『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「MASTERS2021」伊勢崎大会で優勝したちょーぎょーじさんに、「Opus XIII」環境の「氷単」についてうかがいます。
◆はじめに
みなさん、こんにちは!『FFTCG』プレイヤーのたるほです。
8月6日(金)に発売される新ブースターパック「Opus XIV ~クリスタルの深淵~」の全カードが公開されました。みなさんは気になるカードはありましたでしょうか?
今週末にはプレリリースイベントも控え、いよいよ「Opus XIV」環境がすぐそこまで来ている感があります。
「Opus XIII ~クリスタルの輝き~」環境も残りわずかですが、今回は「MASTERS 2021」伊勢崎大会で優勝されたちょーぎょーじさんにインタビューを行ない、「Opus XIII」環境における「氷単」の新たなアプローチについてお話をうかがいました。
関東のプレイヤーで、熱心な「氷単」ファンの1人。
一本筋の通った芯のあるデッキ構築で、これまでも数多くの大会で勝利してきた。
「Opus XII ~クリスタルの目覚め~」ごろからしばらく『FFTCG』を休止していたが、
「Opus XIII」で再開した直後から「MASTERS 2021」伊勢崎大会、そして先週末の「第28回自宅名人戦」「第29回自宅名人戦」で
勝利を重ねるなど、ブランクを感じさせない活躍を見せている。
◆理を追求した新セオリー。ダル凍結軸の「氷単【ネオエクスデス】」
――「MASTERS 2021」伊勢崎大会優勝おめでとうございます。
ちょーぎょーじ:ありがとうございます。
――「氷単」は、『FFTCG』のデッキのなかでも根強いファンの多いアーキタイプですが「Opus XIII」環境ではあまり話題にのぼっていなかったデッキという印象もあります。今回「氷単」を使った狙いについてお話しいただけますか。
ちょーぎょーじ:私は、新型コロナウィルス感染症の影響で「MASTERS」や「名人戦」のような公式トーナメントが中止や延期になったため、「Opus XII」環境以降は一時的に『FFTCG』を休止していました。1、2シーズンの間休んでいたので、「MASTERS 2021」に向けて再開するにあたって、環境への理解がおぼろげな状態でのスタートとなりました。そこで、まずは自分の好きな属性、得意な属性を使ったデッキを組もうと思ったんです。
そこで候補に挙がったのが「火単」と「氷単」で、「火単」は【侍】型かそれ以外かの差はあるものの、おおむねオーソドックスな構築に仕上がりました。ですが、次に「氷単」を組もうとしたとき1つの問題に気が付きました。
それは「Opus XII」と「Opus XIII」で引き上げられたフォワードのパワーラインに見合うだけの「氷単」で使える除去カードが追加されていないことです。
手札を捨てさせる効果やダル、凍結などによる相手のリソースの制限が「氷単」が強いとされる要因ですが、それとは別に、フォワードをフィールドに残さず除去できるかどうかも非常に重要なポイントになります。
しかし「Opus XII」、「Opus XIII」ではこの役割を担えるカードが追加されていないため、現環境のデッキパワーに即した除去型の「氷単」を組むにはカードのスペックが足りていないと感じました。
しかしながら、同時に「Opus XIII」でダル、凍結に関する効果を持ったカードは大きくパワーアップしているとも感じました。
なかでも【13-031R】《ラグナ》、【13-028L】《ファイサリス》、【13-132S】《ティターニア》は非常に強力なダル、凍結効果を持っていて、これらのカードを使ってデッキを構築してね、というメッセージだなと思いました。
それならダル凍結に特化した方向性を目指すべきだと考えて作ったのが、今回の「氷単【ネオエクスデス】」です。
●「氷単【ネオエクスデス】」(「MASTERS 2021」伊勢崎大会優勝 フォーマット:スタンダード)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(25枚) | ||
【13-132S】 | 《ティターニア》 | 2 |
【13-023R】 | 《シャルロット》 | 2 |
【8-026L】 | 《ガーランド[IX]》 | 2 |
【13-034H】 | 《レメディ》 | 2 |
