「名人戦」北信越予選優勝者に聞く「経験不足を補うためにすることと『水土』の強さ」

『FINAL FANTASY Trading Card Game』の公式記事連載。今回は「MASTER2017」横浜大会準優勝、「名人戦」北信越予選優勝など結果を残している気鋭のプレイヤー、aaaaさんのインタビューをお届けします。

 

◆はじめに

どうも皆さま、お久しぶりです。『FF-TCG』プレイヤーのたるほです。
全国大会「名人戦」が開催され、さらに4月からは「MASTERS」の開催も決定するなど、今年も『FF-TCG』はイベント盛りだくさんです。
さて今回は、先日開催された「名人戦」北信越地区予選で優勝されたaaaaさんのインタビューをお届けします。
Opusシリーズから『FF-TCG』を始めて、早くも去年の「MASTERS」横浜大会で準優勝、今回の「名人戦」予選でも優勝と結果を出している新星プレイヤーのaaaaさんに、新しく始めたゲームで勝つために何を意識したのかを聞きました。

aaaa(エーフォー)
『FF-TCG』のデビューはOpusシリーズからながら「Masters」「名人戦」で活躍する新星プレイヤー。母親の影響で『ファイナルファンタジーVII』をプレイしたのが『ファイナルファンタジー』シリーズとの出会い。そこからスピンオフ作品も全部遊ぶほどの『FF VII』好きに。『FF VII』の登場キャラクターは全員好きだけれど、そのなかでも特にお気に入りはザックス。

 

◆経験値の足りなさを補うために、1つを極めるプレイスタイルを選択

――まずは「名人戦」北信越予選優勝おめでとうございます。
aaaa:ありがとうございます。
――今回「水土」を使っての優勝でしたがデッキ選択の経緯をお話しいただけますか。
aaaa:僕は「Opus」シリーズから『FF-TCG』を始めたんですが、「chapter」シリーズから続けているユーザーの人に比べて、当たり前の話ですがまだまだ経験値が足りていないとずっと感じていました。『FF-TCG』は、コスト管理などにほかのゲームにはない独特な部分がありますからね。「Opus II」環境までは「ゴルベーザ」デッキや「火単」デッキなど、強いと言われているデッキや人に勧められたデッキを使っていたんですが、いまいちその強さがピンとこなかったんです。でも「Opus III」環境で「水単」を使ったら、これがとても手になじみました。そこで「水属性のエキスパートになろう、使い込んでいこう」と思って「Opus IV」が発売されたあともずっと水属性のデッキを中心に練習を続けてきました。
――経験値が足りていないと思うなかで、もっとも自信のあるデッキを選んだということですね。
aaaa:はい。「Opus IV」で水属性のデッキはとても強化されたので、うれしかったです。
――今の環境では最初から「水土」デッキを研究されていたんですか。
aaaa:いえ、最初に参加した「名人戦」関東予選では「水単モンスター」を使用しました。

「水単モンスター」

カードNo. カード名 枚数
フォワード(22枚)
【4-144H】 《リルム》 3
【3-139C】 《ナイト》 3
【3-130R】 《カイナッツォ》 3
【3-144L】 《レナ》 3
【4-129L】 《スタイナー》 2
【4-123H】 《ガウ》 2
【4-130H】 《ストラゴス》 2
【4-137L】 《ミラ》 2
【2-147L】 《皇帝》 2
バックアップ(17枚)
【1-157C】 《学者》 3
【1-180R】 《ワッカ》 3
【1-171H】 《ミンウ》 2
【2-130C】 《占星術師》 1
【3-122C】 《アルテミシオン》 2
【4-126C】 《剣術士》 3
【4-131R】 《トンガリ》 1
【4-134R】 《ブラネ》 1
【4-138R】 《メルウィブ》 1
モンスター(9枚)
【4-121C】 《アダマンタイマイ》 3
【4-132R】 《トンベリーズ》 3
【4-124C】 《グリーンドラゴン》 3
召喚獣(2枚)
【1-178R】 《リヴァイアサン》 2

aaaa:これは関東予選の前日に開催された「名人戦」近畿予選で優勝されたナガノさんが使っていたデッキを元にしたレシピで、共通の友人から勧められたこともあり使用しました。しかし結果は3勝3敗でした。そのとき一緒に出場した友人が「水土」を使って準優勝という結果を残していて、それを見せてもらったら「自分の考えていた『水単』の弱点を克服している」と感じたんです。そこでデッキをシェアしてもらい、今回の「名人戦」北信越予選では自分でも「水土」を使用しました。

