【FFTCG】今年は「Chapter」シリーズ10周年のメモリアルイヤー! カードとデッキで振り返る当時の『FFTCG』#3

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は、今年で10周年のメモリアルイヤーとなる「Chapter」シリーズを振り返る記事の第三回をお届けします。


◆はじめに
皆さん、こんにちは。カードゲーマー編集部の編集(川)です。

先日「ファイナルファンタジーTCGトークショー #10」が放送されました。
新セット情報や新フォーマット「L6構築」による対戦などが行なわれましたので、まだ観てないよという方はぜひチェックしてみてくださいね!

さて、今年は2011年2月25日に『FFTCG』が発売されてから10周年となるメモリアルイヤーです。
そこで、公式記事では現在の「Opus」シリーズの前身となる「Chapter」シリーズの歴史を、当時のカードと代表的なデッキで振り返る記事をお届けしており、今回はその第3回となります。

過去の「Chapter」シリーズ振り返り記事はこちら!▼

#1(Chapter I)
#2(Chapter II~III)


◆万物は流転する

効果によって選ばれない&4コスト以上のフォワードによってブロックされないという脅威のパフォーマンスを誇る【1-060S】《ジタン》が支配していた黎明期から「Chapter II」、「Chapter III」とカードが増えるにつれて、環境は少しずつ変化を見せていきました。

カードアドバンテージを確保しながら【1-060S】《ジタン》を討ち取れるカードやより高い展開力を持つカード、あるいはキャラクターを選ばない除去などが加わることで【1-060S】《ジタン》はいつしか絶対的な存在ではなくなっていきました。

そして2011年の12月下旬、「Chapter IV」が発売されます。
「Chapter IV」では『FFIX』や『FF零式』が新たにフィーチャーされていました。

そう、今弾では『FFIX』がフィーチャーされていたのです。

では『FFIX』の主人公といえば?

それは、もちろん《ジタン》ですよね。

というわけで【4-099R】《ジタン》の登場です!

風属性から光属性にチェンジした【4-099R】《ジタン》ですが、光属性のフォワードとしては初めての「フィールドに出たときのオートアビリティでアドバンテージが取れるフォワード」でした。おまけに、その効果はこれまでになかった「相手の手札を見て好きなものを捨てさせられる」というもの。

このカードは登場してすぐに環境を定義したというほどではありませんが、ほどなくして採用頻度が高まっていき、以降長く使われる好カードとなりました。

「Opus」シリーズでも【3-056H】《ジタン》imageとしてリメイクされていますね。こちらも「Opus III」で登場以後、ずっと使われ続けています。ただ、さすがに採用しやすい光属性で手札に干渉できるのは強すぎたためか風属性になっています。

また、「Opus」では相手の手札が少ないときのパワーの上昇値が+4000になっていますが【4-099R】《ジタン》はパワーの上昇値が+5000もあり、コスト5のフォワードに相当するパワーになっていたためアタッカーとしても侮れないカードでした。

さて『FFIX』から登場したカードでは、こちらも忘れてはならないでしょう。【4-012S】《ビビ》です。

こちらも、パワーが1000下がった以外はほぼそのままの【3-017L】《ビビ》imageが「Opus」シリーズにもいるので、なじみがある方も多いのではないでしょうか(スペシャルアビリティも少し調整されています)。

今でこそフィールドに出たときのオートアビリティでダメージを与えるカードは珍しくありませんが、当時は1枚で7000~8000ダメージを見込めるカードは少なく、このカードは新機軸と呼べる1枚でした。いや、このカードは本当に使っても使われても強かったですね……。

そして、このカードの登場を受けて火属性デッキが隆盛し、2011年末から2012年にかけて開催された全国大会「クリスタルカップ」の予選大会では「火水」、「火土」、「火風」など、相方に火属性を採用したデッキが続々と好成績を収めていきました。

そんななかで環境は【4-012S】《ビビ》を使うか、この【4-012S】《ビビ》に簡単にアドバンテージを取られないデッキにするかという方向にシフトしていきます。

たとえば火属性に対して無類の強さを誇る【3-083R】《アーシェ》。このカードはもともとアクティブ状態になれるアクションアビリティが氷属性に強く、かつ【1-060S】《ジタン》へのブロッカーになるため評価の高いカードでしたが、環境の推移によりさらに評価が高まりました。

「Opus」シリーズでは特定の属性へのアンチカードというものは少なくなりましたが、「Chapter」シリーズにはかなり強力ないわゆる“属性メタカード”があり、それがうまく作用したときの効果は非常に大きかったですね。

