『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は先週に引き続き「もし『第3期名人位決定戦』が延期になっていなかったら?」をテーマにたるほさんが強豪プレイヤーの皆さんにインタビューします!
◆はじめに
みなさん、こんにちは!
『FFTCG』プレイヤーのたるほです。
先週は“どんなデッキで「第3期名人位決定戦」に挑むつもりだったのか?”というテーマで関東のプレイヤーへのミニインタビューをお届けしましたが、今週は関東を飛び出して全国の強豪プレイヤーに同じテーマでお話をうかがったインタビューをお届けします。
それではさっそくどうぞ!
◆243さん(「2019 名人戦」東海地区予選と近畿地区予選で優勝?※そのときのプレイヤーネームは「Opus初心者、18才」)の場合
――ということで全国編の1人目は243さんです。よろしくお願いします。
243:よろしくお願いします。
――243さんは今回の「2019 名人戦」では東海地区予選と近畿地区予選の2か所で優勝したということで「第3期名人位決定戦」でも特に注目されていたプレイヤーかと思いますが、今回はどんなデッキで参加する予定だったのでしょうか?
243:今回使う予定だったデッキは「火水ギルガメッシュ」と「WOFFゴルベーザ」です。
●Aデッキ:「火水ギルガメッシュ」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(31枚) | ||
【2-139R】 | 《ラーサー》 | 2 |
【3-149S】 | 《ビビ》 | 1 |
【5-014C】 | 《戦士》 | 1 |
【7-012H】 | 《ソール》 | 3 |
【7-118C】 | 《忍者》 | 2 |
【7-131S】 | 《ウォーリアオブライト》 | 3 |
【8-113C】 | 《ガーネット》 | 1 |
【8-115L】 | 《ジタン》 | 3 |
【5-024H】 | 《ルーネス》 | 2 |
【5-005R】 | 《ガドー》 | 3 |
【7-002R】 | 《アイギス》 | 3 |
【10-128L】 | 《レフィア》 | 2 |
【9-014L】 | 《ネール》 | 2 |
【10-111H】 | 《ギルガメッシュ[?]》 | 3 |
バックアップ(13枚) | ||
【2-005C】 | 《賢者》 | 3 |
【8-002C】 | 《赤魔道士》 | 1 |
【10-108R】 | 《エリア》 | 1 |
【10-131S】 | 《エース》 | 1 |
【3-127R】 | 《エーコ》 | 2 |
【4-134C】 | 《ブラネ》 | 1 |
【4-138R】 | 《メルウィブ》 | 1 |
【1-176H】 | 《ユウナ》 | 3 |
召喚獣(5枚) | ||
【9-114C】 | 《不浄王キュクレイン》 | 2 |
【2-019R】 | 《魔人ベリアス》 | 3 |
モンスター(1枚) | ||
【8-022R】 | 《ロールスパイダー》 | 1 |
●Bデッキ:「WOFFゴルベーザ」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(33枚) | ||
【4-001H】 | 《アウィン》 | 2 |
【7-038C】 | 《ブリザ》 | 2 |
【7-055C】 | 《チョコボ》 | 2 |
【7-078C】 | 《バハムート兵》 | 3 |
【7-093C】 | 《サンダ》 | 3 |
【8-092C】 | 《アルフィノ》 | 1 |
【10-017R】 | 《ラァン》 | 2 |
【10-081R】 | 《プリッシュ》 | 3 |
【1-112R】 | 《ディリータ》 | 3 |
【4-045H】 | 《メカチョコボ》 | 1 |
【9-063L】 | 《ガブラス》 | 3 |
【10-020L】 | 《レェン》 | 3 |
【1-135L】 | 《ゴルベーザ》 | 3 |
【5-118L】 | 《ラムザ》 | 2 |
バックアップ(9枚) | ||
【3-089R】 | 《名を忘れた少女》 | 3 |
【9-039C】 | 《ロック》 | 3 |
【10-086C】 | 《アルド》 | 3 |
召喚獣(6枚) | ||
【3-032R】 | 《シヴァ》 | 2 |
【4-093R】 | 《ヘカトンケイル》 | 2 |
【6-0102R】 | 《ラムウ》 | 2 |
モンスター(2枚) | ||
【4-094R】 | 《マジックポット》 | 2 |
「2019 名人戦」東海予選の時点(2019年の年末)では、「火水ギルガメッシュ」はその強さがまだ知れ渡っていないデッキだったのですが、それ以降はデッキが周知のものとなり、また環境の速度が変わったこともあって、そこまで勝てるデッキではなくなったと考えていました。
そんななかで「2019 名人戦」東京予選でモーグリ大好きさんが【10-111H】《ギルガメッシュ[?]》要素を抑えて【ジョブ(光の戦士)】に寄せた「火水」を使い入賞していたことに感銘を受けてできあがったのがこのデッキとなります。
以前「火水」を使ったときから、今の環境はゲーム序盤に出したフォワードが生き残りやすいなと感じていたので、展開する枚数を増やすより【7-002R】《アイギス》や【7-012H】《ソール》のような質がいいフォワードを重視するほうがいいのでは考えるようになりました。
また、環境が変化したことで【5-028C】《裏魔道士》などが採用されるようにもなっており、フォワードのコストをズラす必要が出てきてました。
そこで【ジョブ(光の戦士)】に構築を寄せ、以前から使いたかった【10-128L】《レフィア》を【5-024H】《ルーネス》と合わせて採用しました。
アタック時のアビリティは必ず使えるわけではありませんが、相手からすると必ず対処しなければならないカードですし、こちらは【5-024H】《ルーネス》を踏み倒してプレイしているので損しにくい大変優秀なカードでした。
