『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回は新シーズンの幕開けとなった第2期「名人戦」の関東地区予選で優勝されたプチデビさんのインタビューをお届け。新カードを使った意欲作はどのように生まれたのか。その道のりを聞きました。
◆はじめに
こんにちは!『FF-TCG』プレイヤーのたるほです。
「Opus VII」が発売され、『FF-TCG』は新たな環境が始まりましたが、皆さん楽しんでいますでしょうか?
僕はといえば一癖も二癖もある新カードをどう活躍させればいいのかと頭を悩ませる日々です。
今回は新環境で初の公式イベントとなった第2期「名人戦」関東予選で優勝されたプチデビさんにお話をうかがってきたので、その模様をお届けします。
神奈川県のプレイヤーで主に関東を中心に活動している。
自身のブログでカードレビューを書いたり、ユーザー主催イベントの告知をしたりと情報発信にも精力的。
『FINAL FANTASY』シリーズではほとんどのナンバリングタイトルで遊んでおり、通常のプレイ以外に低レベル縛りやタイムアタックなどのやり込みプレイも愛好する。
1番好きなタイトルは『FINAL FANTASY V』。今大会では【3-065L】《バッツ》を採用したデッキで第2期「名人戦」1人目の優勝トロフィーを手にした。
◆「水風ユウナ」ができるまで
――第2期「名人戦」関東予選、優勝おめでとうございます。
プチデビ:ありがとうございます。
――今回プチデビさんが使った「水風ユウナ」は「Opus VII」のカードを使った新しいデッキでした。このデッキができるまでの経緯をお話しいただけますか。
プチデビ:「Opus VII」のレジェンドを見たとき、まず【7-018L】《ラァン》と【7-077L】《ノクティス》は飛び抜けて強いと感じました。しかし、それ以外のカードは第一印象では強さが伝わってこなかったんです。もちろん「弱い」というわけではなくて「わからない」という印象でした。その「わからない」カードたちのなかでもっとも可能性を秘めていると感じたのが【7-127L】《ユウナ》だったので、これを使ったデッキを考えてみることにしたんです。
――【7-127L】《ユウナ》についての「わからないけど強そう。何かできそう」という印象は多くの人が同じように感じたのではないかと思いますが、実際に使ってみて、あらためてこのカードを評価するとしたらどうなりますか。
プチデビ:このカードはまず2コストでパワーが6000あります。『FF-TCG』では概ねフォワードのパワーの基準は2コスト5000、3コスト7000、4コスト8000となっていて3コスト、4コストのフォワードは「パワー7000or8000でアビリティも強い」というカードも珍しくないのですが、この【7-127L】《ユウナ》のように2コストでパワーが6000あり、さらにメリットとなるアビリティを持っているフォワードは土属性を除くとあまりいないんです。そしてそれらのカードはほとんどがスペシャルアビリティを持っているか、ほかのカードを参照して真価を発揮するものです。具体的にはスペシャルアビリティを持っているのが【3-078H】《クルル》や【1-205S】《バレット》、ほかのカードを参照するのが【3-084C】《WRO隊員》、両方の特性を持つのが【3-073C】《アーシュラ》などです。つまりこれらは単体で強いのではなく、同名カードや参照先のフォワードがあってこそのカードだと言えます。
【7-127L】《ユウナ》もほかのカードを参照するタイプなのですが、デッキの一番上を見るアビリティ自体は【7-127L】《ユウナ》単体で完結しています。召喚獣についても「何を入れるか」は吟味しなくてはなりませんが、デッキにある程度の枚数を投入すること自体は難しくありません。2コスト6000のパワーにほかのカードへの依存度が低い能力を持つという点でこれまでの『FF-TCG』には存在していなかった新機軸のカードだと思います。そして、このカードが持っている2つのアビリティも強力です。特に2つめのブレイクゾーンから戻ってくる能力は「戻ってきてどうするんだ」と最初は思いましたが、実際はかなり耐久力があり、いろいろなデッキで使えそうだなと感じました。
――そこでできたのが、この「水風ユウナ」というわけですね。
第2期「名人戦」使用:「水風ユウナ」
カードNo. | カード名 | 枚数 |
フォワード(25枚) | ||
【3-065L】 | 《バッツ》 | 3 |
【1-199S】 | 《パイン》 | 3 |
【2-063R】 | 《パイン》 | 1 |
【3-056H】 | 《ジタン》 | 1 |
【3-142H】 | 《ものまねしゴゴ》 | 1 |
【3-125C】 | 《うたかたの召喚士》 | 2 |
【4-133C】 | 《バイキング》 | 3 |
【3-152S】 | 《ガーネット》 | 2 |
