『Shadowverse』の記事連載。今回は白悠咲美さんの「RAGE Shadowverse 十禍絶傑」東日本予選レポートをお届け。プレーオフまで後一歩という好成績を残すにいたるまでの調整録の前編をお送りします。
◆はじめに
皆さんこんにちは。実は旧ドロシースリーブを持ってます。白悠咲美です。
この記事が掲載されるのは「十禍絶傑」がリリースされて約1か月が経ったころでしょうか。
10月6日、7日の2日間にわたって幕張メッセで「RAGE Shadowverse 十禍絶傑」東日本予選が開催されました。
これまでは新カードパックのリリースから約1か月後に開催されていたのですが、今回はなんと新弾リリースの翌週開催という珍しいスケジュールでした。
私もウキウキで参加してきたのですが、なんと幸運に幸運が重なりday1突破、day2も5-2でマネーフィニッシュ!
最終戦で勝てばプレーオフ進出というところで一歩及ばずではありましたが、望外の成績となりました。
ここではこのハッピーな気分のまま「RAGE Shadowverse 十禍絶傑」に向けて行った調整の記録や思考の過程をお伝えしようと思います。
この記事は「RAGE Shadowverse 十禍絶傑」に向けた調整において私が普段考えていること、今回試してみようとおもった手法を紹介する「理論編」と、実際どのような1週間を過ごしたのかという「実戦編」の2つのパートで構成されています。
1週間とはいえ、かなりいろいろと試行錯誤をしており、全てを記載するとだいぶ長くなったので、前後編に分けることにしました。
◆理論編1:勝率を上げるための6つの要素とデッキ構築の重要性
はじめに『Shadowverse』において勝率に影響を与える6つの要素をあげたいと思います。
- プレイング
- マリガン
- デッキ構築
- デッキ選択
- メンタル
- 運
各項目については読んで字の通りのため、説明は省略します。6つのうち、最後の運だけは自身の力でコントロールすることのできない領域ですが、それ以外の5つについては練習によって伸ばすことが可能です。
この5要素のうち、私は次の順番で重要だと考えています。
- デッキ構築
- デッキ選択
- マリガン
- メンタル
- プレイング
デッキ構築については、1枚2枚といった細かい枚数調整の部分まで詰める必要はないと思っています。
しかし、採用するカードの種類やコストなどの全体的なバランスを大きく間違えてしまうとデッキが機能不全に陥り、デッキの動きが安定しない、意図していたデッキコンセプトが発揮できない、といった事態になります。
100点満点を取らなくてはならないということはありませんが、デッキ構築の時点で大きなミスがあるとデッキ選択やプレイング以前の問題になってしまいます。
最近は上位プレイヤーが使う最新の強力なデッキリストがSNSや攻略サイトなどで常に紹介されており、それをコピーするだけでも最初から95点以上の状態となるため軽視されがちな要素ではありますが、今回のようなリリース直後の大会では完成度の高いデッキリストは公開されないことも多く、自力でデッキをある一定のレベルに高める必要があると感じました。
大会までの時間が少なく、かつ自力でデッキのレベルを上げる必要があることから、必然的に力を入れて調整するデッキは少数に絞られることになります。
なので、コンセプトだけ閃いたがうまく形にできないデッキについてはたとえそのコンセプトが優れているとしても、大会までにデッキの完成度を上げることができない可能性が高いため、早い段階で見切ることにしました。
◆理論編2:新カードパックリリース前からメタゲームの予想・分析を始める
デッキ選択については、直前のオンライン大会のデッキの種類と分布から、RAGEの環境を仮定し、
デッキ構築で完成度が一定以上だと判断したデッキ群から、仮想RAGE環境で最も勝てるデッキ2つを持っていくことにしました。
デッキ構築の部分で述べましたが、全てのデッキを選択肢にするわけではなく、あくまで完成度が高いものから選ぶことが重要だと考えました。
ここからは、新弾リリース直前~RAGEまでの実際の調整の流れを時系列を追って説明していきます。
☆新弾リリース前
