『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は躍進を続ける「氷単」デッキについて、2人の「MASTERS2018」優勝者にインタビューを行ない、その強みを聞きました。
皆さん、こんにちは。カードゲーマー編集部の編集(川)です。
本日「カードゲーマーVol.40」が発売されました。
『FF-TCG』記事では「Opus VI」から6枚のカードを紹介するとともに、現環境のメタゲーム分析、そして最新のデッキレシピを公開しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
さて、今回は「Opus V」環境で一気に存在感を増した「氷単」デッキについて、「MASTERS 2018」福島大会で優勝したちょーぎょーじさん、諏訪大会で優勝した閣下さん(編註:当日はシンガポール勢というプレイヤー名でした)のお2人にお話を伺い、その強さの秘訣を聞きました。これから「氷単」を使おうと考えている人、あるいは倒そうと考えている人は必見ですよ。
それではさっそく始めていきましょう!
◆なぜ今「氷単」が強いのか?
――まず最初にお2人の使ったデッキレシピをご覧いただきたいと思います。
ちょーぎょーじ:L氷単改(「MASTERS2018 」福島大会優勝)
カードNo. | カード名 | 枚数 |
フォワード(23枚) | ||
【1-192S】 | シド・レインズ | 2 |
【3-030L】 | クジャ | 2 |
【4-048L】 | ロック | 2 |
【5-036L】 | 皇帝 | 2 |
【2-026L】 | ヴェイン | 3 |
【3-033L】 | ジェネシス | 3 |
【4-038L】 | セリス | 3 |
【1-047R】 | ティナ | 2 |
【4-146L】 | ティナ | 2 |
【5-029L】 | オーファン | 2 |
バックアップ(16枚) | ||
【5-030C】 | 学者 | 2 |
【3-043C】 | 時魔道士 | 2 |
【3-044C】 | ハル | 2 |
【2-037R】 | ジル・ナバート | 2 |
【1-057R】 | ラーグ公 | 2 |
【1-196S】 | モーグリ [XIII-2] | 1 |
【4-026H】 | ガストラ帝国のシド | 2 |
【5-031H】 | ギルバート | 3 |
召喚獣(11枚) | ||
【5-044C】 | 背徳の皇帝 マティウス | 2 |
【3-032R】 | シヴァ | 3 |
【4-033C】 | シヴァ | 3 |
【5-032H】 | グラシャラボラス | 2 |
【3-145L】 | 聖天使アルテマ | 1 |
シンガポール勢:Super Event(「MASTERS2018」 諏訪大会優勝)
カードNo. | カード名 | 枚数 |
フォワード(23枚) | ||
【1-192S】 | シド・レインズ | 2 |
【4-048L】 | ロック | 3 |
【3-030L】 | クジャ | 2 |
【5-036L】 | 皇帝 | 2 |
【4-038L】 | セリス | 3 |
【3-033L】 | ジェネシス | 3 |
【1-047R】 | ティナ | 2 |
【4-146L】 | ティナ | 2 |
【2-026L】 | ヴェイン | 2 |
【5-029L】 | オーファン | 2 |
バックアップ(17枚) | ||
【2-037R】 | ジル・ナバート | 2 |
【3-044C】 | ハル | 2 |
【3-043C】 | 時魔道士 | 2 |
【4-030C】 | 黒魔道師 | 1 |
【1-196S】 | モーグリ [XIII-2] | 1 |
【4-026H】 | ガストラ帝国のシド | 2 |
【5-031H】 | ギルバート | 3 |
【1-057R】 | ラーグ公 | 2 |
【1-048C】 | 導師 | 2 |
召喚獣(10枚) | ||
【1-038R】 | シヴァ | 1 |
【3-032R】 | シヴァ | 2 |
【4-033C】 | シヴァ | 3 |
【5-032H】 | グラシャラボラス | 2 |
【5-044C】 | 背徳の皇帝 マティウス | 2 |
――こうして見ると、デッキ構成はほとんど同じですね。
閣下:ちょーぎょーじさんのを見て組みましたからね(笑)。
――このデッキの強みはどういうところにあるのでしょうか。
