『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「2019 名人戦」東京予選を全勝で突破したらっちょさんに「火土WOFF」デッキの真髄をうかがいました。
◆はじめに
皆さん、こんにちは! 『FFTCG』プレイヤーのたるほです。
「Opus XI ~ソルジャーの帰還~」のカードも公開され始め、少しずつ「Opus X」環境の終わりが近づいてきたのを感じますね。環境の締めくくりとなる「第3期名人位決定戦」も、もうまもなくです。
2月22日(土)、23日(日)の2日間にわたる「第3期名人位決定戦」の翌日24日(月)には、年に一度のお楽しみである「ファンフェア」が開催されます。
今年の「FFTCG 9周年記念ファンフェア」では、作品単トーナメントやボスファイト、ロベルト・フェラーリさんによるイラストレーターサイン会に恒例の謎解きゲームなどが開かれます。『FFTCG』プレイヤーはもちろん、『FF』ファンなら誰でも楽しめるイベントが盛りだくさんです。
現在、『FFTCG』公式サイトで「第3期名人位決定戦」の観戦と「FFTCG 9周年記念ファンフェア」の参加受付が行なわれているので、下記のサイトから申し込みをして、ぜひご来場ください。
※受付期間は2月11日(火)23:59までとなります。
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さて、そんな「第3期名人位決定戦」に向けて各地区の予選も佳境を迎えていますが、「Opus X」環境で行なわれてきた今回の予選で、常に目立った活躍を見せていたといってもさしつかえないデッキが1つあります。それが「火土WOFF」です。
現環境の王者といってもいい強さを誇るこのデッキは、「第3期名人位決定戦」でもきっと避けては通れない存在になることでしょう。
そこで今回は、1月26日(日)に行なわれた「2019 名人戦」東京予選で優勝したらっちょさんにインタビューし、最新の「火土WOFF」デッキの構造とその強さを聞いてきました。
秋葉原のプレイヤー。
実力者ぞろいの「2019 名人戦」東京予選を「火土WOFF」を使い、全勝で駆け抜けた。普段は寡黙なイメージだが、今回は「火土WOFF」の強さを饒舌に語ってくれた。
◆勝ち続ける「火土WOFF」の底力
――優勝おめでとうございます。
らっちょ:ありがとうございます。
――「Opus X」環境ではしばらく「火土WOFF」が猛威を奮っています。さまざまなリストを見かけますが、【カテゴリ(WOFF)】のカード選択は、どのくらい『WOFF』のギミックに寄せるかは別として、環境が進むにつれて概ね固まってきていると感じます。
「火土WOFF」への対策も進むなか、デッキをさらに一段階上の強さに引き上げるには『WOFF』以外のカードのチョイスが重要であり、またプレイヤーの腕の見せどころでもあると思います。
ずばり、今回らっちょさんの「火土WOFF」デッキのポイントになったカードはなんでしょうか。
「火土WOFF」(「2019 名人戦」東京予選:優勝)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(23枚) | ||
【10-020L】 | 《レェン》 | 3 |
【10-017R】 | 《ラァン》 | 3 |
【4-001H】 | 《アウィン》 | 3 |
【7-004C】 | 《イフチー》 | 3 |
【PR-044/8-006L】 | 《クラウド》 | 1 |
【9-063L】 | 《ガブラス》 | 2 |
【1-109R】 | 《セラフィ》 | 3 |
【10-136S】 | 《シャントット》 | 2 |
【10-127H】 | 《シトラ》 | 3 |
バックアップ(18枚) | ||
【1-030R】 | 《レブロ》 | 3 |
【10-019C】 | 《ルゥス》 | 3 |
【10-021C】 | 《ロォク》 | 3 |
【7-074C】 | 《タマ》 | 3 |
【3-089R】 | 《名を忘れた少女》 | 3 |
【3-083C】 | 《セグリワデス》 | 1 |
