【FF-TCG】「MASTERS2017 THE AFTER」参加者必見! 強豪プレイヤーに聞くブースタードラフトの極意 後編

『FINAL FANTASY Trading Card Game』の公式記事連載。今週は「MASTERS THE AFTER」大会の決勝ラウンドで行なわれるブースタードラフト戦特集の後編として、実際のカードパックからどのようにカードをピックしていくのか、強豪プレイヤーの考え方を紹介していきます。

◆カードをピックしながらドラフト戦の戦略を解説!

皆さん、こんにちは。カードゲーマー編集部の編集(川)です。

いよいよ「MASTERS FINAL」「MASTERS THE AFTER」の開催が今週末に迫ってきました。
今回は先週に続いて、ブースタードラフト戦を楽しむための基本的な考え方やテクニックについて、masterさんにお話しをうかがいます。

先週の記事はコチラ!

なお本記事では、一般的な4人で行なうブースタードラフトについて解説していますが「MASTERS THE AFTER」の決勝ラウンドでは8人でドラフトを行ないます。
それにより多少の違いはありますが、基本となるテクニックはしっかり通用するはずなので、ぜひ参考にしてみてください。

それではさっそくどうぞ!

 

◆悩ましいファーストピックはこう考えて取る!

――前回の記事でお話しいただいたところでは、ブースタードラフト戦におけるポイントは以下の5つ、ということでした。

デッキは基本的に2属性か、それに1属性をタッチしての3属性にする
・主力となるのは大型フォワード。特にブレイブを持っているものが活躍する
・相手の大型フォワードに対処できるデッキにすることが重要。コストの重い、軽いよりも能力や効果が強いかを重視
・ほかのカードと組み合わせて真価を発揮するカードよりも、単体でどれほど仕事ができるかをチェックする
バックアップはフォワードや召喚獣より優先順位は低い。一部の強力な能力を持つもの以外は後回しでもOK

 

――今回はこれを踏まえて、実際のブースターパックから、どういう考え方でカードをピックしていくのかを見ていきたいと思います。というわけでさっそく開封してみましょう。

★【3-012L】《ザックス》
★【3-032R】《シヴァ》
★【3-074R】《アトモス》
★【3-080R】《玄武のルシ ギルガメッシュ》
★【3-001C】《赤魔道士》
★【3-008C】《クラウド》
★【3-047C】《砲撃士》
★【3-049C】《イザナ》
★【3-062C】《デュース》
★【3-104C】《クイーン》
★【3-122C】《アルテミシオン》
★【3-125C】《うたかたの召喚士》

――前回の記事でも強力カードとして名前のあがった【3-080R】《玄武のルシ ギルガメッシュ》がありますね。これはもう彼をピックでいいですか?
master:【3-080R】《玄武のルシ ギルガメッシュ》だけでなく、ほかにも強力なカードが含まれているパックです。こういうときはほかのプレイヤーがどうピックするか、どのカードが戻ってくるかを考えてピックするカードを決めましょう。私の考えるこのパックのカード優先度はこのようになります。

優先度高
★【3-032R】《シヴァ》
★【3-074R】《アトモス》
★【3-080R】《玄武のルシ ギルガメッシュ》
★【3-008C】《クラウド》
★【3-047C】《砲撃士》

優先度中
★【3-001C】《赤魔道士》
★【3-012L】《ザックス》
★【3-062C】《デュース》
★【3-104C】《クイーン》
★【3-122C】《アルテミシオン》

