Jの大会レポート「名人戦」関東予選大会編 

『FINAL FANTASY Trading Card Game』の公式記事連載。今回は「名人戦」関東予選大会に出場したJさんのレポートをお届けします。「水単」とそれを意識したデッキが流行するなか、愛用の「土単」で突き進んだ結果はどうだったのでしょうか。

◆「Opus IV」発売後初の、東京での大型大会でした!

皆さん、こんにちは。ライターのJです。
先日「名人戦」関東予選大会に参加しましたので、今回はそのレポートをお届けしたいと思います。
大会から少し日にちがたってしまいましたが、まだまだ「Opus IV」環境は続くので、これから各地の「名人戦」予選に出ようという方で「土単」を使おうと考えている方に、何か参考になればうれしいです。

◆今回も「土単」で突撃!

今回使用したデッキは、「名人戦」開幕直前! ライター陣による「Opus IV」環境のオススメデッキ5選!で紹介した「土単」デッキを微調整したものです。
コンセプトは「相手をコントロールする要素をなるべく少なくして『土単』らしくパワーで押す」というものです。

デッキリストはこちらです。

カードNo. カード名 枚数
フォワード(23枚)
【1-093H】 《ヴァニラ》 1
【1-101R】 《ギップル》 2
【2-075H】 《イングズ》 3
【2-081L】 《ガブラス》 1
【2-094H】 《リディア》 3
【3-084C】 《WRO隊員》 3
【4-087R】 《ディリータ》 1
【4-092H】 《プリッシュ》 1
【1-116L】 《プリッシュ》 3
【3-092L】 《プリッシュ》 3
【2-147L】 《皇帝》 1
【3-154S】 《ジタン》 1
バックアップ(17枚)
【1-085R】 《エナ・クロ》 3
【1-105C】 《幻術師》 3
【1-111C】 《タマ》 1
【1-120C】 《モンク》 2
【1-204S】 《ジェシー》 1
【2-089C】 《モンク》 2
【3-076R】 《仮面の女》 1
【3-085C】 《WRO隊員》 3
【2-093H】 《ラウバーン》 1
召喚獣(9枚)
【1-106C】 《ゴーレム》 3
【1-117R】 《ヘカトンケイル》 2
【4-093R】 《ヘカトンケイル》 2
【4-073C】 《アトモス》 2
モンスター(1枚)
【4-088C】 《盗賊バンガ》 1

以前紹介したものに【1-116L】《プリッシュ》を1枚追加し《プリッシュ》が計7枚になっています。パワー8000、9000のフォワードと相打ちしても、こちらのフォワードの数が減りにくいようにしています。ほかのデッキが火、雷属性のデッキに対して「除去されないこと」「除去されても損しないこと」などを意識しているのに対して、このデッキは【1-093H】《ヴァニラ》などもあわせて「主力が除去されても復活すること」で対抗しようと考えました。

▲デッキの主力である《プリッシュ》たち。除外とバウンスには弱いものの、それ以外の除去に対しては(手札にほかの《プリッシュ》がいれば)めっぽう強いです。

光、闇属性のフォワードは【3-154S】《ジタン》と【2-147L】《皇帝》を投入しました。両方を同時に出すことはできませんが【3-154S】《ジタン》が出ている状態で【2-147L】《皇帝》を出したい場合は【4-087R】《ディリータ》や【4-093R】《ヘカトンケイル》で自分からブレイクしてしまいましょう。「土単」はモンスターへの対処が難しいデッキなので【2-147L】《皇帝》を2枚にする構成もあるかもしれませんが「パワーでシンプルに押す」というコンセプトと、以下に述べる理由からコストが奇数のカードを優先したく、こういうバランスになっています。

奇数コストのカードを増やしたい理由というのは、このデッキの理想的な1ターン目の動きとして【2-075H】《イングズ》から一般兵のバックアップを1枚置く展開があるからです。
わずか4コストでパワー8000のフォワードと2コストのバックアップ(もしくはフォワード)をプレイできるのはコスト面で非常にお得で強力な行動です。しかし、次のターンに偶数コストのアクションしかできないと、せっかく得たアドバンテージを活かしきれません。それを避けるため、このデッキでは【1-105C】《幻術師》や【3-154S】《ジタン》といった奇数コストのカードを増量して「スピード感のある『土単』」を目指しています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に、デッキ調整の過程で試したカードをあげていきます。

・【4-085H】《ダダルマー》
自分の効果でダメージを与えたときにも、彼のダメージを与えるアビリティは発動するので【3-094C】《ペリノア》と相性がよく、相手からすればフィールドにいるだけで厄介なフォワードなのですが、今回はスピード感を重視して【3-084C】《WRO隊員》と【3-085C】《WRO隊員》のセットを優先させました。彼を投入する場合は《プリッシュ》たちを抜き、代わりに【4-083L】《シャントット》を採用してダメージによるコントロールデッキを目指すことになるでしょう。

・【4-087R】《ディリータ》
強力なアビリティを持つフォワードですがどちらかというと【4-069H】《モーグリ》や【4-133C】《バイキング》など、ほかの属性のフォワードと相性がよく、「土単」ではあまりその強みを活かせませんでした。
召喚獣やアビリティに選ばれたときにパワーが上がるため【4-081C】《ゴブリン》や【1-106C】《ゴーレム》などとは相性がいいので、構築を寄せて使うことも視野にありました。

