【FFTCG】速度をきわめて重コントロール環境を突破! ~「2019 名人戦」東海地区予選優勝者インタビュー~

「FINAL FANTASY TRADING CARD GAME」の公式記事連載。今週は「2019 名人戦」東海地区予選を「火水」デッキで勝ち抜いたOPUS初心者、18才さんのインタビューをお届けします。

◆はじめに
皆さん、こんにちは。『FFTCG』プレイヤーのたるほです。
2020年もよろしくお願いいたします。

今回は、昨年末の「2019 名人戦」東海地区予選で優勝された「OPUS初心者、18才」さん(本記事では以降、普段使っているプレイヤーネームの「243」さんと表記します)のインタビューをお届けします。
本大会を駆け抜けた新たな「火水」デッキの強さに迫りたいと思います。


243(にしさん)
山口県のプレイヤー。トップメタのデッキを使わず、それらのデッキを倒すため独自チューンのデッキで大会に参加している。
東海地区予選で優勝したことで、2月の「名人位決定戦」に向け、「火水」の新たな相棒探しに力を注いでいる。

 

◆求めたのは“最速”。駆け抜けた「火水ヘイスト」
――優勝おめでとうございます。
243:ありがとうございます。
――今回「火水」を使っての優勝でしたが、使用するに至った経緯などからお聞きしたいと思います。
243:今回の「2019 名人戦」東海地区予選では、アグレッシブなデッキよりも、もっとどっしりとした動きをするデッキを持ち込むプレイヤーが多いだろうと考えていました。現在の環境は「Opus X」から新たに登場した「火土『WOFF』」の影響が大きく、それに対抗するために「World Championship 2019」では「水風」や「氷土雷」などが台頭、さらに「2019 名人戦」四国地区予選では「風単」が優勝するなど、環境はミッドレンジ対コントロールの様相を見せていました。

ゲームスピードが遅くなり、下準備が必要なデッキが増えたことで、序盤からフォワードを対処してくるカードが相対的に環境から少なくなっており、その隙を突くことができるゲームスピードの速いデッキにチャンスがあるだろうと考え、「火水」を選択しました。

「火水」(「2019 名人戦」東海地区予選使用)

カード番号 カード名 枚数
フォワード(27枚)
【10-111H】 《ギルガメッシュ [XI]》 3
【8-115L】 《ジタン》 3
【7-118C】 《忍者》 3
【2-139C】 《ラーサー》 2
【9-115R】 《ポロム》 2
【8-113C】 《ガーネット》 1
【9-014L】 《ネール》 2
【5-005R】 《ガドー》 3
【5-014C】 《戦士》 3
【7-131S】 《ウォーリアオブライト》 2
【4-024R】 《レドナ》 1
【8-019C】 《マッシュ》 1
【7-132S】 《フリオニール》 1
バックアップ(12枚)
【4-138R】 《メルウィブ》 2
【3-127R】 《エーコ》 2
【4-134C】 《ブラネ》 1
【10-108R】 《エリア》 1
【2-005C】 《賢者》 3
【8-002C】 《赤魔道士》 1
【8-020R】 《ヨツユ》 1
【10-131S】 《エース》 1
召喚獣(10枚)
【3-123R】 《暗黒の雲ファムフリート》 3
【9-113H】 《ファムフリート》 2
【3-135H】 《シルドラ》 1
【2-109R】 《魔人ベリアス》 3
【3-020H】 《フェニックス》 1
モンスター(1枚)
【8-022R】 《ロールスパイダー》 1

――243さんは、昨年4月の「MASTERS2019」神戸大会でも「火水」を使いベスト8に入賞されていましたね。
243:はい。今回の「火水」もその時に使用していたものをベースに「Opus X」のプールに合わせてアップデートしたものになります。

●「火水ヘイスト」(「MASTERS2019」神戸大会使用)

カード番号 カード名 枚数
フォワード(25枚)
【1-016C】 《ティファ》 1
【5-005R】 《ガドー》 3
【6-004R】 《キロス》 1
【7-002R】 《アイギス》 2
【7-012H】 《ソール》 1
【7-131S】 《ウォーリアオブライト》 2
【8-001R】 《アークエンジェルHM》 1
【8-139S】 《リセ》 1
【2-123C】 《うたかたの夢想》 1
【2-139C】 《ラーサー》 2
【4-137L】 《ミラ》 1
【7-118C】 《忍者》 3
【8-113C】 《ガーネット》 1
【8-115L】 《ジタン》 3
【8-131C】 《リルム》 1
【7-127L】 《ユウナ》 1
バックアップ(15枚)
【2-005C】 《賢者》 3
【7-017H】 《ミース》 1
【8-002C】 《赤魔道士》 3
【8-020R】 《ヨツユ》 1
【1-171H】 《ミンウ》 1
【3-127R】 《エーコ》 3
【4-134C】 《ブラネ》 1
【4-138R】 《メルウィブ》 2
召喚獣(7枚)
【2-109R】 《魔人ベリアス》 3
【3-020H】 《フェニックス》 1
【6-125R】 《リヴァイアサン》 3
モンスター(3枚)
【8-022R】 《ロールスパイダー》 3