優先度低
★【3-049C】《イザナ》
★【3-125C】《うたかたの召喚士》

master:除去となる召喚獣2枚と【3-047C】《砲撃士》、そしてブレイブを持つ、あるいは条件次第でブレイブを持ち、有用な能力を持っているフォワード2枚が優先度の高いカードとなります。続いて2コストのバックアップなど、基準となるカードスペックを満たしているものが優先度中、強さがほかのカードに依存している2枚が優先度低です。
――優先度の高い5枚から、どうカードを選ぶのでしょうか。
master:優先度の高いカードが氷と土に多いところに注目しましょう。このどちらかの属性から始めたくなる気持ちもありますが、この2属性は優先度中以下にカードが存在していないため、1周目のピックでほかの人にも取られると、戻ってきたパックにこれらの属性のカードが残っていない可能性が高いです。すると必然的にほかのカードをピックすることになりますが、1パック目の段階ではメインとなる属性を作っていきたいところなので、いきなり多くの属性のカードを手を出すことはなるべく避けましょう。そのため、ここでは火の【3-008C】《クラウド》を最初に選ぶのがいいでしょう。

master:そうすると、1周目では優先度の高い氷・土属性の残り4枚に注目が集まりやすく【3-008C】《クラウド》が見えていない残りのプレイヤーにとっては【3-012L】《ザックス》もそこまで魅力的には映らないはずなので、2周目で確保できる可能性も高くなります。加えてもう1枚の火のカードである【3-001C】《赤魔道士》は最低限2コストのバックアップとして機能するため優先度中に分類しましたが、ドラフト戦ではアビリティを発動することは実質的にほぼ不可能なため、ほかのプレイヤーが火のバックアップを特別欲していない限りは、3周目に回ってくる4枚のなかに残されていることも期待できます。
――【3-008C】《クラウド》→【3-012L】《ザックス》→【3-001C】《赤魔道士》という火属性のカード3枚を狙うわけですね。
master1パック目の1ピック目は情報が少なく、悩むことも多いと思います。飛びぬけて強いカードがない場合は、候補となるカードをピックしたら、ほかのプレイヤーは何を取るかということを考えるといいでしょう。前回もお話ししましたが、ドラフトではデッキに入らないカードのピックは極力避けたいので2周目、3周目で有効なピックができるかを意識しましょう。

・1パック目では「自分がピックした残りから、ほかのプレイヤーが何をピックするか?」を考えて、2周目・3周目でもデッキに入るカードが得られるピックの道筋を立てよう!

 

◆中盤のピックでは、ほかのプレイヤーの意図を読もう!

――序盤はメインとなる属性を決定するため、ほかのプレイヤーと競合しないように、かつ2周目、3周目でもデッキに入るカードを取れる道筋を考えてピックをするということがわかりました。では、カードが集まってきた中盤以降の考え方はどうなるのでしょうか。
master:1パック目では火属性のカードを中心にピックし、2~3属性目に氷・土が候補にあがっている状況と仮定しましょう。2パック目を開封したら以下のような内容でした。

カードのピック状況:火7枚、氷1枚、風1枚、土2枚、水1枚

★【3-135H】《シルドラ》
★【3-015R】《黒のワルツ2号》
★【3-027R】《カトル・バシュタール》
★【3-096R】《リディア》
★【3-073C】《アーシュラ》
★【3-083C】《セグリワデス》
★【3-041C】《DGソルジャー》
★【3-043C】《時魔道士》
★【3-069C】《ユフィ》
★【3-091C】《バーサーカー》
★【3-121C】《青魔道士》
★【3-139C】《ナイト》

master:まず自分のメイン属性で、かつEXバーストつきの除去となる【3-015R】《黒のワルツ2号》をピックしました。そして1周するとこのようにカードが残っていました。

カードのピック状況:火10枚、氷1枚、風1枚、土3枚、水1枚

★【3-135H】《シルドラ》
★【3-096R】《リディア》
★【3-073C】《アーシュラ》
★【3-041C】《DGソルジャー》
★【3-043C】《時魔道士》
★【3-069C】《ユフィ》
★【3-091C】《バーサーカー》
★【3-121C】《青魔道士》
★【3-139C】《ナイト》

――【3-027R】《カトル・バシュタール》、【3-073C】《アーシュラ》、【3-083C】《セグリワデス》がピックされたわけですね。
master:火属性のカードはないので、サブ属性の候補である土・氷属性のカードをピックしていきたいところですが、ここでちょっとおかしいことに気づきましたか?
――【3-135H】《シルドラ》が残っている?

