【FFTCG】今年は「Chapter」シリーズ10周年のメモリアルイヤー! カードで振り返る当時の『FFTCG』#4

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は、今年で10周年のメモリアルイヤーとなる「Chapter」シリーズを振り返る記事の第4回をお届けします。

◆はじめに
皆さん、こんにちは。カードゲーマー編集部の編集(川)です。

9月7日に「ファイナルファンタジーTCGトークショー #12」が放送されました。10月22日(金)発売の「対戦デッキ スターターセット アバランチ 対 神羅」の情報や、東京ゲームショウ2021への出典情報などが公開されているので、ぜひご覧くださいね。

さて、今回は『FFTCG』10周年を記念してお送りしてきた「Chapter」シリーズを振り返る記事をお届けします。これで第4回目となりますね。

過去の「Chapter」シリーズ振り返り記事はこちら!▼

#1(Chapter I)
#2(Chapter II~III)
#3(Chapter IV)

◆新要素盛りだくさんの環境に閃光走る…!
今回は「Chapter V」環境の様子を振り返っていきたいと思います。
「Chapter V」は「Chapter I」以来の大型セットとして、実に160種ものカードが追加されました。
今弾のトピックとしては、新たなカードタイプ「モンスター」が追加され、また『FFVI』のキャラクターが本格的に参戦したことが挙げられます。

また、C(コモン)、U(アンコモン)、R(レア)、S(スーパーレア)に続く新たなレアリティとしてL(レジェンド)が追加されました。「Chapter V」のLカードはいずれも『FFVI』のキャラクターであり、ここでも『FFVI』が強くプッシュされていたことがわかります。


モンスターの仕様は現在の「Opus」シリーズと同じですが、『FFVI』のキャラクターは「Opus」シリーズとは異なる特徴を持っていました。

それはカードの右上にある“Pアイコン”と呼ばれるもので、Pアイコンを持つフォワードどうしであれば、異なる属性であってもパーティーアタックができるというギミックでした。
多くのキャラクターが登場する群像劇的な要素を持つ『FFVI』の雰囲気をうまく再現していたと思います。

これらの新要素を加えて開幕した「Chapter V」シーズン。現在まで続く新たな全国大会「MASTERS」もここから始まりました。そんな熱い新シーズンで最初に台頭したのは、これまではあまり見られなかった属性の組み合わせである「水雷」でした。その理由はこの1枚の新カードにあります。それが【5-155R】《ライトニング》です。


4コストでパワー8000のヘイストというだけでなかなか強力ですが、0コストで自身をゲームから除外し、手札から《ライトニング》を捨てることでフィールドに戻ることができます。

これにより、EXバースト以外のほぼすべての除去を無効化しつつ、手札に《ライトニング》があるかぎり何度もアタックできます。これほど簡単に複数ダメージを稼げるカードは当時(今も、かもしれませんね)存在せず、【5-155R】《ライトニング》はその他のフォワードの採用基準に大きな影響を与えました。

また、攻撃的な光属性のフォワードということで【4-100S】《聖天使アルテマ》との相性も抜群。無人の荒野を【5-155R】《ライトニング》が駆けていくさまは当時よく見られました。アビリティのおかげで光属性であるにもかかわらず3枚投入しても問題がない点も強力でした。

なお「Opus」シリーズでは【4-115L】《ライトニング》としてリメイクされており、自身を除外して除去をかわすアビリティは健在ですが、ダル状態でフィールドに戻るため何度もアタックすることはできなくなっています。


その代わりに相手のフォワードをダルにするアビリティを獲得しており、自身が単独でフィニッシャーになるのではなく仲間をサポートできるようになりました。
このあたりは、よりキャラクターを並べるゲームとしての側面を重視した「Opus」シリーズらしい調整だと感じます(このカードに関しては元の性能がすごすぎたというのもあるかもしれませんが……)。

そして、この【5-155R】《ライトニング》に加えて雷属性が得たのが【5-105R】《シャドウ》と【5-106U】《シャドウ》。


【5-106U】《シャドウ》はヘイストと、レベルアップという「プレイヤーにダメージを与えたときにブレイクゾーンに置くことで、同名のカードをデッキからサーチして出せる」というアビリティを持っていました。これにより2ターン目などから速攻でアタックをしかけて1ダメージを与えつつ、より強力な【5-105R】《シャドウ》にレベルアップする動きが強力でした。

さらにそこに続くのが【5-133R】《ゴゴ》。


ブレイクゾーンにあるフォワードのアビリティを得られるため、ヘイストや先制攻撃を持つ各《シャドウ》や、運悪く除去されてしまった【5-155R】《ライトニング》のヘイストを引き継いで相手にプレッシャーをかけ続けることができました。

こうして、ヘイストに寄せた「水雷」デッキがまず登場します。【5-155R】《ライトニング》のパッケージは火属性、風属性などを相方にしたパターンも強力で、最初の「MASTERS」となった千葉大会では「ライトニング」デッキがベスト8に5人という活躍ぶりでした。