【13-022H】 | 《シド・ランデル》 | 3 |
【3-033L】 | 《ジェネシス》 | 2 |
【13-028L】 | 《ファイサリス》 | 3 |
【9-028L】 | 《蒼龍のルシ ソウリュウ》 | 1 |
【13-031R】 | 《ラグナ》 | 3 |
【9-022L】 | 《ヴェイン》 | 2 |
【12-110L】 | 《ネオエクスデス》 | 3 |
バックアップ(16枚) | ||
【13-024R】 | 《スコール》 | 3 |
【4-034R】 | 《シド[WOFF]》 | 2 |
【10-039C】 | 《ナグモラーダ》 | 2 |
【13-018C】 | 《キスティス》 | 3 |
【11-022C】 | 《イドラ》 | 2 |
【10-036R】 | 《ティナ》 | 2 |
【9-039C】 | 《ロック》 | 2 |
召喚獣(5枚) | ||
【9-025H】 | 《ザルエラ》 | 3 |
【5-032H】 | 《グラシャラボラス》 | 2 |
モンスター(4枚) | ||
【5-046R】 | 《ブッカブー》 | 3 |
【8-034R】 | 《スケイルトード》 | 1 |
――除去ではなくダル、凍結に特化したコンセプトの「氷単」を目指したということですが、具体的にどういったアプローチを取ったのでしょうか?
ちょーぎょーじ:大きなコンセプトとして、このデッキはダル凍結により相手のリソースを削っていくことを目指しています。そこで重要になるのが、相手のリソースが少ない状態を維持するということです。
――お互い少ないリソースを目指すというのはどういった狙いがあるのでしょう?
ちょーぎょーじ:これまで「氷単」におけるダル凍結の存在は、【4-048L】《ロック》のアタックを通すためや、序盤のテンポを崩すためのアクセントだと考えていましたが、今回はデッキの軸としてダル凍結のあり方を考えなければなりません。
ダル凍結という効果は相手のフィールドにキャラクターが少ない状況でこそ本領を発揮します。バックアップとフォワードをたくさん並べた相手に対して、どれだけダル凍結を仕掛けても高い効果は見込めません。ならば、最初からキャラクターを展開できないようにしよう、と考えました。
そこで、キャラクターの展開を抑制するカードとして目をつけたのが【12-110L】《ネオエクスデス》です。
相手ターンのエンド時にキャラクターをブレイクゾーンに置かせつつ、対処するのにも大量のリソースを要求する【12-110L】《ネオエクスデス》は、ゲームの序盤に出すことで相手を消耗させ、のちに展開する【13-031R】《ラグナ》や【13-028L】《ファイサリス》をより効果的に使うことができます。
また、相手にとっては必ず対処しなければいけないフォワードなので、相手の除去カードを使わせ後続へ対処する手段を奪うという仕事もこなしてくれます。
同じくリソースを奪うカードとして採用したのが【5-046R】《ブッカブー》です。瞬間的に大量のリソースを奪える【5-046R】《ブッカブー》は【12-110L】《ネオエクスデス》と同様に序盤の展開を抑制しつつ、中盤以降相手の手札が回復したのに合わせて設置することで【13-028L】《ファイサリス》のアビリティを使う手助けをしたり、「風氷」のようなデッキに対して一度動き出したコンボを止めるときにも役立ちます。
――フィールドや手札にリソースを残させず、ダル凍結を最大限に生かすための布石になるカードということですね。
ちょーぎょーじ:はい。【12-110L】《ネオエクスデス》や【5-046R】《ブッカブー》で一度大きくリソースを消費させてから、本命となる【13-031R】《ラグナ》や【13-028L】《ファイサリス》で相手を縛り、2枚目の【12-110L】《ネオエクスデス》などをあらためて押し付けていくというのが、このデッキの基本的な動きになります。
もう1つ「Opus XIII」で注目したカードが【13-023R】《シャルロット》です。
【13-023R】《シャルロット》が除去の避雷針になってくれるおかげで、ゲームの要となるフォワードがかなり生き残りやすくなりました。
――【13-031R】《ラグナ》、【13-028L】《ファイサリス》、【12-110L】《ネオエクスデス》を押し付けるのが基本の動きということですが、それぞれに狙っていきたい仮想敵はあるのでしょうか?