また【3-149S】《ビビ》もモーグリ大好きさんのデッキからヒントを得たカードです。私はこのカードを見落としていて、東海地区予選ではこの枠が【7-132S】《フリオニール》になっていたのですが、【10-111H】《ギルガメッシュ[?]》で繰り返し使えるうえ、【10-020L】《レェン》に届く8000ダメージを与えることもでき、さらに【3-127R】《エーコ》からサーチもできますし確実にこちらのほうがいいなと気づき入れ替えています。
フォワードの多くが水属性から火属性に変わったので、そのぶんバックアップのスロットは水属性に寄せてバランスを取っています。
――バックアップといえば、以前のインタビューの際は【10-108R】《エリア》は抜いてもよかったという評価でしたが、このデッキでは続投していますね。
243:調整の段階で、やはり出せば強いカードだと認識したので今回も引き続き採用となりました。
今回「火土WOFF」の【4-001H】《アウィン》を突破するための手段として2枚目の【8-022R】《ロールスパイダー》も検討していたのですが、それならバックアップでその役目を果たせるカードにしたほうがデッキの安定感が高まるだろうと判断しました。また、先ほども言いましたがバックアップを水属性に寄せる必要があったのも採用の理由ですね。
元々戦闘での強さが売りなデッキなので【1-108R】《エリア》がいるといよいよ負けなくなりますし、複数のフォワードが10000以上のパワーで攻撃できれば、ブレイブを持った【4-001H】《アウィン》も大きな障害にはならないだろうと考えました。
――召喚獣も枚数を絞り込んで採用されているように見えます。【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》はデッキのマスターピースだったという話も聞いていたので、抜けているのは意外ですね。
243:召喚獣に関してはバックアップで【1-176H】《ユウナ》を採用したので枚数を減らしました。ただ【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》に関しては本当に悩んでいて、【9-114C】《不浄王キュクレイン》とどちらにするか決めかねていました。たぶん、大会当日まで悩んでいたでしょうね(笑)。
今の時点では【9-114C】《不浄王キュクレイン》は「火土WOFF」への対抗策として採用されている【4-083L】《シャントット》に対して活躍したり、【4-001H】《アウィン》のアビリティを消してパワーを減らせたりと、戦闘を重視するこのデッキとの相性がよかったので、この段階のリストではこちらを採用したものとなっています。
――もう1つのデッキは「WOFFゴルベーザ」ということで、たしかに【カテゴリ(WOFF)】のカードを【1-135L】《ゴルベーザ》で展開し【10-020L】《レェン》につなげるというアイディアは話題になっていましたが、それを形にして持ち込もうとしていたのはさすが243さんらしいなと感じます。
243:「第3期名人位決定戦」に向けて調整するなかで、自分でも「火土WOFF」を回して調整していたんですが、「火土WOFF」はデッキの地力が非常に高く、多少の不利なマッチアップなら覆せるだけの強さがあると感じていました。
そのため今回の「第3期名人位決定戦」では自分でも【カテゴリ(WOFF)】のギミックを使うことを決め、それならどういう形がいいかと試行錯誤していったなかで【1-135L】《ゴルベーザ》と組み合わせることに行き着いたのがこのデッキです。
基本的な動きに関しては通常の【1-135L】《ゴルベーザ》デッキと変わらず、【1-135L】《ゴルベーザ》を【1-112R】《ディリータ》でブレイクしてフォワードを複数展開するという戦略を取ります。
そのため初手から【1-135L】《ゴルベーザ》をプレイできるように、【1-135L】《ゴルベーザ》をサーチできる【10-081R】《プリッシュ》、【9-063L】《ガブラス》、【10-086C】《アルド》を3枚ずつ採用しています。
ただ、【1-135L】《ゴルベーザ》→【1-112R】《ディリータ》のルートだと、デッキがバレている場合「水風」に【10-117H】《ティーダ》や【9-114C】《不浄王キュクレイン》をキープされて妨害を許してしまう可能性があるので、第2のルートとして【4-094R】《マジックポット》で【1-135L】《ゴルベーザ》をブレイクゾーンに置くパターンも用意しています。
【4-094R】《マジックポット》はコストとしてフォワードをブレイクゾーンに置けるため、【9-114C】《不浄王キュクレイン》などに割り込まれることはありませんし、事前にプレイしておくことで【1-135L】《ゴルベーザ》をプレイしたターンから効果を使っていけます。
また、必要に応じて【9-039C】《ロック》でモンスターと指定することで疑似的にサーチすることができます。
【4-094R】《マジックポット》プランは準備が必要なので動きが遅くなってしまいますが、「WOFF」型だと【10-020L】《レェン》がヘイストを与えるため準備の過程で失ったテンポを取り戻せるということもあり、【カテゴリ(WOFF)】ギミックの採用にはそういった狙いもありました。
――Aデッキ、Bデッキの使用順についてはどう考えていたのでしょうか?
243:今回の大会で特に人気のありそうなデッキは「火土WOFF」、「風単」、「水風」だと予想していて、これらのデッキは準備に時間がかかるタイプなので爆発力の高い「火水ギルガメッシュ」と「WOFFゴルベーザ」ならどれと当たってもしっかり勝てるだろうと思っていたので、順番に関しては正直どちらでもいいだろうと考えていました。
なので、より爆発力があり、より勝ちを稼げると考えていた「火水ギルガメッシュ」をAデッキ、消去法で「WOFFゴルベーザ」がBデッキという順で考えていました。
――ありがとうございました!