「水土モンスター」

カードNo. カード名 枚数
フォワード(23枚)
【4-144H】 《リルム》 2
【3-139C】 《ナイト》 3
【3-130R】 《カイナッツォ》 3
【3-144L】 《レナ》 3
【4-129L】 《スタイナー》 2
【4-123H】 《ガウ》 3
【4-137L】 《ミラ》 2
【4-080L】 《ケフカ》 1
【4-096H】 《ラウバーン》 3
【2-147L】 《皇帝》 1
バックアップ(17枚)
【1-157C】 《学者》 3
【4-180R】 《ワッカ》 3
【1-171H】 《ミンウ》 1
【3-122C】 《アルテミシオン》 2
【4-126C】 《剣術士》 3
【4-131R】 《トンガリ》 1
【4-138R】 《メルウィブ》 1
【1-107L】 《シャントット》 3
モンスター(10枚)
【4-121C】 《アダマンタイマイ》 3
【4-132R】 《トンベリーズ》 3
【4-124C】 《グリーンドラゴン》 3
【4-125C】 《クリオネ》 1

――「水土」が「水単」に比べて優れているのは、具体的にどういった点なんでしょうか?
aaaa:大きなメリットは【1-107L】《シャントット》や【4-096H】《ラウバーン》のオートアビリティで除去ができるという点だと考えています。「Opus IV」はモンスター対策で【2-147L】《皇帝》をよく見るようになりましたが、関東予選で使用した「水単」はモンスター中心なので【2-147L】《皇帝》を苦手とするうえ、それに対処するカードが不足していたんです。また「水単」は、序盤からどんどん仕掛けていく攻撃的なデッキが苦手なんですが、そういったデッキを相手にしたときも【1-107L】《シャントット》や【4-096H】《ラウバーン》で対抗できます。この「除去の充実」というのが「水土」の利点ですね。

――除去だと火や雷属性なども有効だと感じますが、ほかの属性は候補にならなかったのでしょうか?
aaaa:水属性というのは、まず序盤守ってから攻めに転じる属性ととらえているのですが、火属性は攻撃を続けることで有利になっていく属性という認識があって、性質がかみ合っていないと感じました。雷属性は確かに除去を使って守りから攻撃に転換するという動きができるのですが、【2-097H】《アルシド》とほかの雷属性フォワードの組み合わせや、雷属性のバックアップと【2-099L】《イデア》というように、複数のカードが組み合わさっての除去が中心です。そのためデッキに雷属性のカードをたくさん入れなくてはならずデッキスロットを圧迫してしまいます。このデッキは【4-121C】《アダマンタイマイ》などのモンスターを絡めたギミックにデッキの多くの部分を割くことになるため、ほかの属性のカードをそこまで多く投入することができません。その点で今回のデッキとはかみ合わないと感じました。

――水属性から入れたいカードが多かったので、最小の枚数で除去の役割を果たせる土属性がパートナーに適任だったというわけですね。
aaaa:そうですね。土属性の除去はコストが重く大ぶりではあるのですが、タッチのしやすさという点で一番水属性に合っていました
――光闇枠として【2-147L】《皇帝》が投入されていますが、やはり対「水単」などを意識しての採用だったのでしょうか。
aaaa:実は「Opus IV」環境で最初に作った「水単」は【カテゴリ(Ⅸ)】のギミックに寄せたデッキで、そのときは【3-154S】《ジタン》を採用していました。しかし「水単」どうしの対戦で【3-154S】《ジタン》対【2-147L】《皇帝》になったとき、【3-154S】《ジタン》の入っているデッキが【2-147L】《皇帝》を使ったデッキに勝てなかったんです。「名人戦」などの大会では「水単」との対戦も多いと予想されたので、【2-147L】《皇帝》を選びました。

――どういう点が【2-147L】《皇帝》の強みなのでしょうか。
aaaa:モンスターの多い「水単」どうしのゲームで強いのはもちろんなのですが、「Opus IV」環境ではそれ以外にもモンスターを使ったコンボやギミックも見られるようになりましたし、単純に4コストでパワが8000あるフォワードだというところもあります。攻撃的なデッキに対してブロッカーになれるんですね。攻撃的なデッキの除去は7000ダメージくらいのものが多く、簡単には突破されないところが優秀です。
――そういう経緯で【2-147L】《皇帝》を採用した「水土」という選択になったのですね。先ほど、経験値のあるデッキということで水属性を使うと決めたとうかがいましたが、「Opus IV」環境ではモンスターのギミックを使わないタイプの「水単」デッキも強力かと思います。モンスターなしの「水単」は候補には上がらなかったのでしょうか。
aaaa:実は最初に組んだ【カテゴリ(IX)】に寄せた「水単」はその形でした。しかし【4-144H】《リルム》や【4-137L】《ミラ》などのカードアドバンテージを稼げるカードが、キャラクターを並べて【3-130R】《カイナッツォ》で一掃するというコンセプトに合っていて、さらにそれらの低コストフォワードによって【3-144L】《レナ》のバリューがさらに高まります。また【4-132R】《トンベリーズ》なども【3-130R】《カイナッツォ》と相性がよく、プレイヤーによって好みは分かれると思いますが、もっとも水属性の強さを引き出せるのが、このモンスターのギミックを活かす型だと私は思っています。

 

◆キャラクターはザックスが好きだが、ゲームとしては水属性が好き!

