[From One Card ~1枚のカードから~]【4-087R】《ディリータ》編

『FINAL FANTASY Trading Card Game』の公式記事連載。今回は1枚のカードからデッキを作る過程を紹介する「From One Card ~1枚のカードから~」【4-087R】《ディリータ》編をお届けします!

◆はじめに

皆さんお久しぶりです。ホビージャパンゲーム開発課の荒井です。

読み返してみたら、前回の記事を書いたのはもう3か月以上前ですね! 気が付いたらもう「Opus IV」も発売されていたので、久しぶりにデッキ構築記事をやってみたいと思います。
この記事は「ルールはわかったし対戦もできるけど、1からデッキを組むのがまだうまくできない」という初級者~中級者の皆様に向けておりますので、何かの参考にしていただければ幸いでございます。

なお『FF-TCG』ってどんなゲーム? もっと基本的なことが知りたい方はこちらをどうぞ!

『FF-TCG』を遊んでみよう!
入門編I:『FF-TCG』ってどんなゲーム?
入門編II:『FF-TCG』の始め方
入門編III:『FF-TCG』のルールをおぼえよう!

◆デッキ構築は連想ゲーム!

さて、以前の記事でもありましたが、デッキ構築の手法のひとつとしていわゆる「連想ゲーム」があります。1枚のカードからスタートし、それと相性のよいカードを考えて50枚のデッキを組み上げていくというものです。

というわけで今回も、1枚のカードからいろいろ発想を膨らませていくことにしましょう。
新カードタイプの「モンスター」はほかの記事で掘り下げられていたので、今回はシンプルにシリーズ内でもお気に入りのキャラクターということで……

【4-087R】《ディリータ》にしました
早くも4枚目のカード化となる【4-087R】《ディリータ》ですが、どのカードも原作における彼の立ち位置をよく表していますね。特にこれと【1-112R】《ディリータ》は、「野心のために他者を利用する奸雄」という側面が強調されたデザインになっており、原作再現ポイント高いです。

◆相性のいいカードを集めよう!
さて今回の【4-087R】《ディリータ》は、自分のフォワードを犠牲にして相手のフォワードをブレイクする……いわば「利用する者」としての能力を持っています。ブレイクできるのは同コストのフォワードのみなので、互いに払ったコストとしてはトントン。払った犠牲を糧にのし上がるためには、ちょっとした工夫が必要になります。具体的にいうと「互いにフォワードを1枚ずつ失ったけど結果的にこっちの方が得をしている」状況を作ればいいのであり、そのためには、ディリータで吹っ飛ばすフォワードのチョイスが重要です。例えば……

(1)「フィールドに出たとき」にすでに仕事を終えているフォワード
わかりやすいところでは【3-017L】《ビビ》などでしょうか。【3-017L】《ビビ》は出たときにおおよそ【1-023R】《ブリュンヒルデ》相当のダメージを飛ばしているはずなので、実質0コストのフォワードとして考えることができます。それならば、相手の3コストフォワードと交換しても損はないですし、手札に眠っている2枚目の【3-017L】《ビビ》を展開する助けにもなりますね。

(2)「ブレイクゾーンに置かれたとき」や「フィールドから離れたとき」に誘発するオートアビリティを持ったフォワード
【1-135L】《ゴルベーザ》などが該当します。自分だけ吹っ飛ばしたフォワードを別のリソースに変換できるので、これもお得ですね。

(1)にあてはまるフォワードは、たくさんいるので好みでデッキを組むことができそうです。なので今回は、まずデッキのコンセプトをわかりやすくするために(2)の要素をできるだけ詰め込んでみることにします。
公式サイトのカード検索で探してみると、同じ土属性でも結構いますね。

【1-093H】《ヴァニラ》は【カード名(ヘカトンケイル)】がデッキにあれば、手札やCPを支払うことなく復活できます。4コストは相手の主力級フォワードでもありますので、フォワードの数を減らすことなく除去できるのはすばらしいですね。
そして何より、この「Opus IV」からは《ヘカトンケイル》が1種類増えていますので、復活できる回数が増えている点も見逃せません。採用。

「Opus IV」で登場した【4-092H】《プリッシュ》は、手札にもう1枚《プリッシュ》がいることが前提ですが、こちらもフォワードの数を減らさず除去ができます。相手の【3-139C】《ナイト》などの強力な2コストフォワードを除去しつつ、【4-092H】《プリッシュ》から【3-092L】《プリッシュ》に転身すれば収支はトントンどころかプラスになり、使い勝手はよさそうです。これも採用。

◆もうひとつの属性を決めよう!