master:そうですね。単体でゲームを決められる強さのある【3-135H】《シルドラ》が残っていて、ほかのカードとの組み合わせが前提となる【3-073C】《アーシュラ》、【3-083C】《セグリワデス》がピックされています。このことから、ほかのプレイヤーが土属性をメインに考えていることが予想されます。このまま【3-091C】《バーサーカー》をピックしていっても、ほかのプレイヤーと競合してデッキが弱くなってしまう可能性が高いです。3パック目はカードを渡す方向が逆になるので、強力な土属性のカードは先に取られてしまうでしょう。こういうときは、思い切って属性をチェンジすることを考えましょう。このタイミングでなら、まだ十分に間に合います。
――ここまで水属性をピックしていなくても【3-135H】《シルドラ》をピックするわけですね。
master:1周して水属性のカードはまったくピックされていないため、ほかのプレイヤーは水属性の優先度が低そうです。かつ、水属性以外のカードはまだ【3-041C】《DGソルジャー》や【3-043C】《時魔道士》、【3-091C】《バーサーカー》などピックに値するものが残っているので、ほかのプレイヤーがそれらをピックすることを考えると【3-121C】《青魔道士》や【3-139C】《ナイト》を独り占めすることも可能でしょう。

・パックが戻ってきたら、なくなっているカードからほかのプレイヤーの狙いを読み解こう
・ほかのプレイヤーとメインにしている属性が重複していると思ったときは、2パック目の序盤~中盤までならピックされていない属性にチェンジしてもOK

 

◆終盤のピックではカードの価値の逆転に着目!

――序盤・中盤とお話をうかがってきましたが、最後に終盤のピック方法について解説していただきますか。
master:序盤は火属性をピックしていましたが、当初サブ属性に考えていた土・氷属性がほかのプレイヤーとかぶっていることに気づき、中盤以降あまりピックされていない水や風属性のカードを取ってきたと仮定しましょう。そこで開封した4パック目がこれです。

カードのピック状況:火19枚、氷1枚、風6枚、土3枚、水7枚

★【3-063H】《ドルガン》
★【3-013R】《サラマンダー》
★【3-031R】《クラサメ》
★【3-076R】《仮面の女》
★【3-025C】《エミナ》
★【3-021C】《砲撃士》
★【3-055C】《シーフ》
★【3-075C】《いにしえの忌子》
★【3-107C】《黒魔道士》
★【3-114C】《フライヤ》
★【3-117C】《見せかけの豪傑》
★【3-128C】《踊り子》

master:手持ちのカードは火が中心となり、風と水の優秀なカードが少しずつ集まったため、この2属性をサブとした3属性デッキが見えてきている状態です。このなかで優先度の高いカードは【3-063H】《ドルガン》【3-013R】《サラマンダー》、【3-031R】《クラサメ》、【3-076R】《仮面の女》の4枚です。しかし、もう自分のデッキで使用する属性が決まっているこの段階では【3-063H】《ドルガン》と【3-013R】《サラマンダー》の2択になります。
――その2枚だと【3-013R】《サラマンダー》が強そうですね。

master:ですが、ここでピックするのは【3-063H】《ドルガン》です。その理由は2つあって、1つはデッキ内における各属性の枚数を確保するということです。3属性のデッキになる場合は、おおよそ各属性が15:15:10くらいのバランスになるよう調整しますが、現在のピック状況では火属性はじゅうぶんな枚数がありますが水・風はまだカード枚数が足りていません。そのため、ここは【3-063H】《ドルガン》を優先します。
――私だと【3-013R】《サラマンダー》を使われたくないという気持ちでピックしてしまいそうです。
master:強力なカードを渡してしまう不安はわかります。しかし、これはもう1つの理由でもあるのですが、ここで【3-013R】《サラマンダー》を渡すリスクは意外と低いんです。
――どういう視点でそう考えられるのでしょうか。
master:これまで4人のプレイヤーが3つのパックを開封していますから「4×3×12」で、144枚のカードが出たことになります。光・闇をのぞく各属性のカードがおおよそ均等に出現したと考えると、火属性のカードは「144÷6」で24枚程度と考えられます。しかし、これまで自分がピックしたカードには、そのうち19枚があるわけです。大きな偏りがなければ、ほかのプレイヤーが持っている火属性のカードは合計5枚前後しかなく、この時点で火属性をデッキに組み込もうとしているプレイヤーはいないと考えていいでしょう。そのため、ここで【3-013R】《サラマンダー》をピックしないでも、ほかのプレイヤーは妨害目的で取る以外に活用法がなく、2周目で手元に帰ってくる可能性は高いはずです。