ちょーぎょーじ:この3枚はどのデッキに対して出しても活躍してくれるので、基本的には3枚のうちのどれかが出せればいいと思っていますが、キャストする優先順位は変わってきます。
まず【12-110L】《ネオエクスデス》は、ほかのカードをキャストするためのコストにできないこともあり、キャストする優先順位は高いです。
環境に多い「土水」相手には【1-107L】《シャントット》で対処されるリスクはありますが、結果として手札を消費しながら対処してくれるのであれば【5-046R】《ブッカブー》と同じく本命を通すための布石になるので、後攻になったときには1ターン目にバックアップ1枚と【12-110L】《ネオエクスデス》という展開も積極的に仕掛けていっていいと思っています。
【13-031R】《ラグナ》と【13-028L】《ファイサリス》の優先順位は、【13-024R】《スコール》の有無がポイントになります。
【13-024R】《スコール》をコントロールしているときの【13-031R】《ラグナ》は本当に強力で、パワーも10000になるので優先順位は高くなります。ゲームのスタート時も【13-024R】《スコール》の有無は初手を引き直すかどうかの基準のひとつです。
また、このデッキはお互いにリソースが少ない状況で戦うことを前提としているので、その状況がこちらの土俵となるようにデッキを構築していきました。具体的には、このデッキは3枚程度のバックアップで不自由なく戦えることを目指しています。
デッキに採用されているフォワードはコスト5を中心に採用しているので、バックアップが3枚あれば自分の手札をすべて使い切っても次のターンの2ドローから新たなフォワードをキャストできるので、お互いリソースが少ない状況下でもこちらは継続した展開を続けられます。
そのためバックアップの枚数は16枚にして、バックアップにアクセスできる【9-039C】《ロック》と【13-018C】《キスティス》を採用し、少ない枚数で必要な数のバックアップが展開できるよう意識しています。
先ほど【13-024R】《スコール》がキープ基準のひとつとお話ししましたが、同様に【9-039C】《ロック》、【13-018C】《キスティス》があればゲームをスタートして問題ないでしょう。
最終的に出したいバックアップの枚数が少ないので、初手を引き直す基準が緩いというのもこのデッキの気に入っているポイントです。
――バックアップで言えば【6-022R】《イゼル》が採用されていないのは「氷単」としては意外に思います。
ちょーぎょーじ:【6-022R】《イゼル》はもともと1枚採用していたんですが、調整の過程で抜けました。理由は序盤にこのカードでサーチしたいフォワードがないからです。
【13-031R】《ラグナ》は【13-024R】《スコール》ありきのフォワードなので【13-024R】《スコール》が引けていない状態ではサーチする候補になりません。【13-028L】《ファイサリス》はサーチすると相手が手札を温存してしまいますし、一番序盤に出したい【12-110L】《ネオエクスデス》はサーチできませんからね。
バックアップのスロットを極力抑えるなかで、それぞれの役割やEXバーストの枚数を考慮するとこれ以上減らせるカードはないので、今回は必要ないと判断しました。
――僕は固定観念で入れてしまいそうなカードですけど、細部まで理詰めされているのは「氷単」への知見の深さを感じます。「氷単【ネオエクスデス】」を組んでいくうえで意識したデッキなどはありましたか?
ちょーぎょーじ:今回「MASTERS 2021」に向けた調整は友人たちとオンラインで行なったのですが、ブランクがあるぶん、環境に存在するすべてのデッキを把握するには時間が足りないと感じたので、仮想敵を絞ってそれらの動きをしっかり理解することを心がけて調整をしていきました。
具体的に意識したデッキは「土水」、「風氷」、「火単」の3デッキです。
――それぞれのデッキと「氷単」の相性はどうでしたか?
