『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回は先週開催された「第24回自宅名人戦」で優勝した、ぱっつぁんさんのインタビューをお届けします!
◆はじめに
みなさんこんにちは!『FFTCG』プレイヤーのたるほです。
先日、「Opus XIII 〜クリスタルの輝き〜」が発売されてから初となる「第24回自宅名人戦」が開催されました。
新しいカード、新しいデッキが使える最初のイベントで、今までとはガラッと環境が変わった大会となり、対戦した方も思い思いの新デッキで参加されていました。
僕も前回の記事で紹介した「火氷【ヴァーサタイル+セルテウス】」を大会に向けてチューニングしたデッキで参加し、なんと4回戦までの試合を相手から1点もダメージを受けることなく全勝することができました!
今回は最終戦が終わった時点で僕のほかに「ぱっつぁん」さんが全勝しており、さらに1戦「優勝決定戦」が行なわれました。
ぱっつぁんさんの「土雷【イミテーション】」との対戦に惜しくも敗れてしまい、残念ながら優勝とはいきませんでしたが、想像以上の結果を出すことができ「Opus XIII」環境は幸先のいいスタートが切れたのではないかと思います。
さて、今回はそんな熱戦を制し「Opus XIII」環境最初の“自宅名人”となったぱっつぁんさんにインタビューを行ない、新環境の注目デッキ「土雷【イミテーション】」を解説してもらいました。
『FFTCG』名人といえばこの人!“第二期『FFTCG』名人”の称号も絶賛継続中。
アイディア満載のおもちゃデッキから、数字に裏打ちされたガチガチのトーナメントデッキまでさまざまなデッキを開発している。
「Opus XIII」環境はぱっつぁんのおもちゃ箱にどんなデッキが加わるのか?目が離せないプレイヤーの1人だ。
◆名人謹製の「土雷【イミテーション】」!
――今回使われたデッキは「土雷【イミテーション】」でした。「Opus XIII」環境最初の「自宅名人戦」でこのデッキを使おうと思った理由を教えてください。
ぱっつぁん:単純に勝率ベースで使うデッキを考えたときに、もっとも勝率が高いデッキだったからです。「Opus XIII」が発売されていろいろなデッキを組みましたが、そのなかでも「土雷【イミテーション】」の勝率は8割とダントツでした。
最新のカードをたくさん使うデッキなうえに動きも新しいので、大会という実戦で試してみようと考えました。
●「土雷【イミテーション】」(第24回自宅名人戦:優勝)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(29枚) | ||
【13-003C】 | 《虚構の兵士》 | 3 |
【13-049C】 | 《まやかしの少年》 | 3 |
【13-029C】 | 《まやかしの妖魔》 | 3 |
【13-087C】 | 《うつろいの騎士》 | 3 |
【13-071R】 | 《エクスデス》 | 3 |
【12-121R】 | 《ノクティス》 | 3 |
【11-097H】 | 《ニックス》 | 3 |
【11-102C】 | 《リベルト》 | 3 |
【12-122L】 | 《レギス》 | 3 |
【13-081H】 | 《ライトニング》 | 2 |
バックアップ(13枚) | ||
【2-092C】 | 《幽玄の道化》 | 3 |
【13-054C】 | 《いにしえの淑女》 | 3 |
【13-070C】 | 《うつろいの魔人》 | 3 |
【11-103C】 | 《ルーチェ》 | 1 |
【11-092C】 | 《クロウ》 | 1 |
【1-107L】 | 《シャントット》 | 2 |
召喚獣(8枚) | ||
【4-093R】 | 《ヘカトンケイル》 | 2 |
【10-068C】 | 《クーシー》 | 3 |
【9-068H】 | 《ドラゴン》 | 3 |
――確かに【ジョブ(イミテーション)】は今回大幅な強化がされたテーマですね。それにしても8割は相当な勝率ですが、デッキとしての強みはどういったところにあるのでしょうか?