・「Opus Ⅳ」で登場した各種一般兵バックアップ
【4-079C】《黒魔道師》と【4-091C】《風水師》はどちらも便利なアビリティを持っていますが、毎回1CPを支払うのが大変だったので、今回は相手に合わせる守りのカードよりも、自分の動きを押し通すための攻めのカードを優先しました。環境でもっと氷属性のカードなどが流行するようなら、コストに目をつぶって【4-079C】《黒魔道師》を投入するのはアリだと思います。

◆大会参加後の感想と、これからの「土単」を考える
そうして出場した名人戦関東予選は、

氷水モンスター:勝ち
水単:負け
風水一般兵:負け
水単:勝ち
風水一般兵:負け
雷単:勝ち

の3勝3敗という成績でした。

環境的に間違っているというわけではないのですが、かといって勝ち組でもない。そんな微妙な立ち位置を思わせる「土単」ですが、実戦して得た現状の「土単」の問題と、その解決法について考えてみたいと思います。

●問題1:【2-147L】《皇帝》がいても「水単」との戦いは厳しい
予選にあたって「水単」(とその類型)が多いことを予想して【2-147L】《皇帝》を投入したことは正解だったと思いますが、それ以上に「水単」側の【2-147L】《皇帝》対策が強力だと感じました。
最近の「水単」は【2-129L】《セシル》や、【4-129L】《スタイナー》と【4-135R】《ベアトリクス》の組み合わせなど、フォワードのパワーが高く、モンスターによるからめ手を介さずに戦線を構築できます。これらのフォワードとの戦いでは【2-147L】《皇帝》はなかなか活躍できません。

また【4-133C】《バイキング》や【4-125C】《クリオネ》など、ブレイクゾーンに置かれたときにカードを1枚引くキャラクターをコストにすることで、手札を増やしつつ対戦相手のフォワード1枚をブレイクできる【4-080L】《ケフカ》も【2-147L】《皇帝》への解答として非常に強力でした。
さらに【3-144L】《レナ》のスペシャルアビリティで【4-080L】《ケフカ》を復活させられるので、EXバーストを持つ【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》と合わせて効率よくフォワードを除去する動きは、軽量化を目指したとはいえ一手一手が重い「土単」には厳しいものです。

また、今回のデッキでは除去を召喚獣に頼っていたため【4-125C】《クリオネ》1枚に悩まされることも多く、【4-121C】《アダマンタイマイ》がいるだけでダメージが通りづらくなるなど、低コストのモンスターに翻弄されてしまいました。

●問題2:同じパワー重視の戦法でも、もっと環境に適したデッキが存在する
「風水一般兵」デッキは【2-050H】《アルクゥ》と【1-083H】《マリア》で【ジョブ(一般兵)】を強化し【3-053C】《狩人》、【3-139C】《ナイト》、【4-141C】《ものまね士》といった質の高いフォワードで攻めていきます。

このコンセプトは「土単」にも通じるものがあるのですが、このデッキにはほかにも【4-064L】《デブチョコボ》と「Opus IV」で加わった【ジョブ(一般兵)】の《チョコボ》たちを使った展開力や【4-126R】《剣術士》が倒された【ジョブ(一般兵)】のフォワードを復活させる持続力をあわせもち、また全体的にカードのコストが軽いという利点があります。

また「ブレイクゾーンに置かれたとき~」というアビリティを持つキャラクターを完全に封じることができる【1-176H】《ユウナ》は、【4-092H】《プリッシュ》や【1-093H】《ヴァニラ》などに対して劇的に効くカードとなっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この「どうしても相性の悪い相手がいる」「『土単』と同じ戦略でより器用なデッキがある」、この2つが今の「土単」が抱える大きな問題だと思いました。

もちろん、今の「土単」にも【4-092H】《プリッシュ》などのおかげで「雷単」に相性がいいなど、すぐれた点はあります。しかし、ここからもう一歩がんばるためにはどうすればいいのか。そこには2つの選択肢があるように思えます。

●選択肢1:盤面をコントロールする力を高める
今回は「シンプルに攻撃する」ことをコンセプトにしていましたが、この「土単」の攻撃力では「水単」や「風水一般兵」などに受け止められてしまうことがわかりました。
そこで考えられるのがコントロールデッキへのシフトです。
具体的には、先ほども少し書きましたが【4-085H】《ダダルマー》と【4-083L】《シャントット》、【3-094C】《ペリノア》などを投入した型にすることです。

こうすることでデッキの速度は落ちるものの、盤面をコントロールする力を得られます。特に、東京予選で優勝を飾った「火氷」のようなデッキには有利に立ち回れるでしょう。環境が「水単」をより早く倒す方向にシフトするならば、コントロール力の高い「土単」は輝ける可能性があります。

●選択肢2:さらにスピードとパワーを高める
2つ目の選択肢は、コンセプトをそのままに採用するカードを変える方法です。たとえば【3-095R】《ヤン》と【3-073C】《アーシュラ》を投入して、先述の【2-075H】《イングズ》を使った展開以外にも1ターン目からのロケットスタートを決める道筋を増やすことが考えられます。

こう調整すれば、デッキ全体を攻めに特化した構成にできます。環境がまだ「水単」中心のゆっくりしたものであるなら、こちらの型に可能性が生まれるでしょう。

「Opus IV」環境は、これから「水単」と「火氷」のようなアンチ「水単」デッキ、そして「『水単』を倒すためのデッキを倒すデッキ」の三すくみになると思います。
現状の「土単」はまとまってはいるものの突出した力がなく、どの勢力とも勝ったり負けたりという中途半端さだったことが、今回の東京予選で勝ちきれなかった原因だと考えています。
次に予選に参加するときは、どういう型になるかはわかりませんが、さらにコンセプトを突き詰めて「勝てる『土単』」を披露できればと思います。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!