【3-094C】 | 《ペリノア》 | 1 |
【8-082R】 | 《プロンプト》 | 1 |
召喚獣(9枚) | ||
【10-002H】 | 《イフリート》 | 3 |
【7-005C】 | 《イフリート》 | 3 |
【9-068H】 | 《ドラゴン》 | 3 |
らっちょ:【カテゴリ(WOFF)】でないキーカードといえば【10-127H】《シトラ》ですね。最近では個人的に「Opus X」の中で1番強いカードなんじゃないないかと考えるほど強力なカードです。
【10-127H】《シトラ》はEXバーストを持つ実質1コストのフォワードというだけでも優秀で、相手のアクションへのカウンターとなる【9-068H】《ドラゴン》を使い回せる点も便利です。
もちろん、それだけではただの「強い、いいカード」なのですが、さらにこのデッキではモンスターでもある【7-004C】《イフチー》を回収できるので、戦力を展開しつつ手札に【カテゴリ(WOFF)】のカードをため込むことができます。
さらに、このデッキが苦手としていた【4-083L】《シャントット》や【8-068L】《アーデン》に対してもアクションアビリティでブロックさせなくできるため、相手の守りを突破して押し切る力も向上させてくれます。
単体でも優秀なフォワードでありながら【10-020L】《レェン》からの一斉展開をサポートしつつ、アンチ「火土WOFF」カードへの突破口にもなるということで、【10-127H】《シトラ》の存在は非常に大きかったと感じています。
――確かに【10-127H】《シトラ》は非常にデッキとマッチしたカードに思えます。「火土WOFF」は光、闇属性のカードをどう採用するかも悩みどころだったので、これは多くの方にとって参考になるのではないでしょうか。
では、続いてそれ以外のカードについてうかがいたいと思います。【9-063L】《ガブラス》は採用率に地域差があるカードですね。関西方面の大会では採用していないリストが多い印象です。
らっちょ:それに関しては私もどちらがいいのか気になっていて、東京予選の前の3連休でKurosawaさん、ひーとさん、アレックスさんとそれぞれ調整して意見を聞きました。
そのなかで、【10-020L】《レェン》にアクセスできるカードが《レェン》自身と【3-089R】《名を忘れた少女》のほかにもより多くあった方がいいだろうという結論にいたり【9-063L】《ガブラス》を採用することにしました。
――しかし、【9-063L】《ガブラス》でサーチできるカードとしてよく採用されている【3-093H】《ブレンディレス》や【9-014L】《ネール》は入っていませんね。
らっちょ:【3-093H】《ブレンディレス》はパフォーマンスの最大値が3コストでパワー8000相当と、このデッキのほかのカードに比べるとあまり高くありません。「風単」で対「火土WOFF」として採用されている【9-057L】《ヤズマット》などに対しても隙を見せやすい点が気になったため採用は見送りました。
【9-014L】《ネール》は「火土WOFF」との同型対戦の際に“受け”として成立しないと考えたので採用しませんでした。
例えば相手のフィールドに【1-109R】《セラフィ》と【10-020L】《レェン》、こちらは【9-014L】《ネール》という場面で【1-109R】《セラフィ》がアタックしてきたとします。
【1-109R】《セラフィ》を【9-014L】《ネール》でブロックしようとすると【9-014L】《ネール》を生かすためにはバックアップを1枚除外しなくてはならず、したとしても次の【10-020L】《レェン》のアタックで【9-014L】《ネール》が倒されてしまいます。つまり、受けられていないんですね。
そのため、このデッキでは劣勢を切り返すためのカード枠として【8-006L】《クラウド》を採用しています。
【8-006L】《クラウド》であれば、相手のアタックをブロックしつつ【8-006L】《クラウド》を復活させて切り返すことができます。戦線を維持するための大型フォワードのなかから、いま「火土WOFF」に採用するなら【8-006L】《クラウド》がもっとも適性があると思います。