【6-126R】 | 《レイラ》 | 3 |
【3-144L】 | 《レナ》 | 1 |
【5-126L】 | 《暗闇の雲》 | 2 |
【1-213S】 | 《ティーダ》 | 1 |
【7-127L】 | 《ユウナ》 | 2 |
バックアップ(15枚) | ||
【1-089H】 | 《リュック》 | 3 |
【1-197S】 | 《アニキ》 | 2 |
【6-046C】 | 《シド・ヘイズ》 | 1 |
【7-124C】 | 《予言士》 | 3 |
【6-118C】 | 《占星術師》 | 3 |
【4-134C】 | 《ブラネ》 | 2 |
【3-127R】 | 《エーコ》 | 1 |
召喚獣(10枚) | ||
【1-198S】 | 《ヴァルファーレ》 | 1 |
【5-139C】 | 《リヴァイアサン》 | 2 |
【4-128C】 | 《コヨコヨ》 | 1 |
【5-133H】 | 《ビスマルク》 | 1 |
【3-123R】 | 《暗黒の雲ファムフリート》 | 3 |
【6-125R】 | 《リヴァイアサン》 | 1 |
【3-145L】 | 《聖天使アルテマ》 | 1 |
――【7-127L】《ユウナ》を使ったデッキを考えるうえで、この水風のタイプを最初に思いついたのでしょうか。
プチデビ:デッキの案は10個くらい考えたと思います。このデッキはそのなかでは4番目くらいに製作しました。感触がよかったのでアイデアをキープしておいてほかのタイプの模索を続けましたが、最終的にこの「水風ユウナ」に落ち着きました。
――ほかにはどのようなタイプがあったのでしょうか。
プチデビ:【7-094R】《シーモア》と組み合わせた「水雷」、【7-065H】《ヴァニラ》と合わせた「土水」、【3-020H】《フェニックス》を採用した「火水」など、ほとんどの属性の組み合わせを試しました。
「水光」などもデッキパワーは高かったのですが、どうしても光属性のカードが手札にたまってしまう場面が多く「スムーズに回るデッキが好き」という個人的な好みもあって最終的に「水風」型に落ち着きました。
◆「水風ユウナ」の構築とその強みを聞く!
――【7-127L】《ユウナ》を使おうとすると、やはり召喚獣を多く採用したくなるのではないかと思いますが、プチデビさんのデッキでは召喚獣は10枚で、それほど多くはありませんね。
プチデビ:最初は僕も召喚獣を多めにしたタイプから考えました。デッキの上から召喚する【1-172C】《モーグリ》や【4-128C】《コヨコヨ》は非常に強力だと思いました。しかし、デッキに入れられるカードが50枚しかないなかで、たとえば【7-127L】《ユウナ》3枚、【1-172C】《モーグリ》と【4-128C】《コヨコヨ》も3枚としてしまうとそれだけでデッキの枠を大量に使ってしまいます。そのため調整の過程でだんだん数が減っていき、このギミックは【4-128C】《コヨコヨ》1枚のみとなりました。これはほかの召喚獣にも言えます。デッキの上から召喚獣を召喚するのは確かにアドバンテージの面では優秀なのですが、それだけでは勝てません。勝つ手段、つまりフォワードをしっかり搭載しようと思うと自然に召喚獣の枚数は抑え気味になりました。
――1つ目のアビリティを活かしていく戦い方は主軸にならなかったということですね。
プチデビ:【7-127L】《ユウナ》を使っていてもっとも強いと感じたのは、召喚獣をデッキから唱えられることではなくデッキの一番上のカードを見て、それがバックアップだったときに【6-118C】《占星術師》で手札に加えるというものでした。このデッキはバックアップが15枚とかなり枚数をおさえた構築になっていますが、それでも1ゲームに3枚くらいは【6-118C】《占星術師》で手札を増やせました。2コストのバックアップをダルにするだけでカードが引けるのは【6-045H】《シド [II]》などを考えても破格の効果です。
――【6-118C】《占星術師》が水属性を使うポイントになったわけですね。風属性の採用理由は何なのでしょうか。
プチデビ:【1-197S】《アニキ》や【2-063R】《パイン》で【7-127L】《ユウナ》をサーチできる点がまずあります。【7-127L】《ユウナ》は光属性かつブレイクゾーンから回収もできるので、何枚も引くと手札を圧迫してしまいます。サーチ手段を多めに取ることで【7-127L】《ユウナ》自体の採用枚数を2枚におさえています。また、最終的には抜けたのですが当初【2-146H】《フースーヤ》が脅威だと考えていて、それをブレイクできる【1-088C】《弓使い》を使いたいという理由もありました。
バックアップについては、ほかのカードも概ねサーチ能力やEXバーストによってアドバンテージを獲得できるものを採用しています。また【1-089H】《リュック》は【1-199S】《パイン》を使いやすくするだけでなく、デッキのカードをブレイクゾーンに置くことで【2-146H】《フースーヤ》対策にもなります。
