木谷社長に聞く!「ブシロードTCG戦略発表会2024 秋」とその後について

 

9月23日に開催された「ブシロードTCG戦略発表会2024 秋」について、発表会の後日にブシロード・木谷社長へインタビューを行なった。
発表会内容の振り返りや今後の動きなど、さまざまな話がうかがえたインタビューの模様をお届けしていく。

▲「ブシロードTCG戦略発表会2024 秋」配信アーカイブ

◆「ブシロードTCG戦略発表会2024 秋」を振り返ってみて

───今回も、先日の「ブシロードTCG戦略発表会」で発表された内容を中心にお話を伺っていければと思います。
まずは今回の戦略発表会を振り返ってみて、点数をつけるとしたら何点くらいでしょうか?

木谷高明社長(以下「木谷」):難しいですね。今回は85点くらいかな。もう少しアクセス数が欲しいところでした。

───今発表会の同時接続数は、最高6000くらいでしたよね。

木谷:そうですね。良かったところは、同接数がそれほど下がらずに安定した数字だったということでしょうか。発表内容については、『カードファイト!! ヴァンガード』『ヴァイスシュヴァルツ』が良かったと思います。

───今回『ヴァイスシュヴァルツ』『五等分の花嫁 カードゲーム』はパックに封入する形で、『Shadowverse EVOLVE』にはCS大会のプロモーションカードとして、シリアルナンバー入りのカードが発表されました。これまでも『ヴァイスシュヴァルツ』等で実施されてきた施策ですが、複数タイトルにわたってまとめて発表されたのが印象的でした。これはタイトルごとに施策を打ち出したなかで、たまたまタイミングが一致したのか、それとも今後はブシロードとしてこういったものを採用していこうという方針なのか、いかがでしょうか?

木谷:どちらというより、両方でしょうか。チーム間の横の連絡が密なので、どこが最初なのかはわかりませんが、ほかのブランドが採用してよかったものは、こちらのブランドでもやろうとなりやすいです。だから会社としてこうしようというより、チームとしてこうしようとやってきたことが他のチームにも広がり、結果として会社全体がやっているように見えるといった感じです。

───シリアルナンバー入りカードの施策は、やはり昨今のコレクション需要の高まりが大きな要因ととなるのでしょうか。

木谷:そうですね。ユーザーのコレクション需要には応えていきたいですし、他のメーカーさんも同様の施策で大きな盛り上がりを見せているので、こちらもやらざるを得ない部分があります(笑)。

───ユーザー目線で考えると、シリアルナンバー入りや直筆サインのカードが収録されていると、否が応でも購買意欲が高まります。どうせなら、全タイトルのブースターに入っていればいいのになと思ってしまいます……(笑)。

木谷:シリアルナンバーや直筆サインはパックに封入するにあたってクオリティ面での課題もありますし、コラボの場合はコラボ先のタイトル様との取り決めもあるので、すべてに採用するのは難しいんですよ。気持ちはわかりますけどね(笑)。

 


 

───それでは、戦略発表会で発表された内容について、いくつかのタイトルで気になった点をお伺いできればと思います。まずは『カードファイト!! ヴァンガード』以下、『ヴァンガード』)ですが、クライマックスに近づいてきたTVアニメ「カードファイト!! ヴァンガード Divinez Season2」の手応えはいかがでしょうか?

木谷:非常にいいですね。アニメきっかけで『ヴァンガード』を始める人も結構いると聞いていますし、商品展開にもうまくつながっていくと思います。

───Seazon2は運命者サイドと宿命者サイドの対決という構図がわかりやすく、物語に没入しやすかったのかなと思います。宿命者サイドの新キャラクターも魅力的で今後の活躍が気になります。

木谷:メインキャラクターが全部で10人になって、ファイトもちゃんと見せるとなると、なかなかすべてのキャラを描ききるのが難しいんですよね。

───「Dress」シリーズのキャラクターも登場していますから結構な登場人物数になりますよね。それでいてゲスト出演とかではなく、話の転換点になるキャラクターもいるのが驚きでした。

木谷:「Dress」シリーズから考えるともう7作目ですからね。せっかく積み上げた世界観ですから大事にしていきたい。来年からはデラックス編も放送されますし、1月13日の「ブシロード新春大発表会2025」では先行上映も行ないます。今後どうなっていくか楽しみにしてください。

 

───商品のほうにも触れさせていただきます。「月刊コロコロコミック」とコラボした「運命のデカ杉ベベベベブラックでんぢゃらすコロコロスタートデッキパック」が発表されましたが、カードの所属国家が専用国家の【コロコロ】だけではなく、既存の国家を持っていることに驚きました。「ぶいすぽっ!」コラボに続けての複合国家カードの収録になると思いますが、今後のコラボパックはこの形がデフォルトになっていくのでしょうか?