◆居ないヒトさん(「2019 名人戦」中国地区予選で権利獲得)の場合
――今回2人目は広島勢から、居ないヒトさんへのインタビューになります。よろしくお願いします。
居ないヒト:よろしくお願いします。
――個人的に居ないヒトさんが「2019 名人戦」中国地区予選で使い権利を獲得した「氷風ヴァン」は独創的かつパワフルな印象のデッキで、ぜひお話をうかがいたいと思っていました。早速ですが、今回使う予定だったデッキをお聞きしていいでしょうか。
居ないヒト:今回私が使う予定だったデッキは、いま話に出た「氷風ヴァン」と「水雷ゴルベーザ」です。
●Aデッキ:「氷風ヴァン」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(35枚) | ||
【2-066R】 | 《バルフレア》 | 1 |
【3-056H】 | 《ジタン》 | 2 |
【5-068L】 | 《ヤ・シュトラ》 | 3 |
【5-156S】 | 《バルフレア》 | 3 |
【6-040H】 | 《ラグナ》 | 3 |
【6-041L】 | 《リノア》 | 3 |
【7-038C】 | 《ブリザ》 | 2 |
【8-049L】 | 《エアリス》 | 3 |
【9-027H】 | 《スコール》 | 3 |
【10-048R】 | 《カイツ》 | 3 |
【10-059R】 | 《フィロ》 | 2 |
【10-060L】 | 《フラン》 | 3 |
【10-133S】 | 《ヴァン》 | 3 |
【10-134S】 | 《カイン》 | 1 |
バックアップ(8枚) | ||
【5-066R】 | 《パンネロ》 | 2 |
【7-033R】 | 《スノウ》 | 3 |
【9-054C】 | 《パンネロ》 | 3 |
召喚獣(7枚) | ||
【3-032R】 | 《シヴァ》 | 2 |
【8-033R】 | 《シヴァ》 | 2 |
【8-046R】 | 《アレキサンダー》 | 3 |
●Bデッキ「水雷ゴルベーザ」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(29枚) | ||
【1-163L】 | 《ティーダ》 | 2 |
【5-118L】 | 《ラムザ》 | 3 |
【5-126L】 | 《暗闇の雲》 | 1 |
【6-103H】 | 《リチャード》 | 1 |
【7-106L】 | 《アグリアス》 | 3 |
【9-057L】 | 《ヤズマット》 | 2 |
【9-084H】 | 《カイン》 | 2 |
【9-087H】 | 《ゴルベーザ》 | 3 |
【9-094L】 | 《フースーヤ》 | 3 |
【9-109H】 | 《セシル》 | 2 |
【10-098L】 | 《フォルサノス》 | 2 |
【10-106L】 | 《アーシェ》 | 3 |
【10-101L】 | 《ライトニング》 | 2 |
バックアップ(15枚) | ||
【1-133C】 | 《賢者》 | 1 |
【1-134R】 | 《ゴルターナ公》 | 1 |
【1-150R】 | 《ルールー》 | 1 |
【1-171H】 | 《ミンウ》 | 3 |
【1-176H】 | 《ユウナ》 | 1 |
【2-106R】 | 《グラミス》 | 1 |
【4-110R】 | 《ブルメシア王》 | 1 |
【4-138R】 | 《メルウィブ》 | 3 |
【10-086C】 | 《アルド》 | 3 |
召喚獣(6枚) | ||
【1-124R】 | 《オーディン》 | 3 |
【9-083C】 | 《オーディン》 | 3 |
まず「氷風ヴァン」ですが、これは元々対戦デッキ「魔法 対 剣」が発売されてすぐ【10-133S】《ヴァン》を使おうということで作ったもので、【10-133S】《ヴァン》+【6-041L】《リノア》のコンボで遊ぶデッキでした。当時は特にコンボとは関係がない【8-060L】《フィーナ》なども採用されていて、それほどしっくりきてはいなかったのですが、「Opus Ⅹ」で追加された【ジョブ(空賊)】のカードで大幅に強化されました。
また、このデッキの最高のスタートを考えてみると初期手札の5枚+先攻ドローの1枚で、
1:【10-133S】《ヴァン》をプレイし、出たときのアビリティで【6-040H】《ラグナ》を出す。
2:【6-040H】《ラグナ》からサーチした【9-027H】《スコール》をコストに【6-041L】《リノア》を出す。
3:【6-041L】《リノア》で【10-133S】《ヴァン》を出し直して、オートアビリティで【2-066R】《バルフレア》or【5-156S】《バルフレア》を出す。ここまでの過程で【10-048R】《カイツ》をコストにしてブレイクゾーンに置いておく。
4:【2-066R】《バルフレア》or【5-156S】《バルフレア》から手札に加えたカードで風属性のCPを払い、ブレイクゾーンから【10-048R】《カイツ》を出す(【6-041L】《リノア》で【10-133S】《ヴァン》を出し直したときに【10-048R】《カイツ》のアビリティがスタックに乗っているので、これの解決を最後に行なう)。
というルートにより先攻でフォワードを5体並べることができ、仮に【6-040H】《ラグナ》と【2-066R】《バルフレア》or【5-156S】《バルフレア》の出る順番が逆の場合でも、1ターン目のフォワード4体と2ターン目に2CPで出せる【9-027H】《スコール》で相手のブロッカーをダルにしながら3ターンキルを狙うことができます。
そういった気付きから最速で相手を討ち取るかたちに寄せていったのが現在の「氷風ヴァン」デッキです。
このデッキでは【10-133S】《ヴァン》を1ターン目に出すことが重要なので、【5-066R】《パンネロ》と【9-054C】《パンネロ》を両方採用しています。これにより初手の引き直しを含めて、約9割の確率で【10-133S】《ヴァン》を初手からプレイできるようになっています。
――3ターンキルも狙えるということですが、速度を追求したデッキは「火土WOFF」に切り返されやすい印象もあります。実際相性はどうでしたか?