また、よく一緒に使われていたのが【4-087C】《ギース》。アビリティによるダメージを受けないためこちらも火属性にめっぽう強く、さらに「リンク」能力でコスト3までの雷か水属性のフォワードを手札から出せたため、前述の【3-083R】《アーシェ》などが同時に出てくるという火属性デッキにとっては悪夢のような展開もよく見られました。

ほかには土属性の【4-064S】《ディリータ》なども、除去の応酬に待ったをかけるカードとして採用されていました。

この《ディリータ》、当時は味方のアビリティや召喚獣に選ばれても反撃していたのですが「Opus」シリーズでは対戦相手のアビリティや召喚獣にのみ反撃するようになっています。
原作での立ち振る舞いを見ていると「Chapter」シリーズのような孤高の存在だったほうが「らしかった」かもしれませんね(そのぶん、扱いも難しいカードでした……)。

ほかにも【4-048S】《レム》なども、その除去耐性が評価されて少しずつ採用されていきました。

ちなみに「手札の枚数」は「Chapter IV」のサブテーマになっていたようで、ほかにも【4-070U】《黒のワルツ3号》や【4-055R】《ガラフ》、【4-106R】《シド・オールスタイン》などが登場しています。

そして【4-048S】《レム》といえばスペシャルアビリティ「マジックサテライト」もかなり個性的な効果ですよね。そんなに何回も相手のフォワードを選ぶことってあるの?と思われるかもしれませんが、これは同セットで登場した【4-032S】《マキナ》を見るとどういうデザインなのかが伝わってきます。

「マジックサテライト」を発動し、それから【4-032S】《マキナ》の「ソードフィールド」でフォワードを選ぶとまず「マジックサテライト」で6000ダメージ、それから「ソードフィールド」で6000ダメージを与えるのでほとんどのフォワードをブレイクできます。

そうすると【4-032S】《マキナ》のオートアビリティで手札を捨てさせつつ、もう一度「ソードフィールド」が発動し……という2つのスペシャルアビリティによるチェインコンボになっているのです。

これ、めちゃくちゃロマンあふれる最高にカッコいいコンボだったのですが、なかなか決めるのが難しい(そもそも相手にいっぱいフォワードを出してもらう必要がある)ものだったので「Opus」シリーズでぜひ再挑戦したかったのですがカードの性能が調整されたため、叶いませんでした。

最後に紹介するのが【4-085S】《ガーネット》。これも「Opus」シリーズで【3-129L】《ガーネット》imageとして、ほぼそのまま再登場していますね。

一見、右の「Opus」版のほうが純粋にパワーが上がって強化されているように見えますよね。しかし、この連載の第1回で「Chapter I」の【1-146U】《ユウナ》を紹介する際に少し触れましたが、当時は「コストを下げる」効果が「支払うCPを減らす」のではなく「コストの数値そのものを下げる」というものでした。

つまり【1-146U】《ユウナ》がいると4コストの召喚獣が3コストという扱いになるため、このカードのアクションアビリティで召喚できました。さすがにコスト4のカードを2CPで召喚するのは強力で「水単」なども一定の勢力を保持していました。

◆おわりに
今回は「Chapter IV」を取り上げてお話をしてきました。

本記事で紹介したカードを見るとわかりますが、ほとんどが3コストのカードで自然と【1-060S】《ジタン》に強いカードになっています。ここに来て完全に【1-060S】《ジタン》は環境を定義するカードではなくなりました

「Chapter IV」環境で行なわれた「クリスタルカップ」は最終的に「火属性 対 火属性に強い火属性」という構図となり、【3-017U】《ロッソ》や【4-054C】《カトル・バシュタール》などが使われていたのが印象的です。

最終的には火の除去と水のアドバンテージ、展開力を両立させた「火水」デッキが王者に輝きました。【3-098S】《レナ》による横並べで単体除去耐性を高めつつ、相手のフォワードは豊富な火属性の除去でどけて攻め込んでいくものでした。

こうして幕を閉じた「Chapter IV」環境。
ここまでは新セットが出るたびにゆるやかにメタゲームが推移していきましたが、次の「Chapter V」で一気に環境は激変することとなります。

「Chapter V」以降は本当に1弾ごとにさまざまなトピックがあるので、1個ずつ解説していきたいのですが、そうすると年内に連載を終えられるかあやしいので、回数を増やすなどでボリュームを落とさずお伝えしていければと思っています。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!