あらばデッキ語り」、余すところなく語り尽くしていきます!
◆たるほ謹製。カスタムスターター改良「水風【FFX】」
今回語る「水風【FFX】」デッキは、「カスタムスターターセットFINAL FANTASY X」をベースに、独自のカスタマイズを加えたデッキです。
軸になっているのがスターターセットなので、ビギナーの方にも組みやすいのではないでしょうか。そういった点もおすすめポイントです。
まずはデッキリストを紹介しましょう。
●デッキリスト:「水風【FFX】」(フォーマット:スタンダード)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(29枚) | ||
【16-139S】 | 《ティーダ》 | 3 |
【16-138S】 | 《ワッカ》 | 3 |
【16-137S】 | 《リュック》 | 2 |
【16-136S】 | 《アーロン》 | 3 |
【14-102L】 | 《海神リヴァイアサン》 | 2 |
【14-108H】 | 《ジェクト》 | 3 |
【16-124H】 | 《ライトニング》 | 3 |
【16-135S】 | 《ルールー》 | 3 |
【16-134S】 | 《ユウナ》 | 3 |
【14-045H】 | 《シン》 | 2 |
【2-063R】 | 《パイン》 | 1 |
【14-126C】 | 《エアリス》 | 1 |
バックアップ(16枚) | ||
【4-138R】 | 《メルウィブ》 | 3 |
【13-093H】 | 《サラ》 | 3 |
【16-110C】 | 《クラヴァット》 | 1 |
【1-197S】 | 《アニキ》 | 3 |
【8-058R】 | 《ノルシュターレン》 | 2 |
【11-056R】 | 《フィオナ》 | 1 |
【12-038H】 | 《アルテア》 | 2 |
【11-128H】 | 《セーラ姫》 | 1 |
召喚獣(5枚) | ||
【10-055H】 | 《チョコボ》 | 2 |
【14-113R】 | 《リヴァイアサン》 | 3 |
デッキのメインとなるフォワードは、原作『FINAL FANTASY X』のパーティーメンバーを中心とした【カテゴリ(X)】のキャラクターたちです。
『FFX』の主人公は《ティーダ》なので、当然このデッキの主役も【16-139S】《ティーダ》となっています。
【16-139S】《ティーダ》はフィールドに出たとき【カード名(ジェクト)】か【カード名(ユウナ)】か【カード名(ワッカ)】をサーチするアビリティと、アタックしたとき自分のフォワードのパワーを+2000するアビリティを持ち、展開力と突破力を兼ね備えたまさに主人公と言えるカード。それに加えてキャストするためのコストが【カテゴリ(X)】のフォワード1体につき1減るというアビリティも持っており、これによりコストを支払わずに展開しつつカードをサーチするという、これまでにない動きが可能です。
このデッキでは【16-139S】《ティーダ》を軸にした2つのコンボで戦っていくことになります。
1つ目が、【16-138S】《ワッカ》とのコンボです。
【16-138S】《ワッカ》はデッキの除去の要となるカードで、スペシャルアビリティ「オーラカスピリッツ」は、フォワードのアビリティを消してからブレイクする、非常に強力な除去効果を持っています。
さらに【16-138S】《ワッカ》は自身か【カテゴリ(X)】のフォワードが出るたびリールカウンターを獲得し、このリールカウンターを3つ取り除くことで、コストを支払わず「オーラカスピリッツ」を使用することができます。
このデッキでは【カテゴリ(X)】のフォワードの展開が【16-139S】《ティーダ》のコスト軽減と【16-138S】《ワッカ》のリールカウンターにつながるため、いかに【カテゴリ(X)】のフォワードを大量展開できるかが重要になってきます。
そこで、いくつかの展開パターンについて触れておきましょう。
パターン①:【16-138S】《ワッカ》+【16-134S】《ユウナ》+【16-136S】《アーロン》
もっともポピュラーなのがこの組み合わせです。
【16-134S】《ユウナ》はブレイクゾーンからコスト2以下の【ジョブ(ガード)】のキャラクターをフィールドに出すアビリティを持っているため、【16-136S】《アーロン》を出してリールカウンター2つ分貯めることができるのはもちろん、ブレイクされてしまった【16-138S】《ワッカ》を復活させる役割も持っています。
【16-136S】《アーロン》は【16-138S】《ワッカ》を除去から守れるので、除去する対象がいない場面でもとりあえず出してリールカウンターを貯めておき、相手にプレッシャーをかけるなど、持っているテキスト以上に役割があるカードです。
【カテゴリ(X)】のフォワードが3体並ぶので、そのまま【16-139S】《ティーダ》まで展開できる黄金パターンでもあり、ゲームの立ち上がりから最終局面まで何度も狙っていきたい、このデッキの基本となる動きです。
すべて偶数コストのカードなので、バックアップの展開に左右されず狙えるのも、この動きが強力であるポイントです。
パターン②:【16-138S】《ワッカ》+【16-135S】《ルールー》or【2-063R】《パイン》or【16-139S】《ティーダ》のうち2種