ちょーぎょーじ:まず対「土水」ですが、このマッチアップはかなりいい勝負だと思います。
「土水」も強力なデッキですが、「氷単」側のダル凍結がうまくハマれば1ターンの行動を制約できて一気に盤面を作る展開に持ち込ませないようにできるので、対「土水」相手には結構強く出られるなという手応えを感じました。
対「風氷」では、とにかく【5-046R】《ブッカブー》が相手にとってクリティカルなカードでした。
一度【12-116L】《ロック》のコンボが動き出してしまっても、後出しから【5-046R】《ブッカブー》を置ければコンボが途切れてしまうので、「風氷」に対しては【5-046R】《ブッカブー》を置いておけるかがキーになります。
「火単」に対しては、正直かなり不利だという印象です。
【12-017H】《マギサ》を採用した【侍】型の「火単」と練習をしたのですが、「氷単」はもともと除去手段が少ないうえ、特にコスト4とコスト6のフォワードを対処する術がほとんどないので【12-017H】《マギサ》と【12-012L】《テンゼン》をどちらも対処することができず、まったく歯が立ちませんでした。
環境にこの「火単」がいる以上、この「氷単【ネオエクスデス】」には限界があるのではないかと思い、伊勢崎大会の1週間前の段階で一度このデッキを諦め、ほかのデッキタイプを模索したくらいです。それほど不利だと感じましたね。
――そこからどういう調整を経て、またダル凍結型の「氷単」に戻ってきたのでしょうか?
ちょーぎょーじ:まず継続的に手札を捨てさせる手段として【4-048L】《ロック》が欲しいと考え、【カテゴリ(VI)】のギミックの採用を検討しました。【4-048L】《ロック》を採用すると【8-036C】《セッツァー》や【10-036R】《ティナ》といったEXバースト持ちを増やせるという利点もあったのですが、【8-036C】《セッツァー》のために【カテゴリ(VI)】のフォワードを増量しなければなりません。
【11-024L】《ウーマロ》を採用することも考えたのですが、もともと高コストのフォワードが多いこともあり「氷単」のまま【カテゴリ(VI)】のギミックを採用することは難しいという結論に至りました。
そこで次にデッキを「氷単」から「水氷」にシフトして考え直しました。
【11-124H】《リルム》からキーカードである【5-046R】《ブッカブー》をサーチしつつ、一緒に出した【4-012C】《ゴブリン》で【4-048L】《ロック》や【11-118L】《セリス》、【13-028L】《ファイサリス》にヘイストを与える動きや、「火単」相手に【12-098H】《ストラゴス》で【12-012L】《テンゼン》を手札に戻しつつ【12-110L】《ネオエクスデス》を出すといった動きを狙うデッキです。
ある程度の完成度になったのでさらに調整を重ねていったのですが、今度は「土水」に勝てないということが発覚しました。
「水氷」の軸になる【カテゴリ(Ⅵ)】のフォワードはパワー7000以下のカードがほとんどで、これが「土水」に採用されている【13-086R】《アグリアス》の的になってしまうんです。
友人たちからのアドバイスもあり、大会直前に再び「氷単【ネオエクスデス】」を使おうと考え直しました。
――対「火単」の相性の問題は残したまま「氷単」の使用を決めたということですか。
ちょーぎょーじ:「火単」との対戦は、半ば捨て試合にするつもりで考えていました。ただ、これは考えなしに試合放棄したわけではなく、前週の諏訪大会の結果を考慮したうえでの結論です。
諏訪大会では参加者6人のうち2人が「火単」を使っていましたが、どちらも予選ラウンドで敗退しています。
これはプレイヤーの意識が「火単」に向いた結果、多くのプレイヤーが「火単」を使う側ではなく倒す側に回ったからだと考えました。
環境的に「火単」が逆風で使用率が落ちるのであれば、「土水」や「風氷」の使用者が増え「氷単【ネオエクスデス】」が勝ちやすい環境になるだろうと読んで、大会へ持ち込むことを決心しました。
――直前にデッキを決めたということで、その段階での調整はあったのでしょうか?