ぱっつぁん: 【ジョブ(イミテーション)】の特徴は主力となるカードの多くが一般兵アイコンを持っているため、同名のカードを複数展開できることです。新しく登場した【ジョブ(イミテーション)】のカードはどれもスペックが高く、展開力、パワー、除去とそれぞれの面で非常に優れています。
また、バックアップをサーチする手段が豊富で、少ないスロットでバックアップを採用でき、安定して展開できるのも大きな特徴です。
【13-087C】《うつろいの騎士》と【13-070C】《うつろいの魔人》はそれぞれ自身と属性の異なる【ジョブ(イミテーション)】をサーチできて、複数フィールドに出せるので、この2枚を交互に出し続けることでバックアップを並べることもできます。
バックアップの枚数が少なくても序盤の動きが安定してくれるのはもちろん、後半にバックアップばかり引いてしまうという展開も避けられるため、毎ゲーム安定した戦いができるデッキです。
また、これらのカードに加えて【ジョブ(イミテーション)】デッキのキーカードになるのが、【ジョブ(イミテーション)】のキャストに必要なCPを好きな属性で支払えるようになる【13-054C】《いにしえの淑女》です。
【13-054C】《いにしえの淑女》をサーチできる【13-070C】《うつろいの魔人》もバックアップなので、バックアップの採用を絞ったこのデッキでは【13-054C】《いにしえの淑女》と【13-070C】《うつろいの魔人》は初手キープの基準となります。
今回は【13-071R】《エクスデス》と今回採用した7種類の【ジョブ(イミテーション)】で完結したパッケージと考え、8×3枚ずつの24枚は確定枠という前提でデッキ構築をはじめました。土、雷属性がベースのなかそれ以外の属性のカードが12枚入っている構成になりましたが、事故を起こさず回ってくれたので、やはり安定性の高いデッキだなと感じています。
――デッキの安定性のお話だと【13-087C】《うつろいの騎士》からスタートすることを視野に入れ、水属性のカードをある程度採用する構築をされている方もいましたが、そういったアプローチはされなかったんですね。
ぱっつぁん:【13-087C】《うつろいの騎士》は確かに【13-054C】《いにしえの淑女》と【13-070C】《うつろいの魔人》の両方をサーチすることができますが、水属性のCPを出そうとして土属性や雷属性のCPが供給できなくなる可能性を高めるのは本末転倒だと考えています。土水や水雷の多属性のカードを増やしてCPを供給することもできますが、今回の構築ではそういったアプローチは見送っています。
いくら【13-054C】《いにしえの淑女》で属性を気にせず【ジョブ(イミテーション)】をキャストできるとはいえ、そもそも【13-054C】《いにしえの淑女》や【13-070C】《うつろいの魔人》をキャストできないという事態は避けなくてはなりません。そのため、あくまで土雷の2属性をベースにするということを意識しました。
――あくまで安定性を第一に考えた構築を目指したわけですね。
ぱっつぁん:はい。これで「【ジョブ(イミテーション)】を24枚1セットのパッケージと考える」「ベースは土雷」というコンセプトが定まり、残る26枚のカードをどうするかを考えることになるのですが、僕はこの26枚は“確定枠である24枚を活かすためのカード”、言ってしまえば「添え物」であると考えています。
初手からキャストしたいカードを使うためには、そのカードそのものとコストにする同属性のカードが初手+1ターン目のドローの合計6~7枚のなかに2枚なくてはなりません。
それを現実的な確率で行なえるようにするために、デッキの軸になる属性のカードには4割以上、少なくとも20枚はスロットを割く必要があります。
確定枠以外の26枚のスロットを2で割ると土、雷属性をそれぞれ13枚ずつ採用できますが、確定枠の24枚のなかに土、雷属性のカードは6枚ずつしか採用されていないため、このままでは13+6=19で20枚に届きません。
それを補うため、土雷の多属性カードである【12-122L】《レギス》と【12-121R】《ノクティス》を採用することにしました。