こちらは主に【16-136S】《アーロン》を引けなかったときに狙っていく流れとなります。
【2-063R】《パイン》で後続となる【16-134S】《ユウナ》をサーチしつつ、その【16-134S】《ユウナ》を【16-135S】《ルールー》のコストにすることですぐ回収できるため、コスト面ではパターン①と同じ効率で動けますが、奇数コストのカードを2枚使う都合上バックアップが2枚必要になり、また先攻では手札が足りないことから積極的に狙いにくいという難点があります。
パターン③:【16-138S】《ワッカ》+【16-139S】《ティーダ》(+【16-136S】《アーロン》)
パターン③は主にバックアップが1枚しか準備できなかったときに狙っていく動きとなります。
コストパフォーマンスの面では上記2パターンと大きく差が開いてしまうものの、序盤から「オーラカスピリッツ」を狙えることで、相手の展開を抑制しながら動けるため、事故気味の展開の際はこのパターンを狙っていくことが多いです。
【16-136S】《アーロン》がなければ【16-139S】《ティーダ》から【16-138S】《ワッカ》をサーチし、【16-136S】《アーロン》があればリールカウンターを貯めながら「オーラカスピリッツ」を狙っていきましょう。
初手の状況と相談しながらいずれかのパターンを狙っていくのが立ち上がりに際しての主なプランになります。
【16-139S】《ティーダ》を軸にしたコンボの2つ目が、【14-108H】《ジェクト》とのコンボです。
【14-108H】《ジェクト》の持つスペシャルアビリティ「ジェクトブロック」は、好きな数の召喚獣かオートアビリティかアクションアビリティかスペシャルアビリティの効果を無効にする高いカウンター性能を持っていて、同時に複数の効果を無効にできるので、流行りの【14-116H】《マシュリー》や【13-002L】《アクスター》といったカードに対しても強く、相手のあらゆる逆転手段を封じることができます。
【16-138S】《ワッカ》と違い、きちんと【カード名(ジェクト)】をコストにしなければならないので、一見すると使いにくそうな印象も受けますが、【16-139S】《ティーダ》でサーチできるので見た目以上に狙いやすいアビリティです。
そしてこのコンボの優れているポイントが、【14-108H】《ジェクト》の「フィールドに出たとき、フォワード1体を選ぶ。このターン、フォワードが1体以上アタックしていた場合、それを手札に戻す。3体以上アタックしていた場合、代わりにそれをブレイクし、カードを1枚引く。」というオートアビリティ。
通常は相手のフォワードを対処するために使われることが多いこのアビリティですが、自分の【16-139S】《ティーダ》を手札に戻し、それを再展開することで、【14-108H】《ジェクト》を出しつつ「ジェクトブロック」のコストとなる【14-108H】《ジェクト》をサーチするというアクションが可能になります。
【16-139S】《ティーダ》のコストは軽減されているので出しなおすことでリソースが失われることもなく、フィールドに【16-138S】《ワッカ》がいればリールカウンターをさらに稼げる点でもデッキとの相性は抜群です。
除去が強いデッキに対しては【16-139S】《ティーダ》+【14-108H】《ジェクト》のプランからゲームをさせることで、【16-134S】《ユウナ》を対策してくる【12-002H】《アマテラス》や【9-068H】《ドラゴン》をケアしつつ立ち回れるなど、本命となる【16-138S】《ワッカ》とのコンボを通すうえでも重要な動きとなります。
また、最終盤面で【16-136S】《アーロン》とセットでそろうと、避雷針にした【16-136S】《アーロン》を「ジェクトブロック」で守り、相手の二の矢三の矢を防ぐという強固な守りを実現します。
この2つのコンボを中心に、相手に応じて展開をしていくのがこのデッキの主な戦い方となります。
◆「水風【FFX】」の立ち上がりとプレイング
それでは、ここから実際に対戦する際に意識しているポイントについてもお話ししていきたいと思います。
先ほど、デッキの狙う動きをいくつかのパターンで紹介しましたが、これらの動きの多くはバックアップが2枚以上あると動かしやすくなるため、まず引き直しの基準はバックアップを2枚展開できることです。
【13-093H】《サラ》や【8-058R】《ノルシュターレン》など、バックアップをサーチできるバックアップがあればそれでも及第点ですが、このデッキはフォワードを並べる必要があるのでバックアップだけでなく【16-139S】《ティーダ》、【16-138S】《ワッカ》、【16-134S】《ユウナ》、【16-136S】《アーロン》のどれかは1枚以上セットで持っていたいところです。
ベストを求めるのであれば【4-138R】《メルウィブ》+【1-197S】《アニキ》+上記4種のフォワードいずれかというキープができると最高ですね。
【13-093H】《サラ》からスタートする際は、サーチするバックアップも意識しておきたいです。
基本的に【11-128H】《セーラ姫》をサーチすることが多くなるのですが、相手が先攻の場合は1ターン目に出してきたカードを確認し、ロングゲームになりそうな場合は【12-038H】《アルテア》のサーチも視野に入れておきましょう。
