【FFTCG】「MASTERS2024 FINAL」に向けて2デッキ制スタンダードを考える!~前編~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は来たる「MASTERS2024 FINAL」に向けて2デッキ制スタンダードについて考察します。

◆はじめに
みなさん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

先日「MASTERS 2024」最後の予選大会である東京大会が開催され、4月から約半年間・全国27会場にわたって行われてきた予選大会が幕を閉じました。
10月19日(土)・20日(日)に『ファイナルファンタジー』の聖地、スクウェア・エニックス本社で行われる「MASTERS 2024 FINAL」では全国の予選を勝ち抜いてきた80名の強豪が、“日本一”の称号と「世界選手権 2024」の参加権利8枠を懸け激突します。

そんな「MASTERS 2024 FINAL」のような決勝大会の大会フォーマットは、通例として2デッキ制が取られてきました。
今年度はスタンダードのデッキを2つ使用する2デッキ制のスタンダードでの開催となります。

また、1日目の上位16名で行われる決勝ラウンドでは、一度負けてもルーザーズトーナメントに移動して優勝を目指せるダブルエリミネーション方式が導入され、“日本一”への道のりはこれまで以上に過酷になると予想されます。

今回から2週にわたっては大会に先立ち、「MASTERS 2024 FINAL」の大会フォーマットについて考察し、各プレイヤーがどのような作戦をもとに大会に挑むのかを予想していきたいと思います。

 


◆「MASTERS 2024 FINAL」のルールをおさらい
あらためて「MASTERS 2024 FINAL」の大会フォーマットについて確認していきましょう。

今大会で用いられるフォーマットは、スタンダードのデッキを2つ用意して戦う「2デッキスタンダード」です。
基本的な構築ルールはスタンダードに準拠しますが、同じカードNoのカードはいずれか一方のデッキにしか入れることができません。これはメインデッキに加えLBデッキでも同様です。

1日目の予選ラウンドはスイスドロー8回戦、1本先取制の制限時間30分で行われ、デッキAを1~4回戦で、デッキBを5~8回戦で使用します。
最終戦終了時点の上位16名が2日目に行われる決勝ラウンドに進出します。

決勝ラウンドは【ウィナーズトーナメント】と、その敗退者が入っていく【ルーザーズトーナメント】で構成され、各トーナメントの優勝者が【グランドファイナル】で戦います。
ウィナーズトーナメントは、対戦時間30分の3本制(2本先取)です。使用するデッキはA・Bどちらかを選択できます。ただし、ゲームに勝利したデッキは、そのマッチでは使用することができなくなります(勝ち上がるには両方のデッキで1勝ずつが必要です)。1ゲーム目の先攻/後攻の選択権は、予選ラウンドの順位が上位だったプレイヤーが獲得し、23ゲーム目の選択権は、直前のゲームで負けたプレイヤーが獲得します。

ルーザーズトーナメントは対戦時間30分の1本制のトーナメントです。使用するデッキはA・Bどちらかを選択でき、先攻/後攻の選択権は予選ラウンドの順位が上位だったプレイヤーが獲得します。

グランドファイナルは、ウィナーズトーナメントと同じルールの3本制で行い、ウィナーズトーナメント側の優勝者が勝利した場合はそのプレイヤーの優勝、ルーザーズトーナメント側の優勝者が勝利した場合は、1本制での優勝者決定プレーオフが行なわれます。

また「世界選手権 2024」の出場権はベスト8(ウィナーズトーナメント準々決勝への進出者4名と、ルーザーズトーナメント2回戦の勝者4名)が獲得します。

大雑把にまとめると、「MASTERS 2024 FINAL」は決勝ラウンドで一敗してしまっても優勝の可能性を残す大会フォーマットが採用されているため、普段のトーナメント以上に実力が試される大会であると言えるでしょう。海外の『FFTCG』のトーナメントシーンではポピュラーな大会フォーマットですが、日本では初の導入となるため、僕も含めほとんどのプレイヤーにとって新鮮な大会となりそうですが、「MASTERS 2024 FINAL」では以上の点を踏まえて使用するデッキを決定する必要があります。

 


◆デッキ選択のポイントは?
では、「MASTERS 2024 FINAL」ではどういったデッキ選択が求められてくるのでしょうか?