――「Opus」シリーズから『FF-TCG』を始められたとのことでしたが、どんなきっかけで始めたのですか?
aaaa:僕はもともとホビージャパンが展開している別のカードゲームである『ラストクロニクル』のプレイヤーだったのですが、そのゲームが今年の3月でサポートが終了することになりました。ただ、そうなってもいま遊んでいる友人たちとのコミュニティはなくしたくなくて。そのコミュニティでは『ラストクロニクル』以外に『FF-TCG』も遊んでいる人が多かったので、またみんなと遊べるゲームとして『FF-TCG』を始めました。
――aaaaさんはスーパーファミコンからプレイステーション期の、タイトルでいえば『FFIV』から『FFVII』くらいが直撃した世代ではないと思うのですが、TVゲーム版の『ファイナルファンタジー』シリーズはプレイされていたんですか?
aaaa:小さいときに母が『FFVII』をやっていて、その影響でプレイステーション以降のタイトルは結構やっていました。特に『FFVII』、『FFVIII』、『FFX』と『FFX-2』、『FF XII』は熱心にプレイしましたね。なかでも、初めてやったタイトルなこともあって『FFVII』はスピンオフ作品も全部やるくらい好きで、印象に残っている作品です。特に《ザックス》が好きなキャラクターなので、作品単構築では彼を活躍させるデッキを組みたいと思っています。

 

――好きなキャラクターを活躍させられるのは『FF-TCG』のいいところですね。普段はどんな環境で『FF-TCG』をプレイしているんですか?
aaaa:普段はskypeで対戦しています。直接会って対戦するとなると、どうしても機会が少なくなってしまうので。社会人のプレイヤーが多く、カードショップにもなかなか集まりにくいこともあって、デッキを調整するときなどはSkypeを使ってのゲームが中心になっていますね。

――今回の「名人戦」に向けて意識して練習したことなどはありますか?
aaaa:個人的な結論として、「opusIII」環境では「雷単」が総合的に最強のデッキだったと考えていました。しかし「Opus IV」の登場により、環境がカオスになったというか群雄割拠の時代になったと思いました。そのため、とにかく友人と思いついたデッキは片っ端から組んでいろんなデッキと対戦をしました。「流行しているいくつかの特定のデッキに勝つ」ではなく、「初めて見たデッキにわけのわからないままやられてしまう」ことがないように意識しました。「水単」と「水土」のどちらもコントロールデッキなので、相手が展開してくる脅威に対して適切に対応する必要があります。そのため、たとえ結果を残していなくても、どういうデッキが環境に存在しうるかという点については漏れのないようによく考えました。
――相手のデッキがわかっていれば、どんなデッキとも戦えることも「水土」の強みですよね。調整段階で苦手だったデッキなどはありましたか?
aaaa:大会でもマッチングしたのですが、【3-049C】《イザナ》から【4-064L】《デブチョコボ》につなげて、最序盤に2点ダメージを与えてくる風属性のデッキはとても苦手でした。早いということそのものも脅威なんですが、バックアップを1~2枚しっかり置いているので、スピードがあるのにすぐには息切れしてしまうことがないんですよね。なので、ダメージを先行されたまま長いゲームを戦わなくてはなりません。速攻系のデッキのなかでも非常に難しい相手でした。

練習段階でこちらもバックアップの展開を2枚で止め、【2-147L】《皇帝》などをブロッカーとして出してダメージを受けることを減らすのが有効だとわかり、大会ではそのセオリーによってなんとか勝てました。相性の悪い相手、動きに対してもどうすれば一番長く耐えて逆転できるかというのを突き詰めていった結果が出て、うれしかったですね。そういう意味でも今回の調整は意義のあるものだったと思います。
――プレイングをしっかりすれば、いろいろなデッキと戦える水属性の強みが出た大会だったというわけですね。
aaaa:はい。もともとコントロールデッキが好きということもあって、相手の出方を見てから動ける水属性のデッキが合っているなと改めて感じました。

◆「名人位決定戦」に向けて

――では最後になりますが「名人位決定戦」への意気込みなど聞かせていただければと思います。
aaaa:2デッキ制ということで、自分の得意を伸ばせるデッキを作っていきたいです。「水単」以外に何を使うか、最初にお話しした経験値のこともあってとても悩ましいですが、決勝ラウンドに進めるようがんばりたいと思います!
――ありがとうございました。僕も「名人位決定戦」への参加権を手に入れた(編註:たるほさんは北信越予選の前日に開催された九州予選にも参加され、そこで優勝しています)ので、本番ではぜひよろしくお願いします。

◆終わりに

ということで「名人戦」北信越予選を優勝されたaaaaさんのインタビューでした。
1つのデッキを極めて、得意な部分と苦手な部分を知りつくすことで経験の少なさを覆すのがaaaaさんの強さの秘訣でした。

さて「名人戦」予選大会も残すところ3大会となりました。
予選大会の突破者によって争われる「名人位決定戦」は2デッキ制という新しい形式の大会なので、今からワクワクが止まりません。

また翌日の2月25日は「7周年記念ファンフェア」も開催されます。こちらはとてもカジュアルに『FF-TCG』を楽しめるイベントとなっていますので、興味のある皆さまはぜひご応募ください。

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それではまた次回の記事でお会いしましょう!