こうして、まず【5-155R】《ライトニング》の鮮烈なデビュー劇で始まった「Chapter V」環境でしたが、さらに雷、水属性の躍進は続きます。

次に注目されたのが【5-147S】《リルム》と【5-111U】《ドラゴン》の組み合わせ。当時のプレイヤーからすると「リルムドラゴン」という響きも懐かしい、「Chapter V」の新要素どうしが合わさった黄金コンビです。


コンボとしては単純で、ただ単に【5-147S】《リルム》で【5-111U】《ドラゴン》を再利用するだけです。しかし、そもそも【5-111U】《ドラゴン》自体が環境の定番除去であった【1-103R】《オーディン》とほぼ同じ性能をしているうえにコストの分割払いが可能という便利さであり、これをたった2コストで再利用できてしまうということで大暴れしました。

さらに【5-147S】《リルム》自体も【3-098S】《レナ》で再利用できてしまうので、【5-111U】《ドラゴン》2枚と【5-147S】《リルム》、【3-098S】《レナ》がそれぞれ1枚あれば、

・《ドラゴン》(1枚目)→《リルム》で《ドラゴン》再利用
・《ドラゴン》(2枚目)→《レナ》で除去された《リルム》復活→《ドラゴン》再利用

という流れで、相手の4コストまでのフォワードやモンスターを4体もブレイクできました。これもとんでもないコンボでしたね。

そんな雷、水属性の台頭を受けて環境も変化。「水雷」系デッキのフォワードが比較的小粒なことに着目し、火属性の除去と水属性の展開力を活かして戦う「火水」や、ブレイク耐性を持つ【3-053S】《ヴィンセント》に再注目した「土水」などが姿を現し始めます。

そして、次に環境にインパクトを与えたのが「風単」です。このデッキは新カードがふんだんに採用されていたというわけではなく、環境の変化を受けて生まれたデッキであり、メタゲームの変化を感じさせるものでした。

まず、実質0コストでありながら【5-111U】《ドラゴン》が効かない【1-067R】《バッツ》が再評価されます。


そして、低コストフォワードが【1-147S】《リルム》くらいしかいないなら【1-060S】《ジタン》+【1-069R】《マリア》で突破できるじゃないかと、こちらも再評価の流れが。


もちろん、古いカードだけでなく新しいカードも採用されています。まずはレジェンドカードの【5-074L】《ロック》。


対戦相手のターン中は効果によって選ばれないので、フォワードのオートアビリティなどによる除去に耐性があります。さらにプレイヤーにダメージを与えられればバックアップ1枚を回収=実質1ドローということで、風属性には珍しい継続的なアドバンテージ獲得能力を持っています。

こうしてテンポよく戦線を広げたところで、さらに【4-102R】《ミネルヴァ》が蓋の役目を果たします。並べたフォワードを強化してもいいですし、カードを引く、相手のキャラクターのアビリティを消す効果も強力です。


さすがに7コストのフォワードは大振りすぎるのでは、と思われるかもしれませんが、実際に風単にこのカードを出されるとなかなか除去できなかったのも事実。小型~中型のフォワードに向けた除去が採用される環境だったことに加えて「水雷」の最終兵器である【4-100S】《聖天使アルテマ》も効かず、また万能のディフェンス手段である【4-037R】《シルドラ》の存在も大きかったですね。


こうして、最序盤こそ「雷」中心の環境でしたが、すぐに新旧のカードを活かした新たなデッキがそれを塗り替える、という激しく刺激的なスタンダードシーンが展開されていきます。

このあとには、

・【5-152S】《セラ》を使った「モーグリ」デッキ
・Pアイコン持ちとパーティーアタックすることで除去ができる【5-039S】《セリス》を使った「氷雷」
・低コスト高パワーの【5-091U】《白虎のルシ ニンブス》を【5-088C】《タイタン》で守る「土単」
・【5-048C】《モーグリ -9組-》で低~中コストのフォワードをロックするコントロール型「氷水」

など、実にさまざまなデッキが登場しました。


「Chapter V」というと「とにかく《ライトニング》だった」というふうに記憶していたのですが、振り返ってみると週替わりで新しいデッキが出てきているような感じでしたね。

さて、こうして新要素であるモンスターや『FFVI』の本格参戦に加えて「ライトニング」という新たな定番デッキが生まれた「Chapter V」環境は幕を閉じます。

「いやぁ、大型セットなだけあってインパクトのあるカードが多かったなぁ」と当時多くのプレイヤーが思ったかもしれませんが、続く「Chapter VI」でもこれに負けない衝撃がプレイヤーを襲うこととなります。『FFTCG』のテンポの概念を覆したあるカードが登場するのです。

◆おわりに
「Chapter」シリーズを振り返る記事第4弾、「Chapter V」編をお届けしました。
今後も、現環境の記事のあいまにちょこちょこと昔話をお送りしていきますので、よろしければお付き合いください。

それでは、最後まで読んでいただいてありがとうございました。

また次回の記事でお会いしましょう。