――【6-118C】《占星術師》や【1-197S】《アニキ》などバックアップで【7-127L】《ユウナ》をサポートするわけですね。脅威と感じていた【2-146H】《フースーヤ》にも【1-089H】《リュック》で対応すると。先ほど「勝つ手段としてのフォワードをしっかり搭載」というお話がありましたが、次はフォワードについてお話しいただけますか。
プチデビ:フォワードに関しては、水属性のデッキなので【6-126R】《レイラ》と【4-133C】《バイキング》から始まり、【7-127L】《ユウナ》と相性のいい【1-199S】《パイン》、そしてフィニッシャーとして【3-065L】《バッツ》を採用しました。1ターンの間にフォワードを5体並べることも難しくないデッキなので能力をフルに使えることも多く、今日はとても活躍してくれました。
【3-144L】《レナ》や【3-142H】《ものまねしゴゴ》は展開力と【3-065L】《バッツ》にジョブを与える目的で採用しています。【1-213S】《ティーダ》は【7-127L】《ユウナ》と一緒にいるときに【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》を召喚すると除去をしながら2枚カードを引けるのが楽しいカードです。最初はこの動きが好きでたまらず【1-213S】《ティーダ》を3枚にしていましたが、さすがに冷静になって1枚にしました(笑)。それでも【1-197S】《アニキ》でサーチできるため両方をそろえるのも難しくはなく、今日も4枚くらいカードを引かせてくれました。戦力としてももちろんですが、風属性の【1-197S】《アニキ》から水属性のカードにアクセスできる点もデッキの土台を整えるうえで役立ちます。
【3-152S】《ガーネット》は直前まで【3-129L】《ガーネット》だったのですが、デッキから召喚獣を召喚するアビリティが強力で最終的に【3-152S】《ガーネット》の方を採用しました。【5-126L】《暗闇の雲》を合わせると、【3-152S】《ガーネット》で【5-133H】《ビスマルク》を召喚してから【5-126L】《暗闇の雲》を出すことでフォワードがいない状態からでもパワー8000のフォワードを除去できます。もちろん1【4-128C】《コヨコヨ》で手札を調整してもいいですし、いろいろとデッキの柔軟性を高めてくれるいいカードでした。
また【3-152S】《ガーネット》のために【3-127R】《エーコ》を入れたため【カテゴリ(IX)】のフォワードがほかに必要になったのですが、ここで投入した【3-056H】《ジタン》もいい働きをしてくれました。現環境では特定のカードに依存しているデッキも多いので、手札を見て捨てられるアビリティは思った以上に強力でした。
――フォワードの採用理由についても緻密に計算されたことがうかがえます。しかし、そうなると【3-145L】《聖天使アルテマ》が少し浮いているように思えます。自分から展開していくデッキでこのカードを採用された理由はなんでしょうか。
プチデビ:「Opus VII」で登場した【7-002R】《アイギス》と【7-012H】《ソール》を軸にすえた【ジョブ(光の戦士)】デッキのように、早くから展開力とパワーで押さえつけてくるデッキがかなり苦手意識があって、そういったデッキに先行されたときに切り返す手段として採用しました。1回召喚できればそこからのリカバリーはこちらの方が早いので有利な展開に持ち込めます。いわば「お守り」のような感覚ですね。
――それぞれのカードの採用理由をうかがいましたが、このデッキは実際どういうふうに戦っていくのでしょうか。バックアップが15枚と少ないため、自分からしかけていくことが大事そうに見えます。
プチデビ:バックアップをしっかり引ければうれしいですが、15枚と切り詰めているのでバックアップ2~3枚で戦える構成になっています。実際大会中もバックアップが引けない展開に苦しむこともありましたが【6-126R】《レイラ》と【4-133C】《バイキング》、【7-124C】《予言士》などで必要なカードにたどりつきやすくなっているので、致命的な事故というのはありませんでした。
――フォワードのパワーが全体的に低く除去されやすい印象がありますが、除去を豊富に搭載したデッキへの苦手意識などはありませんでしたか。
プチデビ:これは、現環境の特徴にも通じていると思うのですが「Opus VII」が加わったことで【7-018L】《ラァン》や【7-077L】