――最終パックになると、各属性のカードに対しての自分の占有度のようなものも、ピックの基準に加わるんですね。
master:同じ考え方で風属性のカードを見ると、ほかのプレイヤーが持っていると考えられるカード枚数が多く、優先的にピックされそうです。なので、ここでは競争率の高くなりそうな【3-063H】《ドルガン》を先に確保する方が賢明です。仮に【3-013R】《サラマンダー》が戻ってこなくとも2周目以降でピックしたい同属性のカードもあるため、リスクもほとんどありません。
――火属性のカードを重点的に集めていたおかげで、最終パックではほかの属性のカードをピックしてから、火属性のカードを回収できるようになるわけですね。
masterブースタードラフト終盤では各々のデッキの方針が固まっていることを利用して、自分が優位にある属性のカードを後回しに優先度の高いカードを複数手に入れられることもあります。この「カードの価値の逆転」はピックにおける、とても楽しいポイントなので、ブースタードラフトを遊ぶ際には意識してみてください。「このカードは強いけど、この展開ならばほかのプレイヤーは取らないはず!」と思って渡したカードがバッチリ戻ってきたときは気持ちいいですよ(笑)。
――そうなれるよう精進します! ちなみに先ほど【3-013R】《サラマンダー》を妨害目的でピックするという話がありました。いわゆる「カット」と呼ばれるものですが、これに関してはする/しないの線引きなどはあるのでしょうか。
master基本的にはしないでいいと考えています。ほかのプレイヤーと足を引っぱりあうよりは自分のデッキの完成度を高めることを優先しましょう。特に、今回のように途中で使う属性を変えたときなどは、カード枚数がギリギリになりやすいので、そういうときに強いカードだからといって使わない属性のカードをピックしてしまうと、自分のデッキが戦えないものになってしまいます。自分の構築が十分にまとまっていて余裕があるとき以外は相手に使われたくないからといってピックしてしまうのはトータルで見ると損をすることの方が多いです。

・終盤のパックでは、各プレイヤーのデッキが固まってきているのでこれまでとはカードの価値が変わることがある
・自分がメインに集めていて、ほかのプレイヤーが参入していない属性のカードは強力なものでも1周しやすいので、デッキに足りていない属性のカードを優先してもいい
・その属性のカードがどれくらい出ていて、かつ自分がそれをどのくらい占有できているかをピックの判断基準にしよう
・使わない属性のカードを取る「カット」は、自分のデッキがほぼ完成しているとき以外はしない方が賢明

 

◆今週末は「MASTERS FINAL」&「MASTERS THE AFTER」をチェック!

というわけで、2回にわたってブースタードラフトの基本的なルールやテクニックについて、masterさんに語っていただきました。
ブースタードラフトはシールド戦に比べて必要なパックが4つと気軽に楽しめるので、ショップ大会や公式イベントなどに参加したときは、ぜひほかのプレイヤーと一緒に遊んでみてください。

今週末はいよいよ構築戦でチャンピオンを決める「MASTERS FINAL」と、シールド戦・ブースタードラフトでチャンピオンを決める「MASTERS THE AFTER」が開催されます。
公式記事連載ではシールド、ブースタードラフトのテクニックを競合プレイヤーに聞く記事を掲載してきましたので、本戦の直前にあらためてチェックしていただければと思います!

リミテッド特集記事はコチラ!
シールド戦の極意 前編
シールド戦の極意 後編
ブースタードラフトの極意 前編

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!