前回の記事ではまだ全カードのリストが公開されていなかった時期というのもあり各“絶傑”のコンセプトから環境を読もうとする記事を書きましたが、その少し後になって公開された全カードを見たところで、各リーダーの印象はこのように変わりました。
ヴァンパイア
既存のコンセプトである「自傷」をそのまま受け継いでいる注目リーダーの1人。
カードプールにも自傷効果のカードが多く、追加される“姦淫”シリーズも優秀なカードが多い。
これまでの「自傷ヴァンパイア」は、非常に強力なカードはいくつかあるもののコンセプトに特化させるにはカードが足りていない状態だったが「十禍絶傑」にて大強化。
安定性があまりなさそうな点と、本当に《フラウロス》や《姦淫の絶傑・ヴァーナレク》の効果を狙って発動できるのかを要確認。
ドラゴン
《侮蔑の絶傑・ガルミーユ》は「十禍絶傑」のなかでも屈指の強力カード。また、お供として強力な低コストのカードが大量に追加された。
「原初ドラゴン」は低コストのカードの質があまり高くなく《原初の竜使い》が引けないと弱いという安定性の低さが弱点だった。
今回、低コスト帯フォロワーの質が大幅に向上したことで《原初の竜使い》が引けないと勝てないデッキから、序盤を支える低コストカード、中盤以降最強の《侮蔑の絶傑・ガルミーユ》、終盤は《原初の竜使い》+手札に溜まった低コストフォロワー or 高コストカードと展開にスキがなくなりそう。
ウィッチ
個人的には前環境の覇者と思っていたリーダー。
「十禍絶傑」でもヴァンパイアと並んで既存のコンセプトであるスペルブーストが受け継がれており、《真実の宣告》はややランダム要素が強いもののウィッチが待ち望んでいたライフを大量に回復するカードでありウィッチの弱点をカバーしてくれるはず。継続して頂点の座を保ち続けられるか?
懸念点もないわけではなく「ギガントキマイラウィッチ」の屋台骨であった《呼び覚まされし禁忌》がローテーション落ちしただけでなく、スペルブースト関連のカードの癖が強い、同時に強化されたマナリア軸のカードとプールを分けあっていることなどがあげられます。
ほかのクラスが得たカードもウィッチに負けず劣らず強力なことから、トータルで見ると思ったよりプラスではないかもと思いました。
「ギガントキマイラウィッチ」を筆頭に、ウィッチは特定のターンで勝負を決めるデッキが多く、ウィッチのキルターンがどのくらいかで環境は変わるため、可能であれば早い段階で各ウィッチデッキの強弱を判断しておきたいところ。
ロイヤル
相変わらずコストの踏み倒しは苦手なものの、コスト通り綺麗に動けると強いクラスという印象は変わらず、さらに財宝スペルでPPをより効率的に使えるようになり、除去やラストワード対策、全体弱体化といったロイヤルが苦手だった部分を埋める器用なカードが大量に追加された。
高性能のエンハンス持ちカードを多く有するため、消耗戦を得意とするリーダーだが盤面除去が得意なネメシスやドラゴンは苦手なため活躍はこれらのクラスしだいといったところか。
ネクロマンサー
沈黙シリーズは受け身のカードが多く、かなりテクニカルで人を選ぶため直前まで評価は高くなかったが、最後に発表された《冥界の闘犬・オルトロス》や《冥界の番犬・ケルベロス》などがどれも非常に強力で評価大逆転。
前弾の「アーカスネクロ」は中盤を支えるカードが乏しいという弱点があったが、「蒼空の騎士」アディショナルカードの《グレモリー》と「十禍絶傑」の“冥界”フォロワーで安定感が大幅にアップ。《幽霊支配人・アーカス》から《飢餓の絶傑・ギルネリーゼ》でバーストダメージをたたき出すのも楽しそう。
ネメシス
前環境で猛威を振るった「人形ネメシス」の主要パーツがナーフを受けたものの「アーティファクトネメシス」のパーツには手が入らなかった。
今弾では「アーティファクトネメシス」用のカードも多く追加されており、疾走や直接火力が苦手という弱点をついに克服か。
実は一度も使ったことがないので、もし強いようなら練習しなくてはならない。
一方で《破壊の絶傑・リーシェナ》を軸にした戦略は4ターン目にこれが手札にある必要がある+アミュレットに依存した戦略の信頼度に疑問が残るためパス。
番外
《飢餓の絶傑・ギルネリーゼ》