もともと「火水」は【8-115L】《ジタン》imageのアビリティで引いたカードで2CPのフォワードをプレイすることにより、手札を消費せず盤面を広げることに注目したデッキでしたが、「Opus X」で登場した【10-111H】《ギルガメッシュ [XI]》imageでもそれと近い動きができると考え、【8-115L】《ジタン》imageと【10-111H】《ギルガメッシュ [XI]》imageの2枚を軸としたデッキにしました。

しかし実際にデッキを回していく中で、【10-111H】《ギルガメッシュ [XI]》imageは【8-115L】《ジタン》image以上にポテンシャルを秘めたカードだと感じました。単純にパワーがあるというのはもちろんですが、アタック時に出したフォワードに【5-005R】《ガドー》imageや【2-109R】《魔人ベリアス》でヘイストを与えてそのままアタックに参加させられたり、【8-115L】《ジタン》imageや【7-131S】《ウォーリアオブライト》imageのような重要度の高いフォワードを序盤にコストとして捨ててしまってもプレイするチャンスが増えたりと、より柔軟な動きができるようになりました。

――「MASTERS2019」神戸大会のリストからアップデートしたものというお話ですが、以前のものと比べると1枚採用のカードが減るなどスッキリとした印象を受けました。それぞれどういった役割で採用されたのでしょうか?
243:【10-111H】《ギルガメッシュ [XI]》imageと【8-115L】《ジタン》imageが軸になっているデッキなので、ほとんどのフォワードが2CPのカードですが、それだけではパワーが低くて突破力のないデッキになってしまいます。【5-005R】《ガドー》imageは2CPのフォワードのパワーを2000上げられるため、2CPのフォワードも3CP相当のパワーを持てるようになります。
アタック時にヘイストを付与する効果もデッキとの相性が良く、【10-111H】《ギルガメッシュ [XI]》imageと【8-115L】《ジタン》imageに並ぶ重要なカードなので3枚採用しています。

肝心の2CPフォワードですが、《一般》アイコンを持たないフォワードが重複してしまうと盤面を広げるうえで展開力を活かしきることができません。そのため【7-118C】《忍者》imageと【5-014C】《戦士》imageを3枚ずつ採用しています。

また、常に【10-111H】《ギルガメッシュ [XI]》imageがアタックに行けるよう、パワーを上げられる【7-131S】《ウォーリアオブライト》imageは2枚採用しました。このカードに関しては大会を通じて欲しい盤面が常にあったので、3枚目を採用しても良かったと思います。

【2-139C】《ラーサー》imageは、対「火土『WOFF』」の【10-020L】《レェン》imageや対「水風」の【1-198S】《ヴァルファーレ》imageのダメージをシャットアウトすることができ、【5-005R】《ガドー》imageまで合わせると【8-060L】《フィーナ》imageにも対応できるので、速いデッキの天敵である全体除去に耐性を持てます。
また、相手にとっては【10-111H】《ギルガメッシュ [XI]》imageをブロックして追加のダメージで除去するという対処も不可能になるため、【10-111H】《ギルガメッシュ [XI]》imageを運用するうえで非常に重要なカードでした。

――攻撃的なデッキはバックアップの枚数を切り詰める傾向にありますが、なかでもこのデッキは12枚と非常に少ないですね。
243:このデッキではバックアップのプレイをあまり重要視していないため、枚数をかなり絞って採用しました。
すべてのフォワードが偶数コストのカードなので、コストを捻出するというよりも手札にない属性のCPを捻出するという意図でプレイしています。特に【7-118C】《忍者》imageですね。このカードは火、水の2つの属性のCPが必要なカードなので。
もちろんゲームを進めていくなかでバックアップが伸びていく展開もありましたが、基本的にはバックアップは1枚でも戦えるゲームプランを想定していました。

――ほかに「Opus X」の新カードとしては【10-108R】《エリア》imageが採用されています。
243:カードの役割としては4枚目の【5-005R】《ガドー》imageのような扱いで、【2-139C】《ラーサー》imageを【8-060L】《フィーナ》imageから守れるように採用しました。
このデッキはフォワードの展開を重視しているので、フォワードがいないとアクティブにならないというデメリットはほとんど気になりませんでした。
しかし大会を通してそれほど有効に活用するタイミングがなかったので、素直に【4-138R】《メルウィブ》imageなどに枠を譲ってもいいかもしれません。

――召喚獣の採用で意識したカードはありますか?
243:バックアップを並べずに戦ううえで、脅威となってくるのが【9-022L】《ヴェイン》imageです。
「Opus X」環境の氷属性はコントロールデッキが強い傾向にあると思っていたので、氷属性が採用されているデッキでは【9-022L】《ヴェイン》imageを見かける機会も多いだろうと考えました。そこで、【9-022L】《ヴェイン》imageを除去することができるカードとして採用したのが【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》imageです。