【12-121R】《ノクティス》を使うためにはデッキに【カテゴリ(XV)】のカードを採用する必要があるので、自然と【11-097H】《ニックス》や【11-102C】《リベルト》のような【カテゴリ(XV)】のカードが増えていきました。さらに、その兼ね合いで今回は【11-103C】《ルーチェ》と【11-092C】《クロウ》を1枚ずつ採用しています。
このデッキ、バックアップは【ジョブ(イミテーション)】の3種類×3枚の合計9枚だけでも回るのですが、枚数としてはギリギリです。
なので、デッキに添えるカードのなかでもバックアップは貢献度が高いと考えていて、
・土雷のCPを安定して供給したい
↓
・【12-122L】《レギス》と【12-121R】《ノクティス》の投入
↓
・【カテゴリ(XV)】を増やすため【ジョブ(王の剣)】パッケージの投入
↓
・デッキとシナジーのあるバックアップとして【11-092C】《クロウ》、【11-103C】《ルーチェ》の投入
という流れで意味のあるカードを投入できたと思っています。
バックアップに関してはデッキの攻撃力を落とさずに何枚まで増やせるかを試している段階なので、今後はもう少し採用枚数が増えるかもしれません。
――【ジョブ(イミテーション)】には過去に登場したカードもありますが、今回のデッキでは【2-092C】《幽玄の道化》以外は採用されていませんね。
ぱっつぁん:【2-112C】《たまゆらの雷光》や【3-117C】《見せかけの豪傑》は構築段階で候補には挙がりました。
【ジョブ(イミテーション)】は奇数コストのフォワードが少ないので【3-117C】《見せかけの豪傑》は採用しようかなと考えましたが、【12-121R】《ノクティス》を採用するうえで【カテゴリ(XV)】のフォワードにスロットを割く必要があり、またこれらによって奇数コストのフォワードを確保できたため採用を見送りました。
【13-081H】《ライトニング》も、奇数コストのカードが欲しかったという気持ちから採用したカードです。
もともとは【9-063L】《ガブラス》が採用されていましたが、若干土属性のカードの比率が濃くバランスを整えたかったのと、それまでデッキ自体にバックアップを5枚置くメリットがあまりなかったため、そこに価値を持たせられる奇数コストで強力なカードを採用したいという気持ちもあり、直前に【13-081H】《ライトニング》に変えました。
――召喚獣はすべて土属性のカードになっていますが、これは雷属性のフォワードが多いからバランスを取るためにこうなっているのでしょうか。
ぱっつぁん:順番としては逆になりますね。【10-068C】《クーシー》がいい例なのですが、このカードは添え物枠でありながら確定枠のカードに変えられるカードです。【9-068H】《ドラゴン》もカードを引くことで【ジョブ(イミテーション)】に変われる可能性があります。こういったカードは土属性に多いため、追加したバックアップやフォワードは雷属性の比率が高くなっています。
先ほど、【11-092C】《クロウ》や【11-103C】《ルーチェ》のところでもお話ししましたが、今回は「確定枠と添え物」というパッケージの区別と、土、雷属性のバランスということを意識してスロットを埋めていったのでまだまだデッキとしては最適化されていません。なので、これで「イミテーション」デッキは結論が出たということはなく、これからまだまだ伸びしろのあるデッキだと思います。
たとえば、今回の構築では【12-110L】《ネオエクスデス》を意識して【11-097H】《ニックス》や【13-081H】《ライトニング》に加えて【1-107L】《シャントット》を採用していますが、これは自由に変えられるスロットです。環境によっては【1-117R】《ヘカトンケイル》を採用してバックアップに干渉できるようにするといったアプローチもありだと思います。
――今回のデッキは「メインとなる2属性のバランスを意識したイミテーションデッキ」というわけですね。そして「イミテーション」デッキには別の視点で組める伸びしろもありそうだと。では、これからいろいろな「イミテーション」デッキが出てくるとして、プレイテクニックというかデッキを回すうえで心がけていることなどを教えていただけますか。