《ノクティス》、【7-128H】《ユーリィ》などフィールドに残したくないフォワードが増えました。そのため除去も確実性の高いものが採用される傾向にあります。しかし、それらのカードはコストが重かったり、使用に条件があったりします。こちらのフォワードは全体的にコストが軽いため、倒されやすいのは事実ですが、倒されたとしても相手の方がコスト面で損をしていることがほとんどです。逆に、このデッキのメインの除去手段である【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》は、今あげたようなフォワードを軽いコストで除去できます。環境にいるフォワードが強いため除去も強く、重くなっているなかで除去されても構わないフォワードと軽くて強力な除去を搭載できるというのがこのデッキや「水単フースーヤ」などの強みであり、今日の勝因かなと感じています。
――「水単フースーヤ」のお話しが出ました。このデッキについては先ほど脅威と感じていたとも言われていましたが「水単フースーヤ」との相性などについてお話しいただけますか。
プチデビ:【2-146H】《フースーヤ》デッキに対しては不安があったのは先ほどお話ししたとおりです。しかし、あのデッキは【2-146H】《フースーヤ》が出てから起動するまでにラグのあるデッキなので、早い段階で何点かダメージを与えておくことで、【2-146H】《フースーヤ》の起動を制限できるため、それらしいデッキだと思ったら序盤からどんどんフォワードを展開してダメージレースに持ち込んで【2-146H】《フースーヤ》を使いにくくして、それでも出されてしまったときは【1-089H】《リュック》で相手の積み込んだカードをブレイクゾーンに落とすことでデッキを機能不全にさせられるようにしました。こちらのデッキを歪ませることなく対策ができているので、総合的な相性は悪くないと思います。ただ【2-133R】《不浄王キュクレイン》のEXバーストだけは厳しいので、めくられないように祈っていました(笑)。
――【7-127L】《ユウナ》をデッキのテーマにするにあたって「除去されてもかまわないコストパフォーマンスのいいフォワードを採用する。デッキの上にあるカードでアドバンテージを獲得する。除去は【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》が強い」という構成になるなら、それこそ「水単フースーヤ」でいいじゃないかという意見も聞いたことがありますが、両者の違いはどういうものなのでしょうか。
プチデビ:「水単フースーヤ」はデッキタイプが確立されすぎていて、50枚のなかに入れるカードがほとんど決まっています。強力なデッキではありますが弱点も明確になっていて、たとえば【1-117R】《ヘカトンケイル》などで【2-146H】《フースーヤ》がブレイクされてしまうと普通の「水単」ほどのパフォーマンスも発揮できないですし、【2-037R】《ジル・ナバート》のような致命的なカードも増えてしまっているということもあり、強さが広く知られた今では7回戦の大会を勝ち抜けるのは難しくなったと思います。
それに対して【7-127L】《ユウナ》デッキは、このカードが中心になっているのは間違いありませんが【7-127L】《ユウナ》をブレイクされてもさほどパフォーマンスを落とさずに戦えますし、そもそも【7-127L】《ユウナ》は復活する能力を持っています。爆発力という点では【2-146H】《フースーヤ》に分があるかもしれませんが、デッキの安定性という面では【7-127L】《ユウナ》が優れていると思います。カードの採用理由として、先ほど言われたような「除去されても構わないコストパフォーマンスのいいフォワードを採用する。デッキの上にアルカードでアドバンテージを獲得する。除去は【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》が強い」といった共通点はありますが両者はまったく違うデッキだと思っています。
◆“名人”に一歩先んじたプレイヤーが見ていたもの
――今大会は「Opus VII」環境になって最初の公式大会でしたが、どうようなデッキが使われるだろうと想定していましたか。
プチデビ:既存のデッキとして【2-146H】《フースーヤ》系のデッキや「氷単」はいるだろうなと考えていました。新しいデッキとしては【ジョブ(光の戦士)】のギミックを使った「火単」「火水」「火土」などや、【7-128H】《ユーリィ》を使ったデッキも多少出てくるんじゃないかと思っていました。
――それらに対して「水風ユウナ」の立ち位置はどのように考えていましたか。
プチデビ:「水単フースーヤ」や中速のデッキに対しては先ほど話したように対策ができているか、あるいは有利かなと思っていました。【ジョブ(光の戦士)】系のデッキは先攻後攻や初手、お互いのドローに依存する要素が強く、安定はしないものの総合的には6:4くらい、やや有利ではないかと考えていました。
――先ほどの【3-145L】《聖天使アルテマ》のぶん有利だったという感じですかね。