ちょーぎょーじ:前日の調整ではデッキをより尖らせて相手を縛る構築にしようと考えて、調整を行ないました。
その結果【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》、【5-032H】《グラシャラボラス》、【13-022H】《シド・ランデル》、【13-034H】《レメディ》の4種類が加わりました。
【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》はEXバーストを厚めにしたいという気持ちと、唯一「火単」に対抗しうるカードじゃないかと考えから採用しました。
パワーも9000と「火単」の除去の基準である8000を上回っていて、カード1枚で対処されることはないので生き残りやすく、【12-012L】《テンゼン》とリソース勝負ができることはもちろん、【11-003R】《カイエン》がアタックしようとしたらアビリティで除去することもできます。
実際、伊勢崎大会では「火単」の使用者が1人いて当たってしまったのですが、1枚採用の【9-028L】《蒼龍のルシ ソウリュウ》が活躍してくれて無事勝利することができました。相手の動き出しが遅かったなど運がよかったところもあり、これを3枚採用すれば「火単」に勝てるようになるというわけではないと思っていますが、狙いどおりの活躍をしてくれたカードです。
【5-032H】《グラシャラボラス》に関しては、今でも【12-025H】《カーバンクル》と枠を迷っているカードです。
このデッキの召喚獣のスロットには1CPで幅広い除去ができる【9-025H】《ザルエラ》は3枚欲しいと考えていたんですが、残りの2枚をどちらにしようか最後まで悩んでいました。
【12-025H】《カーバンクル》は、【13-118C】《セーラ[MOBIUS]》などでダメージを与えあうときにパワーを上げてフォワードの生存率を上げるなど防御的な役割が強く、【5-032H】《グラシャラボラス》は【8-034R】《スケイルトード》などで1枚残った手札を捨てさせて【13-028L】《ファイサリス》を活かすなど攻撃面で活躍してくれるカードです。
これに関してはどちらが正しいか自分でもまだ答えが出ていないところですが、伊勢崎大会では【5-032H】《グラシャラボラス》を採用しました。
【13-022H】《シド・ランデル》はコンセプトであるリソースを削る動きに直接結びつくカードではないので、1人回しの段階では強さを感じにくく採用を見送っていたんですが、フィールドに出たときに仕事をするカードが多い「土水」対して非常に有効だとアドバイスをもらい、実際に思った以上に仕事をしてくれたので採用に至ったカードです。
【13-034H】《レメディ》は当日の朝に【13-022H】《シド・ランデル》の補助的な意味合いで採用しました。
――あらためて伊勢崎大会の結果を振り返ってみると見事な「土水」環境でしたね。
ちょーぎょーじ:そうですね。会場が伊勢崎ということもあり地域のコミュニティがチームで「土水」を使っていたり、東京からの遠征勢も「土水」を使っていたりと「土水」が多かったですね。「風氷」も少しいるかなと思っていたんですが、そちらは全然いなかったですね。「氷単」にとってはありがたいフィールドだったと思います。
――優勝という結果で終わることができましたが、反省点などはありますか?
ちょーぎょーじ:構築面での反省としては【3-033L】《ジェネシス》、【9-022L】《ヴェイン》、【13-034H】《レメディ》は別のカードにしたほうがよかったかなと感じています。
【3-033L】《ジェネシス》はアタックが通るタイミングがなかなかなくて、パワー7000というサイズも【13-086R】《アグリアス》の的になりやすくリスクの多いカードでした。
【9-022L】《ヴェイン》も、ほかのカードでバックアップを凍結させてコストを払えないようにできるかと思っていましたが、あまり現実的なプランではなかったと思います。
【13-034H】《レメディ》に関しては2つ目のアビリティが発動するタイミングがあまりないことと、【13-022H】《シド・ランデル》もタイミングがあえば出すタイプのカードだったので、【13-034H】《レメディ》にスロットを割いてまでお膳立てする必要はなかったかなと感じています。
――入れ替えるとしたらどんなカードが候補になりそうですか?