【4-087R】《ディリータ》の脇を固めるフォワード陣が少しずつ決まってきました。
まだ土属性しか見ていないので、他の属性からも相性のいいフォワードがいないか探してみましょう。引き続きカード検索してみると……

【4-133C】《バイキング》、これはいい! なんと1枚で先ほどあげた(1)(2)の条件をいずれも満たしており、1ドローの効果も基本的に腐ることがありません。
その分パワーがたったの2000と、戦闘要員としてはほぼ期待ができませんが、そもそもディリータで吹っ飛ばす前提なので問題はないでしょう。採用。

それ以外に目を向けると、【4-105R】《ダイスダーグ》や【4-098H】《アスール》を擁する雷属性も充実しているように見えます。
雷を選べば【3-119L】《ラムザ》と共存でき、【カテゴリ(FFT)】のシナジーが強固になります。一方、水には【ジョブ(騎士)】であるディリータを強化できる【1-156C】《オヴェリア》がいるのが最大の利点です。
奇しくも、ラムザをとるかオヴェリアをとるかという究極の選択を迫られてしまったわけですが……。先人は言いました。愛にすべてを。Somebody to Love。ここは水属性を相方にすることにしましょう。

◆デッキの長所を伸ばしていこう

というわけで、ここまでのコンセプトは

・【4-087R】《ディリータ》と相性のいい、ブレイクされても損をしないフォワードで構成する
・【4-087R】《ディリータ》を強化できる【1-156C】《オヴェリア》を採用する

となりました。
コンセプトは、言い換えるならデッキの“長所”となります。そこを伸ばしていけばデッキの完成度はさらに上がります。

わかりやすいところでいうと、【1-156C】《オヴェリア》がいるのであれば【ジョブ(騎士)】を増やしてよさそうですね。土と水にいる騎士といえば……

【3-093H】《ブレンディレス》、【3-094C】《ペリノア》、【3-083C】《セグリワデス》のトリオでしょう。
バックアップに【3-094C】《ペリノア》+【3-083C】《セグリワデス》+【1-156C】《オヴェリア》と並べば、パワー9000ブレイブ先制(自ターンのみ)付きのできあがり。フルパワーを狙わなくとも、序盤にバックアップをサーチできるだけでも優秀です。

【4-129L】《スタイナー》も「Opus IV」からの期待の新戦力です。
「土水」という属性の組み合わせはフォワードの並ぶスピードが早いわけではないため、ダメージを先行されがち。となると、1ドロー能力が活きるタイミングは多いはずです。実質2コストとして換算できますので、困ったときは【4-087R】《ディリータ》で飛ばしてもそこまで損はありません。

【4-135R】《ベアトリクス》は【4-129L】《スタイナー》の相方で、彼女もまた騎士です。《スタイナー》がいないと本気を出しませんが、【1-156C】《オヴェリア》でパワー8000にするだけでも戦力にはなります。

さて、これでフォワードのラインナップはだいたい固まってきました。【4-087R】《ディリータ》をとことん使い倒すのであれば、各コスト帯をまんべんなくそろえて、相手のどんなフォワードにも対処できるようにしたいところ。各コスト帯の「吹っ飛ばし要員」を並べてみると……

2コスト:【4-092H】《プリッシュ》
3コスト:【4-133C】《バイキング》
4コスト:【1-093H】《ヴァニラ》
5コスト:
6コスト:【3-092L】《プリッシュ》

5コストがいないことがわかります(【3-093H】《ブレンディレス》はなるべくフィールドに残しておきたい)。さて、5コストで気兼ねなく吹っ飛ばせるフォワードは何かいないものか……

はい、【1-185H】《皇帝》が適任そうですね。

◆バックアップの構成には注意!

フォワード陣がある程度決まったので、次はバックアップです。とはいったものの、フォワードによってある程度決まってきます。

この3枚は確定。あとは序盤の動きを滑らかにするために、サーチ能力を持つ3コストのバックアップは入れたいところです。

【3-089R】《名を忘れた少女》、【4-134C】《ブラネ》、このあたりでしょうか。
【4-134C】《ブラネ》の枠は【3-127R】《エーコ》でもよさそうですが、せっかくEXバーストがついているのでこっちにしました。
このようなサーチ能力を持っていて実質1コスト換算のバックアップは、序盤の安定感を上げるために重要な縁の下の力持ちです。主要なバックアップは多くが偶数コストのため、例えばバックアップが1枚で止まってしまったときなどにコストを有効に使えるようになりますので、可能な限り入れておくようにしましょう。

それ以外は主に一般兵バックアップで埋めていくわけですが、ここで気を付けるべきことがひとつ。【3-094C】《ペリノア》+【3-083C】《セグリワデス》+【1-156C】《オヴェリア》をそろえるのが目標のため、序盤にそれ以外のバックアップを並べすぎて早々に5枚埋めてしまうと、フォワード陣が真のパワーを発揮できません。このように並べたいバックアップが明確に決まっている場合は、それ以外は極力、自らのアビリティでブレイクゾーンに行けるカードでまとめておくべきです。

土属性の定番バックアップである【1-120C】《モンク》【4-087R】《ディリータ》にアビリティを使うとこっそり+3000されるのもGOODです。

水属性は【4-126R】《剣術士》がいいでしょう。【4-087R】《ディリータ》によってブレイクゾーンに置かれたり、チャンプブロックで倒された【4-133C】《バイキング》を再利用できます。

◆弱点を補おう

8割くらいカードが決まってきましたので、あとはデッキの弱点を洗い出し、それを補えるかを考えていきます。パッと思いつくこのデッキで対処できないカードといえば……

うわっ……このデッキ、モンスターに触れなさすぎ……?

