【FFTCG】「Chapter」シリーズ昔話 カードで振り返る当時の『FFTCG』#5

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は、昨年10周年を迎えた「Chapter」シリーズを振り返る振り返る記事の第5回をお届けします。

◆はじめに
皆さん、こんにちは。編集(川)です。
『FFTCG』では2月に「カスタムスターターセット FINAL FANTASY X」、3月に新ブースターパック「光の使者」が発売されます。

この「光の使者」は「Opus I」から数えて16番目のブースターパックであり、ついに「Opus」シリーズが、ブースターパックが通算で15弾まで発売された「Chapter」シリーズの数を上回ることになります。
昨年10周年を迎えた『FFTCG』ですが、こうして歴史は積み重なっていくんだなぁ、と感慨深い気持ちになりますね。

さて今回は、久しぶりに「Chapter」シリーズの『FFTCG』事情を振り返る記事の第5回をお届けしようと思います。
気づけば10周年のメモリアルイヤーは過ぎてしまいましたが、気にしません!

これまでの「Chapter」シリーズ振り返り記事
#1(Chapter I-II)
#2(Chapter III)
#3(Chapter VI)
#4(Chapter V)

今回は「Chapter VI」登場時の環境を取り上げます。
それではさっそくどうぞ!

◆氷河期の訪れ
「水雷」、「火土」、「風単」、「火氷」など、さまざまなバリエーションのデッキが活躍した「Chapter V」環境。
新たに「Chapter V構築」(※現在でいう「L6構築」などに相当するフォーマット。「Chapter V」から始まり、最終的に「Chapter VIII」までのカードが使用範囲)もスタートして、次のセットではどんなカードが出るのか、注目が集まっていました。

そうして登場した「Chapter VI」ではまず何といっても氷属性の躍進がトピックとなるでしょう。

その筆頭が【6-016U】《アルド》

フィールドに出たとき、対戦相手のフォワードかバックアップをすべて凍結させられます。
まず強いのが最序盤にキャストしてバックアップを縛る使い方で、たとえば、お互い1ターン目にバックアップを2枚出していた状況でこれを出せば、パワー8000のアタッカーを出しつつ次のターン相手はバックアップを使えなくなるため、序盤に大きなテンポ差をつけられます

中盤以降はさすがにバックアップを縛る効果は弱まりますが、それでも奇数コストのカードをかなり使いにくくできるため、標準的なスタッツのフォワードについている効果としては十分でした。

フォワードを凍結させる効果も、実質相手のアタックフェイズを1回スキップさせられる(おまけにブロックもできません)ようなもので、お互いに攻めているタイミングではこれもまた大きなテンポ差を生みます。こちらも非常に強力でした。

そして、この【6-016U】《アルド》を中心に「Chapter VI」の氷属性のカードはどれもダル、凍結戦略と強力なシナジーを持っていました。

次は【6-023R】《背徳の神帝マティウス》を見てみましょう。

相手のフォワードを無条件ですべてダルにできるため、相手のアタック前にキャストするだけで、そのターンのアタックを止めつつ返しのターンでこちらは悠々とアタックできます。もちろん【6-016U】《アルド》で追撃すれば相手はもう1ターンお休みです。

また、EXバーストがついているのも非常に強力で、総攻撃でフィニッシュだと思っていたらこれがめくれて大逆転というシチュエーションも頻発

さらに、ダル状態のフォワード全員に6000ダメージを与える効果もあるので、何体かでアタックする→最後のほうのアタックでこれがめくれて全体ダメージ→手札からさらにこれを召喚される→壊滅という、やられる側からすると悪夢のような展開も多かったですね。

フォワードのパワーの半分のダメージを与える【5-059U】《リッチ》との相性も良好で、どちらかがEXバーストしたらもう1枚を召喚して相手を全滅させる「リッチマティウス」も1つのパッケージとして活躍しました。

氷属性の優秀な追加戦力はこれだけではありません。ほかにも優秀なフォワードが追加されています。

まず【6-019S】《クイーン》は出たターンから相手のフォワードをダルにできるため、すぐに除去されても仕事をこなせるやり手
【6-026R】《マキナ》はアグレッシブなデッキの初手にぴったりのカードで、ほかのフォワードをコントロールしていなければコスト2でパワー8000の先制攻撃、ブレイブ持ちとなり、攻防両面で活躍します。相手に高パワーのフォワードが並んできたら【6-019S】《クイーン》を出してダル要員になれる点も便利です。

また【6-015U】《アークエンジェルTT》も、フィールドに出たときに仕事をするのにスペシャルアビリティ「アモンドライブ」が危険すぎて除去しないわけにはいかないという、存在感のあるフォワードでした。

コスト2以下のフォワードを復活させつつ2000ダメージを与える【4-014U】《フェニックス》と相性がよく、相手のアタックにあわせて2000+5000で7000ダメージを与えつつ、スペシャルアビリティを匂わせて相手にプレッシャーをかけるのが強力でした。

