『FINAL FANATASY TRADINF CARD GAME』の公式記事連載。2019年最初の記事となる今回は、開発課・荒井によるデッキ構築案内記事「From One Card」をお送りします。
◆はじめに
皆さんお久しぶりです。ホビージャパンゲーム開発課の荒井です。
あけましておめでとうございます! 2019年も『FF-TCG』をよろしくお願いいたします!
さて、現在は各地で『名人戦』の地区予選が絶賛開催中です。私も横浜や徳島、名古屋の大会にジャッジとして参加したのですが、今回が初めての公式イベントという方もいらっしゃったようですね
というわけで、本日の記事では「ルールはわかったし対戦もできるけど、1からデッキを組むのがまだうまくできない」という初級者~中級者の皆様に向けたシリーズ[From One Card ~1枚のカードから~]の「Opus VII」版をお届けします!
「From One Card」過去のシリーズはこちらからご覧いただけます、
◆連想ゲームでデッキを構築しよう!
カードゲームを遊ぶうえで一番楽しくもあり、大変でもあるのがデッキ構築。特に始めたてのころは、1000種類を超えるカードのなかからたった50枚を選ぼうとしてもなかなかうまくいかないものです。
この[From One Card ~1枚のカードから~]では、読んで字のごとく「これを使おう」と決めた1枚のカードからスタートして、それと相性のいいカードを連想ゲームのように探していき、50枚のデッキを組み上げていきます。皆さんのデッキ構築のヒントになれば幸いです。
さて、というわけで「Opus VII」のカードから「この1枚」を決めていくわけですが……今回はこれでいきましょう。「Opus VII」の顔といえば彼以外にはありえません。
描きおろしイラストがあまりにもかっこいい【7-059L】《バッツ》です。
彼自身は4回目のカード化ですが、描き下ろしで収録されるのは今回が初。なかなか個性的な能力のカードのため、どんなデッキを組んでいいものか、いまいちよくわからない方もいるのではないでしょうか。
◆バッツと相性のいいカードたち
というわけで【7-059L】《バッツ》のカードテキストを穴があくほどよく読んで、相性のいいカードを探していくことにします。
まず真っ先に目に入るのが『魔法剣』『二刀流』『乱れ打ち』という3つのスペシャルアビリティ。すっかり彼の代名詞となりましたね。
『乱れ打ち』まで到達すれば脅威の3回攻撃が可能になりますし(原作通りであれば4回なのですが、さすがにゲームバランス的に再現不可能だったようです)、そこまで到達せずとも『魔法剣』『乱れ打ち』を単体で使うだけで強力。
スペシャルアビリティを使うことが前提のカードですので、このデッキではスペシャルアビリティのコストとなる【カード名(バッツ)】を可能な限り入れていきましょう。枚数はあとで調整するとして、ひとまずはほかの3種をすべて入れる前提で考えてみます。
それ以外のテキストに目を向けると、オートアビリティには【カテゴリ(V)】のキャラクターをアクティブにすると書いてあります。アタック後のフォワードを起こせば疑似的なブレイブ付与になり、バックアップを起こせば最小1コストで出せる計算に。スペシャルアビリティのインパクトの前に霞みがちですが、こちらも有用なアビリティでることは間違いありません。
つまり同作品である【カテゴリ(V)】のキャラクターをなるべく多めに入れて、脇を固めていく構築がよさそうということがわかります。こういうときは公式サイトのカード検索で探すのが便利ですので、さっそく【カテゴリ(V)】で絞り込んでみましょう。
最近は単属性のデッキも人気ですが、『FF-TCG』のベーシックなデッキ構築は2属性でバランスよく組むもの。バッツの風属性以外にどの属性を採用するか、この検索結果から検討していきます。カードの種類数が多く、候補になりそうなのはこの3つです。
1.「暁の四戦士」が集まる「土」
2.ギルガメッシュやエクスデスなど敵方を擁する「雷」
3.レナやファリスなど仲間たちのいる「水」
ちょっと迷ってしまいますね。そんなときは、それ以外の要素から考えてみましょう。
【7-059L】《バッツ》のジョブは「光の戦士」。『FF-TCG』においては、作品を超えてシナジー(カードどうしの相乗効果)があることで知られているジョブですので、これを活かさない手はありません。というわけで、カード検索で今度はキーワードに「光の戦士」と入れ、関連するカードを探してみます。