居ないヒト:一言に「火土WOFF」と言ってもいくつかのタイプに分かれていますが、バックアップをしっかり構えて戦う遅めの「火土WOFF」であれば、相手がバックアップを準備する数ターンのうちにこちらが【10-133S】《ヴァン》から4、5体フォワードを用意して押し切れるという実感がありました。これは「火土WOFF」に限らず、腰の重いデッキ全般に当てはまることでもあります。
その反面、同じ「火土WOFF」でもバックアップをあまり置かずどんどん2CPのフォワードを展開してくる速いタイプに対しては、【10-133S】《ヴァン》から【8-049L】《エアリス》を出してフォワードを守れるかというのが勝敗を分ける大きなポイントになります。そこは運が絡みますが、速い「火土WOFF」以外のデッキに対してしっかり戦えるのならば、リスクとリターンはしっかり釣り合っているかなと思います。
――次に「水雷ゴルベーザ」についてお聞きしたいと思います。
居ないヒト:このデッキは元々【9-087H】《ゴルベーザ》を使いたいというところからスタートしたのですが、【9-087H】《ゴルベーザ》を使おうとした1番の理由は「Opus Ⅹ」での【10-106L】《アーシェ》の登場でした。
【10-106L】《アーシェ》のアビリティで【9-087H】《ゴルベーザ》をアクティブにすることで、アクションアビリティを複数回起動できるようになります。
1枚引いて1枚捨てる効果も、【9-087H】《ゴルベーザ》が一度外れてしまうと次のターンまでデッキの一番上のカードが固定されているため、仮に【9-087H】《ゴルベーザ》をアクティブにできてもアビリティを使う意味がないという問題を解決してくれます。
――【9-087H】《ゴルベーザ》の長所を伸ばし、欠点を補ってくれるのが【10-106L】《アーシェ》だったわけですね。非常にオリジナリティの高いデッキですが、ほかに構築のポイントなどはありますか。
居ないヒト:【9-087H】《ゴルベーザ》の外れをなるべくなくすため、デッキからフォワード以外のカードをサーチしたり出せたりするカードを多めに採用し、「当たり」を増やすようにしています。
たとえば【7-106L】《アグリアス》ですが、これは序盤にフォワードを展開しながらデッキ内のバックアップを減らし、山札を圧縮するという目的で採用しています。そのため【7-106L】《アグリアス》から出せるカードはバックアップのみに絞っています。
また【7-106L】《アグリアス》をバックアップの展開目的で使う関係で、フォワードはコストの高いものばかりになってしまいますが、そこは【9-094L】《フースーヤ》や【10-101L】《ライトニング》などの見た目のコストは重くても手札を補充できるカードで補っています。
特に【10-101L】《ライトニング》は手札からプレイしても【9-087H】《ゴルベーザ》から出しても強く、デッキを2枚圧縮できるのでこのデッキを運用するうえでとても強力でした。
デッキの動かし方としては、バックアップを2枚出して【7-106L】《アグリアス》をプレイし、バックアップを3枚にして【9-087H】《ゴルベーザ》の着地を狙っていくのが基本の動きになります。
この動きができる確率を高めるため【4-138R】《メルウィブ》と【10-086C】《アルド》を3枚ずつ採用し、【7-106L】《アグリアス》から出す3CPのバックアップは重複することがないよう1枚ずつの採用としています。
ただし【1-171H】《ミンウ》だけは「火土WOFF」に対して積極的にプレイしていきたいカードなので3枚採用し、【7-106L】《アグリアス》からのプレイに加えて【6-103H】《リチャード》でのサーチなどからプレイできるように意識しています。
このデッキには【9-087H】《ゴルベーザ》、【9-094L】《フースーヤ》、【9-084H】《カイン》など【カテゴリ(Ⅳ)】のカードが多く、それにあわせて【9-109H】《セシル》を採用しています。【1-171H】《ミンウ》がいることでダメージを分散させるアビリティをより効果的に運用できるようになっています。
また、やや状況が限られますが【1-171H】《ミンウ》があることで【1-163L】《ティーダ》の「エース・オブ・ザ・ブリッツ」から一気に大ダメージを与えるプランも戦略に組み込めるという点も評価しています。
――今回のデッキの使用順ですが、Aデッキ、Bデッキについてはそれぞれどういった経緯で決めていったのでしょう?
居ないヒト:今回の大会では大多数のプレイヤーが『みんな「Aデッキに「火土WOFF」を持ってくるだろう」というメタゲーム予想を立ててくる』と考えました。
そうなると、結果的にAデッキでは「火土WOFF」の使用率が落ち、逆に「火土WOFF」を意識したデッキが多いだろうと逆張りして予想し、Aデッキには「氷風ヴァン」を用意しました。
そして予想通りに進み前半を勝ち切ることができれば、後半は「火土WOFF」と当たるだろうと考え、「火土WOFF」に有利を取れる「水雷ゴルベーザ」を持って行こうと考えました。
実際に先週の記事を読んだところ、そういった作戦でくるプレイヤーの方も多かったので、メタゲームの予想はしっかり当てることができたのかなと思います。
――ありがとうございました。
◆あずささん(「2019 名人戦」四国地区予選で権利獲得)の場合
――さて、3人目はあずささんです。よろしくお願いします。
あずさ:よろしくお願いします。
――あずささんは「第3期名人戦」では四国地区予選と近畿地区予選で2度の2位入賞ということで非常にアベレージの高いプレイヤーという印象ですが、今回はどんなデッキを持ち込む予定だったのでしょう?