9ターン目に一撃でゲームを決める「ギガントキマイラウィッチ」が環境上位の場合、10ターン目を迎えることはできないが「ギガントキマイラウィッチ」が環境上位から外れ9ターン以内にゲームを決める必要がなくなった場合、このカードが10ターン目を環境のタイムリミットとして定義する可能性は高い。
具体的には《復讐の人形遣い・ノア》⇒《操り人形》+《飢餓の絶傑・ギルネリーゼ》や、《幽霊支配人・アーカス》⇒《幽想の少女・フェリ》+《飢餓の絶傑・ギルネリーゼ》など(と考えていたら、《復讐の人形遣い・ノア》はナーフでコストが10になりダメになってしまったのでお蔵入り)。
10ターン目にゲームを決めるための潜伏と5ドロー、10ターン目まで時間を稼ぐためのドレインなど、他の飢餓シリーズと関連性があまりなく彼女だけ本人の中でコンセプトが自己完結しているため、サーチ用の《蒼の少女・ルリア》とセットでどのデッキにも採用しうるカード。
これが全カード公開時の印象でした。このときの認識は、
ヴァンプ=ドラゴン>ロイヤル=ネメシス>ネクロ>ビショップ=エルフ
そして、リリース前後でカードの入れ替えが激しく未知数なウィッチと、ウィッチのご機嫌次第の《飢餓の絶傑・ギルネリーゼ》という感じでした。
エルフに関しては《茨の森》を筆頭に失ったものが大きく、屋台骨が揺らいでいる状況で1週間で新しいデッキを作り上げるのは不可能と判断し、ここでは調整を考えないことにしました。
ここから「十禍絶傑」リリースを迎え、いよいよ実際の構築&調整が始まります。
今回の「RAGE Shadowverse 十禍絶傑」東日本予選はリリースから一週間しかないため、上に挙げた新環境の予想を元に、触るデッキ順番を簡単に決めていきたいと思います。
それが次の順番です。
①アーティファクトネメシス
②自傷ヴァンパイア
③原初ドラゴン
④ウィッチ
⑤ロイヤル
⑥ネクロマンサー
あくまで事前に決めているだけのため、他に強いデッキが見つかったらどんどん変わる可能性はあります。
何故、最初に「アーティファクトネメシス」を触るかですが、理由は簡単、先ほども少し書いたように私が「アーティファクトネメシス」未経験者だったためです。
今までプレイング難易度の高さから使用を控えていた「アーティファクトネメシス」ですが、今回の追加カードはプレイ難易度を下げてくれる可能性があり、もしそうなった場合は大会に持っていく選択肢の1つとなります。
『「アーティファクトネメシス」が最強デッキ!』となったときに、可能な限りの時間を「アーティファクトネメシス」の練習にあてるべきだと考えたため、まずまっさきに触る計画にしました。
次に評価が高めのウィッチを4番目とやや後ろに回している理由を説明します。
ウィッチは事前評価が高く、環境を定義する可能性があるため早期に触りたいのですが「ギガントキマイラウィッチ」はコントロール寄りのデッキであり、環境次第で採用パーツが変わります。そのため環境にひととおり強いデッキがそろうのを待ってから調整した方がいいと考え、少し後ろに回すことにしました。
①~⑥をリリース直後の週末の9月30日までに終わらせられれば上出来というところでしょうか。
そんなこんなで「十禍絶傑」がとうとうリリースされ調整がスタートします。
◇アーティファクトネメシス
稼働初日は、計画通りまず「アーティファクトネメシス」から触りはじめました。
個人的に注目していたカードは《オートメーション》、《流体使い》、《機動鎧装》の3枚。
《オートメーション》はゲーム展開に応じて最適なアーティファクトをデッキに埋めることのできるカードで、0コストでいつでも使えることで判断を後ろに引っ張ることもできるため、上級者には便利、初心者にも優しいナイスカードです。
また《流体使い》は出したら確定で共鳴状態となるため、共鳴調整を失敗しがちな私のような初心者にとってお守りのようなカードです。
《機動鎧装》は強力な進化効果フォロワーかつライフを守る守護フォロワーとしての採用です。4コストと「アーティファクトネメシス」に採用されるカードのなかでは取り回しが悪いため出せるときに出して進化する、運用が簡単なカードです。たまにデッキから突然直接召喚されてビックリします。
といった感じで、私が組んだAFネメシスは難易度の高い「アーティファクトネメシス」を自分用にできるだけ簡単に回せるように作ったリストとなります。
その名も「三輪車ネメシス」。