木谷:今のところは例外的な形になりますね。ただ、既存デッキの強化としても使えるのはユーザーにも喜ばれるでしょうし、うまくいったら今後デフォルトになる可能性もあります。ゲームバランスを見る必要もありますから、これは発売してから様子をみてといったところでしょうか。

 

───『ヴァンガード』のパートの後半では、『カードファイト!! ヴァンガード ディアデイズ2』(以下『ディアデイズ2』)についても多くの発表がありました。なかでも2011年当時のカードを使って戦う「ヴィンテージファイト」はかなりユニークですが、こちらの狙いについて教えて下さい。

木谷:『ヴァンガード』は2011年から始まってもう13年。『ディアデイズ2』発売のときには14年経つことになります。そうすると初期の頃に小学生だったユーザーはもう20歳を過ぎているわけです。初期の頃の『ヴァンガード』のユーザー数は今の7~8倍はいたと思います。その人たちに戻ってきてもらいたいという気持ちはありますけど、カードは何を買えばいいの? と思われることもあるだろうと。そこで『ディアデイズ2』が1つあれば、最新のカードと当時遊んでいたカードの両方に触れられるわけです。ですので、過去に遊ばれていた方たちに『ディアデイズ2』をきっかけに『ヴァンガード』に復活してほしいなという気持ちがひとつ。
もうひとつは今のコロコロ読者やアニメを見ている小中学生のユーザーにもむけて、昔はこんなカードが活躍していたのかと知ってもらいたいということです。『ヴァンガード』の客層の幅を広げるということが大きい狙いですね。これから『ヴァンガード』に復帰する人、ここで初めて『ヴァンガード』に触れる小さい子供たちは、まず『ディアデイズ2』を遊んで、次に実際のカードでも遊んで欲しいという意図は、前作『カードファイト!! ヴァンガード ディアデイズ』以上に強くなっています。
前作も好評で、ダウンロードコンテンツを含めて息が長いゲームとして受け入れていただけましたが、『ディアデイズ2』では前作の販売数はやっぱり越えたいですよね。カードのボリュームも3倍くらいになっているので、ぜひ期待いただければ。

 


───次は『ヴァイスシュヴァルツ』(以下『WS』)について伺わせていただきます。今回の発表で非常に印象的だったのが、商品レアリティの大幅な追加でした。これもやはりコレクション需要に対する強化なのでしょうか。

木谷:そうですね。ただ警戒しないといけないのは、レアリティの数が増えることでわかりにくくなってしまうということがあります。「これとこれ、どっちが希少なんだっけ?」と思う人も出てきたりしますし、表記とかも気をつけないといけない。「SEC+」や「RRR+」というように、既存レアリティに+(プラス)をつける表記にしたのはそういうわかりやすさも意図しているかと思います。

───ショップ大会でもらえるPRパックもリニューアルされ「PR+」という特別なレアリティのカードも極々稀に封入されることが発表されましたが、こちらはより店舗大会に力を入れていこうという現れなのでしょうか?

木谷:そうですね。どこの会社もショップ大会に力を入れていますし、ブシロードも負けていられないぞと。それにタイトル数も増えてきているので、ショップでの大会開催枠の取り合いも今はあります。ショップとしては売れているタイトルの大会は大事ですし、次に人が集まる大会も大事です。そこで人が集まれる大会にしようと、その動機となるようなプロモーションカードの施策になります。

───これまでの商品はトライアルデッキを先行して発売したり、ブースターパックと同時に発売したりといった販売方法だったと思いますが、今回発表された『ガールズバンドクライ』はプレミアムブースターが12月、トライアルデッキが翌年2月という変則的な商品スケジュールだと思いました。この意図については?