あずさ:四国地区予選で使った「水単」をBデッキに、近畿地区予選で使った「氷単」をAデッキとしてそれぞれ使う予定でした。
●Aデッキ:「氷単」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(29枚) | ||
【6-130L】 | 《ニーズヘッグ》 | 1 |
【8-136L】 | 《常闇のヴェリアス》 | 2 |
【3-036H】 | 《シド・オールスタイン》 | 2 |
【9-028L】 | 《蒼龍のルシ ソウリュウ》 | 3 |
【8-026L】 | 《ガーランド[Ⅸ]》 | 2 |
【3-033L】 | 《ジェネシス》 | 2 |
【6-041L】 | 《リノア》 | 2 |
【10-028L】 | 《暗闇の雲》 | 1 |
【1-192S】 | 《シド・レインズ》 | 1 |
【10-033L】 | 《スコール》 | 1 |
【4-048L】 | 《ロック》 | 3 |
【4-038L】 | 《セリス》 | 2 |
【8-037R】 | 《セリス》 | 2 |
【7-034L】 | 《セフィロス》 | 3 |
【10-034H】 | 《セフィロス》 | 2 |
バックアップ(17枚) | ||
【6-022R】 | 《イゼル》 | 1 |
【8-031R】 | 《コキュートス》 | 1 |
【1-057R】 | 《ラーグ公》 | 1 |
【10-036R】 | 《ティナ》 | 2 |
【4-026H】 | 《ガストラ帝国のシド》 | 3 |
【8-036C】 | 《セッツァー》 | 2 |
【5-030C】 | 《学者》 | 3 |
【3-043C】 | 《時魔道士》 | 2 |
【9-034R】 | 《モーグリ-11組-》 | 2 |
召喚獣(4枚) | ||
【9-025H】 | 《ザルエラ》 | 2 |
【5-032H】 | 《グラシャラボラス》 | 2 |
●Bデッキ:「水単」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(25枚) | ||
【9-104L】 | 《オルトロス》 | 3 |
【3-144L】 | 《レナ》 | 3 |
【10-106L】 | 《アーシェ》 | 3 |
【9-120L】 | 《ローザ》 | 3 |
【3-139C】 | 《ナイト》 | 3 |
【8-123H】 | 《ニコル》 | 2 |
【7-116L】 | 《ティーダ》 | 1 |
【3-130R】 | 《カイナッツォ》 | 2 |
【5-141H】 | 《レフィア》 | 1 |
【5-126L】 | 《暗闇の雲》 | 2 |
【10-127H】 | 《シトラ》 | 2 |
バックアップ(17枚) | ||
【1-180R】 | 《ワッカ》 | 3 |
【1-177R】 | 《ユウナ》 | 3 |
【9-108C】 | 《白魔道士》 | 3 |
【1-171H】 | 《ミンウ》 | 2 |
【5-121R】 | 《アンドリア》 | 2 |
【1-174R】 | 《ヤーグ・ロッシュ》 | 1 |
【1-157C】 | 《学者》 | 1 |
【4-138R】 | 《メルウィブ》 | 1 |
【4-134C】 | 《ブラネ》 | 1 |
召喚獣(8枚) | ||
【2-133R】 | 《不浄王キュクレイン》 | 3 |
【8-130C】 | 《リヴァイアサン》 | 3 |
【3-123R】 | 《暗黒の雲ファムフリート》 | 2 |
元々「Opus Ⅹ」が発売されてすぐ「火土WOFF」は自分でも組んで回していて、非常に強いデッキだと認識していたんですが、そのぶん流行が予想されるので自分ではなるべく使わないようにしたいと考えていました。
これは僕の個人的な考え方ですが、ミラーマッチがあまり好きではないんですよね。というのもミラーマッチは目指すところが一緒なので、どちらがより強い動きをできるのか、という要素に寄りがちで運に左右されやすいという側面があります。
なので、普段からなるべく流行っているデッキは使わず、それに対して自分なりの勝つための策略を用意できるデッキを使いたいと思ってデッキを考えています。そういう意味では今回の2デッキはかなり満足のいくものが用意できました。
――それぞれのデッキについて教えてください。
あずさ:まずAデッキの「氷単」ですが、今回メタゲームの中心である「火土WOFF」に対してやや有利くらいのポジションに立てるデッキに仕上がったと思っています。
これは【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》の存在によるところが大きいんですが、「火土WOFF」側がパワー9000の【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》を対処しようとすると【カテゴリ(WOFF)】のフォワードを3体以上用意する必要があります。
相手側は【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》を倒すためにそれなりの枚数の手札を使って戦力を展開しなければならないんですが、それに対して【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》の手札を3枚捨ててフォワードをブレイクするアビリティにより【10-020L】《レェン》を討ち取るだけでそれを止められます。
こちらは【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》が生き残っていれば毎ターン1枚ずつカードが増えていくので、リソースを稼ぎながら相手に除去を強要し、切り返しの手段にもなる【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》は今回の要となるカードでした。
練習のなかでいろいろなプランを試してきましたが、【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》を序盤から出すというのが他のどのプランより強かったですね。
また、特に関西方面では「火土WOFF」に【8-136L】《常闇のヴェリアス》や【8-082R】《プロンプト》が採用されていることがあまりなく、対処されにくい環境だったというのが活躍を後押ししてくれました。
さらに「Opus Ⅹ」で【10-034H】《セフィロス》が収録されたことで【7-034L】《セフィロス》の「シャドウフレア」が格段に使いやすくなり、【10-034H】《セフィロス》を回収できる【5-030C】《学者》の評価が非常に上がりました。
