スクウェア・エニックスが展開する『FINAL FANTASY Trading Card Game』の公式記事連載。今回よりさまざまな企画記事をお送りしていきますが、その第1回目は、1枚のカードに注目して、そのカードをフィーチャーしたデッキを考えながら、同時にデッキ構築の手法を探っていく、題して「From One Card ~1枚のカードから~」のコーナーをお届けします!
◆はじめに
はじめまして。『FF-TCG』プレイヤーの登別(のぼりべつ)と申します。こんな名前ですが東京在住で、関東や東北のイベントによく出没しています。
この記事では、数ある『FF-TCG』のカードから1枚を選び、それを軸にしたデッキを作り、紹介していきます。公式大会のレポートではあまり登場しないようなカードにスポットを当てつつ、初級者の方にはデッキ構築の実例としても参考になるような内容にしたいと考えております。よろしくお願いします!
なお、この記事は、初級者~中級者の方を対象にしています。具体的には「ルールはわかったし対戦もできるけど、1からデッキを組むのがまだうまくできない」という方々の助けになることを目的としています。もしかすると上級者の方には物足りない内容かもしれませんが、そういう趣旨ですのでご容赦ください。
◆まずはコンセプトを決めよう!
さて、デッキを組む上で最初に必要になるのは、どんなデッキを組みたいかという「コンセプト」です。といっても難しいものではありません!「このキャラクター」「このタイトル」「この属性」でデッキを組もう、というのがまずぼんやり決まっている程度で大丈夫です。今回のテーマですと「この1枚を使いたい」。それでも十分デッキは作れます。
『FF-TCG』は原作のあるキャラクターゲームですので、好きな作品から「この1枚」を決めていくのがもっとも自然でしょう。好きな作品は皆さんそれぞれあると思いますが、今回は筆者の独断と偏見で、今が旬のタイトルからチョイスすることにします。
……そういえば、HDリマスター版「THE ZODIAC AGE」の発売が間近に迫っている作品がありましたね!
というわけで、今回は「FINAL FANTASY XII」の主人公である【2-051L】《ヴァン》を「この1枚」として、彼を中心にデッキを組んでいくことにします。
◆相性のいいカードを集めよう!
「よいデッキ」とは何か。それは統一性のないカードの寄せ集めではなく、カードどうしの相性がしっかりと考慮され、1+1が3にも4にもなるデッキのことです。今回は【2-051L】《ヴァン》を軸にデッキを組みますので、デッキ内には彼と相性のいいカードを集めていく必要があります。
では、相性の良し悪しを知るにはどうしたらいいのでしょうか?
そのためには、まずカードに書かれているテキストをよーく、穴が開くほど読みましょう。【2-051L】《ヴァン》の能力は、要約すると「自分のバックアップを手札に戻せる」というものですね。
はてさて、せっかくコストを払ってフィールドに出したバックアップを戻してしまうのは、一見するとデメリットのように思えます。
しかし! ここで『FF-TCG』特有の「同じ名称のカードは一般兵以外複数出せない」「バックアップは5枚までしか出せない」というルールが意味を持ってきます。誰しもあるはず……バックアップを5枚並べたあとに【1-137R】《シーモア》を引いてしまい、出せずにしょんぼりした経験が……。
【2-051L】《ヴァン》は、そんな状況を助けてくれる「バックアップのスペースを空けられる」「強力な『フィールドに出たとき』のアビリティを持つバックアップを再利用できる」カードなのです。つまり、そういったバックアップ全般が彼と相性のいいカードといえます。
ぼんやりですが、デッキの方向性が見えてきました。【2-051L】《ヴァン》の「強み」を念頭に置いて、他のカードをどんどんチョイスしていきましょう。
◆同作品のカードは入れ得!