木谷:当初は1商品だけの予定でしたが、製作の過程でもっとたくさんの商品がお届けできることになり、この形になったという事情はあります。ただ、実はブースターパックの後にトライアルデッキを発売するというのは『バンドリ! ガールズバンドパーティ!」の初期の商品でもやっていたんです。ブースターパックの後にもトライアルデッキ+を各バンドごとに出していく形で、それはしっかりと売れていきました。トライアルデッキを後から出しても、今からでもそのタイトルで『WS』を始められますよということを伝えられますし、そこから発売済みのブースターパックが動くこともありますから。来年2月は『ガールズバンドクライ』とあわせて『MyGO!!!!!×Ave Mujica』も出ますし、PRカードがBOX内に相互封入されるクロスキャンペーンも実施予定ですので、同じバンドタイトルとして盛り上がってほしいですね。


───次は『プロ野球カードゲーム DREAM ORDER』(以下、『ドリームオーダー』)について伺わせていただきます。本タイトルは実際のプロ野球のシーズン等とあわせて盛り上げていきたいと以前お伺いしていましたが、プロ野球の一つの山場であるオールスターが終わり、今はクライマックスシーズンに向けての佳境を迎えています。現時点での『ドリームオーダー』の手応えはいかがでしょうか?

木谷:今も試行錯誤をしている部分がかなり多いです。一番苦労しているのは、継続して商品を買ってもらうことですね。家で遊ぶだけならスタートデッキだけでも十分遊べますから。カードゲームに触れている人は、当たり前のように新しいセットのブースターパックを買ってくれるじゃないですか。これは普通の人から見たら奇異に見えるんですよ。「なんでずっと買わなきゃいけないの?」って。普通のゲームは1回買ったら終わりじゃないですか。ブースターも第1弾を購入して満足し、大会にでないのならこれで十分と思ってしまう。そこをどうやったら継続的に商品購入に繋げられるのかと。そういった部分を解消しようと出てきたのが、今回発表した球団別のブースターパックです。球団別のパックならファンも買ってくれるだろうということですね。

───スタートデッキも「自分の好きな球団はとりあえず買っておこう」という動きはありましたからね。9月から日本選手権の予選がショップで開催され、全国大会が12月に開催されます。こちらについて気になったのですが、決勝大会がプロ野球のオフシーズンというのは狙った日程なのでしょうか?

木谷:はい。プロ野球は春キャンプまで動きが少なくなるので、そのタイミングでカードゲームから盛り上げていこうと。11月からショップで開催される中型大会「ドリームオーダープレイヤーズチャレンジ」も始まりますので、競技的にも楽しんでもらえるかと思います。

───野球ファンにとっては1年中楽しめる粋な施策ですね! 一方で気になってしまうのがお話に出た球団ブースターです。来年1月には「阪神タイガース」と「読売ジャイアンツ」の球団ブースターが発売されますが、プレイヤーズチャレンジのシーズン中で景品が配布されるなか、阪神と巨人の強化だけが確約されているのは不安なプレイヤーも多いかと思うのですが……。

木谷:球団ブースターについてはしばらくの間は毎月発売していきます。阪神と巨人だけでのなく、ほかの球団のブースターも今後発売していきますので、安心してください!

───ありがとうございます。「侍ジャパンブースター」についても発表がありましたが、やはり気になるのはどの時代の選手が収録されるのか、メジャー選手が収録されるのかというところですが、いかがでしょうか。とりわけ大谷選手の収録には期待が集まっているかと思います。

木谷:こちらについてはまだ詳細はお伝えできないのですが、大谷選手については「可能性はある」くらいの温度感で考えていただければ。それが侍ジャパンブースターなのか、球団ブースターのOBとして収録されるのかはわかりませんが(笑)。侍ジャパンブースターは来年前半に発売を予定していますので、続報にご期待ください。

 


───ありがとうございます。続いて新規タイトル『ラブライブ!シリーズ オフィシャルカードゲーム』についてお伺いします。まずは『ラブライブ!シリーズ』を単独タイトルのカードゲームとして出す目的について教えて下さい。

木谷:ここ最近、単独タイトルのカードゲームが続いていますよね。『hololive OFFICIAL CARD GAME』は弊社が販売・運営協力をしていますし、10月18日には『五等分の花嫁 カードゲーム』が発売されます。こちらについては、原作の春場ねぎ先生のカードゲーム化への思いが非常に強いことも発表会等でみなさんに伝わっていると思います。
『ラブライブ!シリーズ』のカードゲーム化については、メンバーやユニット数が揃っていて、かなりたくさんのキャラクターがいます。そこまでキャラクターの数がいるとなると、単独のカードゲームとして成り立つのではと思ったことがひとつです。「ラブライブ!シリーズ」はライブを中心としたイベントに非常に力を入れていて、現在アジアツアーも行なわれていますし、ライブの年間公演数は40を超えるくらいにはなっています。そのなかでライブイベントとミックスされたカードゲーム展開ができると考えたんです。

