9月に突入し、急に気温も下がり始めましたね。
まだまだ外出もしづらい状況ですが、カードゲームは話題の新タイトルや注目の商品がめじろ押しです!
それではさっそく現在発売中の「カードゲーマーvol.59」掲載の「カードゲーマー的彼女」のメイキング記事をお届けいたします!
「カードゲーマー的彼女」とは、現在活躍中のイラストレーターの先生方を「カードゲーマー」に毎号お招きし、
ご自身の“理想の女の子”を描き下ろしていただく連載企画です。
この記事では「カードゲーマー的彼女」特別編として、掲載イラストのメイキングを先生ご本人の解説付きでご紹介します!
今回は「カードゲーマーvol.59」掲載の第9回で登場いただいたひと和(@hitowa22)先生!
柔らかなタッチと繊細な色彩で、真夏の輝くようなショットを描いていただきました!
このすばらしいイラストの完成までをご本人に解説していただきました!
①大ラフ(イメージとアイデア出し)
夏の季節感をうっすら入れつつ理想の女の子を描いてください、とのことでラフを作ります。
楽しみです( ´`)
新規キャンバスに直接ラフを描いていきます。ラフから仕上げまでCLIP STUDIOのみ使用しました。
キャラメインになる絵が好みなので、青空をバックに女の子を大きく描いていきます。理想の女の子に猫耳は必須ですね!
ある程度人物のポーズや衣装が固まったら、キャラのシルエットにベタを敷いて色をつけてしまいます。陰影も設計しておくと後々楽です。
今回は特に描かなくてはいけない要素の指定がありませんので、自ずとお顔と体のラインが優先事項になります。素体に衣装を着せていく感覚です。
ハイレグが描きたいし、ひらひらワンピースも描きたい……そんな希望をシースルー素材がかなえてくれそうです。
一緒にアイス食べる? という仕草と、シースルーワンピースをポイントアイテムにする事にして、プールサイドのような背景を検討します。
アイデア出しはワクワクして楽しい作業ですね……!
②ラフ完成(光の当て方とディテール固め)
この時点でキャラクターの必要要素とエフェクトを乗せた完成形を固めてしまいます。
キャラはラフ時点から「頭/ボディ/衣装」等、ざっくりレイヤーを分けた構成にしておくと、パターン出し・修正対応やその後のクリンナップが楽です。
女の子を魅力的に見せたいときは、ぷにっとした肉感があったり、手先に表情があったりすると良いと思います。
果物入りアイス、ソーダのペットボトル、カゴバックなど、ちょっと変わった小物を選ぶとフックになりますね。
作業中、夏のイメージ作りとしてBreakwaterをBGMに作業したことから、曲名が今回のテーマに。背景も防波堤(Breakwater)になりました。
わがままそうでとっつきにくそうな猫耳ちゃんですが、アイスシェアしてくれる優しい子です。透けるワンピースも笑顔で着てくれます。ありがてぇ。。
③クリンナップ(素体描画)
1枚の絵につきっきりで長時間作業ができないことも多いため、パーツを仕上げていく感覚で区切りを作り進行していきます。
ラフをそのまま整えていく感覚で、まずは素体から仕上げていきます。
いったん衣装などの要素を非表示にして、顔回りを整えつつ、素体を描いていきます。一番楽しい作業です! ;;
今回は下着を結構適当にしていますが、キャラ像に合わせてしっかり描くときもあります。大体服を着せるので隠れる部分ですが描きます。
カレーと一緒で、ルーを入れる前(素体)が美味しくできていれば、必ず美味しいカレーができるということです。
全体のライティングには「覆い焼き(茶色)」を使い、体にかかる大きな影部分は「乗算(青紫)」を使っています。
線画は固めの丸ペンを使い、腕・脚などの歪みを抑えたい長い線にはベクターレイヤー、顔のパーツやボディのしわなどの
小回りが利いて柔らかいニュアンスも欲しい箇所はビットマップレイヤーを使っています。
塗りにはブラシの「水彩」(比較的ぱっきり塗れるもの)をメインに使用しつつ、柔らかくグラデーションが欲しいところには「ぼかしツール」や「エアブラシ」を使い色を馴染ませます。全体がぼけてぼんやりしまわないように、肉のしわ部分など濃淡にエッジの利いた箇所を作ると良いと思います。
背景の長い髪はブラシサイズを大きくした丸ペンでシャッとシルエットをとり、「筆」ツールで混色具合などを切り替えながら濃い箇所・明るい箇所をゴリゴリ描いていきます。
オイルパステルのような平らなものも使います。クリスタはブラシがたくさんあるため、使い心地を常時探していく感じですね……。
④クリンナップ(レオタード描画)
次にレオタードなど衣装部分を描いていきます。ベースになる中間色のベタに1影2影と明るい部分を描き、しわでディテールをつけます。
肌同様、「覆い焼き(茶色)」でライティング、「乗算(青紫)」で全体の影をつけます。
⑤クリンナップ(ワンピース・小物など描画)
シースルーワンピースの裾部分を塗っていきます。資料を探しながら、理想のディテールが出るように実際の写真と脳内のイメージをミックスしていきます。ブラックネイビーの色の中に、ホログラム的な赤や緑のニュアンスも入れます。
同じようなシースルー素材の白い上着や、装飾のリボンなど、細かいパーツも描き込んでいき、ひたすら完成に向けてパーツひとつひとつを仕上げていく作業です……!
今回はあまり背景の要素がないですが…後ろのペットボトルも忘れず描き込みます。
途中でプリンタ出力をして実際のサイズ感や見え方の確認作業などもしました。
⑥仕上げ
必要な要素の描き込みが終わって、ほぼ仕上がりました!
できれば少し時間をおいて、気になる箇所や全体のバランスを見ます。
ラフ時のエフェクトも少し整えます。
⑦完成!
背景、キャラ、エフェクトが整って完成です!
◆まとめ
メイキングを読んでくださってありがとうございました。夏生まれなので夏に思いを馳せながら楽しく描かせていただきました!
一気に線画を取らずパーツで分けて仕上げる方法は、気が変わりやすく根気が続きにくい人にもおすすめです。ラフをしっかり作るのがコツですよ。
キャラがイキイキしてくれるように、見てくださる方も楽しめるように、というのが絵作りの目標になっています、表現できていると良いです。
以上、ひと和先生のイラストメイキング記事でした! 夏の日差し、輝く海、一緒に行く人……なぜ、私には……。
9月30日(木)発売の「カードゲーマーvol.60」でもイラストレーターの先生をお招きし、
第10回「カードゲーマー的彼女」を掲載します。次回はどなたに描いていただけるのか? ぜひご期待ください!
また、これまでにご登場いただいたイラストレーターの先生方のメイキング記事もあわせてご覧ください!
■メイキング過去回
第1回:カードゲーマーvol.51「希先生」
第2回:カードゲーマーvol.52「アカバネ先生」
第3回:カードゲーマーvol.53「クロサワテツ先生」
第4回:カードゲーマーvol.54「かわく先生」
第5回:カードゲーマーvol.55「Hitoto*先生」
第6回:カードゲーマーvol.56「ikuyoan先生」