ここで「光の戦士」に関連するカードを持たない雷属性が候補から消えます。残るは土か水ですが、どちらにも【カテゴリ(V)】かつ【ジョブ(光の戦士)】であるフォワード……【7-068H】《クルル》と【7-120H】《ファリス》がいますね。
この2枚を見比べると、【7-120H】《ファリス》はバッツと同じく【カテゴリ(V)】に関連するアビリティを持っており、【カテゴリ(V)】のカードで脇を固めていくというコンセプトに合致することがわかります。ここは【7-120H】《ファリス》擁する水属性を相方とし「風水V+光の戦士デッキ」を構築していくことにしましょう。
◆光の戦士たちを集めよう
というわけで、ここまでのコンセプトは
・【カード名(バッツ)】をたくさん入れて【7-059L】《バッツ》のスペシャルアビリティを連打する
・【7-059L】《バッツ》と【7-120H】《ファリス》が参照する【カテゴリ(V)】のカードを多めに入れる
・【7-059L】《バッツ》と【7-120H】《ファリス》がいずれも【ジョブ(光の戦士)】なので光の戦士シナジーのカードを多めに入れる
となりました。デッキの土台部分ができあがりましたので、ここからはさらにデッキを肉付けしていきます。
引き続き、まずはカード検索でヒットした「光の戦士」関連のカードを入れていきましょう。風属性と水属性で【ジョブ(光の戦士)】のフォワードは【5-052H】《アルクゥ》に【5-141H】《レフィア》、そして【7-115R】《ダスク》の3枚です。
いずれも【ジョブ(光の戦士)】を多く採用することにメリットのあるアビリティを持っており、その内容もパワーアップにドローとバランスのいい面々です。すべて採用してもよさそうです。
そしてコスト3の【ジョブ(光の戦士)】が増えたことで、【5-146H】《ウォル》も候補として浮上してきます。【ジョブ(光の戦士)】のフォワードが多めに採用されていますので、ふたつのオートアビリティを安定して使えそうです。キーカードである【7-059L】《バッツ》がブレイクされてしまっても、彼を経由して復活できるのがうれしいですね。
また、水属性には【5-123H】《エリア》に【7-114H】《セーラ [FFL]》と、【ジョブ(光の戦士)】をサーチするバックアップが2種類あります。この2枚も採用しましょう。
これで「光の戦士」関連のカードはだいたい入ったので、続いて【カテゴリ(V)】関連のカードも入れていきます。まずは【3-144L】《レナ》。【7-120H】《ファリス》は彼女がいればパワーアップするため、入れない手はありません。
【3-144L】《レナ》が入ったことで、彼女がアビリティで呼び出すための「水属性かつコスト2以下のフォワード」も必要になります。
【3-139C】《ナイト》と【3-142H】《ものまねしゴゴ》。いずれも【カテゴリ(V)】であり、このデッキの求める条件とドンピシャですね。コストに比してパワーが高く、戦闘においても期待できそうです。
これである程度フォワードの頭数はそろってきたので、次はバックアップを選定していきます。
◆バックアップはサーチを意識しよう
このデッキは現時点で「○○と△△がそろえば強い」という組み合わせが多く採用されています。このようなデッキはそろったときの期待値は高いものの、逆に言えば手札がちぐはぐな場合は真価を発揮できないという弱点を抱えているともいえます。そろえやすいよう枚数を増やすのはもちろんですが、より安定して運用できるよう、該当カードがサーチできるものがあれば積極的に採用していきましょう。バックアップはその観点から選んでいきます。
<このデッキで有用な組み合わせ>
【7-120H】《ファリス》×【3-144L】《レナ》
→レナをサーチしたい
→【3-059H】《タイクーン王》
【3-144L】《レナ》×【3-139C】《ナイト》
→ナイトをサーチしたい
→【4-134C】《ブラネ》、【6-046C】《シド・ヘイズ》
こういったコスト3のサーチ持ちバックアップは実質コスト1として換算でき、序盤の動きがスムーズになるためぜひとも採用しましょう。すべてEXバースト持ちなのも地味にうれしいですね。
さて、2属性以上のデッキでこのようなサーチ持ちバックアップを入れる場合は「サーチ先のカードがどちらの属性にもある」状態が理想です。たとえば手札の属性が水属性に偏ってしまったときに、サーチで風属性のカードも探すことができれば風のコストが確保でき、よりデッキが安定して動くようになるわけです。
サーチ先が限定的な【3-059H】《タイクーン王》はさておき、【4-134C】《ブラネ》と【6-046C】《シド・ヘイズ》はサーチの範囲が広いため、水属性の【3-139C】《ナイト》だけでなく風属性の一般兵フォワードも入れておきたいところです。なおかつ【カテゴリ(V)】でもあることが望ましいので……
