皆さん、こんにちは。カードゲーマー編集部の編集(川)です。
7月23日(金)に『マジック:ザ・ギャザリング』の新セット「D&D:フォーゴトン・レルム探訪」が発売 されます!
30年近くに及ぶ『マジック』の歴史において初となるコラボセツト(「イコリア:巨獣の棲処」でのゴジラコラボのようなカード単位でのコラボやではなく、セット全体で!)なのです!
しかも、そのコラボ相手が世界最古のロールプレイングゲームである『D&D (DUNGEONS & DRAGONS/ダンジョンズ&ドラゴンズ)』なのですから、これはもうシリーズものの漫画やゲームで今作の主人公と前作の主人公がタッグを組んで戦うときのようなワクワク感があります!
『D&D』は1974年の初版発売以来、50年近くに渡って今もなお全世界で親しまれているアナログゲー厶の金字塔的な存在 で、いま現在も世界でもっとも遊ばれているRPGであるという、現役のレジェンドです。
その影響力たるや『D&D』がなければ『マジック』もなかったかもしれないというレベルですし、「RPG (ロ—ルプレイングゲーム)」というジャンルそのものが生まれていなかったかもしれません。
さらに言えば、今年の後半に『マジック』とNetflix発の人気海外ドラマ「ストレンジャー・シングス」のコラボが発表されていますが、この「ストレンジャー・シングス」の物語もまた『D&D』に影響を受けており、劇中で子どもたちが『D&D』を遊んでいるシーンもあります。
『D&D』は、日本国内ではその名前がゲーマー層に知られているくらいで実際に遊んだことがある人は多くないかもしれませんが、本当に歴史のあるゲームなのです(ちなみに『D&D』の日本語版は「カードゲーマー」と同じくホビージャパンが販売しています。ご存知でしたか?)。
あと、まったくの余談ですがこの記事を書いている編集(川)は5年くらい前に『D&D』を遊んでおり、そのときは「基本セット2015」に収録されていた《世界を目覚めさせる者、ニッサ》をモチーフにしたハーフエルフのキャラクターを作ってプレイしていました。 チュートリアル的なシナリオにもかかわらず、かなり頭のいいコボルドの群れと激闘を繰り広げた記憶があります。懐かしいですね。
『D&D』の紹介と思い出話はこれくらいにして、ここではそんな「フォーゴトン・レルム探訪」に収録される『D&D』のフレーバーに満ちたギミックを持ったカードを紹介します!
◆これぞRPGの醍醐味!ダイスを振ったら何かが起こる! !
最初に紹介するのは緑のアンコモンから《毒々しいトロール》。
通常のカードイラストと、クラシックルールブック版のカードをあわせてどうぞ!
5マナ6/2とタフネスが低く,すぐやられてしまいそうに見えますが墓地にあるときにコストを払って20面ダイスを振り、10以上の数字が出れば手札や戦場に戻すことができます。1-9の目が出ると次のドローがこれになってしまいますが、ダイスを振る以上そういうことも起こりえると割り切って諦めましょう。
d20という表記を見慣れない方もいるかもしれませんが、これは20面ダイスを表すRPGの用語です。RPGではキャラクターの行動の成否判定をこの《毒々しい卜□ール》のようにダイスの出目を参照して行なうことがよくあります。6面ダイスを2個振るときなどは「2d6で(判定して)」と言ったりもしますね。
20の目が出たときだけ効果が強いのは、いわゆる”クリティカル”を表しています。厳密には『D&D』における”クリティカル”とは別なのですが、一般的なRPGで言われるクリティカルヒット、いわば会心の一撃ですね。
《毒々しい卜□ール》の主な活躍の場はリミテッドになりそうですが、先制攻撃持ち以外との戦いでは悪くても相打ちで、ゲームを決める力自体はフィニッシャー級に高く、マナフラッドの受けにもなるという点でなかなか見どころのあるカードなのではないでしょうか。