プチデビ:そこまでいかなくても、こちらが先攻になって攻撃の主導権を握ればなんとかなることが多かったですね。『FF-TCG』は攻撃と防御のステータスが別途に数字で設定されているゲームではないので直感的にわかりにくいのですが、お互いの主力を考えたとき【7-002R】《アイギス》【7-012H】《ソール》などは防御力の低いカードで守る展開になると弱いのですが、こちらの【3-065L】《バッツ》は攻めも守りもできるため、ダメージレースで離されすぎなければ追いつくことができました。
今日唯一負けたデッキが「氷単」だったのですが、【5-034C】《ゲスパー》と【5-040C】《呪術師》で完封されてゲームの準備をさせてもらうことができませんでした。使うプレイヤーはいるとはいえ、そこまで多くはないだろうと考えていたためちょっと侮っていて、これに関しては練習が足りていませんでした。
――今日一日デッキを使ってみて、新しく採用したくなったカードなどはありますか。
プチデビ:僕以外にもmasterさん(※昨年の日本代表でもある強豪プレイヤー)が「水風ユウナ」を使っていて、彼が入れていた【4-066R】《ノノ》は【6-118C】《占星術師》を使ううえでかなりいいなと思いました。また【1-198S】《ヴァルファーレ》は相手の【6-126R】《レイラ》と【4-133C】《バイキング》を一掃できて活躍することも多かったので、デッキスロットを見つけることができず1枚だったのはもったいなかったかなと感じています。まだまだ理想のかたちを模索している段階の「水風ユウナ」ですが、そもそもこのカードを使ったデッキの理想系がもしかするといくつかあるんじゃないかとも思っています。それこそ1つ目の能力を中心にした召喚獣を多く採用した型のデッキも、このあとの世界選手権などで出てきてもおかしくないと思います。本当に大きな可能性を秘めたカードで、いろいろな人に研究してみてもらいたいですね。
◆環境が変わっても工夫して練習していくことの大切さ
――「Opus VII」発売から2週間という短い期間で新しいデッキを作っての優勝という結果ですが、練習や調整はどのようにされたのでしょうか。
プチデビ:2位になったちょーぎょーじさん(※「MASTERS」などでの優勝経験もある関東の強豪プレイヤー)と意見交換をしました。今回ワンツーフィニッシュを決められたので、とてもうれしいです。今、僕がプライベートでカードに触れられる時間があまり取れないので、ちょーぎょーじさんのような実戦でデッキを調整していく人の意見をもらえるのはとても助かっています。
――では、このデッキはほとんど実戦経験を積んでいなかったということですか。
プチデビ:本当に時間がなくて、一人回し用のツールを作りました。デッキリストを打ち込むことで初手やドローをチェックし、そのまま対戦可能なシミュレーターになっていて、それを回すのが最近の練習方法ですね。先日のインタビューで「MASTER2018 THE AFTER」で優勝したしどさんもおっしゃっていましたが、自分対自分で対戦する調整法は1人で同時に複数のデッキの調整ができて、かつそれぞれのデッキを使ううえでの思考などについても知ることができるので、非常に効果的だと思います。僕も1人トーナメントはよくやりました。
――対戦をシミュレートできるようなツールを製作するのは途方も無い労力だと思うのですが、大変ではありませんでしたか。
プチデビ:やろうと思ったときは、僕自身も知識がない状態から始めたことなのでかなり大変でした。それでも『FF-TCG』はしたかったのでなんとか学びながら完成させました。
――その努力が今回の結果や、普段のプチデビさんの強さにつながっているんだと思います。では第2期「名人戦」の予選を一番乗りで優勝されて、これからの目標などをお話しいただけますか。
プチデビ:「Opus」シリーズが始まって世界の方と『FF-TCG』をする機会が増えたので、まず一度「世界選手権」に出たいと思っています。そのためにはより力をつける必要があるので、まず構築戦のエキスパートを決める第2期「名人」になるべく、これまで以上にがんばりたいです!
――ありがとうございました。
◆終わりに
「第二期名人戦」関東地区予選で優勝されたプチデビさんへのインタビューでした。
【7-127L】《ユウナ》という構築難易度の高いデッキを作り上げて優勝へ導いたデッキビルダーとしての腕もさることながら、自らの環境の中で最大限に努力をする情熱もまたプチデビさんの強さの秘訣なんだと感じられました。
さっそく新しいデッキが環境に投じられ、「Opus VII」の可能性に胸が高鳴るとともにこれから各地で開催される「名人戦」でどんなデッキが出てくるのか、楽しみが膨らむ大会となりました。
今後もプレイヤーとして大会に出場しつつ、各地の強豪プレイヤーへのインタビューを続けていくので楽しみにしていただければと思います。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!