ちょーぎょーじ:【4-048L】《ロック》や【4-038L】《セリス》、【3-033L】《ジェネシス》などのフィールドに出たときのアビリティが強く、かつプレイヤーにダメージを与えたときにもアビリティが発動するフォワードでの攻勢です。
――それらの要素は「Opus IV」の時点で存在していたかと思いますが「Opus V」でどのような点が強化されたのでしょうか。
ちょーぎょーじ:これまで「氷単」というと手札破壊に特化したもの、あるいはダル・凍結に特化したものなど、1つの戦略を突きつめる形が多かったと思います。それはそれで強力でしたがどうしてもバランスという観点では不安定でした。だから「火氷」や「氷雷」のように他属性のカードを加えていたんですね。
しかし「Opus V」で加わった新カードによって氷属性だけでも手札破壊、ダルと凍結、除去、一定以上のパワーを持ったフォワードと必要なカードがそろって、1つの属性だけでデッキが組めるようになり、デッキパワーと安定性を両立させられるようになりました。
――確かにどちらのデッキにも「Opus V」のカードが10数枚入っていますね。
閣下:まずフォワードでは【5-029L】《オーファン》が、強力なアビリティを持ちつつパワー9000あるので【1-057R】《ラーグ公》のサポートを受ければたいていのフォワードを乗り越えていけます。バックアップでは【5-031H】《ギルバート》の加入が大きいですね。手札破壊をしつつ召喚獣対策になります。【4-038L】《セリス》と合わせて2種類召喚獣に干渉できる手段があるので、これらのカードがフィールドにあるだけで相手にプレッシャーをかけられます。
閣下:召喚獣も強力なものが増えています。【5-044C】《背徳の皇帝 マティウス》はどんどんアタックしていきたいこのデッキでは非常に強力ですし、【5-032H】《グラシャラボラス》はこのデッキがやりたいことを全部やってくれます。
ちょーぎょーじ:また、強力な召喚獣が増えたことで【4-146L】《ティナ》を採用できるようになったこともデッキパワーの向上に一役買っています。【4-026H】《ガストラ帝国のシド》が実質的に召喚獣にもアクセスできるようになりましたし、彼女は【カテゴリ(VI)】のフォワードなので【4-048L】《ロック》の能力もより使いやすくなりました。
閣下:このように「Opus IV」までのカードの強さをより引き出せるカードがたくさん加わったのが、いまの「氷単」の躍進につながっていると思います。
――この「氷単」ではどのような展開を目指すことになるのでしょうか。
ちょーぎょーじ:バックアップの展開でいえば【3-044C】《ハル》からの【5-031H】《ギルバート》ですね。この2枚からのスタートは本当に強いです。
閣下:1コストで手札破壊しながらバックアップを出しているわけで、テンポとコストの両面で非常に優秀です。それ以外では【4-026H】《ガストラ帝国のシド》から偶数の【カテゴリ(VI)】のフォワードと【4-048L】《ロック》という流れを狙っていきます。
ちょーぎょーじ:このとき【4-026H】《ガストラ帝国のシド》をバックアップ1枚と手札1枚で出さなくてもいいということを覚えておいてほしいですね。2ターン目に【4-048L】《ロック》のオートアビリティを使うためには1ターン目に実質2コストのバックアップとして【4-026H】《ガストラ帝国のシド》をプレイした方が最終的には得できることが多いです。
◆メタゲームも「氷単」の強さを後押ししている
――優秀なカードが加わったことでデッキパワーが上昇したことについてはわかりました。【3-044C】《ハル》からの【5-031H】《ギルバート》などは確かに強力な動き出しだと思います。しかし、ほかの属性も強化はされているはずです。「氷単」がここまで躍進するようになった要因はなんなのでしょうか。
ちょーぎょーじ:火属性のデッキが環境にあまりいない、というのも要因かなと思います。
閣下:火属性というか除去に特化したデッキですね。いま環境の上位にいるデッキにはフォワードを残さず焼き尽くすようなものがなく、お互いにフォワードを出していくデッキばかりです。そうなるとフォワードどうしがにらみあうか、あるいはお互いに攻めあってダメージレースになるかなんですが、これが「氷単」にとってはやりやすい状況と言えます。
ちょーぎょーじ:「氷単」はダルや凍結でフォワードを疑似的に除去するのが得意です。にらみあいの状況を一方的に打破できるわけです。すると相手は構え続けることが難しいためダメージレースを選択せざるを得ませんが「氷単」と攻めあうのは非常に危険です。