構築で使用する場合は、何回も高パワーのクリーチヤーが戦場に出るという点に着目して《ガラクの蜂起》のようなカードと組み合わせるのがよさそうです。トランプルがつくことによって高いパワーを活かしやすくなる点も好相性でしよう。
続いてもう1枚はコモンから《ハダルの伝令》です。
『D&D』には”死の星”アカマル、”呪われた緑の星”ギベスといった星が登場しますが’、ハダルもそういった星の一つです。少しハダルについての説明を『D&D』日本語版公式サイトから引用してみましょう。
ハダルの赤い光は、夜空に眼を凝らさないと見えないほどに鈍く弱弱しい。この星はゆっくりと燃え尽きつつあり、やがて命なき燃え殻になってしまうさだめなのだ。『メレクの黙示録』によれば、ハダルはかつて夜空でもっとも明るい星であったが、バイル・トゥラス帝国に崩壊をもたらした大災害のさなかに焼け付くような眩い光を放って燃え上がり、その後は勢いが弱まって血のように赤黒い燃え殻となったのだという。今やハダル星は死の淵にぶら下がって何とか持ちこたえているといったありさまだ。ヘラルド・オヴ・ハダル(ハダルの使者)はハダル星の死に際のあがきが具現化した存在であり、生きているクリーチャーの気配を感じ取って力を増す恐るべき化け物である。
この文中に登場するヘラルド・オブ・ハダルこそが《ハダルの伝令》でしょう。
彼の赤いマントは”血のように赤黒い燃えがら”と称されるハダルの放つ光がモチーフになっていると思われます。
ちなみにこのハダルやアカマル、ギベスといった星から来るものたちは「スター・スポーン」と呼ばれます。こちらについても解説を引用してみましょう。
ウォーロックや賢者たちは知っている。我々が夜空の星を見上げる時、飢えた眼で見つめ返してくる星々が存在することを。星辰の位置正しく、星々の光がこの世界に正しい角度で降り注ぐ時、スター・スポーン(星の子)がこの世に現れる。スター・スポーンは完璧なまでに邪悪な存在である。
このようにスター・スポーンは完璧なまでに邪悪な存在とされています。黒のクリーチャーであるのも納得ですね。
また、文中に出てくるウォーロックという単語にも注目してみてください。
ウォーロックは英語で書くとWarlock、『マジック』のクリーチャー・タイプで言うと「邪術師」です。邪術師は「エルドレインの王権」で初めて登場したクリーチャー・タイプで、また「ゼンディカーの夜明け」で登場した戦士・ウィザード・クレリック・ローグによる”パーティー”のシステムも『D&D』を思わせるものでした(職業はちょっとだけ異なりますが)。
つまり、今回のコラボへの布石はだいぶ前から打たれていたというわけですね。
さて《ハダルの伝令》は20面ダイスの出目によって相手のライフを奪う能力を持っています。「ストリクスへイヴン:魔法字院」に収録されている《湿原のスペクター》に近いカードですね。
《湿原のスペクター》はリミテッドではなかなかのクッドコモンだったので、この《ハダルの伝令》にも似た働きが期待できそうです。
《毒々しいトロール》も《ハダルの伝令》も、1-19の目のときは「ふーん」という感じですが、20の目が出たときは多分「えっ! ?」となると思います。
RPGを普段遊ばない方にとっては20面ダイスを振るというアクションはもしかすると先手後手を決めるときくらいにしかしないものかもしれませんが、このランダム性が引き起こす駕きの瞬間はRPGの醍醐味とも言えるものなので、ぜひたくさんダイスを振ってみてくださいね!
◆おわりに
というわけで、今回は7月23日(金)発売の新セット「フォーゴトン・レルム探訪」収録のカード2枚をレビューしました。
7月30日(金)発売の「カードゲーマーVol.59」の『マジック』記事でも「フォーゴトン・レルム探訪」の記事を掲載しますので、こちらもぜひチェックしてみてくださいね!
それでは、また次回の記事でお会いしましよう!