【3-053C】《狩人》にしましょう。アビリティに選ばれないフォワードは、だいたいどんなデッキ相手でも役に立ってくれます。
さて、引き続きバックアップを選定していきます。序盤に出しやすいコスト2のバックアップがまだ足りないので、【カテゴリ(V)】から何枚かチョイスしていきます。
このデッキは【7-059L】《バッツ》が軸になるため、彼がダルや凍結で無力化されてしまうと途端に戦力がダウンしてしまいます。『乱れうち』まで到達していざ3回アタック、といった矢先にダルにされるととっても悲しい。そのため、フォワードをアクティブにできる【3-070C】《予言士》や【7-109C】《薬師》を入れてみることにします。
◆デッキの弱点を補おう
<現在のデッキ・途中経過>
現在、投入を検討をしているカードは以下のとおりです。
■フォワード
【1-080H】《バッツ》
【1-081R】《バッツ》
【3-065L】《バッツ》
【7-059L】《バッツ》
【3-053C】《狩人》
【5-052H】《アルクゥ》
【3-142H】《ものまねしゴゴ》
【3-139C】《ナイト》
【5-141H】《レフィア》
【7-115R】《ダスク》
【7-120H】《ファリス》
【3-144L】《レナ》
【5-146H】《ウォル》
■バックアップ
【3-070C】《予言士》
【6-046C】《シド・ヘイズ》
【7-109C】《薬師》
【4-134C】《ブラネ》
【5-123H】《エリア》
【7-114H】《セーラ [FFL]》
バックアップの枚数がまだ足りないのですが【ジョブ(光の戦士)】や【カテゴリ(V)】に関連するカードはだいたい入りました。残りのカードは、このデッキのコンセプトに沿うというよりは、弱点を補う方向で考えてみましょう。
そして、ざっとこのデッキのカードを実際に並べてみると、ひとつの共通点が見えてきました。
パワー7000前後のフォワードが多く、高パワーのフォワードが不足していることがわかります。【5-141H】《レフィア》などパワーを上げるカードもありますが、それらが除去されてしまうと相手の大型フォワードの前に攻めあぐねてしまいそうです。
というわけで、バックアップでパワーの底上げをすることにしましょう。風属性のバックアップで適任のカードがありますね。
そう、【1-083H】《マリア》です。属性問わずパワーを+1000するアビリティは言うまでもなく強力です。
それ以外の候補としては水属性限定で強化する【1-180R】《ワッカ》もありますが、【1-083H】《マリア》と併用するとバックアップのコストが全体的に重くなるのが悩みどころ。すでに【3-059H】《タイクーン王》や【4-134C】《ブラネ》がおり、奇数コストのバックアップが多くなってしまうのも気になります。むしろ不足しているのは序盤に気軽に置けるコスト2のバックアップなので、条件に合致するカードはないかもう一度探してみます。
いました。【2-050H】《アルクゥ》です。パワーアップ対象が【3-053C】《狩人》と【3-139C】《ナイト》のみですが、コスト2で永続的にパワーを上げられるバックアップは貴重であり、採用に値します。
名称が被っているためフォワードの【5-052H】《アルクゥ》は諦める必要がありますが、そこはやむなし。このカードも【ジョブ(光の戦士)】のため、序盤にバックアップが引けなかったときに【5-146H】《ウォル》で探しにいけるのも大きなメリットです。
これでフォワードとバックアップがだいたいそろいました。
あとは召喚獣やモンスターですが、このデッキは《バッツ》にそれなりの枚数を割かなくてはいけないため、召喚獣を入れる余裕があまりありません。弱点を補うことを前提に、必要最小限のカードで構成することにします。
スペシャルアビリティを封じてくる【2-147L】《皇帝》は天敵であり、これを出されると手札にたくさんの《バッツ》を抱えたまましょんぼりしてしまいそうです。風か水属性で、コスト4のフォワードをピンポイントで除去できる召喚獣は【3-071H】《輪廻王カオス》しかないので、お守りとして入れておきましょう。
あとはパワーが低めなフォワードを支援するカードとして、相手のパワーをマイナスできる【2-133R】《不浄王キュクレイン》も入れておきます。フォワード同士の戦闘で役に立つのはもちろんですが、パワーを下げることで【7-059L】《バッツ》の『魔法剣』で倒しやすくするという狙いもあります。
◆枚数を調整して完成!