ぱっつぁん:先ほどはキープ基準の話をしたので、具体的なマリガン(初手の引き直し)についてですが、
・【13-054C】《いにしえの淑女》と土属性のカード
・【13-070C】《うつろいの魔人》と雷属性のカード
・【2-092C】《幽玄の道化》と【13-070C】《うつろいの魔人》と土属性カード
は【13-054C】《いにしえの淑女》へのルートが明確なのでキープです。
・【13-071R】《エクスデス》+【13-087C】《うつろいの騎士》
これも同じ理由から一応キープですね。
【13-054C】《いにしえの淑女》が絡まない基準だと、
・【2-092C】《幽玄の道化》+【2-092C】《幽玄の道化》+【11-103C】《ルーチェ》のセット
も一応キープしてもいい組み合わせです。
これらのパターンに近いものをキープ、それ以外をマリガンと考えておくといいと思います。
――デッキに入っている土、雷属性の【ジョブ(イミテーション)】のカードのためにも【13-054C】《いにしえの淑女》への依存度はかなり高いわけですね。
ぱっつぁん:そうですね、最重要カードだと思います。
◆環境は混沌へ。名人の「Opus XIII」環境展望。
――「Opus XIII」が発売されて1週間がたちますが、今回の「自宅名人戦」なども踏まえて「Opus XIII」環境の印象をお聞きしてもいいでしょうか?
ぱっつぁん:「Opus XIII」の登場によって新たなデッキタイプが誕生しただけでなく、これまでに登場したさまざまなテーマのデッキが強化されたと感じました。
それこそ、たるほさんが使用した「火氷ヴァーサタイル」も「Opus XIII」でかなり強化をもらったデッキの1つですよね。
また「侍」デッキのような「Opus XII」環境で活躍してきたデッキも有力候補としてメタゲームに残り続けると思います。
加えて「Opus XIII」は新カードの登場だけではなく【3-131H】《ギード》が禁止カードに指定されるという変化もありました。
「Opus XII」環境では制圧力の高い「バラライギード」デッキに活躍の機会を奪われていたデッキたちも再び活躍していくと思います。
――「Opus XIII」から新たに生まれたデッキで注目しているカードやデッキはなにかありますか?
ぱっつぁん:新カードのなかでは、【13-119L】《ソフィ》のように構築レベルで意識しなければいけないカードが増えたなとも感じます。前環境の【12-110L】《ネオエクスデス》のように環境に強い影響を与えるカードになるんじゃないかなと思います。
今は環境初期ということもありどのデッキも関係がフラットですが、メタが進みそれぞれが対策する側、される側に回ったときにデッキ使用率や構築がどうなっていくのか気になります。
環境は混沌としているほうが楽しいので、いろいろなデッキに活躍のチャンスがあるといいですね。
――ありがとうございました。
◆おわりに
今回は「Opus XIII」環境のスタートとなった「第24回自宅名人戦」で優勝されたぱっつぁんさんにお話をお聞きしました。
【ジョブ(イミテーション)】は久しぶりの登場ながら、まったく新しいデッキとして生まれ変わり、注目しているプレイヤーも多かったのではないかと思います。
ギミックが完結していて自由枠が多いだけに構築に差が出やすいデッキですが、26枚ものカードを“添えるだけ”と考えてデッキとして完成させるのは「さすが名人はブレないな」と感じさせるデッキ構築でしたね。
ぱっつぁんさんのデッキ構築の一貫性には、僕も毎回学ぶものがあるなと感じさせられるので、ぜひ「Opus XIII」環境でもいろいろなデッキを見せてほしいです。
今回は負けてしまいましたが、僕もまだまだ自信作を残しているので、次の機会にはきっちりリベンジしたいと思います。
次回の「第25回自宅名人戦」は4月18日(日)に、再び「スタンダード」で行なわれます。(受付は当日12:45まで)
リベンジに向けて僕も毎日練習したいと思っているので、遊んでくれるよという方はぜひDiscordの「『FFTCG』公式サーバ」でお声がけください。
もちろん初めての方も大歓迎です!
それではまた次回の記事でお会いしましょう!