――「火土WOFF」ではバックアップの構成も人によって異なります。【1-030R】《レブロ》はテンポロスを嫌って採用しない人もいますが、らっちょさんのリストではしっかり3枚のスロットを割いていますね。
らっちょ:「火土WOFF」はデッキの性質上、バックアップのほとんどを【カテゴリ(WOFF)】で統一する必要がありますが、火属性の【カテゴリ(WOFF)】のバックアップは【10-019C】《ルゥス》と【10-021C】《ロォク》しか採用できないため、【カテゴリ(WOFF)】以外のバックアップをなにかしら採用する必要があります。
しかし、その枠でカードを2種類以上採用してしまうと、本来置くべき【カテゴリ(WOFF)】のバックアップが置けないという状況に陥る可能性があるため、このデッキでは【10-020L】《レェン》や【4-001H】《アウィン》を生き残らせやすく、もっともリターンが大きいと考えた【1-030R】《レブロ》に絞って3枚採用しました。
――【8-082R】《プロンプト》は「火土WOFF」の同型対決でも活躍しそうな1枚ですね。
らっちょ:【8-082R】《プロンプト》は相手にフォワードが4体以上いないと片方のアビリティが機能しないので、そうなってしまいやすい同型対決を意識する狙いはあまりありませんでした。
どちらかというと、「火土WOFF」では対処しにくい【10-098L】《フォルサノス》や【4-083L】《シャントット》、【8-049L】《エアリス》などを対処できる1枚という意味合いが強いカードですね。
――召喚獣の枠で【7-005C】《イフリート》を使っているのも特徴的な部分です。
らっちょ:「火土WOFF」では召喚獣の枠に【10-068C】《クーシー》が採用されていることが多いですよね。
私も調整段階では採用していましたが、突き詰めていくとフォワードの回収のために支払う2CPがテンポロスにつながるため、あまりプレイアブルなカードではないと感じるようになりました。
そこで、ほかに何を採用しようかと考え【7-004C】《イフチー》からサーチできるカードを増やすという目的もあいまって【7-005C】《イフリート》に行き着きました。
また「2019 名人戦」東京予選は参加者も多く(※実際の参加者は74人)、対戦数も多くなるだろうと思ったので、めくれた【7-005C】《イフリート》のEXバーストで勝てるゲームもあるだろうという期待もありました。ただ、実際にそういった試合はなかったので、今後さらに調整するなかで入れ替わるカードがあるとしたら、この枠かなと思っています。
――これまで結果を残してきた「火土WOFF」では【10-068C】《クーシー》に加え【8-080C】《プーマ夜光》まで採用し、フォワードの回収に注力したリストが多かった印象があったので、そのスロットを削っているというのは新鮮です。
らっちょ:フォワードは【1-109R】《セラフィ》で回収できて、その【1-109R】《セラフィ》も【10-136S】《シャントット》で復活させられるので、最初にお話した【10-127H】《シトラ》と【7-004C】《イフチー》のシナジーもあわせれば、カード回収能力は十分だと判断しました。
【10-136S】《シャントット》から復活させるカードの選択肢もこのデッキでは非常に多く、それこそ【10-127H】《シトラ》を拾って盤面と手札を一気に整える動きは強力ですし、場合によっては直接【4-001H】《アウィン》を出してしまっても強いです。
また【10-136S】《シャントット》のアビリティはどちらのモードで使っても非常に強力で、たとえば対「水風」では相手のキーカードである【1-177R】《ユウナ》や、干渉しにくい【5-068L】《ヤ・シュトラ》、【8-049L】《エアリス》をブレイクできるのも強いです。
◆強みは固定枠の強さだけでなくフリースロットの柔軟性
――今回優勝されたらっちょさんの構築以外にも「2019 名人戦」の予選大会で上位に入賞した「火土WOFF」のデッキリストは多岐にわたります。さまざまなバリエーションが存在する「火土WOFF」の強みはどういうところにあるとらっちょさんは考えていますか。