【4-048L】《ロック》や【4-038L】《セリス》もスペシャルアビリティを使う機会が多いデッキなので、プレイした【5-030C】《学者》のぶんだけ活躍を見込めます。
――このデッキでは闇属性のカードとして【6-130L】《ニーズヘッグ》と【8-136L】《常闇のヴェリアス》が両方採用されていますが、コストが重い闇属性のカードを重ねて採用するのは攻めに寄った「氷単」では勇気のいる構築に見えます。
あずさ:これに関しては「氷単」の苦手部分を克服するためには仕方がないという面が大きいですね。「氷単」はフィールドに出た相手のカードを除去する手段が乏しいということもあり、こちらの手札破壊を見越して手札を使い切って大型のフォワードを展開されてしまうと苦しい流れになってしまうこともあるので、それを打開する手段として【6-130L】《ニーズヘッグ》と【8-136L】《常闇のヴェリアス》を両方採用しています。
【8-136L】《常闇のヴェリアス》は最序盤に展開した【4-048L】《ロック》を止めに来たブロッカーを除去することで、イージーウィンを狙いにいけます。
また「氷単」の【6-130L】《ニーズヘッグ》は【6-041L】《リノア》や【3-043C】《時魔道士》がある関係で、相手からすると多少無理してでも倒しておかなくてはいけないカードであり、CPや手札などのリソースをより多く消費させることができるため、かけたコスト以上の働きをしてくれることが多いです。
「氷単」は序盤から【4-048L】《ロック》や【7-034L】《セフィロス》で手札破壊をしかけることで、どのデッキに対しても「手札破壊を嫌がって展開する相手 対 こちら」という、自分の狙い通りのプランに持ち込みやすいです。
「火土WOFF」に対しても【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》で盤面を制圧するという明確なプランを持ったことで、今回最初に使うデッキに決まりました。
――次に「水単」についてお話を聞きたいと思います。「水単」も「Opus Ⅹ」環境ではあまり見かけないデッキだったと思いますが、あずささんはどういった経緯で「水単」を使うことにしたのでしょうか。
あずさ:先ほど話したとおり「火土WOFF」が強力で流行るだろうということは明白だったので、それに勝てるデッキをということで組んだのがこの「水単」になります。
今までの「水単」は【6-126R】《レイラ》と【4-133C】《バイキング》による展開でダメージを稼いだり、防御を回したりするのが一般的でしたが、「Opus Ⅹ」環境では「火土WOFF」の【10-020L】《レェン》に簡単に除去されてしまうので、フォワードの軸を変える必要がありました。そこで除去されにくく、パワーがあることを基準にフォワードを選定していきました。
また「火土WOFF」に対するメタカードとして【1-171H】《ミンウ》があるのですが、【1-171H】《ミンウ》は3コストとテンポロスが大きく、また有効でないデッキも存在するため扱いが難しいカードであるという弱点がありました。
しかし「Opus Ⅹ」ではこれを改善するカードとして【10-106L】《アーシェ》が登場しました。彼女のキャラクターをアクティブにするアビリティのおかげで奇数コストのバックアップの展開効率が上がり、さらに今まで「水単」が苦手としていた、少ないバックアップからパワーのあるフォワードを展開する動きもできるようになりました。
【10-106L】《アーシェ》のおかげで奇数の動きで綺麗に展開できるようになったため、【9-108C】《白魔道士》や【1-180R】《ワッカ》も使いやすく、よりまとまったデッキになりました。
また「水単」は「水風」に強いという点もありました。ダメージによる除去を行なうデッキなので【1-171H】《ミンウ》が有効であることと、【9-120L】《ローザ》でダメージ軽減される点などによって自然と対策ができているというのは、「第3期名人位決定戦」のメタゲームにおいては1つの魅力だったんじゃないかと思います。
また【9-120L】《ローザ》は【5-121R】《アンドリア》とも相性がよく、相手からすればフォワードを1体失うか、1ダメージと1ドローを天秤にかけなければならないので、非常にプレッシャーを与える動きができるというのが僕好みで強力でした。
ただ、今回「水単」を使うぞという決断をするのには結構時間がかかってしまいました。というのも【8-136L】《常闇のヴェリアス》を「氷単」で使うことは確定で考えていたため、除去されても損をしにくいフォワードの候補が減ってしまっていたんです。その悩みを解決してくれたのが【9-104L】《オルトロス》です。
除去耐性ももちろんですが、アタック時に相手全体にダメージを与えてくれるので、ほかのフォワードもアタックしやすくなったり、【8-123H】《ニコル》や【3-130R】《カイナッツォ》とのコンボでの除去、【2-133R】《不浄王キュクレイン》や【8-130C】《リヴァイアサン》の数値が足りないときのフォローとしても活躍してくれました。
――それぞれのデッキの使用順についてもお聞きしたいと思います。
あずさ:今回の「氷単」は特に自信があるものができたので、Aデッキで使おうと考えていました。昨年の「MASTERS?2019 FINAL」のときはBデッキとして「氷単」を持って行っていたんですが、その時は予選ラウンドの前半戦が散々な結果で、せっかく自分の好きな「氷単」を使うというタイミングにはゲームを楽しめないほど滅入ってしまっていたんです。非常に後悔の残る結果でした。
僕自身はもちろん自分の理屈をもって『FFTCG』をプレイしていますが、それと同じくらい自分の感情を大事にしてプレイするようにしています。なので今回はまず自分がしっかり楽しめるように、相方がなんであれAデッキを「氷単」にしようというのは最初から考えていました。それこそ「氷単」で3敗してしまったなら、それはそれで仕方がないというところまで考えての選択でした。
――ありがとうございました。
◆ぱっつぁんさん(第2期名人)の場合
――全国のプレイヤーへのインタビュー、いよいよ締めくくりは「第2期名人」のぱっつぁんさんです。よろしくお願いします。
ぱっつぁん:よろしくお願いします。
――早速ですが、今回「第3期名人位決定戦」で“第2期名人”のぱっつぁんさんが使おうと考えていたデッキを教えてください。
ぱっつぁん:今回私が使おうと思っていたのはAデッキが「土雷水ゴルベーザ」、Bデッキが「火土WOFF」でした。