さらに「Chapter VI」の氷属性が強かったのは、フォワードや召喚獣だけではありません。バックアップ陣にも氷属性の弱点を補う心強いスタッフが追加されていました。

まずは【6-017C】《曲芸士》

相手に見えているので奇襲的な効果はありませんが、2コストのバックアップを構えているだけで【1-090S】《シャントット》などをけん制できるのはとても便利。一般兵アイコンを持っているので複数枚並べられる点も安定性が高く、防御手段として優秀でした。

そしてもう1枚、【6-021C】《シャマンド》も忘れられません。

「これだけ氷属性がプッシュされたならダル、凍結に強い風属性でいけるのでは?」という狙いを根本から破壊するカードで、なんとキャラクターを効果でアクティブにすることができなくなります

効かない相手にはまったく効かないので、投入するにはメタゲームの見極めが必要でしたが、このカードの存在自体が風属性へのプレッシャーになっており、実際にデッキに入れずともダル、凍結戦略を後押ししてくれました。

ここまで「Chapter VI」から7枚のカードを紹介しましたが、この弾の氷属性のカードは14枚なので、実に半分がトーナメントシーンで暴れられるスペックだったことになります。

残っているカードも手札破壊戦略とバッチリかみ合う【6-020U】《ゲスパー》に【6-025U】《ブッカブー》、強力なコントロール性能を持つ《シド・ランデル》をサーチできる【6-027R】《ミュート》など、全部のカードに活躍の場があったと言っても過言ではありませんでした。

◆氷河期でも躍動するデッキたち
そうして始まった環境でまず頭ひとつ抜けたのは「火氷」。前述のテンポを取れる氷属性のカードを中心に、火属性からヘイスト持ちでダメージを与えるアビリティを持つ【6-006R】《ケイト》や強力なブロック制限をかける【6-011C】《バブズ》を採用したものが大会で結果を残しました。

そして、【6-021C】《シャマンド》でアクティブになれないなら、最初からダルにならないカードを使えばいいんだということで、土属性も躍進。相手の効果でダルにならない【1-081R】《ガイ》や【2-056C】《黒魔導士》が再び注目されました。

新カードでは除去耐性を持ったサーチエンジンである【6-055S】《リディア》が採用され、これによって優秀な召喚獣を集め、【6-046C】《グラビトン》で全体強化につなげる「土単」が活躍しました。【6-052U】《ヘカトンケイル》によって除去能力が大きく向上していたのも理由だったと思います。

また、アグレッシブなデッキに対してはコストを支払わないとブレイクできない【6-056R】《レドナ》が活躍。当時はコストの制限なくバックアップをブレイクできた【1-097U】《ヘカトンケイル》とあわせて相手の動きを鈍らせ、ペースをつかませないようにしていました。

さらに研究が進むと「闇属性のキャラクターってほとんど採用されてないよね」ということで【6-060S】《カイン》をアタッカーに据えた雷属性のデッキや、

【6-068R】《憤怒の雷帝アドラメレク》と【2-045S】《リノア》の相性がいいことに着目した「風雷」のデッキが出てきたりと、「氷属性強し」とされながらも実に多彩なデッキが活躍する環境でした。

その極めつけがこの環境で開催された2012年の「MASTERS FINAL」です。優勝は「水単」。「火氷」に強い【3-083R】《アーシェ》をフィーチャーしており、加えて【5-154R】《星の神子》でガッチリと守りを固める構成になっていました。「Chapter VI」のカードはほとんど採用されておらず、メタゲームをよく分析した結果生まれたデッキだったことがうかがえます。

そして、おもしろいのはこのデッキ、以前紹介した【1-146U】《ユウナ》で召喚獣のコストを下げると【4-085S】《ガーネット》で4コストの召喚獣が召喚できるというテクニックを活用しており、「水単」であるにもかかわらず【6-023R】《背徳の神帝マティウス》が2枚搭載されていたのです。

この環境を最後に制したのは「水単」、そしてそこには【6-023R】《背徳の神帝マティウス》がタッチされていた、ということが「Chapter VI」という環境を象徴しているなと感じます。

◆おわりに
『FFTCG』の昔話、今回は「Chapter VI」環境を振り返ってみました。
「Chapter V」のときと同じように、環境初期に「これが覇権か…!?」と思うようなデッキが出てきても、時間とともに少しずつ対抗馬が出てくるのが『FFTCG』をはじめカードゲームのおもしろいところですよね。

次の「Chapter VII」ではまたしても爆弾級の光属性と火属性のフォワードが登場して環境を盛り上げてくれます。次回もエキサイティングなお話ができると思いますので、またお付き合いいただければうれしいです。

それでは、最後まで読んでいただいてありがとうございました。