もちろん例外もありますが、原則として同じ作品のフォワードはある程度関連性のあるアビリティを持っていることが多いです。【2-051L】《ヴァン》と同じ風属性で、かつ「XII」のキャラ……といえば、忘れちゃいけないこのお方。「バルフレア」ですね。
【2-065L】《バルフレア》は、【2-051L】《ヴァン》と同じくバックアップに関連したアビリティを持っています。ヴァンでバックアップを戻し、それを出し直せばバルフレアが毎ターンアクティブに! これは実に相性がよさそうです。
もう1枚、【2-066R】《バルフレア》も見逃せません。3コストパワー6000と平凡なスペックながら、バックアップである【2-068R】《フラン》をサーチできるのが素晴らしい。このデッキはバックアップを利用した動きが前提になるため、バックアップを引けない「事故」は極力回避したいところです。このサーチによって、デッキの安定性がグッと上がります。
どちらの「バルフレア」も甲乙つけがたいので、ここは思い切って両方採用してみましょう。同名フォワードは同時にフィールドには出せませんが、【2-065L】《バルフレア》はスペシャルアビリティを持っているので、手札に重なっても有効に活用できます。相手の【1-123R】《オーディン》や【1-018L】《バハムート》に対してスペシャルアビリティの「略奪のコンパス」で対応できたときの気持ちよさといったらもう!
これで【2-051L】《ヴァン》や【2-065L】《バルフレア》がデッキの中心になることが決まったので、それらのカードは確実に手札に引き込みたいところ。そんなときに役に立つのが「サーチ効果」を持つカードです。
雷属性の【2-106R】《グラミス》は「カテゴリ:XII」のフォワードがサーチ対象のため、ヴァンとバルフレアのどちらでも手札に持ってくることができます。序盤にもたついたときは【2-066R】《バルフレア》から【2-068R】《フラン》とサーチを連鎖させることで、バックアップ展開が安定するのもすばらしいですね。ということで、もう1属性は雷属性にすることが決定しました。
また【2-106R】《グラミス》のようなカードは、手札の属性バランスを調整するのにも役立ちます。風属性の「ヴァン」と「バルフレア」以外にも、雷属性のカードもサーチできるようにすると、序盤のコスト確保がやりやすくなり、よりデッキの安定性が高まるので、何か入れられるフォワードはいないか探してみましょう。
【2-097H】《アルシド》は、Opus2現在唯一の雷属性にして「カテゴリ:XII」のフォワードです。アビリティはフォワードの数を増やしつつ、6000ダメージを飛ばせるという便利なもの。【2-065L】《バルフレア》の2000ダメージと組み合わせる使い方も考えられ、なかなかの相性と言えるでしょう。
彼のアビリティでは「雷属性のコスト3以下のフォワード」を出せるので、この条件に合うフォワードも何枚か入れましょう。
これらはいずれもフィールドに出たときにダメージを飛ばせるフォワードです。
【1-125R】《オニオンナイト》なら合計11000ダメージ、【1-211S】《リグディ》でも合計9000ダメージが狙えます。【2-097H】アルシドが手札にいない場合でもこの2枚でコンボになりますし、【2-065L】《バルフレア》との合わせ技も狙えるので、入れておいて損はないでしょう。
原作では女性を引き連れてさっそうと登場することでおなじみの《アルシド》さんですが、残念ながら『FF-TCG』においては、一緒に出てくるのは男ばかりのようです。勝利のために我慢していただきましょう。
◆バックアップで「ヴァン」をサポート
フォワードのラインナップはだいたい決まってきたので、あとはバックアップです。
【2-051L】《ヴァン》を活かすには「フィールドに出たとき」のオートアビリティを持ち、かつ2コストのバックアップを多く入れたいところ。そして風か雷属性といえば……
いました!!
パワーを-4000する効果は、小粒なフォワードには除去として機能し【2-051L】《ヴァン》のアタックを通しやすくするサポートも担います。【2-065L】《バルフレア》の2000ダメージとの合わせ技もアリ。これを出したり戻したりを繰り返す動きは、デッキコンセプトと言って差し支えないくらい強力ですね。100点満点!採用!
このカードもなかなかですね。氷属性に凍結させられたフォワードもこれで一気にアクティブにすることができますし、EXバーストの数を増やせるのもうれしいところ。【2-108C】《黒魔道士》もこれも、フォワードのいない序盤に置いてしまうと何も得るものがないのが共通の弱点ですが【2-051L】《ヴァン》で戻して再利用することで弱点を克服しています。1ターン目に置いたってええんやで!