●Aデッキ:「土雷水ゴルベーザ」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(30枚) | ||
【2-122R】 | 《アグリアス》 | 1 |
【2-139C】 | 《ラーサー》 | 3 |
【5-098C】 | 《アサシン》 | 1 |
【7-131S】 | 《ウォーリアオブライト》 | 2 |
【9-058L】 | 《ルッソ》 | 3 |
【10-020R】 | 《玄武のルシ?クンミ》 | 3 |
【10-081R】 | 《プリッシュ》 | 3 |
【1-112R】 | 《ディリータ》 | 3 |
【8-097H】 | 《ジェイク》 | 2 |
【1-135L】 | 《ゴルベーザ》 | 3 |
【5-118L】 | 《ラムザ》 | 3 |
【10-111H】 | 《ギルガメッシュ[?]》 | 3 |
バックアップ(12枚) | ||
【9-074C】 | 《モーグリ-10組-》 | 3 |
【9-097C】 | 《モーグリ-6組-》 | 3 |
【10-121C】 | 《モーグリ-4組-》 | 1 |
【1-134R】 | 《ゴルターナ公》 | 2 |
【3-096H】 | 《リディア》 | 1 |
【10-086C】 | 《アルド》 | 2 |
召喚獣(8枚) | ||
【4-093R】 | 《ヘカトンケイル》 | 3 |
【3-123R】 | 《暗黒の雲ファムフリート》 | 3 |
【9-093H】 | 《バハムート零式》 | 2 |
●Bデッキ:「火土WOFF」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(24枚) | ||
【1-109R】 | 《セラフィ》 | 3 |
【4-001H】 | 《アウィン》 | 3 |
【7-004C】 | 《イフチー》 | 3 |
【10-017R】 | 《ラァン》 | 1 |
【1-027H】 | 《ラァン》 | 2 |
【9-063L】 | 《ガブラス》 | 2 |
【3-093H】 | 《ブレンディレス》 | 3 |
【10-020L】 | 《レェン》 | 3 |
【4-080L】 | 《ケフカ》 | 2 |
【10-136S】 | 《シャントット》 | 2 |
バックアップ(17枚) | ||
【3-083C】 | 《セグリワデス》 | 2 |
【3-094C】 | 《ペリノア》 | 2 |
【7-017H】 | 《ミース》 | 2 |
【7-074C】 | 《タマ》 | 2 |
【10-019C】 | 《ルゥス》 | 3 |
【3-089R】 | 《名を忘れた少女》 | 3 |
【10-021C】 | 《ロォク》 | 3 |
召喚獣(9枚) | ||
【10-068C】 | 《クーシー》 | 3 |
【9-068H】 | 《ドラゴン》 | 3 |
【10-002H】 | 《イフリート》 | 3 |
この2つのデッキの共通点は「少ないバックアップで戦えるデッキ」という点です。
「Opus Ⅹ」環境はシーズンを通して「火土WOFF」を使用してきたので、「第3期名人位決定戦」でも「火土WOFF」を使うことは自分のなかでほぼ確定していました。
そこで「もう1つのデッキをどうしようか?」と考えたときに「両方とも苦手とするデッキは共通していたほうがいいな」と考えました。
「火土WOFF」は非常にパワーのあるデッキなので、大抵のデッキに対して有利を取ることができます。しかし、環境が進むにつれて登場してきた「火土WOFF」を強く意識したデッキ、例えば「風単」や「氷単」などがキツイのかなと考えていました。「氷単」では【5-028C】《裏魔道士》という「火土WOFF」に対するキラーカードも採用され始めたりしていましたし、実際対戦する機会はありませんでしたが【5-088C】《ドロタボー》を使ったコントロールも苦手なんじゃないかと考えていました。
ただ、それらのデッキは「風単」以外は母数としてそれほど多くはならないと考えていて、結果的に苦手なデッキを共通させたほうが決勝ラウンドでは(一度勝ったデッキが使えなくなるため)勝ちやすく優勝を狙いやすいだろうということで、共通の弱点を持つデッキを使おうという今回の方針に至りました。
そうなったときに、自分で「火土WOFF」を使う以上「火土WOFF」に対して不利なデッキと、「火土WOFF」が有利なデッキに対して不利を取ってしまうデッキを選択するのはやめようと思いデッキを考えていくうちに、【1-135L】《ゴルベーザ》デッキが一番「火土WOFF」にポジションが近いだろうと考え、「第3期名人位決定戦」ではこの2デッキを使うという選択をしました。
――それぞれのデッキに関して聞かせてください。
ぱっつぁん:この「火土WOFF」はデッキ内の【カテゴリ(WOFF)】のカードの純度を意識した型なので、手段としてあまりよくはないのですが残りのスロットには「相手の対策カードへの対策」をするカードを多めに採用しました。具体的には【8-049L】《エアリス》や【4-083L】《シャントット》への対策として【10-136S】《シャントット》と【4-080L】《ケフカ》を採用しています。
また【5-028C】《裏魔道士》などに対してコスト帯をズラすため、【1-027H】《ラァン》も採用し、あわせて【7-017H】《ミース》も採用しました。【7-017H】《ミース》自体は環境初期の段階で【10-020L】《レェン》をサーチする手段として採用していたのですが、【1-027H】《ラァン》の採用により2枚目以降が余りがちな【3-089R】《名を忘れた少女》や【10-021C】《ロォク》をフォワードに変換できるようになったので、再び採用しました。
また【9-063L】《ガブラス》について、多くの場合【10-020L】《レェン》をサーチするために採用されていますが、僕は【10-020L】《レェン》をサーチするためだけの【9-063L】《ガブラス》はテンポロスに繋がるため正直強くないと考えていました。
しかし今回のデッキでは「対策カードへの対策」となる高コストのカードを採用したことで、それらにアクセスする役割も持てるようになったためスロットを割いています。
元々は【10-132S】《ティナ》を使い【9-068H】《ドラゴン》を使い回す動きが強く、そのためのスロットだったのですが、この動きは『「火土WOFF」への対策』に対しては強くなかったので「対策カードへの対策」に合わせて入れ替わっていきました。
――このデッキでは【7-078C】《バハムート兵》が採用されていません。ぱっつぁんさんの「火土WOFF」は【カテゴリ(WOFF)】のギミックに寄せた構築ですが、採用されなかったのはどういった理由があるのでしょうか?