最初に「火水」を作った段階では、自分のフォワードを減らしてしまう【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》imageはデッキと相性が良くないと思って採用していませんでしたが、「2019 名人戦」四国地区予選に参加したとき、友人のMANASOURCEさん(和歌山のプレイヤー)がフリープレイで使っていた「火水」の【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》imageでブレイクゾーンに置いたフォワードを【10-111H】《ギルガメッシュ [XI]》imageで使い回すプレイを見て感銘を受け、採用を決めました

【7-131S】《ウォーリアオブライト》imageなどはフィールドに残るより何度も出せたほうが強力なので、行動の選択肢を増やすという意味でも【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》imageはこの「火水」を一段階上のレベルに上げてくれたカードだったと思います。

【9-113H】《ファムフリート》imageと【3-135H】《シルドラ》imageについては、今回は【10-129L】《ハイン》imageのような単体除去に耐性のあるフォワードを意識して【9-113H】《ファムフリート》imageを2枚、【3-135H】《シルドラ》image1枚というバランスで採用しましたが、【8-006L】《クラウド》imageなどを意識するのであれば、逆の比率でもいいかなと思います。

――【8-022R】《ロールスパイダー》imageは以前の「火水」では3枚採用されていましたが、今回は枚数が減っていますね。
243:先ほど話したように【10-111H】《ギルガメッシュ [XI]》imageの登場で【7-131S】《ウォーリアオブライト》imageの使い回しがしやすくなったので、採用枚数はだいぶ減りました。しかし【2-139C】《ラーサー》imageと非常に相性がいいため、1枚だけは採用しました。

――大会を振り返っての感想などあればお聞きしたいです。
243:意識していたスピードの遅いデッキにはしっかり勝つことができましたが、自分の想像以上に速いデッキを使っているプレイヤーが多く、“速さ”がものをいう環境だったという印象を受けました。みんな考えることは同じだったというわけですね。

今回はたまたまそのなかでも私のデッキがより速かったため、優勝という成績をおさめることができたのかなと思っています。

デッキ構築に関してはいくつか反省点がありますが、一番大きいのは【10-004H】《カイアス》imageを採用していなかったことですね。1ターン目にプレイされた【10-004H】《カイアス》imageを除去できるカードは限られているので、「火水」の先陣としてベストな1枚だということに大会中に気付き、採用しなかったことを帰りの道中でも悔やむくらいでした(笑)。

また、バックアップの【8-020R】《ヨツユ》imageですが、そもそもバックアップを並べる気がないのに火属性1CPを要求してくるカードを入れる意味はなかったかなと。近い役割であれば【5-017C】《忍者》imageなどもあったので、この「火水」デッキもまだまだまだ詰める余地があると思っています。

 

◆山口から全国へ。遠征で楽しむカードゲームスタイル
――243さんは普段どのように『FFTCG』を楽しまれているのでしょう?
243:地元の山口で友人たちとプレイしています。最近は各々忙しいので日常的に集まることも減りましたが、「MASTERS」や「名人戦」などのイベントがあるときに私が友人を連れ回すことが多いですね(笑)。

――243さんは色々な地域のイベントでお会いするので、どこの方なんだろうと思っていました。普段から尖ったデッキを使っている印象があるんですが、大会に向けてどういった調整をしているんですか?
243:普段から調整にあまり多くの時間をかけることができないので、いわゆるトップメタのデッキを選択しても練度の高いプレイヤーに勝ち越す自信がありません。そのため、環境を考察して自分の勝てるポイントや分野を探し出し、デッキの準備段階からメタゲーム上の有力デッキに有効だと思われるものを用意し、大会に臨むようにしています。

友人たちは環境で流行しているデッキを組んで対戦してくれるので、実戦形式で弱点を探りながら調整しています。反対に私はそういったデッキを使わないので、友人たちの調整にはなっていない気もしますね(笑)。

――では最後に「第3期名人位決定戦」に向け目標などあればお聞かせください。
243:今までもこういったタイトルのかかった大会に参加してきましたが目立った成績を残せなかったので、今回は優勝できるよう頑張りたいと思います。2デッキ構築戦ということでデッキ作りに頭を悩ませていますが、「火水」の相方になれるデッキを見つけたいですね。
――ありがとうございました。


◆おわりに

というわけで「2019 名人戦」東海地区予選を優勝された243さんへのインタビューでした。
メタゲームを速さという軸でとらえ、最速で駆け抜けた243さんが「第3期名人位決定戦」ではどんな活躍をするのか目が離せません。

ちなみに僕も昨年12月に開催された「2019 名人戦」北海道地区予選で優勝し、「第3期名人位決定戦」への切符を手に入れることができました!
243さんのライバルとしても頑張りたいですね。

これからもまだまだ各地で「2019 名人戦」の予選大会が開催されます。
予選に参加される方の健闘を祈っています。

それではまた次回の記事でお会いしましょう!