◆デッキの弱点を補強しよう
だいたいデッキの大枠が完成してきました。
・【2-051L】《ヴァン》で手札に戻すことで【2-108C】《黒魔道士》などのオートアビリティを連発し、戦闘を有利に進める
・【2-065L】《バルフレア》や【2-097H】《アルシド》で細かいダメージを蓄積させ、相手のフォワードをブレイクしていく
これが基本的な戦術になりますが『FF-TCG』のカードの中にはこれらの戦術を否定してくるカードも存在します。相手に使われたときに対応できるよう、それらの対策カードもデッキに入れておきましょう。
細かなダメージを与えるカードをことごとくシャットアウトしてくる【1-171H】《ミンウ》は天敵です。【1-088C】《弓使い》で退場願いましょう。
ダメージを大幅に軽減されるため【2-145L】《ウォーリアオブライト》を倒すにはかなり骨が折れます。【1-123R】《オーディン》で後腐れなくブレイクしてしまいましょう。
◆最後に微調整!
【1-199S】《パイン》は【2-071R】《リュック》がいれば、実質0コストのフォワードとして運用できます。パワーもしっかり7000あり、戦闘要員としても申し分なし。
ついでに、【2-071R】《リュック》をサーチできる【2-063R】《パイン》も少しだけ入れることにしましょう(「バルフレア」と違ってスペシャルアビリティはないので入れすぎはNG)。
彼女を【1-197S】《アニキ》からサーチすることで「【2-106R】《グラミス》→【2-066R】《バルフレア》→【2-068R】《フラン》」と同じようにサーチの連鎖を形成できます。
【2-097H】《アルシド》からの展開を常に狙えるよう、アビリティで出せるフォワードは気持ち多めに入れておきたいところ。ヘイスト持ちのこのカードで、奇襲性をプラスすることにします。
属性が合えば、デッキタイプを問わず仕事をしてくれる汎用カードの皆さんです。残った枠を埋めてもらいます。
◆デッキが完成!
そんなこんなでデッキが完成しました!
風雷《ヴァン》
フォワード(25枚) | 枚数 | |
1-119S | 《パイン》 | 3 |
2-063R | 《パイン》 | 1 |
2-066R | 《バルフレア》 | 2 |
2-065L | 《バルフレア》 | 3 |
2-051L | 《ヴァン》 | 3 |
1-080H | 《バッツ》 | 3 |
1-211S | 《リグディ》 | 3 |
1-125R | 《オニオンナイト》 | 3 |
2-103H | 《カイン》 | 2 |
2-097H | 《アルシド》 | 2 |
バックアップ(18枚) | 枚数 | |
1-088C | 《弓使い》 | 3 |
2-071R | 《リュック》 | 3 |
2-068R | 《フラン》 | 1 |
1-197S | 《アニキ》 | 1 |
1-083H | 《マリア》 | 2 |
1-121C | 《赤魔道師》 | 3 |
2-108C | 《黒魔道士》 | 3 |
2-106R | 《グラミス》 | 2 |
召喚獣(7枚) | 枚数 | |
1-074R | 《シルフ》 | 2 |
2-107C | 《クリュプス》 | 2 |
1-124R | 《オーディン》 | 3 |
◆このデッキのプレイングは?
『FF-TCG』は1ターン目から無数の選択肢が存在するゲームなので、動かし方をひとつひとつ言語化するのはなかなか困難です。なので、押さえるべきポイントを箇条書きで記しておきます。
・序盤はバックアップを並べる。相手がフォワードを先出ししてきてもあわてない
・【2-051L】《ヴァン》は序盤に出しても強くないので、バックアップが4枚そろってから。主役は遅れてやってくる
・【2-065L】《バルフレア》を出すときは「略奪のコンパス」を構えておくと安心。相手の除去に対応してドヤ顔しよう
◆おわりに
というわけで、今回は【2-051L】《ヴァン》を例に、デッキ構築の実例をお届けしました。【2-051L】《ヴァン》の能力に着目し、そこから連想ゲームのように残りの47枚を決めていきましたが、この方法は今回に限らず、あらゆるデッキ構築に応用できるかと思います。皆さんのデッキ構築の一助になれば幸いです。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
よい『FF-TCG』ライフを!