回した結論としては《オートメーション》は非常に強力なカードですが、プレイを簡単にするために投入した《流体使い》や《機動鎧装》などの補助輪部分がデッキの動きを悪くしておりプレイ難易度と共にデッキパワーが大きく下がっているように感じました。
しかし、補助輪を外して《オートメーション》だけ採用した「アーティファクトネメシス」はプレイ難易度が非常に高く、大会に向けた練習時間を考えると選択肢から外すべきだと考えました。
◇自傷ヴァンパイア
次に触ったのがヴァンパイアです。
とにかくそれっぽいカードを詰め込みました。《姦淫の絶傑・ヴァーナレク》と《フラウロス》は使用感を確かめたいのでとりあえず3。
5戦ほど回しての感想は「つ、強すぎる……。」というものでした。
平均的なスペックより一回り強い自傷カードによる立ち上がりから直接召喚で失ったライフを回復、相手の反撃を《姦淫の絶傑・ヴァーナレク》で封じて《闇喰らいの蝙蝠》でフィニッシュという、スキのない一連の流れは非常に強力だと感じました。
《フラウロス》の直接召喚と《姦淫の絶傑・ヴァーナレク》や《闇喰らいの蝙蝠》をうまく使うため、自傷カウントの増加に寄与しない《血に飢えたハムスター》などはすぐにデッキから抜けました。
使用していて気になったのは《スコルピオ》や《姦淫の信者》といった攻撃時に自傷するフォロワー達です。
確かに攻撃時に自傷するフォロワーは先に置くことで1ターンの間に発動する自傷回数を増やすことができるため《フラウロス》の直接召喚がしやすくなったり、《姦淫の絶傑・ヴァーナレク》が早い段階に発動するなど魅力的な要素も多いのですがカードをプレイしたときに自傷できないため、出したそばから除去されてしまうと自傷カウントが増えないというデメリットもあります。
また、ヴァンパイア相手の《姦淫の信者》はラストワード効果で相手の自傷カウントを増やしてしまうためヴァンパイアのミラーマッチではよりゲーム展開が一方的になりやすい点も見逃せません。
総じて《姦淫の信者》や《スコルピオ》はデッキの安定性を下げていると感じたため、とりあえず抜くことにしました。
もし「自傷ヴァンパイア」が平均点の低いデッキであれば、デッキの破壊力を上げることで勝ちを狙う選択も有効ではあるのですが、その場合はそもそも「自傷ヴァンパイア」を使うべきではないと考え、安定した自傷手段とドローソースの確保を兼ねて《双石の悪魔》を採用しました。
改良後のデッキはこちらです。
《デビルシープ》は当時使用不可となっていた《姦淫の翼》代わりに採用してみたカードです。ヴァンパイアミラーや当時流行していた「侮蔑疾走ドラゴン」に対してライフ回復が有効であるためです。
感触は上々で、仮に《姦淫の翼》の解禁時期が遅くなり、試す時間があまり取れなかった場合は、使い勝手を把握しきれていないカードではなく、役割を把握できている《デビルシープ》のままで行く選択肢は十分に考えられました。
◇ドラゴン
続けて触ったのは「原初ドラゴン」です。
新カードの《侮蔑の絶傑・ガルミーユ》のカードパワーは環境随一で、このカードだけでドラゴンを使う価値はあるなと感じました。
ドラゴンは《原初の竜使い》と合わせて盤面展開を主体とするリーダーにはめっぽう強いものの、その一方で対ヴァンパイアの勝率の低さは気になりました。
序盤はPP加速やドローで盤面が手薄な上に、強力な回復カードを有しておらず失ったライフを取り戻すことができないため「自傷ヴァンパイア」の黄金パターンに成すすべもなく、大会にヴァンパイアが多いと予想される場合、ドラゴンを持っていくのは躊躇われました。
また、ドラゴン繋がりとして平行して当時SNSなどで流行していた「侮蔑疾走ドラゴン」も触ってみましたがあまり感触が良くはありませんでした。
理由としては《侮蔑の使徒》と自分のフォロワーにダメージを与えるカードを手札に集めて一気に大ダメージを出すデッキなのですが、
そのコンボパーツを集めるために《侮蔑の信者》や、《侮蔑の従者》に《侮蔑の炎爪》を使用する必要があり、コンボパーツを集めるためにコンボパーツを使用するというデッキの動きに矛盾を感じ、あまり好きになれませんでした。
他のドローソースを追加で採用するなども考えたのですが、単なるドローカードを使える余裕があるような環境ではなく「侮蔑疾走ドラゴン」は早々にデッキ選択肢から外れました。