キャラクターを手札に戻すアビリティで【16-139S】《ティーダ》や(ダメージを5点以上受けているときに)【16-134S】《ユウナ》を使いまわすことで、一気にゲーム展開を逆転することができます。
続いてフォワードの展開について、このデッキでは【16-138S】《ワッカ》+【16-134S】《ユウナ》+【16-136S】《アーロン》の展開を基本にすると話しましたが、雷属性などを相手にするときは例外的に注意が必要です。
雷属性はコストが低いフォワードに対する除去手段が豊富で、現在は「火単【ブラスカ】」を意識したデッキでそういったカードが使われていることが多いです。
【16-138S】《ワッカ》や【16-136S】《アーロン》は【16-133S】《ブラスカ》同様コスト2のフォワードなので、対策カードの影響もそのまま受けてしまいます。
こうしたデッキ相手には【16-139S】《ティーダ》+【14-108H】《ジェクト》の展開を意識しつつ、【16-137S】《リュック》を通していくのが有効です。
【16-137S】《リュック》はコストこそ重めですが、【16-134S】《ユウナ》がいる状態でアタックできればコスト以上のリターンを得ることができるカードです。
雷属性に対して除去されにくく、【14-108H】《ジェクト》と【16-136S】《アーロン》で守りながら使うことで、ほかのデッキに対しても隙を見せずに使うことができます。
特に最近はEXバーストを増量したデッキが増えているので、そういったデッキに対してEXバーストを使わせないというのは大きな強みになります。
◆デッキの強みを引き出す助っ人たち
ここまでは、デッキの【カテゴリ(X)】の要素について触れてきました。
続いては『FFX』以外からデッキに採用している、助っ人と言えるカードについても語っていきたいと思います。
コストは重いものの破格のアビリティを持つ、強力な水属性のフィニッシャー。
基本的に除去は【16-138S】《ワッカ》で事足りているものの、「風単【デブチョコボ】」などで遭遇する【16-051L】《セシル》+【15-045H】《エッジ》の盤面を切り返すために採用しています。
また、最近見かけることが多くなった【16-126R】《レオ》デッキに対してもコスト帯の異なるキャラクターをバウンスしてしまうことで【16-126R】《レオ》の展開を遅れさせることができるなど、有効なシチュエーションが増えた印象もあります。
【14-108H】《ジェクト》とセットで使っても相性がいいので、重宝しているカードです。
【14-102L】《海神リヴァイアサン》と同じく【16-051L】《セシル》+【15-045H】《エッジ》への回答となるカードです。
EXバーストが強力なのはもちろん、このデッキはスペシャルアビリティを多用するので、水属性のキャラクター回収が役立つ場面が多く、普通にキャストして使う機会も多くなっています。
【16-135S】《ルールー》で回収もできるので、「ジェクトブロック」を何度も使って戦いましょう。
【14-126C】《エアリス》はもともと【4-138R】《メルウィブ》でサーチできる風属性のカードとして採用しましたが、フィールドのフォワードを使いまわす働きが非常に優秀で使い勝手のいい、いぶし銀な1枚です。
【12-038H】《アルテア》同様、【16-139S】《ティーダ》や【16-134S】《ユウナ》を使いまわすことが多いですが、水属性であることで【14-113R】《リヴァイアサン》による回収の選択肢になるなど、かゆいところに手が届く影のフェイバリットカードです。
このほかにも【16-124H】《ライトニング》は、展開力が高い「風単【デブチョコボ】」などを意識して採用しています。
これらのスロットは環境や好みに応じて自由に入れ替えられるところなので、メタゲームを意識して調整していくといいでしょう。
◆おわりに
今回は僕、たるほ謹製の「水風【FFX】」を紹介いたしました。
「カスタムスターターセットFINAL FANTASY X」をもとに作ったデッキですが、我ながら渾身の出来だと感じるデッキになりました。
採用されているカードは直近のブースターパックの新カードや「カスタムスターターセットFINAL FANTASY X」、「アニバーサリーコレクションセット2022」で採録されているカードが中心のため、最近『FFTCG』を始めたり、復帰された方にも作りやすくおすすめのものとなっています。
長い時間をかけて調整していくことで、カード1枚1枚のシナジーにも高いメッセージ性を感じることができる、やりこみがいのあるデッキなので、皆さんもぜひ調整してみてはいかがでしょうか?
現在発売中の「アニバーサリーコレクションセット2022」や、7月15日(金)発売の「対戦デッキ スターターセット ゴルベーザ対セシル」の構築済みデッキからスタートして調整をやりこんでみるのも楽しいかもしれません。
さて、いよいよ今週末は「MASTERS 2021 FINAL」「MASTERS 2021 THE AFTER」が開催されます。
僕もこの「水風【FFX】」やそれとともに調整を重ねてきたデッキで、強豪プレイヤーに挑もうと思いますので、ぜひ応援よろしくお願いします。
こちらの大会のインタビューも皆さまにお届けしたいと思いますので、あわせて楽しみにしていてくださいね。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!