そうです。「Opus IV」から追加されたモンスターは、現状では対処できるカードがとても少ないのです。【3-093H】《ブレンディレス》や【3-092L】《プリッシュ》など高パワーのフォワードは多いものの、どれだけパワーを上げようが相打ちを要求してくる【4-111H】《ベヒーモス》などはまさに天敵。なんとか、デッキのコンセプトを曲げずに対策カードは入れられないものか……

いました! 【4-080L】《ケフカ》です!
【4-092H】《プリッシュ》や【4-133C】《バイキング》で代替コストを払ってもよいですし、重いですが普通に8コスト払うのもギリギリ許容範囲。これ1枚で対処できる範囲が一気に広がりますので、困ったときのお守りとして入れておきましょう。

◆一人回しで改善点を見つけよう

なんとなく50枚のデッキっぽくなってきたら、一度一人回しをしてみましょう。
一人回しの目的は「デッキが思った通りに動くか」「序盤にしっかりバックアップが並び、序盤に欲しいカードはちゃんと手札に引き込めるか」といった点をチェックすることです。5ターン目くらいまで回してみるのを何回か繰り返せば、おのずと「実は不要だったカード」の存在も見えてくることでしょう。
さて、このデッキのプロトタイプ版を何回か一人回ししてみた結果……

【1-185H】《皇帝》さん、手札に来すぎ

という結論に至りました。

【1-185H】《皇帝》はカードの性質上3枚積むことを要求されますが、コストにできない闇属性のカードを3枚入れることで手札事故の可能性も上がります。特にこのデッキは、序盤に【3-093H】《ブレンディレス》を出してバックアップをサーチすることが必要なため、うっかり皇帝を2枚引いてしまうだけでそのコストが捻出できなくなる可能性があります

これを回避するためには【3-122C】《アルテミシオン》や【4-128C】《コヨコヨ》といった手札を入れ替えるカードを採用する必要があります。しかしながら、先述したようにブレイクゾーンに置けないバックアップは増やしたくないですし、【4-128C】《コヨコヨ》を「皇帝が手札でだぶついた時用」という限定的な条件でのみ使う前提で入れるのはよくありません。その分だけデッキパワーの低下につながってしまいます。

というわけで、【1-185H】《皇帝》の採用はあきらめることにしました。
冷静に考えてみたら、【1-156C】《オヴェリア》率いる騎士軍団である程度のパワーは確保できていますので、無理して重いフォワードを増やす必要性も薄いのです。光闇属性のカードを入れるのであれば、序盤の展開の邪魔にならず、小回りが利くカードにしたほうがいいでしょう。

となると、白羽の矢が立つのは【3-154S】《ジタン》でしょう。
いつ出しても1ドローは担保されていますし、【4-129L】《スタイナー》と【4-135R】《ベアトリクス》でコスト軽減も図れます。【4-087R】《ディリータ》で気軽に吹っ飛ばせる点もデッキの方向性に合致しています。

◆完成!

カード選択から、一人回しでのカード選別を経て、デッキが完成しました!

カードNo. カード名 枚数
フォワード(26枚)
【4-092H】 《プリッシュ》 3
【3-092L】 《プリッシュ》 3
【4-087R】 《ディリータ》 3
【1-093H】 《ヴァニラ》 2
【3-093H】 《ブレンディレス》 3
【4-080L】 《ケフカ》 2
【4-133C】 《バイキング》 3
【4-135R】 《ベアトリクス》 2
【4-129L】 《スタイナー》 3
【3-154S】 《ジタン》 2
バックアップ(17枚)
【4-095C】 《モンク》 2
【3-083C】 《セグリワデス》 2
【3-094C】 《ペリノア》 2
【3-089R】 《名を忘れた少女》 1
【2-093H】 《ラウバーン》 1
【1-156C】 《オヴェリア》 2
【4-126R】 《剣術士》 3
【4-139C】 《モーグリ[THEATRHYTHM]》 1
【4-134C】 《ブラネ》 1
召喚獣(7枚)
【1-117R】 《ヘカトンケイル》 2
【4-093R】 《ヘカトンケイル》 3
【3-123R】 《暗黒の雲ファムフリート》 2

◆おわりに

いかがだったでしょうか。

今回のデッキ構築のポイントは「一人回しの結果【1-185H】《皇帝》が抜けた」ことだったと思います。脳内構築では強かったはずなのですが、実際はそうではなかったという一例ですね。実際の対戦で改善点を見つけるのが一番よいものの、一人回しで気付けることもたくさんありますので、なかなか対戦の時間が取れない方はひたすら一人回しを続けてみるのもおすすめです。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

よい『FF-TCG』ライフを!