◇ウィッチ
さぁ待望のウィッチです。まず、事前に考えていたリストがこちら。
ウィッチは環境の主要デッキに応じてチューンする必要があり、ここからリストはどんどん変わっていきます。リリース直後の土日の環境を思い出してみると、とにかく「自傷ヴァンパイア」、「侮蔑疾走ドラゴン」が多かったですよね。
「侮蔑疾走ドラゴン」は上に書いた通り評価があまり高くなかったため、大会前には数が減るとは思いましたが「自傷ヴァンパイア」を強く意識して構築を組む必要がありました。それが次のリストです。
回した感想としては、豊富な除去といくつかの回復カードにより、それなりに盤面とライフを守ることはできるのですがフィニッシュターンである9T目があまりに遠い……。ヴァンパイアの立ち上がりをそれなりに裁いてホクホクするも、7、8、9と《闇喰らいの蝙蝠》を連打されて負け、という展開が多発しました。
先手の時であれば、1ターン目の《姦淫の信者》を1点ダメージを与えるカードで除去することで立ち上がりを抑えることもできるのですが、そんな悠長なことをしている余裕はなく、後手時は《ギガントキマイラ》の9ターン目を迎える前に相手が1つ多く行動できるため、とてもではないですがヴァンパイアに有効とは言い難いと感じました。
また「ギガントキマイラウィッチ」単体で見た場合でも《呼び覚まされし禁忌》のローテーション落ちにより、早期に盤面を制圧することで相手が対応できなければそのまま押し切ることができる、仮に相手が対処できたとしても、盤面対処で足が止まることで、そのスキにスペルブーストやドローを進めて《ギガントキマイラ》でフィニッシュするという勝ちパターンが失われており常に後手に回りがちで前環境ほどの強さは感じませんでした。
◇ロイヤル
次に回したのはロイヤルです。
簒奪ギミックはやはり優秀で、後手の時も《先陣の騎兵》進化で盤面の取り合いを有利に進められます。
また、ランダムではありますが《黄金の杯》による回復や《簒奪の絶傑・オクトリス》で《フラウロス》のラストワード能力を奪えるなど不確定ながらライフ回復も可能であるため、ヴァンパイア相手にもそれなりに戦えるなという印象でした。
しかし一方で、コスト通りの展開しかできないため、直接召喚の《フラウロス》に苦労したりドラゴンの《侮蔑の絶傑・ガルミーユ》で大変なことになったりと、相手の強い動きには対処がしづらいといった短所は気になりました。
構築にも工夫する点があまり見つけられず、悪くはないが決め手に欠けるという評価でした。
◇まとめ
ここまでの状況を一旦まとめます。
- 「アーティファクトネメシス」は強さは感じたがプレイングが難しいので回避。
- 「自傷ヴァンパイア」は後ろに寄せたリストを使いたい。
- 「原初ドラゴン」は悪くはないが、対ヴァンパイアが不安。
- 「ギガントキマイラウィッチ」は全体的に不安であまり使いたくない。
- ロイヤルは可もなく不可もなくで選択肢ではあるが積極的に採用はしたくない。
この時点では「自傷ヴァンパイア」が頭一つ抜けていると感じていました。
また、私の使用するリストはドローや回復を多く積んでおりミラーでも優位性があるため、可能であれば隣にはヴァンパイアに強いリーダーを置きヴァンパイアにゲームを落としにくい布陣にしたいと考えました。
そしてもう1つ。「ギガントキマイラウィッチ」がイマイチということは、10ターン目がやってくるということ。
10ターン目がやってくるということは、ついに「ヤツ」が目を覚ます……!
~次回予告~
9月が終わろうとしていた。
「自傷ヴァンパイア」は自信のあるリストが完成したものの、頼みの「ギガントキマイラウィッチ」には手ごたえを感じられず、白悠咲美は悩んでいた。
「自傷ヴァンパイア」の弱点とは?
「自傷ヴァンパイア」の攻略法とは?
9月から10月に。
大会に向けた最後の一週間、白悠咲美には最後の試練が与えられる。
9ターンから10ターンに。
抑止力となっていた真実は消え、世界はかつて失ったはずの10ターンを迎える。
「輝きを放て、グリザレイ」
―――ふと振り返ると、いつの間にかそこには黒い女が立っていた―――。
次回、「RAGE Shadowverse 十禍絶傑」東日本予選調整録・後編「そうやってすぐルリアギルネリーゼ」、ご期待ください。
それでは!