ちょーぎょーじ:【13-032H】《リノア》と【7-133S】《アルティミシア》を採用すべきかなと思います。
【13-032H】《リノア》自体はもともと考えていたんですがこのカードで回収したい【カテゴリ(VIII)】キャラクターが少なくて、結局採用を見送っていたんです。あとから【7-133S】《アルティミシア》ならバックアップやフォワードを自由に凍結できて、このデッキには合っているなと気づいたので、セットで採用すればよかったですね。
◆充電期間を終えて
――ちょーぎょーじさんはこれまでも『FFTCG』の大会で活躍されてきましたが、どういったきっかけでゲームを始められたんですか?
ちょーぎょーじ:もともと私より先に友人が始めていて、すごく誘われていたんです。ただ、『FFTCG』より前にほかのカードゲームにのめり込んでいた時期があって、自分が凝り性なこともあわせて、これを始めたら人生のリソースをそこに注ぎ込んでしまうなという自覚があって最初は躊躇していたんですが、「開発陣に(自分が)好きなゲームのトッププレイヤーが携わっているよ」と「手札をコストにできるから何もできずに負けることがないよ」っていう2つの誘い文句に魅力を感じて、遊び始めたのがきっかけですね。
あと『FF』シリーズもナンバリングは『FFIV』から『FFX』までと『FFXIV』と『FFT』をプレイしていたので、題材が『FF』シリーズだったというのも大きな理由です。
――ここ最近は新型コロナウィルス感染症の影響で大会がなかったのでお休みしてたということですが、無事に戻ってきてくれたのは個人的にもうれしいお話でした。
ちょーぎょーじ:私は競技としての『FFTCG』が好きなのですが、この1年はなかなかリアルイベントとして大会を開くわけにもいかず延期や中止が多かったですからね。
「Opus XI ~ソルジャーの帰還~」環境のころはdiscordで「自宅名人戦」にも参加していましたし、それ自体は嫌いではなかったんですけど、やっぱりリアルな大会のヒリつく試合や、試合後勝った負けたで一喜一憂してみんなで集まって、どんな試合だったかワイワイ話し合う楽しさが好きだったので、大会のない環境は自分のなかで物足りなさを感じてしまってお休みしてたんです。
ただ、リアルイベントが再開したら絶対復帰するというのはわかっていたので、ネガティブな休止ではなく、充電期間として安心して休んでいました。
――新型コロナウィルス感染症の状況を見ながらではありますが、いずれまた大会も再開されていきますし、競技として『FFTCG』を楽しめる機会も増えそうですね。では最後に「MASTERS 2021 FINAL」への意気込みをいただいて締めさせていただきたいと思います。
ちょーぎょーじ:「氷単」というデッキは自分のなかで1つのステータスになっているので、今後もその環境にあった「氷単」を追求していきたいと思います。「MASTERS 2021 FINAL」でも全国の「氷単」愛好家に恥ずかしくない「氷単」を作りたいですね。
――ありがとうございました。
◆おわりに
今回は「MASTERS 2021」伊勢崎大会で優勝されたちょーぎょーじさんに、「氷単」についてお話をうかがいました。
これまで培ってきたセオリーとは違ったアプローチを求められても、環境に適した「氷単」を作り上げるデッキ構築力はさすがの一言で、休止期間のブランクを感じさせない理にかなったデッキ構築でした。
今後の環境でも「氷単」を追求していくということで、「Opus XIV」環境ではどんな「氷単」を見せてくれるのか、早くも期待してしまいますね。
次回はスタンダードで開催された「MASTERS 2021」枚方大会で優勝した「風氷」デッキをインタビューする予定です。
諏訪大会との構築の違いも含め、お届けできればと思います。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!