これでデッキに入れたいカードはそろいました。あとは枚数を調整して50枚に合わせていくわけですが……さすがに欲張りすぎたか、どうやっても50枚をオーバーしてしまいそうです。やはり《バッツ》12枚体制は【7-059L】《バッツ》を引けなかったときの手札でのダブつきが尋常ではないため、1種くらい削ることにします。
【1-080H】《バッツ》はEXバーストでめくれたらうれしいので残留。
【1-081R】《バッツ》は【ジョブ(光の戦士)】かつ【ジョブ(一般兵)】でもあるため、このデッキであればフィールドに出して戦わせる選択肢もとれそうです。これも残留。
一方【3-065L】《バッツ》は、フォワードの多くが【ジョブ(光の戦士)】であるこのデッキでは、複数のジョブをそろえるのが難しそう。【1-081R】《バッツ》と違っていざというときにフィールドに出した際には強いとはいえないため、ここは【3-065L】《バッツ》を外すことにします。
こうして、デッキが完成しました!
・風水バッツ&光の戦士
カードNo. | カード名 | 枚数 |
フォワード(29枚) | ||
【1-080H】 | 《バッツ》 | 3 |
【1-081R】 | 《バッツ》 | 3 |
【7-059L】 | 《バッツ》 | 3 |
【3-053C】 | 《狩人》 | 2 |
【3-142H】 | 《ものまねしゴゴ》 | 1 |
【3-139C】 | 《ナイト》 | 3 |
【5-141H】 | 《レフィア》 | 3 |
【7-115R】 | 《ダスク》 | 2 |
【7-120H】 | 《ファリス》 | 3 |
【3-144L】 | 《レナ》 | 3 |
【5-146H】 | 《ウォル》 | 3 |
バックアップ(17枚) | ||
【2-050H】 | 《アルクゥ》 | 3 |
【3-070C】 | 《予言士》 | 1 |
【3-059H】 | 《タイクーン王》 | 1 |
【6-046C】 | 《シド・ヘイズ》 | 1 |
【1-083H】 | 《マリア》 | 2 |
【4-126R】 | 《剣術士》 | 3 |
【7-109C】 | 《薬師》 | 2 |
【7-124C】 | 《予言士》 | 1 |
【4-134C】 | 《ブラネ》 | 1 |
【5-123H】 | 《エリア》 | 1 |
【7-114H】 | 《セーラ [FFL]》 | 1 |
召喚獣(4枚) | ||
【3-071H】 | 《輪廻王カオス》 | 2 |
【2-133R】 | 《不浄王キュクレイン》 | 2 |
唐突にやってきた【4-126R】《剣術士》と【7-124C】《予言士》は水バックアップの枚数調整によるものです。サーチ付きのバックアップの種類が多いため枚数を散らして1枚ずつ入れることにし、そこで空いた枠に入る形になりました。【4-126R】《剣術士》は「自分をブレイクゾーンに置けるバックアップ」の不足を補う目的もあります。
【ジョブ(光の戦士)】は17枚、【カテゴリ(V)】はたっぷり26枚。【5-146H】《ウォル》や【7-120H】《ファリス》のアビリティで何も手に入らないことはそうそうありません。
ですので序盤はバックアップ2枚→【5-146H】《ウォル》or【7-120H】《ファリス》でスタートし、手札を整えつつフォワードを展開していくのがいいでしょう。中盤からは【5-141H】《レフィア》や【1-083H】《マリア》でパワーを上げ、殴り合いを制していきます。
【7-059L】《バッツ》は無理して『乱れうち』を狙わず、『魔法剣』でフォワードを除去したり、『二刀流』をちらつかせてけん制するのが主な仕事です。手札が1枚でも残っていれば「それが《バッツ》だったら」と相手が警戒するため、見た目以上にプレッシャーを与えられます。もちろん、相手が無防備になったタイミングであれば遠慮なく『魔法剣二刀流乱れ打ち』をたたき込みましょう。
◆終わりに
というわけで、1枚の【7-059L】《バッツ》からスタートしたデッキ構築の模様をお届けしました。なんと現在開催中の「名人戦」地区予選では、参加賞としてこのバッツのイラストを使用したスリーブが手に入ります! スリーブとデッキの内容を合わせて使ってみると、より愛着がわくのでおすすめです。
ではまた!