2デッキ制という大会フォーマットの最大の特徴は、「同じカードNoのカードはいずれか一方のデッキにしか入れることができない」というルールです。
汎用性が高いカードやサーチ能力を持つカード、メタゲームで有用なカウンターカードは、同じ属性のデッキではデッキタイプを問わず採用率が高くなりますが、しかし同じカードの重複採用が許されない2デッキ制のトーナメントでは、キーカードが重複するデッキはそもそも両立できず、少し被るだけでもデッキポテンシャルを落とすことを求められます。

例年のトーナメントでは、【12-002H】《アマテラス》や【9-068H】《ドラゴン》といった汎用性の高いカウンターカードをどちらのデッキで採用するかの判断や、【19-128L】《ウォーリアオブライト》のように多属性の強力なフィニッシャーを採用すると、もう片方のデッキ構築が難しくなりやすいことなどが懸念材料でした。

この課題を解決するセオリーは、2つのデッキで使用する属性を重複させないことだったのですが、現在の『FFTCG』はカードプールの広がりとともに多くのデッキが多属性化を進めた結果、より多くのデッキにおいて共通のキーカードが採用されるようになったため、デッキのポテンシャルを維持しながらカードプールを食い合わない2デッキを準備するというのが、多くのプレイヤーの頭を悩ませる要因となるでしょう。

さらに現在はメインデッキだけでなく「秘められた希望」から登場したLBカードが存在します。キャストのためのCPさえ出せればデッキのコンセプトに関係なく採用するべき汎用性を持つカードなため、これまで以上に2デッキ間の属性が重複することのデメリットは大きくなったと言えるでしょう。

では、具体的に現在の「秘められた試練」環境ではどういったカードが2デッキスタンダードのデッキ構築を行ううえでの課題となるのでしょうか? ここからは実際にいくつかのカードに焦点を当て、構築の課題について話していきましょう。


【19-128L】《ウォーリアオブライト》  

  現在の『FFTCG』を象徴するカードの1枚と言えるのが【19-128L】《ウォーリアオブライト》です。「火風土水【光の戦士】」をはじめとする4属性デッキはもちろん、【6-084L】《レオ》によって単属性デッキながら通常のキャストを可能としている「土単」などさまざまな使い方が模索されており、最近では【14-023L】《ギルガメッシュ [FFBE]》とのセットでの運用もされるため、『FFTCG』をプレイしていて見ない日はないカードと言えるでしょう。  

また、その属性の優秀さから自身をキーカードとして奪い合うだけでなく、【12-002H】《アマテラス》、【9-068H】《ドラゴン》【9-114C】《不浄王キュクレイン》といった優秀なカードも同じデッキで採用されることが多いため、2デッキスタンダードにおいては相棒となるデッキの選択肢を大きく狭めてしまうカードとなります。

・採用デッキ:「火風土水【光の戦士】」「土単」「氷水カオスコンボ」など


  

【16-129L】《カオス》  

「土水カオスアーク」などに代表される【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》のコンボを搭載したデッキで活躍するカード。 
闇属性の【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》コンボは増加傾向にあった多属性デッキへのカウンターギミックとしてさまざまなデッキに出張させられることが多かったのですが、「秘められた試練」では環境の中心にいる【23-117L】《カオス》のデッキパーツとしても必須級のカードであるため、非常に重用されるカードの1枚です。

また現在主流である「土水」の組み合わせは「火風土水【光の戦士】」などともデッキパーツが重複しやすいため、このデッキを選ぶ場合「火風土水【光の戦士】」と「カオスコンボ」の2デッキをあきらめなければならないだろうという選択を迫られます。  

「MASTERS 2024 FINAL」においてはこのカードをいかに扱うかが、デッキ選択のうえでも大きな課題となることは間違いないでしょう。

採用デッキ:「土水カオスアーク」「カオスコンボ」系など


【22-123R】《レオ》  


極めて高い汎用性からもっとも多くのプレイヤーの頭を悩ませているのではないかと考えられるのが、LBカードの【22-123R】《レオ》の存在ではないでしょうか。

先述の【19-128L】《ウォーリアオブライト》や【16-129L】《カオス》と違い、水属性が採用されるデッキにおいてはデッキのコンセプトに限らず採用されるカードです。現在の環境では「カオスコンボ」や「火氷水【騎士】」などアグロデッキの流行から【14-113R】《リヴァイアサン》のような優秀なEXバーストへの需要とともに水属性の人気が高まっており、アグロデッキ側も水属性を使用していることから、環境をけん引する側にもそれを対策する側にも【22-123R】《レオ》は需要があるカードとなっています。