まず、アタックすることによってダル状態になればそこに除去が飛んできますし「氷単」のフォワードの多くはプレイヤーにダメージを与えたときに発動するアビリティを持っています。
閣下:デッキによって速度に差はありますが、環境の中心がフォワードでアタックしていくデッキであることが「氷単」に有利な環境になっていると思います。僕個人としてはもっとコントロールデッキを組みたいんですが(笑)。
――つまり「氷単」を倒すなら除去の多いコントロールデッキというわけですね。「雷単」や「風雷」のようなデッキは「氷単」対策としてどうなのでしょうか。
ちょーぎょーじ:そういったデッキにやられないのがいまの「氷単」の強いところで、「雷単」の【2-097H】《アルシド》を絡めた除去や「風雷」の【4-058C】《サボテンダー》を起点にしたコントロールはいずれも複数のカードが手札やフィールドに必要となります。極端な言い方をすれば小さなコンボになっているので、そこに「氷単」の手札破壊が効いてしまうんですよ。「氷単」を相手にするとなかなか除去に必要なカードがそろわない。
閣下:また、それらのデッキよりも「氷単」はフォワードのパワーが高いという点でも有利です。たとえば【2-097H】《アルシド》と【1-125R】《オニオンナイト》で何かを除去したとしても、そのあとこちらがあらためてパワー8000のフォワードを出したら、仮に【1-150R】《ルール―》でパワーが上がっていても単体では突破できません。
◆「氷単」を打倒するなら土属性がカギ!
――お話を聞いていると「氷単」、かなりスキのないデッキに思えます。
ちょーぎょーじ:もちろん苦手な相手がいないわけではありません。土属性のカードにはいくつか「氷単」に劇的に効くものがあります。【4-085H】《ダダルマー》や【5-095H】《ヤン》といったカードです。
閣下:「氷単」側もこれらのカードは警戒していて【4-085H】《ダダルマー》対策に【4-033C】《シヴァ》を搭載しているのですが、それでもこの2枚のカードを対処するのは大変です。
ちょーぎょーじ:【4-085H】《ダダルマー》や【5-095H】《ヤン》を3枚、【4-079C】《黒魔道士》も3枚というデッキなら「氷単」には有利に戦えるはずです。しかし、それではほかのデッキに勝てませんから、これらのカードを採用しつつも【5-095H】《ヤン》などは枚数を調整して、ほかのデッキとも戦えるようにする調整が必要でしょう。
閣下:「土単」系のデッキも「氷単」と同じく「Opus V」から強くなったデッキなので、この「氷単」とそれを意識した「土単」系のデッキがしばらくは中心になっていくのかなと思います。
――「土単」系が強くなった要素というのはなんでしょうか。
閣下:純粋にカードが充実したということがまず1点あります。フォワードでいえば【5-075L】《ウォル》、バックアップでいえば【5-091H】《星の神子》に【5-082C】《採掘師》、【5-093C】《モグ [MOBIUS]》などですね。
ちょーぎょーじ:フォワードをサーチするカード、復活させるカードがそれぞれ加わったことでデッキの安定感が大きく向上しています。加えてこの「氷単」をはじめとする氷属性のデッキが流行しているということも「土単」系デッキを後押ししていると思います。これから本格的に土系のデッキが増えてくるようなら、今までの「氷単」も形を変えざるを得ないでしょう。
閣下:特に【4-085H】《ダダルマー》は出されると本当に厳しい展開になります。
ちょーぎょーじ:実は「氷単」は【1-093H】《ヴァニラ》などもやっかいですね。どうしてもフィールドに残ってしまうので【2-093H】《ラウバーン》や【4-093R】《ヘカトンケイル》で活用されてしまいます。実際「MASTERS」大宮大会では【1-093H】《ヴァニラ》が残り続けたせいで負けてしまいました。
――「氷単」を倒したい人は、これらのカードからデッキを組んでみてはどうかということですね。今日は有意義なお話をありがとうございました。
◆「氷単」の躍進は続くのか、環境の変化はいかに!?
今回は日本国内で一大勢力になっている「氷単」について、その強みと対策についてお話を伺いました。
「氷単」を使いたい、または「氷単」を倒したいと思っている人に参考になれば幸いです。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!