───今は配信という選択肢も増えてきましたが、現地に赴いてイベントに参加するという点ではカードゲームと通ずる部分はありますしね。
発表会では、「みんなでつくるカードゲーム」というコンセプトが発表され、収録メンバー等のこれからのカードゲームの方向性についても今後アンケートを行なっていくというお話でした。このコンセプトは、『ラブライブ!シリーズ』のカードゲームであるということから生まれたのか、それともこういうコンセプトから『ラブライブ!シリーズ』を題材に選んだのか、どちらが先だったのでしょうか。

木谷:「みんなでつくる」というコンセプトは、『ラブライブ!シリーズ』初期からシリーズの根底にあるコンセプトです。ゲームとしてはこのコンセプトをカードゲームでも活かそうと思います。みなさんの意見を伺うためにも、体験会なども早めにやると思います。生配信を10月に予定しているので、その後商品について順次公開されると思いますし、体験会や講習会も控えているので、随時いろいろと情報が公開されていくかと思います。


───タイトル別のお話にも挙がった、来年1月13日に開催される、新春大発表会2025についてお伺いします。壇上のコメントでは、ロゴの仮面について社内では絶対に入れたいという話があったとのことでしたが……。

木谷:新春っぽくないですし、夜のようなイメージですよね(笑)。ただ、1月には「BanG Dream! Ave Mujica」のアニメが始まるので、こちらを推していることが伝わるのかなと。ただ、『ヴァンガード』のアニメ新シリーズも始まるのに、こんなに「Ave Mujica」推しでいいのかという気持ちもありました(笑)。

───発表会のスライドの中には、「新規タイトル発表」ということが記載されていましたが、こちらは完全新規タイトルという認識でいいのでしょうか?

木谷:はい。現時点ではまだ何も明かせませんが……。

───完全新規のタイトルということがわかっただけでも、ワクワクするユーザーは多いかと思いますし、編集部としても期待しています。また、新春発表会2025はこれまでとは代わり、お土産付きの有料イベント(1000円)になりましたが、その理由は?

木谷:イベント参加費をつけないと、参加キャンセルする人が3~4割くらいになってしまうからです。1000円でも払うとイベントを意識するのでキャンセルが少なくなります。ただ、入場料を取るぶんはしっかりとお土産は用意しようと。

───なるほど。ちなみにおみやげの中身はもう決まっているんでしょうか? 「Ave Mujica」つながりで紙製の仮面とか……?

木谷:まだ検討中ですが、仮面は本当に付けるかもしれません(笑)。

───イベント自体は配信もされるので、個人的には現地にまで行きイベントに参加した人にはほかにもプラスになる情報等があるとうれしいのかなと思うのですが、そういう面でのお土産は予定されているのでしょうか。

木谷:情報で得をするということは難しいですけど、「Ave Mujica」や「ヴァンガード」の先行上映については現地参加した人のみが見られる内容となっているので、そちらが気になる人にはプラスになるかと思います。それと新春発表会は時間が長いんですよ。大体5時間半くらい。本当に長い(笑)。そのぶんコンテンツをたくさん見られるし、ゲストの数も多いので楽しんでもらえるとうれしいですね。

───1000円で5時間半ステージが楽しめるとなるとお得に聞こえてきますね。

木谷:発表も多いですけど、ライブ有り、先行上映あり、パフォーマンスありとエンタメ性を伴う内容にする予定ですので、ぜひ参加してください!


───続いて、来年5月3日(土・祝)・4日(日)に開催される「カードゲーム祭2025」ですが、こちらは前回のイベントでかなり反響を呼んだ過去タイトルの大会は今回も実施されるのでしょうか?