例外的に、水属性の強みを取り入れつつも同名の【6-084L】《レオ》が採用されている「土単」はその枠組みから外れているため、2デッキスタンダードでは【22-123R】《レオ》を使用するアグロデッキと「土単」という組み合わせは候補に挙がりやすそうです。

【22-123R】《レオ》に限らず【22-112R】《ザックス》や【22-115R】《サージェス》といった使うための条件が緩いLBカードは、2デッキスタンダードでプレイヤーの頭を悩ませてきそうです。

採用候補デッキ:「火風土水【光の戦士】」「カオスコンボ」系「火氷水【騎士】」「土水カオスアーク」「水単モンスター」など

これらのカードのほかにも、先ほどから話題に挙がる【12-002H】《アマテラス》【9-068H】《ドラゴン》【9-114C】《不浄王キュクレイン》といったカウンターカードや、アグロデッキへの対策カードとして注目を集めている【14-113R】《リヴァイアサン》など、デッキのキーカードとなるカードは非常に種類が多くなります。

先述のとおり、この課題の解決策は2つのデッキで使用する属性を重複させないことなので、これらのカードの採用をなるべく避けつつポテンシャルを維持した2つのデッキを作ることが2デッキスタンダードでは重要です。

では、これらのカードを”採用しない”デッキにはどういった選択肢があるでしょうか?

まず考えられるのが、各種単属性のデッキです。
環境の中心となっている水属性を使用した「水単」はやや難しい印象がありますが、「火単マギサ」や「風単」などは基本的なパーツの重複が少ないため、デッキ構築の面では苦労が少なそうです。「風単」に関しては流行の「カオスコンボ」に対してややガードが低くなる印象があるものの、2デッキスタンダードではどれだけ人気のデッキでも全体の使用率で見れば通常のトーナメントほどは占めないため、特定のデッキと戦うリスクはイメージよりも低く、幅広いデッキに対して優位に立ち回れる「風単」の強みが活きる可能性が高いです。

また「氷雷」も候補の1つに挙がるデッキです。

前環境では「Standard Championship 2024」での活躍なども記憶に新しい「氷雷」ですが、【12-002H】《アマテラス》、【9-068H】《ドラゴン》、【9-114C】《不浄王キュクレイン》といったカウンターカードのどれとも属性が被らないため、2デッキスタンダードにおいても一切ポテンシャルを損なうことなく使用できるのは大きなメリットと言えるでしょう。「カオスコンボ」や2デッキスタンダードで活躍が予想される「土単」など弱点となりえるデッキも多いため環境的にはやや向かい風な印象も受けますが、もともとのデッキ人気も高く、選択するプレイヤーは少なくないのではないかと予想されます。

「氷雷」同様、雷属性や氷属性にフォーカスしたデッキとしては「火雷」系のアグロデッキにも注目です。
2デッキスタンダードではデッキに採用できる受け札が分散されやすいこともあり、突破力の高いデッキを2つ使用したWアグロ戦略が有効なフォーマットでもあります。

実際に昨年行なわれた「日本選手権 2023」の本戦でも、2デッキともに「火雷」系を選択して結果を残したプレイヤーがおり話題になりました。
特に今年は「カオスコンボ」や「火氷水【騎士】」という明確な強みを持つアグロデッキが存在するため、その相方に「火雷」系のアグロデッキを添えるのは合理的な選択に感じられます

ただしリスクとして、相手のデッキが判明している状態で使うデッキを選択できる決勝ラウンドでは、2デッキの方向性が同じ場合は有利なデッキで対策されやすいという弱点も存在するので、そのリスクを負ったうえでデッキを選択できるかというプレイヤーの度胸が試されます。

 


◆おわりに
今回は、開催まで10日を切った「MASTERS 2024 FINAL」の大会フォーマットについての考察と、どういったカードに焦点が集まるのかを考察してきました。

次回は今回の考察をもとにデッキをいかに選択するか、またデッキどうしの組み合わせについて、より具体的に掘り下げていきたいと思います。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!