らっちょ:「火土WOFF」の一番の強みは“【4-001H】《アウィン》がパワー10000になること”だと思います。パワー10000のフォワードが2CPで登場し、さらにブレイブを持って攻防に立ち回ってくるのが「火土WOFF」の強さを支えている要因だと感じます。
「火土WOFF」がメタゲーム上で強く意識されるようになり【10-098L】《フォルサノス》や【4-083L】《シャントット》などが採用されるようになっていますが、こういったデッキに対しても、バックアップを5枚並べて【9-068H】《ドラゴン》などを構えながら【4-001H】《アウィン》で攻めることで、パワーとコストの両面で優位に戦いを進められます。
反対に【4-001H】《アウィン》のパワーが必要ない相手、たとえば「火水」の【8-115L】《ジタン》などの動きに対しては【10-020L】《レェン》+【カテゴリ(WOFF)】のフォワードという動きで強引に切り返すこともできます。
相手の出方を見て、攻めるのか受けるのか判断したうえでゲームスピードをコントロールできる点が「火土WOFF」の強みの1つと言えるでしょう。
また「さまざまなバリエーションが存在する」こと自体も「火土WOFF」の強さとなるポイントです。
たとえば【10-017R】《ラァン》は、環境や仮想敵に合わせて【1-027H】《ラァン》や【7-018L】《ラァン》と入れ替えることができます。
関西で人気のあるタイプとして【7-078C】《バハムート兵》まで採用し【カテゴリ(WOFF)】に寄せ切った構築もありますが、このタイプは非常に攻撃的でゲームスピードが速いので、中速型の「火土WOFF」とは対処の方法が異なってきます。
対策する側からすると、アンチ「火土WOFF」のつもりで入れたカードがタイプの異なる「火土WOFF」に対しては効かないという可能性があるので、構築段階で対策しきるのが非常に難しいデッキですね。
――らっちょさん自身は「第3期名人位決定戦」で「火土WOFF」をどう対策するつもりですか。
らっちょ:今回の「第3期名人位決定戦」は2デッキ制のスタンダードになるので、相方にするデッキの選択が難しいですね。「火土WOFF」は多くのプレイヤーが選択してくるでしょうから、明確に不利な印象の「火氷」などは避けたいところです。
「World Championship 2019」で活躍した「氷土雷ランペール」は【9-063L】《ガブラス》や【10-136S】《シャントット》が重複してしまいますし、「水風」は必須パーツとなる【10-127H】《シトラ》を私の「火土WOFF」から抜く選択肢はないと思っているので、候補として考えにくいです。
そうなると「風単」が無難なようにも感じますが、使用者が多そうな「水風」に対して不利をとってしまう……と、堂々巡りでなかなか「コレ!」というデッキが思いついていないというのが現状です(笑)。
「第3期名人位決定戦」まで(取材時では)あと3週間ほどの期間があるので、この間にもう1つのデッキを煮詰めていきたいと思っています。
――それでは最後に「第3期名人位決定戦」に向けて一言あればお願いします。
らっちょ:がんばります。
――ありがとうございました。
◆おわりに
「2019 名人戦」東京予選を優勝されたらっちょさんへのインタビューでした。
同じデッキタイプのなかでも、構築やプレイングによって柔軟な強さを発揮できるという「火土WOFF」の持つ多様性こそが「名人戦」での活躍の秘密だったようです。
来る「第3期名人位決定戦」では「火土WOFF」がどれほどの活躍を見せるのか、その勢いを押しのけるほどのまったく違うデッキは現れるのか、きっとらっちょさんがその答えを見せてくれることと思います。
そして、僕自身にとっても「第3期名人位決定戦」に臨む上で「火土WOFF」は避けて通れない強敵となるでしょう。皆さんをあっと言わせるような、ブレイクスルーとなるデッキを考えつきたいと思います。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!