木谷:今回は実施予定はありません。その理由は新規タイトルがすごく増えたからです。新規タイトルをやりつつ過去のタイトルまでイベントをやったらさすがに収拾がつかないだろうと。

───前回は『フューチャーカード バディファイト』(以下『バディファイト』)だけでもかなりのユーザーが集まりましたからね。

木谷:『バディファイト』は非常に好評でしたね。ユーザーも集まってくれましたし、同時期に受注販売した「フューチャーカード バディファイト 10th ANNIVERSARY カードセット」もよく売れていました。今回は実施しませんが、今後のカードゲーム祭ではこういった過去タイトルの盛り上がりにもまた応えられるといいですね。

───発表会ではアナログゲームブースの出展社の募集も告知されましたが、出展社数は前回よりも多くなる見込みでしょうか?

木谷:10月1日から募集を始めたばかりなのでまだわかりませんが、おそらく多くなる見込みです。今年のイベントでは結構人は集まっていましたし、どのブースにも人はちゃんと来ていたので、前回出展いただいた企業は基本的に出ていただけるのではないでしょうか。そちらに加えて、オリジナルのサプライを作っているメーカーさんの出展にも期待していますし、カードゲームと相性のよさそうなアナログゲームというのもいくつもあるので、そういうゲームを出されているメーカーさんが出展してくれるとうれしいですね。

───個人のアナログゲームサークルさんなどは「ゲームマーケット」など大型イベントはあるものの、販売タイミングが限られている現状があると思います。そういった方へ向けた個人出展の可能性はいかがでしょうか。

木谷:そうですね。今回は企業向けに募集となりますけど、要望があれば次回は個人でも出展できるかの検討はすべきでしょうね。

───戦略発表会についての質問は以上となりますが、せっかくなので他にもお話を伺えればと思います。まずはTCGステーションが今年いっぱいでサービスを終了されるとのことですが、こちらの理由について教えて下さい。

木谷:「役目を終えた」という認識です。過去には金銀・ゲットトレジャーキャンペーンなどの景品交換場所としても利用いただいていましたが、2024年12月末にサポートが終了になります。初心者講習もタイトルごとに精力的に実施しています。TCGステーションで担えるサービスが、ほかの部分で充分にお届けできるようになったと考えていただければと思います。

 

◆2025年のカードゲーム業界をどう見ているのか?

───最後に、御社も販売・運営協力をされている『hololive OFFICIAL CARD GAME』の発売や、『ディズニー・ロルカナ・トレーディングカードゲーム』の日本語版が2025年1月にタカラトミーさんから発売される発表があるなど、夏期だけでもカードゲーム業界に大きな変化があったのかなと思います。現在のカードゲーム業界について、木谷社長の視点から所感をお聞かせください。

木谷:どこまで新しいカードゲームが出るかというのはわかりませんが、出したいという会社はまだまだかなり多くあると思います。もちろん、途中で企画が止まるのも多いですし、企画段階にすらいかないというのも多いです。実際に手掛けたところは実感していると思いますけど、カードゲームは定着させるのはかなり難しいことじゃないですか。でも新規参入しようとする会社は、紙だからとなめてかかってくるところが多くあります。それで実際にやろうとしたら、「こんなに難しいんですか」と撤退してしまう。そういうところも多いと思いますが、カードゲーム自体の数はこれからも増える傾向になると思います。
今は20歳以下のカードゲーム人口がかなり減ってきていて、そこに危機感はあります。そこの層を狙うより、昔カードゲームを遊んでいた人たちを狙ったカードゲームというのは出てくるでしょうけど、日本でしか展開できないものはいずれダメになってくると思います。弊社も進めていますけど、カードゲームのグローバル化というのはどんどん進んでいきますよ。

───なるほど。そちらをふまえて、今後の動向や木谷社長の想いなどあればお聞かせください。

木谷:今は『ポケモンカードゲーム』がどこでも買える状況になっています。確かに売れてはいますが、ショップとしては置いておけば売れたというタイトルが1つなくなるわけなので、お店の経営環境は若干厳しくなるのかなと思います。一方で、新規カードゲームが増えるからといって、既存のタイトルの売上がどんどん落ちるということもあるわけではないので、マーケットとしては微増で伸びていくと思います。また、ショップや売り場が増えているので、カードゲームで飯を食べている人がまだまだ増えています。そして、これで飯を食べる人が増えていけば、カードゲームを勧める人も増えていくわけです。だから業界としては今後も伸びしろはあると思います。
ブシロードとしては、他社さんが大きな動きをしているので、私たちも負けずにしっかりと頑張っていきたいですね。グローバル化もありますが、まずは国内での順位を上げていこうと思います。

───来年発表の新規タイトルにも期待しています。本日はありがとうございました!