ぱっつぁん:「火土WOFF」というデッキは【10-020L】《レェン》に依存したデッキなので、基本的に【10-020L】《レェン》がフィールドにいるものとしてカードの評価がされます。そのため【7-078C】《バハムート兵》は高く評価されがちなカードなんですが、【カテゴリ(WOFF)】のなかでは実はそれほど強いカードではありません。環境が進むにつれて先ほど話した【5-028C】《裏魔道士》や【3-037H】《死の天使ザルエラ》、【3-112H】《審判の霊樹エクスデス》が採用されるようになり、同じコストで固めることのデメリットも大きくなっていきました。
また【7-017H】《ミース》の採用に伴い、【10-020L】《レェン》をサーチするために同じ5コストである【3-093H】《ブレンディレス》の枚数を増やしたほうがいいだろうということで、【7-078C】《バハムート兵》は最終的に不採用となりました。
今回のリストだと【9-063L】《ガブラス》が1枚【7-078C】《バハムート兵》になっても問題はないのですが、1枚では【7-078C】《バハムート兵》の強みである複数枚プレイできるという利点も活かせないので「対策カードへの対策」をサーチできたほうがいいだろうという考えもあります。
――では次に「土雷水ゴルベーザ」についても教えてください。
ぱっつぁん:「土雷水ゴルベーザ」は「2019 名人戦」近畿地区予選の会場で243さんとお話をした際にいただいたリストを元に作ったデッキになります。
【1-135L】《ゴルベーザ》を用いたデッキは【1-135L】《ゴルベーザ》がある、あるいはそれにアクセスできるという初手でなければ引き直し、という動きになりがちなんですが、【10-111H】《ギルガメッシュ[?]》が入ったことによりキープできる初手のパターンが増えました。
また【10-111H】《ギルガメッシュ[?]》からスタートする場合、バックアップの展開からゲームを始めてもよく、初手でバックアップが多い場合は最初からロングゲームを見据えたゲームプランが取れるようになったのも【10-111H】《ギルガメッシュ[?]》が入った強みだと思います。
基本的に【1-135L】《ゴルベーザ》から出すカードは決まっていて、【2-139C】《ラーサー》、【9-058L】《ルッソ》、【10-020R】《玄武のルシ クンミ》+αという出し方をします。それに加えてサーチ要員である【10-081R】《プリッシュ》をそれぞれ3枚ずつ採用し、これら以外は枚数を分散して採用するようにしました。
また【7-131S】《ウォーリアオブライト》は【10-111H】《ギルガメッシュ[?]》からプレイする候補でもあるので2枚採用となっています。
いただいたリストはいろいろなゲームパターンを想定して構築されていたんですが、自分で使ううえでは扱いきれないと思い自分用にチューニングしました。
特にサーチカードは、すべてデッキのメインである土属性、雷属性、水属性にはアクセスできるようにしようと考えました。【2-122R】《アグリアス》が1枚採用なのもそのためです。
正直こちらのデッキに関しては当日ギリギリまで考えようと思っていたので、まだまだ改良の余地があると感じており、この50枚で確定というわけではありません。ですが、「土雷水ゴルベーザ」を使うというのは自分の中で決定していたので、暫定の最新リストと考えてもらえればと思います。
――それぞれがAデッキ、Bデッキになった理由をお聞きしたいと思います。
ぱっつぁん:単純に「火土WOFF」を使うプレイヤーはAデッキに持ってくる可能性が高いと考えていました。というのも「火土WOFF」を使おうと考えるプレイヤーは予選大会を「火土WOFF」で勝ち抜いており、その実績から「名人位決定戦」にも持ち込もうとすると考えられたからです。その場合、スイスドローの仕組みの関係上、前半に勝ちを重ねたほうが決勝ラウンドへ上がれる確率も高くなるため、そこに経験と実績のある「火土WOFF」を使ったほうがいいと考えるでしょう。
同じ思考でいくと、Aデッキに「火土WOFF」に強いデッキを持ち込むプレイヤーも多くなるとも考えました。「風単」は「火土WOFF」を意識したデッキの中では特に数を増やすだろうと考えられたので、こちらの候補のなかで「火土WOFF」と「風単」の両方に対してより分がいい「土雷水ゴルベーザ」をAデッキとしました。そしてBデッキは自然と「火土WOFF」になったという形ですね。
――ありがとうございました。
◆おわりに
というわけで、今回は各地で活躍する4人のプレイヤーへインタビューをさせていただきました。
「Opus Ⅹ」環境はどのプレイヤーも「火土WOFF」を中心に据えて考察しているというのは共通していましたが、プレイヤーごとに「火土WOFF」を使うのか、使わないのか、使うのならどう使うのかなどの考え方が分かれていて、それぞれの意見から勉強になることが多かったです。
また、インタビューしたほぼ全員が共通して、参加者の多くはAデッキに「火土WOFF」を持ってくるだろうと考えていたことや、それに反して使う側のプレイヤーは全員「火土WOFF」をBデッキにしていたことなどもあり、こういったメタ予想とデッキ選択のズラしは今後『FFTCG』の大きな大会に臨むうえで有益な考え方になるなと感じました。
残念ながら、誰が「Opus Ⅹ」環境を制したかを知ることはできなくなってしまいましたが、このインタビューで得た知見をもとに、いつか改めて開かれるであろう「第3期名人位決定戦」では“名人”の称号を手にすることができるよう努めていきたいと思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!